説明

ユニット抜去時落下防止構造、及びユニット抜去時落下防止方法

【課題】引き出し構造のユニットの抜去される際の落下を防止するユニット抜去時落下防止構造、及びユニット抜去時落下防止方法を提供すること。
【解決手段】搭載ケージ1と、搭載ケージ1に敷設されて搭載ケージ1の外部まで移動自在のガイドレール3と、ガイドレール3上に設けられて所定の幅W1を有する溝10上を摺動自在に設けられるユニット2とを含み、ユニット2は、ガイドレール3の溝10にはまって摺動するストッパ9を有し、ガイドレール3は、溝10の端部に、ストッパ9と噛み合ってユニット2の外部の方向Pへの摺動を止めてユニット2の移動を鉛直上方向Uに誘導する噛み合い部11を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き出し構造のユニットに関し、特に、ユニットの抜去される際の落下を防止する構造、及びユニットの抜去される際の落下防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度に実装された電子装置においては高い信頼性と高い性能との両立が求められる。この要求を実現するために、着脱式のユニットを実装した電子装置が用いられている。ユニットは、故障時の交換、データの退避、ユニットの追加による装置としての機能の拡張、及び性能を高めた部品との交換等を容易に実現する。その結果としてユニットは、保守性、及び拡張性の優れた電子装置の提供に寄与する。引き出し構造のユニットの場合にその交換を容易にするためには、ユニットの円滑な動きと適切な位置合わせとを確実に生み出す構造が必要とされる。
【0003】
上の記述に関連して、保持機能付きスライドレールユニットが実用新案登録第3126799号公報に開示されている。この例では、第1のレールに対してその長手方向及び幅方向へ移動自在に立設された保持ピンと、この保持ピンを第2のレールのストローク終端に向けて付勢する弾性部材と、第1のレールに設けられ、弾性部材の付勢力に抗して保持ピンをストローク終端から離れた待機位置に係止すると共に、待機位置から離脱した保持ピンを付勢力に伴ってストローク終端へ向けて案内するピン誘導部材と、第2のレールに設けられ、ピン誘導部材と重なるにつれて保持ピンをピン誘導部材の待機位置から離脱させて係止するカム部材とを備えている。
【0004】
また、実開昭63−195786号公報にはドロワースライド機構が開示されている。これは、スライド金具がドロワーの両側壁に設けてあり、スライド金具に対応する案内レールが架にそれぞれ設けてあり、スライド金具を案内レール上でスライドさせることによる架内に収容されたドロワーを引き出すドロワースライド機構において、案内レールに切欠きを設けることにより案内レールを短い第1のレール部と長い第2のレール部とに分離し、切欠きをはさんで分離している第1のレール部と第2のレール部とに段差が設けてあり、ドロワーを架内から引き出したとき第1のレール部にぶつかるストッパがスライド金具のドロワー奥部側端部近傍に設けてあることを特徴としている。
【0005】
また、スライド大量自動処理システムが特開2006−308575号公報で開示されている。これは、実質的に水平位置に複数のスライドを保持しているスライドトレイと、スライドトレイを受けるワークステーションとを含んでいる。また、具体的な実施例において、ワークステーションは、1つのスライドから別のスライドへの試薬(及び、剥落細胞のような汚染物質を運ぶ試薬)が実質的に移ることなくスライド面へ試薬を供給するようにしている。更に、スライドの自動処理方法も提供されている。
【0006】
そして、特許第4507218号公報においては、台車等を固定する装置と方法が開示されている。この例においては、家具或いはキャスターの底面に、多数の針を斜めに植え込んで一体化した基板を、それが針が床面の絨毯に随意に刺し込まれる機構と共に設け、家具の場合は事前に床面に固定し、航空機等の配膳のための台車の場合は、揺れが大きくなって危険に成る前に手動又は自動で瞬時に機構を作動させることで、乱気流による被害を未然に防ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3126799号公報
【特許文献2】実開昭63−195786号公報
【特許文献3】特開2006−308575号公報
【特許文献4】特許第4507218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子装置から引き出されたユニットの重さが作業者の想定を超えていたり、ユニット自体に重さの偏りがあったりした場合においてはそのユニットが、持ち上げられた際にそのバランスが崩れて傾けられたり落とされたりしうる。これによって、ユニットの破損、ユニットの収納側である搭載ケージの損傷等が起こりうる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、引き出し構造のユニットの抜去される際の落下を防止するユニット抜去時落下防止構造、及びユニット抜去時落下防止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のユニット抜去時落下防止構造は、搭載ケージと、搭載ケージに敷設されて搭載ケージの外部まで移動自在のガイドレールと、ガイドレール上に設けられて所定の幅を有する溝上を摺動自在に設けられるユニットとを含み、ユニットは、ガイドレールの溝にはまって摺動するストッパを有し、ガイドレールは、溝の端部に、ストッパと噛み合ってユニットの外部の方向への摺動を止めてユニットの移動を鉛直上方向に誘導する噛み合い部を有する。
【0011】
本発明のユニット抜去時落下防止方法は、搭載ケージに収納されているユニットが、搭載ケージに敷設されて搭載ケージの外部まで移動自在のガイドレール上に設けられた溝上を搭載ケージの外部の方向に摺動するステップと、ガイドレールの溝にはまって摺動するユニットのストッパが、溝の端部の噛み合い部で噛み合ってユニットの外部の方向への摺動を止めるステップと、ユニットのストッパと噛み合い部とが噛み合ってガイドレールが外部の方向に移動するステップと、ユニットが、噛み合い部の誘導によって鉛直上方向に移動してストッパと噛み合い部との噛み合った状態を解除するステップとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、引き出し構造のユニットの抜去される際の落下を防止するユニット抜去時落下防止構造、及びユニット抜去時落下防止方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の弾性部材の一例を示す断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の一例を示す底面図である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の一例を示す底面の要部拡大図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニット引き出し時の一例を示す斜視図である。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニット引き出し時の一例を示す部分拡大斜視図である。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニット抜去時の一例を示す斜視図である。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニット抜去時の一例を示す部分拡大斜視図である。
【図6A】図6Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニットの一例を示す底面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の除荷状態におけるストッパの一例を示す底面図である。
【図6C】図6Cは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の荷重の働いた状態におけるストッパの一例を示す底面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のガイドレールの一例を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のガイドレールの噛み合い部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るユニット抜去時落下防止構造、及びユニット抜去時落下防止方法を詳細に説明する。以下では、ユニット抜去時落下防止構造をコンピュータに例示される電子装置に適用した例を説明する。しかし、本発明はこの例に限定されない。
【0015】
まず、本発明によるユニット抜去時落下防止構造の構成を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造を適用した電子装置の一例を示す断面図である。図1は、その電子装置20の側面側の断面構造を示している。電子装置20は搭載ケージ1とユニット2とを備えている。搭載ケージ1は、ユニット2を着脱可能に収納する空間である挿入棚Sを有している。図1は、搭載ケージ1内の挿入棚Sからユニット2が引き出された状態を示している。
【0017】
搭載ケージ1は、ガイドレール3、及び4を備えている。ガイドレール3は、挿入棚Sの底に当たる底面に設けられている。搭載ケージ1の内側に敷設されたガイドレール3は搭載ケージ1の外部まで移動自在の構成となっている。ガイドレール3は、ユニット2を載せて支持する。一方で、ガイドレール4は、挿入棚Sの天井面に設けられている。ガイドレール4は、搭載ケージ1に固定されている。ガイドレール3、及び4はユニット2をその着脱方向に誘導する。
【0018】
ユニット2は、ガイドプレート5a、及び5bを備えている。ガイドプレート5aはユニット2の下部に取り付けられている。またガイドプレート5bはユニット2の上部に取り付けられている。ユニット2は、ガイドレール3、及びガイドレール4に沿って摺動自在に搭載ケージ1に挿入され、又は搭載ケージ1から引き出される。
【0019】
搭載ケージ1は、ローラ6と、ばねに例示される弾性部材7とを備えている。ローラ6は、図1のAで囲まれたガイドレール3の奥側の端部に転動自在に設けられている。弾性部材7は、収納棚Sの底面奥側に当たる搭載ケージ1の内部に一端が、ガイドレール3の奥側の端部に他端がそれぞれ接続されている。
【0020】
ユニット2はハンドル8を備えている。ハンドル8は、ユニット2の引かれる側の面に設けられている。図中の矢印は、搭載ケージ1に収納されたユニット2が外部に引き出される方向Pを示している。また、同様に、矢印は、ガイドレール3の引き出し方向を示している。すなわち、収納棚S内に収納されたユニット2は、ユーザが、矢印の方向にハンドル8を引っ張ることでガイドレール3上を移動し、更にガイドレール3が外側に移動して搭載ケージ1の外部に露出することとなる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の弾性部材の一例を示す断面図である。図2を参照すると、図1のAで囲まれた部分が拡大して示されている。ガイドレール3は、自身のスライドに必要なローラ6を有している。このローラ6の転動によってガイドレール3は、搭載ケージ1の外部まで移動自在の構成となっている。一方で、弾性部材7は、搭載ケージ1の内部とガイドレール3とにつながっている。弾性部材7は、ガイドレール3を搭載ケージ1の外部とは反対側の内部の方向に付勢する。これによって、弾性部材7は、搭載ケージ1の外部まで移動したガイドレール3を搭載ケージ1の内部に引き戻す。弾性部材7は、図中の矢印で示された弾性部材7の伸び縮み方向Kに伸縮自在に設けられる。これによって、ガイドレール3は、搭載ケージ1の内部と外部との間を往復できる。こうして、ガイドレール3は、搭載ケージ1内の定位置に保持される。また、ガイドレール3は、収納棚Sの底面方向に延在する凸部15を有している。凸部15は、搭載ケージ1の底面を突き抜けている。
【0022】
図3Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の一例を示す底面図である。図3Aを参照すると、搭載ケージ1内でのガイドレール3の位置関係が示されている。図3A中の搭載ケージ1では、2つのユニット2の装着可能な形態が例示されている。図3Aにおいて上側に示されたガイドレール3は搭載ケージ1の外部までその一部が引き出された状態である。図3Aの下側に示されたガイドレール3は搭載ケージ1内に収納された状態である。このように、ガイドレール3は、搭載ケージ1の内部から、その一部が外部に露出するまでの間を移動することができる。また、上側、及び下側それぞれのガイドレール3は中央からは離れた端部、すなわち図3A中における上側に設けられている。この構成によって、ユニット2の構造に制約を与えない。ガイドレールの凸部15は、図3A中のBで囲まれたガイドレール3の奥側の端部にあって搭載ケージ1の底面を突き抜けている。
【0023】
図3Bは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の一例を示す底面の要部拡大図である。図3Bを参照すると、図3AのBで囲まれた部分が拡大して示されている。また、図3Bは、図3Aと同様に、上側のガイドレール3は引き出されて、下側のガイドレール3は収納された状態である。なお、弾性部材7は、上下2つの収納棚Sにそれぞれ取り付けられた例が示されている内の下側の状態が定位置である。搭載ケージ1には、収納棚Sの底面に案内溝16が設けられている。案内溝16は、収納棚Sの底面を貫く開口部となっている。案内溝16は、ガイドレール3の移動方向に沿って延びている。このような案内溝16の形状は略矩形となる。案内溝16には、ガイドレール3の凸部15がはまっている。凸部15は円柱形状の例が示されている。凸部15の形状は、例えば角柱の形状であっても良い。案内溝16に沿って動く凸部15に導かれることによってガイドレール3は、所定の軌道上を移動する。また、案内溝16は、ガイドレール3の移動区間を適切に規定するように調整された状態で形成されている。これによって、搭載ケージ1へのユニット2の装着時にはガイドレール3が収納棚Sに収納され、ユニット2の取り外し時にはガイドレール3が、搭載ケージ1の外部の適切な位置まで露出される。こうして、ガイドレール3は、その奥側の端部が、搭載ケージ1の内部に衝突したり、引き出された際に抜け落ちたりすることがない。
【0024】
図4Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニット引き出し時の一例を示す斜視図である。図4Aを参照すると、ユニット2全体が、搭載ケージ1から引き出された状態が示されている。引き出し方向Pにハンドル8が水平に引っ張られることでガイドプレート5bが、搭載ケージ1の外部に露出している。ユニット2全体が、搭載ケージ1から引き出された状況においてはガイドプレート5bを有するユニット2の上部はガイドレール4からは外れた状態となっている。一方で、ユニット2の下部に取り付けられたガイドプレート5aの一部は、図4A中のCで囲まれた搭載ケージ1外に引き出されたガイドレール3上にある。したがって、ガイドプレート5aを有するユニット2の下部は依然として、ガイドレール3によって支持された状態となっている。その一部が、ガイドレール3に支持された状態ではユニット2が安定しないため、注意深くユニット2の底部を支えて抜去するように作業者を促す構成となっている。
【0025】
図4Bは、図4AのCで囲まれた部分が拡大して示されている。図4Bのユニット2の底面奥部、言い換えると搭載ケージ1の開口部の拡大図を参照すると、搭載ケージ1の外部に引き出されたガイドレール3、及びその上に載るガイドプレート5aが示されている。ガイドレール3は溝10を有している。溝10は、ユニット2を載せる面に、搭載ケージ1の内部と外部との間をガイドレール3が往復する方向に沿って延びる。ガイドプレート5aは、ガイドレール3上に設けられた溝10上を摺動している。
【0026】
図5Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニット抜去時の一例を示す斜視図である。図5Aを参照すると、搭載ケージ1から引き出された後にユニット2が持ち上げられている状態が示されている。図中の矢印は、鉛直上方向であるユニット2の抜去方向Uを示している。ユニット2は、抜去方向Uにハンドル8が引っ張られることで上方向に動いて搭載ケージ1から取り外されるように構成されている。なお、図4A中のCで囲まれた領域と同じ場所がDで囲まれて示されている。
【0027】
図5Bは、図5AのDで囲まれた部分が拡大して示されている。図5Bのユニット2の底面奥部、すなわち搭載ケージ1の開口部の拡大図を参照すると、搭載ケージ1の外部に引き出されたガイドレール3、及びそこから、抜去方向Uに外されたガイドプレート5aが示されている。ガイドプレート5aは、その底面奥側の端部にストッパ9を有している。ストッパ9は、ゴムに例示される弾性材料や、ばねに例示される弾性構造体等の弾性体によって形成されている。ストッパ9は、ガイドレール3の溝10にはまって摺動する。ストッパ9の高さはHである。また、ストッパ9は、ガイドプレート5aと合わせた幅が溝10の幅と略同一で形成されていて、引き出し方向P側が溝10の幅よりも拡がった形状となっている。弾性体によるストッパ9は、縮まることで溝10内にはまっている。
【0028】
図中の搭載ケージ1に向かう矢印は、搭載ケージ1の内部の方向であるガイドレール3の戻り方向Rを示している。ユニット2の取り外された後のガイドレール3は、弾性部材7によって戻り方向Rに引き戻されるように構成されている。
【0029】
ガイドレール3は、溝10の手前側端部に噛み合い部11を有している。噛み合い部11は、引き出し(外部)方向Pに進むに連れて溝10の幅が拡がる凹部を有している。また、噛み合い部11の最も外部方向Pの位置においては拡がった幅が絞られる構造を有している。このような構成を有する噛み合い部11はストッパ9と噛み合う。それによって、ユニット2のガイドプレート5aが、引き出し方向Pへそれ以上摺動することを止める。この状態で、噛み合い部11は、ユニット2の移動を抜去方向Uに誘導する。ユニット2が鉛直方向に移動することでストッパ9と噛み合い部11との噛み合いが外れる。この機能は、噛み合い部11の引き出し方向P側において溝10の幅が噛み合い部11より狭くなる引っかかり部12が設けられることによって実現されている。なお、引っかかり部12は、噛み合い部11による溝10の幅の拡がりより狭ければ良い。このような構成によってユニット2は、ガイドレール3上を一定量以上に引き出されることがない。この状態で、ユニット2(ガイドプレート5a)に追従するガイドレール3が引き出し方向Pに移動することによって搭載ケージ1の外部までユニット2が移動するように構成されている。
【0030】
溝10は、噛み合い部11より引き出し方向P側に更に延びていてガイドレール3の先端13に到る。引っかかり部12より引き出し方向P側の溝10の幅は、噛み合い部11より戻り方向R側の幅と略同一に形成されている。ストッパ9は、ガイドレール3の先端13から溝10に自在にはまって戻り方向Rに摺動可能となるように構成されている。更に、弾性体のストッパ9は、引っかかり部12の設けられた噛み合い部11においても戻り方向Rには移動可能となるように構成されている。このように、本実施形態によるユニット抜去時落下防止構造においては、搭載ケージ1に対するユニット2の挿入方向と抜去方向とが異なる。ガイドレール3は、ユニット2の抜去後には搭載ケージ1内に収納された状態となっている。よって、本実施形態のようなガイドレール3の先端13側からユニット2を取り付ける手法は作業の容易性の観点から好適である。なお、ガイドプレート5aの先端13側からの導入をより容易にするために溝10の幅を拡げて面取りした形態としても良い。
【0031】
図6Aは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のユニットの一例を示す底面図である。図6Aを参照すると、ユニット2に取り付けられたガイドプレート5a、及びストッパ9の位置関係が示されている。ガイドプレート5aは、ユニット2の着脱方向に延びて、ユニット2全体を支えられるように設けられている。ガイドプレート5aは、ユニット2の奥側よりも更に延びて設けられている。この延びた部分は、ユニット2の取り付けの際には効を奏することとなる。また、ガイドレール3の構成に合わせてガイドプレート5aは中央からは離れた端部、すなわち図6A中における右側に設けられている。ストッパ9は、図6A中のEで囲まれたガイドプレート5aの奥側の端部に設けられている。ストッパ9は、ガイドプレート5aを挟み込むようにして取り付けられている。
【0032】
図6Bは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の除荷状態におけるストッパの一例を示す底面図である。図6Bを参照すると、図6A中のEで囲まれたガイドプレート5aに取り付けられたストッパ9が拡大して示されている。ストッパ9は、ユニット2の着脱方向に延びるガイドプレート5aと略平行に設けられている。ストッパ9は、固定部17と、可動部18とを有している。固定部17は、ユニット2の着脱方向に沿って接続されている。可動部18は、引き出し(外部)方向Pに固定部17から延在している。可動部18は、引き出し方向Pに進むに連れてユニット2から離れるように固定部17から折り曲げられて設けられている。
【0033】
図6Cは、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造の荷重の働いた状態におけるストッパの一例を示す底面図である。図6Cを参照すると、ストッパ9に対してユニット2方向に荷重が作用している。弾性体によって形成されているストッパ9は、ユニット2方向に可動部18が押し付けられる力によって固定部17と可動部18とが直線状を呈するように形成されている。
【0034】
こうして、ストッパは、幅の絞られている溝10に位置するときには、ユニット2の方向に可動部18が押し付けられる力によって固定部17と可動部18とが直線状を呈する。一方で、ストッパは、噛み合い部11に位置するときには、自己の弾性によって可動部18の先端がユニット2から離れる方向に拡がるように構成されている。
【0035】
図7は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のガイドレールの一例を示す断面図である。図7を参照すると、図5のガイドレール3のA−A’における断面が示されている。溝10は、深さがH、幅がW1の寸法で設けられている。深さHと幅W1とによって形成される領域より抜去方向U側にはガイドレール3の溝10の幅を絞る突起部14が必要に応じて設けられる。突起部14によって絞られた溝10の幅は、ガイドプレート5aより広く、ストッパ9よりも狭い。本実施形態においては、突起部14が設けられなくてもストッパ9の機能は充分に発揮される。しかし、噛み合い部11以外でのユニット2の離脱を確実に防ぐ観点から突起部14が好適に設けられる。
【0036】
図8は、本発明の実施形態におけるユニット抜去時落下防止構造のガイドレールの噛み合い部の一例を示す断面図である。図8を参照すると、図5のガイドレール3の噛み合い部11であるB−B’における断面が示されている。噛み合い部11における溝10は幅がW2の寸法で設けられている。幅W2は、幅W1より広い。これらの溝10の寸法に合わせてストッパ9の幅は、好適には、戻り方向R側の幅がW1で、引き出し方向P側の幅がW2で形成されている。また、噛み合い部11においては突起部14が設けられていない。噛み合い部11に到達したストッパ9は溝10の側壁からの力が解かれその幅を拡げる。上述したように、噛み合い部11の引き出し方向P側において溝10の幅が狭くなる引っかかり部12が設けられている構成によってストッパ9は、これ以上、引き出し方向P側には動かない。一方で、噛み合い部11における突起部14が設けられていないことによってストッパ9は、抜去方向Uに自在に動くように構成されている。なお、ストッパ9は、上述した形態に限定されず、例えばガイドプレート5aと一体化した構造としても良い。
【0037】
次に、本発明によるユニット抜去時落下防止構造の作用を詳細に説明する。
【0038】
まず、ユニット2の取り外し方法を説明する。
【0039】
搭載ケージ1に収納されているユニット2のハンドル8が、引き出し方向Pに引っ張られる。これによって、ユニット2に取り付けられたガイドプレート5a、及びストッパ9がガイドレール3上の溝10上を摺動する。なお、ユニット2の上部では、搭載ケージ1に固定されたガイドレール4に沿ってガイドプレート5bが動く。
【0040】
ストッパ9が、ガイドレール3の噛み合い部11に達する。そこで、ストッパ9の引き出し方向P側が、溝10の側壁からの力で溝10の幅W1に圧縮されていた状態から噛み合い部11の溝10の幅W2までその幅を拡げる。
【0041】
幅を拡げたストッパ9と、噛み合い部11の引き出し方向P側の引っかかり部12とが噛み合うことによってユニット2のガイドプレート5aは、引き出し方向P側にはこれ以上摺動しない。代わって、ユニット2と一体化したガイドレール3が、引き出し方向P側にローラ6が転動することで移動する。この動きは、ユニット2全体が、搭載ケージ1の外部に出るまで続く。
【0042】
ユニット2全体が、搭載ケージ1の外部に出ると、ガイドプレート5bを有するユニット2の上部はガイドレール4から外れる。一方で、ガイドレール3の一部は、ユニット2に追従して搭載ケージ1の外部に引き出される。しかし、ガイドレール3もまた、その下部に設けられた凸部15と案内溝16の端部とが引っかかることによってユニット2と同様にこれ以上は、引き出し方向P側には動かなくなる。
【0043】
次に、ガイドレール3によって支持されているユニット2に対し、抜去方向Uにハンドル8が引っ張られる。ストッパ9は、噛み合い部11において、抜去方向Uには摺動自在である。ストッパ9が、噛み合い部11と離れるまで抜去方向Uに動くと、ストッパ9と噛み合い部11との噛み合った状態は解除される。この際に、ユニット2のバランス、及び水平度を保った状態でユニット2が抜去されるように構成したことによって作業者に注意を促す。すなわち、作業者は、ガイドレール3のみで支えられた比較的安定感を欠くユニット2を支えるためにユニット2の下部を持つこととなる。そして、その後に、ユニット2を持ち上げ抜去することとなる。
【0044】
ストッパ9と噛み合い部11との噛み合った状態が解除された後のガイドレール3は、搭載ケージ1の内部につながった弾性部材7によって、搭載ケージ1内の元の位置まで自動的に戻っていく。
【0045】
次に取り付け方法を説明する。
【0046】
ユニット2の取り付けは、ガイドレール3が、搭載ケージ1内に収納された状態から行われる。
【0047】
ガイドレール3の先端13の溝10にガイドプレート5aがはめ込まれる。そのままユニット2が戻り方向Rに押し込まれることで、ストッパ9もまた先端13から溝10にはまる。
【0048】
弾性体のストッパ9は、引っかかり部12の通過時にはその幅が縮まった状態となっていることによって戻り方向R側には移動が可能である。ストッパ9は、噛み合い部11においてその幅を拡げる。しかし、ストッパ9が、戻り方向Rに更に進むと、その幅が再び縮まった状態となる。これによって、ストッパ9は、戻り方向R側に更に移動が可能である。こうして、搭載ケージ1内にユニット2が収納される。このように、引き出し方向P側の幅が拡がったストッパ9は、戻り方向R側に進む際には、引っかかることなく移動することが可能となっている。
【0049】
以上に、本発明の実施形態によるユニット抜去時落下防止構造、及びユニット抜去時落下防止方法の説明を行った。
【0050】
本実施形態は、ユニット2の長手方向が垂直方向に配置された電子装置20においてユニット2を垂直方向に支える機構として好適に用いられる。また、搭載ケージ1に省スペースで組み込むことが可能である本実施形態は搭載ケージ1内におけるガイドレール3の占める割合を抑え、他の機構を組み込む際の妨げにならない。このような特徴を有する本実施形態によれば、抜去時のユニット2の移動を鉛直上方向Uに誘導する構成によって、ユニットを正しく抜去するように作業者に注意を促す効果を有する。
【0051】
また、本実施形態によれば、ユニット2の抜去時にガイドレール3が、搭載ケージ1の外部まで移動する構成によって、ユニット2を支持する効果を有する。
【0052】
また、本実施形態によれば、ユニット2の抜去後のガイドレール3が搭載ケージ1内に自動で収納される構成によって、他の作業エリアを妨げることなくユニット交換を行うことを可能とする効果を有する。
【0053】
また、本実施形態によれば、正しいユニット2の抜去だけでなく、容易なユニット2の取り付けも可能とする効果を有している。
【0054】
そして、本実施形態によれば、ユニット2抜去時におけるユニット2の破損、ユニット2の収納側である搭載ケージ1の損傷等を防止する効果を有する。本実施形態の適用対象である電子装置20は、抜去されるユニット2に搭載ケージ1と接続するためのコネクタ等の機構がむき出しになっている。ユニット2の抜去時に落下した場合にはこの部分の破損の可能性が最も高く、ユニット2にとっては致命傷となりうる。本実施形態の適用によってその危険性を回避することができる。
【0055】
以上に説明した本実施形態によれば、引き出し構造のユニットの抜去される際の落下を防止するユニット抜去時落下防止構造、及びユニット抜去時落下防止方法を提供することが可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 搭載ケージ
2 ユニット
3 ガイドレール
4 ガイドレール
5a ガイドプレート(ユニット2下部)
5b ガイドプレート(ユニット2上部)
6 ローラ
7 弾性部材
8 ハンドル
9 ストッパ
10 溝
11 噛み合い部
12 ガイドレール3の溝10の引っかかり部
13 ガイドレール3の先端
14 ガイドレール3の溝10の突起部
15 ガイドレール3の凸部
16 案内溝
17 ストッパ9の固定部
18 ストッパ9の可動部
20 電子装置
H ストッパ9の高さ
R ガイドレール3の戻り方向
K 弾性部材7の伸び縮み方向
P ユニット2、及びガイドレール3の引き出し方向
S 挿入棚
U ユニット2の抜去方向
W1 溝10の幅
W2 噛み合い部11の溝10の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載ケージと、
前記搭載ケージに敷設されて前記搭載ケージの外部まで移動自在のガイドレールと、
前記ガイドレール上に設けられて所定の幅を有する溝上を摺動自在に設けられるユニットと
を含み、
前記ユニットは、
前記ガイドレールの前記溝にはまって摺動するストッパを有し、
前記ガイドレールは、
前記溝の端部に、前記ストッパと噛み合って前記ユニットの前記外部の方向への摺動を止めて前記ユニットの移動を鉛直上方向に誘導する噛み合い部を有する
ユニット抜去時落下防止構造。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット抜去時落下防止構造であって、
前記ユニットの前記外部の方向への摺動によって前記ストッパと前記噛み合い部とが噛み合って前記ガイドレールが前記外部の方向に移動するように構成されている
ユニット抜去時落下防止構造。
【請求項3】
請求項1、又は2に記載のユニット抜去時落下防止構造であって、
前記ストッパが、前記噛み合い部において前記鉛直上方向に移動することによって、前記ストッパと前記噛み合い部との噛み合った状態が解除されるように構成されている
ユニット抜去時落下防止構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のユニット抜去時落下防止構造であって、
更に、前記ガイドレールを前記外部の反対方向である前記搭載ケージの内部の方向に付勢する弾性部材を含み、前記ストッパと前記噛み合い部との噛み合った状態が解除されると前記ガイドレールが前記内部の方向に移動するように構成されている
ユニット抜去時落下防止構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のユニット抜去時落下防止構造であって、
前記溝は、
前記噛み合い部の更に前記外部の方向である前記ガイドレールの先端まで延び、
前記ストッパは、
前記ガイドレールの前記先端から前記溝に自在にはまって前記内部の方向に摺動し、更に、前記噛み合い部を通過して前記内部の方向に移動可能に構成されている
ユニット抜去時落下防止構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のユニット抜去時落下防止構造であって、
前記噛み合い部は、
前記外部の方向に進むに連れて前記溝の前記幅から拡がって、前記噛み合い部の最も前記外部の位置において再度前記幅に戻る凹部を有し、
前記ストッパは、
前記ユニットに接続される固定部と、前記外部の方向に前記固定部から延在する可動部とを有し、
前記ストッパは、
前記溝に位置するときには、前記ユニットの方向に前記可動部が押し付けられる力によって前記固定部と前記可動部とが直線状を呈し、前記噛み合い部に位置するときには、自己の弾性によって前記可動部の先端が前記ユニットから離れる方向に拡がるように構成されている
ユニット抜去時落下防止構造。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のユニット抜去時落下防止構造であって、
前記搭載ケージは、
底面を貫く開口部が更に設けられ、
前記ガイドレールは、
前記開口部にはまった状態で動く凸部を更に有し、前記開口部に沿って動く前記凸部に導かれることによって所定の軌道上を移動して、
前記開口部は、
前記ガイドレールの移動区間を規定するように構成されている
ユニット抜去時落下防止構造。
【請求項8】
搭載ケージに収納されているユニットが、前記搭載ケージに敷設されて前記搭載ケージの外部まで移動自在のガイドレール上に設けられた溝上を前記搭載ケージの前記外部の方向に摺動するステップと、
前記ガイドレールの前記溝にはまって摺動する前記ユニットのストッパが、前記溝の端部の噛み合い部で噛み合って前記ユニットの前記外部の方向への摺動を止めるステップと、
前記ユニットの前記ストッパと前記噛み合い部とが噛み合って前記ガイドレールが前記外部の方向に移動するステップと、
前記ユニットが、噛み合い部の誘導によって鉛直上方向に移動して前記ストッパと前記噛み合い部との噛み合った状態を解除するステップと
を備える
ユニット抜去時落下防止方法。
【請求項9】
請求項8に記載のユニット抜去時落下防止方法であって、
更に、前記ガイドレールを前記外部の反対方向である前記搭載ケージの内部の方向に付勢する弾性部材が、前記ストッパと前記噛み合い部との噛み合った状態の解除された後に前記ガイドレールを前記内部の方向に移動するステップ
を備える
ユニット抜去時落下防止方法。
【請求項10】
請求項8、又は9に記載のユニット抜去時落下防止方法であって、
更に、前記ストッパが、前記噛み合い部の前記外部の方向である前記ガイドレールの先端まで延びる前記溝から自在にはまって前記内部の方向に摺動するステップと、
前記噛み合い部を通過して前記内部の方向に更に移動するステップと
を備える
ユニット抜去時落下防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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