説明

ヤエヤマアオキを含む機能性食品、及びその製造方法

【課題】 ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の有効利用を図るとともに、ヤエヤマアオキエキスに特有の不快な風味を改善する。
【解決手段】 ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣の乾燥物を用いた機能性食品とする。また、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣の乾燥物から抽出したエキスを用いた機能性食品とする。さらに、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキス、又は、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスを、シクロデキストリンで包接してなる機能性食品等とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣を、有効活用するとともに、ヤエヤマアオキエキスに特有の不快な風味を改善するヤエヤマアオキを含む機能性食品、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヤエヤマアオキ(ノニ,学名:モリンダ・シトリフォリア(Morinda citrifolia))は、小笠原諸島、琉球諸島、台湾、中国、東南アジア、インド、オーストラリア、太平洋諸島にかけて広く生息している常緑灌木である。このヤエヤマアオキは、多くの有効成分を含有しており、高い薬理効果を奏することで知られている。例えば、ヤエヤマアオキには、高血圧の改善、炎症抑制、鎮痛、抗菌、免疫系増進、がん腫瘍の発達抑制などの優れた作用のあることが知られている。
【0003】
このようなヤエヤマアオキの有効性を利用すべく、これまでに様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1には、ヤエヤマアオキの根を原料とした健康食品等が記載されている。また、特許文献2には、ヤエヤマアオキの果肉や果汁を乾燥させた健康食品等が記載されている。
【0004】
一方で、ヤエヤマアオキには、特有の不快な香りや味がある。このため、有効成分を多く含むにも拘わらず、これがヤエヤマアオキの摂取の妨げになるという問題があった。
そこで、このようなヤエヤマアオキの不快な香りや味を改善して、その摂取を容易にするための種々の提案がなされている。
例えば、特許文献2には、ヤエヤマアオキの果肉や果汁を乾燥させることによって、ヤエヤマアオキに特有の不快臭を除去できることが記載されている。
【0005】
また、特許文献3に記載のサプリメント食品によれば、ヤエヤマアオキ果汁エキスにハチミツを混合することで、ヤエヤマアオキ果汁の悪臭と苦みを緩和して服用を容易にすると同時に、ヤエヤマアオキの効果を保存ないし増強できるとされている。
さらに、特許文献4には、ヤエヤマアオキにパイナップルを加えることで、ヤエヤマアオキに含まれている各種成分が、パイナップルに含まれている消化酵素との相互作用によって体内で効率良く吸収促進されるとともに、パイナップルに含まれる有機酸などによって、ヤエヤマアオキの苦みや臭味が調整され、緩和されることが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−97175号公報
【特許文献2】特開2003−47438号公報
【特許文献3】特開2004−229575号公報
【特許文献4】特開2003−153667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなヤエヤマアオキを用いた食品等を製造するにあたっては、ヤエヤマアオキから果汁を搾るに際し、残渣が大量に発生する。
すなわち、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁する場合、エキスが50重量%程度得られる一方で、残渣が50重量%程度発生する。
従来の技術においては、このような残渣については何ら考慮されておらず、通常は廃棄処分とされ、利用されることがなかった。
【0008】
しかしながら、ヤエヤマアオキからエキスを搾汁した残渣には、搾汁しきれなかった多くの有効成分が含まれている。このため、これらの有効成分を利用可能とすることが望ましい。
また、それと同時に、ヤエヤマアオキの摂取の妨げとなる、その不快な香りや味をより効率的に除去することも望まれている。
【0009】
そこで、本発明の発明者らは、鋭意研究した結果、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣を乾燥し、得られた乾燥物を用いて機能性食品とすることで、ヤエヤマアオキの搾汁残渣に含まれる有効成分を活用することに成功した。
また、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキスや、ヤエヤマアオキの搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスを、シクロデキストリンで包接することで、ヤエヤマアオキエキスの不快な香りや味を効率的に低減できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣を乾燥して得られた乾燥物を用いることで、その残渣の有効活用を行うとともに、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキス、又は搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスを、シクロデキストリンで包接することで、ヤエヤマアオキに特有の不快な風味を改善したヤエヤマアオキを含む機能性食品、及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣の乾燥物を用いた構成としてある。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品によれば、従来は廃棄処分となっていたヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣を乾燥させて、機能性食品として利用することができる。
このため、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣に含まれる有効成分を活用することが可能となる。
なお、本発明の機能性食品には、ヤエヤマアオキ100%からなるものも含まれる。以下においても同様である。
【0012】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣の乾燥物から抽出したエキスを用いた構成としてある。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品によれば、従来、搾汁しただけで廃棄処分となっていたヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣から、さらにエキスを抽出して、このエキスを機能性食品として利用することができる。
このため、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣に含まれる有効成分を活用することが可能となる。
【0013】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣の乾燥物からエキスを抽出した残渣を、さらに乾燥して得られた乾燥物を用いた構成としてある。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品によれば、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣からエキスを抽出し、さらにこの抽出によって発生した残渣を機能性食品として利用することができる。
このため、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣からさらにエキスを抽出した残渣に含まれる有効成分を活用することが可能となる。
【0014】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキス、又は、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスを、シクロデキストリンで包接してなる構成としてある。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品によれば、ヤエヤマアオキエキスに特有の不快な風味を改善することができる。
このため、有効成分を多く含むにも拘わらず、従来は摂取しづらかったヤエヤマアオキエキスを、容易に摂取することが可能となる。
【0015】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキスに、少なくとも糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれかを添加してなる構成としてある。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品によれば、ヤエヤマアオキエキスに糖類、ハチミツ、又はクエン酸の風味を付加することができる。
このため、ヤエヤマアオキエキスに特有の不快な風味をさらに改善することが可能となる。
【0016】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキス、この乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキス、又は、この包接したエキスに少なくとも糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれかを添加したエキスを、濃縮してなる構成としてある。
【0017】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキス、この乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキス、又は、この包接したエキスに少なくとも糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれかを添加したエキスを、濃縮し粉末化してなる構成としてある。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品によれば、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣から抽出したエキスを用いて、ヤエヤマアオキの濃縮エキスや濃縮エキス末を、機能性食品として利用することができる。
このため、大量に発生するヤエヤマアオキの搾汁残渣に含まれる有効成分を効果的に活用することが可能となる。
【0018】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキス、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキス、この乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキス、又は、この包接したエキスに少なくとも糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれかを添加したエキスに、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物、又は、当該乾燥物からエキスを抽出した残渣をさらに乾燥して得られた乾燥物を添加して、粉末化してなる構成としてある。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品によれば、これらのエキスを粉末化するに際して、賦形剤としてヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物等を用いることができる。
このため、当該搾汁残渣や抽出残渣に含まれる有効成分を活用することができ、より機能性の高い機能性食品を提供することが可能となる。
【0019】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、上記のシクロデキストリンが、少なくともαシクロデキストリン、βシクロデキストリン、又はγシクロデキストリンのいずれかである構成としてある。
シクロデキストリンとしてこれらを用いることで、ヤエヤマアオキエキスの風味を効果的に低減することが可能となる。
【0020】
また、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品の製造方法は、ヤエヤマアオキの果実を搾汁し、次いで搾汁により生じた残渣を乾燥して乾燥物とし、又は、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキスをシクロデキストリンで包接する方法としてある。
ヤエヤマアオキを含む機能性食品の製造方法をこのような方法とすると、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣を、機能性食品として利用することができるとともに、ヤエヤマアオキエキスに特有の不快な風味を改善することができる。
このため、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣に含まれる有効成分を活用することが可能になるとともに、ヤエヤマアオキの摂取を容易にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣を乾燥して得られた乾燥物を、機能性食品とすることができる。
このため、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣に含まれる有効成分を活用することが可能となる。
また、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキス、又は搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスを、シクロデキストリンで包接することができる。
このため、ヤエヤマアオキに特有の不快な風味が改善された機能性食品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、ヤエヤマアオキを含む機能性食品及びその製造方法であって、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣を乾燥して乾燥物とし、ヤエヤマアオキの果実の搾汁エキス又は搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接することを特徴とする。以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0023】
(ヤエヤマアオキ)
本発明で使用するヤエヤマアオキは、特に限定されるものではなく、小笠原諸島、琉球諸島、台湾、中国、東南アジア、インド、オーストラリア、太平洋諸島等で自生又は栽培されているアカネ科の常緑灌木であるヤエヤマアオキであれば、その品種はいずれでもよい。
ヤエヤマアオキは、140種以上の栄養素を含有するといわれており、高血圧の改善、炎症抑制、鎮痛、抗菌、免疫系増進、がん腫瘍の発達抑制などの優れた薬理作用のあることが知られている。
【0024】
(シクロデキストリン)
本発明に使用するシクロデキストリンとしては、例えばαシクロデキストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリンなどを用いることができる。αシクロデキストリンは、グルコースが6個環状に結合したもの、βシクロデキストリンは、グルコースが7個環状に結合したもの、γシクロデキストリンは、グルコースが8個環状に結合したものである。これらは、ヤエヤマアオキエキスの成分をその空洞部分に包接することができるため、ヤエヤマアオキエキスの包接に好適に用いることができる。
【0025】
(製造方法)
次に、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品の製造方法を、図1を用いて説明する。同図は、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品の製造方法の工程を示すブロック図である。
本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品は、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣を乾燥して乾燥物とし、ヤエヤマアオキの果実の搾汁エキス又は搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接することができれば、特に限定されるものではないが、同図に示すように、(A)搾汁工程、(B),(D)乾燥工程、(C)抽出工程、(E)包接工程、(F)添加工程、(G)濃縮工程、(H),(I)粉末化工程、(J)製品化工程を有する方法とすることが好ましい。
以下、これらの各工程について順に説明する。
【0026】
(A)搾汁工程
ヤエヤマアオキの果実を搾汁して、エキスを搾り取る。この際、大量の残渣が発生する。通常、ヤエヤマアオキの果実を搾汁すると、エキスが約50重量%程度得られるとともに、残渣が約50重量%程度発生する。
この発生した残渣は、次に(B)乾燥工程で使用する。また、搾汁したエキスは、後の(E)包接工程で使用する。
【0027】
(B)乾燥工程
次に、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣を、熱風乾燥又は冷風乾燥させる。
これによって、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1を得ることができる。
本発明では、後の(J)製品化工程において、この乾燥物1を用いて、飲料や粉末、顆粒、錠剤、カプセルなどの機能性食品を製造することで、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣に含まれる有効成分を活用することを可能としている。
【0028】
(C)抽出工程
また、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1に、適当な抽出溶媒を加えて、エキス2を抽出することで、搾汁残渣を有効活用することも好ましい。
このとき用いる抽出溶媒としては、ヤエヤマアオキの有効成分を効果的に抽出可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば水やエタノールなどを用いることができる。また、抽出効率の観点から、抽出溶媒の割合を、乾燥物:抽出溶媒=1:5〜10程度とすることが好ましい。
本発明では、後の(J)製品化工程において、このエキス2を用いて、飲料や粉末、顆粒、錠剤、カプセルなどの機能性食品を製造することで、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣に含まれる有効成分を活用することを可能としている。
【0029】
(D)乾燥工程
また、(C)抽出工程により発生した抽出残渣を、熱風乾燥又は冷風乾燥させて、乾燥物3を生成し、この乾燥物3を用いて機能性食品を製造することも好ましい。
すなわち、この抽出残渣には、エキスとして抽出しきれなかった有効成分が含まれている。このため、このようにすれば、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1からエキスとして抽出できる有効成分については、エキス2として抽出した上で、エキスとして抽出しきれない有効成分については、さらに発生する残渣を乾燥させて、乾燥物3を生成することで、これを活用することが可能となる。
本発明では、後の(J)製品化工程において、この乾燥物3を用いて、飲料や粉末、顆粒、錠剤、カプセルなどの機能性食品を製造することで、ヤエヤマアオキ果実の上記抽出残渣に含まれる有効成分を活用することを可能としている。
【0030】
(E)包接工程
次に、ヤエヤマアオキ果実の搾汁エキス、又はヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1から抽出したエキス2に、シクロデキストリンを添加して、包接体エキス4を生成する。そして、後の(J)製品化工程において、この包接体エキス4を用いて、飲料や粉末、顆粒、錠剤、カプセルなどの機能性食品を製造する。
【0031】
このとき、添加するシクロデキストリンとしては、αシクロデキストリン、βシクロデキストリン、又はγシクロデキストリンのいずれか1種類、又は2種類以上とすることが好ましい。
なお、不快な風味(臭みや味)のマスキング効果は、βシクロデキストリン、αシクロデキストリン、γシクロデキストリンの順にその効果が高くなる。
このように、ヤエヤマアオキ果実の搾汁エキス、又はヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1から抽出したエキス2を、シクロデキストリンにより包接することで、ヤエヤマアオキに特有の不快な風味を低減できるとともに、体内への吸収性を向上させた機能性食品を提供することが可能となる。
【0032】
(F)添加工程
また、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1から抽出したエキス2、又は包接体エキス4に、糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれか1種類、又は2種類以上を添加して、添加エキス5を生成することも好ましい。
このようにすれば、ヤエヤマアオキエキスが有する特有の不快な風味を改善することが可能となる。
【0033】
(G)濃縮工程
また、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1から抽出したエキス2、包接体エキス4、又は添加エキス5を濃縮して、濃縮エキス6を生成することも好ましい。
このようにすれば、ヤエヤマアオキに特有の不快な風味が改善された濃縮エキス6を得ることができ、後の(J)製品化工程において、この濃縮エキス6を用いた飲料や粉末、顆粒、錠剤、カプセルなどの機能性食品を製造することが可能となる。
【0034】
(H)粉末化工程
また、濃縮エキス6をスプレードライヤーなどにより粉末化して、濃縮エキス末7を生成することも好ましい。
このようにすれば、ヤエヤマアオキに特有の不快な風味が改善された濃縮エキス末7を得ることができ、後の(J)製品化工程において、この濃縮エキス末7を用いた飲料や粉末、顆粒、錠剤、カプセルなどの機能性食品を製造することが可能となる。
【0035】
(I)粉末化工程
また、ヤエヤマアオキ果実の搾汁エキス、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1から抽出したエキス2、包接体エキス4、添加エキス5、又は濃縮エキス6(図1では包接体エキス4を用いる例を示している。)に、乾燥物1又は乾燥物3(図1では、乾燥物3を用いる例を示している。)を添加して粉末化し、エキス末8を生成することも好ましい。
すなわち、ヤエヤマアオキの上記各種エキスを粉末化するにあたり、賦形剤として、例えばデキストリンを用いることができるが、この賦形剤として、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1や、抽出残渣の乾燥物3を用いることも可能である。
このように、賦形剤としてヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1や抽出残渣の乾燥物3を用いれば、これらの乾燥物に含まれる有効成分をエキスに付加してエキス末8を生成することができ、このエキス末8を用いてより機能性の高い機能性食品を製造することが可能となる。
【0036】
(J)製品化工程
最後に、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物1、この乾燥物1から抽出したエキス2、この抽出残渣の乾燥物3、包接体エキス4、添加エキス5、濃縮エキス6、濃縮エキス末7、又はエキス末8を、飲料、粉末、顆粒、錠剤、カプセルなどの機能性食品9として製品化する。
例えば、機能性食品9として飲料を製造する場合は、乾燥物1から抽出したエキス2を濾過して殺菌し、ヤエヤマアオキエキス飲料を得ることができる。同様に、包接体エキス4、添加エキス5、又は濃縮エキス6を濾過して殺菌し、ヤエヤマアオキエキス飲料を得ることもできる。
【0037】
また、機能性食品9として粉末を製造する場合は、乾燥物1から抽出したエキス2、包接体エキス4、添加エキス5、又は濃縮エキス6を濾過して殺菌し、賦形剤として乾燥物1もしくは3を粉末化したものや、デキストリンを添加して、ヤエヤマアオキエキス末とすることができる。勿論、濃縮エキス末7、又はエキス末8をそのまま用いて、機能性食品9としてのヤエヤマアオキエキス末を得ることもできる。
また、機能性食品9として顆粒を製造する場合は、乾燥物1もしくは3を粉末化したもの、濃縮エキス末7、又はエキス末8を造粒して、顆粒状の機能性食品を得ることができる。
【0038】
また、機能性食品9として錠剤を製造する場合は、乾燥物1もしくは3を粉末化したもの、濃縮エキス末7、又はエキス末8を造粒して顆粒とし、得られた顆粒を打錠して、錠剤状の機能性食品を得ることができる。
さらに、機能性食品9としてカプセルを製造する場合は、乾燥物1もしくは3を粉末化したもの、濃縮エキス末7、又はエキス末8をカプセルに充填して、カプセル状の機能性食品を得ることができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品、及びその製造方法について、実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1は、ヤエヤマアオキ果実を搾汁し、発生した残渣を乾燥させて、機能性食品としての粉末を製造したものである。
実施例2は、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンにより包接して、機能性食品としてのヤエヤマアオキエキス飲料を製造したものである。
【0040】
実施例3は、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスに黒糖を添加して、機能性食品としてのヤエヤマアオキエキス飲料を製造したものである。
実施例4は、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンにより包接したものに、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物を添加して粉末化し、機能性食品としての粉末を製造したものである。
比較例1は、ヤエヤマアオキ果実の搾汁エキスを用いて、機能性食品としてのヤエヤマアオキエキス飲料を製造したものである。
【0041】
(実施例1)
ヤエヤマアオキ1000gを搾汁して、ヤエヤマアオキ果実の搾汁エキス400〜500gを得た。この際、搾汁残渣は、400〜500g発生した。
次に、この搾汁残渣を、温風乾燥機を用いて、50〜60℃で16〜20時間の間、乾燥した。これによって、200〜300gのヤエヤマアオキ乾燥物が得られた。
そして、この乾燥物のうち100gを粉砕機を用いて微粉砕して粉末化し、機能性食品としての粉末を製造した。
【0042】
(実施例2)
実施例1で得られた乾燥物のうち100gに、抽出溶媒として市水900gを加え、80〜90℃でエキスを抽出した。これにより、ヤエヤマアオキエキスが、600〜750g得られた。
次に、このヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスに、βシクロデキストリンを1.5重量%添加して包接し、包接体エキス600〜750gを得た。
そして、この包接体エキスを用いて、機能性食品としてのヤエヤマアオキエキス飲料を製造した。
【0043】
(実施例3)
実施例2で得られたヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスのうち200gに、黒糖を1重量%添加して、添加エキス約200gが得られた。
そして、この添加エキスを用いて、機能性食品としてのヤエヤマアオキエキス飲料を製造した。
【0044】
(実施例4)
実施例2で得られた包接体エキスのうち100g(固形量1%)に、実施例1で得られた乾燥物のうち1gを添加して粉末化し、ヤエヤマアオキエキス末を得た。
そして、このヤエヤマアオキエキス末を用いて、機能性食品としての粉末を製造した。
【0045】
(比較例1)
実施例1で得られたヤエヤマアオキ果実の搾汁エキスを用いて、機能性食品としてのヤエヤマアオキエキス飲料を製造した。
【0046】
実施例1によれば、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣を乾燥させることで、機能性食品としての粉末を製造することができた。このため、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣に含まれる有効成分を適切に活用することができた。
また、実施例2によれば、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接することで、ヤエヤマアオキに特有の不快な風味を改善することができた。一方、比較例1で製造したヤエヤマアオキ飲料には、特有の不快な風味があった。
【0047】
さらに、実施例3によれば、実施例2で得られた包接体エキスに、黒糖を添加することで、エキスの風味をより改善することができた。
また、実施例4によれば、包接体エキスを粉末化するにあたり、ヤエヤマアオキ果実の搾汁残渣の乾燥物を賦形剤として添加することで、搾汁残渣の乾燥物に含まれる有効成分が追加され、より有効性の向上した機能性食品を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、ヤエヤマアオキを主成分とする機能性食品に好適に用いることができる。例えば、ヤエヤマアオキを用いた飲料、顆粒、錠剤、カプセルなどの各種機能性食品に好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のヤエヤマアオキを含む機能性食品の製造方法の工程を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
(A) 搾汁工程
(B) 乾燥工程
(C) 抽出工程
(D) 乾燥工程
(E) 包接工程
(F) 添加工程
(G) 濃縮工程
(H) 粉末化工程
(I) 粉末化工程
(J) 製品化工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣の乾燥物を用いたことを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項2】
ヤエヤマアオキの果実からエキスを搾汁した残渣の乾燥物から抽出したエキスを用いたことを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項3】
請求項2におけるエキスを抽出された乾燥物の残渣を、さらに乾燥して得られた乾燥物を用いたことを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項4】
ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキス、又は、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスを、シクロデキストリンで包接してなることを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項5】
ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキスに、少なくとも糖類、ハチミツ、又はクエン酸のいずれかを添加してなることを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項6】
ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキス、この乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキス、又は、この包接したエキスに少なくとも糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれかを添加したエキスを、濃縮してなることを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項7】
ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキス、この乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキス、又は、この包接したエキスに少なくとも糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれかを添加したエキスを、濃縮し粉末化してなることを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項8】
ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキス、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物から抽出したエキス、この乾燥物から抽出したエキスをシクロデキストリンで包接したエキス、又は、この包接したエキスに少なくとも糖類、ハチミツ、もしくはクエン酸のいずれかを添加したエキスに、ヤエヤマアオキの果実の搾汁残渣の乾燥物、又は、当該乾燥物からエキスを抽出した残渣をさらに乾燥して得られた乾燥物を添加して、粉末化してなることを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項9】
前記シクロデキストリンが、少なくともαシクロデキストリン、βシクロデキストリン、又はγシクロデキストリンのいずれかであることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のヤエヤマアオキを含む機能性食品。
【請求項10】
ヤエヤマアオキの果実を搾汁し、次いで搾汁により生じた残渣を乾燥して乾燥物とし、又は、ヤエヤマアオキの果実を搾汁して得られたエキスをシクロデキストリンで包接することを特徴とするヤエヤマアオキを含む機能性食品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−159509(P2007−159509A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362086(P2005−362086)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(397040993)金秀バイオ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】