説明

ユニット搬出入装置

【課題】複数のウェーハを自動的に搬送して連続的に加工を行うための搬出入装置について、部品点数が少なく、簡易な構成にて実現可能であり、更に、安価な製作コストを実現できる搬出入装置を提供する。
【解決手段】ユニット支持部には、複数の該被加工物ユニットを重ねて収容可能なユニットケースが着脱自在に配設され、搬出入手段のフレーム保持部の直下に、ターンテーブルのユニット通過部と、保持手段が位置付けられた際に、搬出入手段のフレーム保持部を上下動させることで保持手段に対する被加工物ユニットの搬入又は搬出が行われ、搬出入手段のフレーム保持部の直下に、ターンテーブルのユニット支持部が位置付けられた際に、搬出入手段のフレーム保持部を上下動させることでユニット支持部に対する被加工物ユニットの搬出又は搬入が行われる、ユニット搬出入装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体ウェーハ等の被加工物に研削、研磨、切削等の加工を施す加工装置に対して被加工物を搬出入するユニット搬出入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程では、半導体からなる円板状のウェーハの表面にICやLSI等の多数の電子回路を形成し、次いでウェーハの裏面を研削して所定の厚さに加工してから、電子回路が形成されたデバイス領域を分割予定ラインに沿って切断するダイシングを行い、1枚のウェーハから多数のデバイス(半導体チップ)を得ることが行われる。
【0003】
ウェーハをダイシングする装置として、切削ブレードをウェーハ(ワーク)に切り込ませて切断する切削装置などが知られている。そして、複数のウェーハを自動的に搬送して連続的に加工を行う構成が知られており、例えば、特許文献1に開示される切削装置では、ウェーハの被加工面を露出させながら、ウェーハを負圧により吸着、保持する保持手段と、保持手段に保持されたウェーハを切削加工する切削ブレードを備えた切削機構と、保持手段にウェーハを搬入する搬入機構とを有する構成により、ウェーハを収容しつつ自動的に搬出入する構成が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるように、複数のウェーハを自動的に搬送して連続的に加工を行う構成によれば、加工作業の自動化を実現することが可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるような構成を実施する場合には、複数のウェーハを収納するカセットと、カセットを鉛直方向に移動させる昇降台と、昇降台上のカセットから水平方向にウェーハを引き出す第一の搬送手段と、第一の搬送手段が引き出したウェーハを一旦支持する仮支持手段と、仮支持手段から保持手段にウェーハを搬送する第二の搬送手段、等の各種手段を備える必要があった。
【0007】
そして、このような構成を実施すると、部品点数が多くなり、構成が複雑になってしまうことになる。また、装置の製作コストも高くなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、複数のウェーハを自動的に搬送して連続的に加工を行うための搬出入装置について、部品点数が少なく、簡易な構成にて実現可能であり、更に、安価な製作コストを実現できる搬出入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、被加工物が粘着テープを介してフレームに配設された被加工物ユニットを保持する保持面を有する保持手段と、保持手段に保持された被加工物ユニットの被加工物を加工する加工手段と、加工手段が配設された加工領域と被加工物ユニットを保持手段に搬出入する搬出入領域とに保持手段を位置付ける位置付け手段と、を有する加工装置とともに用いられ、搬出入領域に位置付けられた保持手段に被加工物ユニットを搬出入するユニット搬出入装置であって、ユニット搬出入装置は、ユニット収容手段と、ユニット収容手段から被加工物ユニットを搬出して保持手段に搬入すると共に、保持手段から被加工物ユニットを搬出してユニット収容手段に搬入する搬出入手段を有し、ユニット収容手段は、複数のユニット支持部と、搬出入手段の上下方向の通過を許容するユニット通過部を周回方向に備えたターンテーブルと、ターンテーブルを回転させる回転手段と、を有して構成され、ユニット支持部には、複数の被加工物ユニットを重ねて収容可能なユニットケースが着脱自在に配設され、搬出入手段は、被加工物ユニットのフレームを保持するフレーム保持部と、ターンテーブルのユニット通過部を介してフレーム保持部を上下動する上下動手段と、を有して構成され、搬出入手段のフレーム保持部の直下に、ターンテーブルのユニット通過部と、保持手段が位置付けられた際に、搬出入手段のフレーム保持部を上下動させることで保持手段に対する被加工物ユニットの搬入又は搬出が行われ、搬出入手段のフレーム保持部の直下に、ターンテーブルのユニット支持部が位置付けられた際に、搬出入手段のフレーム保持部を上下動させることでユニット支持部に対する被加工物ユニットの搬出又は搬入が行われる、ことを特徴とするユニット搬出入装置が提供される。
【0010】
好ましくは、ユニットケースには、被加工物ユニットと環状のスペーサーとが交互に重ねて収容されており、スペーサーは、搬出入手段のフレーム保持部によって保持可能であり、ターンテーブルは、スペーサー仮置部を備え、フレーム保持部を上下動させてスペーサーをユニットケースから搬出入し、ターンテーブルの回転によって、スペーサー仮置部と前記ユニットケースとの間でスペーサーを搬出入することとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転するターンテーブルを備えるユニット収容手段と、上下動する搬出入手段を備えるユニット搬出入装置が実現される。これにより、部品点数の少ない簡易な構成が実現でき、更には、安価な製作コストを実現できる。
【0012】
また、本発明のユニット搬出入装置を、搬入機構などを備えない加工装置(切削装置や、レーザー加工機等)に追加することで、ウェーハなどの被加工物が連続的に自動供給可能な加工装置に容易に改造することも可能である。
【0013】
さらに、ターンテーブルの上面側に被加工物が支持されるため、被加工物がターンテーブルから脱落する恐れが少ない構成が実現される。
【0014】
加えて、被加工物ユニットをスペーサーを挟んで複数枚収容したユニットケースをターンテーブルに載置することで、ターンテーブルを大型化せずに多くのユニットを載置可能となる。これにより、ひとたびユニットケースをセットすれば多くのユニットを自動的に加工することが可能となり、1ユニット(ウェーハ1枚)あたりの加工時間が短い被加工物であっても、オペレータが頻繁にユニットを交換する必要が無く、加工開始後の作業手間が少ない装置構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ユニット搬出入装置を加工装置に併設した状態について示す斜視図である。
【図2】加工装置の実施形態について示す斜視図である。
【図3】ユニット搬出入装置の構成について示す分解斜視図である。
【図4】ユニットケースに被加工物ユニットとスペーサーを積層して収容することについて説明する図である。
【図5】被加工物ユニットとスペーサーを収容したユニットケースの縦断面図である。
【図6】(A)はフレーム保持部が「待機位置」にあるときについて説明する図である。(B)はフレーム保持部が「保持/保持解放位置」にあるときについて説明する図である。(C)はフレーム保持部が「搬入/搬出位置」にあるときについて説明する図である。
【図7】(A)はフレーム保持部にて被加工物ユニットを保持した状態について示す図である。(B)はフレーム保持部の直下にユニット通過部とチャックテーブルが位置付けられた状態について示す図である。(C)はフレーム保持部の直下にスペーサー仮置部が位置付けられた状態について示す図である。(D)は空のユニットケースに被加工物ユニットを収容する状態について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかるユニット搬出入装置5を備えた加工装置2について示す斜視図、図2はユニット搬出入装置を設置可能な加工装置2の構成について示す斜視図である。なお、加工装置2については、本実施形態のように切削ブレード21を高速回転させる切削ユニット20を備える構成とするほか、レーザービームにより切削加工を行うレーザー加工装置にて構成することも考えられる。
【0017】
図2に示される切削装置2は切削ブレード21を高速回転させる切削ユニット20を備える切削装置であり、チャックテーブル4において被加工物を吸引保持し、チャックテーブル4が切削送り方向(X軸方向)に往復移動しながら、切削ユニット20を割り出し送り方向(Y軸方向)及び切り込み送り方向(Z軸方向)に移動させることにより被加工物が切削される構成となっている。
【0018】
例えば、半導体ウェーハWをダイシング(切削加工)する場合は、半導体ウェーハWを粘着テープ(ダイシングテープT)を介して環状フレームFに保持してなる被加工物ユニットUが、チャックテーブル4に載置されて吸引保持される。なお、環状フレームFは、磁性を有するステンレスなどにて構成され、後述するように磁力によって保持される構成とする。
【0019】
チャックテーブル4は切削送り手段10によってX軸方向に移動可能となっており、切削ユニット20と一体に形成された撮像ユニット13(カメラ)を有するアライメントユニット12によって、チャックテーブル4に吸引保持されたウェーハWの切削すべき領域であるストリートが検出され、そのストリートと切削ブレードとのY軸方向の位置合わせがなされた後に、切削が行われる。
【0020】
切削送り手段10は、X軸方向に配設された一対のX軸ガイドレール16と、X軸ガイドレール16に摺動可能に支持されたX軸移動基台18と、X軸移動基台18に形成されたナット部(図示せず)に螺合するX軸ボールねじ20と、X軸ボールねじ20を回転駆動するX軸パルスモータ22とから構成される。
【0021】
チャックテーブル4を回転可能に指示する支持基台24はX軸移動基台18に固定されており、X軸パルスモータ22に駆動されてX軸ボールねじ20が回転することによって、チャックテーブル4がX軸方向に移動される。チャックテーブル4は、後述するユニット搬出入装置5のターンテーブル53の下方の位置まで移動可能に構成されており、X軸移動基台18は、加工手段(切削ユニット20)が配設された加工領域と被加工物ユニットUを保持手段(チャックテーブル4)に搬出入する搬出入領域とに保持手段を位置付ける位置付け手段として機能する。
【0022】
一方、切削ユニット20は、ガイド手段26によってY軸方向に割り出し送り可能に支持されている。ガイド手段26は、チャックテーブル4の移動を妨げないようにX軸に直交するY軸方向に配設される垂直コラム28と、垂直コラム28の側面においてY軸方向に配設された一対のY軸ガイドレール30と、Y軸ガイドレール30と平行に配設されたボールねじ32と、ボールねじ32に連結されたY軸パルスモータ36と、を有して構成される。
【0023】
Y軸ガイドレール30は、支持部材40をY軸方向に摺動可能に支持しており、支持部材40に備えたナット(図示せず)がボールねじ32に螺合されている。
【0024】
Y軸パルスモータ36に駆動されてボールねじ32が回転することにより、支持部材40がY軸方向に移動される。支持部材40には、切削ユニット20が取り付けられた移動部材46が上下方向(Z軸方向)に摺動可能に取り付けられており、Z軸パルスモータ48を駆動すると、移動部材46がZ軸方向に移動される。
【0025】
以上の構成とする切削装置2においては、切削送り手段10や、垂直コラム28は、ベースプレート2Aに載置されており、ベースプレート2A上において各種装置類が搭載されるようになっている。
【0026】
そして、図1に示すように、切削装置2に対し、ユニット搬出入装置5が併設される。このユニット搬出入装置5は、複数の被加工物ユニットUをストックし、ストックされた被加工物ユニットUを順次切削装置2に搬入し、また、切削装置2での加工が済んだ被加工物ユニットUを再び切削装置2からユニット搬出入装置5へと搬出させるためのものである。
【0027】
ユニット搬出入装置5は、切削装置2のベースプレート2Aに接続され得るベースプレート5Aを有し、このベースプレート5A上に各種装置類が搭載されることでユニット化される。このようにユニット化されることで、ユニット搬出入装置5は、切削装置2に対して追加的に設置することが可能となり、例えば、切削装置2単体での設置、ユニット搬出入装置5と切削装置2を1セットで設置、あるいは、既設の切削装置2に対し後付でユニット搬出入装置5を設置、という様々な形態が可能となる。
【0028】
図3は、ユニット搬出入装置5の分解斜視図である。ユニット搬出入装置5は、ユニット収容機構52と、ユニット収容機構52から被加工物ユニットUを搬出して保持手段であるチャックテーブル4に搬入すると共に、チャックテーブル4から被加工物ユニットUを搬出してユニット収容機構52に搬入する搬出入機構54を有して構成される。
【0029】
ユニット収容機構52は、ターンテーブル53と、ターンテーブル53を回転制御するための回転機構56を有して構成される。ターンテーブル53は、その上面側において、複数のユニット支持部53aと、少なくとも一つユニット通過部53bを周回方向に備えて構成される。本実施形態のターンテーブル53は、円盤状の板状部材にて構成され、その周回方向の一部において外周部から内側に向かうように略U字状に切り欠くように開口部位が形成されており、この開口部位においてユニット通過部53bが構成される。
【0030】
本実施形態においては、ターンテーブル53のユニット通過部53bを除く周回方向の5箇所において、ユニット支持部53a,53aが構成され、そのうちの4箇所にユニットケースCa〜Cdが配設され、残りの1箇所がスペーサー仮置部53sとして用いられる。
【0031】
より詳しくは、図4及び図5に示すように、ユニットケースCaは上側が開放される有底の円筒状部材にて構成され、ユニットケースCa内の空間にて形成される収用室Cmには、被加工物ユニットUとスペーサーSが交互に積層して収容される。
【0032】
ユニットケースCaにおいて、収用室Cmの底部の内径は、被加工物ユニットUやスペーサーSがちょうど収まる程度に設計することが考えられる。また、収用室Cmの内径は、底部から上側の開放部に向かって広くなるように構成することとしてもよい。これにより、被加工物ユニットUやスペーサーSをユニットケースCaに対して搬出入される際において、収用室Cmの側壁に引っ掛かる(擦れる)ことを防ぐことができる。
【0033】
各ユニットケースCa〜Cdは、ターンテーブル53のユニット支持部53aに対し着脱自在に構成される。即ち、各ユニットケースCa〜Cdはそれぞれユニット支持部53aに対して固定されてターンテーブル53と一体化されるとともに、ターンテーブル53から適宜取り外すことが可能となる。これにより、切削装置2から離れた別の場所においてユニットケースCa内に被加工物ユニットUを収容する作業をすることや、複数枚の加工済みの被加工物ユニットUが収容されたユニットケースCdを別の場所に搬出するということが可能となる。
【0034】
スペーサーSは、被加工物ユニットUの環状フレームFと略同形の環状部材であり、磁性を有するステンレスなどにて構成され、後述するように磁力によって保持される構成とする。このスペーサーSは、被加工物ユニットUの間に挟装されることで、重なりあう被加工物ユニットU同士がダイシングテープTで張り付いてしまうことや、被加工物であるウェーハWの表面にダイシングテープTが接触することが防がれる。
【0035】
ターンテーブル53の4箇所に設けられるユニットケースのうち、例えば、2箇所のユニットケースCa,Cbには、未加工の被加工物ユニットUとスペーサーSが収容され、残りの2箇所のユニットケースCc,Cdには、加工後の被加工物ユニットUとスペーサーSが収容されるという運用が考えられる。そして、これらのユニットケースCa〜Cdの開口部には、異物の混入防止などを目的として、着脱自在の蓋を設けることとしてもよい。この蓋は、後述する搬出入機構54によって適宜着脱され、ユニットケースCb、Ccが置かれているユニット支持部53aやスペーサー仮置部53sなどの空き領域に適宜仮置きするという運用が考えられる。
【0036】
ユニットケースCa内において、被加工物ユニットUとスペーサーSを交互に積層配置するためには、被加工物ユニットU、あるいは、スペーサーSを一時的に他の箇所に置いておく必要がある。本実施形態では、ターンテーブル53上にスペーサー仮置部53sを形成することで、必要に応じてスペーサーSをスペーサー仮置部53sに一時的に置けるようにしている。なお、スペーサー仮置部53sにユニットケースと同様のケースを配置し、ケース内にスペーサーSを収容することや、他のユニットケース(例えばユニットケースCb)にスペーサーSを仮置きすることで、他のユニットケースをスペーサー仮置部として機能させることとしてもよい。
【0037】
ターンテーブル53の中央部には、係合溝53cを有する取付穴部53hが開口されている。この取付穴部53hは、係合溝53cは回転機構56の回転連結部56aに連結され、ターンテーブル53が回転連結部56aと一体となって回転駆動される。
【0038】
ユニット搬出入装置5のベースプレート5Aには、間隔を空けて配置される立設部5b,5bと、立設部5b,5bの上部間に横架される横架部5cを有してなる門状の垂直コラム5Bが立設される。横架部5cには搬出入機構54が設けられ、搬出入機構54の下方にターンテーブル53が配置される。
【0039】
搬出入機構54は、下部にフレーム保持部55を備えたロッド54bを上下方向に移動させる上下動機構54aを有して構成される。上下動機構54aは、例えば、エアシリンダ機構やパルスモータなどを備えることでシリンダ54cに対してロッド54bを進退させる構成にて実現できる。
【0040】
そして、図6(A)に示すように、フレーム保持部55は、上下動機構54aにより、ターンテーブル53上の被加工物ユニットUの上方の位置に配置される「待機位置」と、図6(B)に示すように、ターンテーブル53上の被加工物ユニットUに近接する位置に配置される「保持/保持解放位置」と、図6(C)に示すように、チャックテーブル4に近接する位置に配置される「搬入/搬出位置」と、の少なくとも3位置に位置付けられる。
【0041】
なお、図6(B)の中段に示される「保持/保持解放位置」については、ユニットケースCa内に収容される被加工物ユニットUやスペーサーSの枚数によって、フレーム保持部55の上下位置は変動することになる。このため、例えば、フレーム保持部55に接触センサを設け、被加工物ユニットUの環状フレームFやスペーサーSに接触した位置を「保持/保持解放位置」とすることが考えられる。
【0042】
フレーム保持部55は、ロッド54bの下端部に連結される横アーム部55aと、横アーム部55aの長手方向の両端部からそれぞれ垂下される縦アーム部55b,55bを有して構成される。縦アーム部55b,55bの下端部には、例えば、電磁石により環状フレームFを磁力により保持/保持解除することができる保持機構が設けられ、縦アーム部55bの下端部において被加工物ユニットUの環状フレームFの上面を保持できるように構成される。また、保持を解除することで、縦アーム部55bから被加工物ユニットUを離脱できるように構成される。
【0043】
垂直コラム5Bの立設部5b,5bの間には、切削装置2のX軸移動基台18の通過を可能とするための開口部5dが確保されており、搬出入機構54の下方の位置にX軸移動基台18を移動させると搬出入機構54の直下にチャックテーブル4が位置付けられる。そして、これにより、図5(C)に示すように、ターンテーブル53の回転位置によって、ユニット通過部53bの直下にチャックテーブル4が位置付けられた際に、ユニット通過部53bを通じて被加工物ユニットUを搬出入するための搬出入空間Hが構成される。
【0044】
以上のようにして、ユニット搬出入装置5が構成され、次に、このユニット搬出入装置5と切削装置2の間での被加工物ユニットUの搬出、搬出の流れについて説明する。
【0045】
まず搬出の際の流れについて説明する。前提として、オペレータ、あるいは、専用の装置によって、これから加工される複数の被加工物ユニットUがターンテーブル53上のユニットケースCaに収容された状態とする。また、加工後の被加工物ユニットUを収容するためのユニットケースCdは空けておく。
【0046】
そして、図6(A)、図7(A)に示すように、フレーム保持部55がターンテーブル53の上方に離れた待機位置に位置付けられた状態において、ターンテーブル53を一側方向に回転させることで、未加工の被加工物ユニットUが収容されたユニットケースCaをフレーム保持部55の直下に位置付ける。
【0047】
次いで、図6(B)に示すように、フレーム保持部55を下方に移動させて保持/保持解放位置に位置付けるとともに、フレーム保持部55の電磁石をONにすることで、被加工物ユニットUの環状フレームFをフレーム保持部55にて保持し、被加工物ユニットUを保持したフレーム保持部55を待機位置まで戻すことで、ユニットケースCa内から被加工物ユニットUが取り出される。
【0048】
次いで、図7(B)に示すように、ターンテーブル53を他側方向に回転させ、ターンテーブル53のユニット通過部53bをフレーム保持部55(搬出入機構54)の直下に位置付けることで、搬出入空間Hが形成される。
【0049】
次いで、図6(C)に示すように、ユニット通過部53bを通過させるように、フレーム保持部55、及び、被加工物ユニットUを下降させ、被加工物ユニットUがチャックテーブル4に載置されるように、フレーム保持部55を搬入/搬出位置に位置付ける。そして、フレーム保持部55の電磁石をOFFにすることで、被加工物ユニットUの保持を解除し、被加工物ユニットUをチャックテーブル4に保持させる。
【0050】
以上のようにしてユニットケースCa内からチャックテーブル4への被加工物ユニットUの受け渡しが完了し、チャックテーブル4が移動されて切削装置2へと搬入された後、被加工物ユニットUについて所定の加工がなされる。なお、被加工物ユニットUの受け渡しの後に、フレーム保持部55を待機位置まで上昇させて待機させてもよい。
【0051】
また、ユニットケースCaから未加工の被加工物ユニットUを取り出す際に、被加工物ユニットUの上にスペーサーSが存在する場合には、フレーム保持部55にて適宜スペーサーSを磁着して取り出すとともに、図7(C)に示すように、ターンテーブル53を回転させた後に、スペーサーSがスペーサー仮置部53sに仮置きされる。
【0052】
次に被加工物ユニットUの搬出の流れについて説明する。切削装置2での加工終了後、チャックテーブル4がターンテーブル53の下方の位置へと移動される。そして、図6(C)に示すように、フレーム保持部55を搬入/搬出位置に位置付けるとともに、電磁石をONにすることで、被加工物ユニットUを保持する。なお、この際に、ターンテーブル53のユニット通過部53bは、フレーム保持部55(搬出入機構54)の直下に位置付けられることで、ユニット通過部53bを通じて被加工物ユニットUを搬出入するための搬出入空間Hが形成される状態とする。
【0053】
次いで、ユニット通過部53bを通じてフレーム保持部55を待機位置まで上昇させた後、図7(D)に示すように、加工後の被加工物ユニットUを収容するためのユニットケースCdがフレーム保持部55の直下に位置付けられるように、ターンテーブル53を一側方向に回転させる。
【0054】
次いで、フレーム保持部55を下降させて保持/保持解放位置に位置付けることにより、被加工物ユニットUをユニットケースCd内へと挿入する。そして、フレーム保持部55の電磁石をOFFにして被加工物ユニットUの保持を解除することで、被加工物ユニットUをユニットケースCd内に収容させる。
【0055】
なお、ユニットケースCd内で加工後の被加工物ユニットUが直接重ならないようにするために、既に収容された被加工物ユニットUの上にはスペーサーSが載置された状態としておく。即ち、例えば、スペーサー仮置部53sに仮置きされたスペーサーS(ユニットケースCaなど他のユニットケース内に収容されたスペーサーでもよい)を、適宜、ユニットケースCd内の被加工物ユニットUに重ねるように収容し、その上に、次の被加工物ユニットUをユニットケースCd内に収容させる。
【0056】
以上のようにして、被加工物ユニットUの搬出入、及び、加工がなされる。他の未加工の被加工物ユニットUについても、ターンテーブル53を回転させることで順次同様の操作がなされる。全ての被加工物ユニットUによる加工が終了した後は、ターンテーブル53から加工後の被加工物ユニットUが別の場所へと搬出される。
【0057】
以上の実施形態では、ウェーハW(被加工物)がダイシングテープT(粘着テープ)を介して環状フレームF(フレーム)に配設された被加工物ユニットUを保持する保持面を有するチャックテーブル4(保持手段)と、チャックテーブル4に保持された被加工物ユニットUの被加工物を加工する切削ユニット20(加工手段)と、切削ユニット20が配設された加工領域と被加工物ユニットUをチャックテーブル4に搬出入する搬出入領域とにチャックテーブル4を位置付けるX軸移動基台18(位置付け手段)と、を有する切削装置2(加工装置)とともに用いられ、搬出入領域に位置付けられたチャックテーブル4に被加工物ユニットUを搬出入するユニット搬出入装置5が構成される。
【0058】
そして、ユニット搬出入装置5は、ユニット収容機構52(ユニット収容手段)と、ユニット収容機構52から被加工物ユニットUを搬出して保持手段に搬入すると共に、チャックテーブル4から被加工物ユニットUを搬出してユニット収容機構52に搬入する搬出入機構54(搬出入手段)を有し、ユニット収容機構52は、複数のユニット支持部53aと、搬出入機構54の上下方向の通過を許容するユニット通過部53bを周回方向に備えたターンテーブル53と、ターンテーブル53を回転させる回転機構56(回転手段)と、を有して構成され、ユニット支持部53aには、複数の被加工物ユニットUを重ねて収容可能なユニットケースCa〜Cdが着脱自在に配設され、搬出入機構54は、被加工物ユニットUの環状フレームFを保持するフレーム保持部55と、ターンテーブル53のユニット通過部53bを介してフレーム保持部55を上下動する上下動機構54a(上下動手段)と、を有して構成され、搬出入機構54のフレーム保持部55の直下に、ターンテーブル53のユニット通過部53bと、チャックテーブル4が位置付けられた際に、搬出入機構54のフレーム保持部55を上下動することでチャックテーブル4に対する被加工物ユニットUの搬入又は搬出が行われ、搬出入機構54のフレーム保持部55の直下に、ターンテーブル53のユニット支持部53aが位置付けられた際に、搬出入機構54のフレーム保持部55を上下動することでユニット支持部53aに対する被加工物ユニットUの搬出又は搬入が行われることとしている。
【0059】
さらに、好ましい実施形態として、ユニットケースCaには、被加工物ユニットUと環状のスペーサーSとが交互に重ねて収容されており、スペーサーSは、搬出入機構54のフレーム保持部55によって保持可能であり、ターンテーブル53は、スペーサー仮置部53sを備え、フレーム保持部55を上下動させてスペーサーSをユニットケースCaから搬出入し、ターンテーブル53の回転によって、スペーサー仮置部53sと前記ユニットケースCaとの間でスペーサーSを搬出入することとする。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、回転するターンテーブルを備えるユニット収容手段と、上下動する搬出入手段を備えるユニット搬出入装置が実現される。これにより、部品点数の少ない簡易な構成が実現でき、更には、安価な製作コストを実現できる。
【0061】
また、本発明のユニット搬出入装置を、搬入機構などを備えない加工装置(切削装置や、レーザー加工機等)に追加することで、ウェーハなどの被加工物が連続的に自動供給可能な加工装置に容易に改造することも可能である。
【0062】
さらに、ターンテーブルの上面側に被加工物が支持されるため、被加工物がターンテーブルから脱落する恐れが少ない構成が実現される。
【0063】
加えて、被加工物ユニットをスペーサーを挟んで複数枚収容したユニットケースをターンテーブルに載置することで、ターンテーブルを大型化せずに多くのユニットを載置可能となる。これにより、ひとたびユニットケースをセットすれば多くのユニットを自動的に加工することが可能となり、1ユニット(ウェーハ1枚)あたりの加工時間が短い被加工物であっても、オペレータが頻繁にユニットを交換する必要が無く、加工開始後の作業手間が少ない装置構成を実現できる。
【符号の説明】
【0064】
2 切削装置
4 チャックテーブル
5 ユニット搬出入装置
18 X軸移動基台
20 切削ユニット
52 ユニット収容機構
53 ターンテーブル
53a ユニット支持部
53b ユニット通過部
54 搬出入機構
54a 上下動機構
55 フレーム保持部
56 回転機構
F 環状フレーム
H 搬出入空間
T ダイシングテープ
U 被加工物ユニット
W ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物が粘着テープを介してフレームに配設された被加工物ユニットを保持する保持面を有する保持手段と、
該保持手段に保持された被加工物ユニットの該被加工物を加工する加工手段と、
該加工手段が配設された加工領域と該被加工物ユニットを該保持手段に搬出入する搬出入領域とに該保持手段を位置付ける位置付け手段と、
を有する加工装置とともに用いられ、
該搬出入領域に位置付けられた該保持手段に該被加工物ユニットを搬出入するユニット搬出入装置であって、
該ユニット搬出入装置は、
ユニット収容手段と、
該ユニット収容手段から被加工物ユニットを搬出して該保持手段に搬入すると共に、該保持手段から該被加工物ユニットを搬出して該ユニット収容手段に搬入する搬出入手段を有し、
該ユニット収容手段は、複数のユニット支持部と、該搬出入手段の上下方向の通過を許容するユニット通過部を周回方向に備えたターンテーブルと、
該ターンテーブルを回転させる回転手段と、を有して構成され、
該ユニット支持部には、複数の該被加工物ユニットを重ねて収容可能なユニットケースが着脱自在に配設され、
該搬出入手段は、
該被加工物ユニットの該フレームを保持するフレーム保持部と、
該ターンテーブルの該ユニット通過部を介して該フレーム保持部を上下動する上下動手段と、を有して構成され、
該搬出入手段の該フレーム保持部の直下に、該ターンテーブルの該ユニット通過部と、該保持手段が位置付けられた際に、該搬出入手段の該フレーム保持部を上下動させることで該保持手段に対する該被加工物ユニットの搬入又は搬出が行われ、
該搬出入手段の該フレーム保持部の直下に、該ターンテーブルの該ユニット支持部が位置付けられた際に、該搬出入手段の該フレーム保持部を上下動させることで該ユニット支持部に対する該被加工物ユニットの搬出又は搬入が行われる、
ことを特徴とするユニット搬出入装置。
【請求項2】
前記ユニットケースには、前記被加工物ユニットと環状のスペーサーとが交互に重ねて収容されており、
該スペーサーは、前記搬出入手段の前記フレーム保持部によって保持可能であり、
前記ターンテーブルは、スペーサー仮置部を備え、
該フレーム保持部を上下動させて該スペーサーを該ユニットケースから搬出入し、
該ターンテーブルの回転によって、該スペーサー仮置部と前記ユニットケースとの間で該スペーサーを搬出入する、
ことを特徴とする請求項1に記載のユニット搬出入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93530(P2013−93530A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236302(P2011−236302)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】