ユニークな粒径分布を示すきらめき効果

【課題】化粧品、パーソナルケア製品および産業用途、例えば自動車用塗料などで用いるに有用である効果顔料の提供。
【解決手段】合成小片基質、例えばガラスフレークなどから生じさせる効果顔料が示すきらめきを、粒度が9ミクロン未満の基質粒子および粒度が85ミクロンを超える基質粒子の量を少なくすることで向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2005年4月1日付けで出願した係属中の連続番号60/667276(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の利点を請求するものである。
【0002】
本発明は、合成効果顔料(effect pigments)の基質が示す粒度分布を改変することで前記効果顔料が示す光学特性を向上させることに向けたものである。
【背景技術】
【0003】
真珠光沢、金属光沢および/または玉虫色に近い多色効果を与えようとする時、これは金属酸化物で被覆された小片を含んで成る真珠もしくは真珠光沢顔料を用いることで達成可能である。そのような顔料は特許文献1および2に初めて記述され、そしてそれらの特性の記述を非特許文献1に見ることができる。
【0004】
そのような酸化物の被膜は小片の表面に付着している薄膜の形態である。現在最も幅広く普及して用いられている酸化物は二酸化チタンである。次の最も普及している酸化物は酸化鉄である一方、使用可能な他の酸化物には錫、クロムおよびジルコニウムの酸化物ばかりでなく酸化物の混合物または組み合わせも含まれる。
【0005】
最適な真珠光沢外観を達成しようとする時には、小片を覆うそのような金属酸化物の被膜を滑らかで均一にする必要がある。生じる表面が不規則であると光の散乱が起こりかつ被覆された小片がもはや真珠光沢顔料として機能しなくなるであろう。また、その金属酸化物被膜は小片と強力に接着すべきであり、さもなければ、その被膜が処理中に剥がれ、その結果として、破壊および光沢の損失がかなりの度合で起こるであろう。
【0006】
そのような被膜を小片上に生じさせている間に前記小片と結合しなかった粒子が生じる可能性がある。そのような小さな粒子は光を散乱する原因になり、それによって当該顔料に不透明さを与えてしまう。小さな粒子があまりにも多く存在すると、真珠光沢外観が低下するか或は失われる可能性がある。光沢、色および色の均一さが維持されるようにそのような金属酸化物被膜を小片に付加させるのは困難な工程であり得、今日まで、商業的に有意な使用をいくらか達成した板状基質は雲母のみである。
【0007】
そのような真珠光沢材料を生じさせる時の基質として用いる目的で他の幅広く多様な板状材料が提案された。それらには不溶な無機材料、例えばガラス、エナメル、カオリン、磁器または他のケイ質物質、金属物および有機重合体材料、例えばポリカーボネートなどの表面が含まれる(例えば特許文献3、4、5、6、7および8を参照)。ガラスがいろいろな根拠で可能であると記述、例えば特許文献9などに記述されてはいるが、ガラスを用いて作られた商業的真珠光沢製品は主に化粧品用途用であり、その場合に被覆されたガラス小片基質は相対的に大きい。
【0008】
上述した特許文献9にガラスフレークを高い屈折率を示す金属酸化物、例えば二酸化チタンなどの粒子の半透明層で被覆することができることが開示されてはいるが、但し、最初にガラスフレーク上に核形成物質(これは、前記金属酸化物の半透明層を付着させる時に用いる酸性溶液に不溶である)を付着させておくことが条件になっている。そこに開示されている如きガラスフレークの厚みは1.0から5.0ミクロンの桁でありかつ主寸法の大きさは約10ミクロンから約400ミクロンに及んで多様であることに加えて75ミクロン以下が少なくとも50パーセントでありかつ150ミクロン以下が約85パーセン
トである。特許文献9の実施例に示されているガラスフレーク粒度分布は下記である。
【0009】
ふるい 大きさ(ミクロン) 重量パーセント
40から100メッシュ 149−420ミクロン 12.9
100から200メッシュ 74−149ミクロン 32.5
200から325メッシュ 44− 74ミクロン 22.0
325から400メッシュ 37− 44ミクロン 9.6
400メッシュを通過 37ミクロン未満 23.0
【0010】
金属被覆層を有していてそれの上に金属酸化物、例えば二酸化チタンなどの濃密な保護被覆層が形成されているガラスフレーク基質が特許文献10に教示されている。特許文献10に示されているガラスの性質は重要ではない、と言うのは、その金属被膜が必要な外観を与えておりかつ前記金属酸化物の保護膜は前記金属層を腐食環境から保護する目的で与えられているからである。平均直径が15ミクロンのガラスフレークに銀メッキを受けさせた後にSiO層による被覆を受けさせる例が開示されている。
【0011】
ガラスフレーク上に金属酸化物の滑らかで均一な被膜を生じさせる方法が共通譲渡の特許文献11に開示されており、高い品質の真珠光沢顔料がもたらされるように前記被膜を前記ガラスフレークと接着させている。そこに開示されている方法によれば、チタンおよび/または鉄の酸化物の含水膜層をガラスフレーク上に生じさせた後に前記被覆を受けさせたフレークに焼成を受けさせることで真珠光沢顔料を生じさせているが、但しその用いるガラスフレークがCガラスフレークであることと前記含水層がチタンの場合の手順はルチル化手順であることを条件とする。そのガラスフレークは大きさおよび形状がTiOおよびFe被覆雲母である真珠光沢顔料で用いられる雲母小片に類似していると開示されており、従って、その平均粒径は約1から250ミクロンの範囲で厚みは約0.1−10ミクロンである。粒径が同様でありかつ厚みが約10−100ミクロンであるより立方形のフレークを用いることも可能ではあるが、しかしながら、アスペクト比が低くなることから真珠光沢効果が大きく低下する。しかしながら、その実施例の全部で作られた顔料は、平均直径が100ミクロン以上のガラスフレークを用いて作られた顔料であった。特許文献11の内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0012】
合成小片、例えばガラスフレークなどの製造では、結果としてしばしばガウス曲線で特徴づけ可能な粒度分布を示す小片がもたらされる。効果顔料用基質として生じさせて用いる多量の合成小片が示す粒度分布を特徴づけるに特に有用な手段は、小片の最低10体積%、50体積%および90体積%が示す小片粒度に加えてガウス曲線を特定することによる手段である。そのような分級は小片粒度分布のD10、D50およびD90値として特徴付け可能である。従って、D10がある特定の大きさの基質であることは、そのフレーク基質粒子の10体積%がその値以下の粒度を示すことを意味する。例えば、本譲受人は雲母が基になったいろいろな効果顔料、特に化粧品および自動車用塗料用途で用いられる効果顔料を市場に出している。それらの中で、雲母が基になったLUMINA(商標)顔料が示すD10は10ミクロンでD50は22ミクロンでD90は45ミクロンである。従って、雲母が基になったLUMINA(商標)顔料が示す粒度分布は下記の如くであると記述可能である:雲母小片の10体積%が10ミクロン(10ミクロンを包含)以下の大きさを有し、小片の50体積%が22ミクロン(22ミクロンを包含)以下の大きさを有し、そして小片の90体積%が45ミクロン(45ミクロンを包含)以下の大きさを有する。
【0013】
しかしながら、この上で述べたように、ガラスフレークが基になった効果顔料の大きさは実質的により大きい。これは粒度分布で示される。従って、本譲受人および日本板硝子(Nippon Sheet Glass)がガラスフレークが基になった顔料を商標R
EFLECKS(商標)およびFIREMIST(商標)の下で市場に出しているが、前記ガラスフレークが基になった顔料の前者が示すD10は17ミクロンでD50は45ミクロンでありそして後者が示すD10は50ミクロンでD50は100ミクロンである。そのような顔料の大きさは特に大きく、自動車用塗料として有効に用いるのは不可能である、と言うのは、そのような顔料自身が塗布された薄い塗膜からしばしば突き出ることで膜の光学特性に悪影響を与えてしまうからである。その上、そのように大きな顔料は塗料の塗布でしばしば用いられる噴霧装置を容易には通過し得ない。ガラスが基になった他の顔料、例えばMerckが商標RONASTAR(商標)の下で市場に出している顔料などもまた粒度が大きく、D10は30以上でD50は65以上である。
【0014】
自動車用塗料として受け入れられるであろう効果顔料をガラスフレークを用いて製造する試みとして、日本板硝子は、粒度分布が以前に生じさせたガラスフレーク基質のそれよりも有意に小さいガラスフレーク基質を開発した。その製品はD10が8ミクロンでD50が20ミクロンでD90が37ミクロンである。しかしながら、TiO被膜を付着させて自動車用塗料用の効果顔料を製造しようとしても成功しないことが確認された、と言うのは、そのような顔料から生じさせた塗膜の光学特性は光沢、深さおよびきらめきが不足していたからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第3,087,828号
【特許文献2】米国特許第3,087,829号
【特許文献3】米国特許第3,123,485号
【特許文献4】米国特許第3,219,734号
【特許文献5】米国特許第3,616,100号
【特許文献6】米国特許第3,444,987号
【特許文献7】米国特許第4,552,593号
【特許文献8】米国特許第4,735,869号
【特許文献9】米国特許第3,331,699号
【特許文献10】米国特許第5,436,077号
【特許文献11】米国特許第6,045,914号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Pigment Handbook、I巻、第2版、829−858頁、John Wiley & Sons、N.Y.1988
【発明の概要】
【0017】
要約
本発明に従い、半透明金属酸化物膜が上を覆っている合成小片を含有して成る効果顔料を提供し、ここでは、D10が少なくとも9.5ミクロンでD50が約20から40ミクロン未満の範囲でD90が35ミクロン以上から85ミクロン未満であるとして特徴づけられる特定の粒度分布を示す小片基質を用いてそれを生じさせる。
【0018】
その所望粒度分布を示す合成小片基質に被覆を受けさせることで生じさせた本効果顔料は、塗料噴霧装置が詰まると言った従来技術の問題も大きな小片が塗膜から不利に突き出ること(合成小片を用いて生じさせた従来技術の効果顔料を悩ましていた)もなく、あらゆる種類の組成物で用いるに有用であることを見いだし、そのような組成物には、プラスチック、化粧品および特に自動車用塗料が含まれる。他方、小さい粒子の量を最小限にすると粒度が最も小さい粒子が示す光散乱効果が軽減される。
【0019】
驚くべきことに、D10を8ミクロンから少なくとも9.5ミクロンにまで高くすると、そのような顔料を用いて生じさせた膜が示すきらめきの有意な向上が達成されることを見いだした。そのようなきらめきの向上は光沢度合がより高くかつ膜の反射が目で見て注目されるほどである時に見られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本発明に従い、合成小片基質の上に金属酸化物の含水膜層を生じさせた後に前記被覆を受けさせた小片に焼成を受けさせることで真珠光沢顔料を生じさせる。本発明は、特に、生じさせる顔料を幅広く多様な製品、例えば色付きプラスチック、化粧品および特に自動車用塗料などで用いることができるように特定の粒度分布を持たせた合成小片基質を用いて真珠光沢顔料を生じさせることに関する。本発明の真珠光沢顔料を生じさせる時に用いる合成小片基質には、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素およびガラスが含まれる。本発明では特にガラスフレークに興味が持たれる。
【0021】
本発明の目的で用いる合成小片基質、例えばガラスフレーク基質などは、2つの寸法(長さと幅)は同様な大きさであるが3番目の寸法よりも特徴的により大きい粒子、例えばガラス粒子などである。金属酸化物被膜を付着させる基質として用いるに有用な本発明の小片は、実質的に、体積粒度分率が下記の如く分布しているガウス分布であるとして特徴づけられる粒度分布を示すであろう:D10が少なくとも9.5ミクロンでD50が約20から40ミクロン未満の範囲でD90が35以上から85ミクロン未満である。そのような粒度分布が意味することは、小片の少なくとも10体積%が少なくとも9.5ミクロン(9.5ミクロンを包含)以下の粒度を示し、ガラス小片の少なくとも50体積%が20ミクロン(20ミクロンを包含)以下から40ミクロン未満の粒度を示しそしてガラス小片の少なくとも90体積%が35ミクロン(35ミクロンを包含)以下から85ミクロン未満の粒度を示すことである。D10を8から少なくとも9.5ミクロンにまでシフトさせると結果としてもたらされる顔料に含まれる微細物(これは光を散乱することで当該顔料を用いて生じさせる膜のきらめきに否定的な影響を与える)の量がより少なくなることを見いだした。そのような粒度分布は一般にガウス分布に従い、その粒子の大きさは典型的に最大寸法が約1から約150ミクロンの範囲である。そのような合成小片(ガラスフレークを包含)の厚みは典型的に約0.1から5ミクロン以下の範囲であろう。当該フレークを適切に分級、例えば選択したスクリーンに通して分級することなどで必要な粒度および粒度分布を得ることができる。
【0022】
本発明は全ての種類の合成小片に向けたものであるが、特にガラスフレークが有用である。そのガラスの性質は決定的ではない。数多くの用途で無色透明なガラスフレークの方が望ましいが、また、特殊なガラスを用いることも可能であり、そのようなガラスには、選択した化学品を溶融物の中に入れることで色を与えておいたガラスが含まれ得る。
【0023】
ガラスフレークは非常に弾力性がありかつ光学的にも同様に魅力的であり得ることからガラスフレークが産業的に望ましい。ガラスは主にSiOとAlで構成されているが、また、ZnO、CaO、B、NaOおよびKOばかりでなくFeOおよびFeなども含有している可能性がある。溶融させたガラスを引き伸ばして薄いシート、ビードまたはガラス管にした後に前記ガラスを粉砕してフレークにすることでガラスフレークを生じさせる。大型の中空球を生じさせた後に固化させそして粉砕してもよいばかりでなく、他のフレーク製造方法もいろいろ存在し得る。ガラスはAガラス、CガラスまたはEガラスとして分類分け可能である。Aガラスはソーダライムガラスであり、一般に窓ガラスの製造で用いられる。これにはナトリウムがカリウムより多い量で入っておりかつまた酸化カルシウムも入っている。Cガラス(また化学ガラスとしも知られる)は、酸および水分による腐食に耐える形態のガラスである。それにはしばしば酸化亜鉛ばか
りでなく当該フレークが化学的破壊により耐えるようにする他の酸化物も入っている。Eガラス、即ち電気ガラスは、その名前が暗示するように、電子用途の目的で考案されたガラスであり、それは高温に非常に安定ではあるが、化学的攻撃を受け易い可能性がある。以下の表1に、A、CおよびEガラスのいくつかの商業的サンプルが示す組成を重量パーセントで示す。CガラスばかりでなくAおよびEガラスも化学的組成に関して幅広い範囲を示し、実際、AおよびEガラスの組成物の製造はCガラスのそれと非常に類似している可能性があると認識している。
【0024】
【表1】

【0025】
本発明の実施では、C、即ち化学型のガラスが好適である。AまたはEガラスに金属酸化物被膜を生じさせることも可能ではあるが、その結果としてもたらされる顔料が示す製品の品質はCガラスを用いた時のそれほどではなく、従って、商業的価値は限られる。TiOで被覆した製品を生じさせようとする時には、アナターゼまたはルチルの結晶修飾を実施してもよい。TiOがルチル形態の時に品質が最も高くて安定性が最も高い真珠光沢顔料が得られる。また、二酸化チタン被膜の結晶形態は使用するガラスの影響も受け得る。例えば、通常のEガラスを用いると、結果としてもたらされる結晶相は主にアナターゼである。ルチルを得ようとする時には、TiOをルチル修飾形に向かわせる能力を有する添加剤を用いる必要がある。
【0026】
ルチルに向かわせる有用な作用剤、例えば錫などが共通譲渡の米国特許第4,038,099号および5,433,779号(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている。本合成小片を二酸化チタンで被覆しかつルチル型二酸化チタンが必要な時には、そのようなルチルに向かわせる作用剤を二酸化チタンに隣接させて位置させる。他の層をガラスとルチルに向かわせる作用剤/ルチル型二酸化チタンの間に存在させてもよい。
【0027】
当該ガラスフレーク上に外側の薄い層を形成してそれらに必要な真珠特性および干渉色を与える材料は、高い屈折率を示す選択した半透明性の金属酸化物化合物である。その層の半透明性化合物は無色または着色した化合物であってもよく、それらは、その固有の色を有する化合物による光吸収と高い屈折率を示す薄い透明な層による干渉色の両方によって色に貢献する。本発明に適用可能な好適な半透明性金属酸化物は二酸化チタンおよび酸化鉄である。しかしながら、単独で用いた時に同様な様式で機能する他の代表的な金属酸化物には、ジルコニウム、クロム、ニッケル、コバルト、錫の酸化物およびこれらの含水形態が含まれる。
【0028】
金属酸化物によるガラスフレークの被覆は一般に金属酸化物被覆雲母の製造に適することが本技術分野で公知の手順に従う。
【0029】
そのような手順は、一般に、ガラスフレークの粒子を分散させそしてその分散剤を前記フレークの上に含水酸化チタンもしくは他の金属酸化物膜を形成する前駆体と一緒にすることを包含する。例えば、鉄およびジルコニウムの酸化物が単独または酸化チタン被膜に加えて用いるに有用な被膜である。
【0030】
その被覆工程中、当該ガラスフレークを水(好適には蒸留水)に入れて分散させる。その水中のガラスフレーク濃度を約5%から30%に及んで変えることができるが、一般に好適な濃度は約10%から20%の範囲内で多様である。
【0031】
そのガラスを水に入れて分散させそして適切な容器の中に入れた後、適切なチタン源もしくは他の金属源材料を導入する。その結果としてもたらされる分散液のpHを適切な塩基、例えば水酸化ナトリウムなどで前記チタンもしくは他の金属の添加中に含水二酸化チタンもしくは含水金属酸化物が前記ガラスフレーク上に沈澱する適切なレベルに維持する。そのpHを調整する目的で酸水溶液、例えば塩酸などを用いることも可能である。その被覆された小片を必要ならば洗浄しそして乾燥させた後に焼成を実施することで最終的な真珠光沢顔料を生じさせることができる。
【0032】
前記チタンの源は好適には四塩化チタンであるが、本技術分野で公知の他の源も同様に使用可能である。前記鉄の源は好適には塩化第二鉄であるが、従来技術で公知の他の鉄源のいずれも使用可能である。必要ならば、チタンの層と鉄の層を逐次的に付着させることも可能である。そのような手順は本技術分野で良く知られている。例えば、上述した米国特許第3,331,699号(これの内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を再び参照して、ここに、ガラスフレークに高い屈折率を示す金属酸化物、例えば二酸化ジルコニウム、酸化クロムなど、特に二酸化チタンまたは水和二酸化チタンおよび酸化鉄などの粒子の半透明な層による被覆を受けさせることができることを確認したが、但し最初にガラスフレーク上に核形成表面(これは、前記金属酸化物の半透明層を付着させる時に用いる酸性溶液に不溶である非常に微細な金属酸化物化合物を含有して成る)を付着させておくことが条件になっている。その結果としてもたらされる製品は高い度合の光沢輝きを示すばかりでなく前記金属酸化物の半透明性層の厚みに伴って変わる明るい色を示すフレーク状真珠顔料である。
【0033】
米国特許第3,331,699号の方法によれば、そのフレーク状の真珠顔料は下記の3成分を含有して成る:1)ガラスフレーク基質、2)前記ガラスフレーク上に付着していて半透明性の金属酸化物粒子の層の付着を受け入れる核形成表面をそれの上に形成する酸不溶金属酸化物化合物、および3)前記酸に不溶な金属酸化物表面の上に付着している選択した小さい粒径の金属酸化物の薄い半透明性層。
【0034】
次に、如何なる場合にも、そのような処理を受けさせたガラスフレークをチタン塩、例えば硫酸チタニルなどの強酸性溶液を添加しておいた水の中に懸濁させる。その混合物を加熱して前記チタン塩に加水分解を受けさせることで含水二酸化チタンを生じさせ、それを直ちにかつ選択的に前記処理を受けさせておいたガラスフレークに付着させる。そのフレーク上に付着する含水二酸化チタンの量は、その加水分解用スラリーに添加したチタン塩液の量に比例するばかりでなく加熱時間にも比例して増加し得る。その工程を進行させる時、それに続いて、干渉色が初期の銀外観から金外観に変化しそして進行的に赤色、紫色、青色および緑色に変化することを観察することを通して、外側の含水二酸化チタンの半透明層の厚みを厚くして行ってもよい。その使用するチタン塩の量を適切に選択することによって必要な如何なる干渉色も容易に達成することができる。
【0035】
干渉色を説明する光学原理は良く知られており、物理光学に関するいろいろな教科書、
例えばRobert W.Woodの「Physical Optics」、第3版、ニューヨーク、1936、198頁などの中で考察されている。簡単に述べると、干渉は、光が薄い膜の表面から反射することに関連した光学的現象であり、そこでは、特定の波長の入射光の強度が低下(相殺的干渉)しそして他の波長の入射光が増強(建設的干渉)される。個々の波長が影響を受ける度合は当該フィルムの厚みおよびそれの屈折率に依存する。その厚みがある膜の1つの表面から反射する光線が前記膜を貫通しかつ他の表面から反射してきた光線と一緒に相を出るような厚みの時に相殺的干渉が起こる。
【0036】
光が屈折率が高い方の媒体の表面から反射する時に逆相が存在することから、相殺的干渉が最大限(反射が最小限)になる条件は、高い屈折率を示す膜の中の有効な光路(厚みに屈折率を掛けた値の2倍)が1つの波長の長さまたはそれの単純倍数の時に満たされる。当該膜の屈折率Nを考慮に入れて、いずれかの波長λを伴う相殺的干渉が起こる時のそれの厚み(t)は式:
t=nλ/2N
[式中、nは、通常は5以下の小さい整数である]
で示される。
【0037】
同じ系列の理由により、2つの光線が相の状態で出る場合、反射率の増強または最大値が存在する。このような条件は、再び逆相を仮定して有効光路がある波長の半分またはこれの奇数倍数の時に満たされ、反射率が最大の時の厚みに関する式は下記:
t=(n+1/2)λ/2N
[式中、nは、0または通常は約5以下の小さい整数である]
である。
【0038】
nが1より大きい時に干渉が高次、即ち二次、三次などと述べるのが一般的である。
【0039】
前記から、本発明の真珠顔料組成物はガラスフレークを水性媒体に適切な金属酸化物化合物のコロイド状懸濁液と一緒に入れてスラリー状にした後に前記金属酸化物化合物を核形成表面としてガラスフレークの上に付着させそしてそれが前記金属酸化物の半透明層を付着させる時に用いる酸性溶液に不溶になるようにすると生じることが分かるであろう。そのガラスフレークが入っている水性媒体を加熱しそして/または撹拌することで、前記ガラスフレーク上の金属酸化物を不溶にする。その後、その処理を受けさせたガラスフレークは高い屈折率を示す半透明性金属酸化物の外側層の付着を受け入れるようになるが、その付着を例えばチタン、ジルコニウム、クロム、鉄、ニッケル、錫またはコバルトなどの如き金属の塩の溶液を用いて実施する。
【0040】
核形成表面として付着させる必要がある金属酸化物化合物の量は、最適な結果を得ようとする時にいくらか重要であると思われるが、最適な使用量は有用ないろいろな作用剤毎に変わると思われる。金属酸化物化合物の有用な最低限量は当該ガラスフレークの重量を基準にして少なくとも約0.2%の金属酸化物化合物量であると思われる。酸化錫を用いる時の好適な量は0.5%から2%の範囲内であるが、ずっと多い量、即ち35重量%または50重量%にさえ及ぶ量を用いることも可能である(そのような高い濃度にすると品質がいくらか犠牲になるが)。含水TiOを核形成表面として用いる場合の最適量は、その範囲の下方部分、即ち0.4重量%から1重量%、好適には0.4重量%から0.5重量%であると思われる。また、繊維状アルミナの最適量も前記範囲の下方部分、例えば1重量%から5重量%である。
【0041】
大部分の用途で、そのような核形成表面を生じさせるに好適で最も多才な金属酸化物化合物は酸化錫化合物である。便利さの目的で、それは酸化第二錫(SnO)であると考えているが、それの正確な性質は未知であり、従って「酸化錫化合物」と表示する。恐ら
くは、それは最初に含水オキシ塩(例えばオキシ塩化物)として沈澱しそして不溶化段階中に多くが酸化物に変化するであろう。そのような酸化錫化合物の源としていろいろな錫塩を用いることができ、第一錫および第二錫塩が使用可能である。錫塩の溶液が希釈時に容易に加水分解を起こして正に帯電している高度にコロイド状の懸濁液を生じるのがいろいろな錫塩の特徴である。そのようなコロイド状懸濁液を生じる顕著な傾向が錫化合物を提案する使用において非常に多才にしている特性であると思われる。錫酸化物化合物の核形成表面の不溶化は、その単離したフレークを乾燥させるか或はそのスラリーを比較的高い温度に加熱することのいずれかの熱によって容易に起こる。
【0042】
含水二酸化チタンまたは含水二酸化ジルコニウムの核形成表面を成功裏に付着させようとする時には特別な注意を払う必要がある、と言うのは、そのような化合物のコロイド状懸濁液を生じさせようとしても錫化合物を用いた時のようには容易には達成されないからである。しかしながら、そのような含水金属酸化物のコロイド状懸濁液を生じさせる技術は良く知られている。例えば、沈澱で生じさせた含水二酸化チタンを洗浄して可溶な塩を除去した後、いくらか残存する酸を最終的に中和しておくならば、その結果としてもたらされたペーストに塩酸を少量添加すると、それは容易に解膠を受けてコロイド状懸濁液が生じる。同様な技術を用いて含水二酸化ジルコニウムのコロイド状懸濁液を生じさせることができるが、但し解膠用酸としては酢酸が好適である。当該ガラスフレークをそのようなコロイドに接触させた後に熱処理を実施して不溶化を起こさせると有効な核形成表面がもたらされる。また、そのようなコロイド状懸濁液を当該ガラスフレークの存在下で生じさせることも可能であり、前記フレークを硫酸チタニルの高希釈溶液(TiO含有量を基準にして0.1%の濃度の桁)に入れてスラリー状にした後にゆっくり加熱してほぼ沸騰させることで、そのような核形成表面をほとんど瞬時に付着させることができる。また、含水酸化ジルコニウムの核形成表面も同様な様式で付着させることができる。繊維状ベーマイトを核形成表面として用いる時には、最初にそれを水に入れて激しく撹拌することで分散させてコロイド形態にした後に当該ガラスフレークを前記コロイド状懸濁液の中に入れてスラリー状にし、それから水を分離しそして乾燥を80℃以上の温度で実施する必要がある。繊維状ベーマイトとして知られるそのような形態のアルミナは、正に帯電したコロイド懸濁液を生じそしてそれを酸に不溶な形態に変化させることができる点で極めてユニークである(通常の形態のアルミナ水化物は繊維状ベーマイト形態には変化せずかつ希酸に不溶にするのは容易ではないのに比較して)。
【0043】
その処理を受けさせたガラスフレークを基準にしたチタン塩の使用量は幅広い範囲に渡って多様であり得、重要なのは、単に最終的酸化物被膜の厚みに対する調節としてである。TiOとして計算した使用量は一般にガラスフレーク100部当たり約4部からガラスフレーク100部当たり約40部の範囲内であってもよく、TiOの好適な範囲はガラスフレーク100部当たり約4から20部である。このTiOの使用量は勿論付着させる層の厚みおよび結果としてもたらされる干渉色にも反映される。以下の表2に、一連のTiOサンプルの分析値を示し、当該ガラスフレークに実際に付着したTiOの量と結果としてもたらされる干渉色の間に相互関係が存在することは極めて明らかである。
【0044】
【表2】

【0045】
層厚を厚くするにつれて色が変化する製品を生じさせようとする時に外側の半透明層の厚みを約20ナノメートルから約250ナノメートルの範囲で変えることができることを見いだした。
【0046】
本効果顔料では外側の処理を行う必要があり得る。有用な外側処理の例が共通譲渡の米国特許第5,156,889号、5,423,912号および5,759,255号(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0047】
本発明の製品はあらゆる種類の自動車用塗料用途で使用可能である。例えば、本効果顔料はあらゆる種類の自動車および自動車以外の運搬手段を噴霧塗装しようとする時にマストーン(mass tone)またはスタイリング剤(styling agents)として使用可能である。それらはあらゆる粘土/加熱硬化性合成樹脂/木/ガラス/金属/エナメル/セラミックおよび無孔性もしくは多孔性表面にも同様に使用可能である。本効果顔料は被覆用組成物として使用可能であるか或は玩具産業または家庭用のプラスチック製品に混合可能である。本効果顔料を繊維に含浸させることで衣服およびカーペットに新しい美的色を与えることができる。それらを用いて靴、ゴムおよびビニール/大理石床材、ビニールサイディングおよび他のあらゆるビニール製品の外観を改善することができる。加うるに、本着色剤はあらゆる種類の模型製作趣味でも使用可能である。天然の真珠顔料は産業用途が限定されているが、その理由は、再び、温度、pH、せん断、費用そして結晶構造を壊すことなく高い全固体含有量を達成することができないことによる。
【0048】
本発明の組成物が有用である前記組成物は本分野の通常の技術者に良く知られている。その例には、印刷用インク、マニキュア、ラッカー、熱可塑性および熱硬化性材料、天然樹脂および合成樹脂が含まれる。いくつかの非限定例には、ポリスチレンおよびこれの混合重合体、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアクリル化合物、ポリビニル化合物、例えばポリ塩化ビニルおよびポリ酢酸ビニルなど、ポリエステルおよびゴム、およびまたビスコースおよびセルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、例えばポリグリコールテレフタレートおよびポリアクリロニトリルなど製のフィラメントが含まれる。
【0049】
いろいろな顔料用途の幅広い序論に関しては、Temple C.Patton編集、The Pigment Handbook、II巻、Applications and Markets、John Wily and Sons、ニューヨーク(1973)を参照のこと。加うるに、インクに関しては、例えばR.H.Leach編集、The
Printing Ink Manual、第4版、Van Nostrand Reinhold(International)Co.Ltd.、ロンドン(1988)、特に282−591頁、塗料に関してはC.H.Hare、Protective Coatings、Technology Publishing Co.、ピッツバーグ(1994)、特に63−288頁を参照のこと。この上に示した引用文献は本発明の組成物を用いることが可能なインク、塗料およびプラスチックの組成、配合および媒体(着色剤の量を包含)の教示に関して引用することによって本明細書に組み入れられる。
【0050】
化粧品分野に関して、本効果材料はあらゆる化粧品およびパーソナルケア用途で使用可能であるが、勿論、あらゆる規制基準に従う。従って、それらはあらゆる種類(ゲルまたは液体)のヘアースプレー、レッグメーキャップ、昆虫忌避用ローション、マスカラケーキ/クリーム、マニキュア、マニキュア除去剤、香料ローションおよびシャンプーで使用可能である。加うるに、それらはシェービングクリーム(エーロゾル用の濃縮液、ブラシを必要としない、泡立ち)、スキングロッサースティック(skin glosser stick)、スキンメーキャップ、ヘアーグルーム、アイシャドー(液体、ポマード、
スティック、圧縮またはクリーム)、アイライナー、コロンスティック、コロン、コロンエモリエント、バブルバス、ボディーローション(保湿、洗浄、鎮痛、アストリンゼント)、アフターシェーブローション、アフターバスミルクおよびサンスクリーンローションにも使用可能である。
【0051】
化粧品用途の論評に関してはCosmetics:Science and Technology、第2版、編集:M.S.BalsamおよびEdward Sagarin、Wiley−Interscience(1972)およびdeNavarre、The Chemicstry and Science of Cosmetics、第2版、1巻および2巻(1962)、Van Nostrand Co Inc.、3巻および4巻(1975)、Continental Press(これらは両方とも引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0052】
本発明を更に例示する目的で、いろいろな非限定実施例を以下に示す。本実施例ばかりでなく本明細書の残りおよび請求項の全体に渡って、特に明記しない限り、部およびパーセントは全部重量であり、そして温度は全部摂氏度である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透明金属酸化物膜で被覆されている合成小片を含有して成る効果顔料であって、前記合成小片がD10が少なくとも9.5ミクロンでD50が20から40ミクロン未満の範囲でD90が35以上から85ミクロン未満であるとして特徴づけられる粒度分布を示す効果顔料。
【請求項2】
前記粒度分布が実質的にガウス分布である請求項1記載の効果顔料。
【請求項3】
前記合成小片基質がガラスフレークを含んで成る請求項1記載の効果顔料。
【請求項4】
前記金属酸化物膜が二酸化チタンを含んで成る請求項1記載の効果顔料。
【請求項5】
前記金属酸化物膜が酸化鉄を含んで成る請求項1記載の効果顔料。
【請求項6】
D10が9.5ミクロンでD50が22ミクロンでD90が45ミクロンである請求項1記載の効果顔料。
【請求項7】
前記合成小片が酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素およびガラスから選択される請求項1記載の効果顔料。
【請求項8】
前記金属酸化物が二酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化錫またはこれらの組み合わせである請求項1記載の効果顔料。
【請求項9】
請求項1記載の効果顔料で着色された化粧品。
【請求項10】
自動車に適した塗料であって、請求項1記載の効果顔料で着色された塗料。

【公開番号】特開2013−100518(P2013−100518A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281019(P2012−281019)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−504472(P2008−504472)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(308009565)バスフ・カタリスツ・エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】