説明

ユーザ嗜好推定システム

【課題】ユーザの移動行為そのものに基づいてユーザが興味を持つ対象を推定する技術を提供すること。
【解決手段】位置情報検知部101は、案内情報P10に関連付けられる地点付近でのユーザの移動状況をモニタする。その結果、ユーザが案内情報P10に関連付けられる地点付近で所定の時間以上滞留したり、或いは、当該地点付近で移動速度が著しく減少したと判断された場合には、このユーザは案内情報P10に興味を持っていると理解することができる。このような場合、ユーザプロファイル管理部107は、案内情報P10に、日時情報、目的地情報、移動履歴情報、分岐点で提示された情報、同行者情報などの諸情報の少なくともひとつをユーザプロファイル情報として付与し、ユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報記憶部105に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ嗜好推定システムに関し、特に、車両などで移動中のユーザが興味を持つ周辺情報を推定し、当該情報を種々の目で利用することを可能にするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サービスを提供する側にとって、顧客やユーザの興味や嗜好を的確に把握し、これらをサービスの提供に反映させることは、売上の増加やシェアの拡大を図る上で最も重要な要素のひとつである。
【0003】
しかし、顧客やユーザに対して個別に興味や嗜好を問う手法は時間と手間を要し、かかる調査にかける費用も多額となってしまう。しかも、このような調査は頻繁に行うわけにもゆかないから、変化の激しい顧客やユーザの興味や嗜好をup-to-dateで把握するということは容易ではない。
【0004】
つまり、顧客やユーザの興味や嗜好を知るに当たり、顧客やユーザに対して明示的な意思表示を要求する手法によっては、安価でありながらも正確で、しかもup-to-dateに興味や嗜好を知ることは困難である。
【0005】
ところで、近年では、数十個の質問に順次答えさせ、他人が心に思い浮かべていたものを連想して当てさせるゲームが存在する。このようなゲームでは、所定のルールが予め準備されており、当該ルールに従って上記の質問が生成されている。
【0006】
また、本のオンラインショッピングサイトなどでは、多数のユーザによる購入履歴を記録しておき、この購入履歴利用して、購入本の類似性の高さでユーザをクラスタリングするという手法が採られている。所定のクラスタに属するユーザは、その興味や嗜好も共通している蓋然性が高いと考えられる一方、異なるクラスタに属するユーザは、興味や嗜好も異なっている蓋然性が高い。そこで、同じクラスタに属するユーザに対しては、当該クラスタに属するユーザが多く購入している本を推奨することで、ユーザの興味や嗜好に合うであろうと思われる本の購入を促すのである。このような手法は、協調フィルタリングと呼ばれている。
【0007】
特許文献1(特開2004−21810号公報)には、情報に関する広告メールをユーザへ送信することで、協調フィルターを行うためのデータを収集する方法が開示されている。この方法では、ユーザがメールにある情報へのリンクにアクセスしたか否かを履歴情報として蓄積し、かつ情報の閲覧履歴を記録し、それらの履歴情報を統計処理することで、ユーザが興味を持つ情報を推定している。
【0008】
また、特許文献2(特開2003−16243号公報)や特許文献3(特開平8−137916号公報)では、ショッピング店舗内における顧客の移動状況を、顧客に発行したICカードや無線装置を利用して把握し、顧客が興味を持った対象を推定することで、顧客の興味や嗜好を推定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−21810号公報
【特許文献2】特開2003−16243号公報
【特許文献3】特開平8−137916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの方法は何れも、顧客やユーザに対して明示的な意思表示を要求することなく、顧客やユーザが暗黙的にとる行動に基づいて、興味や嗜好を推定している。
【0011】
しかし、従来のルールベースでの連想方法では、質問の内容は予め定められたものに限定される。従って、車両等で移動中のユーザに対して、移動経路沿いにある不特定の情報の中からユーザの興味や嗜好に合った情報を提供しようとしても、その前提となる適切な質問そのものの生成が困難である。また、協調フィルタリングベースの方法では、多くのユーザによる興味ある情報の選択情報を多く収集する必要があるが、かかる情報の収集は容易ではない。
【0012】
しかも、これらの手法は、ゲーム参加者への質問と回答を対話形式で行ったり、本の購入意思の明示がなされることを前提としているが、このような明示的な意思表示を必須とする手法により車両を運転して移動中のユーザに対して不特定の情報の中からユーザの興味や嗜好に合った情報を提供しようとした場合には、運転への注意が散漫となるなどの問題もある。
【0013】
尤も、音声認識などの手法を用いることにより、車両運転中でも安全な意思表示を可能とすることも考えられる。しかし、実際には、音声認識の誤りは発生し易く、ユーザが本来は意図していない意思表示として認識されることが少なからず発生する。そのため、ユーザの興味や嗜好に合致した情報の推定を高い精度で行うことは困難であり、結局はユーザから信頼されなくなったり、ユーザのストレスを誘発して運転に悪い影響を与える可能性があるなどの問題がある。
【0014】
また、特許文献2や特許文献3に開示されている手法は、ユーザに対して明示的な意思表示を要求しないという点では、上述したような問題は生じない。しかし、ユーザが車両等により屋外を移動する場合には、店舗などの屋内とは異なり、ユーザの位置のみからユーザが興味をもつ対象を判別・判定することは困難である。
【0015】
本発明は、上述したような従来の手法が抱える問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ユーザが黙示的に行う移動という行為のみに基づき、ユーザのストレス誘発や移動に関わる安全性を損ねることなく、ユーザの興味や嗜好に合致した情報の推定を高い精度で行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するために、本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、ユーザの移動行動に基づいて前記ユーザの嗜好を推定するシステムであって、その最も基本的な構成は、移動中のユーザの現在位置を検知する位置情報検知部と、前記ユーザの現在位置から目的地までの当初移動経路上にある交差点を地図情報として検索する交差点検索部と、所定の検索範囲内の地図上の特定の地点に関連付けられた情報を初期情報として記憶する案内情報記憶部と、前記ユーザが前記交差点から予め定められた距離以内に接近した際に、前記交差点を始点とする経路であって、前記当初移動経路とは異なる経路上にある特定の地点に関連付けられた情報を、案内情報として前記ユーザに提示する情報提示部と、前記ユーザに提示された案内情報のうち、前記ユーザが選択した経路上の案内情報をユーザ嗜好情報として記憶するユーザ嗜好情報記憶部と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記交差点から前記案内情報が対応付けられている地点への経路を検索して前記情報提示部により該経路を前記ユーザに提示させる経路検索部を備えている、態様としてもよい。
【0018】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザが選択した経路上の案内情報に、日時情報、目的地情報、移動履歴情報、同行者情報の少なくともひとつの情報を付与して前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させるユーザプロファイル管理部を備えている、態様としてもよい。
【0019】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザが選択した経路上の案内情報に対応付けられる地点の近傍で前記ユーザが停滞乃至減速した場合に、該案内情報を前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させるユーザプロファイル管理部を備えている、態様としてもよい。
【0020】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記案内情報を、予め定められた複数のカテゴリに分類して前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させるユーザプロファイル管理部を備えている、態様としてもよい。
【0021】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザプロファイル管理部は、前記当初移動経路とは異なる経路上の前記案内情報が複数ある場合に、該複数の案内情報の中から1つの案内情報を選択して前記情報提示部に提示させる、態様としてもよい。
【0022】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザプロファイル管理部は、前記交差点から前記案内情報が対応付けられる地点を経由した場合と当初移動経路を進んだ場合との経路長差分を算出し、該経路長差分が最小となる案内情報を選択して前記1つの案内情報の選択を行う、態様としてもよい。
【0023】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザに提示された案内情報に対応付けられる地点に至る経路が選択されなかった場合に、該選択されなかった経路の案内情報として提供した情報が属するカテゴリを判断し、該カテゴリに属する情報を前記初期情報から除外し、該初期情報の数が所定数以下となった場合に、残された初期情報を前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させる、態様としてもよい。
【0024】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザの過去の移動履歴を記憶するユーザ移動履歴記憶部を備え、前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザが許容する前記経路長差分の最大値を前記所定の検索範囲とする、態様としてもよい。
【0025】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザの過去の移動履歴を記憶するユーザ移動履歴記憶部を備え、前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶された前記ユーザ嗜好情報を、前記ユーザ移動履歴記憶部に記憶されたユーザの移動履歴情報に基づいて、空間的要素、時間的要素、目的地要素、同行者要素の少なくともひとつを含む諸要素毎の集団に分類する、態様としてもよい。
【0026】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザプロファイル管理部は、前記所定の検索範囲を情報のカテゴリ毎に設定する、態様としてもよい。
【0027】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザに同行者がいる場合には、所定の条件を満たさない案内情報の提示を禁止する、態様としてもよい。
【0028】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記情報提示部は、前記ユーザが前記案内情報に対応付けられる地点に所定の距離だけ接近した時に、該案内情報を再提示する、態様としてもよい。
【0029】
本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、さらに、前記経路沿いにある店舗の個別情報を取得する店舗情報取得部を備えている、態様としてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ユーザはシステムの提示する情報に対して明示的に回答を入力等して応答する必要がなく、ユーザの選択した経路のみに基づいて、間接的に興味や嗜好が推定される。そのため、ユーザは、システムの行う処理に注意を払う必要がなく、運転等への集中を阻害したり、同行者がある場合に会話などのコミュニケーションを中断させたりすることがない。
【0031】
また、システムがユーザの興味や嗜好を推定するに際して、音声認識のような認識精度の高くない手段を用いることがないため、誤った判断が生じる心配もない。
【0032】
さらに、ユーザの嗜好というプライベートな情報を、同行者に知られないようにすることができる。
【0033】
このように、本発明によれば、ユーザの移動行為そのものに基づいて、ユーザが興味を持つ対象を推定するため、移動に関わる安全性を損ねることがなく、かつ精度良く対象を推定することができる。また、このような推定結果は、店舗への立ち寄り推奨や商品購入推奨などのサービスにも利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のユーザ嗜好推定システムの構成例を説明するためのブロック図である。
【図2】実施形態のユーザ嗜好推定システムにおける処理の流れの一部を説明するためのフロー図である。
【図3】実施形態のユーザ嗜好推定システムにおける処理の流れの一部を説明するためのフロー図である。
【図4】出発地点Sから目的地Gへの移動距離が最小となるような経路L0である。
【図5A】経路L0を含む最小矩形領域を検索バッファーBBとした例である。
【図5B】経路L0から所定の距離以内の多角形領域を検索バッファーBBとする例である。
【図6】検索で得られた初期情報セットに含まれる案内情報を、検索用バッファー内領域の地図上に提示した例である。
【図7】分岐点CRと案内情報経由経路L1〜L10を求めた一例を示す図である。
【図8】分岐点CR付近の拡大図で、当該分岐点CRは4つの分岐方向(D1〜D4)を有している。
【図9】各案内情報Piに対応付けられた経路Liと、Liの経路を選択した場合に本来の移動経路L0から移動距離がどの程度増加するかの指標である経路長差分、および、各案内情報Piが分類されているカテゴリおよび属性を纏めたテーブルである。
【図10】絞り込みがなされて最終的に選択された案内情報がユーザに提示される様子を例示して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、図面を参照して、本発明のユーザ嗜好推定システムについて説明する。なお、以下では、ユーザが移動する手段は、自らが運転する自動車であるとして説明するが、本発明はこれに限定されず、例えば、鉄道やバスなどの予め決められた経路上を移動する乗り物であってもよい。さらには、徒歩、自転車、バイクなどであっても、移動経路が所定のネットワーク上のあるものであれば、本発明の適用が可能である。
【0036】
[第1の実施形態]
図1は、本発明のユーザ嗜好推定システムの構成例を説明するためのブロック図である。このユーザ嗜好推定システム100は、ユーザの移動行動に基づいてユーザの嗜好を推定するシステムであって、位置情報検知部101と、交差点検索部102と、案内情報記憶部103と、情報提示部104と、ユーザ嗜好情報記憶部105と、経路検索部106と、ユーザプロファイル管理部107を備えている。
【0037】
位置情報検知部101は、GPS衛星200との交信等により、移動中のユーザの現在位置を検知する手段である。
【0038】
交差点検索部102は、ユーザの現在位置から当初の目的地までの経路(当初移動経路)上にある交差点を地図情報として検索する手段である。
【0039】
案内情報記憶部103は、所定の検索範囲内の地図上の特定の地点に関連付けられた情報を、初期情報として記憶する手段である。
【0040】
情報提示部104は、ユーザが交差点から予め定められた距離以内に接近した際に、この交差点を始点とする経路であって、且つ、当初移動経路とは異なる経路上にある特定の地点に関連付けられた情報を、案内情報としてユーザに提示する手段である。
【0041】
ユーザ嗜好情報記憶部105は、情報提示部104によりユーザに提示された案内情報のうち、ユーザが選択した経路上の案内情報をユーザ嗜好情報として記憶する手段である。
【0042】
経路検索部106は、交差点から、情報提示部104によりユーザに提示された案内情報が対応付けられている地点に至る経路を検索して、情報提示部104により該経路をユーザに提示させる手段である。
【0043】
ユーザプロファイル管理部107は、情報提示部104により案内情報がユーザに提示された後に当該案内情報対応付けられている地点に至る経路が選択された場合に、この経路上の案内情報を、ユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報記憶部105に記憶させる手段である。なお、ユーザ嗜好情報には、案内情報を提示した日時の情報や、ユーザの当初目的地の情報、出発点からの移動履歴に関する情報、同行者がある場合にはその情報(同行者情報)等の諸情報(ユーザプロファイル情報)を、少なくともひとつを付与するようにしてもよい。
【0044】
ここで、同行者情報とは、ユーザのプライバシーを保護する等の目的で利用される情報であって、システムが備える認識装置(不図示)により同行者の有無を検知し、同行者ありと判断された場合には、案内情報として提示される情報にフィルターをかけ、同行者には知られたくない或いは知らせたくない内容等の情報の提示を制限するなどの目的に用いられる。
【0045】
以下に、本発明のユーザ嗜好推定システムにおける処理内容について説明する。
【0046】
図2および図3は、本実施形態のユーザ嗜好推定システムにおける処理の流れの一部を説明するためのフロー図である。
【0047】
先ず、ユーザが自ら自動車の運転を開始するとシステム100の処理が開始される(S101)。このとき、ユーザプロファイル管理部107は、ユーザ嗜好情報記憶部105を参照して、ユーザの過去の移動履歴に基づき、出発地点Sにおける目的地Gを推定し、目的地の設定を行う(S102)。なお、この目的地設定は、ユーザプロファイル管理部105の推定に拠らず、ユーザが自ら入力して実行するようにしてもよい。
【0048】
次に、目的地Gまでの移動経路を、所定の制約条件によって検索する(S103)。「所定の制約条件」とは、例えば、図4に示したように、出発地点Sから目的地Gへの移動経路として、その移動距離が最小となるような経路L0が検索される。
【0049】
次に、経路L0から、所定の検索用のバッファーBBを生成する(S104)。ここで、検索バッファーBBとは、情報検索を行うエリアである。図5Aは、経路L0を含む最小矩形領域を検索バッファーBBとした例である。図5Bは、経路L0から所定の距離以内の多角形領域を検索バッファーBBとする例である。この検索バッファーBBは、買物、運動、スポーツ等といった、情報カテゴリ毎に生成するようにしてもよい。
【0050】
また、検索バッファーBBは、例示した2つの形状には限定されず、経路L0と交差する単連結の最小被覆図形(MBR)を持つ任意の形状を選択可能である。以下では、簡単のため、すべての情報カテゴリについて、図5Aに示したもの、すなわち、経路L0を含む最小矩形領域を検索バッファーBBとして設定するものとして説明する。
【0051】
なお、検索用バッファーBBの形状や広さは、検索対象の情報が属するカテゴリに応じて決定されるようにしてもよい。例えば、ユーザプロファイル管理部107により、情報が属するカテゴリ毎に所定の検索範囲を設定させるようにしてもよい。
【0052】
ユーザプロファイル管理部107は、案内情報記憶部103に記憶されている案内情報の中から、検索バッファーBBに関連付けられた案内情報を、地図上の特定の地点に関連付けられた案内情報として検索する(S105)。そして、この検索の結果として抽出された案内情報のセットを、初期情報セット(I0)と定義付ける(S106)。
【0053】
図6は、上述の検索で得られた初期情報セットに含まれる案内情報を、上記検索用バッファー内領域の地図上に提示した例である。この例では、初期情報セット(I0)には、10個の案内情報(P1〜P10)が含まれている。
【0054】
次に、経路検索部106により、移動経路L0上にある経路ネットワークの分岐点を検索し(S107)、検索された分岐点の中から、現在位置から所定距離以上離れており且つ最も近い分岐点CRを求める(S108)。
【0055】
ユーザプロファイル管理部107は、経路検索部106に、この分岐点CRから初期情報セットI0に属する情報P1〜P10を経由する経路を検索させる(S109)。これにより検索された経路を、情報P1〜P10に対応付けてL1〜L10とする。
【0056】
図7は、このようにして分岐点CRと案内情報経由経路L1〜L10を求めた一例を示す図である。移動経路L0上にある経路ネットワークと該経路ネットワーク上の分岐点が検索され、ユーザの現在位置(V)から所定距離以上離れており且つ最も近い分岐点CRが求められ、さらに、情報P1〜P10を経由する経路としてL1〜L10が検索されている。
【0057】
ユーザプロファイル管理部107は、更に、分岐点CRでの分岐方向DがM個あるとすると、経路Li(上記例ではL1〜L10)のそれぞれを、これら分岐方向(D1〜DM)に対応づけてM個の集合に分類する。つまり、分岐点CRが4差路であれば、分岐方向Dは4個であるから、各分岐方向に対応づけて4つの集合に分類する(S110)。
【0058】
図8は、分岐点CR付近の拡大図で、当該分岐点CRは4つの分岐方向(D1〜D4)を有しており、D1方向には案内情報P2、P3が存在し、D2方向には案内情報P4、P5、P6、P9が存在し、D3方向には案内情報P7、P8、P10が存在し、D4方向には案内情報P1が存在する。つまり、案内情報P1〜P10は、E1={P2、P3}、E2={P4、P5、P6、P9}、E3={P7、P8、P10}、E4={P1}の4つの集合に分類される。
【0059】
ここで、上記4つの集合E1={P2、P3}、E2={P4、P5、P6、P9}、E3={P7、P8、P10}、E4={P1}は、それぞれ、初期情報セット(P1〜P10)から、他の集合に含まれる案内情報が除外されたものに他ならない。
【0060】
ユーザに対して案内情報がどのように提示されるかについては後述するが、仮に、ユーザが上記案内情報P1〜P10のうちの何れかの提示を受けたにもかかわらず、本来の移動経路であるD2の方向に直進したとする。この場合、このユーザは、集合E2={P4、P5、P6、P9}に含まれる案内情報に興味がある結果としてD2の方向に直進したとは限らないが、少なくとも、集合E1={P2、P3}、E3={P7、P8、P10}、および、E4={P1}に含まれる案内情報には興味がない蓋然性が高い。
【0061】
しかし、本来は直進する予定であったはずの分岐点CRで右折したとすると、このユーザは、右折先に存在するはずの場所に対応付けられた案内情報(P7、P8、P10)のうちの何れかに興味を持っている蓋然性が高い。同様に、分岐点CRで左折したとすれば、このユーザは、左折先に存在するはずの場所に対応付けられた案内情報(P2、P3)の何れかに興味を持っている蓋然性が高い。
【0062】
なお、このユーザが分岐点CRでバックしてD4の方向に進路を変更することも起こり得るが、その行為が、バックした先に存在するはずの場所に対応付けられた案内情報(P4)に興味を持っている結果である可能性は低いと考えられる。その理由は、案内情報P4は、分岐点CRに到達する前に、既にユーザに提示されているはずであり、かかる提示にもかかわらず進路変更することなく分岐点CRに到達したと考えられるからである。
【0063】
従って、ユーザの嗜好を推定するに際しては、分岐点CRにおいて本来の経路を変更した場合、つまり、図8において分岐点CRにおいて右折または左折するような場合に、どのような案内情報を提示すべきかが重要である。
【0064】
そこで、上記4つの集合のうち、本来の経路の変更と関係する案内情報を含む集合をフィルター情報セットとして定義する(S111)。上述の例では、左折に関係する集合E1={P2、P3}および右折に関係するE3={P7、P8、P10}がフィルター情報セット(F1={P2、P3}およびF3={P7、P8、P10})として定義付けされる。これらのフィルター情報セットは、ユーザに提示する案内情報を絞り込むために利用される。
【0065】
上述したとおり、ユーザの嗜好を推定するに際しては、分岐点CRにおいて本来の経路を変更した場合に、どのような案内情報を提示すべきか、上述の例では、フィルター情報セットF1={P2、P3}とF3={P7、P8、P10}のそれぞれから、どの案内情報をユーザに提示するかが問題となる。
【0066】
以下に、提示すべき案内情報の選別手法について説明する。なお、図8では、D2の方向を本来の進行方向としてあるが、仮に、本来の経路が当該分岐点CRにおいてD3方向に右折すべきものであったとしても、以降の議論は同様に行うことができる。
【0067】
図9は、各案内情報Piに対応付けられた経路Liと、Liの経路を選択した場合に本来の移動経路L0から移動距離がどの程度増加するかの指標である経路長差分、および、各案内情報Piが分類されているカテゴリおよび属性を纏めたテーブルである。ここで、属性は、すべての案内情報に共通の場合もあるし、カテゴリによって異なる属性である場合もあり得る。また、カテゴリは、属性の評価値(重要度)によって決定される従属的な情報であってもよい。
【0068】
このようなテーブルは、ユーザプロファイル管理部107により作成することができる。なお、図9には、初期情報セット(P1〜P10)のすべての案内情報の経路長差分、カテゴリ、および属性を示している。
【0069】
ユーザプロファイル管理部107は、フィルター情報セットF1={P2、P3}およびF3={P7、P8、P10}に含まれる案内情報それぞれの経路長差分を比較して(S112)、各フィルター情報セットにつき経路長差分が最小の案内情報を選択する(S113)。ここでは、フィルター情報セットF1からはP3が選択され、フィルター情報セットF3からはP10が選択されることになる。これらを提供案内情報セットと呼ぶことにする。この提供案内情報セットに含まれる案内情報がユーザに提示される(S114)。
【0070】
このように、ユーザプロファイル管理部107は、当初移動経路とは異なる経路上の案内情報が複数ある場合に、該複数の案内情報の中から1つの案内情報を選択して情報提示部104に提示させる。その選択の仕方には種々の方法があり得るが、上述の例では、ユーザプロファイル管理部107に、交差点から案内情報が対応付けられる地点を経由した場合と当初移動経路を進んだ場合との経路長差分を算出させ、該経路長差分が最小となる案内情報を選択して、提示する案内情報を、各経路について1つに絞り込むという手法を採用している。
【0071】
なお、ユーザに同行者がある場合には、上述の提供案内情報セットには、所定の制約条件が課せられる。この所定の制約条件とは、ユーザのプライバシーを保護する等のために設けられるもので、同行者と一緒にいるユーザには特定の案内情報の提示を禁止するためのものである。当該制約条件により提供案内情報セットに含まれる案内情報の提示が禁止された場合には、当該案内情報の次候補が選択され、最終的な提供案内情報セットとする。
【0072】
図10は、上述の手順で絞り込みがなされて最終的に選択された案内情報がユーザに提示される様子を例示して示す図である。情報提示部104は、ユーザが交差点(分岐点CR)から予め定められた距離以内に接近した際に、これらの案内情報P3とP10をユーザに対し提示する。なお、この提示は、カーナビなどの画面上に表示することはもちろん、音声情報として提示するようにしてもよい。画面表示を行う際には、安全性の観点から、デバイスはドライバが運転中に目視することが容易な位置に置かれることが好ましい。なお、このような提示は、交差点から予め定められた距離以内に接近した際のみならず、ユーザが案内情報に対応付けられる地点に所定の距離だけ接近した時に再提示するようにしてもよい。
【0073】
このような提供案内情報セットの提示に続き、位置情報検知部101は、分岐点CRを通過した後に、ユーザが分岐点CRにおいてどの経路(方向)へ進んだかを判定する(S115)。この経路が本来の移動経路L0である場合には(S116:No)、ステップS104に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0074】
ユーザが分岐点CRにおいて経路L0とは異なる経路に進んだ場合には(S116:Yes)、当該選択された経路を新たな移動経路として更新する(S116)。例えば、上述の例でユーザが分岐点CRにおいて右折したとすると、案内情報P10に至る経路L10が新たな移動経路となる。その後は、経路L10上にある次の分岐点を検索処理し、ステップS104に戻り、上述した処理を繰り返す。上述した処理を繰り返す。
【0075】
なお、ユーザが経路L10に進んだ場合には、このユーザは案内情報P10に興味を持った結果として移動経路を変更した蓋然性が高いから、案内情報P10に関連付けられる地点に所定の距離まで接近したタイミングで、再度、案内情報P10をユーザに提示するようにしてもよい。
【0076】
図3は、本発明のユーザ嗜好推定システムにおける処理の流れの他の一部を説明するためのフロー図である。
【0077】
位置情報検知部101は、案内情報P10に関連付けられる地点付近でのユーザの移動状況をモニタする(S118)。その結果、ユーザが案内情報P10に関連付けられる地点付近で所定の時間以上滞留したり、或いは、当該地点付近で移動速度が著しく減少したと判断された場合には(S119:Yes)、このユーザは案内情報P10に興味を持っていると理解することができる。このような場合、ユーザプロファイル管理部107は、案内情報P10に、日時情報、目的地情報、移動履歴情報、分岐点で提示された情報、同行者情報などの諸情報の少なくともひとつをユーザプロファイル情報として付与し、ユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報記憶部105に記憶させる(S120)。
【0078】
ここで、ユーザプロファイル管理部107は、案内情報を、予め定められた複数のカテゴリに分類してユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報記憶部105に記憶させるようにしてもよい。このようなカテゴリ分類を行っておくことにより、ユーザがどのような分野の情報に興味を持っているかを推定し易くなる。
【0079】
ところで、上述の例では、ユーザはフィルター情報セットF3={P7、P8、P10}に含まれる案内情報P10を選択して経路L10に進んだ。換言すれば、ユーザはフィルター情報セットF1={P2、P3}に含まれる案内情報P3は選択しなかった。これら案内情報P10と案内情報P3はそれぞれ、カテゴリAとカテゴリBに属する情報である。
【0080】
ユーザが案内情報P3を選択しなかった理由は不明であるが、当該ユーザにとって、少なくとも分岐点CRの近くでは、案内情報P3は興味が薄い若しくは無いカテゴリの情報である可能性がある。逆に、案内情報P10は、ユーザの興味をそそるカテゴリの情報である可能性がある。そこで、ユーザ嗜好情報記憶部に記憶されるユーザ嗜好情報に対し、カテゴリに関する重要度が管理されるようにしてもよい。つまり、案内情報が属するカテゴリにつき、ユーザにより選択される頻度に応じて重みづけ(重要度)を付して管理するようにしてもよい。
【0081】
また、このようなカテゴリによる取扱いを、ユーザの興味や嗜好に合致するであろう案内情報の絞り込みに利用するようにしてもよい。例えば、ユーザプロファイル管理部107は、提示された案内情報に対応付けられる地点に至る経路が、ユーザにより選択されなかった場合に、この選択されなかった経路の案内情報として提供した情報が属するカテゴリを判断し、該カテゴリに属する情報を初期情報から除外する。
【0082】
上述の例では、案内情報P3は、ユーザに提示はされたものの選択はされなかったから、案内情報P3は興味が薄い若しくは無いカテゴリの情報である可能性がある。つまり、このユーザにとっては、カテゴリBに分類される類の情報は、そもそも興味が薄い若しくは無い情報である可能がある。そこで、カテゴリBに分類される情報を初期情報から除外することするのである。
【0083】
その結果として残される初期情報は、何らかの理由でユーザに選択されたカテゴリに属するか、これまで提示された案内情報が属することがなかった案内情報であるかの何れかであるが、後者が仮にユーザにとって興味が薄い若しくは無い情報である場合には、上述した処理を繰り返すうちにやがて初期情報から除外されることになる。
【0084】
そこで、上記処理を繰り返した結果、期情報の数が所定数以下(例えば職情報数の10分の1以下)となった場合に、残っている情報をユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報記憶部105に記憶させるようにしてもよい。
【0085】
ユーザが移動するたびに上述した手順によりユーザ嗜好情報を収集することにすれば、ユーザ嗜好情報記憶部105にはユーザの興味や嗜好に合致する情報が蓄積されることとなる。そして、このような情報は、ユーザがドライブの途中で興味を持つ可能性の高い周辺情報を推定したり、ユーザが休憩等により自動車を停止した時点や目的地に到達した移動完了の後に、閲覧したり利用することも可能である。
【0086】
閲覧の形態としては、ユーザ嗜好情報として記録された案内情報に対応付けられる位置や、各案内情報が属するカテゴリの空間的な分布をクラスタリングしたものを、地図などの空間のベースとなるものの上に重畳して表示したり、時間軸に沿って表示することで、空間的あるいは時間的なユーザの嗜好の変化を把握することができるようにしてもよい。また、目的地やカテゴリごとにクラスタリングして表示してもよい。なお、情報カテゴリは、単層的な分類である必要はなく階層的なものであってもよい。
【0087】
このような閲覧情報は、通信機能を利用して他のユーザへ公開して共有できるようにしてもよい。また、上記ユーザ嗜好情報がオンラインショッピングサイトなどから提供された情報である場合には、そのサイトへアクセスして商品等を購入が可能なようにしてもよい。
【0088】
なお、本発明に係るユーザ嗜好推定システムは、上述の構成をすべて備える必要はない。その最も基本的な構成としては、位置情報検知部101と、交差点検索部102と、案内情報記憶部103と、情報提示部104と、ユーザ嗜好情報記憶部105を備えていれば、このシステムを利用する頻度に伴い、ユーザ嗜好情報記憶部105に記憶される情報も多くなり、その情報を利用してユーザの興味や嗜好に合致する情報を検索する等が可能となる。
【0089】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、フィルター情報セットF1={P2、P3}およびF3={P7、P8、P10}に含まれる案内情報の中から、経路長差分が最小となる案内情報をそれぞれ1つ選択してユーザに提示している。しかし、分岐点CRにさしかかったユーザに対し、進路変更した場合の案内情報を1つに絞り込む必要は必ずしもない。上述の例であれば、フィルター情報セットF1={P2、P3}およびF3={P7、P8、P10}に含まれる案内情報をすべて、ユーザに提示するようにしてもよい。
【0090】
この場合、ユーザが右折したとすれば、このユーザは案内情報P7、P8、およびP10の何れかに興味を持っている蓋然性が高い。そこで、先ず、上述と同様に、案内情報P10に関連付けられる地点に所定の距離まで接近したタイミングで、再度、案内情報P10のみをユーザに提示する。
【0091】
案内情報P10に関連付けられる地点付近でのユーザの移動状況をモニタした結果、ユーザが案内情報P10に関連付けられる地点付近で所定の時間以上滞留したり、或いは、当該地点付近で移動速度が著しく減少したと判断された場合には、このユーザは案内情報P10に興味を持っていると理解することができるから、案内情報P10には、日時情報、目的地情報、移動履歴情報、同行者情報などの諸情報の少なくともひとつがプロファイル情報として付与され、ユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報記憶部105に記憶される。
【0092】
しかし、ユーザが案内情報P10に関連付けられる地点付近で所定の時間以上滞留したり、或いは、当該地点付近で移動速度が著しく減少したと判断されない場合には、このユーザは案内情報P10には興味を持っておらず、案内情報P7又は案内情報P8のほうに興味を持っている可能性がある。
【0093】
そこで、このような場合には、案内情報P10ではなく、案内情報P7と案内情報8にプロファイル情報を付与して、暫定的なユーザ嗜好情報としてユーザ嗜好情報記憶部105に記憶するようにしてもよい。
【0094】
なお、分岐点CRにさしかかったユーザに対し、あまりにも多くの案内情報が提示されてしまっては、ユーザは混乱し、情報の選択を困難にするばかりか、安全な運転の妨げともなる。そこで、提示する案内情報の数、すなわち、上記の例であればフィルター情報セットF1={P2、P3}およびF3={P7、P8、P10}に含まれる案内情報の数を適度に絞り込むことが好ましい。
【0095】
このような絞り込みは、例えば、経路長差分が所定の値(閾値)を超える案内情報は、フィルター情報セットから除外するということにより行ってもよい。例えば、経路長差分が5を超える案内情報を除外することとすると、フィルター情報セットF3に含まれる案内情報P7は除外される。従って、ユーザに提供される案内情報は、フィルター情報セットF1に属するP2とP3、および、フィルター情報セットF3に属するP8とP10の4つとなり、案内情報の提供数は1つ減ることになる。
【0096】
以上、本発明のユーザ嗜好推定システムについて説明したが、さらに、ユーザの過去の移動履歴を記憶するユーザ移動履歴記憶部(不図示)を備えることとし、ユーザプロファイル管理部107が、ユーザが許容する経路長差分の最大値を所定の検索範囲として設定するようにしてもよい。
【0097】
また、ユーザプロファイル管理部107が、ユーザ嗜好情報記憶部105に記憶されたユーザ嗜好情報を、ユーザ移動履歴記憶部(不図示)に記憶されたユーザの移動履歴情報に基づいて、空間的要素、時間的要素、目的地要素、同行者要素の少なくともひとつを含む諸要素毎の集団に分類するようにしてもよい。
【0098】
さらに、本発明のユーザ嗜好推定システムを、経路沿いにある店舗の個別情報を取得する店舗情報取得部を備えている態様としてもよい。かかる構成とすれば、簡便な案内情報の内容では満足しないユーザが、より詳細な情報を独自に検索する際の利便性が向上する。
【0099】
なお、位置情報検知部101は、GPSのような衛星からの電波を受信する以外に、IDタグに記録された情報を読み込んで行う基地局との通信などを利用することができる。
【0100】
また、ユーザ嗜好情報記憶部105は、必ずしも、移動者が携帯するデバイスや移動手段内に設置される機器内に設ける必要はない。外部機器に設けられた記憶部を利用することとして、通信機能を利用して相互に情報のやり取りを行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
上述のとおり、本発明によれば、ユーザの移動行為そのものに基づいて、ユーザが興味を持つ対象を推定するため、移動に関わる安全性を損ねることがなく、かつ精度良く対象を推定することができる。また、このような推定結果は、店舗への立ち寄り推奨や商品購入推奨などのサービスにも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0102】
100 ユーザ嗜好推定システム
101 位置情報検知部
102 交差点検索部
103 案内情報記憶部
104 情報提示部
105 ユーザ嗜好情報記憶部
106 経路検索部
107 ユーザプロファイル管理部
200 GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動行動に基づいて前記ユーザの嗜好を推定するシステムであって、
移動中のユーザの現在位置を検知する位置情報検知部と、
前記ユーザの現在位置から目的地までの当初移動経路上にある交差点を地図情報として検索する交差点検索部と、
所定の検索範囲内の地図上の特定の地点に関連付けられた情報を初期情報として記憶する案内情報記憶部と、
前記ユーザが前記交差点から予め定められた距離以内に接近した際に、前記交差点を始点とする経路であって、前記当初移動経路とは異なる経路上にある特定の地点に関連付けられた情報を、案内情報として前記ユーザに提示する情報提示部と、
前記ユーザに提示された案内情報のうち、前記ユーザが選択した経路上の案内情報をユーザ嗜好情報として記憶するユーザ嗜好情報記憶部と、
を備えていることを特徴とするユーザ嗜好推定システム。
【請求項2】
さらに、前記交差点から前記案内情報が対応付けられている地点への経路を検索して前記情報提示部により該経路を前記ユーザに提示させる経路検索部を備えている、
請求項1に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項3】
さらに、前記ユーザが選択した経路上の案内情報に、日時情報、目的地情報、移動履歴情報、同行者情報の少なくともひとつの情報を付与して前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させるユーザプロファイル管理部を備えている、
請求項1又は2に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項4】
さらに、前記ユーザが選択した経路上の案内情報に対応付けられる地点の近傍で前記ユーザが停滞乃至減速した場合に、該案内情報を前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させるユーザプロファイル管理部を備えている、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項5】
さらに、前記案内情報を、予め定められた複数のカテゴリに分類して前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させるユーザプロファイル管理部を備えている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項6】
前記ユーザプロファイル管理部は、前記当初移動経路とは異なる経路上の前記案内情報が複数ある場合に、該複数の案内情報の中から1つの案内情報を選択して前記情報提示部に提示させる、
請求項3乃至5の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項7】
前記ユーザプロファイル管理部は、前記交差点から前記案内情報が対応付けられる地点を経由した場合と当初移動経路を進んだ場合との経路長差分を算出し、該経路長差分が最小となる案内情報を選択して前記1つの案内情報の選択を行う、
請求項6に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項8】
前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザに提示された案内情報に対応付けられる地点に至る経路が選択されなかった場合に、該選択されなかった経路の案内情報として提供した情報が属するカテゴリを判断し、該カテゴリに属する情報を前記初期情報から除外し、該初期情報の数が所定数以下となった場合に、残された初期情報を前記ユーザ嗜好情報として前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶させる、
請求項6又は7に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項9】
さらに、前記ユーザの過去の移動履歴を記憶するユーザ移動履歴記憶部を備え、
前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザが許容する前記経路長差分の最大値を前記所定の検索範囲とする、
請求項3乃至8の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項10】
さらに、前記ユーザの過去の移動履歴を記憶するユーザ移動履歴記憶部を備え、
前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザ嗜好情報記憶部に記憶された前記ユーザ嗜好情報を、前記ユーザ移動履歴記憶部に記憶されたユーザの移動履歴情報に基づいて、空間的要素、時間的要素、目的地要素、同行者要素の少なくともひとつを含む諸要素毎の集団に分類する、
請求項3乃至9の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項11】
前記ユーザプロファイル管理部は、前記所定の検索範囲を情報のカテゴリ毎に設定する、
請求項3乃至10の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項12】
前記ユーザプロファイル管理部は、前記ユーザに同行者がいる場合には、所定の条件を満たさない案内情報の提示を禁止する、
請求項3乃至11の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項13】
前記情報提示部は、前記ユーザが前記案内情報に対応付けられる地点に所定の距離だけ接近した時に、該案内情報を再提示する、
請求項1乃至12の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。
【請求項14】
さらに、前記経路沿いにある店舗の個別情報を取得する店舗情報取得部を備えている、
請求項1乃至13の何れか1項に記載のユーザ嗜好推定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−203501(P2012−203501A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65474(P2011−65474)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】