モータ制御回路およびパワーウィンドウ装置
【課題】スイッチ素子がチャタリングすることにより、挟み込みが発生したと判断されるのを防止することが可能なモータ制御回路を提供する。
【解決手段】モータ制御回路104は、モータ102を逆転方向に駆動するときに電流が流れるコイル2aを有するリレー回路2と、窓を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8aと、スイッチ素子8aがオンされた場合にコイル2aの両端を短絡させるためのスイッチ素子5と、水没したことを検出する検出回路6と、検出回路6により水没したことを検出していない場合にコイル2aに電流を供給する給電回路7とを備えている。スイッチ素子5がチャタリングして、電源105からスイッチ素子5を介してコイル2aへ流れる電流が一時的に断たれても、給電回路7によりコイル2aに電流を流すことができる。
【解決手段】モータ制御回路104は、モータ102を逆転方向に駆動するときに電流が流れるコイル2aを有するリレー回路2と、窓を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8aと、スイッチ素子8aがオンされた場合にコイル2aの両端を短絡させるためのスイッチ素子5と、水没したことを検出する検出回路6と、検出回路6により水没したことを検出していない場合にコイル2aに電流を供給する給電回路7とを備えている。スイッチ素子5がチャタリングして、電源105からスイッチ素子5を介してコイル2aへ流れる電流が一時的に断たれても、給電回路7によりコイル2aに電流を流すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御回路およびそれを備えたパワーウィンドウ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓と、窓を開閉するモータと、モータを制御するモータ制御回路とを備えたパワーウィンドウ装置が種々知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。これらのパワーウィンドウ装置では、モータが正転することにより窓の開動作が行われ、モータが逆転することにより窓の閉動作が行われる。
【0003】
上記特許文献1のパワーウィンドウ装置には、「オート閉AC」、「マニュアル閉MC」、「中立N」、「マニュアル開MO」、および「オート開AO」の各位置へ切り替え可能な操作ノブが設けられている。そして、このパワーウィンドウ装置では、操作ノブが「オート閉AC」の位置に一旦切り替えられると、その後操作ノブが「中立N」の位置に戻った後も、窓の閉動作が継続して行われる。また、このパワーウィンドウ装置は、窓の閉動作中に異物の挟み込みを検出した場合に、窓の閉動作を中止するように構成されている。なお、挟み込みの検出は、モータの回転速度に基づいて判断される。
【0004】
また、上記特許文献2のパワーウィンドウ装置は、水没時においても窓の開閉動作を行うことが可能なように構成されている。これにより、パワーウィンドウ装置が設けられた車両が海や河川に水没した場合にも、窓の開動作を行うことができるので、車両の内部に運転手などが閉じ込められるのを防止することが可能である。
【0005】
ここで、パワーウィンドウ装置には、上記のような、挟み込み防止機能と、水没時に窓の開動作を行える機能とを備えることが求められており、これらの機能を備えたパワーウィンドウ装置が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
上記特許文献3のパワーウィンドウ装置には、モータを正転させるための第1のリレー回路と、モータを逆転させるための第2のリレー回路とが設けられている。第1のリレー回路は、窓を開くための操作スイッチがオンされた場合に電流が流れる第1コイルと、第1コイルに電流が流れた場合にモータを電源に接続する第1リレー接点とを有する。第2のリレー回路は、窓を閉じるための操作スイッチがオンされた場合に電流が流れる第2コイルと、第2コイルに電流が流れた場合にモータを電源に接続する第2リレー接点とを有する。
【0007】
そして、上記特許文献3のパワーウィンドウ装置には、窓を開くための操作スイッチがオンされた場合に、第2コイルの両端を短絡させるためのスイッチ素子が設けられている。このスイッチ素子は、窓を開くための操作スイッチと連動して作動する。このため、パワーウィンドウ装置が水没することにより、窓を閉じるための操作スイッチが短絡して第2コイルに電流が流れる場合にも、窓を開くための操作スイッチがオンされれば、スイッチ素子により第2コイルの両端が短絡するので、第1コイルのみに電流を流すことができる。これにより、上記特許文献3のパワーウィンドウ装置では、水没時に窓の開動作を行うことが可能である。
【0008】
【特許文献1】特開2007−224637号公報
【特許文献2】特開2008−106560号公報
【特許文献3】再公表特許WO00/37761
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3のスイッチ素子は、操作ノブの操作によりオン/オフする操作スイッチと連動するため、操作ノブが操作された際の機械的な振動に起因してスイッチ素子が振動(チャタリング)することがある。たとえば、水没していない状態で、窓を閉じるために操作ノブを「オート閉AC」の位置に切り替え、その後手を離すと、操作ノブはバネの力で勢いよく「中立N」の位置へ戻るが、その際に生じる操作ノブの振動により、操作スイッチと連動するスイッチ素子がチャタリングし、第2コイルを流れる電流が一瞬途切れてしまう場合がある。この場合、モータの回転(逆転)が一時的に停止するので、挟み込みが発生したと判断され、窓を閉じる操作を行ったにもかかわらず、モータが正転に切り替わって窓が開いてしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、スイッチ素子がチャタリングすることにより、挟み込みが発生したと判断されるのを防止することが可能なモータ制御回路およびパワーウィンドウ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のモータ制御回路は、操作部から入力される正転指令または逆転指令に応じて、モータを正転方向または逆転方向に駆動し、モータの正転方向または逆転方向への駆動により開閉体を開方向または閉方向に駆動させるための制御部と、開閉体が閉方向駆動中に異物を挟み込んだことを検出する挟み込み検出手段とを備え、挟み込みが発生した場合に、挟み込み検出手段からの出力を受けて、制御部がモータの逆転方向への駆動を停止するモータ制御回路において、モータを正転方向に駆動するときに、モータの一方端子を電源に接続するための第1のリレー回路と、モータを逆転方向に駆動するときに、モータの他方端子を電源に接続するための第2のリレー回路と、操作部から制御部に正転指令が入力された場合に、第2のリレー回路を作動させるための電源との接続を切断するスイッチ素子と、水没したことを検出した場合にモータの逆転方向への駆動を防止するための検出回路と、検出回路により水没したことを検出していない状態で、モータを逆転方向に駆動する場合において、スイッチ素子により第2のリレー回路を作動させるための電源との接続が切断された際に、第2のリレー回路を作動させるための電源と第2のリレー回路とを導通させる給電回路と、をさらに備える。
【0012】
このように構成することによって、水没していないときにスイッチ素子がチャタリングした場合にも、給電回路により第2のリレー回路に電力を供給することができるので、モータの逆転方向への駆動を継続することができる。また、水没したときには、給電回路から第2のリレー回路に電力が供給されないので、水没時に窓を開くことができなくなるのを防止することができる。
【0013】
上記モータ制御回路において、第1のリレー回路は、モータが正転方向に駆動されるときに電流が流れる第1コイルと、第1コイルに電流が流れた場合にモータの一方端子を電源に接続する第1リレー接点と、を含み、第2のリレー回路は、モータが逆転方向に駆動されるときに電流が流れる第2コイルと、第2コイルに電流が流れた場合にモータの他方端子を電源に接続する第2リレー接点と、を含み、スイッチ素子は、操作部から正転指令が入力された場合に、第2コイルの一方端を第2コイルの他方端に短絡させるように構成することができる。
【0014】
上記第2のリレー回路が第2コイルを含むモータ制御回路において、給電回路は、電源に接続された抵抗器と、抵抗器と第2コイルの一方端との間に接続されたダイオードと、検出回路により水没したことを検出した場合に、抵抗器とダイオードとの接続点を接地するためのトランジスタとで構成することができる。
【0015】
上記第2のリレー回路が第2コイルを含むモータ制御回路において、第1コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第1の切替回路と、第2コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第2の切替回路と、をさらに備え、検出回路により水没したことが検出されていない場合に、第1の切替回路および第2の切替回路は、制御部からの制御によって第1コイルおよび第2コイルに電流を流すか否かを切り替え、検出回路により水没したことが検出された場合に、検出回路は第1の切替回路および第2の切替回路に電源を接続し、第1の切替回路および第2の切替回路は第1コイルおよび第2コイルに電流を流すように構成することができる。
【0016】
また、本発明のパワーウィンドウ装置は、窓に設けられた開閉体と、開閉体を駆動するモータと、モータに電力を供給する電源と、上記のいずれかのモータ制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スイッチ素子がチャタリングすることにより、挟み込みが発生したと判断されるのを防止することが可能なモータ制御回路およびパワーウィンドウ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、車両の運転席に設けられたパワーウィンドウ装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるパワーウィンドウ装置の構成を示したブロック図である。本実施形態によるパワーウィンドウ装置100は、図1に示すように、運転席の窓101と、窓101を開閉するためのモータ102と、運転手が窓101を操作するための操作スイッチ103と、モータ102を制御するモータ制御回路104と、モータ102に電力を供給する電源105とを備えている。
【0020】
モータ102は、正転方向に駆動されたときに窓101を開く方向に駆動するとともに、逆転方向に駆動されたときに窓101を閉じる方向に駆動するように構成されている。
【0021】
図2および図3は、操作スイッチ103の一例を示した概略構成図である。操作スイッチ103は、図2に示すように、軸Qを中心としてab方向に回転可能な操作ノブ31と、この操作ノブ31と一体に設けられたロッド32と、スライドスイッチ33とから構成される。なお、操作ノブ31は、本発明の「操作部」の一例である。103aは操作スイッチ103が組み込まれるスイッチユニットのカバーである。図3に示す操作スイッチ103は、後述する図6におけるスイッチ素子群8およびスイッチ素子5を構成する操作スイッチである。ロッド32の下端は、スライドスイッチ33の内部に設けられているアクチュエータ34の係合部35と係合しており、操作ノブ31がab方向に回転すると、ロッド32を介してアクチュエータ34がcd方向に移動する。アクチュエータ34には、スイッチ素子5の可動側端子51およびスイッチ素子群8の可動側端子81が設けられており、これらは操作ノブ31の操作により連動して動く。また、図示は省略するが、アクチュエータ34の下方には、可動側端子51および81と接触する固定側端子が所定のパターンで形成された基板が配設されている。そして、アクチュエータ34の移動位置に応じて可動側端子51および81が所定の固定側端子と接触することによって、スイッチ素子5およびスイッチ素子群8における切り換えが行われる。
【0022】
操作ノブ31は、図2に示すように、オート閉AC、マニュアル閉MC、中立N、マニュアル開MO、オート開AOの各位置へ切換可能となっている。図2は、操作ノブ31が中立Nの位置にある状態を示している。この位置から操作ノブ31をa方向に一定量回転させて、マニュアル閉MCの位置にすると、マニュアル動作で窓101が閉じるマニュアル閉動作が行われ、この位置よりさらにa方向に操作ノブ31を回転させてオート閉ACの位置にすると、オート動作で窓101が閉じるオート閉動作が行われる。また、操作ノブ31を中立Nの位置からb方向に一定量回転させて、マニュアル開MOの位置にすると、マニュアル動作で窓101が開くマニュアル開動作が行われ、この位置よりさらにb方向に操作ノブ31を回転させてオート開AOの位置にすると、オート動作で窓101が開くオート開動作が行われる。操作ノブ31には、図示しないバネが設けられており、回転した操作ノブ31から手を離すと、操作ノブ31はバネの力により中立Nの位置に復帰する。
【0023】
マニュアル動作の場合は、操作ノブ31がマニュアル閉MCまたはマニュアル開MOの位置に手で保持され続ける間だけ、窓101を閉じる動作または開ける動作が行われ、操作ノブ31から手を離してノブが中立Nの位置に復帰すると、窓101の閉動作または開動作は停止する。一方、オート動作の場合は、一旦、操作ノブ31がオート閉ACまたはオート開AOの位置まで回転されると、その後は操作ノブ31から手を離してノブが中立Nの位置に復帰しても、窓101の閉動作または開動作が継続して行われる。
【0024】
図4は、窓101に設けられる窓開閉機構の一例を示した図である。41は窓101を開閉する窓ガラス、42は窓開閉機構である。なお、窓ガラス41は、本発明の「開閉体」の一例である。窓ガラス41は、窓開閉機構42の作動により昇降動作を行い、窓ガラス41の上昇により窓101が閉じ、窓ガラス41の下降により窓101が開く。窓開閉機構42において、42aは窓ガラス41の下端に取り付けられた支持部材である。42bは一端が支持部材42aに係合され、他端がブラケット42dに回転可能に支持された第1アーム、42cは一端が支持部材42aに係合され、他端がガイド部材42eに係合された第2アームである。第1アーム42bと第2アーム42cとは、それぞれの中間部において軸を介して連結されている。102は前述のモータ、43はロータリエンコーダである。ロータリエンコーダ43はモータ102の回転軸に連結されており、モータ102の回転に応じたパルスを出力する。このパルスの周波数または周期を計数することにより、モータ102の回転速度を検出することができる。また、ロータリエンコーダ43の出力から、モータ102の回転量(窓ガラス41の移動量)を算出することができる。
【0025】
44はモータ102により回転駆動されるピニオン、45はピニオン44と噛合して回転する扇形のギヤである。ギヤ45は、第1アーム42bに固定されている。モータ102は正逆方向に回転可能であり、正逆方向への回転によりピニオン44およびギヤ45を回転させて、第1アーム42bを正逆方向へ回動させる。これに追随して、第2アーム42cの他端がガイド部材42eの溝に沿って横方向にスライドし、支持部材42aが上下方向に移動して窓ガラス41を昇降させ、窓101を開閉する。
【0026】
以上のようなパワーウィンドウ装置100において、操作ノブ31が図2のマニュアル閉MCまたはオート閉ACの位置にあって、マニュアル閉動作またはオート閉動作が行われる場合は、物体(異物)の挟み込みを検出する機能が備わっている。すなわち、図5に示したように、窓101が閉まる途中で窓ガラス41の隙間に物体(異物)Zが挟み込まれた場合、後述する制御部10(図6参照)により、これを検出して窓101の閉動作を開動作へ切り換えるようになっている。挟み込みの検出にあたっては、モータ102の回転速度に基づいてモータ負荷を算出し、このモータ負荷を閾値と比較して挟み込みの有無を判定する。モータ負荷は、例えば回転速度の変化量で表される。窓101に物体Zの挟み込みが発生すると、モータ102の負荷が増大して回転速度が低下するため、速度の変化量が大きくなり、この速度変化量が所定の閾値を超えたときに、物体Zが挟み込まれたと判定する。閾値は、メモリ(図示省略)にあらかじめ記憶されている。
【0027】
図6は、図1のモータ制御回路を示した回路図である。モータ制御回路104は、図6に示すように、リレー回路1および2と、スイッチ回路3および4と、水没対策用のスイッチ素子5と、水没したことを検出する検出回路6と、給電回路7と、操作ノブ31(図2参照)で受け付けた指令を出力するためのスイッチ素子群8と、入力インターフェース9と、制御部10とを含んでいる。なお、リレー回路1および2は、それぞれ、本発明の「第1のリレー回路」および「第2のリレー回路」の一例である。また、スイッチ回路3および4は、それぞれ、本発明の「第1の切替回路」および「第2の切替回路」の一例である。
【0028】
リレー回路1は、モータ102を正転方向に駆動するときに電流が流れるコイル1aと、コイル1aに電流が流れた場合にモータ102の一方端子を電源105に接続するリレー接点1bとを有する。なお、コイル1aは、本発明の「第1コイル」の一例であり、リレー接点1bは、本発明の「第1リレー接点」の一例である。
【0029】
コイル1aは、一方端がダイオード11を介して電源105に接続されるとともに、他方端がスイッチ回路3を介して接地されている。なお、ダイオード11は、逆流防止用に設けられており、カソードがコイル1aの一方端に接続され、アノードが電源105に接続されている。リレー接点1bは、モータ102の一方端子に接続された共通端子1cと、接地された常閉端子1dと、電源105に接続された常開端子1eとを有する。
【0030】
リレー回路2は、モータ102を逆転方向に駆動するときに電流が流れるコイル2aと、コイル2aに電流が流れた場合にモータ102の他方端子を電源105に接続するリレー接点2bとを有する。なお、コイル2aは、本発明の「第2コイル」の一例であり、リレー接点2bは、本発明の「第2リレー接点」の一例である。
【0031】
コイル2aは、一方端がスイッチ素子5およびダイオード11を介して電源105に接続されるとともに、他方端がスイッチ回路4を介して接地されている。リレー接点2bは、モータ102の他方端子に接続された共通端子2cと、接地された常閉端子2dと、電源105に接続された常開端子2eとを有する。
【0032】
スイッチ回路3は、制御部10の出力により、コイル1aに電流を流すか否かを制御するために設けられている。このスイッチ回路3は、npn型のトランジスタ3aと、トランジスタ3aのベース電流を調整するためのベース抵抗3bと、トランジスタ3aのベースをグランドに接続するためのプルダウン抵抗3cとを有する。
【0033】
トランジスタ3aは、コレクタがコイル1aの他方端に接続され、エミッタが接地されている。トランジスタ3aのベースは、ベース抵抗3bに接続されるとともに、プルダウン抵抗3cを介して接地されている。ベース抵抗3bは、ダイオード12を介して制御部10に接続されている。なお、ダイオード12は、逆流防止用に設けられており、アノードが制御部10に接続され、カソードがベース抵抗3bに接続されている。
【0034】
スイッチ回路4は、制御部10の出力により、コイル2aに電流を流すか否かを制御するために設けられている。このスイッチ回路4は、npn型のトランジスタ4aと、トランジスタ4aのベース電流を調整するためのベース抵抗4bと、トランジスタ4aのベースをグランドに接続するためのプルダウン抵抗4cとを有する。
【0035】
トランジスタ4aは、コレクタがコイル2aの他方端に接続され、エミッタが接地されている。トランジスタ4aのベースは、ベース抵抗4bに接続されるとともに、プルダウン抵抗4cを介して接地されている。ベース抵抗4bは、ダイオード13を介して制御部10に接続されている。なお、ダイオード13は、逆流防止用に設けられており、アノードが制御部10に接続され、カソードがベース抵抗4bに接続されている。
【0036】
スイッチ素子5は、操作ノブ31(図2参照)が「マニュアル開MO」または「オート開AO」の位置に切り替えられた場合に、リレー回路2を作動させるための電力を遮断するために設けられている。具体的には、スイッチ素子5は、後述するスイッチ素子8aと連動するように設けられており、スイッチ素子8aがオンされた場合に、コイル2aの一方端をコイル2aの他方端に短絡させるために設けられている。このスイッチ素子5は、コイル2aの一方端に接続された共通端子5aと、ダイオード11のカソードに接続された常閉端子5bと、コイル2aの他方端に接続された常開端子5cとを有する。また、スイッチ素子5は、スライドスイッチ33に設けられており、操作ノブ31(図3参照)によりスイッチ素子8aと機械的に連動してオン/オフ状態が切り替えられる。
【0037】
検出回路6は、水没時の水漏れを検出した場合にコイル2aおよび2bに電流を流すために設けられており、水漏れ検知素子6aとスイッチ回路6bとを含む。水漏れ検知素子6aは、一方電極が接地されるとともに、他方電極がスイッチ回路6bに接続されている。
【0038】
スイッチ回路6bは、pnp型のトランジスタ6cと、トランジスタ6cのベース電流を調整するためのベース抵抗6dと、トランジスタ6cのベースをダイオード11を介して電源105に接続するためのプルアップ抵抗6eとを有する。
【0039】
トランジスタ6cは、エミッタがダイオード11を介して電源105に接続されている。トランジスタ6cのベースは、ベース抵抗6dに接続されるとともに、プルアップ抵抗6eを介して電源105に接続されている。ベース抵抗6dは、水漏れ検知素子6aの他方電極に接続されている。
【0040】
トランジスタ6cのコレクタは、ダイオード14を介してスイッチ回路3に接続されるとともに、ダイオード15を介してスイッチ回路4に接続されている。なお、ダイオード14は、逆流防止用に設けられており、アノードがトランジスタ6cのコレクタに接続され、カソードがベース抵抗3bに接続されている。また、ダイオード15は、逆流防止用に設けられており、アノードがトランジスタ6cのコレクタに接続され、カソードがベース抵抗4bに接続されている。
【0041】
給電回路7は、検出回路6により水没したことを検出していない場合に、リレー回路2を作動させるための電力を供給するように構成されている。この給電回路7は、電源105が直接グランドに接続されるのを防止するための抵抗器7aと、逆流防止用のダイオード7bと、スイッチ回路7cとを含んでいる。
【0042】
抵抗器7aは、一方端がダイオード11を介して電源105に接続されるとともに、他方端がダイオード7bのアノードに接続されている。ダイオード7bのカソードは、コイル2aの一方端に接続されている。抵抗器7aの他方端とダイオード7bのアノードとの接続点には、スイッチ回路7cが接続されている。
【0043】
スイッチ回路7cは、検出回路6により水没したことを検出した場合に、抵抗器7aの他方端とダイオード7bのアノードとの接続点をグランドに接続するために設けられている。このスイッチ回路7cは、npn型のトランジスタ7dと、トランジスタ7dのベース電流を調整するためのベース抵抗7eと、トランジスタ7dのベースをグランドに接続するためのプルダウン抵抗7fとを有する。
【0044】
トランジスタ7dは、コレクタが抵抗器7aの他方端とダイオード7bのアノードとの接続点に接続され、エミッタが接地されている。トランジスタ7dのベースは、ベース抵抗7eに接続されるとともに、プルダウン抵抗7fを介して接地されている。ベース抵抗7eは、検出回路6のトランジスタ6cのコレクタに接続されている。
【0045】
スイッチ素子群8は、窓101を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8aと、窓101を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8bと、窓101をオートで動作させる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8cとを有する。また、スイッチ素子8a、8b、および8cは、スライドスイッチ33に設けられており、操作ノブ31(図3参照)により機械的にオン/オフ状態が切り替えられる。
【0046】
したがって、運転手により操作ノブ31(図2参照)が「オート閉AC」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8bおよび8cがオンする。また、運転手により操作ノブ31が「マニュアル閉MC」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8bのみがオンする。また、運転手により操作ノブ31が「マニュアル開MO」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8aのみがオンする。また、運転手により操作ノブ31が「オート開AO」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8aおよび8cがオンする。そして、スイッチ素子8a〜8cの出力が入力インターフェース9を介して制御部10に入力される。
【0047】
ここで、運転手により操作ノブ31が「中立N」以外の位置に切り替えられた後、運転手が指を離すと操作ノブ31が「中立N」の位置に戻るが、このとき、操作ノブ31が機械的に振動する。そして、この振動に起因してスイッチ素子8aと連動するスイッチ素子5が振動(チャタリング)する場合がある。
【0048】
なお、入力インターフェース9には、スイッチ素子群16〜18の出力も入力されている。スイッチ素子群16は、助手席の窓を操作するための操作ノブ(図示省略)で受け付けた指令を出力するために設けられている。このスイッチ素子群16は、助手席の窓(図示省略)を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、助手席の窓を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、助手席の窓をオートで動作させる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子とを有する。なお、スイッチ素子群16を構成する操作スイッチ103は、図3のようなスイッチ素子5と連動する構造にはなっていない。スイッチ素子群17、18を構成する操作スイッチ103についても同様である。
【0049】
また、スイッチ素子群17は、左側の後部座席の窓を操作するための操作ノブ(図示省略)で受け付けた指令を出力するために設けられている。このスイッチ素子群17は、左側の後部座席の窓(図示省略)を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、左側の後部座席の窓を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子とを有する。
【0050】
また、スイッチ素子群18は、右側の後部座席の窓を操作するための操作ノブ(図示省略)で受け付けた指令を出力するために設けられている。このスイッチ素子群18は、右側の後部座席の窓(図示省略)を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、右側の後部座席の窓を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子とを有する。
【0051】
制御部10は、入力インターフェース9からの入力に応じて、スイッチ回路3のトランジスタ3aおよびスイッチ回路4のトランジスタ4aのオン/オフ状態を制御する。また、制御部10は、図5に示すように、窓101を閉じているときに、物体(異物)Zの挟み込みを検出した場合に、窓101を閉じる動作を中止して窓101を開くように構成されている。具体的には、制御部10は、モータ102の回転方向を逆転方向から正転方向に反転させるように、トランジスタ3aおよび4aを制御する。なお、制御部10は、本発明の「挟み込み検出手段」の一例である。
【0052】
図7〜図15は、本発明の一実施形態によるパワーウィンドウ装置のモータ制御回路の動作を説明するための回路図である。次に、図7〜図15を参照して、本実施形態によるパワーウィンドウ装置100の動作について説明する。なお、以下の動作説明では、水漏れの有無およびチャタリングの有無を場合分けして、各場合のオート閉操作およびオート開操作について説明する。
【0053】
(水漏れ無し、チャタリング無し、オート閉操作)
この場合には、図7に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このため、制御部10によりトランジスタ4aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ4aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、スイッチ素子5、コイル2a、トランジスタ4aの順に電流が流れる。このとき、コイル2aに電流が流れることから、リレー接点2bが作動して、共通端子2cと常開端子2eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点2b、モータ102、リレー接点1bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはA方向に電流が流れることから、モータ102が逆転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が閉じる方向に駆動される。
【0054】
(水漏れ無し、チャタリング無し、オート開操作)
この場合には、図8に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このとき、スイッチ素子5がスイッチ素子8aと連動することにより、共通端子5aと常開端子5cとが接続される。そして、制御部10によりトランジスタ3aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ3aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れる。このとき、コイル1aに電流が流れることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0055】
(水漏れ無し、チャタリング有り、オート閉操作)
本発明が意義をもつのはこの場合である。この場合には、図9に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このとき、操作ノブ31(図3参照)の操作に起因してスイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。このため、電源105からスイッチ素子5を介してコイル2aへ流れる電流が一時的に断たれる。しかし、制御部10によりトランジスタ4aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ4aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、抵抗器7a、ダイオード7b、コイル2a、トランジスタ4aの順に電流が流れる。すなわち、給電回路7からコイル2aへ電力が供給され、コイル2aに電流が流れることから、リレー接点2bが作動して、共通端子2cと常開端子2eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点2b、モータ102、リレー接点1bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはA方向に電流が流れることから、モータ102が逆転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が閉じる方向に駆動される。このようにして、スイッチ素子5がチャタリングした場合でも、給電回路7によってリレー回路2を作動させるための電力が供給されるので、モータ102は一時的に停止せずに逆転方向への回転を継続することができ、これによって挟み込みの誤判定を防止することができる。
【0056】
(水漏れ無し、チャタリング有り、オート開操作)
この場合には、図10に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このとき、スイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。しかし、モータ制御回路104の動作は、図8の場合と同じである。すなわち、制御部10によりトランジスタ3aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ3aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れる。このとき、コイル1aに電流が流れることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0057】
(水漏れ有り、操作前)
この場合には、図11に示すように、水漏れ検知素子6aの一方電極と他方電極とが水Wにより導通する。このため、トランジスタ6cのベースに印加される電圧が低下するので、トランジスタ6cがオンされる。したがって、電源105によりトランジスタ3a、4a、および7dのベースに電圧が印加されるので、トランジスタ3a、4a、および7dがオンされる。
【0058】
このとき、電源105からダイオード11、スイッチ素子5、コイル2a、トランジスタ4aの順に電流が流れる。そして、コイル2aに電流が流れることから、リレー接点2bが作動して、共通端子2cと常開端子2eとが接続される。また、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れる。このとき、コイル1aに電流が流れることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続される。これにより、モータ102の両端の電位が同電位になることから、モータ102は駆動されない。
【0059】
また、トランジスタ7dがオンすることにより、電源105からダイオード11、抵抗器7a、トランジスタ7dの順に電流が流れる。これにより、給電回路7からコイル2aに電流が流れないようになる。
【0060】
(水漏れ有り、チャタリング無し、オート閉操作)
この場合には、図12に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ4aのベースに電圧が印加される。しかし、モータ制御回路104は図11の状態から変化はなく、モータ102は駆動されない。なお、この場合は、閉操作を行ったにもかかわらず窓101が閉じないことになるが、通常時と異なり水没時であるため、窓101が閉じなくても問題はない。
【0061】
(水漏れ有り、チャタリング無し、オート開操作)
この場合には、図13に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ3aのベースに電圧が印加される。そして、スイッチ素子5がスイッチ素子8aと連動することにより、共通端子5aと常開端子5cとが接続される。これにより、電源105に接続されていたコイル2aの一方端がコイル2aの他方端に接続され、コイル2aの両端が短絡されるので、コイル2aには電流が流れない。したがって、リレー接点2bは作動せず、共通端子2cと常閉端子2dとが接続される。
【0062】
一方、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れている。このとき、コイル1aに電流が流れていることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続されている。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0063】
(水漏れ有り、チャタリング有り、オート閉操作)
この場合には、図14に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ4aのベースに電圧が印加される。このとき、スイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。これにより、電源105とコイル2aの一方端とが切断された状態になるので、コイル2aには電流が流れない。したがって、リレー接点2bは作動せず、共通端子2cと常閉端子2dとが接続される。
【0064】
一方、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れている。このとき、コイル1aに電流が流れていることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続されている。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。なお、この場合は、閉操作を行ったにもかかわらず窓101が開くことになるが、通常時と異なり水没時であるため、窓101が開いても問題はない。
【0065】
(水漏れ有り、チャタリング有り、オート開操作)
この場合には、図15に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ3aのベースに電圧が印加される。このとき、スイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。その後のモータ制御回路104の動作は図14の場合と同じである。すなわち、電源105とコイル2aの一方端とが切断された状態になるので、コイル2aには電流が流れない。したがって、リレー接点2bは作動せず、共通端子2cと常閉端子2dとが接続される。
【0066】
一方、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れている。このとき、コイル1aに電流が流れていることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続されている。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0067】
本実施形態では、図9で説明したように、給電回路7を設けることによって、水漏れ無し時に、オート閉操作によりスイッチ素子5がチャタリングした場合にも、給電回路7によりコイル2aに電流を流すことができるので、モータ102の逆転方向への駆動を継続することができる。したがって、チャタリングに起因してモータ102の回転が一時的に停止するのを防止することができるので、スイッチ素子5がチャタリングした場合にも、制御部10により挟み込みが発生したと判断されるのを防止することができる。すなわち、モータ102が正転して窓101が開いてしまうという不具合が発生しなくなる。
【0068】
また、本実施形態では、スイッチ素子5を設けることによって、オート開操作時にスイッチ素子8aがオンされた場合にコイル2aの両端を短絡させることができる。それによって、水漏れ時に窓101を開くことができなくなるのを防止することができる(図13)。
【0069】
また、本実施形態では、給電回路7にスイッチ回路7cを設けることによって、水漏れ時に給電回路7からコイル2aに電流が流れないようになる。それによって、水漏れ時にオート開操作が行われた際にスイッチ素子5がチャタリングした場合にも、窓101を開くことができる(図15)。
【0070】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、車両の運転席に設けられたパワーウィンドウ装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、車両の助手席や後部座席に設けられたパワーウィンドウ装置に本発明を適用してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、操作ノブ31により、スイッチ素子5および8aが機械的に連動する例を示したが、これに限らず、たとえば、スイッチ素子8aのオン/オフ状態が制御部10に入力され、その入力結果に基づいて、制御部10がスイッチ素子5のオン/オフ状態を制御することにより、スイッチ素子5および8aが電気的に連動するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、制御部10により、挟み込みの検出を行う例を示したが、これに限らず、制御部10とは別に挟み込み検出部(図示省略)を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態によるパワーウィンドウ装置の構成を示したブロック図である。
【図2】図1の操作スイッチの概略を示した側面図である。
【図3】図1の操作スイッチの概略を示した斜視図である。
【図4】図1の窓に設けられる窓開閉機構を示した図である。
【図5】図1の窓に物体が挟み込まれた状態を示した図である。
【図6】図1のモータ制御回路を示した回路図である。
【図7】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング無し」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図8】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング無し」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【図9】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング有り」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図10】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング有り」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【図11】図6のモータ制御回路の水漏れ有り時の操作前の状態を説明するための回路図である。
【図12】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング無し」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図13】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング無し」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【図14】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング有り」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図15】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング有り」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【符号の説明】
【0074】
1 リレー回路(第1のリレー回路)
1a コイル(第1コイル)
1b リレー接点(第1リレー接点)
2 リレー回路(第2のリレー回路)
2a コイル(第2コイル)
2b リレー接点(第2リレー接点)
3 スイッチ回路(第1の切替回路)
4 スイッチ回路(第2の切替回路)
5 スイッチ素子
6 検出回路
7 給電回路
7a 抵抗器
7b ダイオード
7d トランジスタ
10 制御部(挟み込み検出手段)
31 操作ノブ(操作部)
41 窓ガラス(開閉体)
100 パワーウィンドウ装置
101 窓
104 モータ制御回路
105 電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御回路およびそれを備えたパワーウィンドウ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓と、窓を開閉するモータと、モータを制御するモータ制御回路とを備えたパワーウィンドウ装置が種々知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。これらのパワーウィンドウ装置では、モータが正転することにより窓の開動作が行われ、モータが逆転することにより窓の閉動作が行われる。
【0003】
上記特許文献1のパワーウィンドウ装置には、「オート閉AC」、「マニュアル閉MC」、「中立N」、「マニュアル開MO」、および「オート開AO」の各位置へ切り替え可能な操作ノブが設けられている。そして、このパワーウィンドウ装置では、操作ノブが「オート閉AC」の位置に一旦切り替えられると、その後操作ノブが「中立N」の位置に戻った後も、窓の閉動作が継続して行われる。また、このパワーウィンドウ装置は、窓の閉動作中に異物の挟み込みを検出した場合に、窓の閉動作を中止するように構成されている。なお、挟み込みの検出は、モータの回転速度に基づいて判断される。
【0004】
また、上記特許文献2のパワーウィンドウ装置は、水没時においても窓の開閉動作を行うことが可能なように構成されている。これにより、パワーウィンドウ装置が設けられた車両が海や河川に水没した場合にも、窓の開動作を行うことができるので、車両の内部に運転手などが閉じ込められるのを防止することが可能である。
【0005】
ここで、パワーウィンドウ装置には、上記のような、挟み込み防止機能と、水没時に窓の開動作を行える機能とを備えることが求められており、これらの機能を備えたパワーウィンドウ装置が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
上記特許文献3のパワーウィンドウ装置には、モータを正転させるための第1のリレー回路と、モータを逆転させるための第2のリレー回路とが設けられている。第1のリレー回路は、窓を開くための操作スイッチがオンされた場合に電流が流れる第1コイルと、第1コイルに電流が流れた場合にモータを電源に接続する第1リレー接点とを有する。第2のリレー回路は、窓を閉じるための操作スイッチがオンされた場合に電流が流れる第2コイルと、第2コイルに電流が流れた場合にモータを電源に接続する第2リレー接点とを有する。
【0007】
そして、上記特許文献3のパワーウィンドウ装置には、窓を開くための操作スイッチがオンされた場合に、第2コイルの両端を短絡させるためのスイッチ素子が設けられている。このスイッチ素子は、窓を開くための操作スイッチと連動して作動する。このため、パワーウィンドウ装置が水没することにより、窓を閉じるための操作スイッチが短絡して第2コイルに電流が流れる場合にも、窓を開くための操作スイッチがオンされれば、スイッチ素子により第2コイルの両端が短絡するので、第1コイルのみに電流を流すことができる。これにより、上記特許文献3のパワーウィンドウ装置では、水没時に窓の開動作を行うことが可能である。
【0008】
【特許文献1】特開2007−224637号公報
【特許文献2】特開2008−106560号公報
【特許文献3】再公表特許WO00/37761
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3のスイッチ素子は、操作ノブの操作によりオン/オフする操作スイッチと連動するため、操作ノブが操作された際の機械的な振動に起因してスイッチ素子が振動(チャタリング)することがある。たとえば、水没していない状態で、窓を閉じるために操作ノブを「オート閉AC」の位置に切り替え、その後手を離すと、操作ノブはバネの力で勢いよく「中立N」の位置へ戻るが、その際に生じる操作ノブの振動により、操作スイッチと連動するスイッチ素子がチャタリングし、第2コイルを流れる電流が一瞬途切れてしまう場合がある。この場合、モータの回転(逆転)が一時的に停止するので、挟み込みが発生したと判断され、窓を閉じる操作を行ったにもかかわらず、モータが正転に切り替わって窓が開いてしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、スイッチ素子がチャタリングすることにより、挟み込みが発生したと判断されるのを防止することが可能なモータ制御回路およびパワーウィンドウ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のモータ制御回路は、操作部から入力される正転指令または逆転指令に応じて、モータを正転方向または逆転方向に駆動し、モータの正転方向または逆転方向への駆動により開閉体を開方向または閉方向に駆動させるための制御部と、開閉体が閉方向駆動中に異物を挟み込んだことを検出する挟み込み検出手段とを備え、挟み込みが発生した場合に、挟み込み検出手段からの出力を受けて、制御部がモータの逆転方向への駆動を停止するモータ制御回路において、モータを正転方向に駆動するときに、モータの一方端子を電源に接続するための第1のリレー回路と、モータを逆転方向に駆動するときに、モータの他方端子を電源に接続するための第2のリレー回路と、操作部から制御部に正転指令が入力された場合に、第2のリレー回路を作動させるための電源との接続を切断するスイッチ素子と、水没したことを検出した場合にモータの逆転方向への駆動を防止するための検出回路と、検出回路により水没したことを検出していない状態で、モータを逆転方向に駆動する場合において、スイッチ素子により第2のリレー回路を作動させるための電源との接続が切断された際に、第2のリレー回路を作動させるための電源と第2のリレー回路とを導通させる給電回路と、をさらに備える。
【0012】
このように構成することによって、水没していないときにスイッチ素子がチャタリングした場合にも、給電回路により第2のリレー回路に電力を供給することができるので、モータの逆転方向への駆動を継続することができる。また、水没したときには、給電回路から第2のリレー回路に電力が供給されないので、水没時に窓を開くことができなくなるのを防止することができる。
【0013】
上記モータ制御回路において、第1のリレー回路は、モータが正転方向に駆動されるときに電流が流れる第1コイルと、第1コイルに電流が流れた場合にモータの一方端子を電源に接続する第1リレー接点と、を含み、第2のリレー回路は、モータが逆転方向に駆動されるときに電流が流れる第2コイルと、第2コイルに電流が流れた場合にモータの他方端子を電源に接続する第2リレー接点と、を含み、スイッチ素子は、操作部から正転指令が入力された場合に、第2コイルの一方端を第2コイルの他方端に短絡させるように構成することができる。
【0014】
上記第2のリレー回路が第2コイルを含むモータ制御回路において、給電回路は、電源に接続された抵抗器と、抵抗器と第2コイルの一方端との間に接続されたダイオードと、検出回路により水没したことを検出した場合に、抵抗器とダイオードとの接続点を接地するためのトランジスタとで構成することができる。
【0015】
上記第2のリレー回路が第2コイルを含むモータ制御回路において、第1コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第1の切替回路と、第2コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第2の切替回路と、をさらに備え、検出回路により水没したことが検出されていない場合に、第1の切替回路および第2の切替回路は、制御部からの制御によって第1コイルおよび第2コイルに電流を流すか否かを切り替え、検出回路により水没したことが検出された場合に、検出回路は第1の切替回路および第2の切替回路に電源を接続し、第1の切替回路および第2の切替回路は第1コイルおよび第2コイルに電流を流すように構成することができる。
【0016】
また、本発明のパワーウィンドウ装置は、窓に設けられた開閉体と、開閉体を駆動するモータと、モータに電力を供給する電源と、上記のいずれかのモータ制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スイッチ素子がチャタリングすることにより、挟み込みが発生したと判断されるのを防止することが可能なモータ制御回路およびパワーウィンドウ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、車両の運転席に設けられたパワーウィンドウ装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるパワーウィンドウ装置の構成を示したブロック図である。本実施形態によるパワーウィンドウ装置100は、図1に示すように、運転席の窓101と、窓101を開閉するためのモータ102と、運転手が窓101を操作するための操作スイッチ103と、モータ102を制御するモータ制御回路104と、モータ102に電力を供給する電源105とを備えている。
【0020】
モータ102は、正転方向に駆動されたときに窓101を開く方向に駆動するとともに、逆転方向に駆動されたときに窓101を閉じる方向に駆動するように構成されている。
【0021】
図2および図3は、操作スイッチ103の一例を示した概略構成図である。操作スイッチ103は、図2に示すように、軸Qを中心としてab方向に回転可能な操作ノブ31と、この操作ノブ31と一体に設けられたロッド32と、スライドスイッチ33とから構成される。なお、操作ノブ31は、本発明の「操作部」の一例である。103aは操作スイッチ103が組み込まれるスイッチユニットのカバーである。図3に示す操作スイッチ103は、後述する図6におけるスイッチ素子群8およびスイッチ素子5を構成する操作スイッチである。ロッド32の下端は、スライドスイッチ33の内部に設けられているアクチュエータ34の係合部35と係合しており、操作ノブ31がab方向に回転すると、ロッド32を介してアクチュエータ34がcd方向に移動する。アクチュエータ34には、スイッチ素子5の可動側端子51およびスイッチ素子群8の可動側端子81が設けられており、これらは操作ノブ31の操作により連動して動く。また、図示は省略するが、アクチュエータ34の下方には、可動側端子51および81と接触する固定側端子が所定のパターンで形成された基板が配設されている。そして、アクチュエータ34の移動位置に応じて可動側端子51および81が所定の固定側端子と接触することによって、スイッチ素子5およびスイッチ素子群8における切り換えが行われる。
【0022】
操作ノブ31は、図2に示すように、オート閉AC、マニュアル閉MC、中立N、マニュアル開MO、オート開AOの各位置へ切換可能となっている。図2は、操作ノブ31が中立Nの位置にある状態を示している。この位置から操作ノブ31をa方向に一定量回転させて、マニュアル閉MCの位置にすると、マニュアル動作で窓101が閉じるマニュアル閉動作が行われ、この位置よりさらにa方向に操作ノブ31を回転させてオート閉ACの位置にすると、オート動作で窓101が閉じるオート閉動作が行われる。また、操作ノブ31を中立Nの位置からb方向に一定量回転させて、マニュアル開MOの位置にすると、マニュアル動作で窓101が開くマニュアル開動作が行われ、この位置よりさらにb方向に操作ノブ31を回転させてオート開AOの位置にすると、オート動作で窓101が開くオート開動作が行われる。操作ノブ31には、図示しないバネが設けられており、回転した操作ノブ31から手を離すと、操作ノブ31はバネの力により中立Nの位置に復帰する。
【0023】
マニュアル動作の場合は、操作ノブ31がマニュアル閉MCまたはマニュアル開MOの位置に手で保持され続ける間だけ、窓101を閉じる動作または開ける動作が行われ、操作ノブ31から手を離してノブが中立Nの位置に復帰すると、窓101の閉動作または開動作は停止する。一方、オート動作の場合は、一旦、操作ノブ31がオート閉ACまたはオート開AOの位置まで回転されると、その後は操作ノブ31から手を離してノブが中立Nの位置に復帰しても、窓101の閉動作または開動作が継続して行われる。
【0024】
図4は、窓101に設けられる窓開閉機構の一例を示した図である。41は窓101を開閉する窓ガラス、42は窓開閉機構である。なお、窓ガラス41は、本発明の「開閉体」の一例である。窓ガラス41は、窓開閉機構42の作動により昇降動作を行い、窓ガラス41の上昇により窓101が閉じ、窓ガラス41の下降により窓101が開く。窓開閉機構42において、42aは窓ガラス41の下端に取り付けられた支持部材である。42bは一端が支持部材42aに係合され、他端がブラケット42dに回転可能に支持された第1アーム、42cは一端が支持部材42aに係合され、他端がガイド部材42eに係合された第2アームである。第1アーム42bと第2アーム42cとは、それぞれの中間部において軸を介して連結されている。102は前述のモータ、43はロータリエンコーダである。ロータリエンコーダ43はモータ102の回転軸に連結されており、モータ102の回転に応じたパルスを出力する。このパルスの周波数または周期を計数することにより、モータ102の回転速度を検出することができる。また、ロータリエンコーダ43の出力から、モータ102の回転量(窓ガラス41の移動量)を算出することができる。
【0025】
44はモータ102により回転駆動されるピニオン、45はピニオン44と噛合して回転する扇形のギヤである。ギヤ45は、第1アーム42bに固定されている。モータ102は正逆方向に回転可能であり、正逆方向への回転によりピニオン44およびギヤ45を回転させて、第1アーム42bを正逆方向へ回動させる。これに追随して、第2アーム42cの他端がガイド部材42eの溝に沿って横方向にスライドし、支持部材42aが上下方向に移動して窓ガラス41を昇降させ、窓101を開閉する。
【0026】
以上のようなパワーウィンドウ装置100において、操作ノブ31が図2のマニュアル閉MCまたはオート閉ACの位置にあって、マニュアル閉動作またはオート閉動作が行われる場合は、物体(異物)の挟み込みを検出する機能が備わっている。すなわち、図5に示したように、窓101が閉まる途中で窓ガラス41の隙間に物体(異物)Zが挟み込まれた場合、後述する制御部10(図6参照)により、これを検出して窓101の閉動作を開動作へ切り換えるようになっている。挟み込みの検出にあたっては、モータ102の回転速度に基づいてモータ負荷を算出し、このモータ負荷を閾値と比較して挟み込みの有無を判定する。モータ負荷は、例えば回転速度の変化量で表される。窓101に物体Zの挟み込みが発生すると、モータ102の負荷が増大して回転速度が低下するため、速度の変化量が大きくなり、この速度変化量が所定の閾値を超えたときに、物体Zが挟み込まれたと判定する。閾値は、メモリ(図示省略)にあらかじめ記憶されている。
【0027】
図6は、図1のモータ制御回路を示した回路図である。モータ制御回路104は、図6に示すように、リレー回路1および2と、スイッチ回路3および4と、水没対策用のスイッチ素子5と、水没したことを検出する検出回路6と、給電回路7と、操作ノブ31(図2参照)で受け付けた指令を出力するためのスイッチ素子群8と、入力インターフェース9と、制御部10とを含んでいる。なお、リレー回路1および2は、それぞれ、本発明の「第1のリレー回路」および「第2のリレー回路」の一例である。また、スイッチ回路3および4は、それぞれ、本発明の「第1の切替回路」および「第2の切替回路」の一例である。
【0028】
リレー回路1は、モータ102を正転方向に駆動するときに電流が流れるコイル1aと、コイル1aに電流が流れた場合にモータ102の一方端子を電源105に接続するリレー接点1bとを有する。なお、コイル1aは、本発明の「第1コイル」の一例であり、リレー接点1bは、本発明の「第1リレー接点」の一例である。
【0029】
コイル1aは、一方端がダイオード11を介して電源105に接続されるとともに、他方端がスイッチ回路3を介して接地されている。なお、ダイオード11は、逆流防止用に設けられており、カソードがコイル1aの一方端に接続され、アノードが電源105に接続されている。リレー接点1bは、モータ102の一方端子に接続された共通端子1cと、接地された常閉端子1dと、電源105に接続された常開端子1eとを有する。
【0030】
リレー回路2は、モータ102を逆転方向に駆動するときに電流が流れるコイル2aと、コイル2aに電流が流れた場合にモータ102の他方端子を電源105に接続するリレー接点2bとを有する。なお、コイル2aは、本発明の「第2コイル」の一例であり、リレー接点2bは、本発明の「第2リレー接点」の一例である。
【0031】
コイル2aは、一方端がスイッチ素子5およびダイオード11を介して電源105に接続されるとともに、他方端がスイッチ回路4を介して接地されている。リレー接点2bは、モータ102の他方端子に接続された共通端子2cと、接地された常閉端子2dと、電源105に接続された常開端子2eとを有する。
【0032】
スイッチ回路3は、制御部10の出力により、コイル1aに電流を流すか否かを制御するために設けられている。このスイッチ回路3は、npn型のトランジスタ3aと、トランジスタ3aのベース電流を調整するためのベース抵抗3bと、トランジスタ3aのベースをグランドに接続するためのプルダウン抵抗3cとを有する。
【0033】
トランジスタ3aは、コレクタがコイル1aの他方端に接続され、エミッタが接地されている。トランジスタ3aのベースは、ベース抵抗3bに接続されるとともに、プルダウン抵抗3cを介して接地されている。ベース抵抗3bは、ダイオード12を介して制御部10に接続されている。なお、ダイオード12は、逆流防止用に設けられており、アノードが制御部10に接続され、カソードがベース抵抗3bに接続されている。
【0034】
スイッチ回路4は、制御部10の出力により、コイル2aに電流を流すか否かを制御するために設けられている。このスイッチ回路4は、npn型のトランジスタ4aと、トランジスタ4aのベース電流を調整するためのベース抵抗4bと、トランジスタ4aのベースをグランドに接続するためのプルダウン抵抗4cとを有する。
【0035】
トランジスタ4aは、コレクタがコイル2aの他方端に接続され、エミッタが接地されている。トランジスタ4aのベースは、ベース抵抗4bに接続されるとともに、プルダウン抵抗4cを介して接地されている。ベース抵抗4bは、ダイオード13を介して制御部10に接続されている。なお、ダイオード13は、逆流防止用に設けられており、アノードが制御部10に接続され、カソードがベース抵抗4bに接続されている。
【0036】
スイッチ素子5は、操作ノブ31(図2参照)が「マニュアル開MO」または「オート開AO」の位置に切り替えられた場合に、リレー回路2を作動させるための電力を遮断するために設けられている。具体的には、スイッチ素子5は、後述するスイッチ素子8aと連動するように設けられており、スイッチ素子8aがオンされた場合に、コイル2aの一方端をコイル2aの他方端に短絡させるために設けられている。このスイッチ素子5は、コイル2aの一方端に接続された共通端子5aと、ダイオード11のカソードに接続された常閉端子5bと、コイル2aの他方端に接続された常開端子5cとを有する。また、スイッチ素子5は、スライドスイッチ33に設けられており、操作ノブ31(図3参照)によりスイッチ素子8aと機械的に連動してオン/オフ状態が切り替えられる。
【0037】
検出回路6は、水没時の水漏れを検出した場合にコイル2aおよび2bに電流を流すために設けられており、水漏れ検知素子6aとスイッチ回路6bとを含む。水漏れ検知素子6aは、一方電極が接地されるとともに、他方電極がスイッチ回路6bに接続されている。
【0038】
スイッチ回路6bは、pnp型のトランジスタ6cと、トランジスタ6cのベース電流を調整するためのベース抵抗6dと、トランジスタ6cのベースをダイオード11を介して電源105に接続するためのプルアップ抵抗6eとを有する。
【0039】
トランジスタ6cは、エミッタがダイオード11を介して電源105に接続されている。トランジスタ6cのベースは、ベース抵抗6dに接続されるとともに、プルアップ抵抗6eを介して電源105に接続されている。ベース抵抗6dは、水漏れ検知素子6aの他方電極に接続されている。
【0040】
トランジスタ6cのコレクタは、ダイオード14を介してスイッチ回路3に接続されるとともに、ダイオード15を介してスイッチ回路4に接続されている。なお、ダイオード14は、逆流防止用に設けられており、アノードがトランジスタ6cのコレクタに接続され、カソードがベース抵抗3bに接続されている。また、ダイオード15は、逆流防止用に設けられており、アノードがトランジスタ6cのコレクタに接続され、カソードがベース抵抗4bに接続されている。
【0041】
給電回路7は、検出回路6により水没したことを検出していない場合に、リレー回路2を作動させるための電力を供給するように構成されている。この給電回路7は、電源105が直接グランドに接続されるのを防止するための抵抗器7aと、逆流防止用のダイオード7bと、スイッチ回路7cとを含んでいる。
【0042】
抵抗器7aは、一方端がダイオード11を介して電源105に接続されるとともに、他方端がダイオード7bのアノードに接続されている。ダイオード7bのカソードは、コイル2aの一方端に接続されている。抵抗器7aの他方端とダイオード7bのアノードとの接続点には、スイッチ回路7cが接続されている。
【0043】
スイッチ回路7cは、検出回路6により水没したことを検出した場合に、抵抗器7aの他方端とダイオード7bのアノードとの接続点をグランドに接続するために設けられている。このスイッチ回路7cは、npn型のトランジスタ7dと、トランジスタ7dのベース電流を調整するためのベース抵抗7eと、トランジスタ7dのベースをグランドに接続するためのプルダウン抵抗7fとを有する。
【0044】
トランジスタ7dは、コレクタが抵抗器7aの他方端とダイオード7bのアノードとの接続点に接続され、エミッタが接地されている。トランジスタ7dのベースは、ベース抵抗7eに接続されるとともに、プルダウン抵抗7fを介して接地されている。ベース抵抗7eは、検出回路6のトランジスタ6cのコレクタに接続されている。
【0045】
スイッチ素子群8は、窓101を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8aと、窓101を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8bと、窓101をオートで動作させる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子8cとを有する。また、スイッチ素子8a、8b、および8cは、スライドスイッチ33に設けられており、操作ノブ31(図3参照)により機械的にオン/オフ状態が切り替えられる。
【0046】
したがって、運転手により操作ノブ31(図2参照)が「オート閉AC」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8bおよび8cがオンする。また、運転手により操作ノブ31が「マニュアル閉MC」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8bのみがオンする。また、運転手により操作ノブ31が「マニュアル開MO」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8aのみがオンする。また、運転手により操作ノブ31が「オート開AO」の位置に切り替えられた場合には、スイッチ素子8aおよび8cがオンする。そして、スイッチ素子8a〜8cの出力が入力インターフェース9を介して制御部10に入力される。
【0047】
ここで、運転手により操作ノブ31が「中立N」以外の位置に切り替えられた後、運転手が指を離すと操作ノブ31が「中立N」の位置に戻るが、このとき、操作ノブ31が機械的に振動する。そして、この振動に起因してスイッチ素子8aと連動するスイッチ素子5が振動(チャタリング)する場合がある。
【0048】
なお、入力インターフェース9には、スイッチ素子群16〜18の出力も入力されている。スイッチ素子群16は、助手席の窓を操作するための操作ノブ(図示省略)で受け付けた指令を出力するために設けられている。このスイッチ素子群16は、助手席の窓(図示省略)を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、助手席の窓を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、助手席の窓をオートで動作させる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子とを有する。なお、スイッチ素子群16を構成する操作スイッチ103は、図3のようなスイッチ素子5と連動する構造にはなっていない。スイッチ素子群17、18を構成する操作スイッチ103についても同様である。
【0049】
また、スイッチ素子群17は、左側の後部座席の窓を操作するための操作ノブ(図示省略)で受け付けた指令を出力するために設けられている。このスイッチ素子群17は、左側の後部座席の窓(図示省略)を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、左側の後部座席の窓を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子とを有する。
【0050】
また、スイッチ素子群18は、右側の後部座席の窓を操作するための操作ノブ(図示省略)で受け付けた指令を出力するために設けられている。このスイッチ素子群18は、右側の後部座席の窓(図示省略)を開く指令を受けた場合にオンするスイッチ素子と、右側の後部座席の窓を閉じる指令を受けた場合にオンするスイッチ素子とを有する。
【0051】
制御部10は、入力インターフェース9からの入力に応じて、スイッチ回路3のトランジスタ3aおよびスイッチ回路4のトランジスタ4aのオン/オフ状態を制御する。また、制御部10は、図5に示すように、窓101を閉じているときに、物体(異物)Zの挟み込みを検出した場合に、窓101を閉じる動作を中止して窓101を開くように構成されている。具体的には、制御部10は、モータ102の回転方向を逆転方向から正転方向に反転させるように、トランジスタ3aおよび4aを制御する。なお、制御部10は、本発明の「挟み込み検出手段」の一例である。
【0052】
図7〜図15は、本発明の一実施形態によるパワーウィンドウ装置のモータ制御回路の動作を説明するための回路図である。次に、図7〜図15を参照して、本実施形態によるパワーウィンドウ装置100の動作について説明する。なお、以下の動作説明では、水漏れの有無およびチャタリングの有無を場合分けして、各場合のオート閉操作およびオート開操作について説明する。
【0053】
(水漏れ無し、チャタリング無し、オート閉操作)
この場合には、図7に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このため、制御部10によりトランジスタ4aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ4aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、スイッチ素子5、コイル2a、トランジスタ4aの順に電流が流れる。このとき、コイル2aに電流が流れることから、リレー接点2bが作動して、共通端子2cと常開端子2eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点2b、モータ102、リレー接点1bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはA方向に電流が流れることから、モータ102が逆転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が閉じる方向に駆動される。
【0054】
(水漏れ無し、チャタリング無し、オート開操作)
この場合には、図8に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このとき、スイッチ素子5がスイッチ素子8aと連動することにより、共通端子5aと常開端子5cとが接続される。そして、制御部10によりトランジスタ3aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ3aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れる。このとき、コイル1aに電流が流れることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0055】
(水漏れ無し、チャタリング有り、オート閉操作)
本発明が意義をもつのはこの場合である。この場合には、図9に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このとき、操作ノブ31(図3参照)の操作に起因してスイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。このため、電源105からスイッチ素子5を介してコイル2aへ流れる電流が一時的に断たれる。しかし、制御部10によりトランジスタ4aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ4aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、抵抗器7a、ダイオード7b、コイル2a、トランジスタ4aの順に電流が流れる。すなわち、給電回路7からコイル2aへ電力が供給され、コイル2aに電流が流れることから、リレー接点2bが作動して、共通端子2cと常開端子2eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点2b、モータ102、リレー接点1bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはA方向に電流が流れることから、モータ102が逆転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が閉じる方向に駆動される。このようにして、スイッチ素子5がチャタリングした場合でも、給電回路7によってリレー回路2を作動させるための電力が供給されるので、モータ102は一時的に停止せずに逆転方向への回転を継続することができ、これによって挟み込みの誤判定を防止することができる。
【0056】
(水漏れ無し、チャタリング有り、オート開操作)
この場合には、図10に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このとき、スイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。しかし、モータ制御回路104の動作は、図8の場合と同じである。すなわち、制御部10によりトランジスタ3aのベースに電圧が印加されることによって、トランジスタ3aがオンされる。これにより、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れる。このとき、コイル1aに電流が流れることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続される。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0057】
(水漏れ有り、操作前)
この場合には、図11に示すように、水漏れ検知素子6aの一方電極と他方電極とが水Wにより導通する。このため、トランジスタ6cのベースに印加される電圧が低下するので、トランジスタ6cがオンされる。したがって、電源105によりトランジスタ3a、4a、および7dのベースに電圧が印加されるので、トランジスタ3a、4a、および7dがオンされる。
【0058】
このとき、電源105からダイオード11、スイッチ素子5、コイル2a、トランジスタ4aの順に電流が流れる。そして、コイル2aに電流が流れることから、リレー接点2bが作動して、共通端子2cと常開端子2eとが接続される。また、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れる。このとき、コイル1aに電流が流れることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続される。これにより、モータ102の両端の電位が同電位になることから、モータ102は駆動されない。
【0059】
また、トランジスタ7dがオンすることにより、電源105からダイオード11、抵抗器7a、トランジスタ7dの順に電流が流れる。これにより、給電回路7からコイル2aに電流が流れないようになる。
【0060】
(水漏れ有り、チャタリング無し、オート閉操作)
この場合には、図12に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ4aのベースに電圧が印加される。しかし、モータ制御回路104は図11の状態から変化はなく、モータ102は駆動されない。なお、この場合は、閉操作を行ったにもかかわらず窓101が閉じないことになるが、通常時と異なり水没時であるため、窓101が閉じなくても問題はない。
【0061】
(水漏れ有り、チャタリング無し、オート開操作)
この場合には、図13に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ3aのベースに電圧が印加される。そして、スイッチ素子5がスイッチ素子8aと連動することにより、共通端子5aと常開端子5cとが接続される。これにより、電源105に接続されていたコイル2aの一方端がコイル2aの他方端に接続され、コイル2aの両端が短絡されるので、コイル2aには電流が流れない。したがって、リレー接点2bは作動せず、共通端子2cと常閉端子2dとが接続される。
【0062】
一方、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れている。このとき、コイル1aに電流が流れていることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続されている。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0063】
(水漏れ有り、チャタリング有り、オート閉操作)
この場合には、図14に示すように、スイッチ素子8bおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ4aのベースに電圧が印加される。このとき、スイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。これにより、電源105とコイル2aの一方端とが切断された状態になるので、コイル2aには電流が流れない。したがって、リレー接点2bは作動せず、共通端子2cと常閉端子2dとが接続される。
【0064】
一方、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れている。このとき、コイル1aに電流が流れていることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続されている。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。なお、この場合は、閉操作を行ったにもかかわらず窓101が開くことになるが、通常時と異なり水没時であるため、窓101が開いても問題はない。
【0065】
(水漏れ有り、チャタリング有り、オート開操作)
この場合には、図15に示すように、スイッチ素子8aおよび8cがオンされる。このため、制御部10によってもトランジスタ3aのベースに電圧が印加される。このとき、スイッチ素子5がチャタリングすることにより、共通端子5aが常閉端子5bおよび常開端子5cと離れる。その後のモータ制御回路104の動作は図14の場合と同じである。すなわち、電源105とコイル2aの一方端とが切断された状態になるので、コイル2aには電流が流れない。したがって、リレー接点2bは作動せず、共通端子2cと常閉端子2dとが接続される。
【0066】
一方、電源105からダイオード11、コイル1a、トランジスタ3aの順に電流が流れている。このとき、コイル1aに電流が流れていることから、リレー接点1bが作動して、共通端子1cと常開端子1eとが接続されている。これにより、電源105からリレー接点1b、モータ102、リレー接点2bの順に電流が流れる。このとき、モータ102にはB方向に電流が流れることから、モータ102が正転方向に駆動される。その結果、窓ガラス41(図4参照)が開く方向に駆動される。
【0067】
本実施形態では、図9で説明したように、給電回路7を設けることによって、水漏れ無し時に、オート閉操作によりスイッチ素子5がチャタリングした場合にも、給電回路7によりコイル2aに電流を流すことができるので、モータ102の逆転方向への駆動を継続することができる。したがって、チャタリングに起因してモータ102の回転が一時的に停止するのを防止することができるので、スイッチ素子5がチャタリングした場合にも、制御部10により挟み込みが発生したと判断されるのを防止することができる。すなわち、モータ102が正転して窓101が開いてしまうという不具合が発生しなくなる。
【0068】
また、本実施形態では、スイッチ素子5を設けることによって、オート開操作時にスイッチ素子8aがオンされた場合にコイル2aの両端を短絡させることができる。それによって、水漏れ時に窓101を開くことができなくなるのを防止することができる(図13)。
【0069】
また、本実施形態では、給電回路7にスイッチ回路7cを設けることによって、水漏れ時に給電回路7からコイル2aに電流が流れないようになる。それによって、水漏れ時にオート開操作が行われた際にスイッチ素子5がチャタリングした場合にも、窓101を開くことができる(図15)。
【0070】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、車両の運転席に設けられたパワーウィンドウ装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、車両の助手席や後部座席に設けられたパワーウィンドウ装置に本発明を適用してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、操作ノブ31により、スイッチ素子5および8aが機械的に連動する例を示したが、これに限らず、たとえば、スイッチ素子8aのオン/オフ状態が制御部10に入力され、その入力結果に基づいて、制御部10がスイッチ素子5のオン/オフ状態を制御することにより、スイッチ素子5および8aが電気的に連動するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、制御部10により、挟み込みの検出を行う例を示したが、これに限らず、制御部10とは別に挟み込み検出部(図示省略)を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態によるパワーウィンドウ装置の構成を示したブロック図である。
【図2】図1の操作スイッチの概略を示した側面図である。
【図3】図1の操作スイッチの概略を示した斜視図である。
【図4】図1の窓に設けられる窓開閉機構を示した図である。
【図5】図1の窓に物体が挟み込まれた状態を示した図である。
【図6】図1のモータ制御回路を示した回路図である。
【図7】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング無し」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図8】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング無し」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【図9】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング有り」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図10】図6のモータ制御回路の「水漏れ無し、チャタリング有り」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【図11】図6のモータ制御回路の水漏れ有り時の操作前の状態を説明するための回路図である。
【図12】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング無し」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図13】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング無し」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【図14】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング有り」時のオート閉操作を説明するための回路図である。
【図15】図6のモータ制御回路の「水漏れ有り、チャタリング有り」時のオート開操作を説明するための回路図である。
【符号の説明】
【0074】
1 リレー回路(第1のリレー回路)
1a コイル(第1コイル)
1b リレー接点(第1リレー接点)
2 リレー回路(第2のリレー回路)
2a コイル(第2コイル)
2b リレー接点(第2リレー接点)
3 スイッチ回路(第1の切替回路)
4 スイッチ回路(第2の切替回路)
5 スイッチ素子
6 検出回路
7 給電回路
7a 抵抗器
7b ダイオード
7d トランジスタ
10 制御部(挟み込み検出手段)
31 操作ノブ(操作部)
41 窓ガラス(開閉体)
100 パワーウィンドウ装置
101 窓
104 モータ制御回路
105 電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部から入力される正転指令または逆転指令に応じて、モータを正転方向または逆転方向に駆動し、前記モータの正転方向または逆転方向への駆動により開閉体を開方向または閉方向に駆動させるための制御部と、
前記開閉体が閉方向駆動中に異物を挟み込んだことを検出する挟み込み検出手段とを備え、
挟み込みが発生した場合に、前記挟み込み検出手段からの出力を受けて、前記制御部が前記モータの逆転方向への駆動を停止するモータ制御回路において、
前記モータを正転方向に駆動するときに、前記モータの一方端子を電源に接続するための第1のリレー回路と、
前記モータを逆転方向に駆動するときに、前記モータの他方端子を電源に接続するための第2のリレー回路と、
前記操作部から前記制御部に正転指令が入力された場合に、前記第2のリレー回路を作動させるための電源との接続を切断するスイッチ素子と、
水没したことを検出した場合に前記モータの逆転方向への駆動を防止するための検出回路と、
前記検出回路により水没したことを検出していない状態で、前記モータを逆転方向に駆動する場合において、前記スイッチ素子により前記第2のリレー回路を作動させるための電源との接続が切断された際に、前記第2のリレー回路を作動させるための電源と前記第2のリレー回路とを導通させる給電回路と、
をさらに備えることを特徴とするモータ制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御回路において、
前記第1のリレー回路は、前記モータが正転方向に駆動されるときに電流が流れる第1コイルと、前記第1コイルに電流が流れた場合に前記モータの一方端子を電源に接続する第1リレー接点と、を含み、
前記第2のリレー回路は、前記モータが逆転方向に駆動されるときに電流が流れる第2コイルと、前記第2コイルに電流が流れた場合に前記モータの他方端子を電源に接続する第2リレー接点と、を含み、
前記スイッチ素子は、前記操作部から正転指令が入力された場合に、前記第2コイルの一方端を前記第2コイルの他方端に短絡させるように構成されている、ことを特徴とするモータ制御回路。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ制御回路において、
前記給電回路は、
電源に接続された抵抗器と、
前記抵抗器と前記第2コイルの一方端との間に接続されたダイオードと、
前記検出回路により水没したことを検出した場合に、前記抵抗器と前記ダイオードとの接続点を接地するためのトランジスタと、
を含むことを特徴とするモータ制御回路。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のモータ制御回路において、
前記第1コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第1の切替回路と、
前記第2コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第2の切替回路と、をさらに備え、
前記検出回路により水没したことが検出されていない場合に、前記第1の切替回路および前記第2の切替回路は、前記制御部からの制御によって前記第1コイルおよび前記第2コイルに電流を流すか否かを切り替え、
前記検出回路により水没したことが検出された場合に、前記検出回路は前記第1の切替回路および前記第2の切替回路に電源を接続し、前記第1の切替回路および前記第2の切替回路は前記第1コイルおよび前記第2コイルに電流を流すように構成されている、ことを特徴とするモータ制御回路。
【請求項5】
窓に設けられた開閉体と、
前記開閉体を駆動するモータと、
前記モータに電力を供給する電源と、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のモータ制御回路と、
を備えることを特徴とするパワーウィンドウ装置。
【請求項1】
操作部から入力される正転指令または逆転指令に応じて、モータを正転方向または逆転方向に駆動し、前記モータの正転方向または逆転方向への駆動により開閉体を開方向または閉方向に駆動させるための制御部と、
前記開閉体が閉方向駆動中に異物を挟み込んだことを検出する挟み込み検出手段とを備え、
挟み込みが発生した場合に、前記挟み込み検出手段からの出力を受けて、前記制御部が前記モータの逆転方向への駆動を停止するモータ制御回路において、
前記モータを正転方向に駆動するときに、前記モータの一方端子を電源に接続するための第1のリレー回路と、
前記モータを逆転方向に駆動するときに、前記モータの他方端子を電源に接続するための第2のリレー回路と、
前記操作部から前記制御部に正転指令が入力された場合に、前記第2のリレー回路を作動させるための電源との接続を切断するスイッチ素子と、
水没したことを検出した場合に前記モータの逆転方向への駆動を防止するための検出回路と、
前記検出回路により水没したことを検出していない状態で、前記モータを逆転方向に駆動する場合において、前記スイッチ素子により前記第2のリレー回路を作動させるための電源との接続が切断された際に、前記第2のリレー回路を作動させるための電源と前記第2のリレー回路とを導通させる給電回路と、
をさらに備えることを特徴とするモータ制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御回路において、
前記第1のリレー回路は、前記モータが正転方向に駆動されるときに電流が流れる第1コイルと、前記第1コイルに電流が流れた場合に前記モータの一方端子を電源に接続する第1リレー接点と、を含み、
前記第2のリレー回路は、前記モータが逆転方向に駆動されるときに電流が流れる第2コイルと、前記第2コイルに電流が流れた場合に前記モータの他方端子を電源に接続する第2リレー接点と、を含み、
前記スイッチ素子は、前記操作部から正転指令が入力された場合に、前記第2コイルの一方端を前記第2コイルの他方端に短絡させるように構成されている、ことを特徴とするモータ制御回路。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ制御回路において、
前記給電回路は、
電源に接続された抵抗器と、
前記抵抗器と前記第2コイルの一方端との間に接続されたダイオードと、
前記検出回路により水没したことを検出した場合に、前記抵抗器と前記ダイオードとの接続点を接地するためのトランジスタと、
を含むことを特徴とするモータ制御回路。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のモータ制御回路において、
前記第1コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第1の切替回路と、
前記第2コイルに電流を流すか否かを切り替えるための第2の切替回路と、をさらに備え、
前記検出回路により水没したことが検出されていない場合に、前記第1の切替回路および前記第2の切替回路は、前記制御部からの制御によって前記第1コイルおよび前記第2コイルに電流を流すか否かを切り替え、
前記検出回路により水没したことが検出された場合に、前記検出回路は前記第1の切替回路および前記第2の切替回路に電源を接続し、前記第1の切替回路および前記第2の切替回路は前記第1コイルおよび前記第2コイルに電流を流すように構成されている、ことを特徴とするモータ制御回路。
【請求項5】
窓に設けられた開閉体と、
前記開閉体を駆動するモータと、
前記モータに電力を供給する電源と、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のモータ制御回路と、
を備えることを特徴とするパワーウィンドウ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−90569(P2010−90569A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259872(P2008−259872)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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