説明

ユーザ認証装置

【課題】ユーザ認証機能を持たない電子内視鏡を備えた電子内視鏡システムでユーザ認証を行いその機能制限を実現することが可能なユーザ認証装置を提供する。
【解決手段】電子内視鏡用プロセッサに備えられ、各ユーザを識別するための識別情報を格納した識別情報格納手段と、該識別情報が入力される識別情報入力手段と、識別情報格納手段に格納された識別情報の中に該入力された識別情報と一致するものがあるか否かを判定する識別情報判定手段と、該生成された映像信号に関する処理に制限を掛けることが可能な処理制限手段であって、識別情報判定手段により一致する識別情報がないと判定されたときには該生成した映像信号に関する少なくとも一部の処理に制限を掛け、識別情報判定手段により一致する識別情報があると判定されたときには該生成した映像信号に関する全ての処理に制限を掛けない処理制限手段とを具備したユーザ認証装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子内視鏡と、前記電子内視鏡からの信号を処理して映像信号を生成し外部機器に出力する電子内視鏡用プロセッサとを有する電子内視鏡システムを使用するユーザに対する認証を行うユーザ認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内を観察するためのシステムとして内視鏡システムが広く知られ実用に供されている。このような内視鏡システムには、例えば電子内視鏡、該電子内視鏡の観察領域に照明光を供給する光源装置、該電子内視鏡で得られた信号を処理するプロセッサ、及び該プロセッサで処理された信号を映像として表示するディスプレイから構成されるものがある。また、このような電子内視鏡システムには付加的な機能を有するものがある。付加的な機能の一つとして、例えば電子内視鏡システムの各機能を利用可能なユーザを制限するためのユーザ認証機能が挙げられる。
【0003】
例えば下記特許文献1にユーザ認証機能を備えた電子内視鏡システムが開示されている。下記特許文献1に記載の電子内視鏡システムによれば、電子内視鏡の把持部に認証ユニットが装着されている。この認証ユニットにはユーザ情報が保持されている。プロセッサは、このユーザ情報を読み出して、内蔵メモリに保持した情報と比較してユーザ認証を行う。そして、当該システムを利用可能なユーザであると認証したときには各機能の使用を許可する。また、当該システムを利用可能なユーザでないと認証したときには各機能の使用を禁止する。
【特許文献1】特開2002−345723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の電子内視鏡システムでは、ユーザ認証に関する仕様に汎用性がない。具体的には、上記特許文献1に記載の電子内視鏡システムは、電子内視鏡及びプロセッサの両方が上記認証ユニットを前提とした認証処理に対応し、互いに連携して動作することによってユーザ認証機能を実現するよう構成されている。これは、上記認証ユニットを前提とした認証処理に対応した電子内視鏡とプロセッサの組み合わせでしかユーザ認証機能を実現可能な電子内視鏡システムを構築することができないことを意味する。
【0005】
ここで、電子内視鏡システムを用いて診断を行う際には、観察対象部位に合わせて複数のタイプの電子内視鏡を使い分けるのが一般的である。これに対してプロセッサは共通のものを使用することが多い。すなわちユーザは、一台のプロセッサに対して、複数のタイプの電子内視鏡をその用途に応じて適宜変えて診断を行うことがある。しかし、全ての電子内視鏡を上記認証ユニットを前提とした認証処理に対応したものにすることは、コスト面においてユーザに多大な負担を強いることとなる。従って現在この点についての改善が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、ユーザ認証機能を持たない電子内視鏡を備えた電子内視鏡システムでユーザ認証を行いその機能制限を実現することが可能なユーザ認証装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るユーザ認証装置は、電子内視鏡と、該電子内視鏡からの信号を処理して映像信号を生成し外部機器に出力する電子内視鏡用プロセッサとを有する電子内視鏡システムを使用するユーザに対する認証を行う装置である。このユーザ認証装置は、電子内視鏡用プロセッサに備えられ、各ユーザを識別するための識別情報を格納した識別情報格納手段と、該識別情報が入力される識別情報入力手段と、識別情報格納手段に格納された識別情報の中に該入力された識別情報と一致するものがあるか否かを判定する識別情報判定手段と、該生成された映像信号に関する処理に制限を掛けることが可能な処理制限手段とを具備する。そして、この処理制限手段は、識別情報判定手段により一致する識別情報がないと判定されたときには、該生成した映像信号に関する少なくとも一部の処理に制限を掛け、識別情報判定手段により一致する識別情報があると判定されたときには、該生成した映像信号に関する全ての処理に制限を掛けない。
【0008】
このような構成によれば、電子内視鏡用プロセッサ単体でユーザ認証を実行することが可能である。従って本発明のユーザ認証装置によれば、電子内視鏡がユーザ認証機能を備えない構成であっても、ユーザ認証を行いその機能制限を実現することができる電子内視鏡システムを提供することが可能となる。
【0009】
ここで、上記ユーザ認証装置を、例えば該識別情報を登録する識別情報登録手段であって、識別情報入力手段に入力された識別情報を識別情報格納手段に格納する識別情報登録手段を更に具備した構成としても良い。
【0010】
また、上記ユーザ認証装置において識別情報判定手段は、例えば該識別情報として生体に関する情報を扱うバイオメトリクス認証手段であっても良い。この識別情報がユーザの指紋である場合、識別情報入力手段は、例えば該指紋の画像を画像データとして取り込む画像取込用のセンサであっても良い。
【0011】
また、識別情報判定手段により一致する識別情報がないと判定されたとき、上記処理制限手段は、例えば該外部機器に出力される映像信号にコピーガード信号を付与するよう構成されていても良い。
【0012】
また、識別情報判定手段により一致する識別情報がないと判定されたとき、上記処理制限手段は、例えば該生成した映像信号の該外部機器に対する出力を禁止するよう構成されていても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るユーザ認証装置によれば、当該電子内視鏡用プロセッサ単体でユーザ認証を実行することが可能である。従って本発明のユーザ認証装置によれば、電子内視鏡がユーザ認証機能を備えない構成であっても、ユーザ認証を行いその機能制限を実現することができる電子内視鏡システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの構成及び作用について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態の電子内視鏡システム10の外観を概略的に示した図である。また、図2は、本発明の実施の形態の電子内視鏡システム10の構成を示したブロック図である。本実施形態の電子内視鏡システム10は、患者の体腔内を観察・診断するためのシステムである。また、付加的な機能としてプロセッサがユーザ認証機能を備えている。電子内視鏡システム10は、電子内視鏡100、プロセッサ200、モニタ300、及び記録装置400を備えている。なお、モニタ300及び記録装置400は、NTSC(National Television Standards Committee)方式の映像、及びNTSC方式の映像よりも高い解像度のハイビジョン映像の両方に対応した機器である。
【0016】
本実施形態の電子内視鏡100の基端部にはコネクタユニット110が設けられている。このコネクタユニット110には2本のプラグp1、p2が設けられている。また、プロセッサ200のフロント面にはプロセッサ側コネクタ部210が設けられている。このプロセッサ側コネクタ部210には2本のジャックj1、j2が設けられている。ピンプラグp1とジャックj1とが接続されることにより、電子内視鏡100とプロセッサ200とが光学的に接続される。また、ピンプラグp2とジャックj2とが接続されることにより、電子内視鏡100とプロセッサ200とが電気的に接続される。
【0017】
コネクタユニット110にはユニバーサルコード120の一端が結合している。ユニバーサルコード120は可撓性を有しており、もう一端が操作部130に結合している。すなわちコネクタユニット110と操作部130がユニバーサルコード120を介して連結するよう構成されている。
【0018】
操作部130は電子内視鏡100を術者に操作させるための入力インターフェースである。操作部130の操作釦を操作することにより、例えば体腔内に送気させたり洗浄液を噴射させたりすることができる。操作部130には挿入部可撓管140の一端が結合している。
【0019】
挿入部可撓管140は患者の体腔内に挿入される管であり、可撓性を有している。挿入部可撓管140の先端には先端部150が設けられている。術者が操作部130のアングルノブを操作すると、その操作に応じて先端部150根元付近の挿入部可撓管140が屈曲する。これにより、先端部150のアングルが変化する。このアングルの変化によって先端部150の前面が正対する方向も変わり、これに伴って、術者が視認可能な観察領域も変わる。
【0020】
先端部150は硬質性の素材(例えば樹脂)で形成されている。この先端部150には撮像処理に必要とされる各要素が設けられている。本実施形態における上記要素は、配光レンズ152、対物レンズ154、及び、CCD(Charge Coupled Device)156である。配光レンズ152及び対物レンズ154は、先端部150の前面に設置されたレンズである。CCD156は例えばベイヤー方式のカラーCCDである。受光面には多数の画素(受光素子)がマトリクス状に配列されている。受光面前面にはオンチップカラーフィルタが搭載されている。カラーフィルタは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の何れかのカラーチップが各画素に対応してマトリクス状に配列されたフィルタである。なお、ここで用いられるCCD156は原色フィルタを搭載したものに限定されず、例えば補色フィルタを搭載したものであっても良い。
【0021】
電子内視鏡100内部にはその長手方向に沿ってライトガイド160が設置されている。ライトガイド160は光ファイバ束である。ライトガイド160の一端はコネクタユニット110のピンプラグに接続されている。また、もう一端は配光レンズ152近傍に配置されている。
【0022】
コネクタユニット110内部には回路基板が取り付けられている。この回路基板には、CCD156を駆動制御するためのCCD駆動制御回路170、CCD出力信号(後述)を増幅するアンプ172、及び電子内視鏡100全体の統括的な制御を司るCPU(Central Processing Unit)180が実装されている。
【0023】
プロセッサ200は、システム全体の制御を統括的に行うシステムコントロールユニット220を備えている。またプロセッサ200には、入力インターフェースであるタッチパネル260がそのフロント面に設けられている。タッチパネル260は例えば周知の抵抗膜方式であり、種々の画像(例えば操作メニュー画像等)を表示可能なLCD(Liquid Crystal Display)を有している。例えばLCDで表示される操作メニューのアイコン等がタッチされると、そのタッチされたアイコンに応じた制御パルスがシステムコントロールユニット220に入力する。システムコントロールユニット220は、この入力した制御パルスに応じてプロセッサ200の各構成要素を制御する。
【0024】
またプロセッサ200は光源装置として、ランプ230、ランプ制御回路232、及び集光レンズ234を備えている。ランプ230は体腔内を照射するための白色光の光源である。ランプ230には例えばメタルハライドランプや、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が想定される。ランプ230はランプ制御回路232の制御により白色光を放射する。ランプ230からの放射光は、ランプ230の前方に設置された集光レンズ234によって集光される。集光された光は、プロセッサ側コネクタ部210を介して電子内視鏡100内部(より正確にはライトガイド160を成す光ファイバ束のコア)に入射する。
【0025】
ライトガイド160に入射した光はその内部を伝送して、先端部150側の端部から出射される。この出射光は、配光レンズ152を介して外部に放射されて例えば患者の体腔内を照明する。これにより、外部から光の届かない体腔内が明るく照らされる。
【0026】
配光レンズ152から放射された照明光は、体腔内の壁部等によって反射して対物レンズ154に入射する。ここで、CCD156は、その受光面が対物レンズ154の結像面と実質的に同位置となるように配置されている。従って対物レンズ154に入射した光は、対物レンズ154のパワーによりCCD156の受光面上で体腔内の光学像として結像する。
【0027】
CCD156は、CCD駆動制御回路170からの駆動パルスに従って駆動する。そして各画素において結像された光学像を、その受光光量に応じた電荷として蓄積してCCD出力信号に変換する。CCD156は、この変換したCCD出力信号を上記駆動パルスに応じたタイミングでCCD駆動制御回路170に出力する。CCD156から出力されたCCD出力信号は、CCD駆動制御回路170を介してアンプ172に入力する。アンプ172は、このCCD出力信号を増幅してプロセッサ200に出力する。なお上記駆動パルスの出力タイミングは、システムコントロールユニット220からの同期パルスの入力タイミングに基づいて決定される。この同期パルスは、システムコントロールユニット220から出力されてCPU180を介してCCD駆動制御回路170に所定のタイミング毎に入力する。
【0028】
次に、プロセッサ200で実行される信号処理について説明する。プロセッサ200は、CCD出力信号の処理に関わる手段として、絶縁回路240、CCD出力信号処理回路242、フレームメモリ244、D/A変換回路246、MPEGエンコーダe1、e2、アナログ用出力回路248A、デジタル用出力回路248D、及びネットワーク用出力回路248Nを有している。
【0029】
電子内視鏡100から出力された各画素のCCD出力信号は、プロセッサ側コネクタ部210及び絶縁回路240を介してCCD出力信号処理回路242に入力する。なお絶縁回路240は、電子内視鏡100とプロセッサ200との間で送受信される信号を例えばフォトカップラ等で別の媒体(ここでは光)に一時的に変換する。本実施形態の電子内視鏡システム10では、この変換処理により、電子内視鏡100とプロセッサ200とを電気的に絶縁させて安全性を保っている。
【0030】
CCD出力信号処理回路242はA/D変換、サンプリングホールド、γ補正等の周知の信号処理をCCD出力信号に施して画像信号を生成し、フレームメモリ244に出力する。フレームメモリ244にはCCD出力信号処理回路242からの画像信号が蓄積される。また、CCD出力信号処理回路242は、MPEGエンコーダe1及びe2にも画像信号を出力する。
【0031】
システムコントロールユニット220は、NTSC方式に対応したタイミングでフレームメモリ244に同期パルスを出力する。フレームメモリ244は同期パルスの入力を検知すると、蓄積されている画像信号をD/A変換回路246に出力する。このとき上記同期パルスがNTSC方式に対応したタイミングであるため、フレームメモリ244は1フレームに相当する画像信号(以下、「フレーム画像」と記す)を蓄積してD/A変換回路246に出力するよう動作することになる。附言するにフレームメモリ244は毎秒30のフレーム画像を出力する。なおこの同期パルスはCCD駆動制御回路170に出力されるものと同一である。この同期パルスにより、プロセッサ200側での信号処理のタイミングとCCD156の駆動タイミングとが同期する。
【0032】
D/A変換回路246は、入力したフレーム画像をアナログ画像の信号に変換してアナログ用出力回路248Aに出力する。アナログ用出力回路248Aはアナログ映像信号用の出力インターフェースであり、モニタ300及び記録装置400に接続している。アナログ用出力回路248Aは、D/A変換回路246からの信号を所定の形式の映像信号(例えばコンポジットビデオ信号やSビデオ信号、RGBビデオ信号等)に変換する。そして、この変換された映像信号は、アナログ用出力回路248Aが備えるコピーガード回路250Aを介してモニタ300に出力される。これにより、体腔内の映像がモニタ300に表示される。
【0033】
上記所定の形式に変換されたアナログ映像信号はまた、コピーガード回路250Aを介して記録装置400にも出力される。コピーガード回路250Aはシステムコントロールユニット220の制御に従って、アナログ用出力回路248Aからの映像信号(より詳細には、映像信号のブランキング期間)に周知のコピーガード信号を付加することができる。入力した映像信号にコピーガード信号が付加されていない場合、記録装置400は当該映像信号を記録することができる。一方、入力した映像信号にコピーガード信号が付加されている場合、記録装置400は当該映像信号を記録することできない。
【0034】
また、上述したように、CCD出力信号処理回路242からの画像信号はMPEGエンコーダe1にも出力される。MPEGエンコーダe1は、CCD出力信号処理回路242からの画像信号を例えばMPEG−2の規格に準拠したデジタル形式の映像信号にエンコードする。そして、エンコードした映像符号化信号をデジタル用出力回路248Dに出力する。
【0035】
デジタル用出力回路248Dはデジタル映像信号用の出力インターフェースであり、モニタ300及び記録装置400に接続している。また、コピーガード回路250Dを備えている。このデジタル用出力回路248Dに入力した映像符号化信号は、コピーガード回路250Dを介してモニタ300に出力される。これにより、体腔内の映像がモニタ300に表示される。
【0036】
上記映像符号化信号はまた、コピーガード回路250Dを介して記録装置400にも出力される。コピーガード回路250Dはシステムコントロールユニット220の制御に従って、デジタル用出力回路248Dからの映像符号化信号(より詳細には、映像符号化信号のヘッダ部分)に周知のコピーガード信号を付加することができる。入力した映像符号化信号にコピーガード信号が付加されていない場合、記録装置400は当該映像符号化信号を記録することができる。一方、入力した映像符号化信号にコピーガード信号が付加されている場合、記録装置400は当該映像符号化信号を記録することできない。
【0037】
また、上述したように、CCD出力信号処理回路242からの画像信号はMPEGエンコーダe2にも出力される。MPEGエンコーダe2は、CCD出力信号処理回路242からの画像信号を例えばMPEG−4の規格に準拠したデジタル形式の映像信号にエンコードする。そして、エンコードした映像符号化信号をネットワーク用出力回路248Nに出力する。
【0038】
ネットワーク用出力回路248Nはデジタル映像信号用の通信インターフェースである。このネットワーク用出力回路248Nには例えばLAN(Local Area Network)ケーブルが接続されている。プロセッサ200はこのLANケーブルを介して例えば病院内に構築されたLANに接続されている。
【0039】
このネットワーク用出力回路248Nにはスイッチング回路SWが備えられている。ネットワーク用出力回路248Nに入力した映像符号化信号は、スイッチング回路SWに入力する。このスイッチング回路SWは、システムコントロールユニット220の制御に従って、ネットワーク用出力回路248NとLANとを接続又は遮断することができる。ネットワーク用出力回路248NとLANとが接続されているときには、ネットワーク用出力回路248Nでエンコードされた映像符号化信号は外部端末(すなわちLAN内の他の端末であり、例えば所定のサーバ)に出力される。一方、ネットワーク用出力回路248NとLANとが切断されているときには、当該映像符号化信号は出力されない。
【0040】
ここで、上述したようにプロセッサ200はユーザ認証機能を備えている。プロセッサ100はユーザ認証機能を実現するための構成要素として、指紋認証用センサ270及びEEPROM272を有している。システムコントロールユニット220がこれらの構成要素と協働することにより、以下に示されるユーザ登録処理及びユーザ認証処理が実行される。
【0041】
先ず、図3のフローチャートを参照して、システムコントロールユニット220が実行するユーザ登録処理について説明する。このユーザ登録処理は、機能制限なしで電子内視鏡システム10(より正確にはプロセッサ200を備えた種々の電子内視鏡システム)を利用できるユーザを登録するための処理である。例えばタッチパネル260を用いてユーザ登録用のプログラムを起動させるようユーザ・オペレーションが行われると、図3のフローチャートに示されるユーザ登録処理が開始される。
【0042】
図3のフローチャートのユーザ登録処理が開始されると、システムコントロールユニット220は、指紋認証用センサ270からの入力を待機する(ステップ1、以下、明細書及び図面においてステップを「S」と略記)。この指紋認証用センサ270は例えば周知の画像認識機能を具備したセンサであり、その手前にかざされた何らかの対象物(例えば指紋)を画像として取り込む機能を有している。そして画像を取り込んだとき、その取り込んだ画像のデータをシステムコントロールユニット220に出力する。
【0043】
システムコントロールユニット220は指紋認証用センサ270からの入力(すなわち画像データ)を検知すると(S1:YES)、取り込んだ対象物を登録するか否かをユーザに問い合わせる(S2)。この問い合わせは例えばタッチパネル260を用いて行われる。具体的には、システムコントロールユニット220は、例えば「登録する」及び「登録しない」等のメッセージをタッチパネル260上に表示させる。このときユーザが例えば自身の指紋を指紋認証用センサ270の手前にかざして読み込ませた場合には「登録する」が選択されることになる。また、ユーザが指紋認証用センサ270に例えば指紋を上手くかざせなかった場合や、別の対象物を読み込ませてしまった場合には「登録しない」が選択されることになる。
【0044】
システムコントロールユニット220は「登録しない」が選択されると(S2:NO)、S1の処理に戻り、指紋認証用センサ270からの入力を待機する状態に復帰する。また、システムコントロールユニット220は「登録する」が選択されると(S2:YES)、指紋認証用センサ270からの画像データがユーザの指紋の画像データであると判断する。そして、この画像データをEEPROM272に書き込む(S3)。これにより指紋の登録が完了し、システムコントロールユニット220は本フローチャートの処理を終了させる。
【0045】
次に、図4のフローチャートを参照して、システムコントロールユニット220が実行するユーザ認証処理について説明する。このユーザ認証処理ではその認証結果に応じてプロセッサ200の機能制限が行われる。このユーザ認証処理は、例えばプロセッサ200の電源がオンされると開始される。
【0046】
図4のフローチャートのユーザ認証処理が開始されると、システムコントロールユニット220は、指紋認証用センサ270からの入力を待機する(S11)。そして、システムコントロールユニット220は指紋認証用センサ270から画像データを受け取ると(S11:YES)、当該画像データとEEPROM272内の各画像データとの照合を行う(S12)。
【0047】
次いで、システムコントロールユニット220はS12の照合処理の結果に基づいて、指紋認証用センサ270から受け取った画像データと合致する画像データがEEPROM272に格納されているか否かを判定する(S13)。
【0048】
S13の処理においてシステムコントロールユニット220は、合致する画像データがEEPROM272に格納されていると判定したとき(S13:YES)、指紋をかざしているユーザがユーザ登録されている、プロセッサ200の全機能の使用を許可して良いユーザであると判断する。そして、何れの機能制限も実施することなく(S14乃至16)、本フローチャートの処理を終了させる。なお、本実施形態で対象となる機能制限は、
(1)アナログ用出力回路248Aから出力されるアナログ形式の映像信号の記録
(2)デジタル用出力回路248Dから出力される映像符号化信号の記録
(3)ネットワーク用出力回路248Nからの映像符号化信号の出力
の計3つである。従ってシステムコントロールユニット220は、S14及び15の処理においては、コピーガード回路250A及び250Dを制御して、各々に入力する映像信号にコピーガード信号を付加させない。更に、S16の処理においてはスイッチング回路SWにイネーブル信号を出力して、ネットワーク用出力回路248NとLANとを接続させる。
【0049】
また、S13の処理においてシステムコントロールユニット220は、合致する画像データがEEPROM272に格納されていないと判定したとき(S13:YES)、指紋をかざしているユーザがユーザ登録されておらず、プロセッサ200の一部の機能の使用を禁止すべきユーザであると判断する。そして、上記(1)乃至(3)の機能を制限して(S17乃至19)、本フローチャートの処理を終了させる。より詳細には、システムコントロールユニット220は、S17及び18の処理においてコピーガード回路250A及び250Dを制御して、各々に入力する映像符号化信号にコピーガード信号を付加する。更に、S19の処理においてはスイッチング回路SWにディセーブル信号を出力して、ネットワーク用出力回路248NとLANとを切断させる。
【0050】
本実施形態の電子内視鏡システム10は、プロセッサ200にユーザ認証機能が備えられ、その認証結果に基づいて当該プロセッサ200が機能制限を実行するよう構成されている。このため、何れの電子内視鏡がプロセッサ200に接続された場合であってもユーザ認証による機能制限が実現されることになる。このためユーザは、ユーザ認証による機能制限を実現させるために専用の電子内視鏡を購入する必要がなくなる。従って、電子内視鏡システムにユーザ認証機能を導入する際の費用が大幅に抑えられる。
【0051】
また、本実施形態ではユーザ認証として指紋認証を採用している。このような指紋認証を始めとする種々のバイオメトリクスは、認証媒体の紛失や損傷等のリスクがないという観点から好ましいと言える。
【0052】
また、本実施形態では機能制限の対象となるものとして上記(1)乃至(3)を採用している。これらの機能制限によれば、外部機器への観察データの記録が禁止される。これは、情報保護の観点から好ましいと言える。そしてそれと同時に、例えばプロセッサ200側のエラー等で認証が受け入れられなかったときでも、ユーザは、患者の体腔内をモニタ300で観察することができる。従って、認証エラーによって診断できなくなるという望ましくない事態も回避される。
【0053】
以上が本発明の実施の形態である。本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば情報保護をより強化させるため、ユーザ認証が受け入れられなかったときには上記(1)乃至(3)に加えてモニタ300への映像信号の出力も禁止するようにしても良い。
【0054】
なお、別の実施の形態において機能制限の対象となるものは、上記(1)乃至(3)のものに限らず他の様々なものが想定される。例えばタッチパネル260を用いたあらゆるユーザ・オペレーションを禁止するようにしても良い。
【0055】
また、別の実施の形態においては、認証媒体として例えばユーザの識別情報が書き込まれたIDカードを採用しても良い。この場合、プロセッサ200には指紋認証用センサ270の代替として、IDカードを挿入するためのスロット、及びこのスロットに挿入されたIDカードの情報を読み取る情報読取部が備えられることになる。
【0056】
また、別の実施の形態においては、機能制限をユーザに応じて段階的に設定できるようにしても良い。例えば医師に対しては全ての機能の使用を許可し、看護士に対しては一部の機能の使用を禁止するといった段階的設定が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの外観を概略的に示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態のシステムコントロールユニットが実行するユーザ登録処理を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態のシステムコントロールユニットが実行するユーザ認証処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
10 電子内視鏡システム
100 電子内視鏡
200 プロセッサ
220 システムコントロールユニット
248A アナログ用出力回路
248D デジタル用出力回路
248N ネットワーク用出力回路
250A、D コピーガード回路
260 タッチパネル
270 指紋認証用センサ
272 EEPROM
300 モニタ
400 記録装置
SW スイッチング回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子内視鏡と、前記電子内視鏡からの信号を処理して映像信号を生成し外部機器に出力する電子内視鏡用プロセッサと、を有する電子内視鏡システムを使用するユーザに対する認証を行うユーザ認証装置において、
前記ユーザ認証装置は、
前記電子内視鏡用プロセッサに備えられ、
各ユーザを識別するための識別情報を格納した識別情報格納手段と、
該識別情報が入力される識別情報入力手段と、
前記識別情報格納手段に格納された識別情報の中に該入力された識別情報と一致するものがあるか否かを判定する識別情報判定手段と、
該生成された映像信号に関する処理に制限を掛けることが可能な処理制限手段と、を具備し、
前記処理制限手段は、前記識別情報判定手段により一致する識別情報がないと判定されたときには、該生成した映像信号に関する少なくとも一部の処理に制限を掛け、前記識別情報判定手段により一致する識別情報があると判定されたときには、該生成した映像信号に関する全ての処理に制限を掛けないこと、を特徴とするユーザ認証装置。
【請求項2】
該識別情報を登録する識別情報登録手段であって、前記識別情報入力手段に入力された識別情報を前記識別情報格納手段に格納する識別情報登録手段を更に具備したこと、を特徴とする請求項1に記載のユーザ認証装置。
【請求項3】
前記識別情報判定手段は、該識別情報として生体に関する情報を扱うバイオメトリクス認証手段であること、を特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載のユーザ認証装置。
【請求項4】
該識別情報がユーザの指紋である場合、前記識別情報入力手段は、該指紋の画像を画像データとして取り込む画像取込用のセンサであること、を特徴とする請求項3に記載のユーザ認証装置。
【請求項5】
前記識別情報判定手段により一致する識別情報がないと判定されたとき、前記処理制限手段は、該外部機器に出力される映像信号にコピーガード信号を付与すること、を特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のユーザ認証装置。
【請求項6】
前記識別情報判定手段により一致する識別情報がないと判定されたとき、前記処理制限手段は、該生成した映像信号の該外部機器に対する出力を禁止すること、を特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のユーザ認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−113713(P2008−113713A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297330(P2006−297330)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】