説明

モータユニット支持構造

【課題】 高い信頼性を有するモータユニット支持構造を提供する。
【解決手段】
本発明に係るモータユニット支持構造1においては、モータユニット30は、マウント設置部材22A、22Bに設けられたマウント40A、40Bによって吊り下げられる。そして、モータユニット30に水平方向(X−Y平面方向)の荷重が付加された場合には、その荷重の付加方向にパイプ41およびボルト26が偏倚し、パイプ41およびボルト26とマウント筐体43の管状部分43dとの間に位置する円筒状のゴム42が径方向において圧縮される。つまり、モータユニット30に対する荷重の付加方向が、車両左右方向(X方向)および車両前後方向(Y方向)を含む水平方向のいずれの方向であっても、ゴム42を圧縮する方向の力のみが加わり、ゴム42をせん断する方向の力は加わらない。そのため、モータユニット支持構造1では、ゴム42の耐久性が向上し、高い信頼性が実現されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行用のモータユニットを、車両のサイドメンバに取付けるためのモータユニット支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンで低騒音の電気自動車が脚光を浴びている。この電気自動車の駆動ユニットはモータであり、従来の駆動ユニットであるエンジンに比べ、通常、その体格(外形寸法)は大幅に小さくなっている。そのため、従来車両のエンジンルームの車両骨格(フロントサイドメンバ)は、モータを搭載するのにあまりに幅広であり、従来車両のモータを搭載するためにはブラケットやユニットケース等の支持部材を用いる必要があった。
【0003】
ただし、ブラケットやユニットケースでも、剛性や強度を確保するためには質量が無駄に増加してしまい、また、構造によってはフロントサイドメンバに過剰な捩りモーメントが生じてしまう。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、フロントサイドメンバ間に梁部材を架け渡して、その梁部材からモータを吊る構造が開示されている。
【0005】
図9に示すように、特許文献1に係る構造100は、車両の前後方向(Y方向)に沿って平行に延在する一対のサイドメンバ110A、110Bの間に、サイドメンバに対して略直角に一対の梁部材120A、120Bが架け渡されている。モータユニット130は、梁部材120A、120Bの下方において、梁部材120A、120B同様、その回転軸132が、サイドメンバに対して略直角にX方向に沿うように配置されている。モータユニット130の車両前側および車両後側(Y方向に関する前後端)には、マウンティングインシュレータ140が取り付けられており、このマウンティングインシュレータ140の部分において、所定の取付具122を介してモータユニット130が梁部材120A、120Bに吊されている。
【0006】
図10に示すように、マウンティングインシュレータ140は、ブラケット131を介してモータユニット130に取り付けられている。マウンティングインシュレータ140は、ブラケット131によって支持されたX方向に延びる支持軸141の周りを、円筒形のゴム142とその周囲を覆うアウタパネル143とで取り囲んだ構造となっている。それにより、モータユニット130に車両前後方向(Y方向)の荷重が付加された場合には、支持軸−アウタパネル間のゴム142には圧縮応力が加わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−310253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、上述したマウンティングインシュレータ140の構造においては、モータユニット130に車両左右方向(X方向)の荷重が付加された場合には、ゴム142にはせん断応力が加わり、それにより耐久性が低下してしまう。そのため、ゴムの耐久性を改善し、モータユニット全体としての高い信頼性を確保するための新たな技術が求められる。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、高い信頼性を有するモータユニット支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るモータユニット支持構造は、車両走行用のモータユニットを、車両のサイドメンバに取付けるためのモータユニット支持構造であって、モータユニットの上方において、サイドメンバによって支持されるマウント設置部材と、マウント設置部材に設けられ、マウント設置部材にモータユニットを支持するマウントとを備え、マウントは、マウント設置部材とモータユニットとを連結する下垂軸と、マウント設置部材に固定されるとともに、下垂軸を軸周りに取り囲む管状部分を少なくとも有するマウント筐体と、下垂軸とマウント筐体の管状部分との間において、下垂軸を軸周りに取り囲む筒状の弾性体とを有する。
【0011】
このようなモータユニット支持構造においては、モータユニットは、マウント設置部材に設けられたマウントによって吊り下げられる。そして、モータユニットに水平方向の荷重が付加された場合には、その荷重の付加方向に下垂軸が偏倚し、下垂軸とマウント筐体の管状部分との間に位置する筒状の弾性体が径方向において圧縮される。つまり、モータユニットに対する荷重の付加方向が、車両左右方向および車両前後方向を含む水平方向のいずれの方向であっても、弾性体を圧縮する方向の力のみが加わり、弾性体をせん断する方向の力は加わらない。したがって、このモータユニット支持構造においては、弾性体の耐久性の向上が図られており、それにより高い信頼性が実現されている。
【0012】
また、マウント筐体が、管状部分と、管状部分の下端開口に設けられた底部分とを有するお椀状である態様であってもよい。この場合、管状部分の内部に収容された弾性体を、より確実にマウント筐体内に保持することができ、たとえば弾性体が落下する事態を防ぐことができる。
【0013】
また、マウント設置部材を一対備え、一対のマウント設置部材は、モータユニットを車両前後方向から挟む位置において、サイドメンバ間に架け渡される一対の梁部材の間に、モータユニットを車両左右方向から挟む位置において架け渡されており、マウントは、一対のマウント設置部材それぞれに設けられている態様であってもよい。この場合、一対の梁部材における、トルク反力に起因する捩れが抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い信頼性を有するモータユニット支持構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るモータユニット支持構造を示した図である。
【図2】図2は、図1に示すモータユニット支持構造の斜視分解図である。
【図3】図3は、図2に示すモータユニット支持構造のマウントの斜視分解図である。
【図4】図4は、図3に示すマウントのY−Z断面図である。
【図5】図5は、図4とは異なる態様のマウントのY−Z断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態におけるドライブシャフトのトルク反力を示した図である。
【図7】図7は、従来技術におけるトルク反力を示した図である。
【図8】図8は、オフセット衝突時における衝撃伝達の様子を示した図である。
【図9】図9は、従来技術に係るモータユニット支持構造を示した図である。
【図10】図10は、図9の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
なお、説明の便宜上、車両の左右方向をX方向、車両の前後方向をY方向、車両の上下方向をZ方向とする。
【0018】
まず、図1、2に、本発明の実施形態に係るモータユニット支持構造1を示す。図示されているように、モータユニット支持構造1は、電気自動車のモータルーム(従来のエンジン乗用車のエンジンルーム、エンジンコンパートメントに相当)に設けられ、モータルーム内の車両骨格(フロントサイドメンバ)に、モータ本体、ケーシング、変速機等が一体となった車両走行用のモータユニットを取付けるためのものである。
【0019】
モータルームには、一対のサイドメンバ10A、10Bが、バンパ12から車両後方に向かってY方向に沿って平行に延びており、車両の左右側部における骨格を形成している。
【0020】
一対のサイドメンバ10A、10B間には、一対の梁部材20A、20Bが架け渡されている。図1に示すように、一対の梁部材20A、20Bは、モータユニット30の幅(Y方向長さ)程度だけ離間させて、サイドメンバ10A、10Bに対して略直角に架け渡されており、X−Y平面視において、モータユニット30を車両前後方向(Y方向)から挟む位置に配置されている。
【0021】
そして、一対の梁部材20A、20B間には、一対のマウント設置部材22A、22Bが架け渡されており、これらのマウント設置部材22A、22Bと梁部材20A、20Bとで井桁フレームが形成されている。
【0022】
マウント設置部材22A、22Bは、梁部材20A、20B同様に梁状であり、モータユニット30の長さ(X方向長さ)程度だけ離間させて、梁部材20A、20Bに対して略直角にY方向に沿って平行に架け渡され、X−Y平面視において、モータユニット30を車両左右方向(X方向)から挟む位置に配置されている。なお、一対のマウント設置部材22A、22BそれぞれのY方向中心位置には、マウント用孔22aが設けられており、この孔22aに、マウント設置部材22A、22Bにモータユニット30を吊り下げる後述のマウント40A、40Bがそれぞれ取り付けられる。
【0023】
モータユニット30は、図1に示すように、モータルーム内に横向きに設置されている。そのため、モータユニット30のモータ本体の回転軸32は、回転軸32と回転接続され、モータユニット30外と接続されるドライブシャフト34同様、X方向に平行に延在している。モータユニット30には、図2に示すように、X方向における各端部の上側にフランジ部31がそれぞれ形成されており、このフランジ部31において、マウント設置部材22A、22Bに取り付けられたマウント40A、40Bによって吊られる。なお、モータユニット30の下部後方には、トルクロッド50が取り付けられる。
【0024】
続いて、図3、4を参照しつつ、マウント40A、40Bの構造について説明する。なお、マウント設置部材22Aに取り付けられるマウント40Aと、マウント設置部材22Bに取り付けられるマウント40Bとは、同一の構造を有するため、以下では、一方のマウント40Bの構造についてのみ説明する。
【0025】
図3、4に示すように、マウント40Bは、マウント設置部材22Bの孔22aに収容されるマウント筐体43、マウント筐体43内に収容される弾性体であるゴム42、マウント筐体43を貫通するパイプ41、パイプ41を挿通するボルト26、ボルト26の先端部に螺合されるナット28、および、ボルト26に取り付けられるワッシャー44によって構成されている。なお、マウント40Bは、マウント設置部材22Bに対して略同じ高さ位置(Z方向の関する位置)に設けられるため、梁部材20A、20Bおよびマウント設置部材22A、22Bと同じX−Y平面内に位置することとなる。
【0026】
マウント筐体43は、高い剛性を有する材料(たとえば、金属材料)で構成されており、孔22aの径よりわずかに小さい外径を有する断面円形の管状部分43dと、孔22aの縁に係止される鍔部43cと、底部分43eとを有している。鍔部43cは四角形状であり、対角の2隅には孔43a、43bが形成されている。そして、これらの孔43a、43bと、マウント設置部材22Bの対応位置に形成された孔22b、22cとが、ボルト24A、24Bによって締結される。それにより、マウント筐体43が、マウント設置部材22Bに対して強固に固定される。底部分43eは、管状部分43dの下端開口を覆い、マウント筐体43内のゴム42を下方から支持する部分である。
【0027】
ゴム42は、マウント筐体43の管状部分43d内をほぼ隙間無く充たしており、管状部分43dの中心軸に沿って延在するパイプ41を軸周りに取り囲む円筒状を成している。ゴム42の上端部には、マウント筐体43の鍔部43c上に重なる鍔部42aが形成されており、その上面には凹凸が設けられている。また、ゴム42の上端部のパイプ41周りには、環状溝42bが設けられており、パイプ41上端部分が、他の部分に比べて、十分に偏倚できるようになっている。
【0028】
パイプ41は、マウント筐体43の管状部分43dの中心軸に沿って、管状部分43dの全体に亘り、円筒状のゴム42の内部を貫くように延びている。パイプ41は、その上端部に形成された鍔部41bにおいて、ゴム42に係止されている。
【0029】
そして、パイプ41の内孔41aには、ワッシャー44を介して、ボルト26が挿通されている。このボルト26とパイプ41とにより、本発明の下垂軸が構成されている。ボルト26は、パイプ41を貫いてモータユニット30のフランジ部31にまで達し、フランジ部31の孔31aを貫いて、その先端部にナット28が螺合される。したがって、ボルト26によって、マウント設置部材22Bとモータユニット30とが連結される。なお、上述したゴム42の上端部に形成された鍔部42aは、上側に配置され対向するワッシャー44に対し、わずかな隙間を持って離間している。車両が路面状態の悪い道路を走行し、上下方向に振動したときなど、モータユニット30に強い上下方向の荷重が作用したりすると、鍔部42a上の凹凸がワッシャー44と当接し、衝撃を吸収する。
【0030】
次に、モータユニット30に荷重が付加された場合のマウント40Bの挙動について説明する。
【0031】
たとえば、モータユニット30に、車両前後方向(Y方向)の荷重が付加された場合、それに伴い、モータユニット30のフランジ部31に連結されたマウント40Bのボルト26とパイプ41とが一体となってY方向に偏倚する。その結果、パイプ41とY方向に関して接する部分のゴム42が圧縮される。なお、車両前後方向(Y方向)の荷重が付加される場合とは、たとえば、後述するモータの駆動により、モータユニット30にトルク反力が作用する場合が、挙げられる。
【0032】
また、モータユニット30に、車両左右方向(X方向)の荷重が付加された場合、モータユニット30がX方向に偏倚し、モータユニット30のフランジ部31に連結されたマウント40Bのボルト26とパイプ41とが一体となってX方向に偏倚する。その結果、パイプ41とX方向に関して接する部分のゴム42が圧縮される。なお、車両左右方向(X方向)の荷重が付加される場合とは、たとえば、車両走行中の右左折時が挙げられる。
【0033】
このように、円筒状ゴム42およびマウント筐体43の管状部分43dによってボルト26およびパイプ41はその周囲を完全に(すなわち、360度)囲まれているため、モータユニット30に対する荷重の付加方向がX−Y面内のいずれの方向であっても、ボルト26およびパイプ41の偏倚した方向において、パイプ41とマウント筐体43との間の部分のゴム42が圧縮される。
【0034】
以上で説明したとおり、上述したモータユニット支持構造1においては、モータユニット30に対する付加方向がX−Y面内のいずれの方向であっても、マウント40A、40Bのゴム42には圧縮する方向の力(圧縮応力)のみが加わり、せん断する方向の力(せん断応力)は加わらない。そのため、マウント40A、40Bのゴム42の高い耐久性を実現され、モータユニット支持構造全体として、高い信頼性を実現することができる。
【0035】
その上、底部分43eにより、管状部分43dの内部に収容されたゴム42を、より確実にマウント筐体43内に保持することができ、たとえばゴム42が落下する事態を防ぐことができる。
【0036】
なお、マウント40A、40Bのマウント筐体43は、上述した形状に限らず、図5に示すようなお椀状であってもよい。
【0037】
図5に示したマウント40B’では、マウント筐体43は、上述した管状部分43dと鍔部43cとで構成されており、底部分43eを備えていない。
【0038】
このようなお椀状のマウント筐体43を備えたマウント40B’であっても、上述したマウント40B同様、モータユニット30に対する荷重の付加方向がX−Y面内のいずれの方向であっても、マウント40B’のゴム42には圧縮応力が加わり、せん断応力は加わらないため、マウント40B’のゴム42が高い耐久性を実現される。
【0039】
ここで、上述したモータユニット支持構造1におけるトルク反力について、図6を参照しつつ説明する。
【0040】
図6に示すように、モータユニット30の回転軸32とドライブシャフト34とはX方向に沿って平行に延在しており、回転軸32の軸線Oよりも下後方にドライブシャフト34の軸線O’が位置している。回転軸32とドライブシャフト34とは互いに回転接続されており、回転軸32の駆動トルクが、ドライブシャフト34に伝達される。その反作用として、モータユニット30には、ドライブシャフト34のトルク反力Tが伝達される。そのため、モータユニット30には、トルク反力Tに起因する力が加わり、その力が梁部材20A、20Bにも伝達される。
【0041】
モータユニット30と梁部材20A、20Bとの接合部位であるマウント40Bが、上述した井桁フレーム(すなわち、梁部材20A、20Bおよびマウント設置部材22A、22B)と略同一面内に位置し、且つ、ドライブシャフト34の軸線O’とY方向に関して近接しているため(より具体的には、ドライブシャフト34の軸線O’のほぼ鉛直上方に配置されているため)、トルク反力として、図6に示すように、梁部材20A、20Bのいずれにも車両後方(Y方向)の向きの力M1、M2が作用する。このように、梁部材20A、20Bの両方に作用する力M1、M2の向きが同じであるため、トルク反力に起因する梁部材20A、20B間の捩れは生じない。
【0042】
一方、図9に示した従来構造100においては、トルク反力に起因する梁部材120A、120B間の捩れが生じやすい。図7に示すように、上述したモータユニット支持構造1同様、モータユニット130の回転軸132の軸線Oよりも下後方にドライブシャフト134の軸線O’が位置している場合、梁部材120Aと梁部材120Bとは全く異なる方向の力M3、M4が作用する。すなわち、ドライブシャフト134の軸線O’とY方向に関して近接している梁部材120Bには、モータユニット130後端のマウンティングインシュレータ140を介して、トルク反力として車両後方(Y方向)の向きの力M4が作用するが、ドライブシャフト134の軸線O’とY方向に関して遠く離れている梁部材120Aには、モータユニット130前端のマウンティングインシュレータ140を介して、上向き(Z方向の向き)の力M3が作用する。このように、従来構造100においては、梁部材120A、120Bの両方に作用する力M3、M4の向きが大きく異なるため、トルク反力に起因する梁部材20A、20B間の捩れが生じてしまう。
【0043】
したがって、上述したモータユニット支持構造1によれば、ゴム42の耐久性向上により高い信頼性を実現することができる上、梁部材20A、20B間のトルク反力に起因する捩れが有意に抑制される。
【0044】
さらに、モータユニット支持構造1に採用されている井桁フレーム20A、20B、22A、22Bによれば、車両のオフセット衝突時のエネルギ吸収が改善される。
【0045】
図8には、オフセット衝突時における衝撃伝達の様子が示されている。図8に示すように、バンパ12の左側においてオフセット衝突した場合、その衝撃は、衝突側である左のサイドメンバ−10Bに入力される。すると、その入力は、井桁フレームを介して、反衝突側である右のサイドメンバ−10Aに伝達される。このとき、井桁フレームを一平面(X−Y平面)内で構成して、高い剛性を実現することにより、衝突側のサイドメンバ10Bから反衝突側のサイドメンバ−10Aへ、効率よく衝撃伝達がおこなわれる。
【0046】
特に、梁部材20A、20Bおよびマウント設置部材22A、22Bが直線形状となっているため、井桁フレームの高い剛性が実現されている。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に限らず、様々な変形が可能である。たとえば、上述した実施形態においては、井桁フレームを構成するマウント設置部材にマウントを設ける態様を示したが、マウント設置部材は、必ずしも井桁フレームを構成する必要はなく、たとえばサイドメンバ間に架け渡された梁状部材等であってもよい。また、マウントに用いられる弾性体は、ゴムに限定されず、シリコン樹脂、ウレタン等の種々の弾性材料で構成することができる。さらに、弾性体は、下垂軸を軸周りに取り囲む筒状であればよく、円筒状に限定されない。
【0048】
また、上述の実施形態では、ゴムマウントを介してモータユニットを吊り下げる態様を示したが、必ずしも、吊り下げる必要はない。本発明は、前後又は左右方向に加わる荷重が、ゴムマウントのせん断方向に作用しないことで、ゴムマウントの耐久性を向上させることを要旨としている。そのため、たとえば、車体よりモータユニットの下方に延びるサブフレームが形成されている場合には、モーターユニット真下にマウントを追加し、モータユニットの重量を、追加したマウントを介してサブフレームで受け、本発明で述べるモータユニット上方のマウントは、図5の如く構成し、前後又は左右方向の荷重のみを受ける構造としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…モータユニット支持構造、10A、10B…サイドメンバ、20A、20B…梁部材、22A、22B…マウント設置部材、26…ボルト、30…モータユニット、32…回転軸、34…ドライブシャフト、40A、40B、40B’…マウント、41…パイプ、42…ゴム、43…マウント筐体、43d…管状部分、43e…底部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行用のモータユニットを、車両のサイドメンバに取付けるためのモータユニット支持構造であって、
前記モータユニットの上方において、前記サイドメンバによって支持されるマウント設置部材と、
前記マウント設置部材に設けられ、前記マウント設置部材に前記モータユニットを支持するマウントと
を備え、
前記マウントは、
前記マウント設置部材と前記モータユニットとを連結する下垂軸と、
前記マウント設置部材に固定されるとともに、前記下垂軸を軸周りに取り囲む管状部分を少なくとも有するマウント筐体と、
前記下垂軸と前記マウント筐体の前記管状部分との間において、前記下垂軸を軸周りに取り囲む筒状弾性体とを有する、モータユニット支持構造。
【請求項2】
前記マウント筐体が、前記管状部分と、前記管状部分の下端開口に設けられた底部分とを有するお椀状である、請求項1に記載のモータユニット支持構造。
【請求項3】
前記マウント設置部材を一対備え、
前記一対のマウント設置部材は、前記モータユニットを車両前後方向から挟む位置において、前記サイドメンバ間に架け渡される一対の梁部材の間に、前記モータユニットを車両左右方向から挟む位置において架け渡されており、
前記マウントは、前記一対のマウント設置部材それぞれに設けられている、請求項1又は2に記載のモータユニット支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−112181(P2013−112181A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260517(P2011−260517)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】