説明

モータ内蔵ローラ

【課題】 基板が内蔵されたモータ内蔵ローラにおいて、分解しなくても、設定値やプログラムなどの記憶部分の変更を行うことのできるモータ内蔵ローラを提供する。
【解決手段】 本発明のモータ内蔵ローラ1は、ローラ本体の内部にモータ31が配置されており、また、モータ31の動作の制御を行うための基板2がローラ本体の内部に配置されている。そして、信号線から入った信号によって、モータ31の動作の制御が行われるものであり、基板2には、書き換え可能な記憶媒体に記憶されている記憶部分を有しており、前記基板の記憶部分の書き換えを、外部から行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータが内蔵されているモータ内蔵ローラに関するものであり、特に、その制御などのために用いられる基板が内蔵されているモータ内蔵ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、モータが内蔵されたモータ内蔵ローラが用いられている。このようなモータ内蔵ローラは、コンベア装置などに用いられ、回転方向や回転速度などが制御を行うことができるようになっている。このようなローラの回転方向や回転速度の制御は、入力回路やモータ駆動回路や設定値を記憶する記憶手段などを設けた制御用の基板を用いて行われている。
また、このような基板をローラの内部に配置したものもあり、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−307214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、モータ内蔵ローラでは、組み立てて完成品にしてしまうと、設定値やプログラムなどに変更が必要となった場合、分解して基板を取り出し、必要な部分の交換や書き換えなどを行って、再度組み立てることになる。
このため、このような変更に手間がかかり、また、部品を交換する場合には、再利用できない部品などが発生することもあった。
【0004】
そこで、本発明は、基板が内蔵されたモータ内蔵ローラにおいて、分解しなくても、設定値やプログラムなどの変更を行うことのできるモータ内蔵ローラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、ローラ本体の内部にモータが配置されているモータ内蔵ローラにおいて、モータの動作の制御を行うための基板がローラ本体の内部に配置されており、信号線から入った信号によって、モータの動作の制御が行われるものであり、基板には、書き換え可能な記憶媒体に記憶されている記憶部分を有しており、前記基板の記憶部分の書き換えを、外部から行うことができることを特徴とするモータ内蔵ローラである。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、基板の記憶部分の書き換えを、外部から行うことができるので、分解しなくても、設定値やプログラムなどの書き換えを行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、書き込み専用線が設けられ、書き込み専用線から送信することにより、基板の記憶部分の書き換えが行われるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラである。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、書き込み専用線が設けられ、書き込み専用線から送信することにより、基板の記憶部分の書き換えが行われるものであるので、単純な構成で特別な回路を必要とせずに書き換えを行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、基板には信号パターン認識回路が設けられており、信号パターン認識回路は、信号線から入った信号を識別できるものであり、特定の信号を認識した場合に、信号線から送信することによって基板の記憶部分の書き換えが可能となるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラである。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、基板には信号パターン認識回路が設けられており、信号パターン認識回路は、信号線から入った信号を識別できるものであり、特定の信号を認識した場合に、信号線から送信することによって基板の記憶部分の書き換えが可能となるものであるので、信号線の共用が可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、基板には書き込みモード切替回路を有しており、書き込みモード切替回路は、書き込み専用線からの信号の送信によって、基板の記憶部分の書き換えが可能となるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラである。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、基板には書き込みモード切替回路を有しており、書き込みモード切替回路は、書き込み専用線からの信号の送信によって、基板の記憶部分の書き換えが可能となるものであるので、信号線の増加を最小限に抑えることができ、また、上記のような特定の信号を認識させる回路も必要がない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板が内蔵されたモータ内蔵ローラにおいて、分解しなくても、設定値やプログラムなどの変更を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態におけるモータ内蔵ローラ1は、図1に示されており、ローラ本体12、モータ31、減速機21及び基板2を有している。なお、図1は断面図であるが、ハッチングは省略している。
【0015】
ローラ本体12は円筒状であり、内部の空間にモータ31、減速機21及び基板2等が配置されており、モータ内蔵ローラ1は、モータ31及び基板2が内蔵されている。また、ローラ本体12の両端は閉塞部材13、14で閉塞されている。そして、この閉塞部材13、14には、軸受28、29を介して固定軸17、18が貫通しており、固定軸17、18とローラ本体12との間は回転自在となっている。
【0016】
また、モータ31と減速機21とは、内筒部材19によりユニット化されている。
モータ31及び減速機21は、従来公知のものをもちいることができ、特に限定されるものではないが、本実施形態のモータ31は、DCモータが用いられている。
【0017】
モータ31が作動すると回転軸23が回転し、減速機21が回転して、さらに、減速機21の先にある動力伝達部材30によってローラ本体12が回転する。そして、モータ内蔵ローラ1は、固定軸17、18を支持した状態でモータ31を回転させて、ローラ本体12を回転させて使用される。
【0018】
固定軸17は中空状に形成されている。そして、この中空の固定軸17内に、モータ31を制御するためなどに用いられる信号線や、電力線や、マイコン部42に接続されている書き込み専用線などが束ねられたケーブル22が通過しており、必要な信号の通信や電力の供給などが行われる。そして、ケーブル22は、制御装置6につながっており、ケーブル22により、基板2と制御装置6との間で、信号のやりとりが行われる。
【0019】
基板2はモータ31の動作の制御を行うためのものであり、図1に示されるように、軸受28とモータ31の間に2枚配置されている。そして、この2枚の基板2の間は、信号線55でつながっている。
また、基板2の回路は、図2に示されるように、入力回路41、マイコン部42及びモータ駆動回路43を有している。そして、制御装置6からの信号は、信号線を通じて入力回路41に入り、さらに、マイコン部42へ伝達されて、モータ31の動作の制御が行われる。
【0020】
マイコン部42では、プログラムや設定値などが記憶されており、入力回路41からの信号を元に演算等が行われて、モータ31の動作を制御したり、モータ駆動回路43へ信号を送ったりする。
そして、マイコン部42のプログラムや設定値などは書き換え可能な記憶媒体に記憶されており、後述するように、モータ内蔵ローラ1を組み立てた後に、必要に応じて、外部から書き換えることができる。
【0021】
モータ駆動回路43は、モータ31を駆動させるために用いられる回路であり、マイコン部42からの信号を元にして、モータ31側へ出力して、モータ31の回転を制御するものである。
【0022】
そして、本実施形態のモータ内蔵ローラ1の基板2は、ローラ本体12の内部に配置されており、閉塞部材13、14を取り外したりして、分解しないと取り出すことができない。しかしながら、本実施形態のモータ内蔵ローラ1では、基板2を取り外したりしなくても、マイコン部42に記憶されているプログラムや設定値などの記憶部分を外部から書き換えることができる。
【0023】
この書き換えは、図2に示されるように、マイコン部42に直接に接続されている書き込み専用線を用いて行われる。そして、書き込み専用線から、変更が必要なときに新しいプログラムや設定値の情報などを送信し、プログラムや設定値などの記憶部分を書き換える。
なお、書き込み専用線は、信号線などと共に、ケーブル22内で束ねられている。
【0024】
また、上記した実施形態の基板2に代わりに、図3や図4に示されるような、基板50、51を用いたモータ内蔵ローラ3、4を用いることができる。
図3に示される基板50は、基板2と同様に、入力回路41、マイコン部42及びモータ駆動回路43を有しており、さらに、信号パターン認識回路44を有している。そして、信号パターン認識回路44は、入力回路41とマイコン部42との間に配置されており、信号パターン認識部45と、スイッチ部46が設けられている。
【0025】
そして、基板50では、信号線から信号が入力されると、入力回路41で分岐して、信号が信号パターン認識部45に伝達される。そして、信号パターン認識部45で、特定の信号かどうかを判断する。
特定の信号と判断されると、通常は切断状態となっているスイッチ部46が、接続状態となり、信号パターン認識部45を信号が通過して、マイコン部42のプログラムや設定値などの記憶部分の書き換えができる状態となる。
【0026】
基板50のプログラムや設定値などの記憶部分の書き換えを行う場合、まず、上記したようなスイッチ部46が接続状態となるような信号を送信し、その後、新しいプログラムや設定値などの情報を送信して行う。
したがって、基板50でのプログラムや設定値などの記憶部分の書き換えは、信号線を共用することによって用いるものであるので、ケーブル22の配線が増えることがない。
【0027】
図4に示される基板51は、基板2と同様に、入力回路41、マイコン部42及びモータ駆動回路43を有しており、さらに、書き込みモード切替回路47を有している。そして、書き込みモード切替回路47は、入力回路41とマイコン部42との間に配置されており、スイッチ部48が設けられている。
また、スイッチ部48は、書き込み専用線に接続されており、書き込み専用線から信号を送信することにより、通常は切断状態となっているスイッチ部48が、接続状態となり、書き込みモード切替回路47を信号が通過して、マイコン部42のプログラムや設定値などの記憶部分の書き換えを外部からできる状態となる。
【0028】
基板51のプログラムや設定値など記憶部分の書き換えを行う場合、まず、上記したようなスイッチ部48が接続状態となるように、書き込み専用線から信号を送信し、その後、信号線から新しいプログラムや設定値などの情報を送信して行う。
したがって、基板51では、書き込み専用線をスイッチ部48の切替だけを行えばよいので、信号線を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるモータ内蔵ローラを示した断面図である。
【図2】図1に示すモータ内蔵ローラの基板を示したブロック図である。
【図3】基板の変形例を示したブロック図である。
【図4】基板の変形例を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
1、3、4 モータ内蔵ローラ
2、50、51 基板
12 ローラ本体
44 信号パターン認識回路
47 書き込みモード切替回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ本体の内部にモータが配置されているモータ内蔵ローラにおいて、
モータの動作の制御を行うための基板がローラ本体の内部に配置されており、信号線から入った信号によって、モータの動作の制御が行われるものであり、
基板には、書き換え可能な記憶媒体に記憶されている記憶部分を有しており、前記基板の記憶部分の書き換えを、外部から行うことができることを特徴とするモータ内蔵ローラ。
【請求項2】
書き込み専用線が設けられ、書き込み専用線から送信することにより、基板の記憶部分の書き換えが行われるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項3】
基板には信号パターン認識回路が設けられており、信号パターン認識回路は、信号線から入った信号を識別できるものであり、特定の信号を認識した場合に、信号線から送信することによって基板の記憶部分の書き換えが可能となるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項4】
基板には書き込みモード切替回路を有しており、書き込みモード切替回路は、書き込み専用線からの信号の送信によって、基板の記憶部分の書き換えが可能となるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−78874(P2009−78874A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247638(P2007−247638)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】