説明

ユーザ分類装置、ユーザ分類方法、およびプログラム

【課題】影響力の持続状況を示す持続パターンでユーザを分類すること。
【解決手段】ユーザ分類装置100は、ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する情報取得部110と、取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する伝搬経路解析部120と、解析された伝搬経路情報と、伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、各書き込み情報の持続時間を算出する情報持続時間算出部130と、算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザがソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する影響持続時間算出部140と、算出された影響の持続時間に基づいて、予め設定された持続パターン別にユーザを分類するユーザ分類部150と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類装置、ユーザ分類方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビCM等の広告に替わるマーケティング手法として、インフルエンサーを活用して商品情報を発信、および消費者の間にクチコミを促すインフルエンサー・マーケティングが注目されている。ここで、インフルエンサーとは、人々の消費行動に影響を与えるユーザを指し、ブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、口コミサイト、Twitter(登録商標)等のソーシャル・メディアにおいては、他のユーザに対して強い影響力を持つ人がインフルエンサーに該当する。
【0003】
インフルエンサー・マーケティングにおいて、複数のユーザの中から、最適なインフルエンサーを抽出することが重要である。そこで、インフルエンサーの抽出方法として、ユーザ間のリンク関係と予め登録されているユーザ情報に基づいて、ユーザの影響力を算出し、共通の関心を共有するコミュニティのユーザの中からインフルエンサーを抽出する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−515160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザから発信された情報には、短い時間に一気に広まるものや、長い時間をかけて徐々に広まるもの等があり、情報毎に、情報が伝搬する時間は異なる。情報が伝搬する時間は、ソーシャル・メディアにおいて情報が持続している時間であって、この時間の間、ユーザはソーシャル・メディアに影響を与え続けることができると言える。このような、ユーザのソーシャル・メディアへの影響力の持続性も、ユーザの影響力を評価する上で重要な要素である。
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示されている方法では、情報のユーザ間の広がりに基づいて影響力を算出するので、インフルエンサーを抽出するために評価するユーザの影響力は情報のユーザ間の広がりによるソーシャル・メディアへの影響力の強さであり、影響力の持続性を考慮していないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明者は、上述の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ユーザの影響力を評価する際に影響力の持続性も考慮するために、影響力の持続性によりユーザに分類を設定することを見出し、ユーザがソーシャル・メディアに影響を与える時間に基づいて、ユーザを分類するユーザ分類装置、ユーザ分類方法、およびプログラムを完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0009】
(1) 本発明は、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類装置であって、前記ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する情報取得手段(例えば、図1の情報取得部110)と、前記情報取得手段で取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、当該複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する伝搬経路解析手段(例えば、図1の伝搬経路解析部120)と、前記伝搬経路解析手段で解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、当該各書き込み情報の持続時間を算出する情報持続時間算出手段(例えば、図1の情報持続時間算出部130)と、前記情報持続時間算出手段で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することにより前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する影響持続時間算出手段(例えば、図1の影響持続時間算出部140)と、前記影響持続時間算出手段で算出された前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、前記ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類手段(例えば、図1のユーザ分類部150)と、を備えることを特徴とするユーザ分類装置を提案している。
【0010】
この発明によれば、情報取得手段は、ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する。伝搬経路解析手段は、情報取得手段で取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する。情報持続時間算出手段は、伝搬経路解析手段で解析された伝搬経路情報と、伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、各書き込み情報の持続時間を算出する。影響持続時間算出手段は、情報持続時間算出手段で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することによりソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する。ユーザ分類手段は、影響持続時間算出手段で算出されたソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類する。したがって、影響力の持続状況を示す持続パターンでユーザを分類することにより、ユーザの影響力を評価する際に、ユーザに設定された持続パターンによってユーザの影響力の持続性を考慮することができる。また、ユーザを持続パターン別に分類することにより、ソーシャル・メディアにおける、ユーザの持続パターンの傾向を分析することができる。
【0011】
(2) 本発明は、(1)のユーザ分類装置において、前記情報持続時間算出手段は、前記伝搬経路解析手段で解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、前記伝搬経路の開始位置の書き込み情報の持続時間を算出することを特徴とするユーザ分類装置を提案している。
【0012】
この発明によれば、情報持続時間算出手段は、伝搬経路解析手段で解析された伝搬経路情報と、伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、伝搬経路の開始位置の書き込み情報の持続時間を算出する。したがって、オリジナルの書き込み情報の持続時間だけを算出することにより、ユーザがオリジナルの書き込み情報を発信することによりソーシャル・メディアに与える影響力の持続パターンにより、ユーザを分類することができる。
【0013】
(3) 本発明は、(1)または(2)のユーザ分類装置において、前記情報持続時間算出手段で取得された書き込み情報毎の持続時間に基づいて、持続パターンの時間範囲を決定する時間範囲決定手段(例えば、図5の時間範囲決定部160)を備えることを特徴とするユーザ分類装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、時間範囲決定手段は、情報持続時間算出手段で取得された書き込み情報毎の持続時間に基づいて、持続パターンの時間範囲を決定する。したがって、ソーシャル・メディア毎や、抽出する書き込み情報の条件毎等に、持続パターンの時間範囲を決定することができる。
【0015】
(4) 本発明は、(1)から(3)のユーザ分類装置において、前記情報取得手段で取得された複数の書き込み情報を、前記情報持続時間算出手段で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、前記持続パターン別に分類する情報分類手段(例えば、図5の情報分類部170)を備えることを特徴とするユーザ分類装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、情報分類手段は、情報取得手段で取得された複数の書き込み情報を、情報持続時間算出手段で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、持続パターン別に分類する。したがって、影響力の持続状況を示す持続パターンで書き込み情報を分類することにより、書き込み情報の影響力を評価する際に、書き込み情報に設定された持続パターンによって書き込み情報の影響力の持続性を考慮することができる。また、書き込み情報を持続パターン別に分類することにより、ソーシャル・メディアにおける、書き込み情報の持続パターンの傾向を分析することができる。
【0017】
(5) 本発明は、(1)から(4)のユーザ分類装置において、前記情報取得手段は、前記ソーシャル・メディアにおいて再発信された書き込み情報のうち、所定の条件に合致する書き込み情報を取得することを特徴とするユーザ分類装置を提案している。
【0018】
この発明によれば、情報取得手段は、ソーシャル・メディアにおいて再発信された書き込み情報のうち、所定の条件に合致する書き込み情報を取得する。したがって、所定の条件におけるユーザ分類を行うことができる。
【0019】
(6) 本発明は、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類装置におけるユーザ分類方法であって、前記ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する第1のステップ(例えば、図4のステップS1)と、前記第1のステップで取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、当該複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する第2のステップ(例えば、図4のステップS2)と、前記第2のステップで解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、当該各書き込み情報の持続時間を算出する第3のステップ(例えば、図4のステップS3)と、前記第3のステップで算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することにより前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する第4のステップ(例えば、図4のステップS4)と、前記第4のステップで算出された前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、前記ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類する第5のステップ(例えば、図4のステップS5)と、を含むことを特徴とするユーザ分類方法を提案している。
【0020】
この発明によれば、まず、第1のステップにおいて、ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する。次に、第2のステップにおいて、第1のステップで取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する。次に、第3のステップにおいて、第2のステップで解析された伝搬経路情報と、伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、各書き込み情報の持続時間を算出する。次に、第4のステップにおいて、第3のステップで算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することによりソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する。次に、第5のステップにおいて、第4のステップで算出されたソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類する。したがって、影響力の持続状況を示す持続パターンでユーザを分類することにより、ユーザの影響力を評価する際に、ユーザに設定された持続パターンによってユーザの影響力の持続性を考慮することができる。また、ユーザを持続パターン別に分類することにより、ソーシャル・メディアにおける、ユーザの持続パターンの傾向を分析することができる。
【0021】
(7) 本発明は、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類装置におけるユーザ分類方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する第1のステップ(例えば、図4のステップS1)と、前記第1のステップで取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、当該複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する第2のステップ(例えば、図4のステップS2)と、前記第2のステップで解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、当該各書き込み情報の持続時間を算出する第3のステップ(例えば、図4のステップS3)と、前記第3のステップで算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することにより前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する第4のステップ(例えば、図4のステップS4)と、前記第4のステップで算出された前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、前記ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類する第5のステップ(例えば、図4のステップS5)と、をコンピュータに実行させるプログラムを提案している。
【0022】
この発明によれば、まず、第1のステップにおいて、ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する。次に、第2のステップにおいて、第1のステップで取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する。次に、第3のステップにおいて、第2のステップで解析された伝搬経路情報と、伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、各書き込み情報の持続時間を算出する。次に、第4のステップにおいて、第3のステップで算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することによりソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する。次に、第5のステップにおいて、第4のステップで算出されたソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響の持続状況を示す持続パターン別に、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類する。したがって、影響力の持続状況を示す持続パターンでユーザを分類することにより、ユーザの影響力を評価する際に、ユーザに設定された持続パターンによってユーザの影響力の持続性を考慮することができる。また、ユーザを持続パターン別に分類することにより、ソーシャル・メディアにおける、ユーザの持続パターンの傾向を分析することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、影響力の持続状況を示す持続パターンでユーザを分類することにより、ユーザの影響力を評価する際に、ユーザに設定された持続パターンによってユーザの影響力の持続性を考慮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係るユーザ分類装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る伝搬経路解析部により解析された伝搬経路および作成される伝搬経路情報の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る情報持続時間算出部で算出された情報持続時間の分布を示す表である。
【図4】第1の実施形態に係るユーザ分類処理のフロー図である。
【図5】第2の実施形態に係るユーザ分類装置の構成図である。
【図6】第2の実施形態に係る情報分類部で分類された書き込み情報の持続タイプの分布を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含むさまざまなバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0026】
<第1の実施形態>
<ユーザ分類装置の機能構成>
図1は、本発明の実施形態に係るユーザ分類装置100の構成図である。本実施形態に係るユーザ分類装置100は、ソーシャル・メディアサーバ10と接続し、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを、ユーザのソーシャル・メディアへの影響力の持続状況により分類する装置である。ここで、ソーシャル・メディアとは、例えば、ブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、口コミサイト、Twitter(登録商標)等であり、ソーシャル・メディアサーバは、ソーシャル・メディアに投稿された書き込み情報を蓄積・管理等を行うサーバである。
【0027】
ユーザ分類装置100は、図1に示すように、情報取得部110、伝搬経路解析部120、情報持続時間算出部130、影響持続時間算出部140、およびユーザ分類部150を備える。
【0028】
情報取得部110は、ソーシャル・メディアサーバ10からユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と発信日時とを含む書き込み情報を取得する。ここで、発信日時とは、書き込み情報が発信された日時である。また、再発信関係とは、書き込み情報を発信したユーザと、その書き込み情報を再発信したユーザとの繋がり、および書き込み情報と、その書き込み情報の内容を再発信した新たな書き込み情報との繋がりであって、例えば、Twitterのリツイートで繋がっているユーザおよびツイートである。また、再発信とは、あるユーザにより発信された書き込み情報の内容を再掲した新たな書き込み情報を発信することを意味する。
【0029】
再発信関係情報は、あるユーザにより発信された書き込み情報が他のユーザにより再発信された際に、書き込み情報に付加される情報であって、例えば、再発信の書き込み情報の情報ID、および再発信の基となった書き込み情報の情報IDを含み、本実施形態において、再発信関係情報にはこれらの情報が含まれるとして説明する。
【0030】
情報取得部110は、ソーシャル・メディアサーバ10から書き込み情報を取得する際に、書き込み情報が発信された期間や書き込み情報の内容に含まれるキーワードを条件にソーシャル・メディアサーバ10の書き込み情報を検索し、検索された書き込み情報を取得してもよい。それにより、所定の条件におけるユーザ分類を行うことができる。
【0031】
伝搬経路解析部120は、情報取得部110で取得された書き込み情報に含まれる再発信関係情報に基づいて、各書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析する。伝搬経路は、書き込み情報の再掲による繋がりにより段階的に構成される。次に、伝搬経路解析部120は、解析した伝搬経路に基づいて、伝搬経路情報を作成する。図2に示す具体例を用いて、伝搬経路の解析および伝搬経路から作成される伝搬経路情報について説明する。
【0032】
図2(a)には、情報取得部110で取得した再発信関係情報を示す。まず、伝搬経路解析部120は、再発信により繋がっている書き込み情報群、すなわち、内容が共通する書き込み情報群を判断する。図2(a)に示した再発信関係情報からは、情報ID=info10,info100,Info110,Info120、および情報ID=info20,info200,Info210の2つのグループが判断される。
【0033】
次に、伝搬経路解析部120は、各書き込み情報群について、再発信による繋がりに基づいて伝搬経路を解析する。情報ID=info10,info100,Info110,Info120を含む書き込み情報群については、書き込み情報info10の内容を書き込み情報info100が再発信し、書き込み情報info100の内容を書き込み情報Info110および書き込み情報Info120が再発信していることから、書き込み情報info10の内容が伝搬する伝搬経路は、図2(b)(1)に示すような経路であると、伝搬経路解析部120により解析される。同様に、情報ID=info20,info200,Info210の書き込み情報群については、書き込み情報info20の内容が伝搬する伝搬経路は、図2(b)(2)に示すような経路であると、伝搬経路解析部120により解析される。
【0034】
図2(c)に、伝搬経路情報の一例を示す。図2(c)に示す伝搬経路情報は、図2(b)(1)の伝搬経路に基づいて作成された伝搬経路情報である。図2(c)に示すように、書き込み情報info10と書き込み情報info100とが対応付けられ、書き込み情報info100と書き込み情報info110および書き込み情報info120とが対応付けられて記憶される。なお、伝搬経路情報は、内容が共通する書き込み情報群毎に作成される。
【0035】
情報持続時間算出部130は、伝搬経路解析部120で解析された伝搬経路情報と、伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、各書き込み情報の持続時間(情報持続時間)を算出する。
【0036】
具体的には、情報持続時間算出部130は、伝搬経路を構成する書き込み情報から1の書き込み情報を抽出し、その書き込み情報から始まる伝搬経路の終了位置の書き込み情報を特定する。次に、情報持続時間算出部130は、特定された伝搬経路の終了位置の書き込み情報の発信日時に基づいて、その伝搬経路において、最後に発信された書き込み情報を特定する。そして、情報持続時間算出部130は、抽出した1の書き込み情報の発信日時と、特定された最後に発信された書き込み情報の発信日時とから、抽出した1の書き込み情報の情報持続時間を算出する。
【0037】
情報持続時間算出部130は、伝搬経路に含まれる各書き込み情報について、同様の処理を行い、各書き込み情報の情報持続時間を算出する。なお、伝搬経路の終了位置の書き込み情報は処理対象外としてもよい。その書き込み情報は伝搬せず、持続時間は0であるからである。
【0038】
また、情報持続時間算出部130は、図3に示すような、書き込み情報の情報IDおよび書き込み情報の発信したユーザのユーザIDと、算出した情報持続時間とを対応付けた、情報持続時間の分布を表す表を出力することもできる。
【0039】
また、情報持続時間算出部130は、伝搬経路の開始位置の書き込み情報についてのみ情報持続時間を算出してもよい。これにより、オリジナルの書き込み情報の持続時間だけを算出し、後述するユーザ分類部150で、ユーザがオリジナルの書き込み情報を発信することによりソーシャル・メディアに与える影響力の持続状況により、ユーザを分類することができる。
【0040】
影響持続時間算出部140は、情報持続時間算出部130で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することによりソーシャル・メディアに与える影響の持続時間(影響持続時間)を、ユーザ毎に算出する。例えば、影響持続時間算出部140は、ユーザ毎に、ユーザが発信した書き込み情報の平均持続時間を影響持続時間として算出する。
【0041】
ユーザ分類部150は、影響持続時間算出部140で算出された影響持続時間に基づいて、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを予め設定された持続パターン別に分類する。ここで、持続パターンとは、影響力の持続状況を示し、影響持続時間により複数のパターンに分けられる。例えば、持続パターンとして、影響持続時間が1〜6時間を影響力の持続する時間が短い「Short」、影響持続時間が6〜13時間を影響力の持続する時間が中くらいの「Middle」、影響持続時間が13〜24時間を影響力の持続する時間が長い「Long」が設定されている場合に、影響持続時間算出部140で算出された影響持続時間が8時間のユーザは、「Middle」に分類される。
【0042】
<ユーザ分類処理フロー>
図4は、本発明の実施形態に係るユーザ分類処理のフロー図である。
【0043】
まず、ステップS1において、情報取得部110は、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む書き込み情報を、ソーシャル・メディアサーバ10から取得する。
【0044】
次に、ステップS2において、伝搬経路解析部120は、情報取得部110で取得された書き込み情報に含まれる再発信関係情報に基づいて、書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、解析した伝搬経路に基づいて、伝搬経路情報を作成する。
【0045】
次に、ステップS3において、情報持続時間算出部130は、ステップS2で解析された伝搬経路情報と、伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、各書き込み情報の情報持続時間を算出する。
【0046】
次に、ステップS4において、影響持続時間算出部140は、情報持続時間算出部130で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、影響持続時間をユーザ毎に算出する。
【0047】
次に、ステップS5において、ユーザ分類部150は、影響持続時間算出部140で算出された影響持続時間に基づいて、ソーシャル・メディアに参加しているユーザを予め設定された持続パターン別に分類する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、影響力の持続状況を示す持続パターンでユーザを分類することにより、ユーザの影響力を評価する際に、ユーザに設定された持続パターンによってユーザの影響力の持続性を考慮することができる。また、ユーザを持続パターン別に分類することにより、ソーシャル・メディアにおける、ユーザの持続パターンの傾向を分析することができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図5および図6を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、ユーザ分類装置は、ユーザを分類する持続パターンの時間範囲を、情報持続時間算出部で算出された情報持続時間に基づいて決定するとともに、書き込み情報を持続パターンで分類する装置である。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0050】
<ユーザ分類装置の構成>
図5は、本実施形態に係るユーザ分類装置の構成図である。本実施形態に係るユーザ分類装置101は、情報取得部110、伝搬経路解析部120、情報持続時間算出部130、影響持続時間算出部140、ユーザ分類部150、時間範囲決定部160、および情報分類部170を備える。
【0051】
時間範囲決定部160は、情報持続時間算出部130で取得された書き込み情報毎の持続時間に基づいて、持続パターンの時間範囲を決定する。なお、持続パターンの数は予め設定されている。例えば、持続パターンが、「Short」、「Middle」、「Long」の3つであるとすると、情報持続時間算出部130で取得された書き込み情報の情報持続時間のうち、最も長い情報持続時間と、最も短い持続時間の時間範囲を3等分し、小さい方から「Short」、「Middle」、「Long」とする。このように、持続パターンの時間範囲を書き込み情報の情報持続時間に基づいて決定することにより、ソーシャル・メディア毎や、抽出する書き込み情報の条件毎等に持続パターンの時間範囲を決定することができる。特に、各ソーシャル・メディアによって、書き込み情報の投稿スピードが異なるので、それぞれの投稿スピードに対応した持続パターンを設定することができる。
【0052】
情報分類部170は、情報取得部110で取得された書き込み情報を、情報持続時間算出部130で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、持続パターン別に分類する。ここで用いる、持続パターンは、ユーザを分類する際に用いたと同じである。また、情報分類部170は、図6に示すような、書き込み情報の情報IDおよび書き込み情報の発信したユーザのユーザIDと、書き込み情報が分類された持続パターンとを対応付けた、持続パターンの分布を表す表を出力することもできる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、影響力の持続状況を示す持続パターンで書き込み情報を分類することにより、書き込み情報の影響力を評価する際に、書き込み情報に設定された持続パターンによって書き込み情報の影響力の持続性を考慮することができる。また、書き込み情報を持続パターン別に分類することにより、ソーシャル・メディアにおける、書き込み情報の持続パターンの傾向を分析することができる。さらに、持続パターンの時間範囲を、ソーシャル・メディア毎や、抽出する書き込み情報の条件毎等に決定することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 ソーシャル・メディアサーバ
100 ユーザ分類装置
110 情報取得部
120 伝搬経路解析部
130 情報持続時間算出部
140 影響持続時間算出部
150 ユーザ分類部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類装置であって、
前記ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、当該複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する伝搬経路解析手段と、
前記伝搬経路解析手段で解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、当該各書き込み情報の持続時間を算出する情報持続時間算出手段と、
前記情報持続時間算出手段で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することにより前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する影響持続時間算出手段と、
前記影響持続時間算出手段で算出された前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、前記ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類手段と、
を備えることを特徴とするユーザ分類装置。
【請求項2】
前記情報持続時間算出手段は、前記伝搬経路解析手段で解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、前記伝搬経路の開始位置の書き込み情報の持続時間を算出することを特徴とする請求項1に記載のユーザ分類装置。
【請求項3】
前記情報持続時間算出手段で取得された書き込み情報毎の持続時間に基づいて、持続パターンの時間範囲を決定する時間範囲決定手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のユーザ分類装置。
【請求項4】
前記情報取得手段で取得された複数の書き込み情報を、前記情報持続時間算出手段で算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、前記持続パターン別に分類する情報分類手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のユーザ分類装置。
【請求項5】
前記情報取得手段は、前記ソーシャル・メディアにおいて再発信された書き込み情報のうち、所定の条件に合致する書き込み情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のユーザ分類装置。
【請求項6】
ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類装置におけるユーザ分類方法であって、
前記ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、当該複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する第2のステップと、
前記第2のステップで解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、当該各書き込み情報の持続時間を算出する第3のステップと、
前記第3のステップで算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することにより前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する第4のステップと、
前記第4のステップで算出された前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、前記ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類する第5のステップと、
を含むことを特徴とするユーザ分類方法。
【請求項7】
ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類するユーザ分類装置におけるユーザ分類方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記ソーシャル・メディアから、ユーザ間の再発信関係を特定する再発信関係情報と、発信日時とを含む複数の書き込み情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得された複数の書き込み情報それぞれに含まれる再発信関係情報に基づいて、当該複数の書き込み情報が伝搬する伝搬経路を解析し、伝搬経路情報を作成する第2のステップと、
前記第2のステップで解析された伝搬経路情報と、前記伝搬経路を構成する各書き込み情報の発信日時とに基づいて、当該各書き込み情報の持続時間を算出する第3のステップと、
前記第3のステップで算出された書き込み情報の持続時間に基づいて、ユーザが書き込み情報を発信することにより前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間を、ユーザ毎に算出する第4のステップと、
前記第4のステップで算出された前記ソーシャル・メディアに与える影響の持続時間に基づいて、予め設定された、影響力の持続状況を示す持続パターン別に、前記ソーシャル・メディアに参加しているユーザを分類する第5のステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−80423(P2013−80423A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220969(P2011−220969)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)