説明

モータ組立体およびポンプ装置

【課題】インバータ、特にパワースイッチング素子を効率よく冷却することができるモータ組立体を提供する。
【解決手段】モータ組立体2は、ポンプ1に連結されるモータ5と、モータ5の側部に固定され、冷却フィン18を有するインバータ6と、インバータ6の内部に配置され、インバータ6の内部の気体を攪拌するファン機構4と、モータ5の回転軸に取り付けられ、モータ5の反ポンプ側に配置された冷却ファン8と、モータ5の少なくとも一部と冷却ファン8とを覆い、モータ5と隙間を介して配置されたカバー7と、モータ5とカバー7との間の隙間に配置された少なくとも1つのガイド部材21とを備える。ガイド部材21は、冷却ファン8からの気体をインバータ6の冷却フィン18に導く形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ組立体およびポンプ装置に関し、特にインバータおよび/またはモータを冷却するための冷却構造を有するモータ組立体およびポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポンプを駆動する駆動源としては、モータが広く採用されている。最近では、モータにインバータを取り付けた一体型のモータ組立体が主流となりつつある。インバータは、パワースイッチング素子(例えば、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)、パワーMOS FETなど)を備えており、このパワースイッチング素子により、モータの入力電源を変化させ、モータを可変速運転することができる。
【0003】
このようなモータ組立体を駆動している間、インバータおよびモータは熱を発生する。特に、インバータのパワースイッチング素子は、小さな表面積であるにもかかわらず高熱を発生するため、高温となってしまう。しかも、インバータは多くの電子デバイスを備えているため、モータに比べて耐熱温度が低い。したがって、モータのみならず、インバータを効率よく冷却することがモータ組立体にとって重要とされている。
【0004】
最近では、ポンプを高速で回転させることで、ポンプの小型化を実現しつつ吐出し量を増大することができるポンプ装置が開発されている。このようなタイプのポンプ装置では、モータが高速で回転するため、モータの騒音を低減させることが従来にも増して要請されている。さらに、運転中は、モータの回転軸に連結される冷却ファンからもかなりの騒音が発生する。
【0005】
ポンプ装置はさまざまな場所で使用され、屋外に設置される場合もある。このような場合、インバータが雨にさらされて、インバータが故障するおそれがある。また、インバータが直射日光にさらされると、インバータが高温となってしまい、故障してしまうおそれがある。特に、インバータのパワースイッチング素子は熱を発生するため、インバータの温度がその耐熱温度を超えてしまうこともあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−109872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、インバータ、特にパワースイッチング素子を効率よく冷却することができるモータ組立体および該モータ組立体を備えたポンプ装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、騒音を低減させることができるポンプ装置を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、モータを効率よく冷却することができるポンプ装置を提供することを第3の目的とする。
また、本発明は、インバータを直射日光や雨から防ぐ保護構造を有するモータ組立体および該モータ組立体を備えたポンプ装置を提供することを第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した第1の目的を達成するための本発明の一態様は、ポンプに連結されるモータと、前記モータの側部に固定され、冷却フィンを有するインバータと、前記インバータの内部に配置され、前記インバータの内部の気体を攪拌するファン機構と、前記モータの回転軸に取り付けられ、前記モータの反ポンプ側に配置された冷却ファンと、前記モータの少なくとも一部と前記冷却ファンとを覆い、前記モータと隙間を介して配置されたカバーと、前記モータと前記カバーとの間の隙間に配置された少なくとも1つのガイド部材とを備え、前記ガイド部材は、前記冷却ファンからの気体を前記インバータの冷却フィンに導く形状を有していることを特徴とするモータ組立体である。
【0009】
上述した本発明によれば、冷却ファンからの気体(通常は空気)がガイド部材に導かれてインバータの冷却フィンに集中的に当たる。さらに気流の流速が速まることで熱伝達が向上する。したがって、インバータを効率よく冷却することができる。さらに、インバータ内の気体がファン機構によってされるので、インバータ内の局所的な温度上昇、具体的にはパワースイッチング素子の温度上昇を防止することができる。
【0010】
上述した第2の目的を達成するための本発明の一態様は、ポンプと、前記ポンプに連結されたモータと、前記モータの回転軸に取り付けられ、前記モータの反ポンプ側に配置された冷却ファンと、前記モータ、前記冷却ファン、および前記ポンプを覆うカバーと、前記カバーの内面に取り付けられた吸音材または制振材とを備えたことを特徴とするポンプ装置である。
【0011】
本発明によれば、カバーの内面に取り付けられた吸音材または制振材により、モータおよび冷却ファンから発生する騒音を低減させることができる。
【0012】
上述した第3の目的を達成するための本発明の一態様は、上記ポンプ装置の運転方法であって、前記ポンプ装置の周囲の気温が、前記ポンプ装置によって移送される液体の温度よりも低い場合には、第1の軸流ファンを用いて前記モータから前記ポンプに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成し、前記ポンプ装置の周囲の気温が前記液体の温度よりも高い場合には、第2の軸流ファンを用いて前記ポンプから前記モータに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成することを特徴とする。
本発明によれば、カバー内に形成される気体の流れによってモータを冷却することができる。
【0013】
上述した第3の目的を達成するための本発明の他の態様は、上記ポンプ装置の運転方法であって、前記ポンプ装置の周囲の気温が、前記ポンプ装置によって移送される液体の温度よりも低い場合には、前記冷却ファンにより前記モータから前記ポンプに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成し、前記ポンプ装置の周囲の気温が前記液体の温度よりも高い場合には、前記冷却ファンにより前記ポンプから前記モータに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成することを特徴とする。
本発明によれば、カバー内に形成される気体の流れによってモータを冷却することができる。
【0014】
上述した第4の目的を達成するための本発明の一態様は、ポンプに連結されるモータと、インバータと、前記インバータの内部に配置され、前記インバータの内部の気体を攪拌するファン機構と、前記モータの回転軸に取り付けられた冷却ファンと、前記モータの側面を覆うモータカバーと、少なくとも前記インバータを覆う遮熱カバーとを備え、前記モータカバーは、その反ポンプ側端部に形成された第1の開口部と、ポンプ側端部に形成された第2の開口部とを有しており、前記遮熱カバーの壁にはルーバーが設けられていることを特徴とするモータ組立体である。
【0015】
本発明によれば、遮熱カバーで直射日光や雨を遮りつつ、ルーバーにより遮熱カバーの内部空間の風通しを良好に保つことができる。したがって、インバータの温度上昇や故障を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明の第1の態様によれば、インバータ、特にパワースイッチング素子を効率よく冷却することができるモータ組立体及びポンプ装置を提供することができる。
上述した本発明の第2の態様によれば、騒音を低減させることができるポンプ装置を提供することができる。
上述した本発明の第3の態様によれば、モータを効率よく冷却することができるポンプ装置を提供することができる。
上述した本発明の第4の態様によれば、屋外での使用に耐えうるモータ組立体及びポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図2】図2(a)はモータ組立体を示す上面図であり、図2(b)はモータ組立体2を示す側面図であり、図2(c)は図2(b)に示すモータを矢印Aの方向から見た図である。
【図3】図3(a)はインバータの上面図であり、図3(b)はインバータの裏面図であり、図3(c)はインバータの断面図である。
【図4】図4(a)はカバーを下から見た図であり、図4(b)は図4(a)のカバーを矢印Bの方向から見た図であり、図4(c)は図4(a)のC−C線断面図である。
【図5】冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。
【図6】図6(a)および図6(b)は、複数のガイド部材を設けた例を示す図である。
【図7】図7(a)はモータにガイド部材を設けた例を示す平面図であり、図7(b)は図7(a)に示すモータの側面図である。
【図8】複数のガイド部材をモータの外面に設けた例を示す図である。
【図9】図9(a)は、カバーの内面に吸音材または制振材を取り付けた例を示す断面図であり、図9(b)は図9(a)のD−D線断面図である。
【図10】図10(a)は本発明の他の実施形態に係るモータ組立体のインバータを示す上面図であり、図10(b)は上記インバータの裏面図であり、図10(c)は上記インバータの断面図であり、図10(d)はモータ組立体の上面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図12】図12(a)は図11に示すインバータの上面図であり、図12(b)は上記インバータの裏面図であり、図12(c)は上記インバータの断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図14】図14(a)はモータと冷却ファンとファンカバーとの位置関係を示す断面図であり、図14(b)は図14(a)に示すファンカバーの下面図であり、図14(c)は冷却ファンとファンカバーとの位置関係を示す平面図である。
【図15】第1の冷却ファンおよび第2の冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明する図である。
【図16】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図17】図17(a)は図16に示すモータ組立体を示す側面図であり、図17(b)はカバーの上面図であり、図17(c)は図17(a)に示すカバーのE−E線断面図である。
【図18】図18(a)は、モータからポンプに向かう気体の流れを示す図であり、図18(b)は、ポンプからモータに向かう気体の流れを示す図である。
【図19】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図20】図20(a)はカバーの上面図であり、図20(b)はカバーの縦断面図であり、図20(c)は図20(b)のF−F線断面図である。
【図21】図21(a)はモータとインバータとの配置関係を説明するための上面図であり、図21(b)は図21(a)に示すモータを矢印Gの方向から見たときの、インバータが無い状態を示す図である。
【図22】図22(a)はインバータの上面図であり、図22(b)はインバータの裏面図であり、図22(c)はインバータの断面図である。
【図23】図23(a)は冷却ジャケットを模式的に示す平面図であり、図23(b)はモータ組立体の上面図である。
【図24】冷却ジャケットの変形例を示す平面図である。
【図25】熱交換器としての冷却パイプを示す平面図である。
【図26】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図27】図27(a)は図26に示すカバーを下から見た図であり、図27(b)は図27(a)のカバーを矢印Hから見た図であり、図27(c)は図27(a)のI−I線断面図である。
【図28】冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。
【図29】図29(a)は、カバーの内面に吸音材または制振材を取り付けた例を示す図であり、図29(b)は図29(a)のJ−J線断面図である。
【図30】図30(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図であり、図30(b)は図30(a)のポンプ装置の部分断面図である。
【図31】図31(a)はモータ組立体を示す上面図であり、図31(b)はモータ組立体を示す側面図であり、図31(c)は、図31(b)に示すモータ組立体を矢印Kの方向から見たときの、インバータが無い状態を示す図である。
【図32】図32(a)はインバータの裏面図であり、図32(b)はインバータの下面図であり、図32(c)はインバータの断面図である。
【図33】図33(a)はモータカバーの側面図であり、図33(b)は図33(a)のモータカバーを矢印Lの方向から見た図であり、図33(c)は図33(a)の下面図である。
【図34】図34(a)はファンカバーの上面図であり、図34(b)はファンカバーの縦断面図であり、図34(c)は図34(b)のM−M線断面図である。
【図35】図35(a)はモータと冷却ファンとファンカバーとの位置関係を示す断面図であり、図35(b)は図35(a)に示すファンカバーの下面図であり、図35(c)は冷却ファンとファンカバーとの位置関係を示す平面図である。
【図36】冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明する図である。
【図37】図37(a)はモータカバーの内面に吸音材または制振材を取り付けた例を示す側面であり、図37(b)は図37(a)のN−N線断面図である。
【図38】図38(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図であり、図38(b)は図38(a)のポンプ装置の部分断面図である。
【図39】図39(a)はモータ組立体を示す上面図であり、図39(b)はモータ組立体を示す側面図であり、図39(c)は、図39(b)に示すモータ組立体を矢印Oの方向から見たときの、インバータが無い状態を示す図である。
【図40】図40(a)はモータカバーの側面図であり、図40(b)は図40(a)のモータカバーを矢印P方向から見た図であり、図40(c)は図40(a)の下面図である。
【図41】冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。
【図42】複数のガイド部材が設けられたモータを示す側面図である。
【図43】図43(a)は本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体のインバータを示す裏面図であり、図43(b)は上記インバータの下面図であり、図43(c)は上記インバータの断面図であり、図43(d)はモータ組立体の下面図である。
【図44】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図45】図45(a)は図44に示すインバータの裏面図であり、図45(b)は上記インバータの下面図であり、図45(c)は上記インバータの断面図である。
【図46】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。
【図47】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図である。
【図48】図48(a)はモータ組立体を示す上面図であり、図48(b)はモータ組立体を示す側面図である。図48(c)は図48(b)に示すモータおよび遮熱カバーを矢印Qの方向から見た図である。
【図49】図49(a)はモータカバー7をから見た図であり、図49(b)は図49(a)のモータカバー7を矢印Rの方向から見た図であり、図49(c)は図49(a)のS−S線断面図である。
【図50】図47に示すポンプ装置に、図11および図12(a)乃至図12(c)に示す冷却ジャケットを組み込んだ例を示す図である。
【図51】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図である。
【図52】図52(a)は、図51に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。図52(b)は、インバータの冷却フィンと空気取り入れ孔との位置関係を示す平面図である。
【図53】図53(a)および図53(b)は、冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。
【図54】図54(a)および図54(b)は、上記実施形態のモータ組立体の変形例を示す部分拡大図である。
【図55】図55(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図であり、図55(b)は図55(a)に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。
【図56】図56(a)および図56(b)は、冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。
【図57】図57(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図であり、図57(b)は図57(a)に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。
【図58】図58(a)および図58(b)は、冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。
【図59】図59(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図であり、図59(b)は図59(a)に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。
【図60】図60(a)は、上記実施形態の変形例を示す縦断面図であり、図60(b)は図60(a)に示す冷却フィンと第1の開口部との位置関係を示す平面図である。
【図61】本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図である。
【図62】図62(a)および図62(b)は図61に示すモータ組立体の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。なお、以下に説明する実施形態において、同一または対応する要素には同一の符合を付し、その重複する説明を省略する。
【0019】
ポンプ装置は、液体を移送するポンプ1と、このポンプ1を駆動するモータ組立体2とを備えている。モータ組立体2は、ポンプ1に連結されたモータ5と、モータ5の回転速度を制御するインバータ6と、モータ5の一部を覆うカバー7とを備えている。カバー7は図示しない支持部材によってモータ5に固定されている。モータ5には、ロータに永久磁石を用いた同期電動機が用いられている。このタイプのモータ(Permanent Magnet motor)は、一般的なモータよりも効率がよく、したがって発熱が低いという特徴を持っている。しかしながら、他のタイプのモータを用いてもよいことはいうまでもない。
【0020】
ポンプ1はモータ組立体2により駆動され、液体を吸込口1aから吸込み、加圧し、そして吐出口1bから吐出する。ポンプ1の例としては多段式遠心ポンプが挙げられるが、他の型式のポンプを用いることもできる。
【0021】
図2(a)はモータ組立体2を示す上面図であり、図2(b)はモータ組立体2を示す側面図であり、図2(c)は図2(b)に示すモータ5を矢印Aの方向から見た図である。なお、図2(a)および図2(b)では、説明のためにカバー7を想像線で示している。モータ5の反ポンプ側には冷却ファン8が配置されており、この冷却ファン8は、モータ5の回転軸10に取り付けられている。したがって、冷却ファン8はモータ5の回転軸10と一体的に回転するようになっている。
【0022】
インバータ6は、モータ側ブラケット11およびインバータ側ブラケット12を介してモータ5の側部に固定されている。より詳しくは、モータ側ブラケット11はモータ5の側部に形成され、インバータ側ブラケット12はインバータ6の底部に形成されている。これらモータ側ブラケット11およびインバータ側ブラケット12は図示しないボルトによって互いに連結されるようになっており、これによりインバータ6がモータ5に一体に取り付けられる。モータ側ブラケット11には、インバータ6からモータ5に延びる電力線が通る貫通孔が形成されている。インバータ側ブラケット12にも、モータ側ブラケット11の貫通孔に接続される貫通孔が形成されている。
【0023】
カバー7は、冷却ファン8とモータ5の上半分を覆う形状を有しており、モータ5の外面とカバー7の内面との間には隙間が形成されている。カバー7に覆われていないモータ5の側面には、複数の冷却フィン13が形成されている。カバー7の上部には空気取り入れ孔(後述する)が形成されており、冷却ファン8を回転させることによって空気の流れがカバー7とモータ5との間の隙間に形成されるようになっている。
【0024】
図3(a)はインバータ6の上面図であり、図3(b)はインバータ6の裏面図であり、図3(c)はインバータ6の断面図である。インバータ6は、パワースイッチング素子15と、このパワースイッチング素子15の動作を制御する制御基板16と、パワースイッチング素子15および制御基板16を収容するボックス17とを備えている。パワースイッチング素子15は、ボックス17の底部の内面に接触した状態でボックス17に固定されている。インバータ6の底部はモータ5に対向しており、その底部の外面全体には冷却フィン18が設けられている。これら冷却フィン18はモータ5の側面に近接し、またモータ5の冷却フィン13に隣接している。
【0025】
図3(c)に示すように、インバータ6の内部には、インバータ6の内部の空気を攪拌するためのファン機構4が配置されている。このファン機構4は、パワースイッチング素子15に近接して配置されている。ファン機構4は、ファン4Aと、このファン4Aを回転させるモータ4Bとを有している。一般に、パワースイッチング素子15は制御基板16よりも多くの熱を発するため、インバータ6の内部には温度勾配が形成される。ファン機構4は、このような温度勾配をなくしてインバータ6の内部の温度を均一にするために設けられている。すなわち、パワースイッチング素子15を取囲む高温の空気はファン機構4によって強制的に移動させられる。その結果、インバータ6内の局所的な温度上昇、すなわちパワースイッチング素子15の温度上昇を抑制することができる。なお、ファン機構4の設置位置は、インバータ6の内部の空気を攪拌できる場所であれば、特に限定されない。
【0026】
図4(a)はカバー7を下から見た図であり、図4(b)は図4(a)のカバー7を矢印Bの方向から見た図であり、図4(c)は図4(a)のC−C線断面図である。カバー7の上部(反ポンプ側端部)には、冷却ファン8用の空気取り入れ孔(気体取り入れ孔)20が形成されている。カバー7の下端(ポンプ側端部)は斜めに形成されており、この下端に沿って傾斜するガイド部材21がカバー7の内面に固定されている。このガイド部材21は、一部が欠けた環状のプレートから構成されており、インバータ6に向かって下方に傾斜している。ガイド部材21は、カバー7の内面とモータ5の外面との間の隙間に位置し、カバー7の下端においてこの隙間を塞ぐように形成されている。
【0027】
図5は、冷却ファン8の回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。図5に示すように、冷却ファン8の回転によって空気取り入れ孔20から空気(気体)がカバー7内に流入し、モータ5とカバー7との間の隙間に下降流を形成する。この空気はモータ5の外面に沿ってガイド部材21に向かって流れ、このガイド部材21によってその進行方向がインバータ6に向けられる。そして、空気はインバータ6の底部に設けられた冷却フィン18の間を流れ、これによりインバータ6が冷却される。このように、ガイド部材21によって空気の流れをインバータ6に集中させることができるので、インバータ6を効果的に冷却することができる。
【0028】
一般に、モータ5は発熱部であるステータ(コイル)の表面積が大きいため放熱しやすく、冷却が比較的進みやすい。一方、インバータ6は発熱部であるパワースイッチング素子15の表面積が小さいため、放熱による冷却が進みにくい。さらに、インバータ6は多くの電子デバイスを有しているため、モータ5に比べて耐熱温度が低い。
【0029】
上述した実施形態によれば、冷却ファン8によって形成される空気の流れを強制的にインバータ6に向かわせることができるので、空気の流れがインバータ6に集中的に当たり、さらに空気の流れの流速が速まることで熱伝達が向上する。したがって、インバータ6を速やかに冷却することができる。また、図3(c)に示すように、パワースイッチング素子15はボックス17の底部に接触し、この底部に冷却フィン18が形成されているので、冷却効率をさらに上げることができる。
【0030】
冷却ファン8からの空気は、モータ5の一部に沿って流れるので、この空気の流れはモータ5の冷却にも寄与する。さらに、モータ5は、その外面に形成された冷却フィン13によって冷却される。モータ5の耐熱温度は比較的高いことから、これら冷却フィン13や空気の流れによってモータ5を十分に冷却することができる。
【0031】
ここで、図6(a)および図6(b)に示すように、複数のガイド部材21を設けることもできる。また、ガイド部材21を、カバー7の内面ではなく、モータ5の外面に設けることもできる。図7(a)はモータ5の外面にガイド部材21を設けた例を示す平面図であり、図7(b)は図7(a)に示すモータ5の側面図である。さらに、図8に示すように、複数のガイド部材21をモータ5の外面に設けてもよい。
【0032】
モータ組立体2の作動中は、モータ5や冷却ファン8から騒音が発生する。そこで、このような騒音を低減させるために、カバー7の内面に吸音材または制振材(図9(a)および図9(b)において符号23で表わされている)を取り付けることが好ましい。このような構成を採用する場合は、吸音材または制振材を設けない場合に比べて、ややサイズの大きいカバー7を用いることが好ましい。ここで、吸音材とは、音を内部に取り込んで音エネルギーを熱エネルギーに変換することで音を吸収する部材をいう。吸音材の例としてはスポンジやウレタンフォームなどが挙げられる。さらに好ましくは、吸音材として、サイレンサーが使用される。一方、制振材とは、固体の振動エネルギーを熱エネルギーに変換することによって固体の振動を低減させる部材をいう。制振材の例としてはゴム板やプラスチック板などが挙げられる。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態について図10(a)乃至図10(d)を参照して説明する。
図10(a)は本発明の他の実施形態に係るモータ組立体2のインバータ6を示す上面図であり、図10(b)は上記インバータ6の裏面図であり、図10(c)は上記インバータ6の断面図であり、図10(d)はモータ組立体2の上面図である。なお、図10(d)においては、カバー7を想像線で表している。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、前述の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0034】
この実施形態では、ボックス17の底部の外面の一部にのみ冷却フィン18が設けられている。より具体的には、パワースイッチング素子15はボックス17の内面に接触し、冷却フィン18はボックス17の外面に設けられ、パワースイッチング素子15と冷却フィン18とは互いに対応する位置(反対側の位置)にある。冷却フィン18の設置面積は、パワースイッチング素子15とボックス17との接触面積とほぼ同じである。
【0035】
さらに、ボックス17の底部の外面には、ガイド部材21によって導かれた空気をさらに上記冷却フィン18に集中させる補助ガイド部材(第2のガイド部材)22が設けられている。この補助ガイド部材22は、冷却フィン18の両側に配置されている。各補助ガイド部材22は、冷却フィン18の端部(この例では上端)に向かって傾斜する傾斜部を有している。
【0036】
本実施形態によれば、冷却ファン8から送られる空気のほとんどを、パワースイッチング素子15の冷却に用いることができる。したがって、最も発熱量が大きいパワースイッチング素子15を速やかに冷却することができる。なお、この実施形態においても、カバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けてもよい。
【0037】
図11は本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。図12(a)は図11に示すインバータ6の上面図であり、図12(b)は上記インバータ6の裏面図であり、図12(c)は上記インバータ6の断面図である。なお、図11においては、説明のためにカバー7を想像線で表している。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、前述の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0038】
インバータ6には、冷却ジャケット24が固定されている。この冷却ジャケット24は、液体が流れる流入ライン(液体供給ライン)25および流出ライン(液体戻りライン)26を介してポンプ1に接続されている。流入ライン25の端部はポンプ1の吐出側流路に接続されており、流出ライン26の端部はポンプ1の吸込側流路に接続されている。ポンプ1を駆動させると、ポンプ1の吐出側流路と吸込側流路との間には差圧が生じ、この差圧により、ポンプ1に移送される液体の一部が流入ライン25を通って冷却ジャケット24に流入し、冷却ジャケット24を通過し、そして流出ライン26を通ってポンプ1に戻る。
【0039】
冷却ジャケット24が取り付けられている箇所は、前述の実施形態の冷却フィン18が設けられている箇所と同じである。すなわち、パワースイッチング素子15はボックス17の内面に接触し、冷却ジャケット24はボックス17の外面に接触し、パワースイッチング素子15と冷却ジャケット24は互いに対応する位置(反対側の位置)にある。
【0040】
通常、ポンプ1によって移送される液体は、インバータ6の温度よりも低い温度を有している。したがって、液体が冷却ジャケット24を通過する間、インバータ6と液体との間で熱交換が行われ、これによりインバータ6が冷却される。また、インバータ6の内部気体は、ファン機構4によって攪拌されているので、温度が低い液体が流出ライン26内を流れても、インバータ6内での結露を防止することができる。
【0041】
冷却ジャケット24が取り付けられている箇所を除く、インバータ6のボックス17の底部の外面には冷却フィン18が設けられている。したがって、冷却ファン8により送られてくる空気により、インバータ6全体が空気により冷却される。このように、パワースイッチング素子15を冷却ジャケット24により冷却しつつ、インバータ6全体を冷却フィン18により冷却することができるので、より効率よくインバータ6を冷却することができる。なお、この実施形態においても、カバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けてもよい。
【0042】
図13は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。図14(a)はモータと冷却ファンとファンカバーとの位置関係を示す断面図であり、図14(b)は図14(a)に示すファンカバーの下面図であり、図14(c)は冷却ファンとファンカバーとの位置関係を示す平面図である。
【0043】
本実施形態に示すポンプ装置は、冷却ファン8に加えて、第2の冷却ファン9を備えている。この第2の冷却ファン9は回転軸10に固定され、モータ5の下方(すなわち、モータ5のポンプ側)に配置されている。第2の冷却ファン9はファンカバー30によって囲まれており、ファンカバー30の下面にはブラケット19が一体に形成されている。ブラケット19は、第2の冷却ファン9とポンプ1との間に配置されている。
【0044】
ファンカバー30は、モータ5の下端(ポンプ側端部)に近接して配置され、第2の冷却ファン9全体とモータ5の下端を囲む形状を有している。ファンカバー30の内面には、モータ5の下端を支える複数の支持台14が一体に形成されている。これら支持台14は、モータ5の回転軸10を中心として等間隔に配置されており、これによりファンカバー30とモータ5との間には隙間が形成されている。
【0045】
ファンカバー30の底部には、空気取り入れ孔(気体取り入れ孔)30aが形成されている。ブラケット19は、空気取り入れ孔30aの周囲に配置された複数の支柱19aと、これら支柱19aの下端に一体に接続された台座19bとを有している。ファンカバー30は、第2の冷却ファン9からモータ5の側面に沿ってガイド部材21(図5参照)に向かう気体の流れ(上昇流)を形成する形状を有している。すなわち、第2の冷却ファン9を回転させると、空気が空気取り入れ孔30aからファンカバー30内に流入し、モータ5の側面に沿って上昇する。
【0046】
図15は、第1の冷却ファン8および第2の冷却ファン9の回転によって形成される空気の流れを説明する図である。既に説明したように、第1の冷却ファン8の回転によって、空気(すなわち気体)がカバー7内に流入し、モータ5とカバー7との間の隙間に下降流を形成する。この空気はモータ5の側面に沿ってガイド部材21に向かって流れ、このガイド部材21によってその進行方向がインバータ6に向けられる。そして、空気はインバータ6の底部に設けられた冷却フィン18の間を流れ、これによりインバータ6が冷却される。
【0047】
さらに、第2の冷却ファン9の回転によって空気(すなわち気体)がファンカバー30内に流入し、モータ5の外面に形成されている冷却フィン13の間を上昇し、これによりモータ5が冷却される。この空気の上昇流はガイド部材21の下面に衝突してその流れ方向を変え、インバータ6とは反対の方向に流れる。このように、第1の冷却ファン8および第2の冷却ファン9により互い対向する下降流と上昇流が形成される。
【0048】
図16は、本発明のさらに他の実施形態に係るポンプ装置を示す側面図である。このポンプ装置は、液体を移送するポンプ1と、このポンプ1を駆動するモータ組立体2と、モータ組立体2およびポンプ1を覆うカバー7とを備えている。なお、本実施形態ではインバータは設けられていない。図16では、カバー7の断面が示されている。
【0049】
モータ組立体2は、ポンプ1に連結されるモータ5と、モータ5を冷却する冷却ファン8とを備えている。冷却ファン8としては軸流ファンが使用されている。カバー7は、モータ5および冷却ファン8の全体を覆う形状を有し、さらにポンプ1の大部分を覆う形状を有している。図16に示す例では、ポンプ1の上半分はカバー7によって完全に覆われている。カバー7は図示しない支持部材によってモータ5またはポンプ1に固定されている。冷却ファン8はモータ5の反ポンプ側に配置されており、この冷却ファン8は、モータ5の回転軸10に取り付けられている。したがって、冷却ファン8はモータ5と一体的に回転するようになっている。
【0050】
図17(a)は図16に示すモータ組立体を示す側面図であり、図17(b)はカバー7の上面図であり、図17(c)は図17(a)に示すカバー7のE−E線断面図である。なお、図17(a)においては、カバー7の断面を示している。モータ5の外面とカバー7の内面との間には隙間が形成されている。カバー7の上部には、冷却ファン8用の空気取り入れ孔(気体取り入れ孔)20が形成されている。モータ5の側面全体には冷却フィン13が設けられている。
【0051】
冷却ファン8を回転させると、空気(気体)が空気取り入れ孔20からカバー7内に流入する。この空気は、カバー7とモータ5との間の隙間を流れ、冷却フィン13の間を通り、さらにポンプ1に接触し、そしてカバー7から流出する。空気の流れが冷却フィン13と接触している間、空気と冷却フィン13との間で熱交換が行われ、これによりモータ5が冷却される。
【0052】
カバー7の内面には、吸音材23が取り付けられている。図17(a)では、吸音材23の断面を示している。この吸音材23はモータ5の側面全体を囲むように配置されている。ここで、吸音材とは、音を内部に取り込んで音エネルギーを熱エネルギーに変換することで音を吸収する部材をいう。吸音材23の例としてはスポンジやウレタンフォームなどが挙げられる。さらに好ましくは、吸音材23として、サイレンサーが使用される。このサイレンサーは二重壁構造を有し、その内面には多数の小孔が形成されている。なお、カバー7をサイレンサーの外側壁として利用することもできる。この場合は、多数の小孔が形成された、カバー7よりもやや径の小さい円筒部材をカバー7に挿入することでサイレンサーを構成できる。
【0053】
カバー7はモータ5および冷却ファン8の全体を覆っており、カバー7自体が防音材として機能する。さらに、カバー7の内面に取り付けられた吸音材23がモータ5および冷却ファン8のノイズを吸収するので、モータ組立体2からの騒音を大幅に低減することができる。なお、吸音材に代えて、制振材をカバー7の内面に取り付けてもよい。この場合、上述した吸音材と同様に、モータ5の側面全体を覆うように制振材を配置することが好ましい。ここで、制振材とは、固体の振動エネルギーを熱エネルギーに変換することによって固体の振動を低減させる部材をいう。制振材の例としてはゴム板やプラスチック板などが挙げられる。
【0054】
冷却ファン8は、上述したように、軸流ファンである。この冷却ファン8およびカバー7は、着脱可能となっており、冷却ファン8およびカバー7を外すことによって、別の冷却ファンを取り付けることが可能となっている。このような構造によれば、ポンプ装置の状況に応じて、予め用意された複数の冷却ファンから、使用すべき冷却ファンを適宜選択することができる。例えば、図18(a)および図18(b)に示すように、同一の回転方向で空気の流れ方向が逆となるような翼角度を持つ2つの冷却ファン(第1の軸流ファン8A、第2の軸流ファン8B)を予め用意し、ポンプ装置の運転状況に応じて冷却ファン8A,8Bのうちのどちらかを選択的に使用することが好ましい。なお、翼角度は、冷却ファンの周方向に対する翼の角度である。なお、用意された2つの冷却ファンは例示であり、3つ以上の冷却ファンを用意してもよいことはもちろんである。
【0055】
図18(a)に示す例では、冷却ファン8Aの回転によって、空気が空気取り入れ孔20(図17(b)参照)からカバー7に流入し、モータ5とカバー7との隙間、およびポンプ1とカバー7との隙間を通過し、カバー7の下方開口部から流出する。このようにして、モータ5からポンプ1に向かう空気の流れがカバー7内に形成される。この図18(a)に示す例は、ポンプ装置の周囲の気温が、ポンプ装置によって移送される液体の温度よりも低い場合に適している。
【0056】
一方、図18(b)に示す例では、冷却ファン8Bの回転によって、空気がカバー7の下方開口部からカバー7に流入し、ポンプ1とカバー7との隙間、およびモータ5とカバー7との隙間を通過し、空気取り入れ孔20から流出する。このようにして、ポンプ1からモータ5に向かう空気の流れがカバー7内に形成される。この図18(b)に示す例は、ポンプ装置の周囲の気温が、ポンプ装置によって移送される液体の温度よりも高い場合に適している。すなわち、この場合は、ポンプ1に接触した空気によってモータ5を冷却することができる。
【0057】
なお、図18(a)および図18(b)に示す例では、翼角度の異なる2つの冷却ファン(軸流ファン)8A,8Bを使用しているが、翼角度が可変な冷却ファンを使用してもよい。このような冷却ファンを使用しても、図18(a)および図18(b)に示すような互いに反対方向の空気の流れを形成することができる。
【0058】
次に、本発明のさらに他の実施形態について図面を参照して説明する。図19は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。ポンプ装置は、液体を移送するポンプ1と、このポンプ1を駆動するモータ組立体2とを備えている。モータ組立体2は、ポンプ1に連結されたモータ5と、モータ5の回転速度を制御するインバータ6と、モータ5を覆うカバー7とを備えている。図19では、カバー7の縦断面が示されている。カバー7は図示しない支持部材によってモータ5に固定されている。
【0059】
モータ5の反ポンプ側には冷却ファン8が配置されており、この冷却ファン8はモータ5の回転軸10に取り付けられている。したがって、冷却ファン8はモータ5の回転軸10と一体的に回転するようになっている。図19に示すように、冷却ファン8とモータ5との間には、冷却ジャケット24が配置されている。冷却ジャケット24は冷却ファン8に近接して配置されている。この冷却ジャケット24は、ポンプ1から送られる液体と冷却ファン8から送られる気体(一般には空気)との間で熱交換を行う熱交換器である。
【0060】
カバー7は、冷却ファン8と、冷却ジャケット24と、モータ5の全体を覆う形状を有しており、モータ5の外面とカバー7の内面との間には隙間が形成されている。モータ5の側面には、複数の冷却フィン13が形成されている。カバー7の上部には空気取り入れ孔(後述する)が形成されており、冷却ファン8を回転させることによって空気の流れがカバー7とモータ5との間の隙間に形成されるようになっている。
【0061】
図20(a)はカバー7の上面図であり、図20(b)はカバー7の縦断面図であり、図20(c)は図20(b)のF−F線断面図である。カバー7は、冷却ファン8、冷却ジャケット24、およびモータ5のほぼ全体を囲む形状を有している。カバー7の上部には、冷却ファン8用の空気取り入れ孔(気体取り入れ孔)20が形成されている。
【0062】
カバー7の内面には、吸音材23が取り付けられている。この吸音材23はモータ5の側面を囲むように配置されている。吸音材23の例としてはスポンジやウレタンフォームが挙げられる。さらに好ましくは、吸音材23として、サイレンサーが使用される。なお、吸音材23に代えて、制振材をカバー7の内面に取り付けてもよい。この場合、上述した吸音材と同様に、モータ5の側面を覆うように制振材を配置することが好ましい。制振材の例としてはゴム板やプラスチック板が挙げられる。
【0063】
図21(a)はモータ5とインバータ6との配置関係を説明するための上面図であり、図21(b)は図21(a)に示すモータ5を矢印Gの方向から見たときの、インバータ6が無い状態を示す図である。インバータ6は、モータ側ブラケット11およびインバータ側ブラケット12を介してモータ5の側部に固定されている。
【0064】
図22(a)はインバータ6の上面図であり、図22(b)はインバータ6の裏面図であり、図22(c)はインバータ6の断面図である。インバータ6のボックス17には、流出ライン(液体戻りライン)26が貫通する通孔6aが形成されている。インバータ6の内部には、ファン機構4が配置されている。インバータ6およびファン機構4の基本的構成は、図3(a)乃至図3(c)に示す構成と同様である。
【0065】
図23(a)は冷却ジャケット24を模式的に示す平面図であり、図23(b)はモータ組立体2の上面図である。なお、図23(b)においては、カバー7を想像線で示す。冷却ジャケット24は、熱伝導性のよい金属からなるジャケット27と、このジャケット27の中を蛇行して延びる液体流路28とを備えている。液体流路28の端部は、それぞれ流入ライン(液体供給ライン)25および流出ライン(液体戻りライン)26に連通している。ジャケット27の中央には、回転軸10が挿入される貫通孔27aが形成されている。ポンプ1から供給される液体は、流入ライン25、冷却ジャケット24、流出ライン26をこの順で流れ、再びポンプ1に戻される。
【0066】
冷却ジャケット24は、流入ライン25および流出ライン26を介してポンプ1に接続されている。流入ライン25の端部はポンプ1の吐出側流路に接続されており、流出ライン26の端部はポンプ1の吸込側流路に接続されている。流出ライン26は、インバータ6を貫通して延びている。ポンプ1を駆動させると、ポンプ1の吐出側流路と吸込側流路との間には差圧が生じ、この差圧により、ポンプ1によって移送される液体の一部が流入ライン25を通って冷却ジャケット24に流入し、冷却ジャケット24を通過し、そして流出ライン26を通ってポンプ1に戻る。
【0067】
上述の構成において、モータ5の回転軸10を回転させると、ポンプ1が駆動され、同時に冷却ファン8が回転する。ポンプ1によって移送される液体の一部は、流入ライン25を通じて冷却ジャケット24に送られる。一方、冷却ファン8が回転することにより、空気(気体)が空気取り入れ孔20からカバー7内に流入する。この空気は、冷却ジャケット24に当たり、液体との熱交換により冷却される。冷却された空気は、カバー7とモータ5との間の隙間を流れ、冷却フィン13,18の間を通り、そしてカバー7から流出する。
【0068】
空気の流れが冷却フィン13,18と接触している間、空気と冷却フィン13,18との間で熱交換が行われ、これによりモータ5およびインバータ6が冷却される。図22(c)に示すように、パワースイッチング素子15はボックス17の底部に接触し、この底部に冷却フィン18が形成されているので、発熱量の大きいパワースイッチング素子15を効率よく冷却することができる。さらに、流出ライン26内を流れる液体とインバータ6の内部の空気との間でも熱交換が行われる。その結果、インバータ6、特にパワースイッチング素子15が流出ライン26内の液体によって冷却される。さらに、インバータ6の内部の空気はファン機構4によって攪拌されているので、温度が低い液体が流出ライン26内を流れても、インバータ6内での結露を防止することができる。
【0069】
図24は、冷却ジャケットの変形例を示す平面図である。この例では、冷却ジャケット24の上面(ジャケット27の冷却ファン8に対向する面)に、放射状に延びるフィン40が形成されている。このフィン40は、冷却ジャケット24の表面積を増やし、モータ5の全周を覆う均一な空気の流れを形成する。なお、冷却ジャケット24に代えて、図25に示すように、蛇行したパイプから構成される冷却パイプ29を熱交換器として用いてもよい。
【0070】
図26は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。本実施形態は、上述の実施形態と同様の基本的構成を備えているが、冷却ジャケット24によって冷却された空気をインバータ6に集中させる構造を有している点で、上記実施形態と異なっている。すなわち、カバー7の内面とモータ5の外面との間の隙間には、冷却ファン8からの空気の流れをインバータ6に導くガイド部材21が設けられている。図26では、カバー7を想像線で示している。なお、特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0071】
図27(a)は図26に示すカバー7を下から見た図であり、図27(b)は図27(a)のカバー7を矢印Hから見た図であり、図27(c)は図27(a)のI−I線断面図である。カバー7の下端(ポンプ側端部)は斜めに形成されており、この下端に沿って傾斜するガイド部材21がカバー7の内面に固定されている。このガイド部材21は、一部が欠けた環状のプレートから構成されており、インバータ6に向かって下方に傾斜している。ガイド部材21は、カバー7の内面とモータ5の外面との間の隙間に位置し、カバー7の下端においてこの隙間を塞ぐように形成されている。
【0072】
図28は、冷却ファン8の回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。図28に示すように、冷却ファン8の回転によって空気取り入れ孔20から空気(気体)がカバー7内に流入し、冷却ジャケット24によって冷却される。この冷却された空気は、モータ5とカバー7との間の隙間に下降流を形成する。この空気はモータ5の外面に沿ってガイド部材21に向かって流れ、このガイド部材21によってその進行方向がインバータ6に向けられる。そして、空気はインバータ6の底部に設けられた冷却フィン18の間を流れ、これによりインバータ6が冷却される。このように、ガイド部材21によって空気の流れをインバータ6に集中させることができるので、インバータ6を効果的に冷却することができる。
【0073】
カバー7に覆われていないモータ5の側面には、冷却フィン13が設けられている。冷却ファン8からの空気は、モータ5の一部に沿って流れるので、この空気の流れはモータ5の冷却にも寄与する。さらに、モータ5は、冷却フィン13によって冷却される。モータ5の耐熱温度は比較的高いことから、これら冷却フィン13や空気の流れによってモータ5を十分に冷却することができる。
【0074】
なお、複数のガイド部材21を設けることもできる。また、ガイド部材21を、カバー7の内面ではなく、モータ5の外面に設けることもできる。さらに、この実施形態においても、冷却ジャケット24は、図24に示す放射状のフィン40を有していてもよい。さらに、図29(a)および図29(b)の符号23で示すように、カバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けてもよい。
【0075】
上述した各実施形態では、冷却ジャケット24は冷却ファン8とモータ5との間に配置されているが、本発明はこの配置に限定されない。例えば、冷却ジャケット(熱交換器)24、冷却ファン8、モータ5をこの順に配列し、冷却ファン8の吸引する空気を冷却ジャケット24で冷却するという構成にすることもできる。この場合、冷却ジャケット24は冷却ファン8と共にカバー7で覆われてもよく、またはカバー7の外側で冷却ファン8に近接して配置してもよい。また、冷却ジャケット24に代えて、図25に示す冷却パイプ29を設けてもよい。
【0076】
次に、本発明のさらに他の実施形態ついて説明する。図30(a)は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図であり、図30(b)は図30(a)のポンプ装置の部分断面図である。このポンプ装置は、液体を移送するポンプ1と、このポンプ1を駆動するモータ組立体2とを備えている。モータ組立体2は、ポンプ1に連結されたモータ5と、モータ5の回転速度を制御するインバータ6と、モータ5とポンプ1との間に配置された冷却ファン8と、モータ5及び冷却ファン8を覆うカバー7とを備えている。図30(b)においては、カバー7の断面が示されている。カバー7は、モータ5の側面を囲む形状を有するモータカバー7Aと、冷却ファン8全体を覆う形状を有するファンカバー7Bとを有している。モータ5の側面には、複数の冷却フィン13が形成されている。
【0077】
図31(a)はモータ組立体2を示す上面図であり、図31(b)はモータ組立体2を示す側面図である。図31(c)は、図31(b)に示すモータ組立体2を矢印Kの方向から見たときの、インバータ6が無い状態を示す図である。なお、図31(b)では、説明のためにカバー7を想像線で示している。
【0078】
冷却ファン8は、モータ5のポンプ側に配置されており、モータ5の回転軸10に取り付けられている。したがって、冷却ファン8はモータ5の回転軸10と一体的に回転するようになっている。冷却ファン8は、金属などの熱伝導性のよい材料から構成されている。したがって、モータ5の熱の一部は、回転軸10を介して冷却ファン8に伝わり、冷却ファン8から放熱される。なお、冷却ファン8をプラスチックなどの材料で構成してもよい。
【0079】
インバータ6は、モータ側ブラケット11およびインバータ側ブラケット12を介してモータ5の側部に固定されている。図32(a)はインバータ6の裏面図であり、図32(b)はインバータ6の下面図であり、図32(c)はインバータ6の断面図である。インバータ6の内部には、ファン機構4が配置されている。インバータ6およびファン機構4の基本的構成は、図3(a)乃至図3(c)に示す構成と同様である。
【0080】
図33(a)はモータカバー7Aの側面図であり、図33(b)は図33(a)のモータカバー7Aを矢印Lの方向から見た図であり、図33(c)は図33(a)の下面図である。図34(a)は、ファンカバー7Bの上面図であり、図34(b)はファンカバー7Bの縦断面図であり、図34(c)は、図34(b)のM−M線断面図である。図35(a)はモータ5と冷却ファン8とファンカバー7Bとの位置関係を示す断面図であり、図35(b)は図35(a)に示すファンカバー7Bの下面図であり、図35(c)は冷却ファン8とファンカバー7Bとの位置関係を示す平面図である。
【0081】
モータカバー7Aの上端(反ポンプ側端部)および下端(ポンプ側端部)は開口している。モータカバー7Aの下端開口はファンカバー7Bの上端開口に接続される。モータカバー7Aの下端開口とファンカバー7Bの上端開口とが接続されることで、カバー7が構成される。なお、モータカバー7Aとファンカバー7Bとを一体に成形してカバー7を構成してもよい。モータカバー7Aは、モータ5の側面全体を覆う形状を有しており、モータ5の外面とモータカバー7Aの内面との間には隙間が形成されている。
【0082】
図31(b)および図33(b)に示すように、モータカバー7Aの側部には開口7Aaが形成されており、この開口7Aaを貫通するように、インバータ6の冷却フィン18がモータ5に向かって延びている。すなわち、インバータ6の冷却フィン18は、モータ5の側面に近接し、またモータ5の冷却フィン13に隣接している。
【0083】
図35(a)に示すように、ファンカバー7Bは、モータ5の下端(ポンプ側端部)に近接して配置され、冷却ファン8全体とモータ5の下端を囲む形状を有している。ファンカバー7Bの内面には、モータ5の下端を支える複数の支持台14が一体に形成されている。これら支持台14は、モータ5の回転軸10を中心として等間隔に配置されており、これによりファンカバー7Bとモータ5との間には隙間が形成されている。
【0084】
ファンカバー7Bの底部には、空気取り入れ孔(気体取り入れ孔)20が形成されている。ファンカバー7Bの下面にはブラケット19が一体に形成されている。ブラケット19は、空気取り入れ孔20の周囲に配置された複数の支柱19aと、これら支柱19aの下端に一体に接続された台座19bとを有している。冷却ファン8を回転させると、空気が空気取り入れ孔20からカバー7内に流入し、空気の流れ(上昇流)がカバー7とモータ5との間の隙間に形成されるようになっている。
【0085】
図36は、冷却ファン8の回転によって形成される空気の流れを説明する図である。図36に示すように、冷却ファン8の回転によって空気取り入れ孔20から空気(気体)がカバー7内に流入し、モータ5とカバー7との間の隙間に上昇流を形成する。この空気はモータ5の冷却フィン13の間、およびインバータ6の冷却フィン18の間を流れ、これによりモータ5およびインバータ6を冷却する。その後、空気はカバー7の上端開口から排出される。このように、空気の流れは、モータ5の冷却フィン13のみならず、インバータ6の冷却フィン18にも接触するので、モータ5およびインバータ6を効率よく冷却することができる。
【0086】
冷却ファン8はモータ5とポンプ1との間に配置されているので、モータ5の回転軸10の上端(反ポンプ側端部)をモータ5の内部に位置させることができる。つまり、冷却ファン8はモータ5の上方には配置されないので、回転軸10をモータ5の上壁を貫通させる必要がない。したがって、雨や埃がモータ5の内部に侵入することが防止され、屋外での使用に好適なモータ組立体が提供される。
【0087】
モータ組立体2の作動中は、モータ5や冷却ファン8から騒音が発生する。そこで、このような騒音を低減させるために、図37(a)および図37(b)に示すように、カバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けることが好ましい(図37(a)および図37(b)において、吸音材または制振材は符号23で表わされている)。吸音材の例としてはスポンジやウレタンフォームが挙げられる。さらに好ましくは、吸音材として、サイレンサーが使用される。制振材の例としてはゴム板やプラスチック板が挙げられる。
【0088】
次に、本発明のさらに他の実施形態について説明する。図38(a)は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図であり、図38(b)は図38(a)のポンプ装置の部分断面図である。図39(a)は本実施形態のモータ組立体を示す上面図であり、図39(b)はモータ組立体を示す側面図であり、図39(c)は、図39(b)に示すモータ組立体を矢印Oの方向から見たときの、インバータ6が無い状態を示す図である。図39(b)では、カバー7は想像線で示されている。図40(a)はモータカバー7Aの側面図であり、図40(b)は図40(a)のモータカバー7Aを矢印P方向から見た図であり、図40(c)は図40(a)の下面図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成は、上記実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0089】
カバー7は、モータ5の一部及び冷却ファン8を覆う形状を有している。より詳しくは、モータカバー7Aは、モータ5の側面の下半分を覆う形状を有している。モータカバー7Aの上端開口(反ポンプ側端部)は斜めに形成されており、その下端開口(ポンプ側端部)はファンカバー7Bの上端開口に接続される。モータ5とカバー7との間には、上述の実施形態と同様に、隙間が形成されている。
【0090】
上述の実施形態と異なり、カバー7に覆われているモータ5の側面には冷却フィンは設けられていない。すなわち、この実施形態では、モータカバー7Aに覆われていないモータ5の側面に複数の冷却フィン13が形成されている。インバータ6の冷却フィン18は、モータ5の外面に近接し、またモータ5の冷却フィン13に隣接している。
【0091】
モータ5の側面には、モータカバー7Aの上端開口に沿って傾斜するガイド部材21が固定されている。このガイド部材21は、一部が欠けた環状のプレートから構成されており、インバータ6に向かって上方に傾斜している。ガイド部材21は、カバー7の内面とモータ5の外面との間の隙間に位置し、カバー7の上端においてこの隙間を塞ぐように形成されている。
【0092】
図41は、冷却ファン8の回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。図41示すように、冷却ファン8の回転によって空気取り入れ孔20から空気(気体)がカバー7内に流入し、モータ5とカバー7との間の隙間に上昇流を形成する。この空気はモータ5の外面に沿ってガイド部材21に向かって流れ、このガイド部材21によってその進行方向がインバータ6に向けられる。そして、空気はインバータ6の底部に設けられた冷却フィン18の間を流れ、これによりインバータ6が冷却される。このように、ガイド部材21によって空気の流れをインバータ6に集中させることができ、さらに、風の流速が上がることで熱伝達率が向上するので、インバータ6を効果的に冷却することができる。
【0093】
上述した実施形態によれば、冷却ファン8によって形成される空気の流れを強制的にインバータ6に向かわせることができるので、インバータ6を速やかに冷却することができる。また、図32(c)に示すように、パワースイッチング素子15はボックス17の底部に接触し、この底部に冷却フィン18が形成されているので、冷却効率をさらに上げることができる。
【0094】
冷却ファン8からの空気は、モータ5の一部に沿って流れるので、この空気の流れはモータ5の冷却にも寄与する。さらに、モータ5は、その外面に形成された冷却フィン13によって冷却される。モータ5の耐熱温度は比較的高いことから、これら冷却フィン13や空気の流れによってモータ5を十分に冷却することができる。
【0095】
ここで、図42に示すように、複数のガイド部材21を設けることもできる。また、ガイド部材21を、モータ5の外面ではなく、カバー7の内面に設けることもできる。この場合でも、複数のガイド部材21を設けることができる。さらに、カバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けてもよい。
【0096】
次に、本発明のさらに他の実施形態について図43(a)乃至図43(d)を参照して説明する。図43(a)は本発明の一実施形態に係るモータ組立体2のインバータ6を示す裏面図であり、図43(b)は上記インバータ6の下面図であり、図43(c)は上記インバータ6の断面図であり、図43(d)はモータ組立体2の下面図である。なお、図43(d)においては、カバー7を想像線で表している。このカバー7の形状は、図38(a)および図38(b)に示す上記実施形態に係るカバー7の形状と同じである。また、特に説明しない本実施形態の構成は、図38(a)および図38(b)に示す上記実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0097】
この実施形態では、ボックス17の底部の外面の一部にのみ冷却フィン18が設けられている。より具体的には、パワースイッチング素子15はボックス17の内面に接触し、冷却フィン18はボックス17の外面に設けられ、パワースイッチング素子15と冷却フィン18とは互いに対応する位置(反対側の位置)にある。冷却フィン18の設置面積は、パワースイッチング素子15とボックス17との接触面積とほぼ同じである。
【0098】
さらに、ボックス17の底部の外面には、ガイド部材21によって導かれた空気をさらに上記冷却フィン18に集中させる補助ガイド部材(第2のガイド部材)22が設けられている。この補助ガイド部材22は、冷却フィン18の両側に配置されている。各補助ガイド部材22は、冷却フィン18の端部(この例では下端)に向かって傾斜する傾斜部を有している。
【0099】
本実施形態によれば、冷却ファン8から送られる空気のほとんどを、パワースイッチング素子15の冷却に用いることができる。したがって、最も発熱量が大きいパワースイッチング素子15を速やかに冷却することができる。なお、この実施形態においても、カバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けてもよい。
【0100】
図44は本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。図45(a)は図44に示すインバータ6の裏面図であり、図45(b)は上記インバータ6の下面図であり、図45(c)は上記インバータ6の断面図である。なお、図44においては、カバー7の断面が示されている。このカバー7の形状は、図38(a)および図38(b)に示す上記実施形態に係るカバー7の形状と同じである。また、特に説明しない本実施形態の構成は、図38(a)および図38(b)に示す上記実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0101】
インバータ6には、冷却ジャケット24が固定されている。この冷却ジャケット24は、液体が流れる流入ライン25および流出ライン26を介してポンプ1に接続されている。流入ライン25の端部はポンプ1の吐出側流路に接続されており、流出ライン26の端部はポンプ1の吸込側流路に接続されている。ポンプ1を駆動させると、ポンプ1の吐出側流路と吸込側流路との間には差圧が生じ、この差圧により、ポンプ1に移送される液体の一部が流入ライン25を通って冷却ジャケット24に流入し、冷却ジャケット24を通過し、そして流出ライン26を通ってポンプ1に戻る。
【0102】
冷却ジャケット24が取り付けられている箇所は、図43に示す冷却フィン18が設けられている箇所と同じである。すなわち、パワースイッチング素子15はボックス17の内面に接触し、冷却ジャケット24はボックス17の外面に接触し、パワースイッチング素子15と冷却ジャケット24は互いに対応する位置(反対側の位置)にある。
【0103】
通常、ポンプ1によって移送される液体は、インバータ6の温度よりも低い温度を有している。したがって、液体が冷却ジャケット24を通過する間、インバータ6と液体との間で熱交換が行われ、これによりインバータ6が冷却される。また、冷却ジャケット24が取り付けられている箇所を除く、インバータ6のボックス17の底部の外面には冷却フィン18が設けられている。したがって、冷却ファン8により送られてくる空気により、インバータ6全体が空気により冷却される。このように、パワースイッチング素子15を冷却ジャケット24により冷却しつつ、インバータ6全体を冷却フィン18により冷却することができるので、より効率よくインバータ6を冷却することができる。なお、この実施形態においても、カバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けてもよい。
【0104】
図46は、本発明のさらに他の実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す側面図である。この実施形態は、図44に示す冷却ジャケットを図30(a)および図30(b)に示すモータ組立体に適用した例である。この実施形態のインバータ6は、図45(a)乃至図45(c)に示すインバータと同一の構成である。この例においても、冷却ファン8からの空気と、ポンプ1からの液体とにより、インバータ6を効率よく冷却することができる。
【0105】
次に、本発明のさらに他の実施形態について図面を参照して説明する。図47は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図である。ポンプ装置は、液体を移送するポンプ1と、このポンプ1を駆動するモータ組立体2とを備えている。モータ組立体2は、ポンプ1に連結されたモータ5と、モータ5の回転速度を制御するインバータ6と、モータ5を覆うモータカバー7と、インバータ6を覆う遮熱カバー41とを備えている。
【0106】
図48(a)はモータ組立体2を示す上面図であり、図48(b)はモータ組立体2を示す側面図である。図48(c)は図48(b)に示すモータ5および遮熱カバー41を矢印Qの方向から見た図である。なお、図48(a)および図48(b)では、モータカバー7および遮熱カバー41を想像線で示している。
【0107】
モータカバー7は、冷却ファン8とモータ5の上部を覆う形状を有しており、モータ5の外面とモータカバー7の内面との間には隙間が形成されている。モータ5の側面の全体には、複数の冷却フィン13が形成されている。モータカバー7の上部には空気取り入れ孔(後述する)が形成されており、冷却ファン8を回転させることによって空気の流れがモータカバー7とモータ5との間の隙間に形成されるようになっている。この空気の流れは、冷却フィン13の間の隙間を流れ、モータ5を冷却する。さらに、この空気の流れは、インバータ6の冷却フィン18にも接触し、これによりインバータ6を冷却する。インバータ6の内部には、図3(c)に示すファン機構4が配置されている。インバータ6およびファン機構4の構成は、図3(a)乃至図3(c)に示す構成と同様である。
【0108】
遮熱カバー41は、インバータ6の上半分を覆うボックス形状を有している。遮蔽カバー41の側壁および正面壁にはルーバー42が設けられている。これらのルーバー42は、直射日光および雨を遮りつつ、遮蔽カバー41の内部の風通しを向上させることができる。遮熱カバー41の表面には遮熱塗料が塗布されており、遮熱カバー41の断熱性が高められている。遮熱塗料は、高い反射率と高い熱放射率を有する塗料であり、市販の遮熱塗料を使用することができる。高い遮熱性と高い通気性を持つ遮熱カバー41により、インバータ6の温度上昇を抑えることができる。
【0109】
図49(a)はモータカバー7を下から見た図であり、図49(b)は図49(a)のモータカバー7を矢印Rの方向から見た図であり、図49(c)は図49(a)のS−S線断面図である。モータカバー7の上部(反ポンプ側端部)には、冷却ファン8用の空気取り入れ孔(気体取り入れ孔)としての第1の開口部7aが形成されている。モータカバー7の下端(ポンプ側端部)は開口しており、第2の開口部7bを構成している。なお、モータカバー7の内面に吸音材または制振材を取り付けてもよい。
【0110】
図50は、図47に示すポンプ装置に、図11および図12(a)乃至図12(c)に示す冷却ジャケットを組み込んだ例を示す図である。図50に示すように、水冷ジャケット24と遮熱カバー41とを組み合わせることにより、さらに効率よくインバータ6を冷却することができる。
【0111】
次に、本発明のさらに他の実施形態について図面を参照して説明する。図51は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図である。ポンプ装置は、液体を移送するポンプ1と、このポンプ1を駆動するモータ組立体2とを備えている。モータ組立体2は、ポンプ1に連結されたモータ5と、モータ5の回転速度を制御するインバータ6と、モータ5の側面を覆うモータカバー7と、インバータ6およびモータカバー7を覆う遮熱カバー41とを備えている。モータカバー7は図示しない支持部材によってモータ5に連結されている。
【0112】
ポンプ1とモータ組立体2との間にはブラケット19が配置されており、このブラケット19を介してポンプ1とモータ組立体2とが互いに固定されている。ポンプ1は回転軸10を介してモータ組立体2に連結されている。モータ5の上方(反ポンプ側)には冷却ファン8が配置されており、この冷却ファン8は、モータ5の回転軸10に取り付けられている。したがって、冷却ファン8はモータ5の回転軸10と一体的に回転するようになっている。インバータ6、冷却ファン8、およびモータ5は同軸上に配置され、インバータ6とモータ5との間に冷却ファン8が配置されている。
【0113】
モータ5および冷却ファン8は、モータカバー7によって囲まれている。すなわち、モータカバー7は、モータ5の側面全体を覆う形状を有しており、さらに冷却ファン8全体を覆っている。モータカバー7の内面とモータ5の側面との間には隙間が形成されている。モータ5の側面には冷却フィン13が設けられており、これら冷却フィン13は、モータカバー7の内面とモータ5の側面との間に配置されている。モータカバー7の内面には吸音材23が取り付けられている。この吸音材23は、モータ5の側面を囲むように配置されている。なお、吸音材に代えて制振材を取り付けてもよい。
【0114】
図52(a)は、図51に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。図52(b)は、インバータの冷却フィンと空気取り入れ孔との位置関係を示す平面図である。図52(a)に示すように、モータカバー7の上端(反ポンプ側端部)には空気取り入れ孔としての第1の開口部7aが形成されている。この第1の開口部7aはインバータ6と冷却ファン8との間に位置している。
【0115】
インバータ6は、パワースイッチング素子15と、このパワースイッチング素子15の動作を制御する制御基板16と、パワースイッチング素子15および制御基板16を収容するボックス17とを備えている。パワースイッチング素子15は、ボックス17の底部の内面に接触した状態でボックス17に固定されている。インバータ6の底部はモータ5に対向しており、その底部の外面全体には、モータ5に向かって突起する冷却フィン18が設けられている。これら冷却フィン18はモータカバー7の上部に接触しており、図52(b)に示すように、第1の開口部7aを覆うように配置されている。
【0116】
インバータ6の内部には、インバータ6の内部の空気を攪拌するためのファン機構4が配置されている。このファン機構4は、パワースイッチング素子15に近接して配置されている。ファン機構4は、ファン4Aと、このファン4Aを回転させるモータ4Bとを有している。ファン機構4の設置位置は、インバータ6の内部の空気を攪拌できる場所であれば、特に限定されない。
【0117】
図51に示すように、モータカバー7の下端(ポンプ側端部)は開口しており、第2の開口部7bを構成している。遮熱カバー41は、モータカバー7の大部分とインバータ6の全体を覆う形状を有している。遮蔽カバー41の側壁にはルーバー42が設けられている。遮熱カバー41の表面には遮熱塗料が塗布されており、遮熱カバー41の断熱性が高められている。モータカバー7と遮熱カバー41との間には隙間が形成されており、インバータ6と遮熱カバー41との間にも隙間が形成されている。遮熱カバー41は図示しない支持部材によってモータカバー7に連結されている。遮熱カバー41の下端(ポンプ側端部)は開口している。
【0118】
図53(a)および図53(b)は、冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。図53(a)に示すように、冷却ファン8を回転させると、空気(周囲の気体)は、遮熱カバー41とモータカバー7との隙間を通り、モータカバー7の第1の開口部7aからモータカバー7の内部に流入する。空気が第1の開口部7aに流入するとき、空気の流れがインバータ6の冷却フィン18と接触し、これによりインバータ6が冷却される。空気は、さらにモータカバー7とモータ5との間の隙間をポンプ1に向かって流れる。このとき、空気の流れは、モータ5の冷却フィン13と接触し、これによりモータ5が冷却される。その後、空気はモータカバー7の第2の開口部7bから外部に排出される。
【0119】
一方、冷却ファン8を逆回転させると、図53(b)に示すように、空気はモータカバー7の第2の開口部7bからモータカバー7内に流入し、モータカバー7とモータ5との間の隙間をインバータ6に向かって流れる。空気は、モータカバー7の第1の開口部7aから流出し、インバータ6の冷却フィン18に接触する。その後、空気は、モータカバー7と遮熱カバー41との間の隙間を通過し、遮熱カバー41の下端開口およびルーバー42から外部に排出される。このように、冷却ファン8をいずれの方向に回転させても、冷却フィン13,18に接触する空気の流れが形成されるため、インバータ6およびモータ5を冷却することができる。
【0120】
遮熱カバー41はインバータ6を完全に覆っているので、インバータ6を直射日光から保護することができる。したがって、インバータ6が過度に高温となることを防止することができる。耐熱効果を高めるために、遮熱カバー41の外面には遮熱塗料が塗布されている。また、遮熱カバー41によりインバータ6を雨から守ることができるので、インバータ6の故障を減らすことができる。さらに、モータ5はモータカバー7によって覆われているので、モータ5を雨や日光から守ることができ耐候性が向上する。
【0121】
図54(a)および図54(b)は、本実施形態のモータ組立体の変形例を示す部分拡大図である。この例では、ボックス17の底部の外面の一部にのみ冷却フィン18が設けられている。より具体的には、パワースイッチング素子15はボックス17の内面に接触し、冷却フィン18はボックス17の外面に設けられ、パワースイッチング素子15と冷却フィン18とは互いに対応する位置(反対側の位置)にある。冷却フィン18の設置面積は、パワースイッチング素子15とボックス17との接触面積とほぼ同じである。
【0122】
この例においても、冷却フィン18はモータカバー7の第1の開口部7aを覆うように配置されている。したがって、冷却ファン8の回転により、空気の流れは冷却フィン18に集中し、冷却フィン18に集中的に風が当たり、風の流速が早まることで熱伝達が向上して、冷却が促進される。したがって、最も発熱量が大きいパワースイッチング素子15を効率よく冷却することができる。
【0123】
次に、本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、特に説明しない本実施形態の構成は上述した実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。図55(a)は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図であり、図55(b)は図55(a)に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。
【0124】
インバータ6は、モータカバー7の第1の開口部7aを塞ぐように配置されている。このインバータ6には、モータカバー7の内部空間と外部空間とを連通する貫通孔6bが形成されている。本実施形態では、この貫通孔6bは空気取り入れ孔または空気排き出し孔として機能する。インバータ6の底面(底部の外面)はモータカバー7の内側に位置しており、この底面全体には、上述の実施形態と同様に、冷却フィン18が設けられている。これら冷却フィン18は冷却ファン8に近接している。
【0125】
図56(a)および図56(b)は、冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。図56(a)に示すように、冷却ファン8を回転させると、空気はインバータ6の貫通孔6bを流れて冷却フィン18に接触し、これによりインバータ6が冷却される。また、空気の流れはモータ5の冷却フィン13に接触し、モータ5を冷却する。
【0126】
一方、冷却ファン8を逆回転させると、図56(b)に示すように、空気は、第2の開口部7bからモータカバー7に流入し、冷却フィン13,18に接触した後、インバータ6の貫通孔6bから排出される。このように、冷却ファン8をいずれの方向に回転させても、冷却フィン13,18に接触する空気の流れが形成されるため、インバータ6およびモータ5を冷却することができる。
【0127】
次に、本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、特に説明しない本実施形態の構成は図55(a)および図55(b)に示す実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。図57(a)は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図であり、図57(b)は図57(a)に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。
【0128】
インバータ6は、冷却ファン8とモータ5との間に配置されている。すなわち、冷却ファン8は、モータカバー7の外側であって、遮熱カバー41の内側に配置されている。インバータ6は、モータカバー7の第1の開口部7aを塞ぐように配置されている。インバータ6には、モータカバー7の内部空間と外部空間とを連通する貫通孔6bが形成されている。インバータ6の底面はモータカバー7の内側に位置しており、この底面全体には冷却フィン18が設けられている。これらの冷却フィン18はモータ5の上部に近接して配置されている。回転軸10はインバータ6の貫通孔6bを通って延びており、回転軸10の端部に冷却ファン8が連結されている。
【0129】
図58(a)および図58(b)は、冷却ファンの回転によって形成される空気の流れを説明するための図である。図58(a)および図58(b)に示すように、冷却ファン8をいずれの方向に回転させても、冷却フィン13,18に接触する空気の流れが形成されるため、インバータ6およびモータ5を冷却することができる。
【0130】
次に、本発明のさらに他の実施形態について説明する。図59(a)は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図であり、図59(b)は図59(a)に示すモータ組立体の一部を示す拡大断面図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成は図51に示す実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0131】
インバータ6には、冷却ジャケット24が固定されている。この冷却ジャケット24は、液体が流れる流入ライン(液体供給ライン)25および流出ライン(液体戻りライン)26を介してポンプ1に接続されている。流入ライン25の端部はポンプ1の吐出側流路に接続されており、流出ライン26の端部はポンプ1の吸込側流路に接続されている。ポンプ1を駆動させると、ポンプ1の吐出側流路と吸込側流路との間には差圧が生じ、この差圧により、ポンプ1に移送される液体の一部が流入ライン25を通って冷却ジャケット24に流入し、冷却ジャケット24を通過し、そして流出ライン26を通ってポンプ1に戻る。
【0132】
冷却ジャケット24は、パワースイッチング素子15が接触するボックス17の内面と反対側に位置する外面に取り付けられている。すなわち、パワースイッチング素子15はボックス17の内面に接触し、冷却ジャケット24はボックス17の外面に接触し、パワースイッチング素子15と冷却ジャケット24は互いに対応する位置(反対側の位置)にある。
【0133】
通常、ポンプ1によって移送される液体は、インバータ6の温度よりも低い温度を有している。したがって、液体が冷却ジャケット24を通過する間、インバータ6と液体との間で熱交換が行われ、これによりインバータ6が冷却される。さらに、冷却ファン8の回転により形成される空気の流れは、冷却ジャケット24に接触し、この冷却ジャケット24を冷却する。したがって、インバータ6をより効率よく冷却することができる。
【0134】
図60(a)は、上記実施形態の変形例を示す縦断面図であり、図60(b)は図60(a)に示す冷却フィンと第1の開口部との位置関係を示す平面図である。この例では、冷却ジャケット24が取り付けられている箇所を除く、インバータ6のボックス17の底部の外面に冷却フィン18が設けられている。冷却ジャケット24は、図59(a)および図59(b)に示すものと同一である。冷却フィン18は、モータカバー7の第1の開口部7aを塞ぐように配置されている。この構成例によれば、冷却ファン8により送られてくる空気によりインバータ6全体を冷却し、同時に冷却ジャケット24によりパワースイッチング素子15を冷却することができる。
【0135】
次に、本発明のさらに他の実施形態について説明する。図61は、本発明の一実施形態に係るモータ組立体を備えたポンプ装置を示す縦断面図である。図62(a)および図62(b)は図61に示すモータ組立体の一部を模式的に示す拡大断面図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成は図51に示す実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0136】
この実施形態では、冷却ファン8はモータ5とポンプ1との間に配置されている。すなわち、冷却ファン8はモータ5のポンプ側に配置されており、回転軸10に固定されている。インバータ6の冷却フィン18は、モータカバー7の第1の開口部7aを覆うように配置されている。冷却ファン8はモータカバー7の内側に配置されており、モータカバー7の第2の開口部7bは冷却ファン8の下方に位置している。モータカバー7の下部にはブラケット19が固定されている。
【0137】
冷却ファン8を回転させると、第2の開口部7bから空気が取り込まれ、空気はモータ5とモータカバー7との隙間をインバータ6に向かって流れる。このとき、空気の流れは冷却フィン13に接触し、これによりモータ5を冷却する。空気は第1の開口部7aから流出してインバータ6の冷却フィン18に接触し、これによりインバータ6を冷却する。さらに空気はモータカバー7と遮熱カバー41との間を流れ、遮熱カバー41の下端開口およびルーバー42から外部に排出される。
【0138】
なお、上述したポンプ装置は、ポンプの回転軸が縦方向に延びる、いわゆる縦置型ポンプ装置である。このタイプのポンプ装置は、設置面積やフットプリントが小さくなるという利点を有する。しかしながら、本発明はこれに限らず、横置き型のポンプ装置であってもよい。
【0139】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0140】
1 ポンプ
2 モータ組立体
5 モータ
4 ファン機構
6 インバータ
7 カバー
8 冷却ファン
10 回転軸
13 冷却フィン
15 パワースイッチング素子
16 制御基板
18 冷却フィン
21 ガイド部材
23 吸音材または制振材
24 冷却ジャケット
25 流入ライン
26 流出ライン
41 遮熱カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプに連結されるモータと、
前記モータの側部に固定され、冷却フィンを有するインバータと、
前記インバータの内部に配置され、前記インバータの内部の気体を攪拌するファン機構と、
前記モータの回転軸に取り付けられ、前記モータの反ポンプ側に配置された冷却ファンと、
前記モータの少なくとも一部と前記冷却ファンとを覆い、前記モータと隙間を介して配置されたカバーと、
前記モータと前記カバーとの間の隙間に配置された少なくとも1つのガイド部材とを備え、
前記ガイド部材は、前記冷却ファンからの気体を前記インバータの冷却フィンに導く形状を有していることを特徴とするモータ組立体。
【請求項2】
前記インバータは、パワースイッチング素子と、該パワースイッチング素子を収容するボックスとを有し、
前記パワースイッチング素子は、前記ボックスの内面に接触しており、
前記冷却フィンは、前記パワースイッチング素子が接触する前記ボックスの内面と反対側に位置する外面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ組立体。
【請求項3】
前記ガイド部材によって導かれた気体を、前記冷却フィンに集中させる補助ガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータ組立体。
【請求項4】
前記インバータは、パワースイッチング素子と、該パワースイッチング素子を収容するボックスとを有し、
前記パワースイッチング素子は、前記ボックスの内面に接触しており、
前記パワースイッチング素子が接触する前記ボックスの内面と反対側に位置する外面には、前記ポンプから供給される液体が流れる冷却ジャケットが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ組立体。
【請求項5】
前記カバーの内面には、吸音材または制振材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ組立体。
【請求項6】
前記カバーに覆われていない前記モータの側面には、冷却フィンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ組立体。
【請求項7】
前記回転軸に取り付けられ、前記モータのポンプ側に配置された第2の冷却ファンと、
前記第2の冷却ファンを囲むファンカバーとをさらに備え、
前記ファンカバーは、前記第2の冷却ファンから前記モータの側面に沿って前記ガイド部材に向かう気体の流れを形成する形状を有することを特徴とする請求項1に記載のモータ組立体。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモータ組立体と、
前記モータ組立体に連結されたポンプとを備えたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項9】
ポンプと、
前記ポンプに連結されたモータと、
前記モータの回転軸に取り付けられ、前記モータの反ポンプ側に配置された冷却ファンと、
前記モータ、前記冷却ファン、および前記ポンプを覆うカバーと、
前記カバーの内面に取り付けられた吸音材または制振材とを備えたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項10】
前記吸音材または制振材は前記モータの側面を覆う形状を有していることを特徴とする請求項9に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記吸音材はサイレンサ構造を有することを特徴とする請求項9に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記冷却ファンは、予め用意された第1の軸流ファンおよび第2の軸流ファンであり、前記第1の軸流ファンおよび前記第2の軸流ファンは、同一の回転方向で気体の流れ方向が互いに逆となるように、異なる翼角度を有することを特徴とする請求項9に記載のポンプ装置。
【請求項13】
前記冷却ファンは、同一の回転方向で気体の流れ方向を逆にすることができるように、翼角度が可変に構成されていることを特徴とする請求項9に記載のポンプ装置。
【請求項14】
請求項12に記載のポンプ装置の運転方法であって、
前記ポンプ装置の周囲の気温が、前記ポンプ装置によって移送される液体の温度よりも低い場合には、前記第1の軸流ファンを用いて前記モータから前記ポンプに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成し、
前記ポンプ装置の周囲の気温が前記液体の温度よりも高い場合には、前記第2の軸流ファンを用いて前記ポンプから前記モータに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載のポンプ装置の運転方法であって、
前記ポンプ装置の周囲の気温が、前記ポンプ装置によって移送される液体の温度よりも低い場合には、前記冷却ファンにより前記モータから前記ポンプに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成し、
前記ポンプ装置の周囲の気温が前記液体の温度よりも高い場合には、前記冷却ファンにより前記ポンプから前記モータに向かう前記気体の流れを前記カバー内に形成することを特徴とする方法。
【請求項16】
ポンプに連結されるモータと、
前記モータの側部に固定され、冷却フィンを有するインバータと、
前記インバータの内部に配置され、前記インバータの内部の気体を攪拌するファン機構と、
前記モータの回転軸に取り付けられた冷却ファンと、
前記冷却ファンの近傍に配置された熱交換器と、
前記ポンプによって昇圧された液体を前記熱交換器に導く液体供給ラインと、
前記熱交換器に導かれた液体を前記ポンプに戻す液体戻りラインと、
前記モータの少なくとも一部と前記冷却ファンとを覆い、前記モータと隙間を介して配置されたカバーとを備え、
前記熱交換器は、前記冷却ファンにより生じる気流と前記ポンプからの液体との間で熱交換を行うように構成されており、
前記液体戻りラインは、前記インバータを貫通して延びていることを特徴とするモータ組立体。
【請求項17】
前記モータと前記カバーとの間の隙間に配置された少なくとも1つのガイド部材をさらに備え、
前記ガイド部材は、前記冷却ファンからの気体を前記インバータの冷却フィンに導く形状を有していることを特徴とする請求項16に記載のモータ組立体。
【請求項18】
前記カバーの内面には、吸音材または制振材が取り付けられていることを特徴とする請求項16に記載のモータ組立体。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか一項に記載のモータ組立体と、
前記モータ組立体に連結されたポンプとを備えたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項20】
ポンプに連結されるモータと、
前記モータの側部に固定され、冷却フィンを有するインバータと、
前記インバータの内部に配置され、前記インバータの内部の気体を攪拌するファン機構と、
前記モータのポンプ側に配置され、前記モータの回転軸に取り付けられた冷却ファンと、
前記モータの少なくとも一部と前記冷却ファンとを覆い、前記モータと隙間を介して配置されたカバーとを備え、
前記インバータの冷却フィンの少なくとも一部は、前記モータに近接して配置されていることを特徴とするモータ組立体。
【請求項21】
前記モータと前記カバーとの間の隙間に配置された少なくとも1つのガイド部材をさらに備え、
前記ガイド部材は、前記冷却ファンからの気体を前記インバータの冷却フィンに導く形状を有していることを特徴とする請求項20に記載のモータ組立体。
【請求項22】
前記ガイド部材によって導かれた気体を、前記冷却フィンに集中させる補助ガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項21に記載のモータ組立体。
【請求項23】
前記インバータは、パワースイッチング素子と、該パワースイッチング素子を収容するボックスとを有し、
前記パワースイッチング素子は、前記ボックスの内面に接触しており、
前記冷却フィンは、前記パワースイッチング素子が接触する前記ボックスの内面と反対側に位置する外面に設けられていることを特徴とする請求項20に記載のモータ組立体。
【請求項24】
前記インバータは、パワースイッチング素子と、該パワースイッチング素子を収容するボックスとを有し、
前記パワースイッチング素子は、前記ボックスの内面に接触しており、
前記パワースイッチング素子が接触する前記ボックスの内面と反対側に位置する外面には、前記ポンプから供給される液体が流れる冷却ジャケットが取り付けられていることを特徴とする請求項20に記載のモータ組立体。
【請求項25】
前記カバーの内面には、吸音材または制振材が取り付けられていることを特徴とする請求項20に記載のモータ組立体。
【請求項26】
請求項20乃至25のいずれか一項に記載のモータ組立体と、
前記モータ組立体に連結されたポンプとを備えたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項27】
ポンプに連結されるモータと、
インバータと、
前記インバータの内部に配置され、前記インバータの内部の気体を攪拌するファン機構と、
前記モータの回転軸に取り付けられた冷却ファンと、
前記モータの側面を覆うモータカバーと、
少なくとも前記インバータを覆う遮熱カバーとを備え、
前記モータカバーは、その反ポンプ側端部に形成された第1の開口部と、ポンプ側端部に形成された第2の開口部とを有しており、
前記遮熱カバーの壁にはルーバーが設けられていることを特徴とするモータ組立体。
【請求項28】
前記遮熱カバーの表面には遮熱塗料が塗布されていることを特徴とする請求項27に記載のモータ組立体。
【請求項29】
前記インバータは前記モータの反ポンプ側に配置されており、
前記遮熱カバーは、前記インバータおよび前記モータカバーを覆っていることを特徴とする請求項27に記載のモータ組立体。
【請求項30】
前記冷却ファンは、前記インバータと前記モータとの間に配置されており、
前記モータおよび前記冷却ファンは、前記モータカバーによって覆われており、
前記インバータは、前記モータに向かって突起する冷却フィンを有しており、
前記冷却フィンは、前記第1の開口部を覆うように前記モータカバーに接触していることを特徴とする請求項29に記載のモータ組立体。
【請求項31】
前記冷却ファンは、前記インバータと前記モータとの間に配置されており、
前記モータおよび前記冷却ファンは、前記モータカバーによって覆われており、
前記インバータは、前記モータに向かって突起する冷却フィンを有しており、
前記インバータは、前記第1の開口部を密閉するように配置されており、
前記インバータは、前記モータカバーの内部空間と外部空間とを連通する貫通孔を有していることを特徴とする請求項29に記載のモータ組立体。
【請求項32】
前記インバータは、前記冷却ファンと前記モータとの間に配置されており、
前記インバータは、前記第1の開口部を密閉するように配置されており、
前記インバータは、前記モータカバーの内部空間と外部空間とを連通する貫通孔を有していることを特徴とする請求項29に記載のモータ組立体。
【請求項33】
前記冷却ファンは、前記モータのポンプ側に配置されており、
前記インバータは、前記モータに向かって突起する冷却フィンを有しており、
前記冷却フィンは、前記第1の開口部を覆うように前記モータカバーに接触していることを特徴とする請求項29に記載のモータ組立体。
【請求項34】
前記インバータは、パワースイッチング素子と、該パワースイッチング素子を収容するボックスとを有し、
前記パワースイッチング素子は、前記ボックスの内面に接触しており、
前記冷却フィンは、前記パワースイッチング素子が接触する前記ボックスの内面と反対側に位置する外面に設けられていることを特徴とする請求項27に記載のモータ組立体。
【請求項35】
前記インバータは、パワースイッチング素子と、該パワースイッチング素子を収容するボックスとを有し、
前記パワースイッチング素子は、前記ボックスの内面に接触しており、
前記パワースイッチング素子が接触する前記ボックスの内面と反対側に位置する外面には、前記ポンプから供給される液体が流れる冷却ジャケットが取り付けられていることを特徴とする請求項27に記載のモータ組立体。
【請求項36】
前記モータカバーの内面には、吸音材または制振材が取り付けられていることを特徴とする請求項27に記載のモータ組立体。
【請求項37】
請求項27乃至36のいずれか一項に記載のモータ組立体と、
前記モータ組立体に連結されたポンプとを備えたことを特徴とするポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公開番号】特開2012−110151(P2012−110151A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257856(P2010−257856)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】