説明

モータユニット及び画像形成装置

【課題】 位置決め精度の累積誤差が生じにくいモータユニットを提供する。
【解決手段】 モータ本体14a〜14d,15を装置に取り付けるための取付板11を備えたモータユニット10において、前記取付板11に、駆動系構成部品を取り付けに必要な駆動用の取付ピン23a〜23dやギア22a〜22d,25等を配設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ本体を複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置等に取り付けるための取付板を備えたモータユニット及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置の用いられるステッピングモータやDCブラシレスモータ100は、図6に示すように、回転体を支持する本体(モータ本体)101の他に、さらにモータ100を画像形成装置の取付板に取り付けるための板金102やアルミダイキャスト等の別部品を用意し、これらを一体化して汎用性を持たせた製品としている(特許文献1等参照)。なお、モータ本体101と一体化する板金102等には、複数カ所にビス穴103が設けられている。
【0003】
そして、これらのモータ100を画像形成装置の取付板105に取り付ける際には、図7に示すように、各モータ100の駆動ギア104(図6参照)を取付板105の各丸穴107に挿入して芯出しと位置決めを行い、板金102を取付板105のビス穴103同士を合わせて複数の本のビス106を用いて取り付ける。
【特許文献1】特開2005−91780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなモータ取付構造では、モータの駆動軸(駆動ギア)104は回転伝達上、位置決め精度に非常に厳しいため、同軸上の部材にジョイントしたり、小モジュールのギアを持つような場合、その位置決め精度の累積誤差が品質ばらつきを生ずることとなる。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、位置決め精度の累積誤差が生じにくいモータユニット及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、モータ本体を装置に取り付けるための取付板を備えたモータユニットにおいて、前記取付板に、駆動系構成部品の取り付けに必要な取付要素を配設したことを特徴とする。
【0007】
特に、複数個のモータを備え、これら複数個の各モータに対応して複数組の取付要素を前記取付板に配設した場合には、所定の方向に回転可能な複数個の感光体ドラムを備えたタンデム方式の画像形成装置の駆動系に応用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモータユニットによると、モータ本体を装置に取り付けるための取付板に、駆動用のピンやギア等の駆動系構成部品の取り付けに必要な取付要素を配設したことで、モータ取り付け用の板金やアルミダイキャストが省略され、また、この板金等を取付板に取り付けるためのビスも不要となるため、部品間の累積誤差を抑制することができる。また、従来のモータ取り付け用の板金等よりも広い面積を有する取付板にモータを直接取り付ける構造であるために、放熱効果も大きく、駆動時の振動も抑制することができ、結果的に騒音を低減することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態である画像形成装置の一部分を示す概略断面図である。本実施形態の画像形成装置は、所定の方向に回転可能な4個の感光体ドラム1a〜1dを有するタンデム方式のカラーレーザープリンタである。
【0011】
これら4個の感光体ドラムは、それぞれ図1の右から、黒(K)感光体ドラム1a、イエロー(Y)感光体ドラム1b、マゼンタ(M)感光体ドラム1c、シアン(C)感光体ドラム1dである。各々の感光体ドラム1a〜1dは4個のモータの駆動ギア2a〜2dをそれぞれ駆動源として、それに噛み合う大口径ドラムギア3a〜3dによりそれぞれ駆動伝達され、感光体ドラム1a〜1dが所定の方向に回転駆動される。
【0012】
大口径ドラムギア3a〜3dの1回転に1度の出力信号を検出するためにフォトインタラプタ(ポジションセンサ)4a〜4dを搭載する。各感光体ドラム1a〜1d上のトナーは中間転写ベルト5上に順次転写され、2次転写ローラ7にて、転写紙に転写される。図中、符号6は中間転写ベルト5の面と対向配置されたパターン検出センサである。
【0013】
図2は、本実施形態のモータユニットを本体筐体部から見た斜視図であり、図3は、図2の逆方向から見た斜視図である。
【0014】
画像形成装置の駆動部において、モータユニット10は、モータ本体16を画像形成装置に取り付けるための取付板11を有する構造体として構成されている。取付板11には、各色の感光体ドラム1a〜1dの駆動用の4個のモータ14a〜14dを取り付けるための丸穴である4つの取付穴12a〜12dと、中間転写ベルト5の駆動用のモータ15を取り付けるための丸穴である1つの取付穴13とが一列に並んで貫通して設けられている。
【0015】
上記モータ14a〜14d,15としては、例えば統一規格のステッピングモータやDCブラシレスモータを用いることができ、図4に示すように、回転体(図示せず)を支持する本体(モータ本体)16a〜16d,17を備えている。モータ本体16は、背面側に突出する円筒型の駆動軸ホルダ18a〜18d,19を有しており、その駆動軸ホルダ18a〜18d,19の背面を貫通して突出する駆動軸(図示せず)の先端に駆動ギア2a〜2d,20が取り付けられている。
【0016】
すなわち、本実施形態におけるモータでは、従来のモータ(図6参照)におけるモータ本体を支持してモータを画像形成装置等の取付板に取り付けるための板金やアルミダイキャスト等の別部品が省略されている。このため、これらのモータ14a〜14d,15の取付板11への取り付けは、取付板11の取付穴12a〜12d、13に外面11a側から各駆動軸ホルダ18a〜18d,19をそれぞれ挿入し、この駆動軸ホルダ18の外周部と取付穴12a〜12d,13の周囲部との間に、例えばスポット溶接を施すことにより行う。
【0017】
取付板11の内面11bには、図3に示すように、モータ14a〜14dの各取付穴12a〜12dの左斜め下方にカシメ軸21a〜21dがそれぞれ設けられており、これらのカシメ軸21a〜21dには、モータ14a〜14dの駆動ギア2a〜2dと噛み合うギア22a〜22dが回転自在に取り付けられる。各ギア22a〜22dの回転軸には、各色に対応して4つの現像ローラ(図示せず)が同軸に取り付けられる。
【0018】
ここで、各現像ローラに対向配置される各感光体ドラム1a〜1dは、プロセスユニット(図示せず)として現像ローラと一体化されており、各プロセスユニットは取付板11のモータ14a〜14dの各取付穴12a〜12dの左隣りに設けられた取付ピン23a〜23dにそれぞれ取付けられる。各感光体ドラムの回転軸の一端には大口径ドラムギア3a〜3dが取付けられており、上記のようにして各プロセスユニットが取付板11にそれぞれ取付けられると、図5に示すように、各大口径ドラムギア3a〜3dはモータ14a〜14dの各駆動ギア2a〜2dの右隣りに位置して噛み合うことになる。
【0019】
さらに、取付板11の内面11bのモータ15の取付穴13の直下部には、カシメ軸24が設けられており、このカシメ軸24には、モータ15の駆動ギア20と噛み合う伝達ギア25が回転自在に取り付けられる。この伝達ギア25には、図示しない中間転写ベルト5を回転駆動するための駆動ローラ26(図1参照)のローラ軸に固定される大口径ギア27(図1参照)が噛み合うことになる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によると、モータ本体を装置に取り付けるための取付板に、駆動用のピンやギア等の駆動系構成部品の取り付けに必要な取付要素を配設したことで、モータ取り付け用の板金やアルミダイキャストが省略され、また、この板金等を取付板に取り付けるためのビスも不要となるため、部品間の累積誤差を抑制することができる。また、従来のモータ取り付け用の板金等よりも広い面積を有する取付板にモータを直接取り付ける構造であるために、放熱効果も大きく、駆動時の振動も抑制することができ、結果的に騒音を低減することも可能となる。
【0021】
なお、上記実施形態では、複数個のモータを1つの取付板に取付け、一体化する場合について説明したが、単一のモータを1つの取付板に取り付け、ドライブプレート(モータの取付板に駆動用のピンやギア等の駆動系構成部品を取り付けに必要な取付要素をかしめたり、取り付けたりしたもの)として一体化する場合でも同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】は、本発明の実施形態である画像形成装置の一部分を示す概略断面図である。
【図2】は、本発明の実施形態のモータユニットを本体筐体部から見た斜視図である。
【図3】は、図2の逆方向から見た斜視図である。
【図4】は、本発明の実施形態のモータを背面側から見た斜視図である。
【図5】は、4つの感光体ドラムを配置したモータユニットを本体筐体部と反対側から見た斜視図である。
【図6】は、従来のモータを背面側から見た斜視図である。
【図7】は、本発明の実施形態のモータユニットを本体筐体部から見た分解斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1a〜1d 感光体ドラム
2a〜2d,20 駆動ギア
3a〜3d 大口径ドラムギア
5 中間転写ベルト
10 モータユニット
11 取付板
12a〜12d,13 取付穴
14a〜14d,15 モータ
16a〜16d,17 モータ本体
18a〜18d,19 駆動軸ホルダ
21a〜21d,24 カシメ軸
22a〜22d ギア
23a〜23d 取付ピン
25 伝達ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体を装置に取り付けるための取付板を備えたモータユニットにおいて、前記取付板に、駆動系構成部品の取り付けに必要な取付要素を配設したことを特徴とするモータユニット。
【請求項2】
複数個のモータを備え、これら複数個の各モータに対応して複数組の取付要素を前記取付板に配設したことを特徴とする請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
所定の方向に回転可能な複数個の感光体ドラムを備えた画像形成装置において、請求項2に記載のモータユニットを有し、前記モータユニットの複数個のモータが前記複数個の各感光体ドラム駆動用のモータであり、前記モータユニットの取付板にこれら複数個の各モータに対応して複数組の取付要素を配設したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−65110(P2007−65110A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248676(P2005−248676)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】