説明

モータ

【課題】ロータの回転を検出するセンサを備えている構造において、センサが存在することで、軸方向における寸法が大きくならない構造のモータを提供する。
【解決手段】円環状のホルダ600に、丸めたフレキシブルな回路基板500を収め、このホルダ600をステータコア102に装着されるインシュレータ400の内側に取り付ける。回路基板500には、ロータの回転を検出するセンサである磁気センサ501が搭載されている。フレキシブル基板を丸めたものを回路基板501とし、それをインシュレータ400の内側に取り付けることで、軸方向における寸法の増大が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの回転を検出するセンサの配置に特徴のあるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータの回転をセンサで検出する構造を有したモータが知られている。例えば、特許文献1には、モータハウジングの軸線方向の一端のエンドカバー側にプリント基板が固定され、このプリント基板にロータの回転を検出するセンサが取付けられる構造が開示されている。この構造において、プリント基板は、その基板面に垂直な方向が軸方向となる向きで取り付けられている。また、特許文献2には、ロータマグネットの端面(軸方向の側における面)に対向して配置されるセンサが取付けられた回路基板が、ステータコアに取り付けられるインシュレータに固定された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−353052号公報
【特許文献2】特開2011−167054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行文献1に示す構造は、センサを載せたプリント基板をロータの軸方向外側に配置している。この構造は、プリント基板がある分、モータの軸方向における寸法が大きくなり、モータの小型化に不利となる。特許文献2に示す構造は、インシュレータの内側にセンサが配置されるが、インシュレータは軸方向に長く延在しており、その内側において、センサはロータマグネットから軸方向に離れた位置に配置される。このため、センサの配置に必要な寸法に加えて、センサとロータとの間の隙間距離をプラスした分、センサがロータから軸方向に飛び出す部分が必要となり、モータの軸方向における寸法が大きくなる。
【0005】
また、ロータの軸方向の側にセンサを配置する構造は、ロータ端面の平面度を確保することが困難(あるいはできたとしても高コスト)であることから、検出値の誤差が大きくなるという問題がある。また、ロータの軸方向の側にセンサを配置する構造は、ロータマグネットの軸方向への漏れ磁束をセンサで検出することになるので、センサが検出する磁束が弱く、センサから出力される検出信号のS/N比が低い問題もある。
【0006】
このような背景において、本発明は、ロータの回転を検出するセンサを備えている構造において、センサが存在することで、軸方向における寸法が大きくならない構造のモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、軸中心の方向に向かって延在した複数の突極を有したステータコアと、前記複数の突極に装着されたインシュレータと、前記インシュレータを介して前記複数の突極のそれぞれに巻回された複数の固定子コイルと、前記複数の突極の軸中心の側において、前記ステータコアに対して回転自在な状態で保持されたロータと、前記ロータの外周に配置されたロータマグネットと、前記ロータの回転を検出する回転検出手段と、前記インシュレータに取り付けられ、前記ロータが収容された空間を囲む形状に丸められて配置された基板とを備え、前記回転検出手段は、前記丸められた基板の内周面に配置されていていることを特徴とするモータである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、回転検出手段がロータを収容する空間を囲む形状に丸められて配置された基板の内周面側(軸中心側)に配置されているので、ロータの外周側に回転検出手段が配置される。このため、センサが存在することで、軸方向における寸法が大きくならない構造のモータが提供される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記回転検出手段が前記ロータマグネットの軸中心から離れる方向の外周面に対向していることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記丸められた形状を有する基板は、帯状のフレキシブル基板を丸めたものであることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、簡素な構造で発明を実現することができる。フレキシブル基板(フレキシブルプリント基板:FPC(Flexible printed circuits))としては、ポリイミド等のフレキシブルな絶縁材料を用いたものを利用することができる。なお、丸められたフレキシブル基板は、閉じた環状とされていても良いし、閉じていない状態であってもよい。つまり、丸められたフレキシブル基板は、一部が欠けた円環形状であってもよい。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記丸められた基板を保持する保持部材を有し、前記保持部材は、その外周に設けられた複数の係合部が前記インシュレータの内側に係合することで、前記インシュレータに固定されることを特徴とする。請求項4に記載の発明によれば、簡素な構造により当該基板をインシュレータに保持させることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明おいて、前記保持部材は、外周側筒部、内周側筒部および前記外周側筒部と前記内周側筒部との間の隙間空間を備えており、前記丸められた基板が前記隙間空間に納められていることを特徴とする。請求項5に記載の発明によれば、丸めた基板を保持しやすい構造が得られる。
【0013】
特に基板としてフレキシブルな基板を用いた場合、基板自体の剛性は低いが、上記の隙間空間に収められることで、当該基板をしっかりと保持することができる。回転検出手段は、その配置位置の精度が検出精度に影響するので、振動等により基板の変形や位置のズレが生じることは好ましくない。請求項5に記載の構成によれば、基板が隙間空間に収められることで、振動等により基板の変形や位置のズレが生じ難い構造が得られる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記保持部材がプラスチック樹脂により構成されていることを特徴とする。請求項5に記載の発明によれば、保持部材を低コストで得ることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発明において、前記丸められた基板は、前記固定子コイルの回転中心の側における前記インシュレータの部分に保持されていることを特徴とする。請求項7に記載の発明によれば、丸められた基板がよりロータに近い位置で保持されるので、回転検出手段によるロータの回転検出の精度をより高くできる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発明において、前記回転検出手段の軸方向における位置は、前記複数の固定子コイルの軸方向における位置と少なくとも一部で重なる位置であることを特徴とする。請求項8に記載の発明によれば、軸に垂直な方向から見て、回転検出手段が固定子コイルから軸方向に突出する寸法が抑えられる。このため、回転検出手段を配置することで生じる軸方向の寸法の増大が抑えられる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発明において、前記回転検出手段は、磁気センサであることを特徴とする。磁気センサとしては、ホールIC,ホールセンサおよびMRセンサを挙げることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロータの回転を検出するセンサを備えている構造において、センサが存在することで、軸方向における寸法が大きくならない構造のモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態のモータの側断面図(A)、(A)の一部拡大図(B)、(A)の一部拡大図(C)、および背面図(D)である。
【図2】実施形態のモータの一部を軸方向で分解した分解斜視図である。
【図3】図2に示す部品を組み合わせ、結合した状態の斜視図である。
【図4】回路基板とホルダを軸方向で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(構成)
図1には、実施形態であるモータ100が示されている。図1(A)には、モータ100を軸方向で切断した断面の状態が示され、図1(B)には、(A)におけるBの部分を拡大したものが示され、図1(C)には、(A)におけるCの部分を拡大したものが示されている。また、図1(D)には、(A)における右方向から見た背面の状態が示されている。なお、(D)には、エンドキャップ103および転がり軸受112を取り外し、内部が見える状態が示されている。また、図2には、モータ100の一部(ロータ以外のステータの部分)を軸方向で分解した分解斜視図が示され、図3には、図2に示す部品を組み合わせ、結合した状態の斜視図が示されている。
【0021】
モータ100は、モータの筐体の一部を構成するハウジング101を備えている。ハウジング101は、中央にシャフト111を通す孔が開いた略円板状の円板部101aと、この円板部101aの縁の部分から軸方向に延在する略筒状の円筒部101bを有している。ハウジング101の円筒部101bの内側には、ステータコア102が固定されている。ステータコア102は、電磁鋼板を打抜き加工した薄板状のものを積層した構造を有している。
【0022】
図2には、ステータコア102の外観が示されている。ステータコア102の材質や構造は、通常のモータと同じであるが、以下簡単に説明する。図2に示すように、ステータコア102は、円筒形状の円筒部201と、複数の突極202を備えている。突極202は、円筒部201の内側から軸中心の方向に延在した延在部203、延在部203の先端の部分にあり、周方向に薄く広がって延在した先端部204、先端部204の軸中心の側にあり、後述するロータの外周に沿った曲面の形状を有した突極面205を有している。
【0023】
図1に示すように、ステータコア102は、軸方向における一方の端部付近がハウジング101の円筒部101bの内側に固定され、軸方向における他方の端部付近がエンドキャップ103の内側に固定されている。エンドキャップ103は、略円板状の円板部103aと、この円板部103aの縁の部分から軸方向に延在する略筒状の円筒部103bを有している。この円筒部103bの内側にステータコア102が固定されている。
【0024】
図2に示すように、ステータコア102には、軸方向の前後から樹脂性のインシュレータ300および400が装着される。複数ある突極202には、図1の符号105で示される固定子コイルが巻回されるのであるが、この固定子コイル105を構成するマグネットワイヤとステータコア102との導通を防ぐために、インシュレータ300,400が使用される。
【0025】
インシュレータ300は、軸方向に延在した筒部302を複数備えている。筒部302は、軸方向に延在するスリット301を有し、軸方向に突出した構造を有する断面が略台形の形状を有している。複数の筒部302のそれぞれは、隣接する2つの突極202の間に形成された複数の隙間206のそれぞれに図2の下の方向から差し込まれ、インシュレータ300がステータコア102に結合される。
【0026】
インシュレータ400のステータコア102の側にもインシュレータ300と同様に、スリット401が形成された筒部402が複数設けられている。そして、複数の筒部402のそれぞれが、隣接する2つの突極202の間に形成された複数の隙間206のそれぞれに図の上の方向から差し込まれ、インシュレータ400がステータコア102に結合される。
【0027】
また、周方向に沿って複数が配置された筒部302,402は、交互にその先端部が雄型a,雌型bを有しており、上下から筒部302,402の雄型aと雌型bとが結合する。この構造により、突極202における延在部203の周囲と先端部204の突極面205以外の部分がインシュレータ300,400を構成する樹脂材料により覆われる。そして、図1に示すように、ステータコア102にインシュレータ300,400が装着された状態において、複数ある突極202(図2参照)のそれぞれにマグネットワイヤが巻回され、固定子コイル105が形成される。この構造においては、インシュレータ300,400により、ステータコア102と固定子コイル105との間の電気絶縁性が確保されている。
【0028】
インシュレータ400には、回路基板500を保持する保持部であるホルダ600が装着されている。図4には、回路基板500とホルダ600を軸方向で切断した断面図が示されている。図4には、回路基板500とホルダ600とを軸方向で離した状態が示されている。図4に示すように、ホルダ600は、外側に位置する軸方向の長さの短い円筒形状の部材である外周側筒部600a、外周側筒部600aとの間で隙間を有した状態で内側に位置する軸方向の長さの短い円筒形状の部材である内周側筒部600bを有している。外周側筒部600aと内周側筒部600bとの間の隙間の空間は、隙間空間602とされている。隙間空間602は、軸方向の一方が開放された開放部601とされた円環状の内部空間を構成している。図2および図4に示すように、内周側筒部600bの内周面には、切り欠き部603が設けられ、この部分において、隙間空間602が露出している。切り欠き部603は、軸方向から見た等角な角度位置に3箇所(120°毎の角度位)に設けられている。なお、複数の切り欠き部603それぞれの軸方向から見た位置を、等角でない位置に設けることも可能である。また、ホルダ600は、プラスチック樹脂を用いた射出成形により製造されている。
【0029】
回路基板500は、帯状のフレキシブルなプリント基板に磁気センサ501を搭載し、磁気センサ501の搭載面側を内側にして円筒状に丸めた状態とされている。図からは明らかでないが、磁気センサ501は3個あり、軸方向から見た等角な角度位置(120°毎の角度位置)に配置されている。なお、複数の磁気センサ501それぞれの軸方向から見た位置を、等角でない位置とすることも可能である。また、回路基板500には、磁気センサへの配線パターンが形成されている。図では、回路基板500が閉じた環状に丸められている状態が示されているが、端部が閉じていない状態で丸められていてもよい。回路基板500は、丸められた状態で、ホルダ600の隙間空間602に開放部601から挿入され、その内部に収容される。回路基板500が隙間空間602に収められることで、回路基板500のホルダ600への保持が行われている。回路基板500がホルダ600に保持された状態において、磁気センサ501が切り欠き部603からホルダ600の軸中心の方向に露出する。これは、他の磁気センサについても同じである。
【0030】
回路基板500を保持したホルダ600は、インシュレータ400の内側の部分に取り付けられる。以下、ホルダ600をインシュレータ400に取り付ける構造について説明する。ホルダ600の外周面には、鉤型の係合部604が設けられている。軸方向から見て、係合部604は、等角な3箇所(120°毎の角度位置)に設けられている。なお、複数の係合部604それぞれの軸方向から見た位置を、等角でない位置とすることも可能である。係合部604は、インシュレータ400に設けられた段差部404に引っ掛かり、そこに係合する。この係合により、ホルダ600がインシュレータ400に固定される。
【0031】
より詳細に説明すると、まず、インシュレータ400は、隣接する2つの筒部402の間において、筒部402と逆の方向に突出する複数の突出部403を備えている(図1および図2参照)。そして、突出部403の軸中心の側には、段差部404が設けられている。電子基板500を保持したホルダ600は、図2の軸方向上の方向からインシュレータ400の周方向に配列した複数の突出部403の内側に挿入されている。この構造では、ホルダ600を、図2の軸方向上の方向から複数の突出部403の内側に挿入した際に、段差部404にホルダ600の係合部604が軸方向で引っ掛かる。この状態においてホルダ600の開放部601(図4参照)の側の縁は、ステータコア102(正確には、先端部204の軸方向における側面)に接触する(図1参照)。こうして、電子基板500を保持したホルダ600は、ステータコア102に軸方向から接触した状態で、段差部404に係合部604が引っ掛かった状態となり、ステータコア102およびインシュレータ400に対して固定される。
【0032】
回路基板500を保持したホルダ600をインシュレータ400に固定した状態において、磁気センサ501は切り欠き部603からロータ109の側に露出し、ロータマグネット114に対向する。
【0033】
また、図1に示すように、回路基板500は、磁気センサ501からのリード線となるリード部502が一体化されており、このリード部502は、モータ100の外部に引き出されている。また、固定子コイル105のリード線106も同様にモータ100の外部に引き出されている。
【0034】
ハウジング101の円板部101aには、転がり軸受110を介して、回転する軸となるシャフト111が回転自在な状態で保持されている。また、エンドキャップ103の円板部103aには、転がり軸受112を介して、シャフト111が回転自在な状態で保持されている。また、転がり軸受112とエンドキャップ103の円板部103aとの間には、ウェーブワッシャ115が入れられている。シャフト111には、ロータ109が固定されている。ロータ109は、中心にシャフト111が固定された略円柱形状のロータ部材113、ロータ部材113の外周に固定された厚みの薄い円筒形状を有するロータマグネット114により構成されている。ロータマグネット114は、周方向において交互に極性が反転する複数の磁極を有する状態に着磁された永久磁石である。このように、ロータマグネット114は、突極面205(図2参照)に隙間を有した状態で対向する位置に配置され、ロータマグネット114を備えたロータ109は、ステータコア102の内側に回転が自在な状態で保持されている。
【0035】
(優位性)
磁気センサ501をフレキシブルな回路基板500に搭載し、この回路基板500を丸めて円筒形状のホルダ600の内部に装着し、このホルダ600をステータコア102に装着されたインシュレータ400の内側に取り付けることで、センサがあっても軸方向における寸法が大きくならないモータの構造が得られる。すなわち、磁気センサを搭載した回路基板が軸方向に突出する距離を抑えることができる。
【0036】
また、磁気センサ501が軸中心の方向に面しているので、ロータマグネット114の磁束を効率よく高精度に検出することができる。仮に、磁気センサが軸方向に向いており、軸方向側からロータマグネットの磁力を検出する構造であると、ロータマグネットの漏洩磁束を検出することになるので、検出の精度が低くなる。またこの場合、先の検出する磁束が弱いことに加えて、ロータマグネットの軸方向端面の寸法精度の点からロータの回転角と磁束の変化の対応関係に誤差が生じ易くなり、ロータの角度検出の精度が低くなる。
【0037】
また、ホルダ500は簡素な構造であり、その内側の隙間空間602に丸めた回路基板500を納めることで、部品点数が少なく、また簡素な構造でありながら、しっかりと回路基板500を保持する構造とできる。また、フレキシブルな回路基板500は、配線の引き出し部分となるリード部502が一体化されたものとでき、このリード部502を外部に引き出すことで、接続端子等を用いることなく、磁気センサ501に接続される配線の構造を簡素化できる。
【0038】
図1に示されるように、磁気センサ501は、ロータマグネット114の軸中心から離れる方向の外周面に対向して配置されている。この構造により、ロータマグネット114の磁力を磁気センサ501により検出する精度が高くなる。
【0039】
磁気センサ501の軸方向における位置は、固定子コイル105の軸方向における位置と少なくとも一部で重なる位置にある。この構造により、磁気センサ501を配置することによるモータ100の軸方向における寸法の増大が抑えられている。
【0040】
また、丸められた回路基板500は、固定子コイル105の回転中心の側に位置するインシュレータ400の突出部403部分の内側に保持されている。この構造によれば、回路基板500がよりロータ109(ロータマグネット114)に近い位置で保持されるので、磁気センサ501によるロータ109の回転検出の精度をより高くできる。また、ロータ109とインシュレータ400との間の隙間のスペースに、丸められた回路基板500を配置しているので、スペースが効率よく利用され、高い集積度が得られている。
【0041】
(その他)
係合部604が段差部404に引っ掛かった状態において、周方向への遊び(つまり周方向に移動できる程度の寸法の余裕)がある構造としてもよい。この構造によれば、回路基板500を保持したホルダ600をインシュレータ400に取り付けた状態において、ホルダ600を少し回転させ、磁気センサ501の周方向における位置を微調整することができる。
【0042】
一般に、大量生産を行う場合、ロータマグネット114の磁力のばらつき、着磁状態のばらつき、その他部品精度のばらつきや組み立て精度のばらつきに起因して、個体毎における磁気センサ501の出力信号の精度にばらつきが生じる。上述した磁気センサ501の周方向における位置を微調整できる構造とすることで、上記の問題に簡単に対応することができる。なお、調整が終了した段階における磁気センサ501の周方向における位置の固定は、ホルダ600とインシュレータ400とを接着剤によって固定することで行えばよい。
【0043】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、モータに利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100…モータ、101…ハウジング、101a…円板部、101b…円筒部、102…ステータコア、103…エンドキャップ、103a…円板部、103b…円筒部、105…固定子コイル、106…リード線、109…ロータ、110…転がり軸受、111…シャフト、112…転がり軸受、113…ロータ部材、114…ロータマグネット、115…ウェーブワッシャ、201…円筒部、202…突極、203…延在部、204…先端部、205…突極面、206…隣接する突極の間に形成された隙間、300…インシュレータ、301…スリット、302…円筒部、400…インシュレータ、401…スリット、402…筒部、403…突出部、404…段差部、500…回路基板、501…磁気センサ、503…リード部、600…ホルダ、600a…外周側筒部、600b…内周側筒部、601…開放部、602…隙間空間、603…切り欠き部、604…係合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸中心の方向に向かって延在した複数の突極を有したステータコアと、
前記複数の突極に装着されたインシュレータと、
前記インシュレータを介して前記複数の突極のそれぞれに巻回された複数の固定子コイルと、
前記複数の突極の軸中心の側において、前記ステータコアに対して回転自在な状態で保持されたロータと、
前記ロータの外周に配置されたロータマグネットと、
前記ロータの回転を検出する回転検出手段と、
前記インシュレータに取り付けられ、前記ロータが収容された空間を囲む形状に丸められて配置された基板と
を備え、
前記回転検出手段は、前記丸められた基板の内周面に配置されていていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記回転検出手段が前記ロータマグネットの軸中心から離れる方向の外周面に対向していることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記丸められた形状を有する基板は、帯状のフレキシブル基板を丸めたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記丸められた基板を保持する保持部材を有し、
前記保持部材は、その外周に設けられた複数の係合部が前記インシュレータの内側に係合することで、前記インシュレータに固定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記保持部材は、外周側筒部、内周側筒部および前記外周側筒部と前記内周側筒部との間の隙間空間を備えており、
前記丸められた基板が前記隙間空間に納められていることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記保持部材がプラスチック樹脂により構成されていることを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記丸められた基板は、前記固定子コイルの回転中心の側における前記インシュレータの部分に保持されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記回転検出手段の軸方向における位置は、前記複数の固定子コイルの軸方向における位置と少なくとも一部で重なる位置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項9】
前記回転検出手段は、磁気センサであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110846(P2013−110846A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253782(P2011−253782)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】