説明

ユニット着脱機構及びそれを備えた画像形成装置

【課題】画像形成装置本体に対しユニットを容易に着脱可能であり、画像形成装置本体内におけるユニットの位置決め精度も向上するユニット着脱機構及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成ユニット30は、一対のスライドレール35と搬送ユニット50の両側にスライドレール35と略平行に形成された支持部51とで画像形成装置100本体に摺動可能に支持されている。画像形成ユニット30を画像形成装置100の内部まで挿入すると、第1コロ33aが下側レール41bの切り欠き部43を通過するときは画像形成ユニット30が支持部51に支持されているため、第1コロ33aが切り欠き部43から脱輪せず、第2コロ33bが切り欠き部43に到達すると、第2コロ33bが切り欠き部43から下方に脱輪して画像形成ユニット30が所定の位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対し着脱可能なユニットの着脱機構及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いる画像形成装置においては、定着ユニット、ドラムユニット、現像ユニット、中間転写ユニット等は、画像形成装置内部の所定の位置にビス固定されていた。一方、これらのユニットは紙詰まり(ジャム)処理時に画像形成装置本体から取り外す必要があった。また、ユニットの耐用年数が装置本体の寿命よりも短い場合、定期的に交換する必要があった。
【0003】
上述した従来の構成では、ユニットの交換時や紙詰まり(ジャム)処理時にその都度サービスマンに連絡しなければならず、効率的ではなかった。一方、一般のユーザにはドライバー等の工具を用いたユニットの着脱作業は大きな負担となる。そこで、ユーザによりユニットの交換作業を簡単に行う方法が提案されており、画像形成装置本体側に設けられたガイド形状に沿ってユニットを挿入または引き出す構成が広く用いられている。
【0004】
例えば特許文献1には、装置本体側のレール面側に位置する2個のローラー間にガイド部材を設けて現像装置の取り付け及び取り外し時における傾きを所定範囲に規制することにより、現像ロール等の部材によって感光体を損傷しないようにした、現像装置の着脱機構が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、感光体を備えたユニットのガイド軸を案内する下向き傾斜の一対の第1傾斜ガイド部と、一対の第1傾斜ガイド部の間に配置され、第1傾斜ガイド部と同方向に下向き傾斜してユニットの底面を案内する第2傾斜ガイド部とを備え、ユニットが挿入停止位置に来たときユニットの後部を下向きに回動させて収納部に収納固定できるようにした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−66718号公報
【特許文献2】特開2003−84648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように画像形成装置本体内へユニットを挿入したり、画像形成装置本体内からユニットを引き出したりする構成においては、装置のコンパクト化の要求やレイアウト上の制約等により、ユニットの挿入及び引き出し経路に他のユニットや部品が存在する場合がある。
【0008】
その場合、他のユニットや部品を避けながら目的のユニットの挿入及び引き出し操作を行う必要が生じ、挿入及び引き出し経路の軌道が直線にならず複雑化する。また、ユニットの挿入及び引き出し操作も煩雑化する。さらに、画像形成装置本体内におけるユニットの位置決め精度も低下し、ギアの噛み合い不良や画像不具合が発生し易くなるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、画像形成装置本体に対しユニットを容易に着脱可能であり、画像形成装置本体内におけるユニットの位置決め精度も向上するユニット着脱機構及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、装置本体に対し着脱可能なユニットと、装置本体側に装着され前記ユニットの着脱方向に平行な両側面を摺動可能に支持する一対のスライドレールと、を有するユニットの着脱機構であって、前記ユニットの着脱方向に平行な両側面には前記ユニット挿入方向に対し下流側に配置される第1コロと、前記ユニット挿入方向に対し上流側に配置される第2コロとから成るユニット側コロが各側面に一対ずつ設けられ、前記スライドレールには前記ユニット側コロが係合する下側レールと上側レールから成るレール溝が形成されており、前記上側レールまたは下側レールの一部に、前記ユニット側コロを前記レール溝から脱輪させる切り欠き部を形成し、前記第1コロまたは前記第2コロのいずれか一方が前記レール溝から脱輪することにより前記ユニットが装置本体内の所定位置に位置決めされることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構において、前記スライドレールは、装置本体側に固定される第1レール部と、前記レール溝が形成された第2レール部とを含む複数のレール部で構成され、前記複数のレール部は互いに摺動可能に連結されることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構において、前記下側レールに形成された前記切り欠き部を介して前記第2コロを脱輪させる際、前記ユニットを支持して前記第1コロの脱輪を防止する支持部を装置本体側に設けたことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構において、前記スライドレールは側面視ヘ字状に屈曲しており、前記ユニット挿入方向に対し上流側が略水平となるように配置されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構において、前記スライドレールに、前記レール溝の両端からの前記ユニット側コロの抜けを防止する抜け止め部を設けたことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構において、装置本体から突出してユニット側に形成された係合突起に係合可能な位置と、装置本体内に収納され前記係合突起との係合が解除される位置とに移動可能に支持されるロック部材と、該ロック部材を前記係合突起と係合する方向に付勢する付勢部材とが設けられ、前記ユニットの着脱操作により前記係合突起と前記ロック部材とが当接する部分の少なくとも一方に傾斜面を設けたことを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構において、前記ユニット内には一つ以上のサブユニットが配置されており、前記付勢部材は前記サブユニットの少なくとも一つを所定の方向に付勢することを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構において、前記サブユニットは現像装置であり、前記ユニット内に配置された像担持体に接近する方向に付勢されることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成のユニットの着脱機構を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の構成によれば、スライドレールを用いてユニットを装置本体に挿入する際、ユニット側に設けられたユニット側コロのうち第1コロまたは第2コロのいずれか一方をスライドレールの切り欠き部を介して脱輪させることによりユニットが位置決めされるため、ユニットがスライドレールに沿って着脱されるとき着脱経路上にある障害物との接触を回避することができる。
【0020】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のユニットの着脱機構において、スライドレールは、装置本体側に固定される第1レール部と、レール溝が形成された第2レール部とを含む、互いに摺動可能に連結された複数のレール部で構成されることにより、ユニットを装置本体から大きく引き出すことができる。従って、装置本体内が広く開放されるためジャム処理やメンテナンスが容易となる。
【0021】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成のユニットの着脱機構において、下側レールに形成された切り欠き部を介して第2コロを脱輪させる際、ユニットを支持して第1コロの脱輪を防止する支持部を装置本体側に設けることにより、挿入方向下流側の第1コロが切り欠き部を通過する際の脱輪を防止して、挿入方向上流側の第2コロのみを確実に脱輪させることができる。
【0022】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成のユニットの着脱機構において、スライドレールは側面視ヘ字状に屈曲しており、前記ユニット挿入方向に対し上流側が略水平となるように配置されることにより、ユニットは装置本体から引き出された状態で略水平に保持される。従って、ユニットの引き出し時の高さが抑えられ、ジャム処理時やメンテナンス時における作業者の視野を広げることができる。また、装置本体から引き出されたユニットを安定して保持することができる。
【0023】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成のユニットの着脱機構において、スライドレールに、レール溝の両端からのユニット側コロの抜けを防止する抜け止め部を設けることにより、スライドレールからのユニットの脱落を確実に防止することができる。また、ユニットが装置本体から完全に分離されないため、取り外されたユニットの置き場所も不要となり、ユニットを装着する際に異物が付着して装置本体内に持ち込まれるおそれもなくなる。
【0024】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成のユニットの着脱機構において、ユニットの着脱操作により係合突起とロック部材とが当接する部分の少なくとも一方に傾斜面を形成することにより、ユニットの着脱時に傾斜面に沿ってロック部材が押圧されて係合を解除する方向に移動するため、作業者が装置本体にユニットを押し込むだけで確実にロックすることができ、装置本体からユニットを持ち上げるだけでロックを解除することができる。
【0025】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第6の構成のユニットの着脱機構において、ユニット内には一つ以上のサブユニットが配置されており、付勢部材はサブユニットの少なくとも一つを所定の方向に付勢することにより、ユニットに対するサブユニットの位置決めも可能となる。
【0026】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第7の構成のユニットの着脱機構において、サブユニットが現像装置であり、付勢部材によってユニット内の像担持体に接近する方向に付勢されるため、像担持体に対し現像装置が精度良く位置決めされる。
【0027】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1乃至第8のいずれかの構成のユニットの着脱機構を搭載することにより、画像形成装置本体のジャム処理作業、ユニットのメンテナンスや交換作業を容易に行うことができ、画像形成装置本体内のユニットの位置決め精度も向上する画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略断面図
【図2】図1における画像形成装置100の画像形成部9の断面斜視図
【図3】画像形成ユニット30を図1の奥側から見た上面斜視図
【図4】画像形成ユニット30を図1の奥側から見た下面斜視図
【図5】画像形成ユニット30からトナーコンテナ20を取り外した状態を示す斜視図
【図6】図5の状態からさらに現像装置16を取り外す途中の状態を示す斜視図
【図7】トナーコンテナ20及び現像装置16が取り外された画像形成ユニット30の斜視図
【図8】画像形成ユニット30を摺動可能に支持するスライドレール35の斜視図であり、第2レール部35aが第1レール部35aに収納された位置にある状態を示す図
【図9】画像形成ユニット30を摺動可能に支持するスライドレール35の斜視図であり、第2レール部35aが第1レール部35aから引き出された位置にある状態を示す図
【図10】画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し最大限引き出された状態を示す斜視図
【図11】図10におけるスライドレール35と画像形成ユニット30の板金フレーム31a、31bとの位置関係を示す斜視図
【図12】図10の状態から画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し所定量だけ押し込まれた状態を示す斜視図
【図13】図12におけるスライドレール35と画像形成ユニット30の板金フレーム31a、31bとの位置関係を示す斜視図
【図14】図12の状態から画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し所定量だけ押し込まれた状態を示す斜視図
【図15】図14の状態から画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し所定量だけ押し込まれた状態を示す斜視図
【図16】図14の状態から画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し所定量だけ押し込まれた状態を示す側面図
【図17】図15、図16におけるスライドレール35と画像形成ユニット30の板金フレーム31a、31bとの位置関係を示す斜視図
【図18】第2コロ33bが第2レール部35bの切り欠き部43を介して脱輪した状態を示す斜視図
【図19】第2コロ33bが脱輪した状態における画像形成ユニット30と搬送ユニット50の側面断面図
【図20】図19における係合突起55及びロック部材57周辺の部分拡大図
【図21】画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し所定位置まで挿入された状態を示す斜視図
【図22】画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し所定位置まで挿入された状態を示す側面図
【図23】画像形成ユニット30が搬送ユニット50に対し所定位置まで挿入された状態を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図であり、図2は、画像形成装置の画像形成部9の断面斜視図である。図1に示すように、画像形成装置100(ここではモノクロプリンター)は、本体下部に積載された用紙を収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排出トレイ18に至る用紙搬送路が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラー5、給紙ローラー対6、中間搬送ローラー7、レジストローラー対8、画像形成部9、定着部10、及び排出ローラー対11が配置されている。更に、画像形成装置100内には、上記の各ローラー、画像形成部9、定着部10等の動作を制御する制御部(図示せず)が配置されている。
【0030】
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が備えられており、用紙積載板12上に積載された用紙がピックアップローラー5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前方側には、フィードローラー6aと、フィードローラー6aに圧接するリタードローラー6bから成る給紙ローラー対6が配設されており、ピックアップローラー5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、これらフィードローラー6aとリタードローラー6bとによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
【0031】
そして、フィードローラー6aとリタードローラー6bとによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラー7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラー対8へと搬送され、レジストローラー対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと供給される。
【0032】
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において反時計回り方向に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラー18及び感光体ドラム14の上方に配置される露光ユニット(LSU)4から構成されており、現像装置16の上方には、現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
【0033】
感光体ドラム14は、帯電装置15、及びクリーニング装置17と共にドラムユニット21を構成する。また、ドラムユニット21は、現像装置16、及びトナーコンテナ20と共に、画像形成装置100本体に対し一体として挿入及び引き出しが可能な画像形成ユニット30を構成する。画像形成ユニット30を構成するドラムユニット21、現像装置16、及びトナーコンテナ20は、それぞれ分離可能となっている。中間搬送ローラー7、レジストローラー対8、転写ローラー18は、画像形成ユニット30の下方に配置される搬送ユニット50に付設されている。なお、図2では搬送ユニット50の一部のみを図示している。
【0034】
帯電装置15には、図示しない電源が接続された導電性ゴムローラーが備えられており、この導電性ゴムローラーが感光体ドラム14に当接するよう配置されている。そして、感光体ドラム14が回転すると、導電性ゴムローラーが感光体ドラム14の表面に接触して従動回転し、この時、導電性ゴムローラーに所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム14の表面が一様に帯電させられることとなる。
【0035】
次いで、露光ユニット4からのレーザービームにより感光体ドラム14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置16により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成され、転写ローラー18により感光体ドラム14の表面のトナー像が、感光体ドラム14と転写ローラー18とのニップ部に形成された転写位置に供給された用紙へと転写される。
【0036】
トナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、画像形成部9の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着部10に備えられた加熱ローラー、及びこの加熱ローラーに圧接される加圧ローラーによって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。
【0037】
そして、画像形成部9及び定着部10において画像形成がなされた用紙は、排出ローラー対11によって排出トレイ19に排出される。一方、転写後に感光体ドラム14表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去され、感光体ドラム14表面の残留電荷は除電装置(図示せず)により除去される。そして、感光体ドラム14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
【0038】
図3及び図4は、それぞれ画像形成ユニット30を図1の奥側上方及び奥側下方から見た斜視図である。画像形成ユニット30を構成するドラムユニット21の両側面には板金フレーム31a、31bが固定されており、各板金フレーム31a、31bにはそれぞれ一対のユニット側コロ33が回転自在に取り付けられている。
【0039】
ユニット側コロ33は、ユニット挿入方向に対し下流側の第1コロ33aと上流側の第2コロ33bから成り、画像形成装置100本体側に設けられたスライドレール35(図8参照)を構成する第2レール部35bの内側に形成されたレール溝41(図8参照)内を回転しながら移動する。これにより、ドラムユニット21は第2レール部35bに沿って摺動可能に支持されている。
【0040】
また、第2レール部35bの外側には第1レール部35aに形成された摺動孔40(図8参照)内を移動する2個のレール側コロ37a、37bが回転自在に取り付けられている。ドラムユニット21の奥側(図4の前側)には、感光体ドラム14の回転軸14aと、クリーニング装置17(図1参照)内の廃棄トナーを外部へ排出するための回収スクリューの回転軸が挿入されるスクリュー軸受17aが突出している。なお、図4では第2レール部35bは図示していない。
【0041】
図5は、画像形成ユニット30からトナーコンテナ20を取り外した状態を示す斜視図、図6は、図5の状態からさらに現像装置16を取り外す途中の状態を示す斜視図、図7は、トナーコンテナ20及び現像装置16が取り外された画像形成ユニット30の斜視図である。なお、図5〜図7は画像形成ユニット30を図1の前側から見た状態を示しており、画像形成ユニット30の向きは図3、図4と逆になっている。
【0042】
図3及び図4の状態から、ユニット挿入方向に対しトナーコンテナ20の上流側端部を持ち上げることにより、図5に示すように画像形成ユニット30の第1収納部30aからトナーコンテナ20が取り外される。さらに、図6に示すように、ユニット挿入方向に対し現像装置16の上流側端部(図6の左側端部)を把持して持ち上げることにより、図7に示すように、画像形成ユニット30の第2収納部30bから現像装置16が取り外される。ドラムユニット21の前側(図5の前側)には、感光体ドラム14の回転軸14aが挿入されるドラム軸受14bが突出している。
【0043】
図8及び図9は、画像形成ユニット30を摺動可能に支持するスライドレール35の斜視図である。スライドレール35は、第1レール部35aと第2レール部35bとで構成されており、第1レール部35aは画像形成装置100本体の側面フレーム25a(図2参照)に固定される。第1レール部35aには摺動孔40が形成されており、第2レール部35bの外側には摺動孔40に摺動可能に係合するレール側コロ37a、37bが設けられている。レール側コロ37a、37bが摺動孔40内を移動することで、第2レール部35bは図8に示すような第1レール部35aに収納された位置と、図9に示すような第1レール部35aから引き出された位置とに選択配置される。
【0044】
第2レール部35bの形状は屈曲部38を有する側面視ヘ字状である。第2レール部35bの内側には、画像形成ユニット30のユニット側コロ33a、33bが回転可能に係合する上側レール41aと下側レール41bで挟まれたレール溝41が形成されており、下側レール41bの一部にはユニット側コロ33a、33bの直径よりも大きい切り欠き部43が形成されている。
【0045】
また、ユニット挿入方向に対し第2レール部35bの下流側端部(図9において右端部)には、レール溝41からのユニット側コロ33aの抜けを防止する第1抜け止め部44aが形成されている。一方、第2レール部35bの上流側端部(図9において左端部)には、レール溝41からのユニット側コロ33bの抜けを防止する第2抜け止め部44bが形成されている。具体的には、装置奥側の第2レール部35bには上側レール41aに螺入されたビスで第2抜け止め部44bが形成されている。そして、装置前側の第2レール部35bにはレール溝41に挿入された樹脂製のスナップフィットで第2抜け止め部44bが形成されている。
【0046】
次に、画像形成装置100本体に対する画像形成ユニット30の挿入及び引き出し操作について説明する。図10は、画像形成ユニット30が画像形成装置100本体から引き出された状態を示す斜視図であり、図11は、図10における板金フレーム31a、31bと第2レール部35bとの関係を示す斜視図である。
【0047】
図10に示すように、画像形成装置100本体の側面フレーム25a(図2参照)には挿入方向下流側に向かって下向きに傾斜する一対のスライドレール35が固定されており、画像形成装置100本体に固定された搬送ユニット50には、スライドレール35の下方においてスライドレール35と略平行に延在する一対の支持部51が形成されている。画像形成ユニット30は、スライドレール35及び支持部51により画像形成装置100本体に対し摺動可能に支持されている。具体的には、装置前側においてはドラム軸受14bが一方の支持部51の最上部に当接している。また、図示しないが、装置奥側においてはスクリュー軸受17a(図4参照)が他方の支持部51の最上部に当接している。第2レール部35bに設けられたレール側コロ37bは第1レール部35aに形成された摺動孔40の上流側端部(図10において左端)まで移動している。
【0048】
さらに、図11に示すように、画像形成ユニット30に固定された板金フレーム31a、31bが、ユニット挿入方向に対し第2レール部35bの上流側端部(図11において左端)まで移動している。即ち、図10は、画像形成ユニット30が画像形成装置100本体から最大限引き出された状態を示している。
【0049】
この状態では、搬送ユニット50の上面が広く開放されるため、ジャムした用紙を容易に除去することができる。また、図5〜図7に示したようにトナーコンテナ20及び現像装置16を取り外すことにより、トナーコンテナ20及び現像装置16の交換やメンテナンスが可能となる。また、ユニット挿入方向に対し第2レール部35bの上流側端部には第2抜け止め部44bが形成されているため、ユニット側コロ33が第2レール部35bのレール溝41から抜け落ちて画像形成ユニット30が画像形成装置100本体から脱落するおそれはない。
【0050】
さらに、第2レール部35bは側面視ヘ字状に屈曲しており、挿入方向上流側が略水平となるように第1レール部35aに支持されているため、画像形成ユニット30は画像形成装置100本体から引き出された状態で略水平に保持される。従って、画像形成ユニット30の引き出し時の高さが抑えられ、ジャム処理時やメンテナンス時における作業者の視野を広げることができる。また、画像形成装置100本体から引き出された画像形成ユニット30を安定して保持することができる。
【0051】
図10の状態から、図12に示すように画像形成ユニット30を矢印A方向に摺動させて画像形成装置100本体内に挿入していくと、ユニット側コロ33(第1コロ33a、第2コロ33b)が第2レール部35bのレール溝41内を転がり挿入方向(矢印A方向)に移動する。これにより、図13に示すように、板金フレーム31a、31bは第2レール部35bの屈曲部38近傍に移動する。
【0052】
また、第2レール部35bのレール側コロ37a、37bが第1レール部35aの摺動孔40内を挿入方向に移動する。その結果、画像形成ユニット30の挿入に伴い第2レール部35bが第1レール部35aに重なるように収納され、図14に示すように画像形成ユニット30も画像形成装置100の内部まで挿入されていく。
【0053】
画像形成ユニット30をさらに矢印A方向に挿入すると、図15及び図16に示すように、画像形成ユニット30もさらに画像形成装置100の内部まで挿入される。このとき、図17に示すように、ユニット側コロ33の第1コロ33aは屈曲部38及び切り欠き部43を越えて第2レール部35bのレール溝41内を挿入側端部まで移動する。第1コロ33aが切り欠き部43を通過するときは画像形成ユニット30のドラム軸受14bとスクリュー軸受17aが支持部51に支持されているため、第1コロ33aが切り欠き部43から脱輪することはない。
【0054】
その後、図18に示すように、第2コロ33bが下側レール41bの切り欠き部43に到達すると、ドラム軸受14bが支持部51の挿入方向下流側端部に形成された位置決め孔53に落下する。また、図示しないが、スクリュー軸受17aも支持部51の挿入方向下流側端部に形成された位置決め孔に落下する。その結果、第2コロ33bが切り欠き部43から下方に脱輪する。
【0055】
これにより、画像形成ユニット30も所定量だけ下方に傾き、図19に示すように、転写ローラー9の上方から感光体ドラム14が接近する。なお、第2レール部35bの挿入方向下流側端部には第1抜け止め部44aが形成されているため、第1コロ33aが第2レール部35bのレール溝41から抜け落ちて画像形成ユニット30が画像形成装置100本体内に落ち込むおそれはない。
【0056】
搬送ユニット50には現像装置16の後方に突出する係合突起55が嵌合する係合凹部56が形成されている。係合凹部56の側面にはロック部材57が出没可能に支持されており、ロック部材57はコイルバネ60により突出方向に付勢されている。図19の状態から、画像形成ユニット30の後端を下方向(図19の白矢印方向)に押し下げることにより、係合突起55がコイルバネ60の付勢力に抗してロック部材57を押し込みながら係合凹部56に嵌り込む。
【0057】
図20は、図19における係合突起55及びロック部材57周辺の部分拡大図である。図20に示すように、係合突起55の下面角部には第1傾斜面55aが形成されており、係合突起55の上面角部には第2傾斜面55bが形成されている。
【0058】
画像形成ユニット30を下方向に押し下げると、係合突起55が上方からロック部材57に接近し、ロック部材57の上端部が第1傾斜面55aに接触する。これにより、ロック部材57には矢印X方向の力が加えられるため、ロック部材57はコイルバネ60の付勢力に抗して矢印X方向に移動する。その後、第1傾斜面55aがロック部材57の前方を通過すると、ロック部材57はコイルバネ60の付勢力により再び矢印X′方向に突出して第2傾斜面55bに係合する。これにより、図21及び図22に示すように、感光体ドラム14が転写ローラー18に対向する所定の位置に位置決めされる。
【0059】
また、図23に示すように、係合突起55がロック部材57によって押圧されるため、画像形成ユニット30が搬送ユニット50に確実に固定される。このとき、現像装置16がロック部材57により感光体ドラム14方向(図23の右方向)に付勢されるため、現像装置16が感光体ドラム14に対して所定の位置に位置決めされる。
【0060】
画像形成ユニット30を画像形成装置100本体から引き出す場合は、画像形成ユニット30の挿入方向後端部(図23の左端)を把持して上に持ち上げる。これにより、係合突起55の上面角部に形成された第2傾斜面55bがロック部材57の下端部に接触し、ロック部材57には矢印X方向の力が加えられるため、ロック部材57はコイルバネ60の付勢力に抗して矢印X方向に移動する。画像形成ユニット30をさらに持ち上げると係合突起55とロック部材57との係合が外れ、第2コロ33bが第2レール部35bの切り欠き部43からレール溝41内に挿入される。
【0061】
この状態で画像形成ユニット30を引き出すことで、ユニット側コロ33a、33bが第2レール部35bのレール溝41内を転がりながら移動するとともに、第2レール部35bのレール側コロ37a、37bが第1レール部35aの摺動孔40内を摺動し、画像形成ユニット30が図10に示した位置まで引き出される。
【0062】
以上説明したように、本発明の構成によれば、第2レール部35bの切り欠き部43から第2コロ33bを脱輪させることによって感光体ドラム14を転写ローラー18の直上から接近させることができる。従って、レジストローラー対8、転写前カイド61、手差し給紙用のローラー保持部63(図23参照)等の、画像形成ユニット30の着脱経路の下方にある障害物と感光体ドラム14との接触を回避しながら、スライドレール35に沿って画像形成ユニット30を円滑に着脱することができる。
【0063】
また、係合突起55とロック部材57との係合により画像形成ユニット30を搬送ユニット50に固定することで、画像形成ユニット30を所定の位置に精度良く位置決めすることができる。このとき、現像装置16がロック部材57を付勢するコイルバネ60の付勢力によって感光体ドラム14側に押圧されるため、感光体ドラム14と現像装置16との位置決めも容易に且つ確実に行うことができる。なお。上記実施形態では係合突起55に第1傾斜面55a及び第2傾斜面55bを形成したが、ロック部材57側に傾斜面を形成しても良い。
【0064】
また、画像形成ユニット30の着脱にドライバー等の工具を必要としないため、現像装置16、トナーコンテナ20の容易且つ迅速な交換が可能となり、メンテナンス作業性が向上する。さらに、ジャム処理時に画像形成ユニット30から現像装置16を取り外す必要がないため、現像装置16の現像ローラーの磁力によるクリップやステープル針等の金属製の異物の付着も防止できる。
【0065】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ユニット側コロ33のうちユニット挿入方向上流側の第2コロ33bを切り欠き部43から脱輪させて画像形成ユニット30を位置決めする構成としたが、第2レール部35bの下側レール41bの挿入方向先端部近傍に切り欠き部43を形成し、ユニット挿入方向下流側の第1コロ33aを脱輪させることもできる。この場合、画像形成ユニット30のロック機構を挿入方向下流側に設け、第1コロ33aの脱輪後に画像形成ユニット30の挿入方向下流側を押し下げることで、画像形成ユニット30の着脱経路の下方にある障害物を回避しながら画像形成ユニット30を所定位置に位置決めすることができる。
【0066】
或いは、第2レール部35bの上側レール41aの挿入方向先端部近傍に切り欠き部43を形成しておき、画像形成ユニット30の挿入方向下流側を持ち上げることでユニット挿入方向下流側の第1コロ33aを上方向に脱輪させる構成としても良い。この場合、画像形成ユニット30の着脱経路の上方にある障害物を回避しながら画像形成ユニット30を所定位置に位置決めすることができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、搬送ユニット50に着脱される画像形成ユニット30の着脱機構を例に挙げて説明したが、中間転写ユニットや定着ユニット等、スライドレールに装着した状態で着脱される他のユニットの着脱機構にも全く同様に適用できるのはもちろんである。さらに、上記実施形態ではスライドレール35を第1レール部35aと第2レール部35bとから成る伸縮可能な構成したが、スライドレール35は3本以上のレール部を摺動可能に連結しても良いし、1本のレール部のみで伸縮しない構成とすることもできる。
【0068】
また、本発明は図1に示したようなモノクロプリンターに限らず、モノクロ複写機やデジタル複合機、カラー複写機やカラープリンター、ファクシミリ等、スライドレールを介して装置本体に対し着脱可能なユニットを備えた種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、画像形成装置本体に対し着脱可能なユニットの挿入及び引き出し機構に利用可能である。本発明の利用により、障害物となる他のユニットや部品を避けながら目的のユニットの挿入及び引き出し操作を円滑に行うとともに、ユニットを画像形成装置本体の所定位置に精度良く配置することができる着脱機構となる。
【符号の説明】
【0070】
9 画像形成部
14 感光体ドラム(像担持体)
15 帯電装置
16 現像装置(サブユニット)
17 クリーニング装置
18 転写ローラー
20 トナーコンテナ(サブユニット)
21 ドラムユニット(サブユニット)
30 画像形成ユニット
31a、31b 板金フレーム
33 ユニット側コロ
33a 第1コロ
33b 第2コロ
35 スライドレール
35a 第1レール部
35b 第2レール部
37a、37b レール側コロ
38 屈曲部
40 摺動孔
41 レール溝
41a 上側レール
41b 下側レール
43 切り欠き部
44a 第1抜け止め部
44b 第2抜け止め部
50 搬送ユニット
51 支持部
55 係合突起
55a 第1傾斜面
55b 第2傾斜面
57 ロック部材
60 コイルバネ(付勢部材)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対し着脱可能なユニットと、
装置本体側に装着され前記ユニットの着脱方向に平行な両側面を摺動可能に支持する一対のスライドレールと、を有するユニットの着脱機構であって、
前記ユニットの着脱方向に平行な両側面には前記ユニット挿入方向に対し下流側に配置される第1コロと、前記ユニット挿入方向に対し上流側に配置される第2コロとから成るユニット側コロが各側面に一対ずつ設けられ、前記スライドレールには前記ユニット側コロが係合する下側レールと上側レールから成るレール溝が形成されており、
前記上側レールまたは下側レールの一部に、前記ユニット側コロを前記レール溝から脱輪させる切り欠き部を形成し、前記第1コロまたは前記第2コロのいずれか一方が前記レール溝から脱輪することにより前記ユニットが装置本体内の所定位置に位置決めされることを特徴とするユニットの着脱機構。
【請求項2】
前記スライドレールは、装置本体側に固定される第1レール部と、前記レール溝が形成された第2レール部とを含む複数のレール部で構成され、前記複数のレール部は互いに摺動可能に連結されることを特徴とする請求項1に記載のユニットの着脱機構。
【請求項3】
前記下側レールに形成された前記切り欠き部を介して前記第2コロを脱輪させる際、前記ユニットを支持して前記第1コロの脱輪を防止する支持部を装置本体側に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のユニットの着脱機構。
【請求項4】
前記スライドレールは側面視ヘ字状に屈曲しており、前記ユニットの挿入方向に対し上流側が略水平となるように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のユニットの着脱機構。
【請求項5】
前記スライドレールに、前記レール溝の両端からの前記ユニット側コロの抜けを防止する抜け止め部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のユニットの着脱機構。
【請求項6】
装置本体から突出してユニット側に形成された係合突起に係合可能な位置と、装置本体内に収納され前記係合突起との係合が解除される位置とに移動可能に支持されるロック部材と、該ロック部材を前記係合突起と係合する方向に付勢する付勢部材とが設けられ、
前記ユニットの着脱操作により前記係合突起と前記ロック部材とが当接する部分の少なくとも一方に傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のユニットの着脱機構。
【請求項7】
前記ユニット内には一つ以上のサブユニットが配置されており、前記付勢部材は前記サブユニットの少なくとも一つを所定の方向に付勢することを特徴とする請求項6に記載のユニットの着脱機構。
【請求項8】
前記サブユニットは現像装置であり、前記ユニット内に配置された像担持体に接近する方向に付勢されることを特徴とする請求項7に記載のユニットの着脱機構。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のユニットの着脱機構を備えた画像形成装置。

【図20】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−230280(P2012−230280A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99036(P2011−99036)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】