説明

モータ

【課題】ブラシ側端子の挿入部の厚さを確保しつつも、ブラシホルダの大型化を抑えることが可能なモータを提供する。
【解決手段】コネクタ側端子56は、コネクタ部4の組付方向Xと直交する方向(モータ厚み方向)に並ぶ一対の弾性接続片62を有する二股形状をなし、コネクタ部4がギヤハウジングに対して組み付けられることで給電用ターミナル35の挿入部35bが一対の弾性接続片62の間に挿入されて、各弾性接続片62が自身の弾性力によって挿入部35bに圧接するように構成される。そして、給電用ターミナル35の挿入部35bは、金属板材を各弾性接続片62の並設方向に複数重ね合わせて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパワーウインド装置等の駆動源として用いられるモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のモータにおいて、整流子に対する電力供給用の給電ブラシ及び該給電ブラシと電気的に接続されたブラシ側端子を備えたブラシホルダがヨークハウジングの軸方向出力側端部に設けられたモータ部と、ヨークハウジングの出力側端部に組み付けられたギヤハウジング内にモータ部の回転駆動力を減速して出力するための減速機構を有する減速部とを備えたものがある。このようなモータでは、電気信号の入力・出力や給電を行うための外部コネクタに接続されるコネクタ部がギヤハウジングに組み付けられ、そのコネクタ部に設けられたコネクタ側端子がモータ部のブラシ側端子と電気的に接続されて外部コネクタから給電ブラシへの給電が可能となっている。
【0003】
ところで、上記のようなモータのコネクタ部において、一対の弾性接続片を有する二股形状のコネクタ側端子を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。このようなモータでは、コネクタ部がギヤハウジングに対して組み付けられることで、ブラシ側端子が一対の弾性接続片の間に挿入されて、各弾性接続片が自身の弾性力によってブラシ側端子に圧接されるようになっている。これにより、コネクタ部をギヤハウジングに組み付けるだけで、コネクタ側端子とブラシ側端子との電気的接続が可能となるため、モータの組み付け工程の簡素化が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6530796号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のようなモータでは、ブラシ側端子は、金属板材からプレス打ち抜きにより成形されるものであり、そのブラシ側端子においてコネクタ側端子に挿入される挿入部は、一対の弾性接続片によって板厚方向に弾性的に挟まれるように構成されている。このため、ブラシ側端子の挿入部の板厚が薄いと弾性接続片が挿入部を挟む力が小さくなり、その結果、接続不良が生じる虞がある。しかしながら、ブラシ側端子に板厚の厚い金属板材を用いると、ブラシホルダの大型化に繋がってしまい、この点においてなお改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ブラシ側端子の挿入部の厚さを確保しつつも、ブラシホルダの大型化を抑えることが可能なモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、整流子に対する電力供給用の給電ブラシ及び該給電ブラシと電気的に接続されたブラシ側端子を備えたブラシホルダがヨークハウジングの出力側端部に設けられたモータ部と、前記ヨークハウジングの前記出力側端部に組み付けられたギヤハウジング内に前記モータ部の回転駆動力を減速して出力するための減速機構を有する減速部と、前記ブラシ側端子と電気的に接続されるコネクタ側端子を有し、前記ギヤハウジングに対して軸直交方向から組み付けられたコネクタ部とを備えたモータであって、前記コネクタ側端子は、前記コネクタ部の組付方向と直交する方向に並ぶ一対の弾性接続片を有する二股形状をなし、前記コネクタ部が前記ギヤハウジングに対して組み付けられることで前記ブラシ側端子の挿入部が一対の前記弾性接続片の間に挿入されて、前記各弾性接続片が自身の弾性力によって前記挿入部に圧接するように構成され、前記ブラシ側端子の前記挿入部は、金属板材を前記各弾性接続片の並設方向に複数重ね合わせて構成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明では、ブラシ側端子の挿入部は、金属板材を各弾性接続片の並設方向に複数重ね合わせて構成されるため、ブラシ側端子の挿入部の厚さを確保してコネクタ側端子との間の接続不良を抑制しつつも、ブラシ側端子における挿入部以外の部位に関しては板厚を薄く構成してブラシホルダの大型化を抑えることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記ブラシ側端子は、1枚の金属板材から成形されるものであり、前記挿入部は、前記金属板材を部分的に折り曲げて重ね合わせて形成されていることを特徴とする。
【0010】
この発明では、折り曲げによって挿入部の厚みを確保しつつもブラシ側端子を1枚の金属板材から成形することができるため、ブラシ側端子を容易に製造することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のモータにおいて、前記挿入部は、前記金属板材の一部を前記各弾性接続片の並設方向に折り曲げて重ね合わされており、該挿入部の折曲端部は、前記コネクタ側端子側を向くように構成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明では、挿入部は、アールがついている折曲端部からコネクタ側端子の各弾性接続片の間に挿入されるため、挿入部と各弾性接続片とを引っ掛かりを抑えてスムーズに接続することができ、これにより、コネクタ部を容易に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
従って、上記記載の発明によれば、ブラシ側端子の挿入部の厚さを確保しつつも、ブラシホルダの大型化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のモータの側面図。
【図2】モータ部及びコネクタ部の側面図。
【図3】モータ部及びコネクタ部をギヤハウジング側から見た平面図。
【図4】ブラシホルダの斜視図。
【図5】コネクタ部を第1開口部側(ギヤハウジング側)から見た側面図。
【図6】コネクタ部の分解斜視図。
【図7】コネクタ側端子及び給電用ターミナルの挿入部を模式的に示す平面図。
【図8】コネクタ側端子及び給電用ターミナルの挿入部を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のモータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられるものである。本実施形態のモータ1は、図1において上部に位置するモータ部2と、モータ部2の出力側(下側)に設けられた減速部3と、減速部3の側方(図1において左側箇所)に組み付けられたコネクタ部4とから構成されている。モータ1は全体として軸直交方向に扁平な形状をなし、軸方向から見て長手方向(図1において左右方向)を扁平方向とし、短手方向(図1において紙面直交方向)を厚さ方向とする。即ち、モータ1の軸方向、扁平方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する方向である。
【0016】
[モータ部の構成]
図1、図2及び図3に示すように、モータ部2のヨークハウジング11(以下、単にヨーク11とする)は、反出力側端部(図1において上側の端部)が閉塞された筒状をなしている。一方、ヨーク11の出力側端部11aはモータ1の軸方向(軸線L1方向)に開口しており、該出力側端部11aには、径方向外側に向かって延びるフランジ部11bが形成されている。このヨーク11の内周面には、図示しないマグネットが固着されるとともに、該マグネットの内側に電機子12が配置されている。
【0017】
電機子12は、ヨーク11の径方向の中央部に配置された円柱状の回転軸13と、該回転軸13に一体回転可能に固定された電機子コア14と、該電機子コア14に巻装されたコイル15と、電機子コア14よりも回転軸13の先端側(図1において下端側)に固定された整流子16とから構成されている。
【0018】
回転軸13の基端部(図1において上側の端部)は、ヨーク11の底部中央に設けられた軸受(図示略)によって軸支されている。また、回転軸13の先端部(図1において下側の端部)は、ヨーク11の出力側端部11aの開口から同ヨーク11の外部に突出している。そして、前記電機子コア14は、回転軸13におけるヨーク11の内部に配置された部分に固定されて前記マグネット(図示略)と径方向に対向している。その一方、前記整流子16は、回転軸13におけるヨーク11の外部に突出した部分に該回転軸13と一体回転可能に外嵌固定されている。
【0019】
また、整流子16は、円筒状をなすとともに、その外周面には、周方向に離間するように複数のセグメント16aが並設されている。一部のセグメント16a若しくは全てのセグメント16aは、前記コイル15に電気的に接続されている。即ち、整流子16のセグメント16aを介してコイル15に電源を供給できるようになっている。
【0020】
[ブラシホルダの構成]
図2、図3及び図4に示すように、モータ部2は、ヨーク11の出力側端部11aに樹脂製のブラシホルダ21を備えている。ブラシホルダ21は、ヨーク11の出力側端部11aの外側に位置する平板状の基部22を有しており、この基部22は、軸直交方向のサイズが出力側端部11aの開口よりも若干大きく形成されている。また、基部22の外縁部には、後述する減速部3のギヤハウジング41とヨーク11との間の液密性を確保するシール部材23が設けられている。シール部材23は、例えばエラストマにて形成されている。
【0021】
図2、図3及び図4に示すように、基部22の中央部には、ヨーク11側に開口する有底円筒状のカバー部24が該基部22と一体に形成されており、そのカバー部24内に整流子16が配置されている。詳述すると、カバー部24は、基部22からヨーク11とは反対方向に軸方向に沿って突出する略円筒状の側壁部24aと、その側壁部24aの軸方向端部(反ヨーク側端部)に一体形成された円形の平板部24bとを有している。側壁部24aは整流子16の径方向外側を覆い、平板部24bは整流子16の軸方向端面を覆っている。平板部24bの中心部には、回転軸13を軸支する軸受24cが設けられており、回転軸13は、先端部がカバー部24から突出するように構成されている。
【0022】
カバー部24には、側壁部24aから径方向外側に延出されたブラシ収容部25が一体形成されている。ブラシ収容部25は、側壁部24aの周方向に90度間隔を空けて一対形成されている。より詳しくは、一対のブラシ収容部25は、扁平方向に沿うブラシホルダ21の中心線L2(図3参照)から周方向両側にそれぞれ45度離れた位置に形成されている。尚、各ブラシ収容部25は、基部22とも一体をなしている。各ブラシ収容部25は、カバー部24の内外を連通する略四角筒状をなし、その内部には、略直方体状の給電ブラシ26が径方向に移動可能に収容されている。給電ブラシ26の先端部(径方向内側端部)は、ブラシ収容部25から側壁部24aの内周側に突出するとともに、カバー部24内の整流子16の外周面に当接するように構成されている。尚、カバー部24は、整流子16との摺接により給電ブラシ26が削れて生じるブラシ粉の落下を抑えている。
【0023】
図3及び図4に示すように、カバー部24の平板部24bには、整流子16とは反対側に突出する平板側突出部27(補強リブ)が一体形成されている。平板側突出部27は、周方向等間隔に奇数個(本実施形態では5個)形成されるとともに、軸受24cが収容された内周端部から外周端部まで径方向に沿って直線状に形成されている。また、カバー部24の側壁部24aには、複数の平板側突出部27のうちの2つの平板側突出部27aから延長された側壁側突出部28が一体形成されている。この側壁側突出部28は、側壁部24aから径方向外側に突出形成されている。尚、平板側突出部27及び側壁側突出部28は、前記ブラシホルダ21の中心線L2に対して線対称となるように形成されている。このような構成によって、カバー部24の平板部24bを単に平板状とした構成に比べて、整流子16と給電ブラシ26との摺接の際に生じるカバー部24の振動が抑えられ、その結果、異音の発生を抑えることが可能となっている。
【0024】
一対のブラシ収容部25の周方向の間には、基部22から軸方向の反ヨーク側(ギヤハウジング41側)に突出する一対の支持柱部31が形成されている。この支持柱部31は、ブラシ収容部25と同様に、前記ブラシホルダ21の中心線L2に対して線対称となるように形成されている。各支持柱部31は断面円形をなし、この各支持柱部31には、給電ブラシ26を径方向内側(即ち、整流子16側)に付勢するトーションばね32のコイル部分が外挿されて保持されている。尚、各支持柱部31は、ギヤハウジング41に対して軸方向及び径方向に当接して、ギヤハウジング41に対する軸方向及び径方向の位置決めの役割をなしている。
【0025】
ブラシホルダ21において、ブラシ収容部25及び支持柱部31の配置箇所を扁平方向一方側として、その反対の扁平方向他方側には、一対の保持壁部33が前記ブラシホルダ21の中心線L2に対して線対称の位置にそれぞれ形成されている。一対の保持壁部33にはそれぞれ、チョークコイル34が保持されている。また、一対の保持壁部33にはそれぞれ、ブラシ側端子としての給電用ターミナル35が保持されている。尚、チョークコイル34及び給電用ターミナル35は、前記ブラシホルダ21の中心線L2に対して線対称となるように構成されている。また、保持壁部33の扁平方向外側には、断面略半円状の一対の位置決め凸部33aが形成されている。この位置決め凸部33aは、前記支持柱部31と同様に、ギヤハウジング41に対して軸方向及び径方向に当接して、ギヤハウジング41に対する軸方向及び径方向の位置決めの役割をなしている。尚、各位置決め凸部33aと各支持柱部31とは、モータ1の軸線L1に対して点対称となる位置に形成されている。
【0026】
一対の給電用ターミナル35は、一対のチョークコイル34とそれぞれ接続され、そのチョークコイル34は、ピッグテール36を介して一対の給電ブラシ26とそれぞれ電気的に接続されている。尚、一対のチョークコイル34のうちの一方(図3において下側のチョークコイル)は、ブラシホルダ21に保持されたサーミスタ37を介してピッグテール36と電気的に接続されている。また、チョークコイル34は、電機子12に供給する電源に含まれる雑音を除去するための雑防素子である。
【0027】
一対の給電用ターミナル35は、1枚の金属板材から成形されるものであり、チョークコイル34から延びる端子と接続される接続片35aと、後述するコネクタ側端子56と接続される挿入部35bとをそれぞれ備えている。各給電用ターミナル35の挿入部35bは、モータ1の軸方向と平行をなす平面状をなすとともに、金属板材を部分的に折り曲げることでモータ1の厚さ方向に重ね合わせて形成されている(図7参照)。また、挿入部35bにおいて金属板材の折り曲げによって形成された折曲端部35cは、コネクタ側端子56側を向くように構成されている。尚、ブラシホルダ21の製造過程において、各給電用ターミナル35は、一対の保持壁部33間で繋がっており、保持壁部33に固定した後にその繋がっている部位を切断することで各給電用ターミナル35が絶縁されるようになっている。
【0028】
[減速部の構成]
図1に示すように、前記減速部3は、ギヤハウジング41と、該ギヤハウジング41内に収容された減速機構42とを有する。ギヤハウジング41は、ヨーク11のフランジ部11bに固定されるホルダ収容部43と、該ホルダ収容部43から回転軸13の軸線L1方向に沿ってヨーク11と反対方向に延びるウォーム軸収容部44と、ウォーム軸収容部44の扁平方向側方(図1において右側方)に形成されたウォームホイール収容部45とを有する。
【0029】
ギヤハウジング41は、フランジ部11bに軸方向から当接したホルダ収容部43が複数の螺子46にて同フランジ部11bに固定されることにより、ヨーク11に固定されている。ホルダ収容部43の内部には、回転軸13の先端側の部位が入り込むとともに、整流子16が配置されている。更に、ホルダ収容部43の内部には、カバー部24、ブラシ収容部25、各給電用ターミナル35等、ブラシホルダ21におけるヨーク11の出力側端部11aから同ヨーク11の外部に突出した部分が入り込んでいる。
【0030】
ウォーム軸収容部44の内部には、略円柱状のウォーム軸47が収容されている。ウォーム軸47の軸方向の略中央部には、螺子歯状のウォーム部47aが形成されている。そして、ウォーム軸47は、回転軸13と同軸上に配置(互いの中心軸線が一致するように配置)されるとともに、ウォーム軸収容部44の内部でその中心軸線L3を回転中心として回転可能である。また、ウォーム軸47の基端部(図1において上側の端部)は、前記ホルダ収容部43内に配置されたクラッチ48を介して回転軸13の先端部に連結されている。このクラッチ48は、回転軸13の回転駆動力をウォーム軸47に伝達する一方、ウォーム軸47からの回転力を回転軸13に伝達しないように作動するものである。
【0031】
前記ウォームホイール収容部45の内部空間は、前記ウォーム軸収容部44の内部空間と繋がっている。そして、ウォームホイール収容部45の内部には、ウォーム部47aと噛合する円板状のウォームホイール49が収容されている。このウォームホイール49とウォーム軸47とによって前記減速機構42が構成されている。ウォームホイール49の径方向の中央部には、ウォームホイール49の軸方向に沿って延びる出力軸50が同ウォームホイール49と一体回転可能に設けられている。出力軸50の先端部は、ギヤハウジング41の外部に突出するとともに、同出力軸50の先端部には、図示しないウインドレギュレータを介して車両のウインドガラスが連結される。
【0032】
[コネクタ部の構成]
ギヤハウジング41のホルダ収容部43における扁平方向一方側の側部には、コネクタ部4が設けられている。コネクタ部4は、ギヤハウジング41のホルダ収容部43に組み付けられたコネクタハウジング51を備えている。
【0033】
図2、図3、図5及び図6に示すように、コネクタハウジング51は樹脂材料よりなり、その外周面は、モータ1の扁平方向に延びる略四角筒状をなしている。詳しくは、コネクタハウジング51は、扁平方向両側にそれぞれ開口する形状をなし、ギヤハウジング41側の開口部を第1開口部51aとし、その反対側の開口部を第2開口部51bとする。
【0034】
コネクタハウジング51におけるモータ軸方向の両端面にはそれぞれ、第1開口部51aよりも扁平方向にギヤハウジング41側に延出された係止片52が形成されており、その各係止片52がギヤハウジング41のホルダ収容部43の外側面に係止されることにより、コネクタハウジング51がギヤハウジング41に固定されるようになっている。また、各係止片52には、第2開口部51bよりもモータ1の扁平方向外側に突出する位置決め突出部52aが形成されている。
【0035】
コネクタハウジング51の厚さ方向の一側面には、外部接続部53が厚さ方向に延出形成されている。外部接続部53の中央部には、コネクタハウジング51の内部にまで延びる差込み穴53aが凹設されている。この差込み穴53aは、厚さ方向に窪むように凹設されるとともに、その内周面は、該差込み穴53aに差し込まれる図示しない外部コネクタの外形形状に対応した形状をなしている。また、外部接続部53は、略円筒状のコネクタブーツ54によってその外周が囲まれている。このコネクタブーツ54は、差込み穴53a内への水の浸入を防止するためのものである。本実施形態のコネクタブーツ54は、エラストマにて形成されるとともに、コネクタハウジング51に一体成形されている。
【0036】
コネクタハウジング51の第1開口部51a側には、端子保持部55が形成されており、該端子保持部55には、一対のコネクタ側端子56が固定されている。各コネクタ側端子56は、端子保持部55に圧入固定される固定部61(図6参照)を有し、その固定部61には、ギヤハウジング41側に延出された一対の弾性接続片62が形成されている。コネクタ側端子56は、この一対の弾性接続片62によって二股形状のいわゆる音叉端子として構成されている。各弾性接続片62は、モータ1の厚さ方向に並設されるとともに、コネクタ部4の組付方向X(モータ1の扁平方向)の先端側に向かうにつれて軸方向のヨーク11とは反対側に傾斜している。尚、各コネクタ側端子56には、固定部61から弾性接続片62の外側にクランク状に延びる接続端子部63が形成されている。
【0037】
この各コネクタ側端子56の一対の弾性接続片62の間には、ブラシホルダ21の給電用ターミナル35の挿入部35bが挿入されている。そして、各弾性接続片62は、自身の弾性力によって給電用ターミナル35の挿入部35bとモータ厚み方向(弾性接続片62の並設方向)に圧接しており、これにより、各コネクタ側端子56と各給電用ターミナル35とが電気的に接続されている。
【0038】
コネクタハウジング51内において端子保持部55の軸方向下側位置には、扁平四角箱状の制御回路基板70(図6参照)が収容されている。制御回路基板70は、複数の電子部品が実装された回路基板を絶縁性の樹脂材料にて被覆して形成されており、該基板70の板厚方向がモータ1の軸方向と平行となるように配置されている。制御回路基板70は、その長手方向一端部(モータ1の扁平方向における一端部)がコネクタハウジング51の第1開口部51aから突出するように設けられており、その突出した端部には、モータ1の扁平方向に延出する4本の第1基板側端子71a,71bと、2本の第2基板側端子72とが設けられている。
【0039】
図5及び図6に示すように、各第1基板側端子71a,71bと各第2基板側端子72は、同一平面上に配置されるとともに、モータ1の厚さ方向に並設されている。詳しくは、各第1基板側端子71a,71bは、制御回路基板70のモータ厚さ方向における中央よりの位置に設けられ、2つの第2基板側端子72は、その第1基板側端子71a,71bのモータ厚さ方向の両側にそれぞれ設けられている。第2基板側端子72はそれぞれ、コネクタ側端子56の接続端子部63と溶接により電気的に接続されている。
【0040】
また、コネクタハウジング51には、第1開口部51aからモータ1の扁平方向に延出するホールIC保持部57が形成されている。尚、前記制御回路基板70は、ホールIC保持部57の上側に収容されている。図5に示すように、ホールIC保持部57の長手方向先端部(モータ扁平方向の端部)には、軸方向上側及び扁平方向のギヤハウジング41側に開口する保持凹部57aが形成されている。回転検出素子としてのホールIC58は、保持凹部57aに対して軸方向上側から挿入されるとともに、保持凹部57aに形成された弾性片57bによってモータ1の厚さ方向に弾性的に保持されている。このように、ホールIC保持部57の扁平方向先端部にホールIC58が保持されているため、図1に示すように、ホールIC58が回転軸13に対して近接配置されるようになっている。そして、このホールIC58は、ギヤハウジング41内において回転軸13に一体回転可能に設けられたセンサマグネット17と径方向に対向するように構成されている。
【0041】
ホールIC58には、4本のホールIC側端子59が設けられており、各ホールIC側端子59は、ホールIC58から軸方向上側に一旦延びるとともに、そこから扁平方向の反ギヤハウジング側に屈曲するように形成されている。そして、ホールIC側端子59は、制御回路基板70の4本の第1基板側端子71a,71bとそれぞれ接続されている。
【0042】
各第1基板側端子71a,71bは、図3に示すように、制御回路基板70から互いに同一方向(扁平方向のギヤハウジング41側)に延出された延出部74と、延出部74の先端部において該延出部74よりもモータ厚み方向(第1基板側端子71a,71bの並設方向)に幅広に形成された溶接部75とを有している。延出部74の長手方向の寸法(基端部から溶接部75までの長さ)は、1つおきの第1基板側端子71a,71bで等しく設定されている。即ち、第1基板側端子は、長手方向寸法が短い端子群(第1基板側端子71a)と、長手方向寸法が長い端子群(第1基板側端子71b)の2種類の寸法のものが交互に並ぶように構成されている。これにより、各第1基板側端子71a,71bの溶接部75は、隣り合う第1基板側端子71a,71bの溶接部75に対して第1基板側端子71a,71bの延出方向(長手方向)にずれて設けられている。そして、この第1基板側端子71a,71bの溶接部75には、ホールIC側端子59がそれぞれ溶接されて電気的に接続されるようになっている。尚、ホールIC側端子59も第1基板側端子71a,71bに対応して長さが交互に異なるように形成されている。このような構成によって、各第1基板側端子71a,71bの溶接部75がモータ厚み方向(第1基板側端子71a,71bの並設方向)に一列に並ぶ構成と比較して、モータ厚み方向における溶接部75の間隔を大きくとることが可能となり、これにより、溶接の作業性を向上させることが可能となっている。
【0043】
ここで、ホールIC保持部57において溶接部75とモータ軸方向に重なる位置には、軸方向に貫通する略矩形状の溶接用窓部57cが形成されており、各第1基板側端子71a,71bの溶接部75とホールIC側端子59との溶接作業は、溶接用窓部57cを介して行われる。これにより、第1基板側端子71a,71bとホールIC側端子59とを例えば抵抗溶接する際には、電極等の治具を溶接用窓部57cに通して作業することができるため、溶接の作業性を向上させることが可能となっている。また、第1基板側端子71a,71bとホールIC側端子59とを例えば電子ビーム溶接する際には、溶接用窓部57cが溶接部75の軸方向と重なる位置に設けられているため、ホールIC保持部57が電子ビーム溶接の際に生じる熱によって溶解してしまうことを抑制することが可能となっている。
【0044】
図6に示すように、制御回路基板70において第1基板側端子71a,71b及び第2基板側端子72とは反対側の端部には、複数の第3基板側端子73が設けられており、各第3基板側端子73は、コネクタハウジング51の第2開口部51b内に収容される平板状の中継基板76と電気的に接続されている。中継基板76は、その板厚方向がモータ1の扁平方向と平行となるように配置され、該中継基板76には、3つの雑防素子77が電装される。これらの雑防素子77は、例えばコンデンサであり、電気ノイズを消去するための電子部品である。また、中継基板76には、インサート成形によりコネクタハウジング51に埋設された複数のコネクタターミナル78が電気的に接続されている。この各コネクタターミナル78の一端部は、外部接続部53の差込み穴53aの内部空間に突出されるとともに、差込み穴53aに差し込まれる前記外部コネクタと接続されるようになっている。
【0045】
コネクタハウジング51の第2開口部51bは、蓋部材79によって閉塞されている。蓋部材79は、各位置決め突出部52aとモータ軸方向に当接しており、これにより、モータ軸方向の位置決めがなされている。また、蓋部材79は、コネクタブーツ54の基端部54a(図3参照)とモータ厚さ方向に当接しており、これにより、モータ厚さ方向に位置決めされている。このように、蓋部材79は各位置決め突出部52aとコネクタブーツ54の基端部54aの3点で位置決めされている。そして、この蓋部材79は、超音波溶着によってコネクタハウジング51に固定されて第2開口部51bを封止している。
【0046】
次に、コネクタ部4の組み付けについて説明する。
このような構成のコネクタ部4は、ギヤハウジング41のホルダ収容部43に対してモータ1の扁平方向(組付方向X)に沿って組み付けられ、この組付方向Xへのコネクタ部4の組み付けによって各コネクタ側端子56の一対の弾性接続片62の間に、ブラシホルダ21の給電用ターミナル35の挿入部35bが挿入される。そして、弾性接続片62は、自身の弾性力によって挿入部35bをモータ厚さ方向に挟み、これにより、各コネクタ側端子56と各給電用ターミナル35とが電気的に接続されるようになっている。
【0047】
ここで、各コネクタ側端子56の弾性接続片62は、組付方向Xの先端側に向かうにつれて軸方向に傾斜している。これにより、給電用ターミナル35を挿入しやすい弾性接続片62の弾性力が得られる好適な弾性接続片62の長さを確保しつつも、径方向における弾性接続片62の寸法を小さく抑えることが可能となっており、その結果、モータ1を径方向に小型化することが可能となっている。
【0048】
また、各コネクタ側端子56は、金属板材からプレス打ち抜きにより成形されるものであり、図8に示すように、コネクタ側端子56の打ち抜き断面において打ち抜き方向の表面側の角部C1にはアールができ、裏面側の角部C2にはバリが生じている。そして、本実施形態では、各コネクタ側端子56の一対の弾性接続片62は、プレス打ち抜き方向の裏面側に傾斜するように形成されているため、コネクタ部4の組み付けの際に各弾性接続片62がアールのついた表面側からから給電用ターミナル35に組み付けられることとなる。このため、弾性接続片62がバリのある裏面側から給電用ターミナル35に組み付けられる場合と比較して、給電用ターミナル35が各弾性接続片62間に挿入される際の挿入圧を低減することでき、その結果、コネクタ側端子56と給電用ターミナル35とを容易に接続することが可能となっている。
【0049】
また、各給電用ターミナル35の挿入部35bは、図7に示すように、金属板材を部分的に折り曲げてモータ1の厚さ方向に重ね合わせて形成されている。このため、給電用ターミナル35における挿入部35b以外の部位に関しては板厚を薄く構成してブラシホルダ21の大型化を抑えつつも、挿入部35bの厚さを確保してコネクタ側端子56との間の接続不良を抑制することが可能となっている。また、挿入部35bにおいて金属板材の折り曲げによって形成された折曲端部35cは、コネクタ側端子56側を向くように構成されている。これにより、挿入部35bは、アールがついている折曲端部35cからコネクタ側端子56の各弾性接続片62の間に挿入されるため、挿入部35bと各弾性接続片62とを引っ掛かりを抑えてスムーズに接続することができ、その結果、コネクタ部4を容易に組み付けることができるようになっている。
【0050】
上記のように構成されたモータ1では、電気信号の入力・出力や給電を行うための前記外部コネクタが外部接続部53の差込み穴53aに差し込まれ、その外部コネクタからコネクタターミナル78、中継基板76、制御回路基板70、コネクタ側端子56及びブラシホルダ21の給電用ターミナル35を介して電機子12に給電されると、電機子12(回転軸13)が回転駆動される。電機子12の回転駆動時には、回転軸13と共にセンサマグネット17が回転する。センサマグネット17の回転による磁界の変化は、制御回路基板70に備えられたホールIC58にて検出される。そして、ホールIC58は、センサマグネット17の回転による磁界の変化に応じた電気信号である回転検出信号を出力する。制御回路基板70は、この回転検出信号に基づいて電機子12の回転情報(回転速度、回転角度等)を検出し、その検出した回転情報に応じて電機子12への給電を行うようになっている。
【0051】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)コネクタ側端子56は、コネクタ部4の組付方向Xと直交する方向(モータ厚み方向)に並ぶ一対の弾性接続片62を有する二股形状をなし、コネクタ部4がギヤハウジング41に対して組み付けられることで給電用ターミナル35の挿入部35bが一対の弾性接続片62の間に挿入されて、各弾性接続片62が自身の弾性力によって挿入部35bに圧接するように構成される。そして、給電用ターミナル35の挿入部35bは、金属板材を各弾性接続片62の並設方向に複数重ね合わせて構成されるため、給電用ターミナル35の挿入部35bの厚さを確保してコネクタ側端子56との間の接続不良を抑制しつつも、給電用ターミナル35における挿入部35b以外の部位に関しては板厚を薄く構成してブラシホルダ21の大型化を抑えることが可能となる。
【0052】
(2)給電用ターミナル35は、1枚の金属板材から成形されるものであり、挿入部35bは、金属板材を部分的に折り曲げて重ね合わせて形成される。これにより、折り曲げによって挿入部35bの厚みを確保しつつも給電用ターミナル35を1枚の金属板材から成形することができるため、給電用ターミナル35を容易に製造することが可能となる。
【0053】
(3)挿入部35bは、金属板材の一部を各弾性接続片62の並設方向に折り曲げて重ね合わされており、該挿入部35bの折曲端部35cは、コネクタ側端子56側を向くように構成される。これにより、挿入部35bは、アールがついている折曲端部35cからコネクタ側端子56の各弾性接続片62の間に挿入されるため、挿入部35bと各弾性接続片62とを引っ掛かりを抑えてスムーズに接続することができ、その結果、コネクタ部4を容易に組み付けることができる。
【0054】
(4)コネクタ側端子56の各弾性接続片62は、コネクタ部4の組付方向Xの先端側に向かうにつれて軸方向に傾斜している。これにより、給電用ターミナル35を挿入しやすい弾性接続片62の好適な長さを確保しつつも、径方向における弾性接続片62の寸法を小さく抑えることができるため、モータ1を径方向(詳しくは、モータ1の扁平方向)に小型化することが可能となる。また、各弾性接続片62間に挿入される給電用ターミナル35の挿入部35bは、モータ1の軸方向と平行をなす平面状をなすため、本構成のように弾性接続片62の延出方向とコネクタ部4の組付方向Xが平行でない構成であっても、コネクタ部4の組み付けと同時に給電用ターミナル35を各弾性接続片62間に挿入接続でき、その結果、モータ1の組み付け工程の簡素化が可能となる。
【0055】
(5)コネクタ側端子56の各弾性接続片62は、コネクタ部4の組付方向Xの先端側に向かうにつれて軸方向のヨーク11とは反対側に傾斜しているため、軸方向におけるヨーク11と弾性接続片62との間隔が大きくなる。これにより、ヨーク11と弾性接続片62との間のスペースによってブラシホルダ21側の設計自由度を向上させることができる。
【0056】
(6)コネクタ側端子56は、金属板材からプレス打ち抜きにより成形されるものであって、各弾性接続片62は、プレス打ち抜き方向の裏面側に傾斜しているため、コネクタ部4の組み付けの際に各弾性接続片62は打ち抜き方向の表面側から給電用ターミナル35に組み付けられる。ここで、コネクタ側端子56の打ち抜き断面において打ち抜き方向の表面側の角部C1にはアールができ、裏面側の角部C2にはバリが生じているため、弾性接続片62は、アールのついた表面側から給電用ターミナル35に組み付けられることとなる。このため、弾性接続片62がバリのある裏面側から給電用ターミナル35に組み付けられる場合と比較して、給電用ターミナル35が各弾性接続片62間に挿入される際の挿入圧を低減することでき、その結果、コネクタ側端子56と給電用ターミナル35との接続を容易にすることができる。
【0057】
(7)制御回路基板70の複数の第1基板側端子71a,71bは、同一平面上に並んで配置されるとともに、制御回路基板70から互いに同一方向に延出された延出部74と、延出部74の先端部において該延出部74よりも並設方向(モータ厚み方向)に幅広に形成されホールIC側端子59と溶接された溶接部75とをそれぞれ有する。そして、各第1基板側端子71a,71bの溶接部75は、隣り合う第1基板側端子71a,71bの溶接部75に対して第1基板側端子71a,71bの延出方向(モータ1の扁平方向)にずれて設けられる。このため、各第1基板側端子71a,71bの溶接部75が第1基板側端子71a,71bの並設方向に一列に並ぶ構成と比較して溶接部75の間隔を大きくとることが可能となり、これにより、溶接の作業性を向上させることが可能となる。
【0058】
(8)コネクタハウジング51は、ホールIC58を回転軸13に近接配置させるべく軸直交方向(モータ1の扁平方向であって、組付方向X)に延在するホールIC保持部57を有し、該保持部57の軸直交方向(組付方向X)の先端部にホールIC58が保持される。そして、ホールIC保持部57における溶接部75と軸方向に重なる位置には、軸方向に貫通する溶接用窓部57cが形成される。これにより、第1基板側端子71a,71bとホールIC側端子59とを例えば抵抗溶接する際に、電極等の治具を溶接用窓部57cに通して作業することができるため、溶接の作業性を向上させることが可能となる。また、第1基板側端子71a,71bとホールIC側端子59とを例えば電子ビーム溶接する際には、溶接用窓部57cが溶接部75の軸方向と重なる位置に設けられているため、ホールIC保持部57が電子ビーム溶接の際に生じる熱によって溶解してしまうことを抑制することが可能となる。
【0059】
(9)並設方向において1つおきの第1基板側端子71a,71bでその基端部から溶接部75までの寸法が等しく設定されるため、第1基板側端子71a,71bは、基端部から溶接部75までの寸法が短い端子群(第1基板側端子71a)と、基端部から溶接部75までの寸法が長い端子群(第1基板側端子71b)の2種類の寸法で構成することができる。このため、制御回路基板70の部品管理が煩雑となることを抑制するとともに、第1基板側端子71a,71bが延出方向(モータ1の扁平方向)に大型化することを抑えることが可能となる。
【0060】
(10)ブラシホルダ21は、整流子16の径方向外側を覆うとともにブラシ収容部25が形成された側壁部24aと、側壁部24aの軸方向端部に設けられ整流子16の軸方向端面を覆う平板部24bとを有するカバー部24を備える。そして、カバー部24の平板部24bには、整流子16とは反対側に突出する平板側突出部27(補強リブ)が径方向に沿って直線状に形成される。これにより、カバー部24の平板部24bを単に平板状とした構成に比べて、整流子16と給電ブラシ26との摺接の際に生じるカバー部24の振動が抑えられ、その結果、異音の発生を抑えることが可能となる。
【0061】
(11)カバー部24の側壁部24aには、平板側突出部27aと連続するとともに径方向外側に突出する側壁側突出部28が軸方向に沿って直線状に形成される。このため、整流子16と給電ブラシ26との摺接の際に生じるカバー部24の振動をより効果的に抑えることが可能となる。
【0062】
(12)カバー部24の平板部24bには、回転軸13を軸支する軸受24cが設けられる。つまり本構成は、カバー部24の平板部24bに回転軸13を軸支する軸受が設けられることでカバー部24がより振動しやすい構成であるため、平板部24bに振動抑制のための突出部27を設けることによって得られる異音抑制効果がより顕著となる。
【0063】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、コネクタ側端子56の弾性接続片62は、コネクタ部4の組付方向Xの先端側に向かうにつれて軸方向のヨーク11とは反対側に傾斜するように構成されたが、これに特に限定されるものではなく、ヨーク11側に傾斜するように構成してもよい。また、弾性接続片62を傾斜させないでコネクタ部4の組付方向Xと平行となるように構成してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、制御回路基板70において、モータ扁平方向の寸法の短い第1基板側端子71aと寸法の長い第2基板側端子71bとが交互に並ぶように構成されたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、各第1基板側端子のモータ扁平方向の寸法をモータ厚み方向に向かうにつれて階段状に大きく構成(即ち、モータ厚み方向の一方側の第1基板側端子ほど寸法が短く、モータ厚み方向の他方側の第1基板側端子ほど寸法が長くなるように構成)してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、各第1基板側端子71a,71bの溶接部75は、隣り合う第1基板側端子71a,71bの溶接部75に対して第1基板側端子71a,71bの延出方向(長手方向)にずれて設けられたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、各第1基板側端子71a,71bの溶接部75がモータ厚み方向に沿って直線的に並ぶように構成してもよい。
【0066】
・上記実施形態では、給電用ターミナル35の挿入部35bは、金属板材を部分的に折り曲げることでモータ1の厚さ方向に重ね合わせて形成されたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、挿入部に金属板材を別途貼り付けることで、モータ1の厚さ方向に金属板材が重ね合わされた挿入部を形成してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、給電用ターミナル35の挿入部35bは、金属板材を二重に重ね合わせた構成としたが、これに特に限定されるものではなく、金属板材を3重以上に重ね合わせた構成としてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、カバー部24の平板側突出部27は、周方向等間隔に奇数個(5個)形成されたが、これに特に限定されるものではなく、5個以外の奇数、又は偶数で構成してもよく、また、周方向に不等間隔に形成してもよい。
【0069】
・上記実施形態では、平板側突出部27は、平板部24bの内周端部から外周端部まで径方向に沿って形成されたが、これに特に限定されるものではなく、必ずしも平板部24bの内周端部(又は外周端部)まで延在する構成でなくてもよい。
【0070】
・上記実施形態では、カバー部24の側壁部24aには、側壁側突出部28が一体形成されたが、これに特に限定されるものではなく、側壁側突出部28を省略した構成としてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、本発明をパワーウインド装置の駆動源に用いられるモータ1に適用したが、パワーウインド装置以外の例えば車両用ワイパ装置の駆動源に用いられるモータに適用してもよい。
【0072】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記ブラシ側端子は、軸方向と平行をなす平面状の挿入部を有し、
前記コネクタ側端子の前記各弾性接続片は、前記コネクタ部の組付方向の先端側に向かうにつれて軸方向に傾斜していることを特徴とするモータ。
【0073】
この構成によれば、コネクタ側端子は、コネクタ部の組付方向と直交する方向に並ぶ一対の弾性接続片を有する二股形状をなし、コネクタ部がギヤハウジングに対して組み付けられることでブラシ側端子が一対の弾性接続片の間に挿入されて、各弾性接続片が自身の弾性力によってブラシ側端子に圧接するように構成される。そして、その各弾性接続片は、コネクタ部の組付方向の先端側に向かうにつれて軸方向に傾斜しているため、ブラシ側端子を挿入しやすい弾性接続片の好適な長さを確保しつつも、径方向における弾性接続片の寸法を小さく抑えることができるため、モータを径方向に小型化することが可能となる。また、各弾性接続片間に挿入されるブラシ側端子の挿入部は、モータの軸方向と平行をなす平面状をなすため、本発明のように弾性接続片の延出方向とコネクタ部の組付方向が平行でない構成であっても、コネクタ部の組み付けと同時にブラシ側端子を各弾性接続片間に挿入接続でき、その結果、モータの組み付け工程の簡素化が可能となる。
【0074】
(ロ) 上記の付記(イ)に記載のモータにおいて、
前記コネクタ部の前記各弾性接続片は、前記コネクタ部の組付方向の先端側に向かうにつれて軸方向の前記ヨークハウジングとは反対側に傾斜していることを特徴とするモータ。
【0075】
この構成によれば、コネクタ側端子の各弾性接続片は、ブラシ側端子が挿入される先端側に向かうにつれて軸方向のヨークハウジングとは反対側に傾斜しているため、軸方向におけるヨークハウジングと弾性接続片との間隔が大きくなる。これにより、ヨークハウジングと弾性接続片との間のスペースによってブラシホルダ側の設計自由度を向上させることができる。
【0076】
(ハ) 上記の付記(イ)又は(ロ)に記載のモータにおいて、
前記コネクタ側端子は、金属板材からプレス打ち抜きにより成形されるものであって、
前記各弾性接続片は、プレス打ち抜き方向の裏面側に傾斜していることを特徴とするモータ。
【0077】
この構成によれば、コネクタ側端子の各弾性接続片がプレス打ち抜き方向の裏面側に傾斜しているため、コネクタ部の組み付けの際に各弾性接続片は打ち抜き方向の表面側からブラシ側端子に組み付けられる。ここで、コネクタ側端子の打ち抜き断面において打ち抜き方向の表面側の角部にはアールができ、裏面側の角部にはバリが生じているため、弾性接続片は、アールのついた表面側からブラシ側端子に組み付けられることとなる。このため、弾性接続片がバリのある裏面側からブラシ側端子に組み付けられる場合と比較して、ブラシ側端子が各弾性接続片間に挿入される際の挿入圧を低減することでき、その結果、コネクタ側端子とブラシ側端子との接続を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0078】
1…モータ、2…モータ部、3…減速部、4…コネクタ部、11…ヨークハウジング、11a…出力側端部、16…整流子、21…ブラシホルダ、26…給電ブラシ、35…給電用ターミナル(ブラシ側端子)、35b…挿入部、35c…折曲端部、41…ギヤハウジング、42…減速機構、56…コネクタ側端子、62…弾性接続片、X…組付方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子に対する電力供給用の給電ブラシ及び該給電ブラシと電気的に接続されたブラシ側端子を備えたブラシホルダがヨークハウジングの出力側端部に設けられたモータ部と、
前記ヨークハウジングの前記出力側端部に組み付けられたギヤハウジング内に前記モータ部の回転駆動力を減速して出力するための減速機構を有する減速部と、
前記ブラシ側端子と電気的に接続されるコネクタ側端子を有し、前記ギヤハウジングに対して軸直交方向から組み付けられたコネクタ部と
を備えたモータであって、
前記コネクタ側端子は、前記コネクタ部の組付方向と直交する方向に並ぶ一対の弾性接続片を有する二股形状をなし、
前記コネクタ部が前記ギヤハウジングに対して組み付けられることで前記ブラシ側端子の挿入部が一対の前記弾性接続片の間に挿入されて、前記各弾性接続片が自身の弾性力によって前記挿入部に圧接するように構成され、
前記ブラシ側端子の前記挿入部は、金属板材を前記各弾性接続片の並設方向に複数重ね合わせて構成されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記ブラシ側端子は、1枚の金属板材から成形されるものであり、
前記挿入部は、前記金属板材を部分的に折り曲げて重ね合わせて形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項2に記載のモータにおいて、
前記挿入部は、前記金属板材の一部を前記各弾性接続片の並設方向に折り曲げて重ね合わされており、該挿入部の折曲端部は、前記コネクタ側端子側を向くように構成されていることを特徴とするモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−66294(P2013−66294A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203333(P2011−203333)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】