説明

モーウィの漬物及びその製造方法

【課題】モーウィの独特のシャリシャリとした食感とともに、モーウィの素材を活かした発酵食品としての漬物の食味を向上させることを課題とする。
【解決手段】モーウィを食塩と酢と粉わさびと氷砂糖に密封状態で漬け込み、冷蔵状態で漬け込まれたことを特徴とするモーウィの漬物であり、モーウィを採取し、洗浄後、皮を除去し、縦に割り、種を除去した後、適当なサイズに切断し、容器に入れ、食塩と、酢と、粉わさびと、氷砂糖を加えて密封して、攪拌し、冷蔵保存し、適時攪拌しながら漬け込むことを特徴とするモーウィの漬物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーウィの漬物及びその製造方法に関し、特にワサビ漬けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モーウィは赤瓜とも赤毛瓜ともいい、果皮が赤茶色く、細かい網目状の模様が特長のウリ科野菜である。
【0003】
このモーウィは、15世紀に中国華南地方から持ち込まれ、もともとは琉球王朝時代の宮廷料理の食材であったが、後に一般家庭へも広がったものである。そのため、中華風の味付けがよく合い、他にも薄くスライスしてツナ缶と和え、三杯酢をかけて和え物にしたり、角切りにして味噌煮やそぼろ煮、漬け物や汁物としても利用されている。
【0004】
果肉は白く淡泊な味で、瓜臭さのないあっさりとした味で、しかもシャリシャリと瑞々しい野菜であり、胡瓜に似ていますが、胡瓜よりはしまっており、青臭さがない。水分が多く、その他にビタミンCやカリウムなどを含んでいる。
【0005】
このモーウィの漬物としては、中華風の漬物が広く普及しており、以下のように作られている。
【0006】
(1)モーウィは皮をむいて、種を取り除き、3cm位の長さの棒状に切る。
【0007】
(2)(1)に塩をまぶし、しんなりするまでおく。
【0008】
(3)生姜は千切りにする。
【0009】
(4)保存袋などに調味料と生姜を入れてよく混ぜ、(2)のモーウィを汁ごと加える。袋の空気を切って、口を閉じ、冷蔵庫で30分くらい味をなじませる。
【0010】
(5)汁気を切って、盛りつけ、上に白ごまをちらす。
【0011】
特開2000−286257号公報では、白瓜の生の時の外皮の緑色を残して成して奈良漬物としたものが開示されている。その製造方法としては、少なくとも種を取り除いて水洗いした白瓜を容器に入れて約10%の塩水で0℃以上3℃以下好ましくは1℃〜2℃に温度設定された冷蔵庫で一週間前後漬け込み、次いでこれを取り出して塩水を切り、砂糖、グルタミン酸ソーダ、リンゴ酸、クエン酸等の味付剤で味付けをし、同じく容器に入れて0℃以上3℃以下好ましくは1℃〜2℃に温度設定された冷蔵庫で数日間漬け込む工程を経るものである。
【0012】
さらに好ましくは、上記数日間の味付け漬け込みの後、容器より取り出して上下の入れ替えを行い、さらに0℃以下−2℃以上好ましくは−1℃〜−2℃に温度設定された冷蔵庫で寝かせる工程と、この寝かせ工程の後容器から取り出しその表面を布巾で拭き取り、白瓜の腹の部分に白い酒粕を入れて真空パックするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−286257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
解決しようとする問題点は、従来のモーウィを用いた漬物は、浅漬けを中心とした中華風の漬物であり、そのシャリシャリとした食感、歯ごたえを楽しむものであり、本来の漬物としてのモーウィの素材の食味を引き出させる乳酸発酵による食味の向上を目的とした漬物ではなかった。
【0015】
本発明は、モーウィの独特のシャリシャリとした食感とともに、モーウィの素材を活かした発酵食品としての漬物の食味を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1は、モーウィを食塩と酢と粉わさびと氷砂糖に密封状態で漬け込み、冷蔵状態で漬け込まれたことを特徴とするモーウィの漬物とするものである。
【0017】
該モーウィは、ウリ科の植物であり、赤瓜とも赤毛瓜とも呼ばれ、果皮が赤茶色く、細かい網目状の模様が特長のウリ科野菜である。
【0018】
該食塩は、市販されている食塩を使用できる。該酢は食酢であればいずれでも良い、該粉わさびは、粉末状のワサビであればいずれでも良い、該氷砂糖は、市販されている氷砂糖を使用できる。
【0019】
密封状態は、気密性を維持できるものでればいずれでも良く、食品用パックなどが使用できる。
【0020】
また、冷蔵状態とは、5℃〜13℃程度が良く、好ましくは、9℃〜11℃程度が良い。
【0021】
本発明の請求項2は、モーウィを採取し、洗浄後、皮を除去し、縦に割り、種を除去した後、適当なサイズに切断し、容器に入れ、食塩と、酢と、粉わさびと、氷砂糖を加えて密封して、攪拌し、冷蔵保存し、適時攪拌しながら漬け込むことを特徴とするモーウィの漬物の製造方法としたものである。
【0022】
該モーウィは、一口サイズとなるように、3cm程度のサイズに切断したものでも良い。
【0023】
漬け込み期間中は、2〜3日1回程度、密封状態のままで攪拌するとよい。
【0024】
本発明の請求項3は、前記のモーウィに対して食塩が1〜3重量%、酢5〜10重量%、粉わさび1〜3重量%、氷砂糖15〜25重量%を混合することを特徴とするモーウィの漬物の製造方法とするものである。
【0025】
該食塩は、好ましくは、1.5〜2.0重量%程度が良く、該酢は、好ましくは、7〜9重量%程度が良く、該粉わさびは、好ましくは、1.5〜2.5重量%が良く、該氷砂糖は、好ましくは、18〜22重量%程度が良い。
【0026】
該酢の混合量及び氷砂糖の混合量が、上記の範囲以外となると、漬物としての発酵が不十分となり、食味を低下させてしまうことになる。
【0027】
本発明の請求項4は、前記の冷蔵保存において、保冷温度が5℃〜13℃であることを特徴とするモーウィの漬物の製造方法とするものである。
【0028】
保冷温度が低すぎると、発酵が不十分となり、高すぎると、漬物が腐敗しやすくなるので好ましくない。
【0029】
本発明の請求項5は、前記の漬け込み期間が10日〜20日であることを特徴とするモーウィの漬物の製造方法とするである。
【0030】
漬け込み期間が短いと、発酵が不十分となり、食味を低下させる。十分な発酵が行われると、乳酸菌などにより、保存性が高まり、1カ月以上の保存が可能となる。
【0031】
【発明の効果】
【0032】
本発明は、以下の効果がある。
(1)シャキシャキとした食感と、今までにない、食味を高めたモーウィの漬物を提供で きる。
【0033】
(2)十分な発酵処理を得た、熟成された味わいのモーウィの漬物を提供できる。
【0034】
(3)乳酸菌による十分な発酵が行われたモーウィの漬物を提供できる
【0035】
(4)安定した乳酸発酵を実現できるモーウィの漬物の製造方法つけを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明のモーウィの漬物は、以下のようにして製造できる。
【0037】
1)モーウィを採取し、水洗いし、皮をむき、二つ割りにし、種を除去し、さらに3cm程度のサイズに切断する。
【0038】
2)細断されたモーウィ5kgを容器に入れ、塩100gと、酢を400ccと、粉わさびを100gと、氷砂糖を1kgを加え、十分にかき混ぜてなじませ、密封状態となるように蓋をする。
【0039】
3)密封状態としたモーウィ漬け容器を冷蔵庫にて10℃程度で漬け込み保管する。
【0040】
4)2、3日1回程度、密封状態のままで攪拌する。
【0041】
5)約2週間、冷蔵庫内において10℃程度で漬け込みを行い、モーウィのわさび漬物が完成する。
【0042】
6)冷蔵庫で10℃程度での保管を行えば1カ月以上の保存が可能である。
【0043】
以上により製造されたモーウィの漬物は、シャリシャリとした食感があり、かつ、乳酸菌発酵により、熟成された味わいのある、美味しい漬物となった。
【0044】
尚、漬け込み開始から3週間後に、分析を行ったところ、多数の乳酸菌が検出され、乳酸菌発酵が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーウィを食塩と酢と粉わさびと氷砂糖に密封状態で漬け込み、冷蔵状態で漬け込まれたことを特徴とするモーウィの漬物。
【請求項2】
モーウィを採取し、洗浄後、皮を除去し、縦に割り、種を除去した後、適当なサイズに切断し、容器に入れ、食塩と、酢と、粉わさびと、氷砂糖を加えて密封して、攪拌し、冷蔵保存し、適時攪拌しながら漬け込むことを特徴とするモーウィの漬物の製造方法。
【請求項3】
前記のモーウィに対して食塩が1〜3重量%、酢5〜10重量%、粉わさび1〜3重量%、氷砂糖15〜25重量%を混合することを特徴とする請求項2に記載のモーウィの漬物の製造方法。
【請求項4】
前記の冷蔵保存において、保冷温度が5℃〜13℃であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモーウィの漬物の製造方法。
【請求項5】
前記の漬け込み期間が10日〜20日であることを特徴とする請求項2〜請求項4までのいずれか1項に記載のモーウィの漬物の製造方法。