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ヤーン製造
説明

ヤーン製造

ヤーン製造方法が開示されている。該方法が、熱可塑性ポリマーからなる連続フィラメントを備えている束を供給するステップと、前記束を、耐熱材料からなる繊維を備えているスライバーと接触させて、混合束を形成するステップと、混合束にガス噴射を適用して前記耐熱材料からなる繊維を前記束中に分散させるステップと、を備えている。また、熱可塑性ポリマーからなるフィラメントと、耐熱材料からなる繊維と、を備えているヤーンが開示されており、前記繊維が、フィラメント間に分散されている。好ましくは、前記耐熱材料が、非熱可塑性ポリマー、特にアラミドである。本発明に係るヤーンは、工業用布、特に伝動ベルトでの利用を見出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤーン製造方法、前記方法により製造されたヤーン、前記ヤーンを備えている布、及び、この布を備えている伝動ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のトランスミッション又はタイミングベルトは、エンジンなどにおいて使用される場合、同期化された動力伝達を行うように、適したプーリとかみ合う歯を考慮して設計されている。伝動ベルトは、適切な弾力性のある布を型によりプレスして歯を成形するとともに、適したエラストマーでその布を含浸することにより作られている。使用中、歯の歪みは、ベルト上での摩擦につながるとともに、故障の状態となる。また、歯の歪みは、弾性ヒステリシスにつながり、それが、ひいては、発熱につながる。ナイロンは通常、プーリと接触するベルトの表面を形成する布として選択される。
【0003】
ナイロンは、嵩高加工(textured)された場合、現在のエンジンにおける温度及び条件の下で、良好な耐熱性及び耐摩耗性とともに、弾性という利点を有する。しかしながら、高温に耐えることができると共にまた強化された化学安定性を有する、伝動ベルト用布を形成するのに使用することのできるヤーンに対する要望がある。なぜなら将来のエンジンは、効率を改善すると共にまたより積極的な化学環境を有するために、より高温で動作する可能性があるからである。いずれにせよ、エンジンの耐用年数の間は、交換を必要としない伝動ベルトに対する要望がある。これらの利点に寄与するヤーンはまた、多くの他の工業用布での利用をもたらす。
【0004】
PTFEのような他の材料を導入することにより、布の耐熱性又は耐磨耗性を高めるための試みがあった。特許文献1は、摩擦を低減するためにPTFEを含むタイミングベルト又は伝動ベルトに使用することができる布に関する。特許文献1において、摩擦低減材料、例えばPTFEを備えている糸により覆われている弾性芯糸を有するヤーンが開示されている。
【0005】
また、ヤーン中に、アラミドフィラメントなどの、耐熱性及び耐化学的磨耗性ポリマーを使用する試みがあった。残念なことに、アラミドフィラメントは単独で、非常に高い引張り応力(modulus)を有し、そのため型での良好な成形を可能にするのに十分な弾性を有さないか、又は、伝動ベルトとしての使用が満足できるものではない。ナイロン及びエラストマーとアラミドとの組合せも試みられたが、さらなる問題をもたらすことがある。なぜなら、エラストマーは、伝動ベルト中の空隙を残したままにすることを減じることがあり、それは、おそらく磨耗を加速すると共に耐用年数を縮める。嵩高加工されたナイロン及びアラミドフィラメントの使用は、アクティベーション(洗浄などの方法を用いた)に関する問題につながる。なぜなら、ヤーンが嵩高した後、アラミドフィラメントが、ループを生じる束の外に出されるからである。ループは、耐磨耗性の低下、ひいては、耐久性の低下、最終生産物の一貫性の低下、布の動的特性、特に伸縮性の低下、及び、低い密着性能又は一貫性のない密着性能を含む不利益な点を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2003/031700号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの問題を解決することを目的としており、さらなる耐熱性、耐磨耗性及び耐薬品性を有する、工業用布に用いられるヤーンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、ヤーン製造方法を提供する。前記ヤーン製造方法は、熱可塑性ポリマーからなる連続フィラメントを備えている束を供給するステップと、前記束を、耐熱材料からなる繊維を備えているスライバーと接触させて、混合束を形成するステップと、前記混合束にガス噴射を適用して、前記束中の耐熱材料からなる繊維を分散させるステップと、を備えている。
【0009】
発明的方法の大きな利点は、熱可塑性ポリマーからなるフィラメント及び耐熱材料からなる繊維の混合束を製造することを可能にすることである。それは、特にアクティベーション後、熱可塑性ポリマー及び耐熱材料の異なる特性に関連する問題を解決することができるものである。また、この方法は、本発明により製造されたヤーンが、熱可塑性ポリマー及び耐熱材料からなる繊維の両方を含むと、引張り応力(modulus)、耐熱性、耐磨耗性、及び耐化学性に関して、熱可塑性ポリマー及び耐熱材料の両方の利点を有するという、大きな利点をもたらす。
【0010】
耐熱材料は、ガラス(例えばガラス繊維)、炭素(例えば炭素繊維)、又は非熱可塑性繊維から選択されることが好適である。耐熱材料は、これら材料タイプの二つ以上の組合せとすることができる。
【0011】
耐熱材料が、非熱可塑性ポリマーの場合、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミドアミド、液晶ポリマー、PVA、P84、PBI、又はPTFEから選択されることが好ましい。これらのうち、好適な非熱可塑性ポリマーは、アラミド(例えば、ケプラー(商標)、トワロン(商標)、テクノーラ(商標)又はザイロン(商標)などのパラアラミド、或いは、ノーメックス(商標)、コネックス(商標)及びニュースター(商標)などのメタアラミド)である。
【0012】
アラミドが、パラ又はメタかどうかは特に有利である。それはそれらの耐化学性、耐熱性及び耐磨耗性、並びに、優れた強度によるものである。
【0013】
好ましくは、非熱可塑性繊維(特にアラミド)が、糸(例えばオープンエンド(break-spun))の形態である。
【0014】
好ましくは、熱可塑性ポリマーが、嵩高加工されている(texturised)。これは、特にアクティベーション後、工業用布(特に伝動ベルト)としての使用においても又は成形プロセスによる物品(伝動ベルトを含む)の前処理においても、弾性(本発明の背景技術において上記に説明されたような弾性)が必要であるということに関して、利点をもたらす。
【0015】
本発明の大きな利点は、嵩高加工された熱可塑性ポリマーが、アクティベーション後ではあるが耐熱材料との組合せにおいて使用することができることである。その耐熱材料は、束から外に出されないので、従って、ループ又は目の粗い繊維が形成されてしまうのを回避している。なぜなら、本方法は、耐熱材料(好ましくは、アラミドなどの非熱可塑性ポリマー)からなる繊維を備えているスライバーからの混合束の前処理を含み、アクティベーションの後、耐熱材料からなる繊維が、ヤーンから外に出される、というよりはむしろ、重なりやすいからである。これは、耐熱性材料から得られる有益な特徴が、アクティベーション後であっても、ヤーン中に保持されることを意味する。
【0016】
アクティベーションは、洗浄(すなわち、水中での洗浄)と、乾燥と、を含むプロセスであり、熱可塑性ポリマー、特に加工された熱可塑性ポリマーの嵩高(bulking)をもたらす。好ましくは、前記プロセスが、少なくとも一つのアクティベーションステップを、さらに備える。
【0017】
熱可塑性ポリマーを、ポリアミド、ポリエステル、PBT、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド又はポリオレフィン(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)から選択することができる。これら熱可塑性ポリマーのうちで、現在好適な熱可塑性ポリマーは、ポリアミドであり、特にナイロン(例えばPA66、PA46又はPA6)である。
【0018】
通常、熱可塑性ポリマーからなるフィラメントの束は、カーディング後及び/又は組合せ後、並びに引き上げ工程(通常は引き上げフレーム上にて)中に、スライバーと接触する。
【0019】
混合束が形成された後、好ましくは、少なくとも一つの更なるステップを行って、完成されたヤーンを作る。これは、完成されたヤーン中の耐熱繊維の分散を向上するためのものである。
【0020】
本発明の方法において、混合束が、耐熱材料からなる繊維を5重量%〜75重量%、好適に備えている。約5重量%よりも少ないと、紡績後の、束又は混合ヤーン中において得られる耐熱材料の有益な特性を低下させる。約75重量%を超えると、本発明の有益な点は、同様に低減される。
【0021】
好ましくは、耐熱材料繊維が、混合束中に、10、15、20、25、又は30重量%、含まれている。好ましくは、混合束が、耐熱材料繊維を、70、65、60、又は55重量%よりも少ない量、含んでいる。
【0022】
好ましくは、熱可塑性ヤーンが、33〜2000デシテックスの範囲内であり、より好ましくは、60〜1600デシテックスの範囲内である。
【0023】
本発明の方法は、有利には、10mm〜200mmの長さの、耐熱材料からなる繊維を用いて行われる。繊維が10mmよりも大幅に短いと、その結果、混合束は、全体を通じて、耐熱材料繊維の重要な重なりを必ずしも含まない。もし耐熱材料からなる繊維が200mmよりも大幅に長いと、混合束又はヤーンから外に出ていく耐熱材料繊維と関連している問題が、起きることがある。好ましくは、耐熱材料からなる繊維の長さが、20、30、40又は45mmを超えている。好ましくは、耐熱材料からなる繊維の長さが、180、160、150、又は140mm未満である。
【0024】
第二の態様において、本発明は、熱可塑性ポリマーからなるフィラメントと、耐熱材料からなる繊維と、を備え、前記繊維が、フィラメント間で分散されていることを特徴とするヤーンを提供する。本発明の第二の有益な特徴は、前記第一の態様に関連して説明されたような、適切な修正と、ほぼ同じである。
【0025】
本発明の第一態様又は本発明のこの第二の態様に係る方法により製造されたヤーンは、熱可塑性ポリマー及び耐熱材料の両方に由来する有益な特性を有する布を作るのに使用することができる。この布は、工業用布が現在使用されている様々な分野での利用を見出している。より重要な利用の一つは、前記布を備えている伝動ベルトである。
【0026】
本発明は、以下の図面により図示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、アクティベーション前の比較ヤーンを概略的に示す。
【図2】図2は、アクティベーション後の比較ヤーンを概略的に示す。
【図3】図3は、本発明の方法を示す。
【図4】図4は、アクティベーション前の本発明に係るヤーンを概略的に示す。
【図5】図5は、アクティベーション後の本発明に係るヤーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は比較ヤーン(comparative yarn)1を示す。該比較ヤーン1は、ナイロン66からなる熱可塑性フィラメント2と、パラアラミド4からなる耐熱材料フィラメントと、からなる。アクティベーション(activation)前、熱可塑性ポリマー2及び耐熱材料4のフィラメントは、ヤーン中で十分に混合される。
【0029】
図2は、アクティベーション(水中洗浄及び乾燥)後の、比較ヤーン1を示す。アクティベーション工程(activation process)は、熱可塑性ポリマーフィラメント2の束を、圧縮して束ねる(shrinks and bulks)。しかしながら、耐熱材料フィラメント4は、熱可塑性フィラメント2と同じように機能を果たさない。この結果、耐熱フィラメント4は、ループ6を形成する混合ヤーンの外に出される。ループ6は、耐摩擦性の低下を含む不利な点を生じ、従って耐久性の低下、最終生産物の一貫性の低下、布の動的特性、特に伸縮特性に関する低下、および、密着性能の低下又は非一貫性を含む不利な点を生じる。
【0030】
図3は、本発明に係る方法を示しており、本発明において、混合束8が作られる。混合束8は、熱可塑性ポリマーであるナイロン66からなる連続フィラメント2と、スライバー(オープンエンド(break-spun)パラアラミド繊維の、10mm〜200mmの比較的短い長さの、ほぼ同軸のステープル束からなる低結束性束)と、から形成されている。図3に示された工程の前、熱可塑性連続フィラメント2の束及びパラアラミド繊維10のスライバーは共に、引き上げフレーム(図示省略)での引き上げ工程に運び込まれる。引き上げ後、パラアラミドスライバー(繊維10はいまだ大部分が密着している)と熱可塑性フィラメント2との非混合又は低混合の束12が作られる。この非混合束12は管を貫通し、該管では圧縮ガス噴射14が非混合束12に与えられる。圧縮ガス噴射の効果は、パラアラミド繊維10のいまだ部分的に形成されたスライバーを分けると共に、熱可塑性フィラメント2の束中のパラアラミド繊維10を分散させることである。その結果は、熱可塑性連続フィラメント2とパラアラミド繊維10との混合束であり、パラアラミド繊維10が、連続熱可塑性フィラメント2間により一層、均一に分散される。
【0031】
図4は、ヤーンアクティベーション前であるが紡績後の、図3に示された方法により作られたヤーンを概略的に示す。ヤーンは、熱可塑性ポリマーからなる連続フィラメント2と、フィラメント2間に分散されたアラミド繊維10と、を備えている。
【0032】
図5は、ヤーンのアクティベーション後の様子を示す。アクティベーションは、長さを大幅に短くするとともに嵩高(bulking)化している熱可塑性フィラメント2の束が得られる。これの結果としてアラミド繊維10は互いに近づき、その結果、図2に示されるようにループ6の中に外に出されるというよりも、アラミド繊維10がヤーン中で重なる。これの結果、アクティベーション後も、ヤーンが、熱可塑性ポリマー及びアラミド繊維の両方の有益な特性を維持する。
【符号の説明】
【0033】
2 熱可塑性ポリマー
4 パラアラミド(耐熱材料)
10 アラミド繊維
12 非混合束
14 圧縮ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマーからなる連続フィラメントを備えている束を供給するステップと、
前記束を、耐熱材料からなる繊維を備えているスライバーと接触させて、混合束を形成するステップと、
前記混合束中にガス噴射を適用して前記束中に耐熱材料からなる繊維を分散させるステップと、
を備えているヤーン製造方法。
【請求項2】
前記耐熱材料が、ガラス、炭素、または非熱可塑性ポリマーから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非熱可塑性ポリマーが、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミドアミド、液晶高分子、PVA、P84、PBI、またはPTFEから選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリマーが、嵩高加工された熱可塑性ポリマーであることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つのアクティベーションステップを、さらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリエステル、PBT、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、又はポリオレフィンから選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記混合束が、耐熱性材料からなる繊維を5重量%〜75重量%備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性フィラメントが、33〜2000デシテックスの範囲内であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記耐熱材料からなる繊維の長さが、10mm〜200mmであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性ポリマーからなるフィラメントと、
耐熱性材料からなる繊維と、
を備え、前記繊維が、前記フィラメント間に分散されていることを特徴とするヤーン。
【請求項11】
請求項10に記載のヤーンを備えている布。
【請求項12】
請求項11に記載の布を備えている伝動ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−521112(P2011−521112A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505597(P2011−505597)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050391
【国際公開番号】WO2009/130495
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510281128)ヘルスコート・ファブリックス・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】