説明

ユーザ位置依存照明を備える個人用の鏡

本発明は、個人用の鏡であり、前記鏡の前に位置している人9の少なくとも一部を照明するための照明システムを備える鏡に関する。本発明によれば、前記鏡の前の人9の位置を検出するための位置検出器が設けられる。更に、前記照明システムは、前記位置検出器の信号に依存して、互いに独立して動かされ得る多数の照明素子を有する。前記鏡は、各々、前記鏡の前の人9の位置に依存して、鏡素子又は照明素子として機能するよう選択的に動かされ得るOLED1のアレイ8で構成されるのが特に好ましい。更に、これらのOLED1は、前記位置検出器のための容量性近接センサの役割も果たすのが好ましい。従って、目をくらませない、良好な鏡像を備える、汎用性のある鏡が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人用の鏡の分野に関し、特に、身繕い用の鏡の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の身繕いは、一般に、髪をとかし、髪のスタイルを整える、あごひげをそる、及び他の形態のボディコスメティックなどの鏡の前で行われる行動を含む。身繕いのために鏡を使用している人の外観の良好な視認性を供給するために、その人の顔及び/又は身体を照明するための照明システムを鏡に設けることは知られている。
【0003】
多くの場合、このような照明システムは、手動で操作され得る多数のランプを有する。これは、鏡を使用している人が、その人の個人的な要求に従ってランプを作動させることができることを意味する。通常、人は、照射される光で目がくらまないようにしてランプを作動させたいとも望むであろう。しかしながら、鏡の前の人の外観の良好且つ鮮明な映し出しのための、目をくらませない調節は、見つけるのが容易ではない。これは、このような照明システムを、人の要求に容易な方法で適合させることは難しいことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、汎用性のある方法で、目をくらませず、良好な鏡像を供給する鏡、及び前記鏡を動作させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、個人用の鏡であり、前記鏡の前に位置している人の少なくとも一部を照明するための照明システムを備える鏡であって、
前記鏡の前の人の位置を検出するための位置検出器が設けられ、
前記照明システムが、前記位置検出器の信号に依存して、互いに独立して動かされ得る多数の照明素子を有する鏡によって達成される。
【0006】
従って、本発明の重要な特徴は、前記位置検出器の信号によって与えられる前記鏡の前の人の位置に依存して制御されるこのような照明システムを有する鏡を提供することである。これは、前記照明システムの照明素子は、前記鏡に人が近づくときにしか作動されないが、少なくとも2つの照明素子が、前記鏡の前の人の実際の位置に依存して、個々に動かされることを意味する。
【0007】
一般に、それは、前記鏡の前の人の検出された位置に依存して、前記照明素子を、各々、オン及びオフに切り換えることによって、前記照明システムの個々の照明素子を動かすのに十分であり得る。しかしながら、本発明の好ましい実施例によれば、前記照明素子の明るさが、前記位置検出器の信号に依存して、互いに独立して、制御される。各照明素子の明るさを個々に制御することによって、常に、前記人の目をくらませずに、前記人の最適な照明を達成することができ、従って、鮮明な、明るい映し出しを達成することができるという利点が達成され得る。
更に、本発明の好ましい実施例によれば、周辺光の明るさの検出器が設けられ、目をくらませずに前記人の最適な照明が達成されるように、前記照明素子の明るさを個々に制御するのに、この検出器の信号が用いられる。
【0008】
本明細書及び請求項を通して、前記照明素子を「動かす」とは、前記照明素子を、各々、オン若しくはオフに切り換えること、及び/又はオンに切り換えられた照明素子の明るさを最低の明るさから最高の明るさまで制御することを意味する。更に、照明素子がオンに切り換えられる場合に、「動かされる」とみなされ、前記照明素子がオフに切り換えられる場合に、「動かされない」とみなされる。
【0009】
一般に、オフ状態においては、即ち、前記照明素子が動かされないときには、前記照明素子は、非反射面を持ち得る。しかしながら、本発明の好ましい実施例によれば、少なくとも1つの照明素子が、動かされないときに鏡素子の役割を果たすよう設計される。全照明素子が、動かされないときに鏡素子の役割を果たすのが、特に好ましい。この実施例は、1つ以上の照明素子をオフに切り換えることによって、目をくらませる光の発生が防止されるだけでなく、付加的な鏡面が供給され、前記人の外観の映し出しを向上させるという利点を持つ。特に、前記人が、前記鏡の前で横に移動する場合に、この好ましい実施例によれば、前記人の真正面の照明素子が、オフに切り換えられることができ、その代わりに、鏡面が出現する。従って、前記人の目の前には、鏡面が生成され、前記鏡の周囲部が、取り囲む前記照明素子を動かすことによって、従って、外観を反射から照明に変えることによって、照明されるということが、達成され得る。
【0010】
一般に、前記位置検出器は、様々な種類のセンサを含むことができ、多様な方法で設計及び配設されることができる。しかしながら、本発明の好ましい実施例によれば、前記位置検出器は、少なくとも1つの近接センサを有する。更に、前記位置検出器は、多数の近接センサ、特に、多数の容量性近接センサを含むのが、特に好ましい。このような容量性近接センサは、よく知られており、低コストで広く入手可能である。このような容量性近接センサを用いれば、前記鏡の前の人の位置を、うまく推定することができ、従って、前記照明素子の動作は、常に、目をくらませない最適な映し出しを可能にするようにして、制御され得る。他の例においては、又はそれに加えて、前記位置検出器は、ビデオカメラを有する。ビデオカメラも、位置検出のためにうまく設置され、従って、位置検出を更に向上させるのに用いられ得る。
【0011】
上で既に述べたように、前記鏡は、周辺光の明るさセンサを含み得る。本発明の好ましい実施例によれば、他の例においては、且つ/又はそれに加えて、前記位置検出器は、明るさセンサ、特に、明るさセンサのアレイを有する。このような明るさセンサは、非常に単純且つ安価な製品であり得るが、一般に、それでも、前記鏡の前の人の位置の検出の可能性を供給する。
【0012】
更に、上でも述べたように、少なくとも1つの照明素子が、動かされないときに鏡素子の役割を果たすよう設計され得る。これについては、本発明の好ましい実施例によれば、各々、照明素子及び鏡素子の役割を果たすOLEDのアレイが設けられる。各々が単一のOLEDユニットとして機能するセグメント化された部分を備える単一のOLEDも、OLEDのアレイであるとみなされ、従って、多数の照明素子で構成されているとみなされると理解されたい。
【0013】
一般に、OLED(有機発光ダイオード)は、オフに切り換えられる場合、鏡素子として機能する。なぜなら、底部放射OLEDの陰極は、一般に、アルミニウム又は銀などの高反射性金属で作成されるからである。前記OLEDは、オンに切り換えられる場合、大面積光面光源としての役割を果たす。更に、OLEDは、オフに切り換えられる場合、明るさセンサの役割を果たし得る。従って、OLED自体が、例えば、照射される光の明るさを制御するための周辺光の検出のための、明るさセンサとして用いられ得る。
【0014】
従って、部分的に又は完全に、照射面に切り換えられ得る、並んで大きな鏡面を生成する、1つの共通の大きなOLEDのOLEDユニット又はOLEDの行及び列を各々設けるのが特に好ましい。これは、反射面を備える前記鏡の前の人の動きに追従し、周囲面が照明される可能性を供給する。このようにして、常に、前記人の目をくらませない最適な映し出しが達成され得る。
【0015】
一般に、このようなOLEDは、各々、照明素子及び鏡素子としてしか用いられることができない。しかしながら、本発明の好ましい実施例によれば、これらのOLEDのうちの少なくとも2つ、好ましくは、これらのOLEDの全てが、容量性近接センサとして構成される。OLEDは、それらの設計により、それら自体が、それらの近傍の容量変化に対して敏感である。これは、この実施例は、各々、照明目的及び鏡目的のためのOLEDのアレイの場合において位置センサを設ける非常に便利且つ効率的な方法を提供することを意味する。
【0016】
上記の目的は、更に、前述のような鏡を動作させる方法であって、前記鏡の前の人の位置が検出され、前記照明の前記照明素子が、前記鏡の前の人の検出された位置に依存して、動かされる方法によって、解決される。この方法の場合は、前記人の外観が映し出されるべきである領域の外に位置するこのような照明素子が動かされるのが特に好ましい。これは、目をくらませない前記人の外観の最適且つ完全な映し出しの可能性を供給する。
【0017】
下記の実施例を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好ましい実施例による鏡に用いられるOLEDの構成の断面図を示す。
【図2】鏡の前の様々な位置又は大きさの人に対する本発明の好ましい実施例による鏡の概略図を示す。
【図3】鏡の前の様々な位置又は大きさの人に対する本発明の好ましい実施例による鏡の概略図を示す。
【図4】鏡の前の様々な位置又は大きさの人に対する本発明の好ましい実施例による鏡の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から分かるように、本発明の好ましい実施例による鏡に用いられるOLED1は、頂部から底部へ、シーリング2と、陰極3と、活性層4と、陽極5とを有する。このスタックは、ガラス板のような基板6上に配設される。光7は、ガラス板によって形成される底部を通して放射され得る。陰極3は、一般に、アルミニウム又は銀のような金属で作成され、故に、陰極3は、反射性であり、OLED1が動かされないとき、即ち、OLED1が、オンに切り換えられず、光7を放射しないとき、鏡の役割を果たす。
【0020】
図2乃至4に示されているように、本発明の好ましい実施例による鏡は、鏡の前の人9の位置に依存して選択的に照明され得る鏡面を生成するOLED1のアレイ8で構成される。そのため、OLED1は、容量性近接センサとして構成される。これは、OLED1が、同時に、鏡の前の人9の位置を検出するための位置検出器の役割を果たすことを意味する。
【0021】
OLED1は、アレイ8のうちの、人9の目の前にある領域は照明されず、即ち、対応するOLED1は、動かされず、従って、反射性であり、取り囲む領域、即ち、取り囲むOLED1は、動かされ、従って、照明されるようにして制御される。図2乃至4においては、鏡素子の役割を果たすOLED1は、ハッチングをかけた面の領域で示されており、照明されるOLED1は、クリアな面で示されている。
【0022】
このようにして、鏡面及び照明領域は、図2及び3に示されているように、人9の動きに追従してリアルタイムで変えられ得る。更に、本発明の好ましい実施例による鏡は、鏡の前の人9の動きを補償するようにしか構成されない。図4から分かるように、鏡の前の人9がより小さい場合であっても、例えば、子供の場合であっても、人9の顔の最適な照明及び映し出しは達成され得る。従って、本発明は、各使用タイプに自動的に適合させられる、自己照明を備える、汎用性のある鏡を提供する。
【0023】
図面及び上記において、本発明を詳細に図示及び記載しているが、このような図示及び記載は、説明的なもの又は例示的なものとみなされるべきであり、限定するものとみなされるべきではなく、本発明は、開示されている実施例に限定されない。
【0024】
請求項に記載の発明を実施する当業者は、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する他の変形を、理解し、達成し得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人用の鏡であり、前記鏡の前に位置している人の少なくとも一部を照明するための照明システムを備える鏡であって、
前記鏡の前の人の位置を検出するための位置検出器が設けられ、
前記照明システムが、前記位置検出器の信号に依存して、互いに独立して動かされ得る多数の照明素子を有する鏡。
【請求項2】
前記照明素子の明るさが、前記位置検出器の信号に依存して、互いに独立して、制御される請求項1に記載の鏡。
【請求項3】
少なくとも1つの照明素子が、動かされないときに鏡素子の役割を果たすよう設計される請求項1又は2に記載の鏡。
【請求項4】
前記位置検出器が、近接センサ、好ましくは、多数の容量性近接センサを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鏡。
【請求項5】
前記位置検出器が、ビデオカメラを有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鏡。
【請求項6】
少なくとも明るさセンサが設けられる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鏡。
【請求項7】
各々、照明素子又は鏡素子の役割を果たすOLEDのアレイが設けられる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鏡。
【請求項8】
少なくとも2つの、好ましくは全てのOLEDが、容量性近接センサとして構成される請求項7に記載の鏡。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の鏡を動作させる方法であって、
前記鏡の前の人の位置が検出され、
前記照明システムの前記照明素子が、前記鏡の前の人の検出された位置に依存して、動かされる方法。
【請求項10】
前記人の外観が映し出されるべきである領域の外に位置するこのような照明素子が動かされる請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−505953(P2011−505953A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537582(P2010−537582)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055224
【国際公開番号】WO2009/077946
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】