説明

ユニット式建物及びユニット式建物の施工方法

【課題】バルコニユニットの建物本体への現場施工が容易なユニット式建物の提供。
【解決手段】それぞれ柱10、上梁11及び下梁12を有する建物ユニット5が複数並んで配置された建物本体2の側面に互いに対向する一対の片持ち床梁43を有するバルコニユニット4が取り付けられ、建物本体2の一部において隣合う建物ユニット5が離し置きされ、離し置きされた建物ユニット5のうち一方の建物ユニット5の柱10であって他方の建物ユニット5に近接するとともに建物外部側に配置された柱10と、他方の建物ユニット5の柱10であって一方の建物ユニット5に近接するとともに建物外部側に配置された柱10とにそれぞれバルコニユニット4の一対の片持ち床梁43の端部を接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体状の骨組みを備えた建物ユニットが複数並んで配置された建物本体の側面にバルコニユニットが取り付けられたユニット式建物、及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物には、それぞれ柱、下梁及び上梁を有する直方体状の骨組みを備えた建物ユニットを工場で複数製造し、これらの建物ユニットを建設現場で並べて建物本体を施工するユニット式建物がある。
このユニット式建物には、建物本体の側面にバルコニユニットを取り付けたものがある。このバルコニユニットが取り付けられたユニット式建物の従来例として、バルコニユニットを複数の2階用の建物ユニットのうち1つの建物ユニットに対向配置し、この1つの建物ユニットの柱の下部側面に接合固定部を設け、この接合固定部にバルコニユニットの床部を構成する片持ち梁の端面を突き当てて互いにボルトで接合するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−117385公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示される従来例は、バルコニユニットが設置される建物ユニットの柱の側面に当該バルコニユニットの床梁の端部を接合する構成であるが、バルコニユニットが設置される建物ユニットの構面がずれると、バルコニユニットが正しい位置で設置されないことになる。そのため、従来では、建物ユニットの構面に当該バルコニユニットの床梁の軸芯を正確に合わせる作業が必要となるが、この作業は困難である。
本発明の目的は、バルコニユニットの建物本体への現場施工が容易なユニット式建物及びユニット式建物の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のユニット式建物は、図面を参照して説明すると、それぞれ柱10、下梁12及び上梁11を有する直方体状の骨組みを備えた建物ユニット5が複数並んで配置された建物本体2の側面に互いに対向する一対の片持ち床梁43を有するバルコニユニット4が取り付けられたユニット式建物であって、前記建物本体は、その一部が隣合う建物ユニットが離し置きされ、この離し置きされた建物ユニットのうち一方の建物ユニットの柱であって他方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱と、前記他方の建物ユニットの柱であって前記一方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱とにそれぞれバルコニユニットの一対の片持ち床梁の端部が接合されることを特徴とする。
【0006】
この構成の本発明では、バルコニユニットの一対の床梁の一方の端部を離し置きされた建物ユニットの一方の建物ユニットの柱に接合し、一対の床梁の他方の端部を離し置きされた建物ユニットの他方の建物ユニットの柱に接合するので、離し置きされた建物ユニットの構面の上にバルコニユニットが設置されることになり、1つの建物ユニットの構面に設置する場合に比べてバルコニユニットの設置作業が容易となる。しかも、離し置きスペースをバルコニと連続する空間として有効利用することができる。さらに、この空間を形成するために1つの建物ユニットを用いることがないので、建物施工コストを低下させることができる。
【0007】
本発明では、前記バルコニユニットの一対の片持ち梁の間隔は前記建物ユニットの建物外部側に配置される2本の柱の間隔と同じであることが好ましい。
この構成の本発明では、バルコニユニットを、1つの建物ユニットの両方の柱に接合される従来のバルコニユニットを用いることができるので、ユニット式建物の施工に際して特別な構造のバルコニユニットを製造する必要がないので、コストアップを抑えることができる。
【0008】
本発明では、前記建物本体は前記建物ユニットが上階部分と下階部分とに配置された複数階建てであり、前記下階部分において離し置きされた前記建物ユニットの柱の上部に前記バルコニユニットの一対の床梁の端部が接合されることが好ましい。
この構成の本発明では、バルコニユニットの床部を低くすることができるので、このバルコニユニットと続く建物本体の上階部分の床部をバルコニの床部に合わせて低くすることで、上階部分の空間を広くすることができる。
【0009】
本発明では、前記離し置きされた建物ユニットのうち一方の建物ユニットの柱であって他方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱と、前記他方の建物ユニットの柱であって前記一方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱との間にはつなぎ梁が連結されていることが好ましい。
この構成の本発明では、離し置きされた建物ユニット同士がつなぎ梁で一体となるので、建物全体が補強されることになる。
【0010】
本発明のユニット式建物の施工方法は、前述の構成のユニット式建物を施工する方法であって、工場において、前記建物ユニット及び前記バルコニユニットを製造する製造工程を備え、建設現場において、前記建物ユニットを複数並べて建物本体を施工する建物本体施工工程と、この建物本体施工工程で施工された建物本体に前記バルコニユニットを設置するバルコニ設置工程とを備え、建物本体施工工程では、離し置きする建物ユニットの間隔を前記バルコニユニットの一対の片持ち梁の間隔に合わせることを特徴とする。
この構成の本発明では、前述の効果を奏することができるユニット式建物の施工方法を提供することができる他、建物ユニットの離し置き寸法を調整することで、バルコニユニットのサイズバリエーションを増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるユニット式建物の概略を示す斜視図。
【図2】建物ユニットの骨組みを示す概略斜視図。
【図3】バルコニユニットを示す概略斜視図。
【図4】バルコニユニットが建物本体に取り付けられた状態の概略を示す斜視図。
【図5】バルコニユニットが建物ユニットに接合された状態の要部の平面図。
【図6】バルコニユニットが建物ユニットに接合された状態の要部の鉛直図。
【図7】ユニット側接合部が建物ユニットに接合された状態を示す平面図。
【図8】ユニット側接合部が建物ユニットに接合された状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態にかかるユニット式建物の概略が示されている。
図1において、ユニット式建物は、基礎1の上に設置される建物本体2と、この建物本体2の上に設置される屋根3と、建物本体2の側面に突出して設けられたバルコニユニット4とを備えて構成されている。屋根3は切妻屋根であり、複数の屋根パネルと、これらの屋根パネルを支持する束及び支持金具とを備えて構成されている。
【0013】
建物本体2は、1階部分21、2階部分22及び3階部分23を備えている。
1階部分21は2つの建物ユニット5が複数個、例えば、4個配置されている。これらの建物ユニット5は、2個ずつが一方向にそれぞれ離し置きされており、これらの離し置きされた建物ユニット5の間にはジョイント外壁パネル6が配置されている。建物ユニット5は前記一方向と直交する方向に近接配置されている。
2階部分22は2つの建物ユニット5が1階部分21を構成する建物ユニット5の数と同じ数、例えば4個配置されている。これらの建物ユニット5は、2個ずつがそれぞれ離し置きされており、これらの離し置きされた建物ユニット5の間にはジョイント外壁パネル6及びジョイント天井パネル7が配置されている。1階部分21の建物ユニット5の上に2階部分22の建物ユニット5が配置されている。
3階部分23は2つの建物ユニット5が配置されている。3階部分23の建物ユニット5は2階部分22の離し置きされた2つの建物ユニット5を跨ぐように配置されている。
【0014】
建物ユニット5の構成が図2に示されている。図2には建物ユニット5の骨組みの概略が示されている。
図2において、建物ユニット5は、それぞれ柱10、上梁11及び下梁12を有する直方体状の骨組みを備えている。この骨組みの内部には階段やキッチン等の建物に必要な内装品が設けられており、建物外部に面する部分には図示しない外壁パネルが設けられている。
柱10は平面矩形状の四隅に配置され、その断面は角パイプ状である。柱10の上端部と上梁11とはそれぞれ仕口14を備えて構成されており、これらの仕口14には柱の下端部と下梁12とが連結されている。
【0015】
上梁11は2本の長辺上梁11Aと2本の短辺上梁11Bとからなり、2本の長辺上梁11Aはそれぞれ断面がコ字状とされ、互いに開口部が対向するように平行に配置されている。長辺上梁11Aは屋根3の棟と平行になるように配置されている。短辺上梁11Bはそれぞれ断面がコ字状とされ、互いに開口部が対向するように平行に配置されている。
長辺上梁11Aと短辺上梁11Bとから平面矩形状の天井部分が構成され、この天井部分には図示しない天井小梁や天井面材が取り付けられている。
下梁12は2本の長辺下梁12Aと2本の短辺下梁12Bとからなり、長辺下梁12Aは長辺上梁11Aと同じ構造であって長辺上梁11Aの真下に配置され、短辺下梁12Bは短辺上梁11Bと同じ構造であって短辺上梁11Bの真下に配置される。
長辺下梁12Aと短辺下梁12Bとから平面矩形状の床部分が構成され、この床部分には図示しない根太や床面材が取り付けられている。
【0016】
バルコニユニット4の概略構成が図3に示されている。
図3において、バルコニユニット4は、平面矩形状の床部41と、この床部41の3辺に立設される平面コ字状の壁部42とを備えている。
床部41は、互いに対向配置された一対の片持ち床梁43と、これらの片持ち床梁43の先端部同士を連結する先端連結梁44と、片持ち床梁43の基端部同士を連結する基端連結梁45とを備えた構造である。
一対の片持ち床梁43は互いに平行に配置されており、これらの間隔は建物ユニット5の互いに平行に配置される長辺上梁11Aの間隔と同じである。
片持ち床梁43の基端側にはバルコニ側接合部40が設けられている。
先端連結梁44と基端連結梁45とはそれぞれ一対の片持ち床梁43に溶接等で接合されており、これらの間には図示しない根太が複数接合されている。これらの一対の片持ち床梁43及び先端連結梁44には壁部42が取り付けられている。
壁部42は図示しない柱に壁面材が取り付けられた構造である。この壁部42の内側には図示しない床パネルが配置されている。
【0017】
図4から図8にはバルコニユニット4が建物本体2に取り付けられる構造が示されている。
図4はバルコニユニット4が建物本体2に取り付けられた状態の概略を示す斜視図である。
図4において、1階部分21で離し置きされた建物ユニット5のうち一方の建物ユニット5の柱10であって他方の建物ユニット5と近接するとともに建物外部側に配置された柱10の上部にある仕口14にはユニット側接合部50が設けられ、このユニット側接合部50にはバルコニユニット4の一対の片持ち床梁43のうち一方の端部が接合される。
1階部分21で離し置きされた建物ユニット5のうち他方の建物ユニット5の柱10であって一方の建物ユニット5に近接するとともに建物外部側に配置された柱10の上部にはユニット側接合部50が設けられ、このユニット側接合部50には一対の片持ち床梁43のうち他方の片持ち床梁43の端部が接合される。
バルコニユニット4の壁部42は、2階部分22で離し置きされた建物ユニット5の柱10に接合されている。
【0018】
2階部分22の建物ユニット5が離し置きされたスペースSにはジョイント外壁パネル6が設けられており、このジョイント外壁パネル6にはバルコニユニット4との行き来をするための出入り口6Aが設けられている(図1参照)。
2階部分22の離し置きされたスペースSの床部分には床パネル24(図5及び図6参照)が設けられており、この床パネル24とバルコニユニット4の床部分とは同じレベルとされる。同様に、1階部分21の建物ユニット5が離し置きされたスペースSの床部分には図示しない床パネルが配置されている。
3階部分23の建物ユニット5は、その柱10が2階部分22の離し置きされた建物ユニット5の柱10の上方に位置するものである。つまり、3階部分23に配置された建物ユニット5の荷重は、2階部分22に離し置きされた建物ユニット5のうち互いに内側に配置された柱10、並びに、1階部分21に離し置きされた建物ユニット5のうち互いに内側に配置された柱10を通じて基礎1に伝達される。
【0019】
1階部分21と2階部分22とでそれぞれ離し置きされた建物ユニット5は、天井つなぎ梁61と床つなぎ梁62とでそれぞれ連結されている。
天井つなぎ梁61は離し置きされた建物ユニット5の短辺上梁11Bと同一線上に配置される。床つなぎ梁62は離し置きされた建物ユニット5の短辺下梁12Bと同一線上に配置されている。天井つなぎ梁61はその端部に仕口14への接合部61Aを有する(図5参照)。
1階部分21と2階部分22とで離し置きされた建物ユニット5の間の間隔は建物ユニット5の互いに対向配置される短辺方向の柱10の間隔、つまり、互いに平行に配置される長辺上梁11A(長辺下梁12A)の間隔と同じである。
【0020】
図5には、バルコニユニット4が建物ユニット5に接合された状態の要部の平面図が示され、図6には、バルコニユニット4が建物ユニット5に接合された状態の要部の鉛直図が示されている。
図5において、バルコニユニット4の片持ち床梁43の端部に設けられたバルコニ側接合部40は、片持ち床梁43の基端部に接合されたプレート401を備えており、このプレート401は図示しない突出部及びボルト孔が設けられている。
プレート401は片持ち床梁43の外側端縁から基端連結梁45の途中位置にかけて幅広く形成されている。片持ち床梁43及び基端連結梁45のプレート401に対向する面にはボルト孔と一致する孔(図示せず)が形成されている。
【0021】
図5及び図6において、ユニット側接合部50は、その上下寸法が1階部分21を構成する建物ユニット5の柱10の仕口14と同じであり、左右の幅寸法が仕口14の幅寸法より小さい。
ユニット側接合部50の具体的な構造が図7及び図8に示されている。図7はユニット側接合部50が建物ユニット5に接合された状態を示す平面図であり、図8はその側面図である。
図7及び図8において、ユニット側接合部50は仕口14に接合されたボックス状のケーシング500を備え、このケーシング500は、左右の側面部501と、これらの側面部501の上面に接合された上面部502と、側面部501の下面に接合された下面部503と、これらの側面部501、上面部502及び下面部503の正面側に接合された正面プレート504とを備えている。なお、側面部501には円弧状の切欠き500Aが形成されている。
正面プレート504の中心部分にはバルコニ側接合部40の図示しない2つの突出部がそれぞれ係合されるタップ孔501Aが左右に並んで2つ形成されている。
正面プレート504の裏面にはタップ孔501Aを挟んで上下にナットホルダ501Bが接合されている。これらのナットホルダ501Bには図示しないナットが収納されるとともにナットの孔に対応する正面プレート504の位置にはボルト挿通孔501Cが形成されている。
【0022】
以上の構成のユニット式建物を施工する方法を説明する。
[工場におけるユニット製造工程]
工場において、建物ユニット5、バルコニユニット4、屋根3を構成する部材(屋根パネル、束、支持金具)、天井つなぎ梁61、床つなぎ梁62等を製造する。
建物ユニット5を製造するため、柱10、上梁11及び下梁12から直方体状の骨組みを製造し、この骨組みに外壁パネル、内装部材、その他、必要な部材を組み付ける。建物ユニット5のうちバルコニユニット4を設置するものの柱10の上部にはユニット側接合部50を取り付ける。
バルコニユニット4を製造するため、互いに対向配置された一対の片持ち床梁43の先端部同士を先端連結梁44で連結し、片持ち床梁43の基端部同士を基端連結梁45で連結して床部41を組み立て、この床部41に壁部42を取り付ける。さらに、片持ち床梁43の基端側にバルコニ側接合部40を接合する。
工場で製造された建物ユニット5、バルコニユニット4等をトラックで建設現場まで搬送する。
【0023】
[建設現場における組立工程]
[建物本体施工工程]
クレーン等の重機を用い、複数の建物ユニット5を基礎1の上に複数並べて建物本体2の1階部分21を施工する。この際、2つの建物ユニット5を離し置きするが、これらの建物ユニット5の間隔をバルコニユニット4の一対の片持ち梁43の間隔に合わせる。
その後、1階部分21を構成する建物ユニット5の上にそれぞれ建物ユニット5を設置して2階部分22を施工し、さらに、2階部分22を構成する建物ユニット5のうち離し置きされた建物ユニット5の上に建物ユニット5を配置して3階部分23を施工する。ここで、離し置きされた2つの建物ユニット5の間には天井つなぎ梁61と床つなぎ梁62とをそれぞれ接合する。このようにして施工された建物本体2の上に屋根3を施工する。
【0024】
[バルコニ設置工程]
建物本体2にバルコニユニット4を設置する。そのため、バルコニユニット4を建物本体2の2階部分22に近接させ、さらに、1階部分21を構成する建物ユニット5のうち離し置きされた建物ユニット5の柱10に接合されたユニット側接合部50にバルコニユニット4の片持ち床梁43の基端部に接合されたバルコニ側接合部40を接合する。つまり、ユニット側接合部50にバルコニ側接合部40を当接し、図示しないボルトで両者を接合する。さらに、バルコニユニット4の壁部42を、2階部分22の建物ユニット5であってバルコニ側接合部40が設けられた柱10の上方に位置する柱に接合する。
【0025】
従って、本実施形態では、次の作用効果を奏することができる。
(1)それぞれ柱10、上梁11及び下梁12を有する建物ユニット5が複数並んで配置された建物本体2の側面に互いに対向する一対の片持ち床梁43を有するバルコニユニット4が取り付けられ、建物本体2の一部において隣合う建物ユニット5が離し置きされ、この離し置きされた建物ユニット5のうち一方の建物ユニット5の柱10であって他方の建物ユニット5に近接するとともに建物外部側に配置された柱10と、他方の建物ユニット5の柱10であって一方の建物ユニット5に近接するとともに建物外部側に配置された柱10とにそれぞれバルコニユニット4の一対の片持ち床梁43の端部を接合したから、離し置きされた建物ユニット5の構面の上にバルコニユニット4が設置されることになり、1つの建物ユニット5の構面に設置する場合に比べて、バルコニユニット4の設置作業が容易となる。その上、建物ユニット5が離し置きされて形成されたスペースをバルコニユニット4と連続する空間として有効利用することができるだけでなく、この空間を形成するために1つの建物ユニットを用いることがないので、建物の施工コストを低下させることができる。
【0026】
(2)バルコニユニット4の一対の片持ち梁43の間隔が建物ユニット5の建物外部側に配置される2本の柱10の間隔と同じであるため、バルコニユニット4を、1つの建物ユニット5の互いに隣接する柱10に接合される従来のバルコニユニットを用いることができるので、建物施工のコストアップを抑えることができる。
【0027】
(3)建物本体2は複数階建てであり、下階である1階部分21において離し置きされた建物ユニット5の柱10の上部にバルコニ側接合部40を取り付け、バルコニユニット4の一対の片持ち床梁43の端部にバルコニ側接合部40を取り付け、これらのバルコニ側接合部40とユニット側接合部50とを互いに接合する構成としたから、バルコニユニット4の床部を低くすることができる。そのため、バルコニユニット4と続く建物本体2の2階部分22の床部をバルコニユニット4の床部41に合わせて低くすることで、2階部分22の空間を広くすることができる。
【0028】
(4)離し置きされた建物ユニット5のうち一方の建物ユニット5の柱10であって他方の建物ユニット5に近接する柱10と、他方の建物ユニット5の柱10であって一方の建物ユニット5に近接する柱10との間に天井つなぎ梁61と床つなぎ梁62とをそれぞれ連結したから、離し置きされた建物ユニット5同士が天井つなぎ梁61と床つなぎ梁62とで一体となり、建物全体が補強される。
【0029】
(5)天井つなぎ梁61は離し置きされた建物ユニット5の短辺上梁11Bと直線上に配置され、床つなぎ梁62は離し置きされた建物ユニット5の短辺下梁12Bと直線上に配置されているので、地震等で建物本体2に水平方向の力がかかっても、これらの天井つなぎ梁61と床つなぎ梁62とで隣合う建物ユニット5同士に力を伝達することができ、この点からも、建物全体が補強されることになる。
【0030】
(6)バルコニ側接合部40はボックス状のケーシング500を備えているので、その強度を大きなものにすることができる。
(7)3階部分23の建物ユニット5は、その柱10が1階部分21の離し置きされた建物ユニット5の互いに近接する柱10と、2階部分22の離し置きされた建物ユニット5の互いに近接する柱10とに一直線上となるように上下に配置されているから、3階部分23の荷重が1階部分21及び2階部分22の柱10を通じて基礎1に伝達されるので、建物全体の補強を図ることができる。
【0031】
(8)工場において、建物ユニット5及びバルコニユニット4を製造し、建設現場において、複数の建物ユニット5を離し置きして建物本体2の施工を実施し、この建物本体2にバルコニユニット4を設置する。建物本体2の施工に際して、離し置きする建物ユニット5の間隔をバルコニユニット4の一対の片持ち床梁43の間隔に合わせるから、建物ユニット5の離し置き寸法を調整することで、バルコニユニット4のサイズバリエーションを増やすことができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
例えば、前記実施形態では、バルコニユニット4の一対の片持ち床梁43の間隔を建物ユニット5の建物外部側に配置される2本の柱10の間隔と同じとしたが、本発明では、これに限定されるものではなく、建物ユニット5の離し置きされる間隔を適宜設定し、この間隔に合わせた間隔の一対の片持ち床梁43を有するバルコニユニット4を製造するものでもよい。
【0033】
さらに、本発明では、建物本体2を1階建てとしてもよく、この場合、バルコニユニット4の片持ち床梁43を建物ユニット5の柱10の下部に接合するものでもよい。
さらに、本発明では、天井つなぎ梁61や床つなぎ梁62を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は戸建て用、集合住宅用、その他の建物一般に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…基礎、2…建物本体、3…屋根、4…バルコニユニット、5…建物ユニット、10…柱、11…上梁、12…下梁、40…バルコニ側接合部、43…片持ち床梁、50…ユニット側接合部、61…天井つなぎ梁、62…床つなぎ梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ柱、下梁及び上梁を有する直方体状の骨組みを備えた建物ユニットが複数並んで配置された建物本体の側面に互いに対向する一対の片持ち床梁を有するバルコニユニットが取り付けられたユニット式建物であって、
前記建物本体は、その一部が隣合う建物ユニットが離し置きされ、この離し置きされた建物ユニットのうち一方の建物ユニットの柱であって他方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱と、前記他方の建物ユニットの柱であって前記一方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱とにそれぞれバルコニユニットの一対の片持ち床梁の端部が接合されることを特徴とするユニット式建物。
【請求項2】
請求項1に記載されたユニット式建物において、
前記バルコニユニットの一対の片持ち梁の間隔は前記建物ユニットの建物外部側に配置される2本の柱の間隔と同じであることを特徴とするユニット式建物。
【請求項3】
請求項2に記載されたユニット式建物において、
前記建物本体は前記建物ユニットが上階部分と下階部分とに配置された複数階建てであり、前記下階部分において離し置きされた前記建物ユニットの柱の上部に前記バルコニユニットの一対の床梁の端部が接合されることを特徴とするユニット式建物。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載されたユニット式建物において、
前記離し置きされた建物ユニットのうち一方の建物ユニットの柱であって他方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱と、前記他方の建物ユニットの柱であって前記一方の建物ユニットに近接するとともに建物外部側に配置された柱との間にはつなぎ梁が連結されていることを特徴とするユニット式建物。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載されたユニット式建物を施工する方法であって、
工場において、前記建物ユニット及び前記バルコニユニットを製造する製造工程を備え、
建設現場において、前記建物ユニットを複数並べて建物本体を施工する建物本体施工工程と、この建物本体施工工程で施工された建物本体に前記バルコニユニットを設置するバルコニ設置工程とを備え、建物本体施工工程では、離し置きする建物ユニットの間隔を前記バルコニユニットの一対の片持ち梁の間隔に合わせることを特徴とするユニット式建物の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−76279(P2013−76279A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217177(P2011−217177)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)