説明

ヤーンクリヤラ測定ヘッド用ハウジング

ヤーンクリヤラ測定ヘッド(1)用ハウジング(2)は、欠陥個所を除去すべき糸(9)を受入れるため長手方向(x)を規定する測定スリット(3)を持っている。ハウジング(2)が仮想包絡直方体(4)により完全に包囲可能である。包絡直方体の長さ(X)が長手方向(x)におけるハウジング(2)の寸法として定義されている。包絡直方体の高さ(Y)及び幅(Z)が、長手方向(x)に対して直角な面(yz)にある包絡直方体の長方形の辺長として定義され、この長方形がこの面(yz)へのハウジング(2)の投影を完全に包囲し、この長方形の周囲及び/又は面積が最小である。包絡直方体(4)の長さ(X)が41mmと47mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体の高さ(Y)が61mmと70mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体(4)の幅(Z)が96mmと106mmとの間にある。ハウジング(2)は、その中に収容される構成要素に対してできるだけ多くの空間を提供し、できるだけ多くの機械に組込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維の品質検査の分野にある。本発明は、請求項1の上位概念に記載のヤーンクリヤラ測定ヘッド用ハウジングに関する。このようなヤーンクリヤラ測定ヘッド用ハウジングは、典型的に紡糸機又は巻取り機において使用される。
【背景技術】
【0002】
糸品質を保証するため、紡糸機又は巻取り機にいわゆるヤーンクリヤラが使用される。このようなヤーンクリヤラは例えば欧州特許出願公開第1249422号明細書から公知である。ヤーンクリヤラの目的は、糸にある太い個所、細い個所又は異物のような欠陥個所を検出し、特定の品質基準に従って評価し、場合によっては除去することである。従ってヤーンクリヤラ測定ヘッドは、動く糸を走査する少なくとも1つのセンサを含んでいる。しばしば使用されるセンサ原理は容量原理(例えば欧州特許出願公開第0924513号明細書参照)又は光学原理(例えば国際公開第93/13407号)である。更にヤーンクリヤラ測定ヘッドは、センサ信号を評価してこの信号を所定の品質基準例えば欠陥個所除去限界と比較する電子回路を含んでいる。使用に応じて、ヤーンクリヤラ測定ヘッドは、糸の欠陥部分を切取る切断工具も含むことができる。ヤーンクリヤラ測定ヘッドの構造は米国特許第6422072号明細書に記載されている。
【0003】
ヤーンクリヤラの上述した構成要素は測定ヘッドハウジングに収容されている。測定ヘッドハウジングは、傷つき易い構成要素を機械的力、汚れ、湿気、電磁放射線及び他の外部影響に対して保護する役割を持っている。それは例えば電気回路に生じる熱の放出のような別の役割も引受ける。このような測定ヘッドハウジングの例は欧州特許出願公開第1302426号明細書、国際公開第2007/045298号又は中国特許出願第200943120号明細書に見出される。
【0004】
測定ヘッドハウジングの寸法に関して、互いに反する2つの要求を一致させることが重要である。一方では、必要な構成要素をよく収容し、単位体積当たりの熱発生を少なくするために、できるだけ大きい寸法が望まれる。しかし他方では、測定ヘッドハウジングが、そのために機械例えば紡糸機又は巻取り機に設けられる場所へはまらねばならない。今まで公知の測定ヘッドハウジングは、ただ1つの機械形式又は若干の僅かな機械形式に対してのみこれらの要求を満たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、一方では収容すべき構成要素のためにできるだけ多くの空間を提供し、他方ではできるだけ多くの機械に組込むことができるヤーンクリヤラ測定ヘッド用ハウジングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題及び他の課題は、請求項1に規定されているような本発明によるハウジングにより解決される。有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0007】
本発明には、既存及び将来の機械における場所条件についての長い慎重な研究が先行した。続いて研究結果が分析された。その際包絡直方体の構想を利用した。この構想は、複雑なハウジング形状及び機械にある複雑な自由空間を簡単に処理し、互いに合わせるのを可能にする。包絡直方体は最小条件を満たすようにする。本発明による測定ヘッドハウジングは分析の結果である。ヤーンクリヤラの種々の構成要素は、それらがハウジングへはまるように形成されて配置されねばならなかった。
【0008】
本発明によるヤーンクリヤラ測定ヘッド用ハウジングは、欠陥個所を除去すべき糸を受入れるため長手方向を規定する測定スリットを持っている。ハウジングが仮想包絡直方体により完全に包囲可能であり、包絡直方体の長さが長手方向におけるハウジングの寸法として定義され、包絡直方体の高さ及び幅が、長手方向に対して直角な面にある包絡直方体の長方形の辺長として定義され、この長方形がこの面へのハウジングの投影を完全に包囲し、この長方形の周囲及び/又は面積が最小であり、包絡直方体の高さが包絡直方体の幅より小さいか又は幅に等しい。包絡直方体の長さが41mmと47mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体の高さが61mmと70mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体の幅が96mmと106mmとの間にある。従って包絡直方体のこの第1の定義は測定スリットの長手方向に由来する。その点で特徴のある方向における長さが測定される。
【0009】
その代りに、本発明によるヤーンクリヤラ測定ヘッド用ハウジングは、長さ、高さ及び幅を持つ仮想包絡直方体により完全に包囲可能である。包絡直方体は、ハウジングを完全に包囲するすべての可能な直方体のうち、最小表面積及び/又は最小体積を持つ直方体として定義され、包絡直方体の長さがその高さより小さいか又は高さに等しく、包絡直方体の高さがその幅より小さいか又はこれに等しい。包絡直方体の長さが41mmと47mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体の高さが61mmと70mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体の幅が96mmと106mmとの間にある。従って包絡直方体のこの第2の定義は、測定スリット又は糸の長手方向から離れている。しかし多くの場合この第2の定義は、第1の定義と一致するだろう。
【0010】
好ましい実施形態では、本発明によるハウジングが仮想的に2つの部分に分割可能であり、両方の部分の各々が仮想部分包絡直方体により完全に包囲されている。部分包絡直方体が交差せず、互いに隣接し、かつ一緒に包絡直方体内にある。なるべく測定スリットを含む第1の部分包絡直方体が、25mmと28mmとの間の長さ及び/又は34mmと37mmとの間の高さ及び/又は1mmと22mmとの間の幅を持っている。第2の部分包絡直方体が、41mmと47mmとの間の長さ及び/又は61mmと70mmとの間の高さ及び/又は71mmと83mmとの間の幅を持っている。この明細書において使用される用語によれば、次の素子はハウジングに属していない。
糸止め金又は糸案内板のような突出する糸案内素子又は糸導入素子、
プラグ、継手又はケーブルのような測定素子とその周辺との間の電気的インタフェース、
機械へ測定ヘッドを取付けるための支持体のような測定ヘッドとその周辺との間の機械的インタフェース及び
圧縮空気供給素子のような空気的インタフェース
【0011】
図面により本発明が以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明による概略的なハウジングを糸と共に斜視図で示す。
【図2】 本発明によるハウジング用の包絡直方体を示す。
【図3】 図1のハウジングを図2の包絡直方体と共に示す。
【図4a】 本発明によるハウジングの実施例を1つの視方向から見た斜視図で示す。
【図4b】 異なる方向から見たハウジングの実施例を斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、ヤーンクリヤラ測定ヘッド1用の本発明によるハウジング2が概略的に示されている。ハウジングは、欠陥個所を除去すべき糸9を受入れるための測定スリット3を含んでいる。糸は、測定スリット3の長手方向xに一致するその長手方向に沿って動かされる。ハウジング2の測定スリット3の範囲に、糸を走査するセンサが設けられている。ハウジング2には、センサ信号を評価する電子的評価手段も収容されている。更にハウジング2は、糸9にある許容できない欠陥個所を切取る切断手段を含むことができる。切断手段は、通常図1の右下に示されているハウジング2の部分に収容されている。ヤーンクリヤラ測定ヘッド1から又はそれへデータを伝送しかつヤーンクリヤラ測定ヘッド1へのエネルギ供給にも用いられる(図示しない)ケーブル用の接続部は、図1では見えないがハウジング2を右方に対して区画する側面になるべく設けられている。
【0014】
本発明によるハウジング2は、2つの部分、即ち測定スリット3及び少なくともセンサの主要部分を含むセンサ部分21と、それにすぐ隣接して評価手段の主要部分及び存在する場合には切断手段の主要部分を含む評価部分22に分割することができる。図1の例では、センサ部分21は図の左半分にあり、評価部分22は図の右半分にある。評価部分22は、切断手段を収容しかつ糸9に作用させるため、センサ部分21より大きい長さを持っている。
【0015】
図2に鎖線で、本発明によるハウジング2の全体を完全に包囲する仮想包絡直方体4が示されている。即ちハウジング2のどの部分も包絡直方体4から突出しないように、ハウジングの全体が包絡直方体4に収容される。
【0016】
包絡直方体4は最低条件を満たすようにしている。好ましい実施形態において包絡直方体4がハウジング2の周りにどのように置かれるか、また最低条件がどのような内容であるかが、以下に示される。
包絡直方体4の長さXは測定スリット3の長手方向xにおけるハウジング2の寸法である。もっと詳しく言えば、長手方向xを含む面(例えばxy又はxz)へのハウジング2の投影の長手方向xにおける寸法。長手方向xは糸の長手方向に一致する。
包絡直方体4の高さYは、長手方向xに対して直角な面yzにある長方形の短い方の辺長として定義され、この長方形はこの面yzへのハウジング2の投影を完全に包囲し、この長方形の周囲及び/又はその面積が最小である。図1の例では、高さYは、長手方向xに対して直角な方向yにおけるハウジング2の寸法であり、この方向yにおいて糸9が測定スリット3へ導入可能であるか、又は測定スリット3から除去可能であり、従ってこの方向yは後から前へ延びている。
包絡直方体の幅Zは、長手方向xに対して直角な面yzにある長方形の長い方の辺長として定義され、この長方形はこの面yzへのハウジング2の投影を完全に包囲し、この長方形の周囲及び/又は面積が最小である。図1の例において幅Zは、長手方向x及び高さ方向yに対して直角な方向zにおけるハウジング2の寸法であり、従って図1において左から右へ延びている。典型的な巻取り機上では、幅方向zは、糸9が付けられるチーズの軸線方向である。
【0017】
その代りに包絡直方体は、ハウジング2を完全に包囲するすべての可能な直方体のうち、最小表面積及び/又は最小体積を持つ直方体として定義することができる。
【0018】
同様に図2には、本発明によるハウジング2のそれぞれ特定の部分を包囲する2つの仮想部分包絡直方体41,42が記入されている。短い破線で示される辺長Zを持つ第1の部分包絡直方体41は、ハウジング2のセンサ部分21を包囲している。長い破線で示される辺長X,Y,Zを持つ第2の部分包絡直方体42は、ハウジング2の評価部分22を包囲している。両方の部分包絡直方体41,42は異なる寸法を持つことができる。これらは交差せず、幅方向zにおいてすぐ隣接し、即ちそれぞれ1つの境界面51,52を持ち、両方の境界面51,52は少なくとも部分的に一致している。従ってその幅Z,Zの和は包絡直方体4の幅Zに等しい。
Z=Z+Z
【0019】
包絡直方体4の長さX及び高さHは、部分包絡直方体41,42のそれぞれ大きい方の値から生じる。
X=max(X,X
Y=max(Y,Y
【0020】
図2の例では、第2の部分包絡直方体42は、包絡直方体4の長さX及び高さYを次のように決定する。
X=X
Y=Y
【0021】
図3は図1及び2の組合わせを示し、即ち本発明によるハウジング2及び包絡直方体4が示されている。
【0022】
次の表は、包絡直方体4及び部分包絡直方体41,42の辺長に対する範囲及び好ましい値をmmで示す。

【0023】
図4は、2つの異なる視方向から見た本発明によるハウジング2を持つヤーンクリヤラ測定ヘッド1の実施例を示し、図4(a)の視方向は図1の視方向にほぼ相当し、図4(b)の視方向は下側を見えるようにしている。この実施例では、長手方向xにおける評価部分を区画する底面6は、センサ部分21から遠い方の範囲を斜めにされている。これは、特定の巻取り機の部分と場所的に矛盾することなく、一層大きい幅Zを持つハウジング2を形成できるようにするために有利である。斜面は、実質的に、幅方向zに20〜30mmなるべく約25mmの距離で7〜11mなるべく約9mmだけ下降する斜面として形成されている。
【0024】
本発明が上述した実施例に限定されないことは自明である。本発明を知れば、当業者は、本発明の対象に属する別の変形例を推論することができるであろう。
【符号の説明】
【0025】
1 ヤーンクリヤラ測定ヘッド
2 ハウジング
21 センサ部分
22 評価部分
3 測定スリット
4 包絡直方体
41 第1の部分包絡直方体
42 第2の部分包絡直方体
51,52 部分包絡直方体の境界面
6 ハウジングの底面
9 糸
x 長手方向
X 包絡直方体の長さ
y 高さ方向
Y 包絡直方体の高さ
z 幅方向
Z 包絡直方体の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤーンクリヤラ測定ヘッド(1)用ハウジング(2)であって、欠陥個所を除去すべき糸(9)を受入れるため長手方向(x)を規定する測定スリット(3)を有し、ハウジング(2)が仮想包絡直方体(4)により完全に包囲可能であり、
包絡直方体の長さ(X)が長手方向(x)におけるハウジング(2)の寸法として定義され、
包絡直方体の高さ(Y)及び幅(Z)が、長手方向(x)に対して直角な面(yz)にある包絡直方体の長方形の辺長として定義され、この長方形がこの面(yz)へのハウジング(2)の投影を完全に包囲し、この長方形の周囲及び/又は面積が最小であり、
包絡直方体(4)の高さ(Y)が包絡直方体(4)の幅(Z)より小さいか又は幅(Z)に等しい
ものにおいて、
包絡直方体(4)の長さ(X)が41mmと47mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体の高さ(Y)が61mmと70mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体(4)の幅(Z)が96mmと106mmとの間にある
ことを特徴とする、ハウジング。
【請求項2】
ヤーンクリヤラ測定ヘッド(1)用ハウジング(2)であって、このハウジング(2)が、長さ(X)、高さ(Y)及び幅(Z)を持つ仮想包絡直方体(4)により完全に包囲可能であり、
包絡直方体(4)が、ハウジング(2)を完全に包囲するすべての可能な直方体のうち、最小表面積及び/又は最小体積を持つ直方体として定義され、
包絡直方体(4)の長さ(X)がその高さ(Y)より小さいか又は高さ(Y)に等しく、
包絡直方体(4)の高さ(Y)がその幅(Z)より小さいか又はこれに等しいものにおいて、
包絡直方体(4)の長さ(X)が41mmと47mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体(4)の高さ(H)が61mmと70mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体(4)の幅(Z)が96mmと106mmとの間にある
ことを特徴とする、ハウジング。
【請求項3】
包絡直方体(4)の長さ(X)が42mmと46mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体(4)の高さ(Y)が63mmと67mmとの間にあり、かつ/又は包絡直方体(4)の幅(Z)が97mmと101mmとの間にある、請求項1又は2に記載のハウジング。
【請求項4】
包絡直方体(4)の長さ(X)が43mmであり、かつ/又は包絡直方体(4)の高さ(Y)が65mmであり、かつ/又は包絡直方体(4)の幅(Z)が98mmである、請求項3に記載のハウジング。
【請求項5】
ハウジング(2)が仮想的に2つの部分(21,22)に分割可能であり、両方の部分(21,22)の各々が仮想部分包絡直方体(41,42)により完全に包囲され、これらの部分包絡直方体(41,42)が交差せず、互いに隣接し、かつ一緒に包絡直方体(4)内にあり、
なるべく測定スリット(3)を含む第1の部分包絡直方体(41)が、25mmと28mmとの間の長さ(X)及び/又は34mmと37mmとの間の高さ(Y)及び/又は1mmと22mmとの間の幅(Z)を持ち、
第2の部分包絡直方体(42)が、41mmと47mmとの間の長さ(X)及び/又は61mmと70mmとの間の高さ(Y)及び/又は71mmと83mmとの間の幅(Z)を持っている、
先行する請求項の1つに記載のハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【公表番号】特表2012−511140(P2012−511140A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538814(P2011−538814)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000375
【国際公開番号】WO2010/063128
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(503169552)ウステル・テヒノロジーズ・アクチエンゲゼルシヤフト (37)
【Fターム(参考)】