説明

モード同期半導体レーザ装置及びモード同期半導体レーザ装置の制御方法

【課題】光注入同期の維持能力を従来と同等に保ちつつ、構成を簡易にする。
【解決手段】光利得領域3、光変調領域2、及び受動導波路領域4を備えたコア30並びにクラッド5及び6を有する光導波路40を含み、光注入同期を発現可能な連続波光CWが注入されて、この連続波光に波長が等しい縦モードを含む光パルス列Lを出力するモード同期半導体レーザ素子1と、光パルス列に含まれる第1及び第2光成分L1及びL2を、その強度比が光パルス列の全光強度に対する主縦モードの比率を反映するように分離する分離手段60と、第2光成分の光強度を用いた制御指標により、光注入同期を維持可能な波長に主縦モードを制御する制御手段60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出力光パルス列の波長が可変である光注入同期型のモード同期半導体レーザ装置、及び同装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等により通信需要が急速に増大しており、それに対応して光ファイバを用いた大容量で高速の光通信ネットワークが整備されつつある。一般に、長距離光通信ネットワークの光信号には、所定の繰り返し周波数(以下、パルス周波数とも称する。)の光パルス列に、「1」及び「0」に応じた強度の強弱を与えるRZ(Return to Zero)フォーマットが用いられる。連続する「1」に対応するパルスの間で強度が一旦ゼロになるRZフォーマットでは、長距離伝送時の時間波形の劣化が抑えられる。
【0003】
RZフォーマットの光信号(以下、RZ光信号とも称する。)で高速な通信を行うためには、パルス周波数を高めることが有効である。そのためには、RZ光信号の元となる光パルス列を生成する光パルス光源において、パルス周波数を高める必要がある。ここで、光パルス列とは、パルス周波数の逆数で与えられる時間間隔で、光パルスを時間軸上に等時間間隔に並べた光信号である。
【0004】
大容量かつ高速な光通信のために、光パルス光源には、パルス周波数を高めるだけに止まらず、さらに周波数チャーピング及び位相雑音が小さい高品質な光パルス列を生成する能力が求められている。このような光パルス光源の一つとして、10GHz超のパルス周波数が得られる等、上述の能力を満足し、さらに小型で堅牢かつ低コストなモード同期半導体レーザ(MLLD:Mode−Locked Laser Diode)が挙げられる。なお、MLLDとは、モード同期動作に好適な構成を備えた半導体レーザのことを示す。
【0005】
一方、光通信ネットワークの大容量化のために、一本の光ファイバに複数チャンネルの光信号をまとめて伝送する光多重技術が用いられる。この光多重技術の一つとして、複数の異なる波長をチャンネルごとに割り当てる波長分割多重技術(WDM:Wavelength Division Multiplexing)が広く用いられている。
【0006】
このWDMと、MLLDで構成された光パルス光源とを組み合わせるために、MLLDには、さらに、光パルス列の波長を所望に変化させる、いわゆる波長可変特性が求められる。
【0007】
さらに、昨今のWDMでは、通信容量をより一層拡大するために、隣接チャンネル間の波長差を狭くする、いわゆるDense−WDMが用いられ始めている。Dense−WDMでは、光パルス光源に、上述の波長可変特性に加えて、隣接チャネル間での不所望な相互作用を防ぐために、光信号の中心波長の揺らぎを周波数換算で数GHz以内に抑える、高い波長安定性が求められる。
【0008】
MLLDに求められる波長可変特性及び波長安定性の内、特に、波長可変特性に注力した技術が幾つか提案されている。一つの技術では、レーザ共振器内に、誘電体多層膜フィルタや回折格子等の光バンドパスフィルタを設ける。つまり、この光バンドパスフィルタにより選択される帯域の中心波長を、機械的又は電気的に変化させることで、波長可変特性を得る(例えば、非特許文献1参照)。また、他の技術では、集積型MLLDに備えられる分布ブラッグ反射器領域の温度を制御する。つまり、分布ブラッグ反射器領域に設けた電気抵抗層への通電時のジュール熱で生じる屈折率変化により、分布ブラッグ反射器のブラッグ反射波長を変化させ、波長可変特性を得る(例えば、非特許文献2参照)。
【0009】
しかし、非特許文献1及び2のMLLDは出力光パルス列の波長安定性が十分とは言えず、Dense−WDM用の光パルス光源としては不十分であった。
【0010】
このような技術的背景の下、発明者は、既に、波長可変特性及び波長安定性を同時に達成するMLLDを提案している(例えば、非特許文献3参照)。概略的には、非特許文献3の技術は、連続波光の注入により生じる光注入同期を利用した、ファブリペロ(FP:Fabry‐Perot)共振器型のMLLDである。ここで、「連続波光」とは光強度の時間変動がなく一定の大きさの光電場の振幅強度が連続的に続く光である。
【0011】
非特許文献3の技術は、従来のFP共振器型MLLDで問題とされた周波数チャーピングを解決している。また、非特許文献3の技術は、周波数チャーピング抑制の際に生じがちな、出力光パルス列の強度低下やパルス時間幅の拡大等の問題を、注入する連続波光の光強度を適当に調整することで解決している。さらに、非特許文献3の技術に係るMLLDでは、出力光パルス列と連続波光の波長は厳密に一致する。従って、波長安定性が高くかつ波長可変な連続波光源を用いれば、広い波長範囲で波長可変特性と波長安定性とを同時に達成できる。このように、非特許文献3の技術のMLLDによれば、Dense−WDMに特に好適な光パルス光源が得られる。
【0012】
ここで、図1及び図2を参照して、光注入同期について説明する。図1(A)は、光注入同期の説明に供する模式図である。図1(B)は、連続波光の注入無しでモード同期動作をしているMLLDにおいて、内部を伝搬するレーザ発振光(以下、発振光とも称する。)Lの発振スペクトルである。図1(C)は、波長λCWの連続波光CWが注入され、光注入同期が生じた状態でモード同期動作をしているMLLDから出力される光パルス列Lの発振スペクトルである。図1(D)は、図1(B)の要部を拡大した模式図である。図1(B),(C)及び(D)の横軸は波長(任意単位)であり、縦軸は光強度(任意単位)である。また、図1(B)及び(C)中で、モード周期波長Λの間隔で並んだ直線は、それぞれ発振スペクトルの縦モードを示している。1つの縦モードの半値幅はきわめて狭いので、図では半値幅を無視した直線として描いてある。
【0013】
図1(A)によれば、概略的に、光注入同期とは、モード同期動作により発振光Lが内部を伝搬しているMLLDに、波長λCWの連続波光CWを注入すると、出力光パルス列Lの波長が波長λCWに一致する現象を示す。
【0014】
より詳細には、図1(B)を参照すると、光注入同期が生じない場合、発振光Lは、強度が最大の縦モードLMの周りで、幅広な釣鐘状に分布する複数の縦モードを含む。ここで、発振光Lが含む全縦モードの包絡線をenと称する。なお、発振光Lに限らず、複数の縦モードで構成された光について、包絡線とは、全縦モードの強度ピークを結んだ曲線とする。
【0015】
このMLLDに、発振光Lの全縦モードの波長範囲に含まれる波長λCWであり、かつ発振光Lと偏光方向が一致する連続波光CWを注入する。そして、発振光Lに含まれる縦モードの中で連続波光CWに波長が最も近い縦モード(以下、標的縦モードとも称する。)LMと、連続波光CWとの波長差δλを適切に保つことにより、光注入同期が発現する。ここで、波長差δλの概念を、図1(D)に示す。図1(D)から判るように、標的縦モードLMの波長をλLMとすると、波長差δλはλCW−λLMと表される。
【0016】
これにより、図1(C)に示すように、MLLDから出力される光パルス列Lでは、標的縦モードLMの波長λLMが連続波光CWの波長λCWへと厳密に一致する。また、光注入同期により、光パルス列Lでは、波長λCWの縦モードへと光強度が集中する。つまり、光パルス列Lの発振スペクトルは発振光Lに比べて狭窄化し、その包絡線enの全半値幅が発振光Lの包絡線enよりも大幅に小さくなる。ここで、光パルス列Lにおいて、波長λCWに等しく調整された標的縦モードLMを主縦モードLMと称する。また、最も強度が強い主縦モードの周りに対称的に分布する、主縦モードLM以外の複数の縦モードを従縦モードLと称する。
【0017】
続いて、図2の発振スペクトルを参照して、光注入同期をさらに具体的に説明する。図2(A)〜(F)は、上述の波長差δλを変化させた連続波光CWを、非特許文献3のMLLDに注入して得られる、出力光パルス列Lの発振スペクトルを包絡線とともに示す特性図である。図2(A)〜(F)の縦軸は、それぞれ全光強度を基準とした光強度(dBm)であり、横軸は、波長(nm)である。
【0018】
より詳細には、図2を得るに当たり、非特許文献3のFig.10に準じて実験を行った。すなわち、標的縦モードとして、波長λLMが1562.01nmの縦モードを選択し、波長λCWを1561.86〜1562.16nmで変化させた連続波光CWをMLLDに注入した。なお、この連続波光CWの波長λCWは、−0.15〜0.15nmの波長差δλに対応する。また、図2(A)〜(F)は、それぞれ、δλ=−0.1,0,0.05,0.07,0.09,0.15nmのときの光強度を示している。また、図2(A)〜(F)において、モード周期波長Λは約0.31nmで、ほぼ一定である。
【0019】
図2(A)〜(F)を参照すると、波長差δλが0.05nm(図2(C))と、波長差δλが0.07nm(図2(D))とで、包絡線の半値幅が狭くなり、発振スペクトルの狭窄化が見られる。この結果から、波長差δλが0.05〜0.07nmの範囲、すなわち幅0.02nmの狭い波長範囲に収まっているときに、光注入同期が維持されることが判る。この0.02nmの波長幅は、光周波数に換算して約2.5GHzに対応する。光注入同期が維持された状態で出力される光パルス列は周波数チャーピングが大幅に抑制されるため、Dense−WDMに特に好適である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】H.F Liu, et al., “Generation of wavelength−tunable transform−limited pulses from a monolithic passively mode−locked distributed Bragg reflector semiconductor laser” IEEE Photon. Technol. Lett., vol.7,No.10, pp.1139−1141, 1995.
【非特許文献2】M. C. Wu, Y. K. Chen, T. Tanbun−Ek, R. A. Logan, and M. A. Chin,“Tunable monolithic colliding pulse mode−locked quantum−well lasers,” IEEE Photon. Technol. Lett., vol.3,No.10, pp.874−976, 1991.
【非特許文献3】S. Arahira, et al., “Chirp control and broadband wavelength−tuning of 40−GHz monolithic actively mode−locked laser diode module with an external CW light injection,” IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, vol. 11,No.5, pp.1103−1111, 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
図2及び非特許文献3の記載(特に、Fig.10及び11と、1108頁右欄)から明らかなように、光注入同期の維持のために波長差δλに許容される波長範囲(0.02nm)は非常に狭い。そのため、光注入同期を利用して光パルス列を出力するに当たり、MLLD装置には、この許容波長範囲内に波長差δλを収める能力が求められる。ここで、この許容波長範囲を波長同期範囲(WLR:Wavelength Locking Range)とすると、WLRは、模式的に図1(D)のように表される。
【0022】
ところで、非特許文献3から、Fig.11に記載された指標であるI/I(以下、主従比率とも称する。)が、光注入同期の維持に有効であることが示唆される。Iは、出力光パルス列の主縦モードの強度である。また、Iは、主縦モードから、波長が大きくなる方向に数えて4番目の従縦モードの強度を示す。主従比率I/Iは、出力光パルス列の包絡線の狭窄度、すなわち幅を反映する。
【0023】
上述のように、光注入同期が生じると、出力光パルス列の包絡線が狭窄化していくので、主従比率I/Iは、MLLDで生じている光注入同期の程度(以下、同期強度とも称する。)を表す可能性がある。図3を参照して、この点をさらに説明する。図3は、図2(A)〜(F)から求めた主従比率を示す特性図である。図3の縦軸は、主従比率(I+5/I)(dB)であり、横軸は、波長差δλ(nm)である。なお、図3の主従比率においては、分子として、主縦モードから、波長が大きくなる方向に数えて5番目の従縦モードの光強度I+5を用いた。
【0024】
図3を参照すると、主従比率(I+5/I)は、波長差δλが−0.05〜0.09nmの範囲(以降、凹部範囲A1と称する。)で谷を持つ。特に、波長差δλが0.05〜0.07nmの範囲(以降、極小範囲A2と称する。)で、主従比率は、−27〜−30dBの極小を取る。波長差δλが−0.15〜−0.05nmと、0.09〜0.15nmの範囲、つまり凹部範囲以外の範囲(以下、一定値範囲A3と称する。)で、主従比率は一定値(約−3dB)を取る。
【0025】
図2及び図3から、主従比率が同期強度を非常に良く反映していることが判る。つまり、波長差δλが(1)一定値範囲A3内の場合、光注入同期が未発現であり、(2)凹部範囲A1内の場合、主従比率は同期強度に応じて変化し、及び(3)極小範囲A2内の場合、光注入同期が良好に維持される。従って、出力光パルス列の主従比率を指標として、出力光パルス列Lの主縦モード波長λCWについて、波長差δλを0.05〜0.07nmのWLR内に保つ制御を行えば、光注入同期を維持することができる。
【0026】
しかし、主従比率を用いて制御する手法では、主縦モード及び従縦モードの強度をそれぞれ測定するための装置構成が複雑かつ高価になる。例えば、主縦モード及び従縦モードの強度を十分な正確さで測定するために光スペクトルアナライザを用いると、装置の大型化と高額化が避けられない。また、主縦モードと従縦モードとを分離するために波長分離フィルタを用いると、この波長フィルタには非常に高い性能が求められる。すなわち、この波長分離フィルタには、モード周期波長Λ(図2では約0.31nm)未満の高い波長分解能と、測定対象の縦モード以外の縦モードを排除する高いスペクトル抑圧能とが要求される。その結果、たとえ、波長分離フィルタを用いたとしても、装置構成が複雑化してしまう。
【0027】
この発明は、このような問題に鑑みなされた。従って、この発明の目的は、光注入同期の維持能力を非特許文献3の技術と同様に保ちながらも、同技術よりも簡易なモード同期半導体レーザ装置、及び同装置の制御方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
発明者は鋭意検討の結果、以下のようなモード同期半導体レーザ装置で、非特許文献3の技術と同様に光注入同期を維持できることに想到した。すなわち、この発明のモード同期半導体レーザ装置は、主縦モード波長を中心とする所定波長幅で光パルス列を区画し、この波長幅以外の縦モードを含む波長成分の強度から得られた制御指標により光注入同期を維持する。
【0029】
従って、この発明のモード同期半導体レーザ装置は、モード同期半導体レーザ素子と、分離手段と、制御手段とで構成される。
【0030】
モード同期半導体レーザ素子は、発振光が伝搬するコアと、クラッドとを備えた光導波路を有する。ここで、コアは、反転分布を形成する光利得領域と、光強度を変調する光変調領域と、発振光の波長を変化させる調整部を備えた受動導波路領域とを備えている。
【0031】
そして、このモード同期半導体レーザ素子は、連続波光が入力され、光パルス列を出力する。ここで、入力される連続波光は、発振光に含まれる複数の縦モードの内何れかの縦モードである標的縦モードとの間に光注入同期を発現可能な波長差を有し、かつ発振光と偏光方向が一致する。また、出力される光パルス列は、連続波光に等しい波長の縦モードである主縦モード、及び主縦モード波長の周りに分布する複数の従縦モードを含む。
【0032】
分離手段は、光パルス列を、強度比が、光パルス列の全光強度に対する主縦モードの比率を反映するように第1及び第2光成分に分離する。
【0033】
制御手段は、第2光成分の光強度を用いて制御指標を求めるとともに、制御指標を用いて調整部を制御して、波長差が光注入同期を維持可能な波長同期範囲内に保たれるように、主縦モードの波長を変化させる。
【0034】
そして、第1光成分を、主縦モード波長を中心とする分離波長幅内に含まれる複数の縦モードとし、及び第2光成分を、光パルス列に含まれる全ての縦モードから第1光成分を除いた縦モードとする。
【発明の効果】
【0035】
この発明のモード同期半導体レーザ装置は、上述のように構成されているので、光注入同期の維持能力を非特許文献3の技術と同様に保ちつつ、非特許文献3の技術よりも構成を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(A)は、光注入同期の説明に供する模式図であり、(B)は、連続波光の注入無しでモード同期動作をしているMLLDにおいて、内部を伝搬するレーザ発振光の発振スペクトルであり、(C)は、波長λCWの連続波光CWが注入され、光注入同期が生じた状態でモード同期動作をしているMLLDから出力される光パルス列の発振スペクトルであり、(D)は、(B)の要部を拡大した模式図である。
【図2】(A)〜(F)は、それぞれ、波長差δλを変化させた連続波光CWを、非特許文献3のMLLDに注入して得られる、出力光パルス列の発振スペクトルを包絡線とともに示す特性図である。
【図3】図2(A)〜(F)から求めた主従比率を示す特性図である。
【図4】(A)及び(B)は、それぞれ光パルス列の包絡線を示す模式図である。
【図5】図2(A)〜(F)から求めた制御指標を示す特性図である。
【図6】分離手段における光の透過特性を示す特性図である。
【図7】第1実施例のMLLD装置の構成を模式的に示す模式図である。
【図8】第2実施例のMLLD装置の構成を模式的に示す模式図である。
【図9】第3実施例のMLLD装置の構成を模式的に示す模式図である。
【図10】第4実施例のMLLD装置の構成を模式的に示す模式図である。
【図11】第4実施例のMLLD装置の効果を説明するための特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。なお、各図において各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
【0038】
<原理>
まず、図4及び図5を参照して、この発明のMLLDを用いて光注入同期を維持するための原理について説明する。図4(A)及び(B)は、それぞれ光パルス列の包絡線を示す模式図である。
【0039】
図4(A)の包絡線enCWは、光注入同期が維持された状態でモード同期動作を行うMLLDから出力される光パルス列LCWの発振スペクトルに対応する。図4(B)の包絡線enNCWは、光注入同期が発現しない状態でモード同期動作を行うMLLDから出力される光パルス列LNCWの発振スペクトルに対応する。以降、光パルス列LNCW及びLCWを区別するために、光パルス列LNCWを非同期光パルス列LNCWとも称し、光パルス列LCWを同期光パルス列LCWとも称する。MLLDから出力される任意の光パルス列Lは、同期強度に応じて、非同期光パルス列LNCWと同期パルス列LCWの間の発振スペクトルを取る。
【0040】
なお、図面の煩雑化を防ぐために、同期光パルス列LCW及び非同期光パルス列LNCWに含まれる個々の縦モードの描画を省略する。また、同期光パルス列LCW及び非同期光パルス列LNCWともに、主縦モード波長λCWを中心波長としてモード同期状態にあるとする。また、図4(A)及び(B)の横軸は、ともに波長(任意単位)であり、及び縦軸は、ともに強度(任意単位)である。
【0041】
発明者は、上述の主従比率に代えて、光注入同期の維持のために、第2波長範囲Rf内での光パルス列Lの強度、すなわち符号L2で示した領域の強度を利用できることに想到した。すなわち、光注入同期の維持状態では、包絡線が狭窄化し、主縦モード波長λCW近傍の第1波長範囲Trに強度が集中するので、この波長λCWから離れた、包絡線の裾の部分での強度は逆に低下する。よって、この裾の部分に対応する第2波長範囲Rf内での光パルス列Lの強度を用いた指標(以下、制御指標とも称する。)が、MLLDで生じている同期強度を反映する可能性がある。
【0042】
以下、図5を参照して、この点について説明する。図5は、図2(A)〜(F)から求めた制御指標を示す特性図である。図5の縦軸は、制御指標(dBm)であり、横軸は、波長差δλ(nm)である。
【0043】
図5で用いた制御指標の説明に先立ち、まず、制御指標の導出の基礎となる量につき説明する。始めに、図4に示すように、光パルス列Lを、第1波長範囲Trの第1光成分L1と、第2波長範囲Rfの第2光成分L2とに分離する。ここで、第1波長範囲Trは、主縦モード波長λCWを中心とする分離波長幅Wλ以内の範囲の波長とする。また、第2波長範囲Rfは、光パルス列Lの全縦モードが延在する波長範囲から、上述の第1波長範囲Trを除いた範囲の波長とする。
【0044】
第1光成分L1は、光パルス列Lに含まれる全縦モードの中で、第1波長範囲Tr内の波長を有する縦モードからなる。そして、第1波長範囲Trでの強度の積分値を第1光成分強度IL1とする。また、第2光成分L2は、光パルス列Lに含まれる全縦モードから、第1光成分L1を除いた縦モード、すなわち波長範囲Rfに含まれる縦モードからなる。そして、第2波長範囲Rfでの強度の積分値を第2光成分強度IL2とする。さらに、第1光成分強度IL1に対する第2光成分強度IL2の比率IL2/IL1を成分間強度比Rとする。
【0045】
このとき、制御指標として、この成分間強度比Rを用いることができる。ただし、第1光成分強度IL1は、光注入同期の有無に拠らず、実用上十分な精度で一定とみなすことができる。この点について、非特許文献3には、連続波光CWを約6dBmまで強めることで光注入同期を消失させた前後において、第1光成分強度IL1の変化率は、約0.6dBに止まることが示されている。よって、この場合には、制御指標として、成分間強度比Rに代えて、第2光成分強度IL2を用いることができる。第2光成分強度IL2を制御指標とすることで、第1光成分強度L1の測定が不要となるので、後述する分離手段の構成をより簡略化できる。
【0046】
図5及び以下の説明では、分離波長幅Wλを2nm及び5nmと設定した場合の第2光成分強度IL2を制御指標R2nm及びR5nmとして用いている。この分離波長幅Wλ(2nm及び5nm)は、図2(C)及び(D)から得られる光注入同期の維持状態での包絡線の全半値幅(約1nm)の約2倍及び5倍の波長範囲にそれぞれ相当する。なお、図5を得るに当たっては、光パルス列Lが、第1及び第2光成分L1及びL2に強度ロス無く分離されると仮定している。つまり、光パルス列の全強度が、第1及び第2光成分強度IL1及びIL2の和に一致すると仮定している。
【0047】
図5と図3とを比較すると、主従比率(I+5/I)と、制御指標R2nm及びR5nmとは、挙動がよく似通っていることが判る。すなわち、制御指標R2nm及びR5nmは、主従比率と同様に、凹部範囲A1、極小範囲A2、及び一定値範囲A3を取る。このように、制御指標R2nm及びR5nmは、主従比率と同様に、同期強度を非常に良く反映している。よって、制御指標R2nm及びR5nmと予め定められた基準値との差を小さくする制御、つまり波長差δλを上述のWLR内に保つ制御を主縦モード波長λCWに行えば、MLLDの光注入同期を維持できる。上述した理由により、成分間強度比Rを制御指標としたとしても、その挙動は、制御指標R2nm及びR5nmと等しくなる。
【0048】
次に、分離波長幅Wλの大きさについて説明する。概略的には、分離波長幅Wλは、光パルス列Lの包絡線enの尖り具合い、すなわち主縦モード波長λCW近傍への強度の集中度を反映するような波長幅に設定するのが好ましい。より詳細には、分離波長幅Wλは、成分間強度比R(=IL2/IL1)が、光パルス列Lの全強度に対する主縦モードの強度比を反映する波長幅に設定する必要がある。
【0049】
より定量的には、分離波長幅Wλは、図4(B)の非同期光パルス列全幅WNCW未満で、図4(A)の同期光パルス列全幅WCWを超える波長範囲に設定することが好ましい。ここで、非同期光パルス列全幅WNCWとは、非同期パルス列LNCWの包絡線enNCWのピーク強度をPNCWとした場合、この包絡線enNCWで、強度がxPNCW(ただし、xは0<x<1)以上となる波長範囲とする。同様に、同期光パルス列全幅WCWとは、同期光パルス列LCWの包絡線enCWのピーク強度をPCWとした場合、この包絡線enCWで、強度がxPCW以上となる波長範囲とする。例えば、強度比xを0.5とした場合、非同期及び同期光パルス列全幅WNCW及びWCWは、それぞれ包絡線enNCW及びenCWの全半値幅と等しくなる。適切な強度比xの下で分離波長幅Wλを設定すれば、成分間強度比Rは、光パルス列Lの全強度に対する主縦モードの強度比を反映する。
【0050】
なお、MLLDからの出力光パルス列Lを構成する個々の光パルスの波長幅及び時間幅は、互いにフーリエ共役の関係にあることが知られている。従って、同期光パルス列LCWの第1光成分LCW1を出力光パルス列として外部に出力させる場合、分離波長幅Wλは、実用上十分に短い時間幅の光パルスが得られる波長幅を超えていることが好ましい。
【0051】
また、分離波長幅Wλが過大だと、第1光成分L1が光パルス列Lの殆どの縦モードを含む結果、同期及び非同期光パルス列LCW及びLNCWの成分間強度比Rで、光注入同期の有無による差が消失してしまう。よって、分離波長幅Wλは、光注入同期の有無により成分間強度比Rに識別可能な差が生じるような幅未満とすることが好ましい。
【0052】
次に、図5を参照しながら、制御指標R2nm及びR5nmによる主縦モード波長λCWの制御において、基準となる基準値について説明する。制御指標R5nmを例に挙げると、概略的には、基準値は、上述した一定値範囲A3での制御指標の値を上限とし、極小範囲A2での制御指標の値を下限とする範囲内で設定することが好ましい。
【0053】
より詳細には、一定値範囲A3内の波長差δλで、図4(B)の非同期光パルス列LNCWがMLLDから出力され、及び、極小範囲A2内の波長差δλで、図4(A)の同期光パルス列LCWがMLLDから出力される。ここで、非同期光パルス列LNCWから求められる、一定値範囲A3内での制御指標の値を、非同期強度比RNCW(=ILNCW2/ILNCW1)とする。同様に、同期光パルス列LCWから求められる、極小範囲A2内での制御指標の値を、同期強度比RCW(=ILCW2/ILCW1)とする。この場合に、基準値は、同期強度比RCW以上で、非同期強度比RNCW未満の範囲内で、設計に応じた好適な値を選択することが好ましい。特に、光注入同期を良好に維持する観点からは、基準値を同期強度比RCW近傍の値とすることが好ましい。例えば、図5の例での制御指標R5nmでは、基準値を極小値と等しい−31dBmとして制御を行えば、光同期状態が維持された光パルス列LCWをMLLDから常に出力させることができる。
【0054】
このように、制御指標である成分間強度比Rは、縦モードの個別分離のために、例えば0.3nm程度の高い波長分解能を要した主従比率よりも、分解能を、例えば2〜5nm程度まで低くできる。その結果、成分間強度比Rは、より単純な構成の波長分離手段で求めることができる。よって、この制御指標を用いることで、光注入同期の維持能力を非特許文献3の技術と同様に保ちつつ、非特許文献3の技術よりもMLLD装置、特に、波長分離手段の構成を単純にすることができる。
【0055】
なお、この項においては、制御指標として、第1光成分L1に対する第2光成分L2の強度比である成分間強度比Rを用いた場合について主に説明した。しかし、制御指標は、光パルス列Lの全強度に対する主縦モードの強度比を反映するような量であれば、成分間強度比Rには限定されない。例えば、図5で示したように第2光成分L2の強度そのものや、第2光成分の光パルス列Lの全強度に対する第2光成分の強度比などを制御指標として用いることができる。
【0056】
次に、図6を参照して、光パルス列Lを、第1波長範囲Trの第1光成分L1と、第2波長範囲Rfの第2光成分L2とに分離するための分離手段の具体的な構成について説明する。図6の縦軸は、分離手段を透過する光の透過率であり、0から1範囲の値である。横軸は任意単位の波長である。図6の曲線Iは、分離手段を透過した第1光成分L1の波長特性を示し、曲線IIは、分離手段で反射された第2光成分L2の波長特性を示す。
【0057】
光パルス列Lを第1及び第2光成分L1及びL2に分離する分離手段として、図6に示すような、透過・反射特性を示す光透過反射フィルタが好適である。すなわち、この光透過反射フィルタは、第1波長範囲Trを通過帯域として、第1光成分L1を透過光として透過させ、第2光成分L2を反射光として反射させる。このような光透過反射フィルタを分離手段として用いれば、第1及び第2光成分L1及びL2を、それぞれ透過光及び反射光として分離して出力させることができる。このような光透過反射フィルタとしては、分離波長幅Wλの設計自由度が高い誘電体多層膜が好適である。
【0058】
<実施例>
以下、図7〜図11を参照して、MLLD装置の幾つかの実施例を例示する。図7〜図10は、第1〜第4実施例のMLLD装置の構成を模式的に示す模式図である。図11は、第4実施例のMLLD装置の効果を説明するための特性図である。
【0059】
(第1実施例)
図7を参照すると、第1実施例のMLLD装置102は、モード同期手段70と、分離手段60と、制御手段50とを備えている。さらに、MLLD装置102は、任意的な要素として光カプラ21を備えている。
【0060】
分離手段60は、光注入同期状態でモード同期動作を行うモード同期手段70からの出力光パルス列Lが含む第1光成分L1を透過させ、第2光成分L2を反射させる透過反射フィルタとして構成されている。この透過反射フィルタの構成は上述したとおりである。
【0061】
光カプラ21は、分離手段60と強度検出部51との間の第1光成分L1の伝搬経路に介在する光分岐素子である。光カプラ21は、第1光成分L1を所定の強度割合で分離して、一方を光パルス列L’として系外に出力し、他方を強度検出部51に向けて出力する。
【0062】
制御手段50は、強度検出部51と、制御部52とを備えている。強度検出部51は、第1及び第2光成分L1及びL2の強度をそれぞれ検出する。制御部52は、まず、第1及び第2光成分L1及びL2の強度から制御指標Rを算出する。さらに、制御部52は、この制御指標Rと、予め別手段で定められた基準値とを比較して、両者の差を小さくするように、モード同期手段70の後述する調整部23をフィードバック制御する。
【0063】
モード同期手段70は、制御手段50の制御の下で、出力光パルス列Lの波長を光注入同期が維持される範囲に保つように構成されている。より詳細には、モード同期手段70は、MLLD素子1と、調整部23とを備えている。さらに、モード同期手段70は、任意的な要素として、CW光源19と、入力光学系110と、出力光学系112と、直流電源11と、変調電源13と、電圧源12と、温度制御部32とを備えている。
【0064】
MLLD素子1は、概略的には、pn接合を含んで構成される光利得領域3に電流を注入することで、反転分布を形成してレーザ発振を実現する半導体レーザダイオードである。MLLD素子1は、適当な電圧及び電流の印加によりモード同期状態で動作する。この状態のMLLD素子1に、波長λCWの連続波光CWを注入すると、光注入同期が生じ、内部を伝搬する伝搬光Lと連続波光CWとが相互作用し、波長がλCWに等しい光パルス列Lが出力される。MLLD素子1は、調整部23を介して制御手段50により制御される。この制御により、光注入同期が維持されるように、伝搬光L、すなわち出力光パルス列Lの主縦モード波長λLMをλCWに一致させる。
【0065】
構造的には、MLLD素子1は、伝搬光が伝搬するコア30と、このコア30を厚さ方向の上下から挟み込む、p型クラッド5及びn型クラッド6を備えた光導波路40を有する。
【0066】
コア30は、記載順で直列に配置された、光変調領域2と、光利得領域3と、受動導波路領域4とを備えている。なお、これらの3つの領域の区分は飽くまで機能的なものであり、3つの領域に構造的な違いは無い。つまり、これらの3つの領域は、コア30を一体的に構成している。
【0067】
光利得領域3は、レーザ発振のための光増幅機能を有する領域である。より詳細には、光利得領域3には、p側電極9とn側共通電極7とを介して直流電源11から定電流が注入されて、レーザ発振に必要な反転分布が形成される。
【0068】
光変調領域2は、モード同期動作を行うために、伝搬光Lの光強度を変調する領域であり、透過率が外部から変調される。より詳細には、光変調領域2には、p側電極8とn側共通電極7とを介して、電圧源12から逆バイアス電圧が印加される。さらに、同電極7及び8を介して、変調電源13からMLLD素子1の有する共振器周回周波数の自然数倍の周波数の変調電圧が印加される。これらの印加電圧により、光変調領域2の透過率が変調される。光変調領域2は、受動モード同期レーザにおける可飽和吸収帯や、能動モード同期レーザにおける電界吸収型光変調器などの光変調器に相当する。
【0069】
受動導波路領域4は、発振光Lの波長に対して透明な材料で構成され、調整部23による屈折率の調整を受けて、発振光Lの波長、すなわち出力光パルス列Lの主縦モード波長λLMを変化させる領域である。より詳細には、受動導波路領域4に対応する領域に延在する光導波路40にはpin接合が形成されている。このpin接合では、受動導波路領域4が真性半導体層(i層)であり、該領域4に対応する領域に延在するp型及びn型クラッド5及び6がそれぞれp層及びn層である。このpin接合に、p側電極10とn側共通電極7とを介して、調整部23から、制御手段50の制御に従った制御電流を注入する。これにより、受動導波路領域4に生じるプラズマ効果を利用して、該領域4の屈折率を変化させる。この屈折率の変化により、受動導波路領域4の光路長を変化させ、コア30を伝搬する発振光Lの波長、すなわち出力光パルス列Lの主縦モード波長λLMが波長同期範囲WLR内に保たれるように調整する。より詳細には、出力光パルス列Lと連続波光CWとの波長差δλが光注入同期を維持可能な波長同期範囲WLR内に保たれるように調整する(図1(C)参照)。
【0070】
ここで、「発振光L及び出力光パルス列Lの波長を調整する」とは、主縦モード波長λLMのみでなく、発振光L及び出力光パルス列Lに含まれる全縦モードの波長を同時に同じ波長幅だけシフトさせることを意味する。
【0071】
再びモード同期手段70の構成の説明に戻る。調整部23は、上述のように、制御手段50の制御の下で、受動導波路領域4の屈折率を調整することにより、発振光L全体の波長を変化させて、出力光パルス列Lの主縦モード波長λLMを、光注入同期が維持される波長範囲内に保つ。この実施例では、調整部23は、制御手段50の制御に従った制御電流を受動導波路領域4に対応する光導波路40のpin接合に注入する制御電流注入装置として構成されている。
【0072】
CW光源19は、MLLD素子1の外部に設けられており、単一波長λCWの出力光を出力する光源である。この出力光は、入力光学系110で連続波光CWへと変換された後に、コア30に注入される。なお、連続波光CWをコア30に注入するとは、コア30に連続波光CWを入力することを示す。
【0073】
入力光学系110は、概略的には、CW光源19からの出力光を連続波光CWへと変換するとともに、この連続波光CWをコア30に入力するための光学系である。入力光学系110は、偏光面調整素子20、光サーキュレータ18及び結合レンズ17を備えている。
【0074】
偏光面調整素子20は、CW光源19からの出力光を、MLLD素子1内部の伝搬光Lに等しい偏光方向の連続波光CWへと変換する素子である。より詳細には、偏光面調整素子20は、例えば、1/2波長板等で構成される。すなわち、1/2波長板の結晶軸(進相軸又は遅相軸)を回転させることより、CW光源19からの出力光の偏光面を回転させ、偏光方向が伝搬光Lに一致した連続波光CWを得る。
【0075】
光サーキュレータ18は、コア30に入力される連続波光CWと、コア30から出力される光パルス列Lとを光非相反的に分離する素子である。つまり、光サーキュレータ18は、3個の入出力ポート18,18及び18を備えており、入出力ポート18に入力された連続波光CWは、入出力ポート18から出力されて、結合レンズ17を介して入出力端面Qからコア30に注入される。また、コア30の入出力端面Qから出力される光パルス列Lは、入出力ポート18に入力され、入出力ポート18から分離手段60に向けて出力される。
【0076】
入力光学系110を構成する結合レンズ17は、連続波光CWのコア30への結合効率と、コア30から出力される光パルス列Lの出力光学系112への結合効率とを、それぞれ高めるための素子である。
【0077】
出力光学系112は、概略的には、MLLD素子1からの出力光パルス列Lを外部に出力させるための光学系であり、MLLD素子1と分離手段60との間に介在している。出力光学系112は、結合レンズ17、光サーキュレータ18を備えている。ここで、出力光学系112は、結合レンズ17及び光サーキュレータ18を入力光学系110と共有している。
【0078】
温度制御部32は、MLLD素子1の温度を一定に保つことで、MLLD素子1からの出力光パルスLの縦モード波長を安定化させる。温度制御部32は、発熱・吸熱素子14と、温度モニタ15と、温度コントローラ16とを備えている。より詳細には、温度モニタ15は、MLLD素子1の温度を観測する。温度コントローラ16は、温度モニタ15の観測温度と、予め定められた設定温度との差に基づいて、発熱・吸熱素子14を制御する。発熱・吸熱素子14は、例えばペルチエ素子で構成され、温度コントローラ16からの制御を受け、MLLD素子1の温度を一定に保つように、吸熱又は発熱する。
【0079】
続いて、適宜図1,図4及び図7を参照して、MLLD装置の制御方法を、動作とともに説明する。
【0080】
(第1過程)
第1過程では、連続波光CWの注入により、光注入同期が維持された状態でモード同期動作を行うMLLD素子1から、光パルス列Lが出力される(図1(A)参照)。
【0081】
より詳細には、直流電源11、電圧源12及び変調電源13を用いて、コア30に適当な電圧及び電流を印加することで、MLLD素子1はモード同期動作する。モード同期動作の結果、縦モードLMの波長λを中心波長とする、図1(B)に示すような発振スペクトルを持つ伝搬光Lが、コア30を伝搬する。
【0082】
この状態のMLLD素子1に、所定条件を満たす連続波光CWを、入力光学系110を介してCW光源19から注入することで、MLLD素子1に光注入同期が発現する。ここで、所定条件とは(1)連続波光CWの波長λCWが発振光Lの全縦モードが分布する波長範囲に含まれること、及び(2)連続波光CWの偏光方向が発振光Lと一致することである。
【0083】
光注入同期状態にあるMLLD素子1からは、主縦モード波長が、連続波光CWの波長λCWに等しい、図1(C)に示すような発振スペクトルを持つ光パルス列Lが出力される。光パルス列Lは、出力光学系112を介して、分離手段60である光透過反射フィルタに入力される。
【0084】
(第2過程)
第2過程では、光パルス列Lに含まれる第1及び第2光成分L1及びL2を、第1及び第2光成分L1及びL2の強度比が光パルス列Lの全光強度に対する主縦モードの強度比を反映するように波長分離する。
【0085】
より詳細には、分離手段60は、光パルス列Lを、第1波長範囲Trの第1光成分L1と、第2波長範囲Rfの第2光成分L2とに波長分離する(図4(A)及び(B)参照)。より具体的には、分離手段60は、第1光成分L1を透過させ、第2光成分L2を反射させる。上述のように、分離手段60の分離波長幅Wλは、第1及び第2光成分L1及びL2の強度比(IL2/IL1)が光パルス列Lの全光強度に対する主縦モードの比率を反映するように決められている。
【0086】
(第3過程)
第3過程では、第1及び第2光成分L1及びL2の強度比(IL2/IL1)もしくは第2光成分L2の光強度IL2を用いて発振光Lの波長を制御して、波長差δλが光注入同期を維持可能な波長同期範囲WLR内に保たれるように、出力光パルス列Lの主縦モードの波長λLMを変化させる。
【0087】
より詳細には、第1及び第2光成分L1及びL2は、制御手段50の強度検出部51に入力され、それぞれの強度が検出される。制御手段50の制御部52は、検出された第1及び第2光成分L1及びL2の強度を用いて、第1光成分L1に対する第2光成分L2の強度比である制御指標Rを算出する。上述のように、この制御指標Rは、MLLD素子1の同期強度を反映している。
【0088】
さらに、制御部52は、制御指標Rと、予め定められた基準値とを比較して、両者の差を小さくするように、モード同期手段70の調整部23をフィードバック制御する。つまり、制御部52は、MLLD素子1で光注入同期が維持されるように、調整部23を制御する。
【0089】
より具体的には、制御部52は、調整部23を制御して、伝搬光Lの主縦モード波長λLMを変化させる。つまり、制御部52の制御の結果として生じる伝搬光Lの縦モード波長λLMの変化は、同期強度を変え、これにより、さらに光パルス列Lの縦モード波長λLMの変化が引き起こされる。この光パルス列Lの縦モード波長λLMの変化は、制御指標Rの変化として観測され、再び制御部52に戻される。このように、制御部52は、制御指標Rと基準値との差の変化率として、自らの制御結果の適否を確認でき、この制御結果に基づき適切な制御を調整部23に実施する。
【0090】
制御手段50の制御を受けるモード同期手段70の調整部23は、受動導波路領域4に制御に応じた制御電流を注入する。これにより、該領域4にプラズマ効果を発生させ、受動導波路領域4の屈折率を変化させる。この屈折率の変化により、受動導波路領域4の光路長を変化させ、コア30を伝搬する発振光Lの波長、すなわち出力光パルス列Lの主縦モード波長λLMが波長同期範囲WLR内に保たれるように調整する。より詳細には、出力光パルス列Lと連続波光CWとの波長差δλが光注入同期を維持可能な波長同期範囲WLR内に保たれるように調整する(図1(C)参照)。
【0091】
このように、この実施例のMLLD装置の制御方法によれば、非特許文献3の技術よりも簡単な方法で、非特許文献3の技術と同等に光注入同期を維持できる。
【0092】
この実施例においては、結合レンズ17を用いた場合について説明した。しかし、連続波光CW及び光パルス列Lの入出力効率が十分に大きいならば、結合レンズ17を省略してもよい。
【0093】
また、この実施例においては、MLLD素子1のコア30が、光利得領域3、光変調領域2及び受動導波路領域4を備える場合について説明した。しかし、MLLD素子1は、これらの3つの領域を備える必要は無く、以下の3条件を満たす任意のMLLD素子を用いることができる。その条件とは(1)MLLD素子1を電流注入により励起してレーザ発振させること、(2)MLLD素子1の共振器の周回周波数の自然数倍の周波数で光変調を行なうことでモード同期を実現させること、及び(3)発振光Lの波長が可変であること、である。
【0094】
(第2実施例)
図8を参照して、第2実施例のMLLD装置103について説明する。この実施例のMLLD装置103は、モード同期手段72の調整部24を除いて第1実施例のMLLD装置102と同様に構成されている。従って、この相違点に関して主に説明する。
【0095】
MLLD装置103の調整部24は、制御手段50の制御に従った逆バイアス電圧である制御逆バイアス電圧を、受動導波路領域4に対応する光導波路40のpin接合に印加する制御電圧印加装置として構成されている。調整部24は、制御逆バイアス電圧を印加することで、受動導波路領域4で生じるポッケルス効果を利用して受動導波領域4の屈折率を変化させる。
【0096】
第1実施例のMLLD装置102とは異なり、この実施例のMLLD装置103は、屈折率の制御に当たり、受動導波路領域4に電流を注入しない。その結果、MLLD装置103では受動導波路領域4で自由キャリア吸収が発生しない。このため、この実施例のMLLD装置103は、MLLD装置102よりも高強度の出力光パルス列Lを出力できる。
【0097】
なお、MLLD装置103は、MLLD装置102と同様の変形が可能である。
【0098】
(第3実施例)
図9を参照して、第3実施例のMLLD装置104について説明する。この実施例のMLLD装置104は、モード同期手段74の調整部27を除いて第1実施例のMLLD装置102と同様に構成されている。従って、この相違点に関して主に説明する。
【0099】
MLLD装置104の調整部27は、制御手段50の制御に従って受動導波路領域4の温度を調整する温度調整装置として構成されている。調整部27は、抵抗膜26への通電で発生するジュール熱を利用して温度を調整し、受動導波路領域4の屈折率を変化させる。より詳細には、調整部27は、絶縁層25と、抵抗膜26とを備えている。絶縁層25は、受動導波路領域4に対応するp型クラッド5の上面に設けられており、抵抗膜26と、MLLD素子1との間の電気的絶縁性を確保する。抵抗膜26は、絶縁層25の直上に設けられた、例えば、白金薄膜等の電気抵抗膜である。抵抗膜26では、通電される電流値に対応した熱量のジュール熱が生じ、この熱量に応じて受動導波路領域4の屈折率が変化する。
【0100】
この実施例のMLLD装置104は、第2実施例のMLLD装置103と同様に、屈折率の制御に当たり、受動導波路領域4に電流を注入しない。よって、MLLD装置104は、MLLD装置103と同様に、受動導波路領域4での自由キャリア吸収を防止し、MLLD装置102よりも高強度の出力光パルス列Lを出力できる。
【0101】
さらに、温度変化を利用するMLLD装置104では、MLLD装置103よりも広い屈折率変化幅が得られる。よって、MLLD装置104は、より広い波長範囲での縦モード波長の調整が要求される場合に特に好適である。例えば、モード同期周波数が高く、MLLD素子1の安定動作のために求められる縦モード波長の調整幅が数nmオーダに及ぶ場合等に好適である。
【0102】
(第4実施例)
図10及び図11を参照して、第4実施例のMLLD装置105について説明する。この実施例のMLLD装置105は、連続波光CWと光パルス列Lとが、それぞれモード同期手段76のコア30の異なる端面P及びQから入出力される点を除いて第1実施例のMLLD装置102と同様に構成されている。従って、この相違点に関して主に説明する。
【0103】
すなわち、MLLD装置105では、コア30の一方の端面を連続波光CWの入力端Pとし、コア30の他方の端面を光パルス列Lの出力端Qとする。
【0104】
これにより、MLLD装置105は、第1〜第3実施例のMLLD装置102〜104に比較して、出力光パルス列Lの消光比を改善することができる。
【0105】
以下、図11を参照して、この点について説明する。図11は、MLLD装置105の効果を説明するための特性図である。図11の横軸は、遅延時間(ps)であり、縦軸は、SHG(Second Harmonic Generation)強度(dB)である。図11の曲線Iは、第1実施例のMLLD装置102から出力される光パルス列LのSHG自己相関波形であり、曲線IIは、MLLD装置105から出力される光パルス列LのSHG自己相関波形である。
【0106】
曲線I及びIIにおいて、最大値と最小値との比を消光比と規定すると、第1実施例に対応する曲線Iの消光比は、バックグラウンド成分のために、約18dBに止まる。それに対し、この実施例に対応する曲線IIの消光比は、約28dBに増加しており、第1実施例よりも消光比が改善している。
【0107】
これは、第1〜第3実施例のMLLD装置102〜104では、連続波光CWと出力光パルス列Lの入出力に、光サーキュレータ18を用いていることに由来する。つまり、光サーキュレータ18の入出力ポート18に入力される連続波光CWの戻り光成分が、出力光パルス列Lとともに入出力ポート18から出力されてしまう。その結果、連続波光CWの戻り光成分が、曲線Iのバックグラウンド成分として検出され、消光比を悪化させる。一方、この実施例のMLLD装置105は、光サーキュレータを用いていないので、消光比を良好に保つことができる。ただし、この実施例の場合、光サーキュレータを用いていないために、反射戻り光の防止のために、連続波光CWの入力端P、光パルス列Lの出力端Qにそれぞれ第1光アイソレータ121、第2光アイソレータ122を接続して用いるのが好適である。
【0108】
なお、この実施例は、第1〜第3実施例のMLLD装置102〜104と組み合わせて用いることができる。
【0109】
(変形例)
(1)第1〜第4実施例は、上述した能動モード同期半導体レーザだけでなく、受動モード同期半導体レーザや、両者を併用したハイブリッドモード同期半導体レーザにも適用できる。
【0110】
(2)第1〜第4実施例は、変調電源13を有しないために、変調電源13の繰り返し周波数よりも高い周波数で動作する受動モード半導体レーザにも適用できる。
【0111】
(3)受動導波路路領域4の屈折率を調整するに当たり、実施例で説明したプラズマ効果やポッケルス効果に代えて、バンドフィリング効果や、量子サイズ効果であるフランツケルディッシュ効果などを用いることができる。
【符号の説明】
【0112】
1:モード同期半導体レーザ素子(MLLD素子)
2:光変調領域
3:光利得領域
4:受動導波路領域
5:p型クラッド層
6:n型クラッド層
7:n側共通電極
8:光変調領域のp側電極
9:光利得領域のp側電極
10:受動導波路領域のp側電極
11:直流電源
12:電圧源
13:変調電源
14:発熱・吸熱素子
15:温度モニタ
16:温度コントローラ
17、17−1、17−2:結合レンズ
18:光サーキュレータ
18,18,18 入出力ポート
19、119:CW光源
20、120:偏光面調整素子
21:光カプラ
23,24,27:調整部
25:絶縁層
26:抵抗膜
30:コア
32:温度制御部
40:光導波路
50:制御手段
51:強度検出部
52:制御部
60:分離手段
70,72,74,76:モード同期手段
102、103、104、105:MLLD装置
110、114:入力光学系
112、116:出力光学系
121:第1光アイソレータ
122:第2光アイソレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転分布を形成する光利得領域、光強度を変調する光変調領域、及び調整部により発振光の波長が変化される受動導波路領域を有し、前記発振光が伝搬するコア、並びにクラッドを具備する光導波路を含み、
前記発振光に含まれる複数の縦モードの内何れかの縦モードである標的縦モードとの間に光注入同期を発現可能な波長差を有し、かつ前記発振光と偏光方向が一致する連続波光が入力され、該連続波光に等しい波長の縦モードである主縦モード、及び該主縦モード波長の周りに分布する複数の従縦モードを含む光パルス列を出力するモード同期半導体レーザ素子と、
前記光パルス列に含まれる第1及び第2光成分を、当該第1及び第2光成分の強度比が、前記光パルス列の全光強度に対する前記主縦モードの比率を反映するように分離する分離手段と、
前記第2光成分の光強度を用いて制御指標を求めるとともに、該制御指標を用いて前記調整部を制御して、前記波長差が前記光注入同期を維持可能な波長同期範囲内に保たれるように、前記主縦モードの波長を変化させる制御手段と
を備え、
前記第1光成分を、前記主縦モード波長を中心とする分離波長幅内に含まれる前記縦モードとし、及び前記第2光成分を、前記光パルス列に含まれる全ての縦モードから前記第1光成分を除いた縦モードとする
ことを特徴とするモード同期半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記制御指標として、前記第1光成分に対する前記第2光成分の強度比である成分間強度比を用い、
前記制御手段は、前記成分間強度比と予め定められた基準値との差異を小さくするように、前記調整部を制御することを特徴とする請求項1に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記光注入同期が発現していない状態の前記モード同期半導体レーザ素子から出力される非同期光パルス列が含む全縦モードの包絡線において、該包絡線のピークに対して強度比がx(ただし、xは0<x<1)以上となる波長範囲を非同期光パルス列全幅とし、
前記光注入同期が維持されている状態の前記モード同期半導体レーザ素子から出力される前記光パルス列が含む全縦モードの包絡線において、該包絡線のピーク対して強度比が前記x以上となる波長範囲を同期光パルス列全幅とする場合、
前記分離手段の前記分離波長幅を、前記非同期光パルス列全幅未満で、前記同期光パルス列全幅を超える波長範囲に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記光注入同期が発現していない状態の前記モード同期半導体レーザ素子から出力される非同期光パルス列を前記分離手段で分離したときの第1及び第2光成分において、当該第1光成分に対する当該第2光成分の強度比を非同期強度比とし、
前記光注入同期が維持されている状態における前記成分間強度比を同期強度比とする場合、
前記基準値を、前記非同期強度比と前記同期強度比の間の値に設定することを特徴とする請求項2に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記分離手段が、前記分離波長幅を通過帯域として、前記第1光成分を透過させ、前記第2光成分を反射させる光透過反射フィルタを備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記光導波路に、真性半導体層としての前記受動導波路領域と、該受動導波路領域を両側から挟む前記クラッドとしてのp型クラッド及びn型クラッドとで形成されるpin接合が設けられ、
前記調整部は、前記制御手段の制御に従った制御電流を前記受動導波路領域に注入することにより、該受動導波路領域の屈折率を変化させる制御電流注入装置として構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記光導波路に、真性半導体層としての前記受動導波路領域と、該受動導波路領域を両側から挟む前記クラッドとしてのp型クラッド及びn型クラッドとで形成されるpin接合が設けられ、
前記調整部は、前記制御手段の制御に従った制御逆バイアス電圧を前記受動導波路領域に印加することにより、該受動導波路領域の屈折率を変化させる制御電圧印加装置として構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項8】
前記調整部は、前記制御手段の制御に従って前記受動導波路領域の温度を調整することにより、該受動導波路領域の屈折率を変化させる温度調整装置として構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項9】
前記コアの一方の端面が、前記光パルス列及び前記連続波光の入出力端面として共有されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項10】
前記コアの一方の端面が前記連続波光の入力端であり、前記コアの他方の端面が前記光パルス列の出力端であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のモード同期半導体レーザ装置。
【請求項11】
反転分布を形成する光利得領域、光強度を変調する光変調領域、及び受動導波路領域を有し、前記発振光が伝搬するコア、並びにクラッドを具備する光導波路を含み、前記発振光中に含まれる複数の縦モードの内何れかの縦モードである標的縦モードとの間に光注入同期を発現可能な波長差を有し、かつ前記発振光と偏光方向が一致する連続波光が入力されるモード同期半導体レーザ素子から前記連続波光に等しい波長の縦モードである主縦モード、及び該主縦モード波長の周りに分布する複数の従縦モードを含む光パルス列を出力させる第1過程と、
前記光パルス列に含まれる第1及び第2光成分を、当該第1及び第2光成分の強度比が前記光パルス列の全光強度に対する前記主縦モードの強度比を反映するように分離する第2過程と、
前記第2光成分の光強度を用いて前記発振光の波長を制御して、前記波長差の大きさが前記光注入同期を維持可能な波長同期範囲内に保たれるように、前記主縦モードの波長を変化させる第3過程と
を備え、
前記第1光成分を、前記主縦モード波長を中心とする分離波長幅内に含まれる複数の前記縦モードとし、及び前記第2光成分を、前記光パルス列に含まれる全ての縦モードから前記第1光成分を除いた縦モードとする
ことを特徴とするモード同期半導体レーザ装置の制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−74187(P2013−74187A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213113(P2011−213113)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】