説明

ユーザ判定装置、方法、プログラム及びコンテンツ配信システム

【課題】ユーザを本人に認証を意識させることなく簡易的に判定することができ、これによりユーザビリティの向上を図る。
【解決手段】クラスタリング3において、判定対象ユーザの容積脈波から抽出された特徴量ベクトルと、ユーザデータベース4に記憶されているKt人分のユーザの特徴量ベクトルとが、Kt個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第1の尤度を算出する。また、同様に上記特徴量ベクトルがKt+1個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第2の尤度を算出する。そして、第1の尤度と第2の尤度とを比較し、第1の尤度の方が大きい場合に判定対象ユーザは既に記憶されたユーザと判定し、そうでない場合には上記ユーザはまだ記憶されていない新たなユーザであると判定して、その特徴量ベクトルをユーザデータベース4に追加記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの生体情報を用いて本人を判定するユーザ判定装置、方法及びプログラムと、このユーザ判定装置を備えたコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指紋や静脈といった生体情報を用いたユーザ認証、ユーザ判定方法が種々提案されている。その1つとして、認証対象となるユーザの個人情報を生体認証装置に予め記憶しておき、ユーザの声紋や虹彩、筆跡、手形等の生体情報による本人認証の結果がOKの場合のみ携帯型端末装置に個人情報を送出するようにした装置が提案されている(例えば特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−297552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のユーザ判定方法では、ユーザの生体情報を用いて認証を行う際に、ユーザのIDと特徴量を正解のデータとして生体認証装置に予め登録しておく必要がある。このため、ユーザID及び特徴量を登録させる手続きをユーザに踏ませることで、ユーザに対して認証の色合いを少なからず意識させてしまうことになる。
【0005】
このような方法は、携帯型端末装置等のようにユーザが個人所有する端末を操作する際の本人認証方法としては適当である。しかしながら、例えばテレビジョン装置等のコンテンツ視聴装置において、リモートコントローラ等のように複数のユーザが共同使用する端末を操作する際の本人判定方法としては、ユーザに必要以上に認証を意識させてしまい、ユーザビリティの低下を招くことから、好適とは言えなかった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その第1の目的は、ユーザを本人に認証を意識させることなく簡易的に判定できるようにし、これによりユーザビリティの向上を図ったユーザ判定装置、方法及びプログラムを提供することである。
また第2の目的は、ユーザに認証を意識させることなく当該ユーザに適合したコンテンツを配信できるようにしたコンテンツ配信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、ユーザの容積脈波から抽出された特徴量ベクトルを複数のユーザ分記憶することが可能な第1の記憶手段と、第1及び第2の尤度計算手段とを備えている。
第1の尤度計算手段では、判定対象となるユーザの容積脈波から抽出された特徴量ベクトルが入力されるごとに、当該入力された判定対象ユーザの特徴量ベクトルと、上記第1の記憶手段に記憶されている1以上のKt 人数分のユーザの特徴量ベクトルが、Kt 個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第1の尤度を計算する。第2の尤度計算手段では、上記入力された判定対象ユーザの特徴量ベクトルと、上記第1の記憶手段に記憶されている1以上のKt 人数分のユーザの特徴量ベクトルが、Kt+1個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第2の尤度を計算する。
そして、この計算された第1の尤度と第2の尤度とを比較し、その比較の結果第1の尤度が第2の尤度より大きい場合には上記判定対象ユーザを上記第1の記憶手段に特徴量ベクトルが既に記憶されているユーザと判定し、それ以外の場合には上記判定対象ユーザをKt+1人目のユーザと判定してその特徴量ベクトルを上記第1の記憶手段に追加記憶するようにしたものである。
【0008】
具体的には、上記第1及び第2の尤度計算手段に以下のような処理手段を備えることを特徴とする。
(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルがK個のN次元正規分布から構成される混合正規分布から出現したと考える混合正規分布モデルを仮定して、当該混合正規分布を
【数1】

…(1)
と表し、かつこの混合正規分布を特徴付けるパラメータを、k番目の正規分布の中心を表す平均ベクトルμk 、k番目の正規分布の広がり具合を表す共分散行列Σk 、混合正規分布においてk番目の正規分布から特徴量ベクトルが出現する割合を表す混合比αkとそれぞれ定義したとき、上記各パラメータをそれぞれ初期化する第1の手段と、
(t) 回目に更新されたパラメータを
μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t) …(2)
と表したとき、変数tを初期化したのち、現在のパラメータ値と上記(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをもとに、
γk(xiM;μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
(i=1,…,Ktj,M=1,…,M,k=1,…,K)
…(3)
を計算する第2の手段と、
【数2】

…(4)
であるとき、上記計算されたγkを用いて平均ベクトルμk(t+1)
【数3】

…(5)
により更新する第3の手段と、
上記計算されたγを用いて、混合比αk(t+1)
【数4】

…(6)
により更新する第4の手段と、
上記計算されたγ及び上記(5)式により更新された平均ベクトルμk(t+1)を用いて、共分散行列Σk(t+1)
【数5】

…(7)
により更新する第5の手段と、
上記更新された平均ベクトルμk(t+1)、混合比αk(t+1)、共分散行列Σk(t+1)を用いて、dを
d=L(μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
−L(μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
ただし、
【数6】

…(8)
により計算する第6の手段と、
上記計算されたdの値を予め設定したしきい値と比較する第7の手段と、
上記比較の結果、dがしきい値より大きい場合には、上記変数tをインクリメントしたのち上記(3)乃至(8)式による計算を、上記dの値がしきい値以下に収束するまで上記第2乃至第7の手段に対し繰り返し実行させる第8の手段と、
上記比較の結果、上記dの値がしきい値以下に収束した場合に、
μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
…(9)
をパラメータの推定結果とし、このパラメータの推定結果を用いて
【数7】

…(10)
の値を算出して、この算出値L(K)を上記第1及び第2の尤度として出力する第9の手段とを備えるように構成する。
【0009】
したがって、ユーザの生体情報である容積脈波から抽出される特徴量ベクトルが確率分布に従うものとしてとらえてクラスタリング処理が行われ、このクラスタリング処理の結果をもとにユーザの判定が行われる。このため、予め正解となる情報を登録する手続きをユーザに行わせることなく当該ユーザの判定を行うことが可能となり、ユーザビリティの向上を図ることが可能となる。
【0010】
また、この発明の第1の観点は以下のような態様を備えることも特徴とする。
第1の態様は、上記第9の手段により得られた各パラメータの推定結果を記憶する第2の記憶手段をさらに具備し、上記第1の手段において第1の尤度を計算する場合には、上記Kt個の正規分布の平均ベクトル及び共分散行列の初期値として、上記第2の記憶手段に記憶された平均ベクトル及び共分散行列の推定結果を設定する。一方、上記第2の尤度を計算する場合には、上記Kt+1個の正規分布の平均ベクトルの初期値として、上記第2の記憶手段に記憶された平均ベクトルの推定値と、ユーザのM個の特徴量ベクトルxjm(m=1,…,M)から計算した
【数8】

を設定し、かつ上記Kt+1個の正規分布の共分散行列の初期値として、
【数9】

を計算し、この計算値を設定するようにしたものである。
このようにすると、クラスタリングの過程において混合正規分布のパラメータである平均ベクトル、共分散行列及び混合比を少ない更新回数で収束させることができ、かつクラスタリングの精度を高めることができる。
【0011】
第2の態様は、上記比較手段において、上記第2の尤度計算手段によりKt+1個にクラスタリングされることにより推定されたKt+1個の平均ベクトル
【数10】

を計算し、この計算されたdk,k’を予め設定したしきい値と比較して、1つでもしきい値以下となるdk,k’が存在した場合には、上記判定対象ユーザを上記第1の記憶手段に特徴量ベクトルが既に記憶されているユーザと判定するようにしたものである。
このようにすると、本来はユーザjに該当するユーザが第1の記憶手段に存在しているにもかかわらず、誤って上記ユーザjを新たなユーザとして第1の記憶手段に再登録してしまうことを防止することができる。
【0012】
第3の態様は、複数のユーザの属性情報を記憶する第3の記憶手段をさらに設け、第1又は第2の尤度計算手段において尤度の計算過程で算出された上記判定対象となるユーザの平均ベクトル及び共分散行列の推定結果を、上記第3の記憶手段に記憶された属性情報と比較し、この比較結果をもとに上記判定対象となるユーザの属性情報を判定するようにしたものである。
このようにすると、クラスタリングによって得られた混合正規分布のパラメータからユーザの属性を判定することが可能となる。
【0013】
上記第2の目的を達成するためにこの発明の第2の観点は、上記第1の観点において述べたユーザ判定装置に加え、このユーザ判定装置との間で通信が可能なリモートコントロール装置及びコンテンツサーバ装置とを具備する。そして、リモートコントロール装置において、判定対象となるユーザの容積脈波を検出してその検出信号をユーザ判定装置へ送信する。コンテンツサーバ装置では、上記ユーザ判定装置から判定対象となるユーザの属性情報が送られた場合に、この属性情報をもとに判定対象となるユーザに対し推薦すべきコンテンツを選択する。
このようにすると、ユーザ判定装置においてユーザ判定の過程で得られる、混合正規分布のパラメータをもとに、ユーザの属性情報が検索され、この属性情報をもとにユーザに対し推薦すべきコンテンツを自動的に選択することができる。
【発明の効果】
【0014】
すなわち、第1の発明によれば、ユーザを本人に認証を意識させることなく簡易的に判定することができ、これによりユーザビリティの向上を図ったユーザ判定装置、方法及びプログラムを提供することができる。
また第2の発明によれば、ユーザに認証を意識させることなく当該ユーザに適合したコンテンツを配信できるようにしたコンテンツ配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わるユーザ判定装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1に示したユーザ判定装置による特徴量抽出処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】特徴量の抽出対象となる加速度脈波の波形の一例を示す図。
【図4】図1に示したユーザ判定装置のユーザデータベースに記憶された情報の一例を示す図。
【図5】図1に示したユーザ判定装置によるクラスタリング処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図6】図5に示したクラスタリング処理手順中の評価関数の算出処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図7】この発明の第2の実施形態に係わるユーザ判定装置の構成を示すブロック図。
【図8】この発明の第4の実施形態に係わるユーザ判定装置の構成を示すブロック図。
【図9】この発明の第5の実施形態に係わるコンテンツ配信システムの全体構成を示す図。
【図10】図9に示したコンテンツ配信システムのリモコン装置、設置端末装置及びコンテンツサーバ装置の機能構成を示すブロック図。
【図11】図10に示した設置端末装置の属性データベースに記憶される情報の一例を示す図。
【図12】図10に示したコンテンツサーバ装置のコンテンツ視聴履歴データベースに記憶される情報の一例を示す図。
【図13】図10に示したコンテンツサーバ装置のコンテンツデータベースに記憶される情報の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わるユーザ判別装置の構成を示すブロック図である。このユーザ判定装置は、脈波センサ部1と、特徴抽出部2と、クラスタリング部3Aと、ユーザデータベース部4とを備えている。このうち、特徴抽出部2及びクラスタリング部3Aは、プログラムをユーザ判定装置が備えるコンピュータに実行させることにより実現される。
【0017】
ユーザデータベース4はランダムアクセス可能なメモリからなり、ユーザ判定結果を表す情報と、当該ユーザの特徴量ベクトルとの対を、複数個格納する領域を有する。図4にその記憶情報の一例を示す。
脈波センサ部1は、判定対象となるユーザj の一定期間にわたる複数周期分の容積脈波を検出し、この複数周期分の容積脈波の検出信号を1次元の数値により表したデータ系列に変換して特徴抽出部2へ出力する。
【0018】
特徴抽出部2は、上記脈波センサ部1から出力された複数周期分の容積脈波の検出信号を受信すると、それぞれの周期について上記受信した検出信号から特徴量ベクトルを抽出することで複数個の特徴量ベクトルを得る。そして、この抽出した複数個の特徴量ベクトルをクラスタリング部3Aへ出力する。
【0019】
クラスタリング部3Aは、上記特徴抽出部2から出力されたユーザjの複数個の特徴量ベクトルを受信すると、以下の各処理を実行する。
(1) 上記受信された複数個の特徴量ベクトルと、上記ユーザデータベース4に予め記憶されているKt人分のユーザの複数個の特徴量ベクトルとが、Kt個の正規分布からなる混合正規分布に従うと仮定してクラスタリングを行うことでKt個の正規分布からなる混合正規分布モデルを決定する。そして、この決定したKt個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで、上記複数個の特徴量ベクトルおよび上記Kt人分のユーザの複数個の特徴量ベクトルが出現する確率を表す第1の尤度の値を算出する処理。
【0020】
(2) 上記受信された複数個の特徴量ベクトルと、ユーザデータベース4に予め記憶されているKt人分のユーザの複数個の特徴量ベクトルとが、Kt+1個の正規分布からなる混合正規分布に従うと仮定してクラスタリングを行うことでKt+1個の正規分布からなる混合正規分布モデルを決定する。そして、上記Kt+1個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで上記複数個の特徴量ベクトルおよび上記Kt人分のユーザの複数個の特徴量ベクトルが出現する確率を表す第2の尤度の値を算出する処理。
【0021】
(3) 上記(1) の処理により算出された第1の尤度の値と、上記(2) の処理により算出された第2の尤度の値とを比較する。そして、第1の尤度の値が第2の尤度の値より大きい場合には、上記ユーザjと同一のクラスにクラスタリングされたユーザj’ を上記ユーザjと判定し、上記ユーザj’ の特徴量ベクトルと、上記ユーザjの特徴量ベクトルとを加算平均した特徴量ベクトルを算出して、この算出された特徴量ベクトルを上記ユーザj’ の特徴量ベクトルと置き換える処理。
【0022】
(4) 上記(1) の処理により算出された第1の尤度の値が、上記(2) の処理により算出された第2の尤度の値以下の場合には、上記ユーザjはユーザデータベース4にまだ記憶されていない新たなユーザであると判定し、上記ユーザjの複数個の特徴量ベクトルを、Kt+1人目のユーザの特徴量ベクトルとしてユーザデータベース4に追加記憶させる処理。
(5) 上記(3) 及び(4) の処理により得られた上記ユーザjの判定結果を表す情報を出力する処理。
【0023】
次に、以上のように構成された装置によるユーザ判定処理を説明する。
(1)特徴抽出部2の処理
図2は、特徴抽出部2が上記ユーザjの複数周期分の容積脈波検出信号から上記特徴量ベクトルを抽出する際の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
特徴抽出部2は、脈波センサ部1からユーザjの一定期間分の容積脈波検出信号を受信した時点で処理を開始する。以下、上記一定時間分の容積脈波検出信号をPjとする。
【0024】
ステップS21において上記容積脈波検出信号Pjを受信すると、特徴抽出部2は先ずステップS22において上記容積脈波検出信号Pjを取得した時点でユーザjが安静状態にあったかどうかを判別する。この結果、ユーザjが安静状態にあったと判定された場合にはステップS23へ移行し、一方ユーザjが安静状態になかったと判定された場合にはステップS21に戻る。ユーザjが安静状態にあったか否かの判定方法としては、例えば上記容積脈波検出信号Pjについて自己相関係数を計算し、この計算された自己相関係数の値に周期性が存在するか否かを判定する方法が考えられる。
【0025】
ステップS23に移行すると特徴抽出部2は、上記容積脈波検出信号Pjを1周期ごとに切り出し、M個の容積脈波波形を求める。次にステップS24において、上記M個の容積脈波波形について、1波形ごとにN個の要素を持つ特徴量ベクトルを抽出することで、M個の特徴量ベクトルを取得する。特徴量ベクトルの一例としては、容積脈波における周期と振幅がある。また、別の例としては、容積脈波を2階微分した加速度脈波における周期と、図3に示される加速度脈波におけるa、b、cの値がある。また、加速度脈波をさらにフーリエ変換することで得られる周波数スペクトルであってもよい。
【0026】
(2)クラスタリング部3Aによる処理
図5は、クラスタリング部3Aが判定対象ユーザjのM個の特徴量ベクトルと、ユーザデータベース4に記憶されているKt人分のユーザのKt×Mの特徴量ベクトル、つまり計(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルを、Kt個のクラスに分割した際の評価関数の値と、Kt+1個のクラスに分割した際の評価関数の値を比較することにより、最適なクラスタリング結果を採用する処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0027】
クラスタリング部3Aは、上記特徴抽出部2からユーザjの上記M個の特徴量ベクトルを受信した時点で処理を開始する。
ステップS51において、上記特徴抽出部2から送信された、ユーザjの上記M個の特徴量ベクトルを受信すると、クラスタリング部3Aは先ずステップS52によりユーザデータベース4に記憶されているユーザ数Ktを参照し、Kt>0の場合はステップS53へ、そうでない場合はステップS60へそれぞれ移行する。
【0028】
ステップS53では、ユーザデータベース4からKt人分の特徴量ベクトル、つまりKt×M個の特徴量ベクトルを読み出し、ステップS54において上記読み出された(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをKt個にクラスタリングして、その時の評価関数の値L(Kt)を算出する。次にステップS55により、上記(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをKt+1個にクラスタリングし、その時の評価関数の値L(Kt+1)を算出する。
【0029】
そして、ステップS56において上記L(Kt)と上記L(Kt+1)とを比較し、この比較の結果L(Kt)がL(Kt+1)よりも大きい場合には、ステップS57によりユーザjと同一のクラスにクラスタリングされているユーザj’ をユーザjであると判定し、ステップS58において当該ユーザj’ の特徴量ベクトルを更新する。これに対し、上記比較の結果L(Kt)がL(Kt+1)以下の場合には、ステップS60においてユーザjの上記M個の特徴量ベクトルをKt+1人目のユーザの特徴量ベクトルとしてユーザデータベース4に追加記憶する。最後に、ステップS59において上記ユーザjのユーザ判定結果を出力する。
【0030】
(2−1)クラスタリング処理の詳細
ところで、上記ステップS54及びステップS55における、クラスタリングによる評価関数値L(Kt)及び評価関数値L(Kt+1)の算出処理は、次のように行われる。
なお、ここでは説明の簡単のため、上記(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをK個のクラスにクラスタリングする場合を例にとって説明する。(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをKt個にクラスタリングする場合、及び(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをKt+1個にクラスタリングする場合は、KをそれぞれKt、Kt+1に置き換えればよい。
【0031】
先ず、上記(Kt+1)×M個の特徴量をK個にクラスタリングする場合は、ユーザのN次元の特徴量ベクトルが、当該ユーザに固有のN次元の平均ベクトルと当該ユーザに固有のN行N列の共分散行列をパラメータとして持つ、N次元正規分布に従う確率変数の実現値であると考える。これによって、上記(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルが、K個のN次元正規分布から構成される混合正規分布から出現したと考える、混合正規分布モデルを仮定し、上記K個のN次元正規分布から構成される混合正規分布を特徴付けるパラメータを推定することにより上記(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをK個のクラスにクラスタリングする。
【0032】
K個のN次元正規分布から構成されるN次元混合正規分布は、以下のように定義される。
【数11】

であり、これはK個の正規分布のうち、k番目の正規分布を表すことになる。
ここで、μkはk番目の正規分布の中心を表す平均ベクトル、Σkはk番目の正規分布の広がり具合を表す分散共分散行列である。また|Σ|は共分散行列Σの行列式を表し、記号Tはベクトルの転置を意味する。さらに、αkは混合正規分布において、k番目の正規分布から特徴量ベクトルが出現する割合を表す混合比と定義されるパラメータであり、
【数12】

で表される。
【0033】
これらの混合正規分布を決定づけるパラメータは
μ1,…,μK,Σ1,…,ΣK,α1,…,αK
であり、特徴量ベクトルからこれらを推定する方法としては、EMアルゴリズム(Dempster, et al.1977)が知られている。
【0034】
図6は、図5のステップS54及びステップS55において、クラスタリング部3AがEMアルゴリズムを用いてパラメータを推定して評価関数値を取得する処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
クラスタリング部3Aは、先ずステップS61において、平均ベクトル、共分散行列、混合比の3種類のパラメータに対して初期値
μ1(0),…,μK(0),Σ1(0),…,ΣK(0),α1(0),…,αK(0)
を設定する。
【0035】
ここで、パラメータの初期値を設定する方法としては以下のような方法が考えられる。すなわち、先ず平均ベクトル及び共分散行列に関しては、予め上限値と下限値を保持しておき、その範囲における一様乱数を用いて初期化する。また、混合比については、
【数13】

と云う制約を満たすように、0でない1未満の実数を乱数を用いて割り当てる。
以後、(t) 回目に更新されたパラメータを
μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
で表わすことにする。
【0036】
クラスタリング部3Aは、ステップS62により変数tを0に初期化する。続いてステップS63により現在のパラメータの値
μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
及び、(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルを用いて、次の値
γk(xim;μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
(i=1,…,Kt,j、m=1,…,M、k=1,…,K)
を計算する。ここで
【数14】

である。
【0037】
クラスタリング部3Aは、次にステップS64において、上記ステップS63により計算された前記γkを用いて、平均ベクトルを以下のように更新する。
【数15】

続いてステップS65において、上記ステップS63により計算された上記γkを用いて、混合比を以下のように更新する。
【数16】

さらにステップS66において、上記ステップS63により計算された上記γk及びステップS64により更新された平均ベクトルを用いて、共分散行列を以下のように更新する。
【数17】

【0038】
以上の各パラメータに対する更新処理が終了すると、クラスタリング部3Aは次にステップS67において、上記パラメータの値が収束しているかどうかを判定する。この判定のために上記平均ベクトル、混合比、共分散行列を用いて以下の式を計算する。
d=L(μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
−L(μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
ここで、
【数18】

である。
【0039】
そして、上記計算されたdの値と予め設定しておいたしきい値とを比較する。しきい値としては、例えば10-5のような小さな正の値が適当である。この比較の結果、dの値がしきい値よりも大きい場合には、パラメータはまだ収束していないと判断して、ステップS68により変数tをインクリメントしたのちステップS63に戻り、ステップS63乃至ステップS67による処理を再度実行する。以後、上記ステップS67によりパラメータが収束したと判定されるまで、変数tをインクリメントするごとにステップS63乃至ステップS67による処理を繰り返す。
【0040】
一方、上記ステップS67の判定の結果、dの値がしきい値以下になると、クラスタリング部3Aはパラメータが収束したと判断してステップS69に移行する。ステップS69では、
μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
をパラメータの推定結果とする。以下ではこれを
【数19】

と表す。
【0041】
最後にクラスタリング部3Aは、ステップS70において、ステップS69により決定された推定パラメータを用いて、
【数20】

で示される値を算出する。そして、この式により表される評価関数値L(K)を、K個にクラスタリングした際の混合正規分布モデルから特徴量ベクトルが出現する確率を表す尤度とする。
【0042】
(2−2)評価関数値L(Kt)とL(Kt+1)との比較処理の詳細
クラスタリング部3Aは、ユーザデータベース4上のKt人分のユーザ、及びいま判定対象となっているユーザjにおいて、各ユーザのM個の特徴量ベクトルが最も多く含まれているクラスを求める。
【0043】
ユーザi(i=1,…,Kt,j)の特徴量ベクトルxim(m=1,…,M)がどのクラスにクラスタリングされているかを、以下の式で判定する。
【数21】

は関数A(k)を最大にするkを求めるという意味であり、これによりM個の特徴量ベクトルが、それぞれどのクラスにクラスタリングされているのかが判明する。このため、その中で最も多く出現したクラスを、ユーザiのクラスとする。
【0044】
この結果、ユーザj及びKt人分のユ―ザのそれぞれがどのクラスにクラスタリングされているかを判定することができ、ユーザjを当該ユーザjと同一のクラスにクラスタリングされている、ユーザデータベース4の上記ユーザj’として判定する。
ステップS58においては、ユーザj’の特徴量ベクトルを更新する際に前記ユーザj’の特徴量ベクトルをユーザjの特徴量ベクトルを加算平均して置き換える。すなわち
【数22】

とする。
【0045】
以上詳述したように第1の実施形態では、判定対象となるユーザjの生体情報である容積脈波から特徴抽出部2により特徴量ベクトルを抽出し、クラスタリング部3Aにおいて、判定対象ユーザの容積脈波から抽出された特徴量ベクトルと、ユーザデータベース4に記憶されているKt人分のユーザの特徴量ベクトルとが、Kt個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す尤度、つまり評価関数値L(Kt)を算出する。また、上記抽出された特徴量ベクトルと、ユーザデータベース4に予め記憶されているKt人分のユーザの複数個の特徴量ベクトルとが、Kt+1個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す尤度、つまり評価関数値L(Kt+1)を算出する。そして、算出された評価関数値L(Kt)と評価関数値L(Kt+1)とを比較し、評価関数値L(Kt)が評価関数値L(Kt+1)より大きい場合に判定対象ユーザはユーザデータベース4に既に記憶されたユーザと判定し、評価関数値L(Kt)が評価関数値L(Kt+1)以下の場合には上記ユーザはユーザデータベース4にまだ記憶されていない新たなユーザであると判定して、その特徴量ベクトルをユーザデータベース4に追加記憶するようにしている。
したがって、予め正解となる情報を登録する手続きをユーザに行わせることなく当該ユーザの判定を行うことが可能となり、ユーザビリティの向上を図ることが可能となる。
【0046】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、パラメータデータベースを設けて、クラスタリング部においてユーザ判定の過程で推定されたパラメータを上記パラメータデータベースに記憶しておき、以後第1及び第2の尤度を計算する際に、そのパラメータを上記パラメータデータベースに記憶されたパラメータを用いて初期化するようにしたものである。
【0047】
図7は、この発明の第2の実施形態に係わるユーザ判定装置の構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0048】
この実施形態のユーザ判定装置は、脈波センサ部1、特徴抽出部2、クラスタリング部3B及びユーザデータベース部4に加え、パラメータデータベース5を備えている。
パラメータデータベース5は、クラスタリング部3Bによるユーザ判定処理の過程で推定された平均ベクトル及び共分散行列を記憶するために用いられる。クラスタリング部3Bは、ユーザデータベース4に特徴ベクトルが記憶されている全ユーザの平均ベクトルおよび共分散行列を、上記パラメータデータベース5に記憶させる。
【0049】
第1の実施形態において、クラスタリング部3Bはクラスタリング処理に際し、図6に示したステップS61においてパラメータの値を乱数をもとに初期化するようにしたが、この第2の実施形態では次の様に初期化する。
すなわち、先ず図5に示したステップS54において、(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをKt個にクラスタリングする際には、Kt個の正規分布の平均ベクトルと共分散行列の初期値として、パラメータデータベース5に記憶されている平均ベクトルと共分散行列を用いる。
【0050】
またステップS55において、(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをKt+1個にクラスタリングする際には、Kt+1個の正規分布の平均ベクトルと共分散行列の初期値として、パラメータデータベース5に記憶されている平均ベクトルに加えて、判定対象ユーザjのM個の特徴量ベクトルxjm(m=1,…,M)から
【数23】

を計算し、この計算値をKt+1個目の平均ベクトルの初期値とする。またそれと共に、
【数24】

を計算し、この計算値をKt+1個目の共分散行列の初期値とする。
【0051】
このようにすると、クラスタリング部3によるクラスタリング処理過程において、混合正規分布のパラメータである平均ベクトル、共分散行列及び混合比を少ない更新回数で収束させることができ、かつクラスタリングの精度を高めることができる。
【0052】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態は、図5に示したステップS56において、第1の尤度L(Kt)と第2の尤度L(Kt+1)とを比較する際に、Kt+1個にクラスタリングされることで推定されたKt+1個の平均ベクトルについて各要素の平方和を計算し、その計算結果としきい値を比較することにより判定対象ユーザがユーザデータベースに記憶されているか否かを判定するようにしたものである。
【0053】
クラスタリング部3Bは、ステップS56による第1の尤度L(Kt)と第2の尤度L(Kt+1)との比較に際し、Kt+1個にクラスタリングされることで推定されたKt+1個の
【数25】

を計算する。
【0054】
ここで、|a|はベクトルaの各要素の平方和を表す。すなわち、aがa1,…,aNという要素を持つN次元ベクトルであれば、
【数26】

である。
そこで、クラスタリング部3Bは予めしきい値を保持しておき、上記dk,k’をしきい値と比較して、1つでもしきい値以下となるdk,k’が存在した場合には、判定対象ユーザをユーザデータベース4に特徴量ベクトルが既に記憶されているユーザと判定する。
このようにすると、本来は判定対象ユーザjに該当するユーザの特徴量ベクトルがユーザデータベース4に既に記憶されているにもかかわらず、誤ってユーザjを新たなユーザとしてユーザデータベース4に再登録してしまう不具合を防止することができる。
【0055】
(第4の実施形態)
この発明の第4の実施形態は、ユーザの属性情報を記憶する属性データベースを設け、クラスタリング部において尤度の計算過程で算出された、判定対象ユーザの平均ベクトル及び共分散行列の推定結果をもとに上記属性データベースから上記判定対象ユーザの属性情報を検索し、上記判定対象ユーザの判定結果に付与するようにしたものである。
【0056】
図8は、この発明の第4の実施形態に係わるユーザ判定装置の構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図7と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
この実施形態のユーザ判定装置は、脈波センサ部1、特徴抽出部2、クラスタリング部3B、ユーザデータベース部4及びパラメータデータベース5に加え、属性判定部6及び属性データベース7をさらに備えている。この属性判定部6もまた、上記特徴抽出部2及びクラスタリング部3Bと同様に、プログラムをコンピュータに実行させることにより実現される。
【0057】
属性データベース7には、想定される複数種類のユーザ属性情報のテンプレートが予め記憶されている。図11は属性データベース7に記憶されたユーザ属性情報テンプレートの一例であり、各属性に対応した平均ベクトルと各属性に対応した共分散行列が記憶される。なお、属性としては年齢や性別が考えられるが、職業や趣味等、他のものであってもよい。
【0058】
属性判定部6は、クラスタリング部3Bにおいて尤度の計算過程で算出された判定対象ユーザの平均ベクトル及び共分散行列の推定結果を取り込み、この取り込んだ平均ベクトル及び共分散行列をもとに、上記属性データベース7から上記判定対象ユーザの属性情報のテンプレートを検索し、その結果をユーザの判定結果に付与する処理を行う。
例えば、上記取り込んだ平均ベクトルと属性データベース7に記憶された各属性に対応する平均ベクトルとの距離と、上記取り込んだ共分散行列と属性データベース7に記憶された各属性に対応する共分散行列との距離をそれぞれ算出する。そして、この算出された平均ベクトルの距離と共分散行列の距離との和が最小となる属性を上記属性データベース7から選択し、この選択された属性を判定対象ユーザjの属性として認識し、ユーザの判定結果と共に出力する。
【0059】
なお、上記平均ベクトルと属性データベース7に記憶された各属性に対応する平均ベクトルとの距離を算出する際には、上記平均ベクトルと属性データベースに記憶された平均ベクトルとの差分を求める。このとき差分は上記取り込んだ平均ベクトル及び属性データベース7の平均ベクトルと同じ次元を持つベクトルであることから、上記差分の各要素の二乗和を算出し、この二乗和の平方根をとることで求めることができる。
【0060】
また、上記取り込んだ共分散行列と属性データベース7に記憶された共分散行列との距離を算出する際にも、上記取り込んだ共分散行列と属性データベース7に記憶された共分散行列との差分を求める。このとき、差分は上記取り込んだ共分散行列及び属性データベース7に記憶された共分散行列と同じ次元を持つ行列であることから、上記差分の各要素の二乗和を算出し、この二乗和の平方根をとることで求めることができる。
【0061】
このような構成であるから、クラスタリングの過程において得られる混合正規分布のパラメータである平均ベクトル及び共分散行列を利用してユーザの属性を判定し、ユーザの判定結果とともに出力することが可能となる。
【0062】
(第5の実施形態)
この発明の第5の実施形態は、リモコン装置において判定対象ユーザの容積脈波を検出してその検出信号を第4の実施形態で述べたユーザ判定装置に送り、このユーザ判定装置において上記容積脈波の検出信号から特徴量ベクトルを抽出してクラスタリング処理を行うことで上記判定対象ユーザを判定すると共に、この判定過程で得られるパラメータをもとに上記判定対象ユーザの属性を判別する。そして、この判別した属性情報と、上記判定対象ユーザのコンテンツ視聴履歴とを通信ネットワークを介してコンテンツサーバ装置へ送り、コンテンツサーバ装置において上記送られた属性情報とコンテンツ視聴履歴とをもとに上記判定対象ユーザに対し推薦すべきコンテンツを選択して配信するようにしたものである。
【0063】
図9は、この発明の第5の実施形態におけるコンテンツ配信システムの全体構成を示すブロック図である。このシステムは、例えばセットトップボックス(STB)からなる設置端末装置20と、この設置端末装置20に対し操作信号を送信するリモートコントロール装置(リモコン装置)10と、上記設置端末装置20との間で通信ネットワーク50を介して通信を行うことが可能なコンテンツサーバ装置40と、上記設置端末装置20から出力されるコンテンツの映像を表示するディスプレイ30とから構成される。通信ネットワーク50は、例えばCATV(Cable Television)網又はIP網からなる。
【0064】
図10は上記システム各部の機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図8と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
リモコン装置10は、リモコン本来の構成に加え、容積脈波センサ部1を備えている。容積脈波センサ部1は、判定対象となるユーザj の一定期間にわたる複数周期分の容積脈波を検出し、この複数周期分の容積脈波の検出信号を1次元の数値により表したデータ系列に変換する。リモコン装置10は、上記変換された容積脈波検出信号のデータ系列を例えば赤外線又は無線を使用して設置端末装置20へ送信する。
【0065】
設置端末装置20は、第4の実施形態で述べたユーザ判定装置と同一の構成を有するユーザ判定ユニット21を備え、さらにコンテンツ視聴履歴付与部22と、視聴履歴データベース23と、設置端末装置送受信部24とを備えている。設置端末装置送受信部24は、コンテンツサーバ装置40との間で通信ネットワーク50を介してコンテンツデータを受信し蓄積するための処理を行う機能と、蓄積されたコンテンツデータをディスプレイ30へ出力して表示させる機能を備える。
【0066】
視聴履歴データベース23は、設置端末装置送受信部24に蓄積されたコンテンツデータの視聴履歴を表す情報を記憶するために用いられる。図12はこの視聴履歴情報の一例を示すもので、当該ユーザと当該ユーザが視聴したコンテンツ視聴履歴とが対応付けされて記憶される。
【0067】
コンテンツ視聴履歴付与部22は、上記設置端末装置送受信部24から現在視聴中のコンテンツに関する管理情報を取得すると共に、ユーザ判定ユニット21内の属性判定部6から出力された、属性情報が付与されたユーザ判定結果のうち、ユーザ判定結果と前記コンテンツに関する管理情報とを対応づけて視聴履歴データベース23に記憶させる機能と、上記視聴履歴データベース23に記憶された視聴履歴情報を読み出して上記設置端末装置送受信部24から通信ネットワーク50を介してコンテンツサーバ装置40へ送信させる機能とを備えている。
【0068】
コンテンツサーバ装置40は、コンテンツデータベース41と、推薦コンテンツ決定部42と、コンテンツサーバ装置送受信部43とを備えている。コンテンツサーバ装置送受信部43は、設置端末装置送受信部24との間で通信ネットワーク50を介してコンテンツデータを配信するために必要な通信を行う。
【0069】
コンテンツデータベース41には、配信対象となる多数のコンテンツデータと、その管理情報が記憶されている。図13はコンテンツデータベース41に記憶される管理情報の一例を示すもので、属性情報とジャンルを表す情報とコンテンツの識別情報とが相互に関連付けられている。
【0070】
推薦コンテンツ決定部42は、設置端末装置20から通信ネットワークを介して上記判定対象ユーザの属性および上記判定対象ユーザのコンテンツ視聴履歴情報を取得し、この取得した属性およびコンテンツ視聴履歴情報をもとに当該ユーザに対し推薦すべきコンテンツを選択する。そして、この選択されたコンテンツのデータをコンテンツデータベース41から読み出し、この読み出されたコンテンツデータをコンテンツサーバ装置送受信部43から通信ネットワーク50を介して設置端末装置20へ送信させる機能を有する。
推薦コンテンツ決定部42は、設置端末装置20から通信ネットワークを介してコンテンツ視聴履歴情報を取得し、この取得したコンテンツ視聴履歴情報に含まれるユーザの属性情報をもとに当該ユーザに対し推薦すべきコンテンツを選択する。そして、この選択されたコンテンツのデータをコンテンツデータベース41から読み出し、この読み出されたコンテンツデータをコンテンツサーバ装置送受信部43から通信ネットワーク50を介して設置端末装置20へ送信させる機能を有する。
【0071】
このような構成であるから、ユーザがコンテンツを視聴するためにリモコン装置10を操作すると、このときのユーザの指の容積脈波が容積脈波センサ部1により検出され、その検出信号が一次元の時系列データに変換されたのち設置端末装置20へ赤外線等により送信される。
【0072】
設置端末装置20のユーザ判定ユニット21では、上記容積脈波検出信号の時系列データを受信すると、先ず特徴抽出部2により特徴量ベクトルが抽出される。次にクラスタリング部3Bにおいて、ユーザデータベース4に記憶された過去の特徴量ベクトルと、パラメータデータベース5に記憶された過去に推定されたパラメータを用いて、図5及び図6に示した処理手順に従いクラスタリング処理が行われ、上記判定対象ユーザがユーザデータベース4に特徴量ベクトルが既に登録済みのユーザであるか又は未登録のユーザであるかが判定される。
【0073】
上記ユーザ判定処理が終了すると、その過程で推定された混合正規分布のパラメータのうち、平均ベクトル及び共分散行列が属性判定部6に取り込まれる。属性判定部6では、上記取り込んだ平均ベクトル及び共分散行列をもとに、属性データベース7から上記判定対象ユーザの属性情報を検索してユーザの判定結果に属性情報を付加する処理が行われ、この判定結果および属性情報はコンテンツ視聴履歴付与部22に与えられる。
【0074】
コンテンツ視聴履歴付与部22では、現在視聴中のコンテンツが、当該ユーザの視聴履歴情報として視聴履歴データベース23に記憶される。そして、例えばコンテンツサーバ装置40から視聴履歴の取得要求が到来すると、上記視聴履歴データベース23に記憶された視聴履歴情報が読み出され、設置端末装置送受信部24から通信ネットワーク50を介してコンテンツサーバ装置40へ送信される。なお、上記属性情報が付与された視聴履歴情報は、視聴履歴データベース23に新たに記憶された時点でコンテンツサーバ装置40へ送信するようにしてもよく、またリモコン装置10において次の視聴操作が行われたときに送信するようにしてもよい。すなわち、設置端末装置20から任意のタイミングで自律的にコンテンツサーバ装置40へ送信するようにしてもよい。
【0075】
コンテンツサーバ装置40では、上記視聴履歴情報が受信されると、推薦コンテンツ決定部42により、当該受信された視聴履歴情報及び当該ユーザの属性情報をもとに対応するコンテンツがコンテンツデータベース41から選択的に読み出され、この読み出されたコンテンツデータがコンテンツサーバ装置送受信部43から通信ネットワーク50を介して設置端末装置20へ配信される。
【0076】
例えば、視聴履歴情報をもとに判定対象ユーザjのコンテンツ視聴履歴の中で最も多く視聴されているコンテンツのジャンルが判定され、この判定されたジャンルと、当該ユーザの属性情報とに関連付けて記憶されているコンテンツデータが推薦コンテンツとして選択され、配信される。なお、上記ジャンルとしては、ニュースやスポーツ、芸能等が考えられる。上記配信された推薦コンテンツは、設置端末装置20の設置端末装置送受信部24に一旦蓄積された後、ディスプレイ30に送られて表示される。
【0077】
以上述べたように第5の実施形態によれば、判定対象ユーザの判定過程で推定される混合正規分布の平均ベクトル及び共分散行列をもとに、上記判定対象ユーザの属性が判別され、この判別された属性情報が上記判定対象ユーザの視聴履歴情報と共にコンテンツサーバ装置40へ送られる。そして、コンテンツサーバ装置40において、上記送られた視聴履歴情報と属性情報とをもとに上記判定対象ユーザに対し推薦すべきコンテンツが選択され、この選択されたコンテンツデータが設置端末装置20へ配信される。
【0078】
したがって、設置端末装置20のユーザ判定ユニット21においてユーザ判定の過程で推定される混合正規分布のパラメータを利用してユーザの属性を判定することができ、この判定された属性情報をコンテンツサーバ装置40に通知することにより、コンテンツサーバ装置40ではユーザの属性に対応したコンテンツを自動選択して配信することができる。
【0079】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記第5の実施形態では、ユーザ判定装置(設置端末装置)に特徴抽出部2を設けた場合を例にとって説明したが、リモコン装置10に特徴抽出部2を設け、この特徴抽出部2により抽出された特徴量ベクトルの情報をユーザ判定装置(設置端末装置)へ送信するようにしてもよい。
【0080】
また、第4及び5の実施形態では、ユーザ判定装置(ユーザ判定ユニット21)内に属性データベース7及び属性判定部6を設けた場合を例にとって説明した。しかし、これに限らず、属性データベース7及び属性判定部6をコンテンツサーバ装置40に設け、コンテンツサーバ装置40はこれらの属性データベース7及び属性判定部6により、設置端末装置20から転送されたユーザのパラメータをもとにユーザの属性を判定するようにしてもよい。
【0081】
その他、特徴抽出部2において容積脈波から特徴量ベクトルを抽出する処理の手順と内容、クラスタリング部3においてユーザ判定を行う処理の手順と内容、リモコン端末装置と設置端末装置との間及び設置端末装置とコンテンツサーバ装置との間の各通信手段、設置端末装置の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0082】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…脈波センサ部、2…特徴抽出部、3A,3B…クラスタリング部、4…ユーザデータベース、5…パラメータデータベース、6…属性判定部、7…属性データベース、10…リモコン装置、20…設置端末装置、30…ディスプレイ、40…コンテンツサーバ装置、21…ユーザ判定ユニット、22…コンテンツ視聴履歴付与部、23…視聴履歴データベース、24…設置端末装置送受信部、41…コンテンツデータベース、42…推薦コンテンツ決定部、43…コンテンツサーバ装置送受信部、50…通信ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの容積脈波から抽出された特徴量ベクトルを、複数のユーザ分記憶することが可能な第1の記憶手段と、
判定対象となるユーザの容積脈波から抽出された特徴量ベクトルが入力されるごとに、当該入力された判定対象ユーザの特徴量ベクトルと、前記第1の記憶手段に記憶されている1以上のKt 人数分のユーザの特徴量ベクトルが、Kt 個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第1の尤度を計算する第1の尤度計算手段と、
前記入力された判定対象ユーザの特徴量ベクトルと、前記第1の記憶手段に記憶されている1以上のKt 人数分のユーザの特徴量ベクトルが、Kt+1個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第2の尤度を計算する第2の尤度計算手段と、
前記計算された第1の尤度と第2の尤度とを比較する比較手段と、
前記比較の結果、第1の尤度が第2の尤度より大きい場合には、前記判定対象ユーザを前記第1の記憶手段に特徴量ベクトルが既に記憶されているユーザと判定し、それ以外の場合には前記判定対象ユーザをKt+1人目のユーザと判定してその特徴量ベクトルを前記第1の記憶手段に追加記憶させる制御手段と、
前記判定対象となるユーザの判定結果を表す情報を出力する判定結果出力手段と
を具備することを特徴とするユーザ判定装置。
【請求項2】
前記第1の尤度計算手段及び第2の尤度計算手段は、
(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルがK個のN次元正規分布から構成される混合正規分布から出現したと考える混合正規分布モデルを仮定して、当該混合正規分布を
【数1】

…(1)
と表し、かつこの混合正規分布を特徴付けるパラメータを、k番目の正規分布の中心を表す平均ベクトルμk 、k番目の正規分布の広がり具合を表す共分散行列Σk 、混合正規分布においてk番目の正規分布から特徴量ベクトルが出現する割合を表す混合比αkとそれぞれ定義したとき、前記各パラメータをそれぞれ初期化する第1の手段と、
(t+1)回目に更新されたパラメータを
μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t) …(2)
と表したとき、変数tを初期化したのち、現在のパラメータ値と前記(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをもとに、
γk(xiM;μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
(i=1,…,Kt,j、M=1,…,M、k=1,…,K)
…(3)
を計算する第2の手段と、
【数2】

…(4)
であるとき、前記計算されたγkを用いて平均ベクトルμk(t+1)
【数3】

…(5)
により更新する第3の手段と、
前記計算されたγを用いて、混合比αk(t+1)
【数4】

…(6)
により更新する第4の手段と、
前記計算されたγ及び前記(5)式により更新された平均ベクトルμk(t+1)を用いて、共分散行列Σk(t+1)
【数5】

…(7)
により更新する第5の手段と、
前記更新された平均ベクトルμk(t+1)、混合比αk(t+1)、共分散行列Σk(t+1)を用いて、dを
d=L(μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
−L(μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
ただし、
【数6】

…(8)
により計算する第6の手段と、
前記計算されたdの値を予め設定したしきい値と比較する第7の手段と、
前記比較の結果、dがしきい値より大きい場合には、前記変数tをインクリメントしたのち前記(3)乃至(8)式による計算を、前記dの値がしきい値以下に収束するまで前記第2乃至第7の手段に対し繰り返し実行させる第8の手段と、
前記比較の結果、前記dの値がしきい値以下に収束した場合に、
μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
…(9)
をパラメータの推定結果とし、このパラメータの推定結果を用いて
【数7】

…(10)
の値を算出して、この算出値L(K)を前記第1及び第2の尤度として出力する第9の手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載のユーザ判定装置。
【請求項3】
前記第9の手段により得られた各パラメータの推定結果を記憶する第2の記憶手段を、さらに具備し、
前記第1の手段は、
第1の尤度を計算する場合には、前記Kt個の正規分布の平均ベクトル及び共分散行列の初期値として、前記第2の記憶手段に記憶された平均ベクトル及び共分散行列の推定結果を設定する手段と、
前記第2の尤度を計算する場合には、前記Kt+1個の正規分布の平均ベクトルの初期値として、前記第2の記憶手段に記憶された平均ベクトルの推定値と、ユーザのM個の特徴量ベクトルxjm(m=1,…,M)から計算した
【数8】

を設定し、かつ前記Kt+1個の正規分布の共分散行列の初期値として、
【数9】

を計算し、この計算値を設定する手段と
を有することを特徴とする請求項2記載のユーザ判定装置。
【請求項4】
前記比較手段は、
前記第2の尤度計算手段においてKt+1個にクラスタリングされることで推定されたKt+1個の平均ベクトル
【数10】

を計算する手段と、
前記計算されたdk,k’を予め設定したしきい値と比較し、1つでもしきい値以下となるdk,k’が存在した場合には、前記判定対象ユーザを前記第1の記憶手段に特徴量ベクトルが既に記憶されているユーザと判定する手段と
を備えることを特徴とする請求項2記載のユーザ判定装置。
【請求項5】
複数のユーザの属性情報を記憶する第3の記憶手段と、
前記第1又は第2の尤度計算手段において尤度の計算過程で算出された前記判定対象となるユーザの平均ベクトル及び共分散行列の推定結果を、前記第3の記憶手段に記憶された属性情報と比較し、この比較結果をもとに前記判定対象となるユーザの属性情報を判定する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項2記載のユーザ判定装置。
【請求項6】
前記請求項5に記載されたユーザ判定装置と、このユーザ判定装置との間で通信が可能なリモートコントロール装置及びコンテンツサーバ装置とを具備し、
前記ユーザ判定装置は、前記判定対象となるユーザのコンテンツ視聴履歴情報を生成する手段を、さらに備え、
前記リモートコントロール装置は、
判定対象となるユーザの容積脈波を検出する手段と、
前記容積脈波の検出信号を前記ユーザ判定装置へ送信する手段と
を備え、
前記コンテンツサーバ装置は、
前記ユーザ判定装置から、前記判定対象となるユーザの属性情報及びコンテンツ視聴履歴情報を受信する手段と、
前記受信された属性情報及びコンテンツ視聴履歴情報をもとに前記判定対象となるユーザに対し推薦すべきコンテンツを選択する手段と
を備えることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項7】
判定対象となるユーザの容積脈波から抽出された特徴量ベクトルの入力を受け付ける過程と、
前記入力された判定対象ユーザの特徴量ベクトルと、予め第1の記憶手段に記憶されている1以上のKt 人数分のユーザの特徴量ベクトルが、Kt 個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第1の尤度を計算する過程と、
前記入力された判定対象ユーザの特徴量ベクトルと、前記第1の記憶手段に記憶されている1以上のKt 人数分のユーザの特徴量ベクトルが、Kt+1個の正規分布からなる混合正規分布モデルのもとで出現する確率を表す第2の尤度を計算する過程と、
前記計算された第1の尤度と第2の尤度とを比較する過程と、
前記比較の結果、第1の尤度が第2の尤度より大きい場合には、前記判定対象ユーザを前記第1の記憶手段に特徴量ベクトルが既に記憶されているユーザと判定し、それ以外の場合には前記判定対象ユーザをKt+1人目のユーザと判定してその特徴量ベクトルを前記第1の記憶手段に追加記憶させる過程と、
前記判定対象となるユーザの判定結果を表す情報を出力する過程と
を具備することを特徴とするユーザ判定方法。
【請求項8】
前記第1の尤度及び第2の尤度を計算する過程は、
(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルがK個のN次元正規分布から構成される混合正規分布から出現したと考える混合正規分布モデルを仮定して、当該混合正規分布を
【数11】

…(1)
と表し、かつこの混合正規分布を特徴付けるパラメータを、k番目の正規分布の中心を表す平均ベクトルμk 、k番目の正規分布の広がり具合を表す共分散行列Σk 、混合正規分布においてk番目の正規分布から特徴量ベクトルが出現する割合を表す混合比αkとそれぞれ定義したとき、前記各パラメータをそれぞれ初期化する第1の過程と、
(t+1)回目に更新されたパラメータを
μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t) …(2)
と表したとき、変数tを初期化したのち、現在のパラメータ値と前記(Kt+1)×M個の特徴量ベクトルをもとに、
γk(xiM;μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
(i=1,…,Kt,j、M=1,…,M、k=1,…,K)
…(3)
を計算する第2の過程と、
【数12】

…(4)
であるとき、前記計算されたγkを用いて平均ベクトルμk(t+1)
【数13】

…(5)
により更新する第3の過程と、
前記計算されたγを用いて、混合比αk(t+1)
【数14】

…(6)
により更新する第4の過程と、
前記計算されたγ及び前記(5)式により更新された平均ベクトルμk(t+1)を用いて、共分散行列Σk(t+1)
【数15】

…(7)
により更新する第5の過程と、
前記更新された平均ベクトルμk(t+1)、混合比αk(t+1)、共分散行列Σk(t+1)を用いて、dを
d=L(μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
−L(μ1(t),…,μK(t),Σ1(t),…,ΣK(t),α1(t),…,αK(t)
ただし、
【数16】

…(8)
により計算する第6の過程と、
前記計算されたdの値を予め設定したしきい値と比較する第7の過程と、
前記比較の結果、dがしきい値より大きい場合には、前記変数tをインクリメントしたのち前記(3)乃至(8)式による計算を、前記dの値がしきい値以下に収束するまで前記第2乃至第7の手段に対し繰り返し実行させる第8の過程と、
前記比較の結果、前記dの値がしきい値以下に収束した場合に、
μ1(t+1),…,μK(t+1),Σ1(t+1),…,ΣK(t+1),α1(t+1),…,αK(t+1)
…(9)
をパラメータの推定結果とし、このパラメータの推定結果を用いて
【数17】

…(10)
の値を算出して、この算出値L(K)を前記第1及び第2の尤度として出力する第9の過程と
を備えることを特徴とする請求項7記載のユーザ判定方法。
【請求項9】
前記請求項7又は請求項8記載のユーザ判定方法が備える過程を実現する処理を、コンピュータに実行させるユーザ判定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−175587(P2011−175587A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40787(P2010−40787)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】