説明

ユーザ地において意識鎮静看護システムを用いることによって繰り返し発生する利益を電子的に追跡するための方法

【課題】医療または手術手法に伴われる患者の苦痛、不安、および不快を緩和するための看護システムおよびそれに関連した方法が提供される。
【解決手段】前記システム10は、患者に接続され、患者の少なくとも1つの生理学的症状を反映する信号を生成する少なくとも1つの患者健康モニタ(12a)と、1つまたはそれ以上の薬剤を患者に供給する薬剤送達コントローラ(2a)と、少なくとも1つの患者の生理学的症状のパラメータを反映する安全データセットを格納するメモリデバイス(14a)と、患者健康モニタ、薬剤送達コントローラ、および安全データセットの間で相互接続された電子コントローラ(14)とを有し、電子コントローラは、安全データセットに従って薬剤の投与を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザ地において意識鎮静看護システムを用いることによって繰り返し発生する利益を電子的に追跡するための方法に関するものである。
本発明は、包括的に、患者の苦痛および/または不安を緩和するための装置および方法に関する。特に、本発明は、苦痛な、もしくは不安を伴う医療または手術手法を受けている、または手法後のもしくは他の苦痛または不快に苦しんでいる意識のある患者に鎮静、鎮痛、および/または記憶消失を提供するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、控えめなソフトウェア管理によって、1つまたはそれ以上の患者の生理学的症状を電子的にモニタしながら、1つまたはそれ以上の鎮静剤、鎮痛剤、または記憶消失剤を送達することを電子的に一体化する。1つの形態において、本発明は、患者およびシステムの状態を反映する1つまたはそれ以上のセットの格納されたデータ定義パラメータの使用を含む。このパラメータは、ソフトウェアによってアクセスされ、薬剤の送達を、意識のある患者の生命兆候および他の生理学的症状に関連する安全かつ経済的な最適値に控えめに管理および相関させる。
【0002】
本発明は、苦痛、不快、もしくは恐ろしい(不安を駆り立てる)医療または手術手法を受けている意識のある患者、または手法後のもしくは他の苦痛または不快に苦しんでいる意識のある患者を、このような苦痛および/または不安から安全、効果的、かつ経済的に解放することに関する。本発明の焦点は、限定はされないが、鎮静(鎮静状態の誘導)、鎮痛(苦痛に対する感覚をなくすこと)、および/または記憶消失(総称して「意識鎮静」と呼ぶこともある)を、意識のある患者に、安全で、効果的、かつ経済的な様式で、麻酔士でない実施者(即ち、麻酔医(M.D.A.)でない医師もしくは他の臨床医、または有資格の看護麻酔士(C.R.N.A.)によって提供すること、鎮静、鎮痛、および/または記憶消失を、病院検査室、外来手術センター、および医師のオフィスなどの外来環境における患者に提供すること、患者の術後のまたは他の苦痛を遠隔医療看護地または家庭看護環境において緩和することを可能にすることを含む。これらの目的のために、本発明は、患者への1つまたはそれ以上の鎮静剤、鎮痛剤、または記憶消失剤の送達と、1つまたはそれ以上の患者の生理学的症状の電子的モニタリングとを、全体的な構造システムへの物理的近接および導入によって機械的に一体化し、控えめな決定を下すソフトウェアの管理によって電子的に一体化する。
【背景技術】
【0003】
従来の手術室では、麻酔医は、全身麻酔を提供することによって、患者を苦痛、恐怖、および生理学的ストレスから解放する。「麻酔」は、通常、「意識消失」の状態と区別なく用いられる(本明細書でもそのように用いられる)。しかし、10億を超える苦痛で不安を駆り立てる医療および手術手法が世界中で麻酔を用いずに毎年行われている。このように、麻酔の実施が行われずに、意識のあるまま、かなりの苦痛、深い不安、および/または生理学的ストレスを引き起こす医療または手術手法を受ける患者が現在多数いる。このような医療または手術手法は、病院検査室、医師のオフィス、および外来手術センターにおいて、処置を行う医師(麻酔士でない)によって頻繁に行われている。例えば、専門医は、意識のある患者に対して、ペースメーカーの埋め込み、結腸内視術、様々な放射線手法、マイクロ腹腔鏡、骨折整復、火傷部位における外傷用包帯の交換、および小児科患者における中央および動脈カテーテル挿入などの苦痛な手法を病院検査室環境において行う。主要な看護医師は、可撓性S状結腸鏡検査法、裂傷修復、骨髄生検、および他の手法などの手法を医師のオフィスにおいて行う。多くの手術専門医は、眼科医による前区修復、美容外科医による形成手法、異物除去、経尿道手法、首および腋窩の結節の切開、ならびに乳房生検などの苦痛な手法を医師のオフィスまたは外来手術センターで行う。このような手法中および手法後の安全かつ効果的な苦痛および不安の緩和に対する患者の要求は現在のところ満たされていない。
【0004】
上記のような医療または手術手法中に処置を行う医師(麻酔士でない)によって用いられる現在利用可能な意識鎮静技術としては、経口、直腸、または筋肉内で与えられる鎮痛剤およびオピオイド、静脈内投与される鎮痛剤および麻酔剤、ならびに局部麻酔剤が挙げられる。しかし、大抵の場合、このような技術は、満足のいくものではない。
【0005】
意識鎮静を提供する際の処置を行う医師による鎮痛剤およびオピオイドの経口、直腸、または筋肉内投与の場合、これらの薬剤の効果が患者の要求を満足するように容易に制御され得ることを確実にする効果的な手段は現在のところ得られない。これは、一部には、投与と、薬剤効果の開始および消失との間の可変インターバルによる。投与量と、患者の要求(患者の症状および行われる手法のタイプに依存して変化し得る)とが一致しないため、鎮静および鎮痛は信頼のできないものとなり得る。このような鎮静剤の投与はまた、意識のない患者を、気管障害、肺吸引による嘔吐、または心血管不安定を引き起こす危険な状態にし得る。これらの合併症を避ける試みとして、大抵の場合、処置を行う医師は、鎮静剤および鎮痛剤を控え目に投与する。これによって、主な合併症の危険性は低減し得るが、麻酔を実施しない医療および手術手法中にほとんどの患者は苦痛および/または不安から十分に開放されないことも意味し得る。
【0006】
病院の検査室、医師のオフィス、および他の外来環境などの環境における処置を行う医師による意識のある患者への鎮静剤および鎮痛剤の静脈内投与の使用も満足のいくものではない。静脈内ボーラス投与の場合、薬剤を血液流に直接注入する際、プラズマ濃度がかなり変化する。これによって、初期に過剰な(潜在的には、有毒な)レベルとなり、次いで、治療効果を上げるのに必要な量以下の濃度となり得る。静脈内投与された薬剤は、患者の要求に従って滴定され得るが、安全かつ効果的にこれを行うには、通常、訓練を受けた看護人(例えば、麻酔医)の常時付き添いが必要となる。とりわけコストおよびスケージュール調整の困難さにより、この選択は通常除外される。
【0007】
鎮静剤およびオピオイドの投与に伴う上記の困難さのために、処置を行う医師の多くは、苦痛緩和のために局部麻酔に頼る。しかし、局部麻酔だけでは、通常、大抵の医療および手術手法にとっては十分な鎮痛(苦痛に対する感覚をなくすこと)を提供できず、注射自体がしばしば比較的苦痛なものとなる。
【0008】
要するに、処置を行う医師が共通して現在利用できる、麻酔を実施せずに意識のある患者に効果的な苦痛緩和を提供するための方法は、通常、目標に達していない。さらに、現在、麻酔士でない者が、意識のある患者に対する苦痛および不安の緩和をガイドするための明確な実施基準が存在しない。意識のある患者に鎮静剤および鎮痛剤を提供したことにより発生し得るまたは結果として起こり得る合併症の診断および治療におけるこのような実施者用の十分な訓練が存在しない。苦痛で不安を駆り立てる医療または手術手法を受けている意識のある患者の看護に対して現在行われている質管理のための手順またはメカニズム、ならびにこのような看護に用いられるデバイスおよび方法は不十分である。
【0009】
本発明のさらなる焦点は、薬剤送達中の意識のある患者の生理学的症状の電子的モニタリング、および患者の生理学的症状を示す電子フィードバック値に薬剤送達を一体化かつ相関させ、安全で経済的な最適看護を確実にする控えめな決定を下すソフトウェアによる薬剤送達の電子的管理である。意識鎮静を伴うかなり多くの場合、薬剤送達およびそれからの回復中の患者の生理学的症状は、十分にモニタされず、電子的には全くモニタされない。即ち、大抵の場合、血圧および血液酸素飽和(酸素測定)などの基本的な患者の生命兆候の電子的モニタリングはなく、患者がガスを吸入し、吐き出す際の二酸化炭素レベル(カプノメトリ(capnometry))の電子的モニタリングもない。例えば、歯科医のオフィスで苦痛な手法を受けている患者は、苦痛を緩和するために一酸化二窒素(N2O)ガスを受け得るが、このような薬剤送達は、大抵の場合、患者の生理学的症状の電子的モニタリングを伴わず、現在、患者の電子的モニタリングをこのような薬剤送達メカニズムに安全かつ効果的に一体化するデバイスは麻酔士でない者には利用できない。
【0010】
病院の検査室における心臓病専門医が実践するカテーテル法などの、処置を行う医師による意気鎮静および鎮痛の提供を伴う他の状況では、電子患者モニタが用いられることもあるが、この場合もまた、現在、機械的に(構造システムへの密接した、物理的近接および導入による)、および電子的に(控えめなソフトウェア管理による)、電子患者モニタを薬剤送達のためのメカニズムに安全かつ効果的に一体化するデバイスは麻酔士でない者には利用できない。
【0011】
本願の発明の1つの態様は、患者の苦痛および不安の緩和の提供を複雑にする機器の特徴を除去し、麻酔士でない者が安全で経済的な最適意識鎮静および鎮痛を提供することができるようにする特徴を含むことによる、患者の苦痛および不安を緩和するための薬剤送達機械の簡略化に関する。さらに詳細には、全身麻酔を提供するために麻酔医によって用いられている現在の麻酔機械および「モニタされた麻酔看護」(MAC)として既知の麻酔医によって投与される意識鎮静の形態には、大量の酸素を過剰な圧力下で患者に提供し、患者から吐き出されたガスからCO2を吸収する二酸化炭素(CO2)吸収材を提供することが可能な酸素(O2)フラッシュ弁などの様々な複雑な特徴が含まれる。さらに、麻酔機械は、通常、悪性高熱を引き起こし得るハロゲン化麻酔ガスを送達する。悪性高熱は、稀であるが、迅速な診断および療法には麻酔医の高度な訓練および技術を必要とする非常に深刻な症状である。現在の麻酔機械における気管回路は、実質的に環状かつ自蔵式であり、患者は酸素/麻酔ガス混合物を吸入し、その混合物を吐き出し、吐き出された混合物は次にCO2吸収材を通過し、患者はその濾過されたガス混合物(さらなる麻酔および酸素を補給した)を再び吸入し、このプロセスを繰り返す。
【0012】
とりわけ、麻酔機械のこれらの態様は、患者にとってのリスクを伴い得る。そのリスクとは、麻酔機械が、技術上の不良モードの検出および補正に関して多年にわたる年季奉公を通じて訓練を受けた専門家(例えば、麻酔医またはC.R.N.A.)による動作を必要とするということ等である。例えば、酸素フラッシュ弁によって酸素が患者の胃に入り、嘔吐を起こさせ、二酸化炭素材料が不良を起こす可能性があるが、この場合、その不良がすばやく検出および補正されないと、患者は、過剰の二酸化炭素を受けることになる。さらに、自蔵型環状気管回路を用いることによって、O2の供給が突然停止し、O2または大気のさらなる必要量が投与されずに、患者は限られた酸素のみの供給下で呼吸するという事態になり得る。とりわけこのような特徴のために、麻酔士でない者は麻酔機械を使用することができない。従って、本発明のこの態様の焦点は、適切な特徴を選択かつ導入して、麻酔士でない者が安全なおよび効果的な意識鎮静を簡単に行うことができるようにすることによって、薬剤送達装置を簡略化することである。
【0013】
本発明の特定の態様はまた、1つまたはそれ以上の鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤を、意識があり、喉頭などに挿管がされず、自発的に換気する患者に送達している間に患者の意識レベルをモニタして気管の障害を防止することを含む、患者の意識を維持して気管の障害を防止することを確実にすることに焦点を置いている。人口呼吸器上で喉頭などに挿管がされていない患者にとっては、患者の意識レベルをモニタすることは、気管が押し下げられたときの反射作用および呼吸駆動による呼吸の可能性、患者の気管を維持する能力、および心血管不安定の可能性に関する情報を提供するために重要である。特定の医療環境において十分な意識レベルをモニタし維持することの重要性にもかかわらず、患者の意識レベルをこのように機械的かつ電子的にモニタすることを、薬剤送達システムに一体化することによって、患者の意識を確実に維持するためのデバイスは現在のところ得られてない。本願の発明は、このような満足されていない要求にも向けられている。
【0014】
本発明はまた、経済的かつ時間的にも効率的に、意識のある患者の苦痛および/または不安を緩和することに関する。薬剤送達による患者の苦痛および不安を緩和し、患者の生理学的症状を電子的にモニタするために現在用いられている解決策は、費用がかかり、設定および取り外しにかなりの時間がかかる。また、現在では、医療または手術手法中に麻酔医の付き添いが要求または望まれるため、特に、救急車の環境での看護に対して患者内での看護が望まれる場合には、コストが高くなる。このような看護(例えば、火傷部位における外傷用包帯の交換)を提供するための適切な方法およびデバイスが現在のところ利用可能でないために、十分な鎮静および鎮痛なしに意識のある患者に対して医療手法が行われる範囲においては、より数少ないより明瞭な手法を行うことに対して、このような手法は、(患者が苦痛のレベルに耐えられないために)短い時間にわたってであるが、多数の場合において行われる必要があり得る。多数の看護作業が必要となると、通常、コストも増加する。本発明は、このような経済面に関する問題に対処し、記載するような問題に対する解決法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、遠隔医療看護地およびホーム看護型環境において、術後または他の手法後の苦痛および不快からの緩和を提供することに関する。現在のデバイスは、例えば、ホーム看護型環境にある特定の患者が、患者制御薬剤送達デバイス(例えば、患者にボタンを押すかまたはスイッチを切り換えさせて、より多くの鎮痛剤を(大抵の場合、静脈内または経皮で)受けることを可能にするデバイス)を用いることによって、鎮痛剤の投与量を増加させることができるようにし得る。このような医療行為は、「PCA」または患者制御鎮痛と呼ばれることがある。既知の市販されているPCA型デバイスは、患者の生理学的症状の電子的モニタリングに従って、鎮痛剤の送達を電子的に一体化し、控えめに管理したりしない。本発明は、この満足されていない要求にも焦点を当てている。
【0016】
本発明の他の焦点は、以下の好ましい実施の形態の詳細な説明から明白となる。
【0017】
意識があり、喉頭などに挿管がされず、自発的に換気する患者に鎮静および鎮痛を提供するための、麻酔士でない者によって管理される既知の機械または方法は、信頼できず、経済的でなく、満足のいくものでもない。鎮静剤、鎮痛剤および/または記憶消失剤の送達を、患者の生理学的症状の電子的モニタリングに一体化および相関させることによって、このような患者に安全で経済的な鎮静、鎮痛、および記憶消失を信頼性をもって提供するデバイスは市販されていない。入手できる薬剤送達システムは、薬剤送達が、患者の生理学的症状(生命兆候を含む)に関連して電子的に控えめに管理されることを可能にするために、定義されたデータパラメータの安全セットを導入して、患者に対する安全で経済的な最適薬剤送達を実現することを行っていない。入手可能な薬剤送達システムは、麻酔士でない実施者を、薬剤送達の効果および危険を絶えず気にかけることから、安全にかつ信頼性をもって開放し、麻酔士でない者が目的とする医療検査および手法に集中することができるようにするアラーム警告を導入していない。さらに、薬剤投与量の調整に対する患者のリクエストおよび患者の生理学的症状の電子モニタリングを、(控えめなウェア管理によって)機械的および電子的に一体化および相関させる既知の患者制御鎮痛デバイスは存在しない。
【0018】
既知の技術は、生命兆候を含む患者の生理学的症状を十分にまたは全く電子的にモニタせず、このような患者モニタリングと薬剤送達との電子的一体化または相関なしに、鎮静および鎮痛を意識のある患者に送達することに焦点をおいている。他の技術は、意識のない患者への麻酔剤の提供に焦点をおいており、この場合、複雑で不良の発生が十分予想される麻酔機械を動作させるために麻酔医の付き添いが必要される。
【0019】
マトリックスメディカル社、アキュウトロン社(Matrix Medical, Inc., Accutron, Inc. )などによって製造されるような現在既知の一酸化二窒素の送達システムは、主に歯科医のオフィスにおいて、意識鎮静のみを提供するために用いられる。このようなデバイスは、一酸化二窒素および酸素の源、ガス混合デバイス、およびシステムモニタを含むが、患者の生理学的症状モニタと薬剤送達メカニズムとの機械的または電子的な一体化を有さない。同様に、例えば、病院の検査室で用いられる、意識のある患者に鎮静剤および鎮痛剤を提供するための他の既知の薬剤送達システム(例えば、静脈注入または筋肉内送達メカニズム)は、患者の生理学的症状モニタと薬剤送達メカニズムとの機械的または電子的な一体化を有さない。
【0020】
例えば、ノースアメリカンドラジャ(North American Drager)によって製造される「NARKOMED line」およびオーメダ社(Ohmeda Inc.)によって製造される「EXCEL SE ANESTHESIA SYSTEMS」などの、全身麻酔またはMACを提供するために麻酔医によって用いられる麻酔機械は、電子患者モニタと、薬剤送達メカニズムへの物理的近接とを機械的に一体化する。しかし、これらの機械は、とりわけ、環状気管回路だけでなく、O2フラッシュ弁、悪性高熱を引き起こす薬剤、CO2吸収材などの特徴部分を用いるため、命に危険をおよぼす事態の発生を避けるためにM.D.A.(またはC.R.N.A.)による動作を必要とする。これらのデバイスは、患者の生理学的症状のモニタリングに関連した薬剤送達の電子的な一体化または管理を提供せず、さらに言うまでもなく、確立された安全なデータ定義パラメータを導入する控えめな決定を下すソフトウェアまたは論理を通じた電子管理などは提供されない。
【0021】
特許文献1(Bellville)は、脳波計(EEG)によって得られる患者の皮質活性を示す電圧に基づいて、患者の無意識レベルを自動的かつ連続的に維持するためのサーボ制御薬剤送達デバイスを開示している。このデバイスは、脳電位の選択された周波数に応答して、麻酔ガスのフロー(またはIV注入)をロボット形式で連続的かつ自動的に増減し、一定の無意識レベルを維持する。
【0022】
特許文献2(Kobal)は、連続した苦痛刺激を鼻粘膜に与え、鼻の苦痛刺激に対する患者の応答を示すEEG信号に応答して麻酔レベルを調節することにより、麻酔剤を提供中の苦痛に対する患者の感度を測定するための、十分な無意識レベルを維持することを目的としたデバイスを開示している。
【0023】
とりわけ、上記の既知のデバイスはいずれも、薬剤送達を電子患者フィードバック信号および確立された安全データパラメータのセットに相関させる控えめな決定を下すソフトウェアまたは論理を用いて、意識のある患者への薬剤送達を管理しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第2,888,922号明細書
【特許文献2】米国特許第4,681,121号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、医師のオフィス、病院の検査室、もしくは他の救急車環境、または遠隔医療看護地において、意識のある患者に鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤を提供する装置と共に用いられる課金/情報システムの一体化に関する。自動化課金およびインボイス作成のための現在の技術では、本発明の装置のような医療デバイスを繰り返し用いた場合に得られる繰り返し発生する利益を追跡するための十分で効率的な方法は提供されない。
この発明は、医療デバイスを繰り返し用いた場合に得られる繰り返し発生する利益を追跡するための十分で効率的な方法を提供することができる、ユーザ地において意識鎮静看護システムを用いることによって繰り返し発生する利益を電子的に追跡するための方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この発明に係るユーザ地において意識鎮静看護システムを用いることによって繰り返し発生する利益を電子的に追跡するための方法は、
a)ユーザアクセスデバイスと、計測されたシステム動作値を示すデータおよび患者の情報データを格納するメモリデバイスとを有する医療装置を前記ユーザ地に提供するステップと、
b)前記メモリデバイスにアクセスすることを可能にするパスワードを前記装置に提供するステップと、
c)前記計測されたシステム動作値および患者の情報データを読み出し、前記値およびデータを遠隔地に送信するステップと、
d)前記システム動作値に基づいて利益を計算するステップと、
e)前記利益および患者の情報データを反映する記録を前記遠隔地に提供するステップと
を含むものである。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係るユーザ地において意識鎮静看護システムを用いることによって繰り返し発生する利益を電子的に追跡するための方法は、医療デバイスを繰り返し用いた場合に得られる繰り返し発生する利益を追跡するための十分で効率的な方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】麻酔士でない者による意識がある患者に対する鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤の提供を示す、本発明に従って構築された看護システム装置の好ましい実施の形態の斜視図である。
【図2】ユーザインターフェースおよび患者インターフェースデバイスを示す、本発明に従って構築された看護システム装置の好ましい実施の形態の斜視図である。
【図3A】本発明に従って構築された装置の好ましい実施の形態の側面図である。
【図3B】本発明に従って構築された装置の好ましい実施の形態の側面図である。
【図4A】本発明の概略ブロック図である。
【図4B】本発明の薬剤送達管理態様を示す概略データフロー図である。
【図5】本発明の好ましい実施の形態を示す図である。
【図6】本発明による薬剤送達システムの好ましい実施の形態を示す図である。
【図7A】本発明による薬剤源システムの好ましい実施の形態の詳細を示す図である。
【図7B】本発明による薬剤源システムの好ましい実施の形態の詳細を示す図である。
【図7C】本発明による薬剤源システムの好ましい実施の形態の詳細を示す図である。
【図8】本発明による電子混合器システムの好ましい実施の形態を示す図である。
【図9A】本発明によるマニホールドシステムの1つの実施の形態を示す図である。
【図9B】本発明によるマニホールドシステムの第2の実施の形態を示す図である。
【図10A】本発明による手動バイパスシステムの好ましい実施の形態を示す図である。
【図10B】本発明によるスカベンジャシステムの好ましい実施の形態を示す図。
【図11】本発明による患者インターフェースシスエムの好ましい実施の形態を示す図である。
【図12A】本発明に従って構築されたハンドクレードルデバイスの好ましい実施の形態の前面斜視図である。
【図12B】本発明に従って構築されたハンドクレードルデバイスの好ましい実施の形態の側面図である。
【図13A】本発明に従って構築されたハンドクレードルデバイスの好ましい実施の形態の後面斜視図である。
【図13B】本発明に従って構築されたハンドクレードルデバイスの好ましい実施の形態の後面斜視図である。
【図14A】本発明に従って構築されたハンドクレードルデバイスの他の実施の形態の前面斜視図である。
【図14B】本発明による患者薬剤投与量リクエストデバイスの上面図である。
【図15】ハンドクレードルデバイスおよび耳当て組み合わせ酸素濃度計/聴覚質問デバイスを含む、本発明の好ましい実施の形態の斜視図である。
【図16】本発明によるパルス酸素測定センサおよび聴覚質問を含む患者の耳内に配置された耳当ての側面図である。
【図17】本発明に従って構築された看護システム装置の他の好ましい実施の形態を示す図である。
【図18】本発明の好ましい実施の形態によるユーザインターフェースシステムを示す図である。
【図19A】本発明の好ましい実施の形態に含まれる様々な周辺デバイスを示す図である。
【図19B】本発明の好ましい実施の形態に含まれる様々な周辺デバイスを示す図である。
【図20】本発明による患者情報/課金システムの好ましい実施の形態を示す図である。
【図21A】本発明によるモニタされた患者パラメータを反映する3段階アラーム状態についての薬剤送達管理プロトコルの例を示す図である。
【図21B】本発明によるモニタされたシステム状態パラメータを反映する2段階アラーム状態についての薬剤送達管理プロトコルの例を示す図である。
【図22A】本発明によるユーザインターフェーススクリーン表示の第1の実施の形態を示す図である。
【図22B】本発明によるユーザインターフェーススクリーン表示の第2の実施の形態を示す図である。
【図23A】本発明による患者健康モニタに応答して、薬剤送達管理ソフトウェアまたは論理によって成し遂げられるステップの例を示すデータフロー図である。
【図23B】本発明によるシステム状態モニタに応答して、薬剤送達管理ソフトウェアまたは論理によって成し遂げられるステップの例を示すデータフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態1.
以下に例示する実施の形態は、網羅的ではなく、本発明を開示される形態通りに制限するものではない。実施の形態は、本発明の原理ならびにその応用および使用を説明し、これによって、当業者が本発明を製造かつ使用することができるようにするために選択および記載される。
【0030】
図1は、処置を行う医師による医療または手術手法を受けている、意識があり、挿管されておらず、自発的に通気する患者に対して、鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤を提供する、本発明に従って構築された看護システム10を示す。システム10は、ユーザおよび患者インターフェースデバイスを格納するための様々な格納コンパートメント16を有するほぼ円柱状のハウジング15、およびキャスター車輪18上で支持されているベース17を有する。薬剤送達システム40は、1つまたはそれ以上のガス状の鎮静剤、鎮痛剤、または記憶消失剤の混合物を、酸素(O2)ガスと組み合わせて、患者に送達し、一端がフェースマスク30に接続され、他端がハウジング15内に収容されたマニホールド弁システムに接続された一方向気管回路20を有する。図3Aおよび図3Bは、気管回路20、フェースマスク30、および患者の吐き出した掃気されたガスを安全なロケーションに排出させる排出ホース32を、側面斜視図で示す。
【0031】
図2を参照すると、リード線50は、1つまたはそれ以上の患者インターフェースデバイス(例えば、55)をハウジング15内に配置されたマイクロプロセッサをベースとした電子コントローラまたはコンピュータ(本明細書では、主要な論理ボード(MLB)と呼ばれることもある)に接続している。電子コントローラまたは主要な論理ボードは、とりわけ、テキサスインスティルメント(Texas Instruments)(例えば、XK21E)およびナショナルセミコンダクタ(National Semiconductor)(例えば、HKL72)によって製造されるような、市販のプログラム可能なタイプのマイクロプロセッサおよび他の「チップ」、メモリデバイスおよび様々なボード上の論理デバイスの組み合わせを含み得る。患者インターフェースデバイス55は、既知のパルス酸素濃度計、カプノメータ(図示せず)、非侵襲性の血圧モニタ、EKG、EEG、聴覚モニタ(図示せず)等などの患者の生理学的症状をモニタする1つまたはそれ以上の健康モニタ、本発明による質問開始および応答デバイス(以下に説明する)を含む自動化意識モニタリングシステム、ならびに患者薬剤投与量リクエストデバイス(これも以下に説明する)を含み得る。主要な論理ボードは、1つまたはそれ以上の患者健康モニタから受信した患者のフィードバック信号を薬剤送達に一体化および相関させる控えめな決定を下すソフトウェアによって装置10の動作を電子的に管理する。
【0032】
患者およびシステムパラメータ、ならびに装置の動作状態を表示する装置10の上表面に一体化された表示デバイス35、例えば、患者の生理学的症状および時間スタンプを有する様々なシステムアラームの状態を示す患者パラメータのハードコピーを印刷するプリンタ37、および医師が装置10と相互作用できるようにする遠隔制御デバイス45を含む、様々なユーザインターフェースデバイスもまた図1および図2に示される。様々な患者およびユーザインタ−フェースデバイスについては、以下にさらに詳細に説明する。
【0033】
本発明の特定の実施の形態は、1つまたはそれ以上の鎮静剤、鎮痛剤、または記憶消失剤をガスの状態で送達する形態で麻酔送達システム40を示しているが、本発明はまた、特に、このような薬剤が、霧状、蒸気状または他の吸入形態で静脈を介して、および/または既知のイオン転送原理を用いるなどの経皮により送達される実施の形態も含むことを認識されたい。看護システムによって送達され得る薬剤は、限定はされないが、一酸化二窒素、プロポフォール(propofol)、レミフェンタニル(remifentanil)、デキスメデタミジン(dexmedetamidine)、エピバタジン(epibatadine)、およびセボフルラン(sevoflurane)を含む。他の実施の形態を本明細書でさらに詳細に記載する。
【0034】
図4Aは、本発明の好ましい実施の形態の概略ブロック図である。図4Bは、本発明の好ましい実施の形態におけるマイクロプロセッサコントローラ14のソフウェア/論理制御によって行われる薬剤送達管理ステップを示す概略データフロー図である。図4Aにおいて、患者意識モニタリングシステムだけでなく、1つまたはそれ以上の患者健康モニタ12a(パルス酸素濃度計、カプノメータ、他の通気モニタ、非侵襲性の血圧モニタ、EKG、EEG等の1つまたはそれ以上の既知の患者の生理学的症状モニタを含み得る)は、上記のように、必要に応じて適切なA−D変換器を通して、電子コントローラ14に電子的に接続されている。患者健康モニタ12aは、電子信号に変換され、次いでコントローラ14に提供される実際の患者の生理学的データを示す電子フィードバック信号を生成する。ここで、図4Bを参照すると、電子コントローラ14は、例えば、適切なソフトウェアおよび/または論理を通して、受信された患者の電子フィードバック信号13bを、メモリデバイス(EPROMデバイスなど)に格納された安全データセット15bと比較する。
【0035】
格納されている安全データセット14a(図4A)は、安全なおよび望ましくない患者の生理学的症状を示す少なくとも1つのセットのデータパラメータを含む。実際にモニタされた患者の生理学的データ13bと安全データセット14aとの比較に基づいて、コントローラ14は、モニタされた患者の生理学的データが安全な範囲の外にあるかどうかを決定する(図4B、16b)。モニタされた患者のデータが安全範囲外である場合には、電子コントローラ14は、指示コマンド(信号)を薬剤送達コントローラ2a(図4A)に送信し、薬剤送達コントローラ2aに薬剤送達を控えめに管理する(例えば、減少させるか、または停止する)よう指示する(図4B、18b)。薬剤送達コントローラ2aは、当業者に既知の標準的なソレノイド弁型電子フローコントローラであり得る。
【0036】
以下に記載するように、本発明のさらなる実施の形態はまた、患者が制御する薬剤投与量の増減リクエストをコントローラ14に示す電子フィードバック信号の提供、および患者の生理学的パラメータおよび/または看護システムの状態に関してこのような患者のリエストを考慮した薬剤送達の電子管理の提供を考察する。
【0037】
図5は、本発明による看護システムの好ましい実施の形態のブロック図を示す。図5の鎮痛剤送達システム2は、ガス状の鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤(一酸化二窒素、セボフルラン、または霧状の麻酔剤など)と、酸素ガスとの混合物を患者に送達する。手動バイパス回路4(図6および図10Aにさらに詳細に示す)は、鎮痛剤送達システム2のマニホールドシステム部分に接続され、患者への大気送達の手動制御を可能にする鎮痛剤源をバイパスする。補助入口6は、鎮痛剤送達システム2に提供され、送達システム2へのガス状の薬剤または酸素の内部供給の提供を可能にする。スカベンジャシステム8(図10Bに詳細に示す)は、鎮痛剤送達システム2に接続され、患者から吐き出されたガスを収集し、それらを排出ホース32を通して安全なロケーションに排出させる(図3B)。
【0038】
患者インターフェースシステム12は、1つまたはそれ以上の患者健康モニタ(これらは、非侵襲性の血圧モニタ、または既知のパルス酸素濃度計、カプノメータ、EKG等などの既知の生命兆候モニタであり得る)、患者の意識レベルをモニタする手段、および/または例えば薬剤投与量の増減をリクエストすることによる、患者がシステム10(図1)と通信するための手段を含む。これらの1つまたはそれ以上の患者モニタリングおよびリクエストデバイスは、電子コントローラ14に電子的に接続され、A−D変換器を介して、患者の実際の生理学的症状および薬剤投与量リクエストを示すフィードバック信号を電子コントローラ14に提供する。コントローラ14は、この受信した電子フィードバックをメモリデバイスに格納されたデータと比較する。このデータは、1つまたはそれ以上の安全なおよび望ましくない患者の生理学的症状パラメータ(例えば、安全なおよび望ましくないO2飽和状態、最終的な一回CO2レベル、および/または患者の意識レベル)のセットを示す。これらのパラメータのセットを総称して、安全データセットと呼ぶ。この比較に基づいて、コントローラ14は、該パラメータに従って、安全で経済的な最適値で薬剤送達の控えめな適用を指示する。
【0039】
再び図5を参照する。ユーザインターフェースシステム16(図18および図22Aにさらに詳細に記載する)は、電子コントローラ14に格納されるか、または電子コントローラ14に提供される電子信号値を表示する。このような値は1つまたはそれ以上の患者の生理学的症状、患者の意識レベル、および/または様々な看護システム状態のパラメータを反映する。ユーザインターフェースシステム16は、キーボード230(図2)および/または遠隔制御ユニット45(図1)などの麻酔士でない者がコントローラ14を介して看護システムと相互作用する(例えば、患者情報を入力する、薬剤投与量を予め設定する、アラームを止める)ことを可能にするデバイスを含む。患者および看護システム情報は、グラフィカルおよび数値表示デバイス(例えば、35)(図1)、ハウジング15(図1)に設けられたLED、および/または遠隔制御ユニット45によって表示される。
【0040】
外部通信デバイス18(図19Aおよび図19Bにも記載する)は、電子コントローラ14および遠隔地におけるまたはローカルネットワーク上の外部コンピュータに対する、電子情報信号の送信および/または受信を可能にする。とりわけドアおよび温度センサなどの周辺デバイス22は、コントローラ14と電子的に通信し、看護システム10の適切、安全、かつ安定した動作を確実にする。
【0041】
以下、図5に概要が示される上記システムについて、さらに詳細に記載する。
【0042】
図6は、1つまたはそれ以上のガス状の鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤、酸素、ならびに大気の混合物を患者に提供する(それぞれの提供は、医師によって独立して(手動でおよび電子コントローラ14を介して)調節可能である)好ましい薬剤送達システム2(図5)の概要をさらに詳細に示す。薬剤送達システムは、薬剤源システム42、電子混合器システム44、およびマニホールドシステム40で構成される。
【0043】
薬剤源システム42は、1つまたはそれ以上のガス状薬剤および酸素の源を含み、空気圧系を通して電子混合器システム42に接続されている。薬剤源システム42はまた、電子コントローラ14に電子的に接続され、以下に記載するように、薬剤源システム42の1つまたはそれ以上の動作状態をモニタする(例えば、薬剤が流れているかどうかをモニタする)センサを有する。このようにモニタされたシステム情報は、適切な電子信号に変換され、電子接続を介して電子コントローラ14にフィードバックされる。
【0044】
電子混合器44は、空気圧系を通して1つまたはそれ以上のガス状の薬剤、O2、および大気を受け、これらを電子的に混合する。電子混合器44はまた、電子コントローラ14に電子的に接続され、また混合器44のシステム動作パラメータを反映する電子フィードバック信号を電子コントローラ14に提供するセンサを有する。混合器44は、コントローラ14からフロー制御指示信号を受信するソレノイドを有する電子フローコントローラを有する。
【0045】
マニホールドシステム46は、空気圧系を通して電子混合器44に接続され、電子混合器44から1つまたはそれ以上のガス状の薬剤、O2、および空気の混合物を受け、この混合物を気管回路20(図1)およびフェースマスク30(図1)を介して患者に送達する。マニホールドシステム46はまた、電子コントローラ14に電子的に接続され、マニホールドシステム46の動作パラメータを反映する電子フィードバック信号をコントローラ14に提供するセンサを有する。マニホールド46は、患者が吐き出したガスをスカベンジャシステム48に送達し、排出ホース32(図3B)を介して安全なロケーションに排出させる。
【0046】
図7A〜図7Cは、薬剤源システム42をさらに詳細に示す。図7Aを参照すると、鎮痛剤源システムは、1つまたはそれ以上の鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤の源を提供する薬剤源システム142、および酸素源を提供する酸素源システム144を有する。薬剤がガス状である本発明の態様においては、薬剤および酸素の源は、低圧力でガスを提供し、図2に参照符号54で示すもの、または内部源などのハウジング15(図1)に収容されたタンクであり得る。他の源を用いることができることによって、本発明の看護システムの有用性は向上する。なぜなら、システムは、内部ガス供給にアクセスする室内の源依存ユニットとして、または内部ガス接続を有さない室内の自蔵式ユニットとして機能することができるからである。
【0047】
本発明のさらなる態様では、薬剤源システム42は、以下のものを1つまたはそれ以上有し得る。即ち、モルヒネ、メペリジン、フェンタニール等などのエーロゾル化薬剤の送達を可能にする既知の噴霧器143、セボフルランなどのハロゲン化剤の送達を可能にする既知の蒸発器145、連続またはボーラス投与によって、プロポフォール、レミフェンタニル、および他の注入可能な薬剤などの薬剤の送達を可能にする(イオン転送をベースとしたデバイスを含む)既知の注入ポンプ型薬剤送達デバイス147または既知の経皮型薬剤送達デバイス149である。
【0048】
図7Bは、酸素源システムを詳細に示し、酸素タンクまたは酸素の他の源104および酸素ガスを電子混合器システム44(図7A)に送達するための空気圧系109を示す。酸素ライン109内のフィルタ106aは、酸素源104からの酸素流内の汚物を除去する。酸素ライン109内の圧力センサ106(既知のタイプおよび現在入手可能なものであり得る)は、酸素源104内の圧力をモニタし、それを反映する信号を生成し、それによって、残存する酸素の量を間接的に測定する。圧力センサ106は、電子コントローラ14に電子的に接続され、酸素源内の圧力測定値を反映する信号をコントローラ14に送る。好ましい実施の形態では、電子コントローラ14は、圧力センサ106から信号を受信し、ソフトウェアを通じて、メモリデバイス内に格納されたデータパラメータにアクセスする。パラメータは、O2動作圧力の安全なおよび望ましくない動作条件を確立する1つまたはそれ以上のセットポイントを反映する。コントローラ14は、実際のO2圧力と、格納されたパラメータセットポイントデータとを比較する。この比較によって、O2圧力が、格納されたデータによって確立された安全な範囲の外にある場合には、アラームまたは他の注意コマンドデバイスが作動し、これを手動で作動停止できない場合には、電子コントローラ14は、薬剤送達フローを予め設定された安全な量に減少する(または停止する)よう指示する。システム状態モニタに関するソフトウェア制御の動作については、図21Aおよび図23Bを参照しながらさらに詳細に記載する。
【0049】
酸素源圧力センサ106から得られた信号は、現在使用下の残り時間に関して、表示デバイス(例えば、図2の35)を介してユーザに関連づけられ、ユーザは、手法の完了が可能かどうかを確かめることができる。ユーザは、圧力が正常な動作条件外にある場合、アラーム、表示デバイス、または他の適切な注意コマンドデバイスによって即座に知らされる。圧力ゲージ108は、センサ106によって得られた酸素源圧力をユーザに視覚的に表示する。現在入手できる既知のソレノイド型または他の適切な調節器であり得る圧力調節器110は、酸素源104内の圧力を妥当な動作圧力に減少させ、O2のフローを患者に提供することができる。調節器110の下流側の酸素ライン109におけるチェック弁112(チェック弁は、標準の一方向型であり得る)は、患者の呼息の逆方向フローを防止し、このような逆フローが調節器110および酸素源104を損傷または汚染しないことを確実にする。内部酸素源105が用いられるシステムでは、遠隔チェック弁114は、患者の呼息からの逆フローが、内部酸素源105を損傷または汚染しないことを確実にする。圧力緩和弁116は、酸素ライン109内の圧力が、電子コントローラ14に予めプログラムされた安全な動作値を上回る場合には、大気に酸素を排出する。
【0050】
図7Cは、薬剤源システムを詳細に示し、好ましい実施の形態において、タンクまたは他の薬剤源204およびガス状の薬剤を電子混合器44に送達するための空気圧系209を有する。薬剤ライン209におけるフィルタ206aは、薬剤源204からの薬剤流内の汚物を除去する。薬剤ライン209内の圧力センサ206(既知のタイプおよび現在入手可能なタイプであり得る)は、薬剤源204内の圧力をモニタし、それを反映する信号を生成し、それによって、薬剤の量を間接的に測定する。圧力センサ206は、電子コントローラ14に電子的に接続され、薬剤源内の圧力測定値を反映する信号をコントローラ14に送る。酸素源圧力センサ106および図21Bおよび図23Bに関連して上述したように、好ましい実施の形態では、コントローラ14は、センサ206から信号を受信し、ソフトウェアを通じて、薬剤源圧力の安全なおよび望ましくない動作条件を反映する格納されたデータパラメータにアクセスし、該格納されたパラメータに従って薬剤送達を控えめに制御する。
【0051】
薬剤源圧力センサ206から得られた信号は、現在使用下の残り時間に関して、表示デバイス(例えば、図2の35)を介してユーザに関連づけられ、ユーザは、手法の完了が可能かどうかを確かめることができる。ユーザは、圧力が正常な動作条件外にある場合、アラーム、表示デバイス、または他の適切な注意コマンドデバイスによって即座に知らされる。圧力ゲージ208は、センサ206によって得られた薬剤源圧力をユーザに視覚的に表示する。現在入手できる既知のソレノイド型であり得る圧力調節器210は、薬剤源204内の圧力を妥当な動作圧力に減少させ、薬剤のフローを患者に提供することができる。調節器210の下流側の薬剤ライン209におけるチェック弁212は、患者の呼息の逆方向フローを防止し、患者の呼息からの逆フローが調節器210および薬剤源204を損傷または汚染しないことを確実にする。内部薬剤源205が用いられるシステムでは、遠隔チェック弁214は、患者の呼息からの逆フローが、内部薬剤源205を損傷または汚染しないことを確実にする。圧力緩和弁216は、薬剤ライン209内の圧力が、電子コントローラ14に予めプログラムされた安全な動作値を上回る場合には、大気に薬剤を排出する。
【0052】
安全性を向上させるために、既知のピン指標付き安全システム(P.I.S.S.)および/または直径指標付き安全システム(D.I.S.S.)は、タンクおよび/または内部源に対して、必要に応じて、O2源およびライン取り付け具のすべてに対して用いられ得る。これによって、例えば、酸素源104が薬剤ライン209に、および薬剤ライン209が酸素源104に誤って取り付けられることはない。
【0053】
図8は、ガス状の薬剤および酸素を電子的に混合し、ガス状の薬剤および酸素の正確な流量が患者に送達されるようにする好ましい電子ガス混合器システムを詳細に示す。本発明の電子混合器システムを用いることによって、本発明の装置の動作安全性は向上する。なぜなら、以下に記載するように、薬剤送達容量は、現在入手可能な電子フローコントローラによって閉ループ様式で電子的に制御され得るからである。電子フローコントローラは、ソレノイド型弁を有し、ソレノイド型弁は、電子コントローラ14からのコマンド信号に応答して、安全でない患者またはシステムの状態が発生したときに、患者への薬剤のフローを停止または減少させる。具体的には、鎮痛剤源システム42からの空気圧系109および薬剤ライン209は、ライン109および209におけるフィルタ125および127にガス状の薬剤および酸素をそれぞれ送達し、フィルタ125および127は、ライン109および209からの汚物を濾過する。システム状態モニタ、即ち、圧力センサ129および131は、酸素およびガス状薬剤のライン圧力をそれぞれモニタし、該圧力を反映する信号を電子コントローラ14に送信し、電子コントローラ14は、図21Bおよび図23Bにおいて上述した1つまたはそれ以上の安全なおよび望ましくないシステム動作状態を反映するパラメータを含む格納されたデータセットに従って、薬剤送達を控えめに制御する。また、いずれかの圧力が基準からはずれている場合、電子コントローラ14は、例えば、アラームデバイスで合図を送ることによって、ユーザに即座に警告する。
【0054】
ソレノイド弁を有する現在入手可能な既知のタイプであり得る電子フローコントローラ133および135は、電子コントローラ14に電子的に接続され、電子コントローラ14からの指示信号を受信する。電子コントローラ14は、酸素および薬剤の所望の流量でプログラムされ、および/またはこれを計算する。プログラムされた流量は、とりわけ標的制御注入原理をIV実施の形態で含む、薬剤投与量およびレートに関する従来の選択を用いる医師ユーザによって入力されるものであり得る。計算された流量は、実際の患者の生理学的症状フィードバック値と、安全なおよび望ましくない患者の生理学的症状を示す格納されたデータとの比較を含む、控えめな決定を下すソフトウェアプトロコルを通して到達され得る。薬剤送達は、フローコントローラ133および135によって閉制御ループ様式(以下にさらに詳細に記載する)で計算されるレートで行われる。薬剤投与は、1つまたはそれ以上の医師による入力および/または患者およびシステム状態パラメータに基づいた電子フローレート計算の組み合わせであり得る。フローコントローラは、電子コントローラ14または医師によって開始される指示信号に応答し得る。
【0055】
フローコントローラ133および135はシステム状態モニタ(上記の圧力センサ106および206など)ならびに患者状態モニタの電子出力を反映する、コントローラ14からの指示信号を受信する。フローコントローラ133および135は、コントローラ14からの指示信号に応答して、システム状態および/または患者健康モニタが、コントローラ14に、看護システム10の動作不良が発生したこと、システム10が確立された安全な状態以外の状態で動作していること、または患者の生理学的状態(例えば、生命兆候または意識レベル)が安全でない状態に悪化したことを示す際に、薬剤送達のフローを削減するかまたは停止し得る。
【0056】
本発明は、他の形態の薬剤送達に静脈内およびガス状送達を含むため、このような実施の形態はまた、電子コントローラ14に接続され、患者およびシステム状態を共に反映するコントローラ14からの指示信号に応答する既知の電子フローコントローラを含み得る。
【0057】
再び図8を参照する。ソレノイド弁132は、電子コントローラ14に電子的に接続され、ライン209を通して薬剤が流れる前に電子コントローラ14によって作動されなければならない。システムパワー不良の際、薬剤送達は、ソレノイド弁132のフェール閉鎖(fail-closed)性質のために停止する。これは、例えば、図21Bに示される。図21Bは、システム状態モニタがパワー不良を示す場合に、アラームタイプ「2」が鳴り、麻酔士でない者に警告し、薬剤送達が停止される(即ち、0%に減少される)ことを示している。
【0058】
さらに、薬剤ライン209内の圧力作動弁134は、O2ライン109内の圧力に応答し、十分な酸素が酸素ライン109を流れている場合にのみ、ガス状の薬剤のフローを可能にする。薬剤ライン209内のチェック弁136aは、マニホールドシステム46へのガス状の薬剤のフローが一方向であり、逆フローが存在しないことを確実にする。酸素ライン109内のチェック弁136bは、逆フローのないマニホールドシステム46へのO2の一方向フローを確実にする。
【0059】
大気ライン139では、空気入口ソレノイド弁137は、電子コントローラ14に電子的に接続され、電子コントローラ14によって作動され、作動された場合に、空気排出器138によって大気は酸素ガスと混合され得る。空気排出器138は、固定比の大気を酸素ライン109に排出する。フィルタ128は、空気ライン139から汚物を除去し、チェック弁136cは、空気のソレノイド弁137から排出器138への逆フローのない一方向フローを確実にする。
【0060】
マニホールドシステム46(図6)の1つの実施の形態を詳細に示す図9Aを参照する。電子混合器システム44(図6)からの薬剤/O2ガス混合物は、マニホールドシステム46に入り、吸息プレナム150に流れ、そこから吸息ライン151を通って、主要吸息弁(PIV)152に進み、最後に気管回路20およびマスク30(図1)まで進む。主要吸息弁152は、該ガス混合物の一方向フローを可能にし、患者から吐き出されたガスが、マニホールドシステム46(図6)の吸息側に入らないことを確実にし、それによって、起こり得る汚染から保護する。大気は、吸息負圧力緩和弁(INPRV)154を通して、吸息ライン151に入ることができ、吸息負圧力緩和弁154は、かなりの負の真空がマニホールドシステム46の吸息側に引き寄せられる場合(例えば、患者が全く酸素を吸入せずおよび受けないか、または十分な酸素を吸入せずおよび受けない場合)に、患者に到達するまでの大気の一方向フローを可能にする。INPRV154は、これによって、実質的に、患者の要求があり次第、空気を可能にする。INPRVフィルタ153は、空気ライン155または大気に存在し得る粒子を除去する。INPRV状態センサ156(既知の圧力、温度、赤外線、または他の適切なタイプであり得る)は、INPRV154の開/閉状態の程度をモニタし、適切な電子(ディジタル)信号に変換される信号を生成し、INPRV154の状態を電子コントローラ14に伝達する。患者の呼吸サイクルの呼息段階において、吸息貯蔵袋149は、薬剤/O2/空気の混合物を収集し、患者はこれを次の吸入段階で吸う。
【0061】
再び図9Aを参照する。圧力センサ166は、気管回路20(図1)内の圧力を測定し、気管フロー、即ち、主要吸息弁(PIV)152または主要呼息弁(PEV)168が閉塞されているかどうかを示すために用いられる。例えば、センサ166は、PEV168が阻止されていることを示す高圧力を読み出し、これに対して、低圧力は、PIV152が阻止されていることを示す。気管回路20(図1)はまた、吸息酸素画分(FIO2)センサ167(現在入手可能な既知のタイプであり得る)を含む。FIO2センサ167は、患者に送達される混合物に含まれるガスの酸素パーセンテージを測定し、低酸素混合物(即ち、患者に十分なO2を充分に提供しない薬剤/O2混合物)が患者に送達される可能性を防止する。INPRV状態センサ156、圧力/気管フローセンサ166、およびFIO2センサ167は、電子コントローラ14に電子的に接続され、システム状態パラメータを反映する電子フィードバック信号を電子コントローラ14に提供する。図21Bおよび図23Bにおいて示すように、コントローラ14は、ソフトウェアおよび/または論理を通して、これらのシステムモニタによって生成される信号と、安全なおよび望ましくないシステム動作状態を反映するセットポイントおよび/または論理型データによって確立されたシステムパラメータの格納されたデータセットとを比較し、この比較によって、看護システム10が安全な範囲外で動作していることが判明した場合、薬剤送達を控えめに制御する(例えば、減少または停止させる)。
【0062】
気管回路およびマスク(図9の20)は、患者とインターフェースで接続され、薬剤/O2ガス混合物を患者に送達するための閉回路を提供する。薬剤が圧縮ガス以外の形態(例えば、静脈内または経皮)で送達される本発明の実施の形態は、フェースマスク、気管回路の特徴部分、およびガス状の薬剤の送達に関連するその他の態様を含まなくてもよいことを認識されたい。薬剤がガス状で送達され、気管回路およびフェースマスクが用いられる場合、このようなフェースマスク、付随する気管回路、およびスカベンジャシステムなどの他の特徴部分は、ヒックル(Hickle)らに発行された、「Expiratory Scavenging Method and Apparatus and Oxygen Control System for Post-Anesthesia Care Patients」という名称の米国特許第5,676,133号に記載されている形態であり得る。(このような実施の形態に関しては、ヒックルらの明細書を本明細書では参考のために援用する)。
【0063】
好ましい実施の形態では、マスクは、使い捨てであり、患者の呼吸気流のCO2含有量をサンプリングするための手段、ならびに選択的に、患者の気流のフローを測定するための手段および/または聴覚モニタリング手段を有する。患者の気流におけるCO2のサンプリングは、マスクの入口を通じて、マスク内に設けられ、患者の気管に近接して配置されたカプノメータまたはルーメンによって、行われ得る。同様にマスク内に設けられた第2のルーメンも、患者の気流における空気フローを測定するために用いられ得る。この空気フロー測定は、現在入手可能な様々なデバイスによって成し遂げられ得る。このようなデバイスとしては、例えば、既知の抵抗素子にわたって気流内での圧力低下を測定し、既知の式を用いて空気フローを計算するデバイスが挙げられる。聴覚モニタリングのための手段は、ルーメン内にマイクが取り付けられたマスク内に配置されたルーメンであり得る。マイクは、増幅器を用いて患者の呼吸の可聴音を記録し、変換し、出力することを可能にする。聴覚モニタリング用のルーメンは、別個のルーメンであるか、または患者の気流のフローを計算するためのルーメンと組み合わせられ得ることに留意されたい。さらに、ルーメン、特にCO2サンプリングルーメンを患者の開口された気管に近接して配置し、このようなルーメンが患者の気管に近接して維持されることを確実することも重要であることに留意されたい。
【0064】
再び図9Aを参照する。呼息ライン172内の主要呼息弁(REV)168は、患者から吐き出されたガスのスカベンジャポンプシステム48への一方向フローを確実にし、これによって、スカベンジャシステムに吐き出されたガスが逆フローによって患者に戻るのを防止する。重要なことに、REV168は、吐き出された二酸化炭素の再呼吸を防止する。容易に理解できるように、本発明の好ましい実施の形態のマニホールド46および気管回路20は一方向気管フローのみを可能にする。即ち、環状の気管回路(吐き出された空気の再呼吸を可能にするためにCO2吸収材を必要とする)を用いる従来のデバイスと違って、本発明の本実施の形態では、吐き出されたガスの再呼吸はない。
【0065】
図9Aに示される本発明の実施の形態では、呼息ライン172における呼息正圧力緩和弁(EPPRV)164によって、十分な正の圧力がマニホールドシステムの呼息側に発生した場合に、吐き出されたガスは大気に逃げることができる。これは、例えば、患者が息を吐き出しているが、スカベンジャシステム48(図6)が閉塞されているか、または適切に動作していない場合に発生し得る。EPPRV164フィルタの下流側にあるEPPRVフィルタ175は、EPPRV164を通って流れる呼息流が大気に入る前に、その汚物を濾過する。呼息負圧力緩和弁(ENPRV)178は一方向弁であり、十分な真空圧力がマニホールドシステム46の呼息側に引き出される場合に、大気を呼息プレナム180、次にスカベンジャシステム48に引き出させることができる。これは、例えば、スカベンジャシステム48の真空ポンプが非常に高く設定されているか、またはPEV168が阻止されている場合に発生し得る。呼息貯蔵袋177は、呼息プレナム180を介して呼息している間に患者から吐き出されたガスを収集する。これらのガスは、次の患者の吸入段階でスカベンジャシステム48によって排出される。以下に詳細に記載するように、カプノメータ184などの患者の生命兆候モニタは、患者から吐き出されたガス中のCO2量をモニタし、患者の呼息中のCO2レベルを反映する電子フィードバック信号をコントローラ14に提供する。空気フロー測定器具、IPGデバイス、または聴覚モニタなどの他のタイプの通気モニタもまた、患者健康パラメータを反映する電子フィードバック信号をコントローラ14に提供するために用いられ得る。
【0066】
図9Bに示される他の好ましい実施の形態では、ENPRV164、フィルタ175、およびENPRV178は除去されている。貯蔵袋177と相互接続され、大気に対して開口されている長いパイプまたは同様の導管175aがその代わりに用いられている。弁164および175を除去することによって、さらに経済的かつ簡単なシステムが提供され、その一方で、パイプ175aを代わりに用いることによって、スカベンジャシステム48が閉塞されていたり、非常に高く設定されていたり、動作していなかったり、またはREV168が閉塞されている場合でも、大気にアクセスすることが確実になり、患者は部屋に対して息を吐くか、または空気はシステムに入り得る。適合性の高い貯蔵袋179はまた、吐き出された空気の過剰なフローの捕捉を助ける。この簡略化された実施の形態では、実質的に3つの弁、PIV152、REV168、およびINPKV154のみが存在する。
【0067】
上記のように、システム弁PIV152およびPEV168は、吸息および呼息ガスの一方向フローを確実にする。患者は、吐き出されたガスを再呼吸することはできず、汚物は源システムに入ることはできない。弁システムINPRV154、EPPRV164、およびENPRV178(または他のINPRV154およびパイプ)は、システムのフェールセーフを提供する。鎮痛源システム42(図6)またはスカベンジャシステム48(図6)が不適切に機能している場合、弁は開口し、患者はそれほどの努力をせずに呼吸することができる。システム状態センサ156、166、および167は、INPRV弁状態、ガス圧力、および吸息酸素の分画などのシステム動作をモニタし、これらの動作の状態を反映する信号をマイクロプロセッサコントローラ14に電子的にフィードバックし、装置の安全な動作を確実にする。
【0068】
マニホールドシステム46の好ましい実施の形態におけるINPRV154とENPRV178との間の弁およびセンサは、システム状態モニタリングシステムと見なされ得ることに留意されたい。なぜなら、電子コントローラ14のソフトウェアによって制御される弁はないからである。看護システム10内のこの点において、ガスはすでに混合され、容量はフローコントローラ133、135(図8)によって決定されている。マニホールドシステム46(図6)は、少なくとも2つの基本的なサービス、FiO2およびCO2(図9の167、184)のためのセンサ入力、およびフローセンサ166(図9)から得られるフロー状態を提供する。
【0069】
コントローラ14による適切な薬剤送達/フローパーセンテージの決定は、様々な方法によって成し遂げられ得る。初期の薬剤投与量およびレートは、従来の方法を用いる医師によって選択および入力され得る。医師はまた、薬物動力学/薬力学を用いて、医師の選択に基づいて、結果として得られる薬剤の濃度およびその効力を予想し得るが、医師からの指示なしに薬剤の濃度を自動的変化させることは許可しない。静脈内の実施の形態では、既知の標的制御注入技術は、医師が、身長、体重、性別、および/または年齢などの患者のパラメータに基づいて、所望の(標的の)血清または脳効果部位濃度を選択する場合に用いられ得る。
【0070】
システムまたは患者健康モニタアラームの作動、または医師もしくは患者による薬剤増加のリクエストなどの内部または外部事象が発生する場合にシステムを動作する間に、電子コントローラ14は、静脈内薬剤の所望の量(または全ガスフロー中のO2、ガス状の薬剤、および空気の画分量)をこのような事象の関数として決定する。次に、実際のIV薬剤濃度(またはガス状薬剤/O2/空気画分)が計算される。これらの実際に計算された量は、(例えば、ユーザ、患者、またはシステムによって)リクエストされたものと必ずしも同じではない。なぜなら、薬剤または薬剤およびガス混合物の間の関係が大抵の場合複雑であるためである。要するに、薬剤混合画分は、例えば、アラームレベルが変化するとき、アラームタイムアウトが発生するとき(例えば、ユーザによって初期アラームが停止されないとき)、ユーザが変更をリクエストするとき、患者が変更をリクエストするとき、手法が始まるとき(システムはデフォルト値に頼る)、およびコントローラクロックがトリガされるときに通常計算される。
【0071】
ガス状薬剤を送達する本発明の好ましい実施の形態では、混合器44(図8に詳細に示す)におけるフローコントローラは、制御される各ガス(即ち、ガス状の薬剤、酸素、および大気)の容量の合計である新鮮な全ガスフロー(FGF)を決定する。ソレノイド弁は、調和して開口し、各ガスの所望のFGFおよび画分量を成し遂げる。フローコントローラ133、135は、マニホールドシステム46内のFiO2および吸息ガス状薬剤の画分を測定し、それに従って混合器ソレノイド弁を調整することによって、ガス画分上のフィードバックループを閉じる。
【0072】
本発明の1つの態様では、フローコントローラ133、135は、FGFを患者の1分換気レートに一致させる。1分換気レートは、人が1分間に吸入および吐き出す息の(例えば、立法センチメートルまたはミリリットルにおける)容量である。患者の呼吸生理学は、この1分換気においてバランスが保たれる。看護システムは、ガス送達を1分換気レートに一致させることによってFGFレートを最適にする。これによりガス供給は維持され、動作環境への麻酔ガスの放出は最少に抑えられ、呼吸機能のバランス補助が行われる。例えば、FGFが1分換気よりも小さい場合、INPRV154は、開口して、空気フローを補給する(INPRV154は、電子制御下でない場合には機械的システムとなる)。
【0073】
本発明のさらなる態様では、看護システムは、上記のように1分換気を単に測定およびモニタするだけではなく、「効果的な1分換気」を測定およびモニタし、それによって、システムによって考慮される患者の生理学に関する量的な情報を向上させる。「効果的な1分換気」は、本明細書では、(単に人が吸入および吐き出す容量である「1回容量」に対して)、肺の肺胞嚢と、この肺胞嚢の周囲の毛細管血との間の呼吸ガス交換に実際に伴われるガスの量を意味するものとして使用される用語である。この測定は、空気源(例えば、口)と肺胞嚢におけるガスの転送との間に配置された(患者の身長および体重から推定される)解剖学上の空間の容量を、ガスの1回容量から減算することによって、「効果的な1回容量」を得ることによって成し遂げられ得る。次に、効果的な1回容量を呼吸レートで乗算することによって「効果的な1分換気」が得られる。
【0074】
図10Aは、マニホールドシステム46に接続された手動バイパスシステム4(図5)の詳細を示す。バイパスシステム4は、自己膨張蘇生袋(SIRB)19a(図3Bにも示される)を有する。SIRB19aは、ユーザがバイパス空気ライン90を通して絶え間なく患者に空気を提供することができる手動ポンプである。(上記のHickleに開示されているような)迅速切断型取り付け具91は、SIRB91aをマニホールドシステム46に接続し、迅速に取り付ける。手動フロー制御弁92は、バイパス空気ライン90を開閉する。ライン90が開口しているとき、手動フロー制御弁92は、必要な空気フローを提供するように調整され得る。バイパス空気ライン90に配置されるフローメータ94は、バイパス空気ライン90を流れる空気の状態をユーザに視覚的に表示する。上記の手動バイパスシステム4は、患者に空気の手動制御フローを提供し、酸素源システム144(図7A)に不良が発生した場合に空気送達を可能にする。
【0075】
図10Bは、スカベンジャポンプシステム48(図6)の詳細を示す。スカベンジャポンプシステム48は、看護システムに一体化され、スカベンジャライン85を通してマニホールドシステム46から吐き出されたガスを排気する。スカベンジャライン85内のフィルタ86は、患者から吐き出され、スカベンジャライン85を流れるガスからの汚物を除去する。圧力調節器87は、濾過されたガスを受け、真空圧力が妥当に作動するレベルで下流側の真空ポンプ95内で維持されることを確実にする。フローリストリクタ88は、真空ポンプ95を通した流量を所定の真空圧力に設定する。フローリストリクタ88の下流側のチェック弁89は、掃気されたガスの一方向フローを提供し、下流側にある真空ポンプ95からスカベンジャシステム48に不注意に逆流が発生しないことを確実にする。真空ポンプ95は、患者から吐き出されたガスを掃気するために必要な真空圧力を提供する。ポンプは、オフィス標準AC電流によってパワーが与えられ得る電気的タイプであり得る。真空ポンプは看護システムに一体化されるので、壁真空源(ORにおいて通常使用されるものなど)は必要ない。一旦ガスが排気されると、排出ホース32(図3B)を介して、適切なエリアに排出される。スカベンジャシステム48は、システムが患者の呼吸作業を助けること、および作業環境の安全性が向上することの少なくとも2倍の利点を有する。
【0076】
好ましい実施の形態では、嘔吐アスピレータ19(図3B)はシステム10に一体化され、ハウジング15内に格納され得る。嘔吐アスピレータ19は、嘔吐の際、患者の気管から吸い上げるために用いられる手動で動作されるデバイスである。嘔吐アスピレータ19は、外部真空源(例えば、壁吸い上げ)または動作のための電力を必要としない。
【0077】
本発明の安全性を向上させるために、ハウジング15は、ハウジング15内で嘔吐アスピレータ19が格納されているところ(図3B)に隣接して、またはその近隣に一体化される構造体を有し、様々な鎮静剤/鎮痛剤の効果を逆転させることが可能な薬剤の容器を保持および目立つように表示する。これらのナロキソン、レマジコン(remazicon)等の「逆薬剤」は、鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失剤の過剰投与が生じた際に即座に患者に投与され得る。
【0078】
図11を参照する。本発明の好ましい実施の形態は、1つまたはそれ以上の患者健康モニタ252(図示されるものに対するさらなる健康モニタも本発明によって考察される)と、患者薬剤投与量増減リクエストデバイス254および患者の意識レベルをモニタするための自動化意識質問システム256を有するさらなる自動化患者フィードバックデバイスとを組み合わせる一体化された患者インターフェースシステムを有する。これらの健康モニタ252および自動化された患者フィードバックデバイス254、256は、リード線(例えば、図2の50)を介して電子コントローラ14に電子的に接続され、患者の生理学的症状を示す電子フィードバック値(信号)をコントローラ14に提供する。一般に、モニタされた患者パラメータのいずれかが正常な範囲(上記のように、ユーザによって予め設定され得る、またはメモリデバイス内に予めプログラムされ格納され得る)の外にある場合、麻酔士でない者は、例えば、アラーム、表示デバイス、または他の注意コマンドデバイスによって即座に警告される。患者健康モニタ252から得られる情報は、例えば、LED上で連続波形または数値によって、表示デバイス35(図2)に表示され、処置を行う医師は、表示デバイスを検討することによって即座に有用な情報を得ることができる。以下、本発明によって考察される表示の好ましい実施の形態について、さらに詳細に記載する。
【0079】
本発明の1つの態様の好ましい実施の形態では、薬剤送達は、1つまたはそれ以上の基本的な患者モニタリングシステムに一体化される。これらのシステムは、患者とインターフェースで接続され、患者の生理学的症状に関する電子フィードバック情報を得る。図11を参照すると、第1の患者モニタリングシステムは、患者の生理学的症状をモニタする1つまたはそれ以上の患者健康モニタ252を有する。このようなモニタには、赤外線拡散センサを用いて患者の動脈酸素飽和および心拍数を測定する既知のパルス酸素濃度計258(例えば、Ohmeda724)と、二酸化炭素センサを用いて患者の吸息/呼息流における二酸化炭素レベルを測定し、呼吸レートを測定する既知のカプノメータ(例えば、Nihon Kohden Sj5i2)と、患者の最大血圧、最小血圧、および平均動脈血圧、ならびに心拍数を膨張性カフおよび空気ポンプを用いて測定する既知の非侵襲性血圧モニタ262(例えば、Criticon First BP)とが含まれ得る。本発明に従って構築される看護システムは、1つまたはそれ以上のこのような患者健康モニタを有し得る。さらなる一体化患者健康モニタも含まれ得る。これらは、例えば、患者の気流におけるフローの測定器具、IPG換気モニタリング、患者の心臓サイクルにおける電気的活動をモニタする標準的な心電図(EKG)、患者の脳の電気的活動を測定する脳波計(EEG)、および可聴信号が処理され、コントローラ14に提供され、増幅され、聞こえるように出力される聴覚モニタである。
【0080】
第2の患者モニタリングシステムは、本発明による自動化意識質問(ACQ)システム256を用いて患者の意識レベルをモニタする。ACQシステム256は、質問開始デバイス264および質問応答デバイス266を有する。ACQシステム256は、質問開始デバイス264を用いて患者の注意を引き、患者に質問応答デバイス266を作動させるように指示することによって動作する。質問開始デバイス264は、聴覚コマンドを患者に提供し、質問応答デバイス266を作動させるスピーカおよび/または患者に質問応答デバイス266を作動させるよう合図する振動メカニズムなどの任意のタイプの刺激であればよい。患者健康モニタリングシステムにおいて用いられる血圧カフの自動化加圧を刺激として用いてもよい。質問応答デバイス266は、例えば、トグルもしくはロッカースイッチ、または患者が応答するようにとの聴覚もしくは他の指示を受けたとき、患者が移動もしくは押し下げることができるように、患者が手に持つことができるかもしくはアクセスすることができる押し下げ可能なボタンもしくは他の移動可能な部材の形態をとり得る。好ましい実施の形態では、質問システムは、患者に質問に応答するよう指示するための多数のレベルの聴覚刺激および/または振動もしくは知覚刺激を有する。例えば、聴覚刺激は、患者が即座に応答しない場合に音量または切迫感が増加し、振動刺激は強度が増加し得る。
【0081】
質問が開始された後、ACQシステム256は、質問開始デバイス264に応答して患者が応答デバイス266を作動させるのにかかった時間量(即ち、この時間量を「潜在期」と呼ぶこともある)を反映する信号を生成する。ACQシステム256は、電子コントローラ14に電子的に接続され、ACQシステム256によって生成された信号は(例えば、A−D変換器を用いて)適切に変換され、コントローラ14に提供される。潜在期がコントローラ14(ソフトウェアを用いて実際の潜在期と、安全なおよび望ましくない潜在期パラメータを反映する格納された安全データセットパラメータとを比較する)によって、安全範囲外であると決定される場合、医師は、例えば、アラームまたは他の注意コマンドデバイスによって知らされる。予め設定された期間内に医師が何のアクションもとらない場合、コントローラ14は、図8の電子フローコントローラ133、135を制御および動作させることによって、鎮静/鎮痛/記憶消失のレベルを下げるよう指示する。潜在期を反映する信号の値は、表示デバイス35(またはハウジング15もしくは遠隔制御デバイス45上に配置されたLEDデバイス、図1)に表示され、医師は、潜在期に基づいて薬剤送達を増減し得る。
【0082】
図11の患者インターフェースシステムはまた、患者に薬剤投与量の制御を直接行わせる薬剤投与量リクエストデバイス254を有する。これは、患者がスイッチまたはボタンを作動して、電子コントローラ14に、患者が受けている薬剤量の増減指示をリクエストすることによって成し遂げられる。例えば、患者は、痛みが強くなっていると感じる場合、スイッチ254の増加部を作動し、これに対して、吐き気、混乱、または不快を感じ始める場合には、薬剤投与量の減少をリクエストし得る。薬剤送達が静脈内で行われる実施の形態では、このような送達は、連続注入またはボーラスによってなされ得る。患者の薬剤投与量の増減リクエストを示す鎮痛剤リクエスト254からのフィードバック信号は、コントローラ14に電子的に伝達され、コントローラ14は、モニタされた患者の症状と、患者の生理学的症状を反映する格納された安全パラメータとの比較を含む、控えめな決定を下すソフトウェアを用いて、患者のリクエストに応答して安全な最適薬剤送達を行う。コントローラ14によって管理される増減量は、キーボード230(図2)などのユーザアクセスデバイスを通して医師よって予め設定され得る。例えば、送達されている薬剤が一酸化二窒素である場合、許容されている増減は、±10%のインクリメントであり得る。患者によって作動されないとき、薬剤リクエストデバイス254は中立位置にあるままである。このように、本発明は、患者制御薬剤送達を、患者の生理学的症状の電子モニタリングと一体化および相関させる。
【0083】
他の実施の形態では、医師は、ユーザインターフェースシステム16(表示デバイス30またはLED遠隔制御デバイス45)(図1)を介して、患者の薬剤投与量の増減リクエストが知らされ、患者の現在の生命兆候および他のモニタされた生理学的症状(様々な患者インターフェースシステムモニタ252、256(図11)から得られる意識レベル状態を含む)を考慮して、リクエストされた増減を認めることができる。
【0084】
本発明の好ましい実施の形態では、患者制御薬剤投与量リクエストシステム254は、特定の状況下での患者による薬剤の自己管理を防止するロックアウト能力を有する。例えば、自己管理へのアクセスは、患者の生理学的パラメータまたは機械状態パラメータが格納された安全データセットパラメータの外にあるとき、または安全データセットパラメータの外にあると予想される状況下では、電子コントローラ14によって防止される。薬剤の自己管理へのアクセスは、薬剤の特定の標的レベルもしくは予想標的レベルまたは薬剤の組み合わせレベルで阻止され得る。例えば、リクエストされた薬剤の組み合わせ効果が強すぎると予想される場合には、患者のリクエストに応答した薬剤送達は禁止される。このような薬剤の予想効果は、他の応用の中でも、様々な数学的モデリング、エキスパートシステム型分析または中枢ネットワークを用いることによって決定され得ることに留意されたい。要するに、本発明は、患者の生理学の関数としての薬剤投与および量変数、看護システム状態、および患者の生理学上の予想エレメントを動的に変化させるように設計されている。
【0085】
さらに、患者による薬剤の自己管理は、薬剤のレベルが迅速に変化している場合に禁止され得ることが考えられる。例えば、患者が痛みを感じており、そのことが医師にも明白である場合、患者がさらなる薬剤をリクエストするのと同時に、医師は薬剤の標的レベルを増加し得る。本発明は、薬剤増加に対する医師および患者のリクエストに対して連続して対処し、プログラムされたパラメータを超えるような増加が患者によってリクエストされた場合にはこれを阻止する。
【0086】
本発明のさらなる態様では、患者は、患者の生理学モニタリングシステムからの電子フィードバックに基づいて薬剤を投与するよう刺激されるかまたは注意を促され得る。例えば、電子コントローラへの電子フィードバックにおいて反映される高呼吸レートまたは高血圧によって証明されるように、鎮痛剤が不十分な投与量であり、患者が痛みを煩っている場合、コントローラは、患者に薬剤増加を自己管理するよう促し得る。これは、例えば、患者の耳に音声示唆を与えることによって成し遂げられ得る。従って、本発明は、患者の薬剤増加に対する要求が予想される場合に、予想機能を有することが考えられる。
【0087】
本発明の好ましい実施の形態では、1つまたはそれ以上の患者の生命兆候モニタリングデバイス252、ACQシステムデバイス256、および薬剤投与量リクエストデバイス254は、患者の手および手首を収容する、または患者の手および手首の周りに取り付けられるように構築されたクレードルまたは手袋状包帯デバイス55(図2)に機械的に一体化される。図2は、一般に、リード線50によって看護システム10に電子的に接続されたハンドクレードルデバイス55を示す。図12Aおよび図12Bは、本発明によるハンドクレードルデバイスの1つの実施の形態をさらに詳細に示す。
【0088】
図12Aは、患者の手首の周りに巻き付けられ、定位置に保持され得るように取り付けられることが可能な血圧カフ301を示す。カフ301は、手のひら支持部303に取り付けられている。あるいは、カフは、手のひら支持部303から分離され、医師の裁量で上腕に配置される。ほぼ楕円形のくぼみまたは丸み部305は、手のひら支持部303の上縁によって支持され、患者の親指の底面を収容および支持することが可能である。押し下げ可能な質問応答スイッチ307は、親指支持部305内に配置され、スイッチ307は、患者の親指によって押し下げられ得る。親指支持部305は、ハウジング、フレーム、隆起壁、または他のガイドを有するように構築され得る。これによって、患者の親指は、部分305内のボタンまたはスイッチ(ここでは、スイッチ307)を押し下げるかまたは移動させるようにさらに簡単に案内され、またはスイッチへの患者の親指の効果的な動きによって、ボタンまたはスイッチを作動しても良い。親指支持部305および当接する手のひら部303は、包み込みことが可能なように患者の指を収容するための指支持部309によって支持されている。薬剤投与量リクエストスイッチ311は、指支持部309に一体化され、ロッカースイッチの形態をとり、それによって、該スイッチの上部310aを押し下げると、鎮静剤、鎮痛剤および/または記憶消失剤の送達は増加するのに対して、該ロッカースイッチの底部310bを押し下げると、適切な設定パーセンテージ(例えば、±10%、図12B)で薬剤送達は減少する。ロッカースイッチ311は、患者によって作動されていないとき、中立位置にあるように構築される。
【0089】
図13Aおよび図13Bは、本発明のハンドクレードルデバイスの他の実施の形態を示す。特に、パルス酸素測定センサ314は、指支持部309の上端に当接し、親指支持部305の外縁に対してほぼ平面であるハンドクレードルデバイス55に機械的に取り付けられ、電子的に接続されている。パルス酸素濃度計314は、患者の指上に配置され得るクリップとして構築される。センサ314の送信機部および受信機部は、指クリップ314の対向する側315a、315b(図13B)に収容されているため、指上に配置されると、赤外線は、指を通過し、スペクトル分析によって、酸素添加ヘモグロビン分子のパーセンテージが決定される。ハンドクレードルデバイス55の本実施の形態では、質問開始デバイス313は、手のひら支持部303に配置された小さな振動器の形態である。あるいは、質問開始デバイスへの患者の注意を向上させ、患者が応答スイッチを押し下げる際の精度を引き上げるために、振動器は、質問応答スイッチ307に隣接して配置され得るか、または図14Aの実施の形態では、応答スイッチ407に隣接して配置され得る。
【0090】
ハンドクレードルデバイス55の他の実施の形態では、ここで図14Aおよび図14Bを参照すると、薬剤投与量リクエストデバイス409は、親指部405内に配置され、摺動可能部材409の形態をとり、ここで、摺動部材409は、鎮痛剤の投与量を増加させる前進的な効果と、鎮痛剤の投与量を減少させる後退的な効果とを成し遂げる(図14B)。本発明の本実施の形態において、質問応答デバイス407は、指支持部409内に一体化された押し下げ可能な部分である。
【0091】
ハンドクレードルデバイス55のすべての実施の形態は、実質的に両手利きとなるように構築される。即ち、これらの実施の形態は、患者の右手または左手を収容し、右手または左手によって動作可能である。例えば、図12Aおよび図13Aにおいて、第2の質問応答スイッチ307bは、指部309の対向端に取り付けられた対称的に対向する親指部305b内に配置されている。同様に、図14Aのデバイスはまた、対称的に対向する親指部405bおよび薬剤投与量リクエストデバイス409bを用いても構築される。パルス酸素濃度計クリップ314は、機械的かつ電子的に迅速に取り外しでき、反対側の手で使用したときに可逆性を可能にするように指支持部309に取り付けられている。パルス酸素濃度計クリップ314は、ハンドクレードルデバイス55に機械的に取り付けられるのではなく、係留され得るか、または血圧カフ301および酸素濃度計クリップ314は、クレードルデバイス55から機械的に分離され、可撓性リード線でコントローラ14に電子的に接続され得ることも認識されたい。
【0092】
図15を参照すると、本発明のさらに他の実施の形態が示される。この実施の形態では、上記と同様に、ハンドクレードルデバイス55は、機械的に一体化された血圧カフ301、質問応答デバイス307、および鎮痛剤リクエストデバイス309を有する。しかし、本実施の形態は、患者の耳たぶにクリップで止めることができ、リード線456を介して電子コントローラ14に電子的に接続され得る耳クリップデバイス450を有する。さらに図16を参照すると、耳クリップ450は、スピーカの形態の質問開始デバイス452を有し、質問開始デバイス452は、可聴コマンドを患者に提供して、応答スイッチを作動させる。このようなスピーカはまた、患者に薬剤を自己管理させる指示をし、手法中に患者に音楽を聴かせ得る。パルス酸素濃度計454は、患者の耳たぶに取り付けることが可能なクリップである。クリップの一方側は送信機であり、クリップの他方側は受信機であり、患者の血液中の酸素飽和レベルの赤外線スペクトル分析を行う。
【0093】
本発明の他の態様では、一人の患者の健康状態の看護システムの自動化モニタリングを、一人またはそれ以上の他の患者の健康状態のモニタリングに同期させることが考えられる。例えば、好ましい実施の形態において、コントローラ14が低O2飽和、低心拍数、または低潅流指数フィードバック情報をパルス酸素濃度計から受けると(例えば、実際に受信されたパラメータが、これらのパラメータに対して設定された格納安全データセットの望ましくない範囲内にあると)、このようなフィードバックは、コントローラ14をトリガして血圧カフを自動的に膨張させ、患者の血圧をチェックする。(これは、低O2飽和が低血圧によって引き起こされ、低心拍数が低血圧を引き起こし、および低血圧が低心拍数を引き起こすなどのためである)。従って、正常な動作条件下では、本発明の好ましい実施の形態は、3から5分毎におよび血液中のO2飽和または心拍数などの患者の他のパラメータに変化がある度に患者の血圧を自動的にチェックする。他の例では、血圧の電子チェックは、自動化意識質問と同期化する。なぜなら、カフの作動によって、患者は刺激され、質問応答時間に影響が与えられるからである。従って、本発明は、最大の安全性および効果を確実にするために、患者健康モニタ中の「直交冗長」を考慮する。
【0094】
上記のように、本発明の好ましい実施の形態の1つの態様は、ソフトウェア/論理制御された電子コントローラ14を介した薬剤送達の電子管理を含み、システムモニタ、1つまたはそれ以上の患者モニタ/インターフェースデバイス、および/またはユーザインターフェースデバイスからの電子フィードバック信号に薬剤送達を一体化および相関させる。具体的には、電子信号値は、看護システム状態モニタ、患者モニタ/インターフェースデバイス(1つもしくはそれ以上の生命兆候または他の患者健康モニタ252、ACQシステム256、および/または患者薬剤投与量リクエストデバイス254(図11)を含み得る)、ならびに場合によっては1つまたはそれ以上のユーザインターフェースデバイスから得られる。これらはすべて、必要に応じて標準A−D変換器を通して、電子コントローラ14に電子的に接続されている。コントローラ14は、フィードバック信号値を受信し、ソフトウェアおよびプログラムされた論理を介して、モニタされた患者の生理学的症状を示すこれらの値と、安全なおよび望ましくない患者の生理学的症状を示す既知の格納されたデータパラメータ(安全データセット)とを比較する。次に、これに応答して、コントローラ14は、意識のある患者に提供されている鎮静剤、鎮痛剤、および/または記憶消失のレベルを維持するかまたは減少させるために指示を生成し、それによって、薬剤送達を安全で経済的な最適値に管理および相関させる(図2B)。コントローラ14は、電子混合器44の電子フローコントローラ133、135(図8)に動作可能かつ電子的に接続され、電子混合器44は、(ソレノイド弁を介して)ガス状の薬剤およびO2のフローを上記のように閉ループ様式で調整する。静脈内における実施の形態では、このようなフローコントローラは、IV薬剤の1つまたはそれ以上の組み合わせのフローを調整する。薬剤送達の管理および相関を行うためにマイクロプロセッサコントローラ14に提供される電子値が、患者の意識レベルを示す信号を必ずしも含む必要なく、患者の生命兆候およびパルス酸素測定などの他の健康状態を示す1つまたはそれ以上の信号を含み、また、その逆も言えることを認識されたい。
【0095】
また上述のように、コントローラ14による薬剤送達の電子管理を行うソフトウェアは、「控えめな決定を行う」または「負のフィードバック」原理を用いる。これは、例えば、薬剤送達の電子管理が、実質的に、薬剤送達を全体的に維持するかまたは減少させるのみで(全体的に鎮静剤/鎮痛剤を引き上げるために薬剤を増加させることはない)ことを意味する。例えば、ACQシステム256(図11)は、潜在期が受容可能な範囲外にあることを示す場合、コントローラ14は、電子フローコントローラ133(図8)対して、マニホールドシステム48への酸素のフローを増加させ、および/またはフローコントローラ135に対して、マニホールドシステム48へのガス状の薬剤のフローを減少させるよう指示する。
【0096】
控えめな決定を下す原理による薬剤送達のこのような電子管理の他の例では、ACQシステム256(図11)が、3分毎に与えられる患者への質問に応答して、受容可能な範囲外にある潜在期を示す場合、電子コントローラ14は、即座に薬剤送達を停止するが、同時に、患者が質問される頻度を(例えば、15秒毎に)増加し得る。患者が質問に応答しない場合には、薬剤送達は再び開始されるが、与えられていた薬剤の元の濃度よりも20%少ないなどの全体的に低い濃度で再び開始される。
【0097】
本発明の控えめな決定を下すソフトウェア指示を通じた薬剤送達の電子管理の他の例は、既知の標的制御注入ソフトウェアルーチンを用い、年齢、性別、体重、身長などの患者の物理的パラメータに基づいて、IV薬剤の適切な投与量を計算する。ここで、実施者は、ユーザインターフェースシステムを通して患者の生理学的パラメータを提供し、電子コントローラ14は、これらのパラメータに基づいて適切な薬剤投与量を計算し、薬剤送達は、例えば、ボーラスとして開始され、次に、予め計算された注入の標的レベルに戻される。後に、モニタされた患者のパラメータ内にかなりの変化が生じた場合(例えば、パルス酸素測定または潜在期が所望の範囲外にある場合)、コントローラ14は、上記のように、薬剤送達を全体的に減少させる。
【0098】
IV薬剤の標的制御注入に関して本発明が取り組む問題の1つは、看護システムが薬剤の安定状態の標的レベルに到達する性質および速度である。例えば、医師が考慮すべき重要なことは、一旦薬剤投与が開始されると、患者が十分な投薬を施された(例えば、鎮静されたまたは麻酔をかけられた)ときに、医師は手法を開始することができるということである。手法をできるだけ早く開始することができるように、患者が、薬剤の安定状態の標的レベルにできるだけ早く到達することが大抵の場合望まれる。薬剤効果の適切なレベルに迅速に到達するための1つの方法は、最終的な安定状態の標的薬剤レベルよりも過剰なレベルで初期に投与することであることが判断されている。これにより、薬剤送達の開始と、臨床薬剤効果の開始との間の時間が短縮され、手法は開始され得る。通常、予想される標的レベルは、プラスまたはマイナス20%のエラーを有するため、臨床効果状態に迅速に到達するための1つのアプローチとしては、最終標的レベルの少なくとも80%に到達することを試みることであるが、初期に、80%標的を超えてさらに15%増加した薬剤注入を与えることによって、80%レベルよりも過剰に投与することが行われる。これを成し遂げるための1つの方法としては、現在入手可能なPDIコントローラを用いることが挙げられる。PDIコントローラは、エラー状態(ここでは、血液流における予想される薬剤レベルと標的レベルとの差)を用いて、注入レートに到達する。しかし、より迅速に臨床効果レベルに到達するために、薬剤の標的血液レベルよりも過剰な投与を初期に行うことを可能にする他のコントロールシステムもまた適当である。
【0099】
図17は、本発明に従って構築された装置の他の実施の形態の模式図である。この装置は、例えば、腫瘍化学療法に伴われる吐き気を含む、術後または他の手法後の苦痛および/または不快などの兆候のための、遠隔医療看護地およびホーム看護型環境に対して特に適切である。本実施の形態では、薬剤源システム442は、例えば、患者が着用できるか、もしくは患者に取り付けることが可能な既知の注射器ポンプ型デバイスを用いることによって、静脈内で患者に薬剤(プロポフォール、モルヒネ、レミフェンタニル等などの薬剤であり得る)を送達するか、または、例えば、とりわけ既知のイオン転送型デバイスを用いることによってこのような薬剤を経皮送達する。薬剤送達は、連続であるかまたは薬剤ボーラスによって行われ、O2の一体化された供給はない。必要に応じて、酸素は、個別のタンクまたは内部現場酸素源から患者に供給され得る。結果として得られる装置は簡略化され、上記の一体化されたO2源、電子混合器、マニホールド、または気管回路、およびフェースマスクデバイスは必要ない。
【0100】
既知のパルス酸素濃度計、血圧カフ、呼気終末CO2モニタ、EKG、および/または意識モニタ、または本明細書に示すような他のモニタなどの1つまたはそれ以上の患者健康モニタ412は、患者の生理学的症状をモニタする。薬剤投与量は、薬剤送達の適用前または適用中に医師によって予め設定され、および/または、その後、一般に上記のタイプの患者薬剤投与量増減リクエストデバイスを用いて患者によっても制御され得る。また言うまでもなく、薬剤の静脈内送達は、連続注入、標的制御注入、純水なボーラス、患者によって選択されたボーラスまたはその組み合わせによってなされ得る。
【0101】
再び図17を参照する。本発明の本実施の形態における薬剤送達の電子管理は、上記タイプであり得る電子コントローラ414によって提供される。コントローラ414は、控えめな決定を下すソフトウェアおよび/または論理デバイスを用いて、薬剤源システム442(既知のソレノイドタイプまたは他の電子フローコントローラを有し得る)による薬剤送達を、1つまたはそれ以上の患者健康モニタ412からの電子フィードバック値と一体化および相関させる。患者健康モニタ412からの値(信号)は、1つまたはそれ以上の実際にモニタされた患者の生理学的症状を示す。コントローラ414は、本明細書に記載されるような比較プロトコルを用いるソフトウェアを使用して、安全なおよび望ましくない患者の生理学的症状を反映するデータを含む格納された安全データセット410にアクセスし、実際にモニタされた患者の症状を反映する信号を安全データセットと比較する。上記のように、安全データセット410は、EPROMなどのメモリデバイスに格納され得る。この比較の結果に基づいて、コントローラ414は、薬剤送達を変化させない指示を出すか、または薬剤源システム442の薬剤フローコントローラに薬剤の適用を安全な最適レベルに管理するよう指示する信号を生成する。
【0102】
本発明の特定の態様では、コントローラ414はまた、上記のように、ソフトウェアを通じて、初期または標的薬剤投与量および患者薬剤投与リクエストのロックアウトを示すメモリデバイス内に格納された予め設定されたパラメータにアクセスし得る。これらの環境では、コントローラ414によって生成される指示信号はまた、これらの予め設定されたパラメータに応じて、薬剤送達を考慮および制御する。
【0103】
本発明の本実施の形態はまた、通常、パワーがシステムに供給されているかどうか、またはどの測定値で薬剤フローが送達されているかを示す電子センサなどのシステム状態モニタを有する。このようなシステム状態モニタは、コントローラ414に電子的に接続され、フィードバック信号をコントローラ414に提供する。薬剤源システム442に電子的に接続されたコントローラ414による、該フィードバック信号に応答した薬剤送達制御は、他の実施の形態に関して本明細書に記載されるものと同様である。
【0104】
本発明の他の態様では、電子コントローラ414は、遠隔コンピュータシステムに配置され、上記のように、現場薬剤送達を電子的に管理し、薬剤送達を患者の生理学的症状および看護システム状態の現場モニタリングに一体化および相関させるが、ここでは、遠隔地から生成される指示信号に一体化および相関させる。いくつかの実施の形態では、コントローラ414は、血液(SP2)に吸収された酸素のパーセンテージなどのモニタされた患者のパラメータが、安全な確立された値または格納された安全データセットによって確立される値の範囲外にある場合、モデムまたは電子ページャまたはセルラー型もしくは他の有線もしくは無線技術を用いて、電子アラーム警告を遠隔地に送信することが考えられる。これによって、このような遠隔地は、救急車または他の訓練を受けた看護人を呼んで、アラーム警告に応答することができる。
【0105】
図18は、本発明の好ましい実施の形態のユーザインターフェースシステムの詳細を示す。このシステムは、医師が、1つまたはそれ以上の鎮静剤、鎮痛剤、または記憶消失剤を安全かつ効果的に患者に送達することを可能にし、その一方で、多数のタスクを同時に行うことができる。ユーザインターフェースは、医師が看護システムと相互作用することを可能にし、ユーザに、パッシブ表示デバイスおよび様々なアクティブ音声/視覚アラームで患者およびシステムの状態を知らせ、それによって、安全性を向上させ、異常な状態に対する即座の応答(「控えめな」応答、例えば、上記の詳細な薬剤送達を含む)を可能にする。
【0106】
具体的には、キーパッドおよび/またはタッチスクリーン230(図2および図18)によって、医師は電子コントローラ14と相互作用することができ、患者の背景を入力し、薬剤送達および酸素レベルを設定する。遠隔制御デバイス45(図1および図18)は、医師に、看護システム10との遠隔相互作用を提供し、医師がシステムの機能を遠隔制御することを可能にする。遠隔制御デバイス45は、ハウジング15の上面に取り外し可能に一体化され、医師および/または患者に近接して材料にクリップで留めることが可能である。本発明の1つの態様では、遠隔制御デバイス45自体は、LEDなどの表示デバイスを含み、医師に患者およびシステムのパラメータをアドバイスする。パニックスイッチ232(図18)は、オンボードハウジング15(図1)であるかまたは遠隔制御デバイス45内に収容され、コントローラ14に電子的に接続され、医師が看護システム10の運転を停止したり、看護システム10をコントローラ14に予めプログラムされた安全な状態に維持することを可能にする。
【0107】
視覚表示デバイス234(図2、35)は、実際のおよび予想または標的の患者およびシステムパラメータ、ならびに看護システムの全体的な動作状態を表示する。
【0108】
図22Aは、視覚表示234の好ましい実施の形態の1つのバージョンを示す。表示2230は、モニタされたシステムまたは患者の症状における変化によって生じたアラームの状態を含む、システム動作の現在の状態およびモニタされた患者の症状をユーザに表示するための表示2234の第1の部分を含む。例えば、意識質問(潜在期)に対する患者の一定時間後の応答が、確立された範囲外にあり、アラームが作動する場合、その質問潜在期は、視覚表示のこの第1の部分2234に表示され、それによって、医師は、アラームの原因を即座に理解することができる。
【0109】
本実施の形態の視覚表示デバイス2230はまた、看護システムによってとられた、またはまもなくとられるアクションを示すための表示2236の第2の部分を有する。例えば、確立された安全範囲外にある潜在期を示すアラームに応答して、装置が患者への薬剤のフローを減少させる場合、この第2の部分2236は、影響する薬剤投与量の減少されたパーセンテージを表示する。
【0110】
視覚表示2230は、医師に様々なシステム動作ソフトウェアサブプログラムをウォークスルーさせることにより、医師と装置との相互作用を容易にする。このようなサブプログラムは、システムが完全に機能していることを確実にするために様々なシステム自己チェックが実行されるシステムスタートアップ、および患者スタートアップを有し得る。手法を開始するために、看護システムモニタは患者の上に配置され、医師は、それに電源を投入し、ユーザID(このようなユーザIDは、訓練を受け、信用証明が出されている医師に対してのみ発行されると考えられる)を入力することによって、システムを起動する。次に、視覚表示は、医師に、患者ID情報の入力ならびに患者履歴および/または身体的情報をとることを含む前動作査定を開始するよう促す。前動作査定では、医師は、疾病または薬剤に対する高い感度を示す要因を含む、適切な薬剤投与量を決定することを目的とした一連の質問(年齢、体重、身長、および性別)を患者に対して行う。このような質問に対する応答は、看護システムに入力され、システムによって、医師が適切な投与量を選択するのを助けるために用いられる。例えば、看護システムは、健康な人に対しては、医師が1つの投与量単位の範囲を得られるようにし、病気または年配の人に対しては、より狭い投与量単位の範囲を得られるようにし得る。医師は、推薦される範囲を上回るためには、明確な決定をしなければならない。
【0111】
上記の医師によって行われる前動作査定に加えて、看護システムが患者の生理学の自動化された前動作査定を行うことができることも考えられる。例えば、モニタを定位置に配置すると、看護システムは、このようなパラメータを、患者の肺の酸素化機能および/または患者の肺の換気機能として査定する。酸素化機能は、例えば、A−a勾配、即ち、酸素の小動脈または血液中のレベルと比較した酸素の肺胞または肺におけるレベルを考慮することによって決定され得る。肺の換気機能は、とりわけ、肺機能テスト(PFT)から決定され得る。これは、空気が肺に入り肺から出るときの呼吸毎のまたは1分毎の空気量および圧力の測定である。(これらの査定は、手法が開始される前および手法中に、動的な動作内査定としても行われることが考えられる。)また、前動作(または、連続動作内としての)査定中に、心機能は、EKGの出力を見て、虚血または不整脈の証拠があるかどうかを決定することによって、査定され得る。あるいは、虚血または不整脈を診断するために、自動化アルゴリズムはEKG信号に適用され得る。また、さらなる自動化患者健康査定もなされ得る。
【0112】
患者セットアップ中には、現在の患者およびシステムパラメータもまた査定および表示され、意識質問システムおよび患者薬剤増加/減少システムはテストされ、基準化される。セット薬剤サブプログラムは、薬剤および/または薬剤の混合物(または、薬剤、酸素、および空気)の選択を考慮し、薬剤の標的レベルの選択を考慮し、および/または、薬の特定範囲内での患者の自己管理を可能にする。本発明はまた、前動作査定中に、刺激のない状態にある所定の患者に対する鎮静閾値制限を決定することを考慮する。これは、手動チェックとして、即ち、単に薬剤レベルを引き上げ、患者を手動で観察することによってなされ得る。またはこの手法は自動化され得る。この場合、薬剤が増加され、薬剤効果部位の濃度が増加するにつれて、潜在期(意識質問)などの安全なセットパラメータがテストされる。
【0113】
システムおよび患者の状態、ならびにシステムアクションは、例えば、鎮静サブプログラム中に表示され得る。視覚表示デバイス2230は、患者の呼吸および換気状態、意識、血液中のO2飽和、心拍数、および血圧などのモニタされた患者の状態を示すグラフィカルおよび数値表示(2238)、薬剤送達の開始からの経過時間の表示(2239)、薬剤および/またはO2濃度(2241)、ならびに薬剤の増減に対する患者のリクエストの表示(2243)を含み得る。計算された吸息酸素の実際の画分もまた表示され得る。アラームを静かにさせる(2240)、送達される薬剤の濃度を変更する(2242)、酸素流と大気との混合のオン/オフを行う(2244)、および自動化意識質問システムをオン/オフしたり、またはこれに他の変更を加える(2246)ためのコマンド「ボタン」が含まれる。手法が一旦完了したときに「回復」モード(患者パラメータはモニタされるが、薬剤送達中には使用不能にされる)に装置を設定する(2248)、および現在のケースを終了し、新しいケースを開始する(2250)、またはシステムを遮断するためのコマンドボタンもまた含まれ得る。
【0114】
図22Bは、本発明の視覚表示部分の好ましい実施の形態の他のバージョンを示す。表示デバイス2200の部分2202、2204、2206、および2208は、現在の患者のO2飽和、血圧、心拍数、および呼気終末CO2レベルをそれぞれ示す。患者の生理学的状態を示すこれらの部分は、特有の色で符号化されている。赤などの注意を引く色で符号化され得るスマートアラームボックス部分2212は、音を出す特定のアラームを医師に示す。例えば、患者の血液中のO2飽和レベルが安全なレベル未満になると、O2飽和アラームは音を出し、O2飽和レベルはスマートアラームボックス部分2212に現れ、医師はそれを簡単に見ることができる。要するに、アラームで知らされたパラメータはすべてスマートアラームボックス部分に移動され、特定のアラームインジケータは、アラームが鳴る度に同じ位置に移動される。また、以下に記載するように、好ましい実施の形態では、黄色または赤色のいずれかで示され得るアラームの臨界レベルは、ディスプレイの患者の生理学的パラメータ部分において表示される。例えば、赤色レベルO2飽和アラームが鳴ると、O2飽和部分2202の背景部分は赤色で現れる。
【0115】
表示2200の部分2214は、薬剤投与の過去、現在、および予想されるレベル(2215)を示す(図22Bに示される薬剤レベルは、一酸化二窒素、レミフェンタニルおよびプロポフォールのレベルである)。好ましい実施の形態では、過去30分間から開始され、将来30分後にわたる、標的制御注入の過去、現在、および予想されるレベルは、グラフで示される。本発明はまた、標的制御注入レベルの精度の範囲(図示せず)を一括することも考慮する。
【0116】
表示部分2220および2224は、とりわけ、肺のA−a勾配(酸素化機能)、肺機能テストの結果、心電図、血液O2飽和などの患者健康パラメータのグラフ表示を示す。
【0117】
本発明の他の態様では、視覚表示35(図1)は、ハウジング15の上面に取り外し可能に一体化され、ハウジング15から取り外すことができ、患者付近にあるガーニーレールまたは検査テーブルなどのフレームに取り付けられ得る。あるいは、またはこれに加えて、ヘッドアップ型視覚表示デバイスは、麻酔士でない者が医療または手術手法に容易に関与し、同時にシステムおよび患者のモニタされた値、ならびにアラーム状態の詳細を見ることが可能なように設けられる。この場合、表示デバイスは、小型化され、装着型ヘッドセットもしくは眼鏡型台に搭載されるか、または容易に見ることが可能な壁表示に搭載される。
【0118】
再び図18を参照する。好ましい実施の形態において、可聴アラーム236は、患者またはシステムパラメータが正常な範囲外にあるとき、医師に警告する。好ましい実施の形態では、アラームには、問題または臨界の異なるレベルを示すために、異なるトーンを有する2つまたは3つの段階があっても良い。上記のように、アラームが鳴ると、ユーザは、アラームの原因を即座に知ることができる。なぜなら、視覚表示2200のスマートアラームボックス部分2212は、アラームを作動させたモニタされたシステムまたは患者パラメータの値を示すからである。
【0119】
図21Aは、本発明の1つの態様の好ましい実施の形態に従った、患者モニタに応答する3段階のアラーム(即ち、アラーム「1」、「2」および「3」)のための薬剤送達管理プロトコルの例を示す。これらのアラームは、問題または臨界の異なるレベルを示すための異なるトーンまたは他のインジケータを有し得る。図23Aのデータフロー図は、このような1つのプロトコル、即ち、上記の電子コントローラ14が、患者の血液中酸素飽和の実際の量(「Sp2」によって示される値)をモニタするパルス酸素濃度計から電子フィードバック信号を受信するプロトコルに対する、薬剤送達管理ソフトウェアまたは論理によって行われるステップの一例を示す。図示するように、Sp2値は、安全なおよび望ましくない患者の血液酸素飽和状態を反映するパラメータ値またはパラメータ値の範囲を含む格納された安全データセット220と比較される。Sp2値が格納されたパラメータ90%よりも大きいか、またはそれと等しい場合には、アラームは鳴らず、薬剤送達の調整も行われない(221a)。Sp2値が90%未満であるが、85%よりも大きい場合(221b)、アラーム1は15秒間鳴る(222)。アラーム1が手動で止まる場合(222a)、システムによってさらなるアクションはとられない。アラーム1が止まらない場合、送達される薬剤の量(この例では、ガス状のN2O)は、45%の濃度または現在よりも10%少ない濃度に減少される(223)。ソフトウェア/論理手法は、静脈内および霧状の薬剤形態に対するのと同様に動作し、提供される指示(例えば、223におけるように)は、このような薬剤の安全な投与量に対して特定される。
【0120】
さらに、酸素飽和の値(Sp2)が85%未満であるが、80%よりも大きいか等しい場合(221c)、アラーム2が鳴り、送達されているN2Oの量は、即座に45%の濃度または現在よりも10%少ない濃度に減少される(224)。パルス酸素濃度計からのフィードバック値Sp2が、血液中の酸素飽和が80%未満であることを示す場合、アラーム3が鳴り、送達されているN2Oの量は即座に0%に減少される(225)。
【0121】
図21Aは、脈拍数、患者の終末呼気における二酸化炭素の量、呼吸レート、最大血圧、および本発明に従って構築された自動化意識モニタリングシステムからのフィードバックを示す患者健康モニタからの電子フィードバック信号について、同様のプロトコルを示す。これらのプロトコルは、図23Aのデータフロー図において説明されるのと同様に動作するソフトウェア(および/または論理)で実施される。即ち、図23Aに示されるプロトコルは、1つのモニタされた患者のパラメータを用いる一例であるが、本発明の動作は、図21Aの残りのプロトコルを実施するのと同様である。
【0122】
言うまでもなく、アラームへのシステム応答(薬剤濃度の減少または停止に関して上述した)はまた、上記のように患者およびシステム状態パラメータに従った酸素の投与の開始および/または増加を含み得る。薬剤が停止され、純水な酸素(O2大気混合)が提供される場合、例えば、フィードバック信号によって、患者が低い血中O2飽和を有することが示される場合、好ましいシステムは、LIFO(「後入れ先出し」(last-in-first-out))様式で動作するように設計される。これは、コントローラ14が、逆の患者または機械状態を合図するフィードバックを受信し、フローコントローラに酸素をオンにするよう指示するとき、患者がその次に吐く息は、薬剤/空気の混合物ではなく、純水なO2(および/または大気)であることを意味する。これは、例えば、PIV152(図9A)に空気の代わりに酸素を直接供給し、貯蔵袋149をバイパスすることによって成し遂げられ得る。
【0123】
図21Bは、本発明の1つの態様の好ましい実施の形態による、システム状態モニタに応答する2段階アラーム(即ち、アラーム「1」および「2」)のための薬剤送達管理プロトコルの例を示す。これらのアラームは、問題または臨界の異なるレベルを示すための異なるトーンまたは他のインジケータを有し得る。図23Bのデータフロー図は、このような1つのプロトコル、即ち、電子コントローラ14(例えば、図2A)が、オンボード酸素タンクに残存している酸素の量(「O2残存」として示される値)を間接的に測定するO2タンク圧力センサ(519)から電子フィードバック値を受け取るプロトコルに対する、薬剤送達管理ソフトウェアおよび/または論理によって成し遂げられるステップの一例を示す。図示するように、O2残存値は、上記のようにメモリデバイスに格納された安全なシステムパラメータの確立されたデータセットと比較される。該データセットは、既知の安全なおよび望ましくない酸素タンク圧力状態を反映する「セットポイント」を含む(520)。酸素圧力がセットポイントよりも大きい場合には、アラームは鳴らず、薬剤送達に対する調整も行われない(521)。O2%値がセットポイント未満である場合、アラーム「1」が鳴る(522)。アラーム「1」が15秒以内に手動で止まる場合、システムによってさらなるアクションはとられない(523)。アラーム「1」が15秒以内に止まらない場合、送達されている薬剤の量(この例では、ガス状のN2O)は、45%の濃度または現在よりも10%少ない濃度に減少される(524)。ソフトウェア/論理手法は、静脈内および霧状の薬剤形態に対するのと同様に動作し、提供される指示(例えば、524におけるように)は、このような薬剤の安全な投与量に対して特定される。
【0124】
パワーが装置10に供給されているかどうかを示すシステム状態モニタを含む図21Bの他の例では、論理動作は、パワーが遮断されたかどうかを決定する。パワー信号のためのシステム状態モニタが、パワーが遮断されたことを示す場合、アラーム「2」が鳴り、薬剤の送達は0%に減少される。
【0125】
図21Bは、O2断絶フェールセーフ、全ガスフロー、薬剤タンク圧力、吸息酸素の画分(FIO2)、およびスカベンジシステム48(図6)のための真空ポンプの動作を示すシステム状態モニタについて、同様のプロトコルを示す。これらのプロトコルは、図23Bのデータフロー図において説明されるのと同様に動作するソフトウェア(および/または論理)で実施される。即ち、図23Bに示されるプロトコルは、1つのシステム状態モニタの格納パラメータを用いるが、動作は、図21Bの残りのプロトコルを実施するのと同様である。
【0126】
患者の生理学的状態への応答を含む上記の例において、アラームが鳴って、患者への薬剤の送達が減少されるまでの間には時間経過がある。本発明で考慮される他のプロトコルでは、電子コントローラ14は、アラームが鳴ると即座に、薬剤投与を停止または削減する。あまり深刻でない(「黄色」)アラームでは、薬剤送達は、アラームがなると80%のレベルに減少され、より深刻な(「赤色」)アラームでは、薬剤送達は、アラームが鳴ると停止される。いずれにせよ、次に医師は、コントローラ14に薬剤送達を再開するように指示する(例えば、医師は、薬剤送達の削減を無効にする必要がある)まで、例えば30秒の時間が与えられる。医師がコントローラ14を無効にする場合には、薬剤は、例えばボーラス量で再び開始される。この方法では、医師が現在の薬剤レベルでアラームへの応答を待っている間、患者の衰えが防止され、また、医師に薬剤送達を再び開始するのに十分な時間を許すことによって不十分な投与量となることが回避される。
【0127】
再び図2および図18を参照する。プリンタ238(図2、37)は、どのタイプのアラームが、なぜおよびいつ鳴ったかを示す時間スタンプを有するアラーム状態だけでなく、モニタされた患者の健康パラメータ(例えば、1つまたはそれ以上の患者健康モニタからのフィードバック値)の現場ハードコピーを提供する。装置10(図1)の外側に取り付けられ、コントローラ14に電子的に接続された診断LED240は、手法に通常関与する医師が一目でシステム状態を確認できるようにし、マイクロプロセッサコントローラ14に接続されたLEDはまた、技師が欠陥状態を査定できるようにもする。
【0128】
本発明の好ましい実施の形態は、様々な周辺電子デバイス、即ち、装置10(例えば、図1)のハウジング15の内部にあるまたは内部に一体化された1つのグループ、および電子コントローラ14のボード上にある第2のグループを有する。これらの電子デバイスは、センサを通じてハードウェア状態フィードバックを提供し、装置が所望のパラメータ内で動作していることを確実にすることを含む、システム10の様々な態様の適切な動作を確保する。図19Aおよび19Bは、本発明による様々な周辺デバイスを示し、このようなデバイスは、現在入手可能な既知のオフザシェルフタイプであり得る。特に、内部ソレノイド型作動ドアロック190は、装置10の内部へのアクセスを制限する。ドアロック190は、ハウジング15(図1)内に配置され、コントローラ14に電子的に接続され、パスワード保護のためのプロトコルを含むソフトウェアによりコントローラ14で制御される。このように、装置10の内部へのアクセスは、パスワードを有する許可された人員に制限される。これは、とりわけ、その中に含まれる医薬品(例えば、N2O)の「快楽追求のための」乱用の機会を最少に抑えることを意図している。ハウジング15内に配置され、コントローラ14に電子的に接続された内部ドア状態センサ191は、装置10の内部へのアクセスドアが開いているかまたは閉じているかを示す信号を生成することができるであろう。コントローラ14のボード上のリアルタイムクロック192は、コントローラ14に、システムおよび患者の活動全体に対する時間スタンプを提供させ、それによって、看護システム10の動作の正確なログの作成を可能にする。オンボード周囲温度センサ193は、外部温度をモニタし、これをコントローラ14に合図し、コントローラ14は、ソフトウェア比較型プロトコルを通して、装置10が周囲の温度に対して所望の条件下で動作していることを確認する。ハウジング15内に配置され、コントローラ14に電子的に接続された内部電池温度センサ194は、コントローラ14に対して、バックアップ電池パワーシステムが正しく機能し、過充電していないかどうかを示す信号を生成する。コントローラ14のボード上に配置されたチルトセンサ195は、コントローラ14に、装置10がその設計された条件を超えた角度で動作しているかどうかを合図する。
【0129】
好ましい実施の形態では、電子コントローラ14のソフトウェア制御プロセスは、標準的なフラッシュメモリ196に格納され、SRAM型電池支持メモリ197は、システム、患者、および他の状態情報をACパワー損失時に格納する。オンボード欠陥検出プロセッサ(FDP)198は、不良をコントローラ14に信号で合図し、欠陥が動作中に検出された場合に、コントローラ14をその制御義務から開放する二次的なマイクロプロセッサをベースとしたコンピューティングシステムである。オンボードウォッチドッグタイマ199は、装置10が機能していることをコントローラ14に示し、システム10が応答しない場合にコントローラ14をリセットする。
【0130】
本発明の好ましい実施の形態はまた、電子コントローラ14に対してデータの転送を行うための、RS−232Cシリアルポートなどの標準的なシリアルポートインターフェースを有する。ポートは、例えば、ソフトウェアの更新のダウンロード、およびコントローラ14からのシステムおよび患者ログデータの転送を可能にする。PC型IIIスロットなどのインターフェースはまた、例えば、遠隔サイトに課金情報を転送するか、または遠隔で問題の診断を可能にし、それによって、トラブルシューティングおよび決算に必要な時間を最少にするために用いられるモデムまたはLANなどのコンピュータサポートデバイスをシステム10に付加することを可能にするために設けられる。
【0131】
言うまでもなく、本発明の看護システムは、本質的にはモジュラであり、その機能は、分離可能、携帯可能、プラグイン型ユニットに分離される。例えば、電子コントローラ14、表示デバイス(図2、35)、および1つまたはそれ以上の患者健康モニタは、1つのモジュールに含まれ、空気圧系統(フローコントローラ、圧力調節器、マニホールド)は、第2のモジュールに含まれ、基部(図3B、17)、酸素および薬剤タンク(図2、54)、スカベンジャシステム、および真空ポンプ(図3B、32)は第3のモジュールに含まれる。さらに、システムの患者健康モニタまたは薬剤送達の態様は、それぞれ、それ自体のプラグイン型モジュールであり得る。例えば、システムは、プラグイン可能なベンチレータ型モジュールを提供し得る。このモジュール方式によって、システムは携帯がより簡単になるだけでなく、システムの特定の特徴部分(特定の患者健康モニタなど)を、他のものを使用する必要なく、用いることが可能になる。
【0132】
図20は、看護システム10(図1)にインターフェースで接続され、課金またはその他患者の情報の収集を、使用場所でローカルに、または遠隔の課金オフィスにおいて行わせることを可能にする患者情報および課金システムの好ましい実施の形態を示す。具体的には、ソフトウェアによって制御される既知のタイプのマイクロプロセッサをベースとしたコンピューティングシステムであり得る情報/課金格納システム280は、開始時間、使用時間、使用頻度、患者モニタリングの持続時間、消費したガス量、およびその他このようなパラメータなどの、装置10の動作中に生成され、コントローラ14に格納されている計測されたシステム動作データ282だけでなく、患者の名前、住所、および他の決算情報などの患者のデータ281を収集および格納する。標準的なキーボードタイプであり得るユーザアクセスデバイス283は、医師に、情報/課金格納システム280と相互作用させ、予め決定された処置または課金パラメータなどのさらなるデータを入力し、これらのデータの状態を読み出す(例えば、計測されたシステム動作パラメータ282の状態を読み出す)ことを可能にする。好ましくは、情報/課金システム280へのアクセスを可能にするためにパスワードが提供される。
【0133】
医療または手術手法の終了時または他の望ましい時期に、情報/課金格納システム280は、受け取ったデータを処理し、それを遠隔地にある利益/課金処理センタ286に送信する。利益/課金処理センタ286は、International Business Machines(IBM)または既知のクライアント−サーバ型コンピュータネットワークシステムによって製造されるような既知のメインフレーム型コンピューティングシステムであり得る。遠隔地では、患者のインボイスは、商人への支払いのために用いられる他の利益記録等と同様に、プリンタ287によって作成される。
【0134】
本発明はまた、システム動作の詳細の自動化記録がユーザサイトのプリンタ285(好ましくは、装置10(図1)のボード上に配置されている)上で印刷されることを考慮する。このようなシステム動作の詳細としては、例えば、電子コントローラ14によって供給される、すべてのアラームおよび実際のシステム動作状態、薬剤流量、および/または実際にモニタされた患者の生理学的症状を含み得る。モデムまたはLANは、上記のように、課金および他の情報を遠隔に送受信し、遠隔クライアント/サーバまたは他のネットワーク288と通信するために用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ地において薬剤送達デバイスを繰り返し用いることによって繰り返し発生する金銭的な利益を電子的に追跡するための方法であって、
a)ユーザアクセスデバイスと、計測されたシステム動作値を示すデータおよび患者の情報データを持っているデバイスとを有する薬剤送達装置を前記ユーザ地に提供するステップと、
b)許可されたユーザだけのデータを持っている前記デバイスに対する制限されたアクセスを提供するステップと、
c)前記計測されたシステム動作値および患者の情報データを読み出し、前記値およびデータを遠隔地に送信するステップと、
d)前記計測されたシステム動作値に基づいて金銭的な利益を計算するステップと、
e)前記金銭的な利益および患者の情報データを反映する記録を前記遠隔地に提供するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記方法は、前記金銭的な利益の記録を前記遠隔地で印刷するステップを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、患者のインボイスを前記遠隔地で印刷するステップを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記薬剤送達装置は、前記システム動作値および患者の情報データの自動化記録を前記ユーザ地で提供するプリンタを有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記薬剤送達装置は、ローカルに金銭的な利益の記録を印刷するように適合したプリンタを有する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記デバイスに課金記録を生成するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
事象が生じると前記値およびデータが前記遠隔地に送信される請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、金銭的な利益の記録を前記遠隔地で印刷するステップを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記金銭的な利益の記録は、商人への支払いのために用いられる請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記金銭的な利益の記録は、カスタマ・インボイスを含む請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記計測されたシステム動作値は、使用時間、使用頻度、患者モニタリングの持続時間および使用した薬剤量からなるグループから選択された装置使用パラメータの指示を含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、ローカルに課金するステップを含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
薬剤送達デバイスを繰り返し用いることによって繰り返し発生する金銭的な利益を電子的に追跡するためのシステムであって、
薬剤を患者に供給するように適合され制御可能な薬剤送達デバイス、前記薬剤送達デバイスに接続され前記患者への薬剤送達レートを変更するための電子コントローラ、及び前記患者の健康状態を反映する信号を生成するように適合される患者健康モニタデバイスを有する薬剤送達装置であって、前記電子コントローラが前記信号を受信して、前記患者の安全を保証するように前記信号に応じて前記患者への薬剤の供給を変更するように適合される、薬剤送達装置と、
前記装置に取り付けられ、前記薬剤送達装置から計測された動作値および患者の情報を含むデータを読み出すように適合されるオンサイト電子利益追跡ユニットと、
前記利益追跡ユニットに電子的に接続され、前記利益追跡ユニットから前記データを受信するように適合される遠隔利益処理センタとを備え、
前記遠隔利益処理センタは、前記計測された動作値に基づき金銭的な利益を計算するように適合され、前記金銭的な利益及び患者の情報を反映する記録を提供する、
システム。
【請求項14】
前記計測された動作値は、使用時間、使用頻度、患者モニタリングの持続時間および使用した薬剤量からなるグループから選択された装置使用パラメータの指示を含む請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記遠隔利益処理センタは、前記利益追跡ユニットに電子的に接続されたコンピュータシステムを有する請求項13記載のシステム。
【請求項16】
前記遠隔利益処理センタは、患者のインボイスを印刷するように適合される請求項13記載のシステム。
【請求項17】
前記遠隔利益処理センタは、金銭的な利益の記録を印刷するように適合される請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記金銭的な利益の記録は、商人への支払いのために用いられる請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記遠隔利益処理センタは、前記繰り返し発生する金銭的な利益の記録を印刷するように適合される請求項13記載のシステム。
【請求項20】
前記利益追跡ユニットは、前記薬剤送達装置のユーザに対して前記動作値および患者の情報の自動化記録をローカルに提供するプリンタを含む請求項13記載のシステム。
【請求項21】
ユーザ及び患者地において薬剤送達装置を繰り返し用いることによって繰り返し発生する金銭的な利益を電子的に追跡するための方法であって、
ユーザアクセスデバイスと、計測された動作値を示すデータ、及び前記患者に関する情報データを持っているデバイスとを有する前記薬剤送達装置を前記ユーザ及び患者地に提供するステップと、
患者に投与された薬剤の量を反映している計測された動作値を記録するステップと、
前記計測された動作値及び患者の情報データを読み出すステップと、
前記計測された動作値に基づいて金銭的な利益を計算するステップと、
前記金銭的な利益および患者の情報データを反映する記録を提供するステップと
を含む方法。
【請求項22】
前記方法は、前記値及びデータを遠隔地へ送信するステップと、
前記金銭的な利益の記録を前記遠隔地で印刷するステップとを含む請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、前記値及びデータを遠隔地へ送信するステップと、
患者のインボイスを前記遠隔地で印刷するステップとを含む請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記薬剤送達装置は、前記動作値および患者の情報データの自動化記録を前記ユーザ地で提供するプリンタを有する請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記薬剤送達装置の前記ユーザアクセスデバイスは、許可されたユーザだけに前記デバイスに対する制限されたアクセスを提供する請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記デバイスに課金記録を生成するステップをさらに含む請求項21記載の方法。
【請求項27】
事象が生じると前記値およびデータが遠隔地に送信される請求項21記載の方法。
【請求項28】
前記方法は、金銭的な利益の記録を遠隔地で印刷するステップを含む請求項21記載の方法。
【請求項29】
前記金銭的な利益の記録は、商人への支払いのために用いられる請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記金銭的な利益の記録は、カスタマ・インボイスを含む請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記計測された動作値は、使用時間、使用頻度、患者モニタリングの持続時間および使用した薬剤量からなるグループから選択された装置使用パラメータの指示を含む請求項21記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、ローカルに課金するステップを含む請求項21記載の方法。
【請求項33】
前記薬剤送達装置は、ローカルに金銭的な利益の記録及び課金記録を印刷するように適合したプリンタを有する請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【公開番号】特開2012−104146(P2012−104146A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5029(P2012−5029)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2004−186975(P2004−186975)の分割
【原出願日】平成11年6月3日(1999.6.3)
【出願人】(502451904)スコット・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SCOTT LABORATORIES, INC.
【住所又は居所原語表記】2804 N. Loop 289, Lubbock, Texas 79415, United States of America
【Fターム(参考)】