説明

ヨウ素並びに糖及び/又は糖アルコールを含有する液体殺菌組成物

本発明は、主に組織殺菌、特に皮膚殺菌を意図するヨウ素を含有する組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
手術、カテーテル法、又は針穿刺等の任意の侵襲的処置に先立って、感染の危険性を減少させるために皮膚を殺菌することは、工業国において標準的な習慣である。口腔及び鼻腔の汚染除去は、心臓手術における感染の発生率を低減し、及び/又は医療施設内でのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin Resistant Staphylococcus aureus)(MRSA)の蔓延を減少させることが示唆されている。これらの製品は、多くの場合、皮膚プレップ、鼻プレップ、口腔プレップ、又は単に「プレップ」と称される。顧客にとって無傷の皮膚と粘膜組織(例えば、膣、口腔、鼻及び眼組織)の両方に使用できる単一の製品を有することは、特に有利である。抗菌製品が使用されている他の敏感な組織は、急性及び慢性創傷、並びにやけどを含む。
【0002】
これらの局所殺菌剤の全てに関して、臨床医が意図する手順に進めるように、微生物を非常に急速に低減することが望ましい。近年、手術前及びカテーテル留置前の両方の殺菌のための数種のアルコールベースの殺菌剤が市販されている。これらの製品は、高いアルコール含有率(例えば、典型的には少なくとも60重量パーセント(重量%))によって良好な即効性殺菌剤である一方、無傷の皮膚に対する使用にのみ好適であり、例えば粘膜組織、創傷又はやけど組織等の敏感な組織に対する使用には好適ではない。高いアルコール濃度は、これらの組織に非常に刺激性であり得る。
【0003】
より最近になって、手術時に鼻内に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SA)を保有する患者は、手術部位の感染を受ける危険性が遙かに大きいことを示す多数の論文が発行されている。それ故、鼻内、特に前鼻孔内にも使用できる手術前プレップが必要とされている。米国内でこの目的に日常的に使用されている唯一の製品は、バクトロバン・ナザル(Bactroban)である。この製品は、抗生物質ムピロシンを含有する。この抗生物質は有効であるが、かなり容易に細菌耐性を生じることが発見されている。
【0004】
商業的に入手可能な皮膚殺菌剤のいずれも、皮膚上の全細菌を殺傷しないことが周知である。そのため、最近の製品は、手術中の洗浄及び流体への暴露に耐えるフィルム形成ポリマーを組み込んでいる。これらの製品のいくつかは、皮膚からプレップを取り去るための有機除去剤溶液又はローションも必要とする。これは臨床医にとって不便であり、かなりの余分な時間を必要とする。
【0005】
更に、現在の多数のプレップは、非常に低い粘度を有し、それ故、それらがこぼれるため、例えば膣及び鼻等の体腔への適用が煩雑である。最後に、これらのプレップの多数は、細菌をあまり急速に殺傷せず、及び/又は不快な匂い及び/又は味覚を有する。ポビドンヨウ素プレップ(例えばコネチカット州ノーウォークのパーデュー・フレデリック(Purdue Frederick)からのベタジン(BETADINE)10%ポビドン−ヨウ素溶液等)は、その皮膚上及び膣腔内での有効性と、細菌耐性のないことが広く認識されているが、これらのプレップは非常に低粘度であり、所望される程急速には殺傷しない。更に、例えばベタジン等のプレップは、好ましくない匂い及び味覚を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、組織殺菌組成物が、今尚必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、主に組織殺菌を意図する少なくとも一種の抗菌剤を含有する組成物に関する。それらの組成物は、対象に行われている侵襲的手順に先立って皮膚及び粘膜組織(口腔組織、前鼻孔を含む鼻道、食道及び膣を含む)をプレップするのに特に有用である。
【0008】
一実施形態において、本発明は、ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、23℃で液体であるビヒクルと、を含有する組成物を含み、23℃で液体である、組織殺菌組成物を提供する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、界面活性剤と、主要な量の可溶性グリコール湿潤剤を含むビヒクル(好ましくは、可溶性ポリアルキレングリコール)と、を含み、23℃で液体である、組織殺菌組成物を提供する。
【0010】
更なる別の実施形態において、本発明は、ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、ビヒクルと、を含み、1000cpsを越える粘度を有し、23℃で液体である、組織殺菌組成物を提供する。
【0011】
本発明は、方法も提供する。
【0012】
一実施形態において、対象の鼻道を脱コロニー化(decolonize)する方法を提供する。本方法は、本発明の組成物を対象の鼻道に適用することを含む。
【0013】
更なる別の実施形態において、対象の組織を消毒する方法を提供する。本方法は、本発明の組成物を対象の組織に適用することを含む。
【0014】
本明細書の用語「組織殺菌組成物」、「殺菌組成物」、「組成物」「皮膚プレップ」及び「プレップ」は、皮膚及び/又は粘膜組織上の少なくとも1種の細菌に対して活性(即ち、殺傷及び/又は不活性化に有効)な組成物を指す。本明細書でそのような組成物(又はそこに含まれるビヒクル)を指す場合の用語「液体」は、組成物(又はビヒクル)が23℃で液体であり、流動して、その組成物が配置される容器の形状を形成する(上部に形成される自由表面は除いて)ことを意味する。本発明のいくつかの液体は、比較的粘性であってもよい。そのような組成物は、遠心分離管内に配置され、約50×gの低速にて配置された場合、遠心分離管の形状に従うであろう(上部に形成される自由表面は除いて)。したがって、そのような組成物は、ロゼンジ又はバー(例えば、石鹸バー)の形態ではない。更に、本明細書に記載する好ましい液体組成物は、「使用」組成物である。即ち、液体組成物は、それらがそのまま送達される状態にあり、濃縮された組成物ではない。
【0015】
用語「糖アルコール」は、第一炭素原子のアルデヒド基が第一級アルコールに還元された単糖又は二糖を意味すると理解される。好ましい糖アルコールは、単糖のアルコールである。用語「単糖のアルコール」は、第一炭素原子のアルデヒド基が第一級アルコールに還元された単糖を意味すると理解される。
【0016】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合、制限する意味を有しない。
【0017】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0018】
本明細書で使用する時、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。それ故、例えば、「1つの」単糖を含有する組成物は、「1つ以上の」単糖を含有する組成物を意味すると解釈できる。同様に「1つの」界面活性剤を含有する組成物は、「1つ以上の」界面活性剤を含有する組成物を意味すると解釈できる。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「又は」は、その内容に別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられている。
【0020】
用語「及び/又は」は、列挙した要素の1つ若しくは全部、又は、列挙した要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する(例えば、細菌の殺傷及び/又は不活性化は、細菌の不活性化、殺傷、又は不活性化及び殺傷の両方を意味する)。
【0021】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)が包含される。
【0022】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示する各実施形態又は全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ヨウ素(好ましくはヨードフォールの形態で提供される)並びに単糖及び/又は糖アルコール(好ましくは、単糖のアルコール)を含有する組織殺菌組成物を提供する。
【0024】
本明細書に記載する組成物は、23℃で液体である。液体は、一般に、実施例セクションにてブルークフィールド粘度試験(Brookfield Viscostiy Test)に記載されるように測定された粘度値1〜500,000cpsを有する。
【0025】
本発明の殺菌組成物は、以下の性質1つ以上を有する。比較的高いレベルの細菌殺傷;比較的急速な速さ及び/又は長さの殺菌活性;細菌耐性を生じない可能性;ある時間に亘りヨウ素を放出可能である;膣、口腔、食道及び鼻組織を含む粘膜組織等の敏感な組織での使用に好適である;大部分の使用者に対して比較的非刺激性である;許容可能な匂い;組成物が故意に口腔又は食道腔内で使用され、又は組成物が鼻内に配置され、上方に鼻道へ、及び下方に咽喉へ移動した際に許容可能な味覚;湿潤及び乾燥の両方の場合の皮膚及び/又は粘膜組織に対する良好な粘着;粘膜組織に対する持続性(substantivity)を提供するのに十分高い粘度、それにより鼻又は他の粘膜組織(例えば、口腔、膣若しくは食道)における滞留時間が非粘稠製剤を越えて増大される;好ましくは例えば切開ドレープ、テープ、創傷被覆材及び同様物等の感圧接着剤(PSA)塗布製品の、乾燥プレップを越える皮膚上の良好な粘着(好ましくは、長期間、例えば時間〜日の間);典型的には外科手術中の収縮中に生じるような応力下での、皮膚上の乾燥プレップ上のPSA被覆製品の持ち上がり対する耐性;好ましくは有機溶媒ベースの除去剤を必要とせずに、比較的容易に除去可能である。
【0026】
本発明の好ましい殺菌組成物は、上述した特徴の多数又は全部を所有する。有意に、本発明の殺菌組成物は、細菌耐性の可能性が非常に低く又は全くなく、広い範囲の微生物の急速な殺傷を提供し、粘膜組織に対して良好な耐容性を有し、許容可能な匂い及び味覚を有する。更に、本発明の殺菌組成物は、組織に対して穏やかであり、例えばタオル又は単純なガーゼ等の水に浸した布で除去可能である。
【0027】
更に、本発明の好ましい組成物は、非常に安定であり、高温、例えば50℃、及び60℃もの高温に対する長時間、例えば多くの場合、7日間を越える長期間の暴露下で存続することができる。最も安定なサンプルは、室温(23℃)に少なくとも12時間戻された際に、視認可能な変化、例えば色、濁り及び同様物等の変化を示さない。また、本発明の好ましい組成物は、低温、例えば4℃に対する暴露に対して、また反復される冷凍/解凍サイクル、例えば2回以上のサイクル中でも非常に安定である。
【0028】
また本発明の好ましい組成物は、一般に持続性(substantive)である。本発明のより好ましい組成物は、例えば鼻、前鼻孔及び膣円蓋等の湿潤環境内に存在する間は持続性であり、これらの任意の組織上に、例えばベタジン10%ポビドン−ヨウ素溶液(パーデュー・フレデリック・カンパニー、コネチカット州ノーウォーク)等の典型的な殺菌剤よりも長時間残留する。
【0029】
「持続性」組成物とは、前鼻孔内に配置されたときに、視認可能なヨウ素が、綿棒により0.25ミリリットル(mL)滴下され、小鼻を5秒間穏やかにマッサージして、(患者が製品を放出せず、又は故意に若しくは不注意に拭い取らない限り)均一な分配を確実にしてから30分(min)後に尚、存在する組成物である。好ましい持続性組成物は、滴下から45分間、より好ましくは60分間前鼻孔内に存在し続ける。これは白色ティッシュ、例えばクリネックス(登録商標)(KLEENEX)ティッシュ等で前鼻孔の内部を軽く叩き、又は組成物に色を付与する(例えば少量の染料又は例えばポビドン−ヨウ素等の着色活性物質を、存在の有無を容易に見ることができる比較的暗い色が皮膚上で生じるに十分な濃度で含める)ことにより、都合良く測定される。
【0030】
本発明の組成物の多数は「皮膚持続性」でもあり、それ故、乾燥した組成物は、米国特許第7,147,873号に記載された「持続性試験」に記載されているように試験された際、皮膚からの除去に対して少なくとも15秒間耐える。好ましくは、皮膚上での使用のために、組成物は更により持続性であり、同一条件下で除去に対して少なくとも30秒間、より好ましくは少なくとも45秒間、最も好ましくは少なくとも60秒間耐える。これは、組成物に色を付与する(例えば、少量の染料、又は例えばポビドン−ヨウ素等の着色活性物質を、存在の有無を容易に見ることができる比較的暗い色が皮膚上で生じるに十分な濃度で含める)ことにより都合よく測定される。
【0031】
フィルム形成ポリマーを含有する本発明の好ましい殺菌組成物の乾燥フィルムは、一般に可撓性であり、耐久性を有する。即ち、それらは脆弱なフィルムのように亀裂を生じ又は剥がれ落ちない。有意に、フィルム形成ポリマーは、低い粘着性と可撓性との間の巧妙なバランスの達成に寄与する。
【0032】
本発明の殺菌組成物は幅広い粘度を有してもよいが、好ましい組成物は、製剤が、特に湿潤組織(例えば粘膜組織等)上で容易に存続し、持続性フィルムを形成することを確実にする粘度を所有する。好ましくは、組成物のブルークフィールド粘度は、100センチポアズ(cps)を越え、より好ましくは500cpsを越え、更により好ましくは1000cpsを越え、更により好ましくは2000cpsを越え、最も好ましくは5000cpsを越える。本発明の所定の皮膚殺菌組成物は、それらが乾燥した後、特に除去に耐える。これらの組成物は、一般に、より低い粘度(例えば、1000cps未満)を有し、また好ましくは10cpsを越える粘度を有する。本明細書にて粘度は、ブルークフィールドRVT ROTOVISCO粘度計及び実施例セクションに記載される手順を用いて、23℃で測定される。
【0033】
比較的低い粘度は、組成物が、急速に乾燥し得る均一な薄いフィルムを形成する努力を殆ど有さずに、皮膚又は粘膜組織上に塗布され得ることを確実にする。それ故、無傷皮膚上で使用するための本発明の好ましい組成物の粘度は、500,000cps以下、好ましくは200,000cps以下、より好ましくは50,000cps以下、尚より好ましくは10,000cps以下、最も好ましくは5,000cps以下である。創傷又は例えば鼻腔若しくは膣等の粘膜組織上での使用のためには、粘度は、排液及び煩雑を最小にするために比較的高いことが好ましい。組成物は、使用時に、創傷及び粘膜組織上で乾燥しない可能性がある。それ故、高い粘度が組成物を適用部位に長時間保持して、微生物殺傷を改善することを助ける。
【0034】
皮膚、創傷又は粘膜組織上で使用するための本発明の殺菌組成物の特に重要な性質は、組織、特に皮膚上の細菌負荷を急速に低減する(例えば、天然の皮膚叢を殺傷するために)能力である。好ましくは、本発明の組成物は、乾燥ヒト皮膚部位(典型的には、腹部又は背部上の皮膚)上にて、ASTM試験方法El173〜93を使用して、組成物中に浸したガーゼにより適度の圧力を用いて30秒間洗浄除去することにより、正常な皮膚叢を2分間で少なくとも1log(10倍)、より好ましくは少なくとも1.5log、最も好ましくは少なくとも2logs(100倍)低減することが可能である。
【0035】
この驚くべき急速な、また高い抗菌活性は、好ましくはヨードフォールとして送達されて、刺激の可能性を低減する活性抗菌剤としてのヨウ素と、単糖及び/又は糖アルコールとの組み合わせの使用を介して提供される。好ましい組成物は、更に1種以上のヒドロキシカルボン酸緩衝液を、特に高い使用濃度にて含有する。組成物中の単糖及び/又は糖アルコール、並びにヒドロキシカルボン酸緩衝液は、そのような良好な細菌殺傷に有意に寄与する。比較として、本発明の組成物は、正常な皮膚叢を、ヒドロキシカルボン酸緩衝液、単糖及び/又は糖アルコールが存在しない同一の組成物よりも少なくとも0.5log多く低減する。この「同一の」組成物は、単糖、糖アルコール又はヒドロキシカルボン酸緩衝液の代わりに付加的な水を含有し、例えば塩酸又は水酸化ナトリウム等の、組成物の安定性を損なわない鉱酸又は塩基を使用して、これらの成分を有する組成物と同一のpHに調製され得る。驚くべきことに、プラセボ組成物(即ち、抗菌剤を有さないが、尚、単糖、糖アルコール、及び/又はヒドロキシカルボン酸緩衝液を含有する組成物)は、比較的不活性である。比較として、本発明の組成物は、乾燥ヒト皮膚部位(例えば、背部又は腹部)上で試験された際に、ASTM試験方法E1173〜93に従って、組成物中に浸したガーゼによる適度の圧力を用いた30秒間の洗浄除去の完了から2分後の測定で、ヨウ素又はヨードフォールが存在しない同一の組成物と比較して、正常な皮膚叢を少なくとも0.5log多く低減する。
【0036】
一般に、殺菌組成物は、組織、典型的には皮膚に適用され、少なくとも2分間、多くの場合、数時間〜数日間、定位置にて乾燥及び残留される。有意に、本発明の組成物の多数は、組織、典型的には皮膚上で非常に少ない細菌数を長時間、例えば多くの場合、6時間、更には24時間迄維持する。
【0037】
抗菌剤
好ましい活性抗菌剤は、元素ヨウ素(I)であり、これはヨードフォールの形態で提供され得る。殆どのヨウ素含有患者プレップ中と同様、ヨウ素に加えて他のヨウ素含有種が存在し得る。それらの種は、例えば、次亜ヨウ素酸(HOI)、ヨージド(I)、トリヨージド(I)、ヨーデート(IO)及び同様物を含む。元素ヨウ素は、最も活性な抗菌種であると広く認識されている。例えば、Disinfection,Sterilization,and Preservation by Seymour S.Block,4.sup.th edition,Chapter 8「Iodine and Iodine Compounds,」Lea & Febiger,Philadelphia,PA.,1991を参照されたい。少量のBr及び又はClも存在し得る。
【0038】
最も商業的に入手可能なヨウ素消毒剤においては、ヨウ素のヨージドへの急速な還元を防止するために、溶液は典型的には僅かに酸性に緩衝される(例えば、6以下、多くの場合、2〜6)。酸性は、典型的にはヨウ素溶液中での安定性を維持し、またより殺菌性が低い他のヨウ素種への変換を抑制するために所望される。例えば、ヨウ素を含有する商業的な皮膚プレップは、一般に、分子ヨウ素種の安定性に有利に働く3〜5の範囲内のpH値を有する。HOIは、通常、Iと比較して非常に低いレベルで存在するが、効果的な抗菌として報告されており、いくつかの組成物中で殺傷に寄与し得る。IOは、有意な量のHIOが存在できるpH4未満でのみ効果的な酸化剤である。
【0039】
本発明の理解及び実践の更なる背景として、元素ヨウ素は、水に僅かにのみ可溶性である(25℃で0.03重量%)。ヨウ素と一緒になってトリヨージド(I)を形成するアルカリ金属ヨージドは、その溶解度を上昇させる。しかしながら、分子ヨウ素は、より高い濃度にて非常に刺激性であり得る。例えば、ルゴール液(5%元素ヨウ素及び10%ヨウ化カリウム)並びにヨウ素のチンキ(2%元素ヨウ素及び2.4%ヨウ化ナトリウムを有する45%エタノール水溶液)は、両方とも皮膚に非常に刺激性であることが多く記録されている。
【0040】
多数の参考文献が元素ヨウ素又はトリヨージドと所定のキャリアとの複合体である「ヨードフォール」の製剤を記載している。これらヨードフォールの機能は、ヨウ素の溶解度を上昇させるのみでなく、溶液中の遊離分子ヨウ素のレベルを低減し、元素ヨウ素の持続放出リザーバの一種を提供することである。ヨードフォールは、例えばポリビニルピロリドン、N−ビニルラクタム等の、例えば非限定的にアクリレート及びアクリルアミド等の他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばノニルフェノールエトキシレート及び同様物等のポリエーテル含有界面活性剤を含む様々なポリエーテルグリコール、ポリビニルアルコール、例えばポリアクリル酸等のポリカルボン酸、ポリアクリルアミド、例えば右旋糖等の多糖、及び同様物、並びにそれらの組み合わせ等のポリマーキャリアを使用するとして公知である。好ましいヨードフォールの群は、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、N−ビニルラクタムのコポリマー、ポリエーテルグリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、多糖、及びそれらの組み合わせ等のポリマーを含む。米国特許第4,597,975号(ウッドワード(Woodward)ら)には、本発明での使用に好適なヨードフォールであるプロトン化アミンオキシド界面活性剤−トリヨージド複合体も報告されている。様々なヨードフォールの組み合わせを、本発明の組成物中に使用することができる。
【0041】
好ましいヨードフォールは、ポビドン−ヨウ素である。特に好ましいヨードフォールは、K30ポリビニルピロリドン、ヨウ素、及びヨージドの複合体であると思われるポビドン−ヨウ素USPとして商業的に得ることができ、ポビドン−ヨウ素USPには利用可能なヨウ素が9重量%〜12重量%で存在する。
【0042】
好ましくは、ヨードフォールは、殺菌組成物の総量を基準として、使用組成物中に少なくとも1重量パーセント(重量%)、好ましくは少なくとも2.5重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%の濃度で存在する。乾燥組成物が過度に可溶性となることを防止するために、並びに/又は刺激、ヨウ素毒性、及び乏しい味覚を制御するために、使用組成物中のヨードフォールの濃度は、殺菌組成物の総量を基準として、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下で存在する。
【0043】
ヨードフォールは、利用可能なヨウ素の量において変動し得るため、通常、濃度を利用可能なヨウ素レベルとして記載することがより都合よい。本発明では、ヨウ素、ヨードフォール又はそれらの組み合わせのいずれに由来するとしても、利用可能なヨウ素濃度は、殺菌組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.2重量%、更により好ましくは少なくとも0.25重量%、更により好ましくは少なくとも0.4重量%である。最も好ましくは、組成物は、殺菌組成物の総量を基準として、少なくとも0.50重量%の利用可能なヨウ素を含有する。0.1重量%未満の利用可能なヨウ素の濃度は、十分な殺菌性を有さない可能性がある。利用可能なヨウ素は、殺菌組成物の総量を基準として、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、更により好ましくは1重量%以下で存在する。2重量%を越える利用可能なヨウ素の濃度は、創傷及び粘膜組織並びに皮膚に対して刺激性が高過ぎる可能性がある。殆どの組成物における利用可能なヨウ素は、ポビドン−ヨウ素に関する米国薬局方公式モノグラフ(UnitedStatesPharmacopeiaOfficialMonographs)の、利用可能なヨウ素に関するアッセイ(Assay for Available Iodine)の方法に従って測定することができる。所定の製剤は、他の陰イオン種等の、本方法と相互作用し得る成分を含有してもよい。そのため、正確性を確実にするよう適切な標準試験を行う必要があり、また正確性を確実にするために溶媒システム又は試薬を交換する必要があり得る。当業者は、これらの配慮を理解するであろう。
【0044】
単糖及び糖アルコール
本明細書で使用される単糖は、化学式(CHO)n+mを有し、化学構造はH(CHOH)C=O(CHOH)Hである。n又はmがゼロの場合、これはアルデヒドであり、アルドースと称され、さもなくばケトンであり、ケトースと称される。単糖は、ケトン又はアルデヒド官能基のいずれかを含み、非カルボニル炭素原子の殆ど又は全部にヒドロキシル基を含む。単糖は最も有用であると見出され、5個及び6個の炭素原子(n+m=5又は6)からなる化合物である。それらはD体若しくはL体又はそれらの組み合わせで見出され得る。最も好ましい単糖は、キシロース、キシルロース、リキソース、マンノース、麦芽糖、ソルボース、エリトロース、ブドウ糖(右旋糖)、果糖、ガラクトース及びリボースである。
【0045】
用語「糖アルコール」は、第一炭素原子のアルデヒド基が第一級アルコールに還元された単糖又は二糖を意味すると理解される。それらは好ましい糖アルコール:キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール(malititol)、エリトリトール、ラクチトール及びアラビトール又はそれらの組み合わせ、を含む。より好ましい糖アルコールは、キシリトール、マンニトール、又はそれらの組み合わせを含む単糖から誘導されたもの(即ち、単糖のアルコール)である。特に好ましい糖アルコールは、キシリトールである。本明細書で使用される際、用語「単糖のアルコール」は、第一炭素原子のアルデヒド基が、第一級アルコールに還元されている単糖を意味すると理解される。
【0046】
これらの単糖及び/又は糖アルコールは、驚くべきことに、ヨウ素含有組成物の効果(細菌殺傷の速度及び/又は程度)を増大させることが見出されている。
【0047】
単糖及び/又は糖アルコールは、殺菌組成物の総量を基準として、好ましくは少なくとも0.25重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、更により好ましくは少なくとも1重量%、更により好ましくは少なくとも2重量%、更により好ましくは少なくとも4重量%、更により好ましくは少なくとも5重量%の濃度で存在する。濃度は、典型的には、向上された抗菌性能を確実にし、及び/又は組成物が口腔、食道腔、鼻道若しくは前鼻孔に適用される場合、その味覚を向上させるよう調整される。上限は、単糖及び/又は糖アルコールの溶解度により決定され得る。好ましい組成物では、単糖及び/又は糖アルコールは完全に可溶性であり、組成物中に分散した固体が全く存在しない。そのような製剤は、物理的安定性の維持、即ち沈殿及び非均一性を防止することがより容易である。安定性は、室温で保管される場合、製造から2〜4週後に検査される必要がある。好ましい製剤は、放置後、固体の単糖及び/又は糖アルコールを全く有さない。例えば、PEG400キシリトールは、70℃に加熱された際、当初は溶液中に存在することが見出されている。しかしながら、2週間の放置後、いくつかの組成物は固体キシリトールの分離を示した。5〜20重量%水の添加は、溶液中でのキシリトールの安定性を保つことが見出された(使用されるキシリトールの量に依存する)。
【0048】
ヒドロキシカルボン酸緩衝液
本発明の組成物は、好ましくは保管中のpHドリフトを防止するよう緩衝される。例えば、ヨウ素含有システムにおいては、pHは一般に2〜6、好ましくは3〜5に維持することが望ましいことが周知である。pHが6を越えて上昇するにつれ、ヨウ素はヨージドに急速に変換され、それ故、抗菌効果は、それが所望される場合、不活性化され得る。pH2をかなり下回ると、組成物は刺激性となり得る。本発明の組成物では、pHは、3.0〜4.5、より好ましくは3.5〜4.2に調整されることが好ましい。
【0049】
従来の組成物は多様な有機及び無機緩衝液を濃度0.1重量%〜2重量%で含有していたが、本発明の組成物は、遙かに高い緩衝液濃度で使用し得る所定のヒドロキシカルボン酸緩衝液を含有する。好ましくは、ヒドロキシカルボン酸緩衝液は、殺菌組成物の総量を基準として、1重量%を越え、より好ましくは2.5重量%を越え、更により好ましくは3重量%を越え、更により好ましくは5重量%を越え、最も好ましくは6重量%を越える量で存在する。
【0050】
驚くべきことに、これらの組成物(即ち、pHが好ましくは3.0〜4.5、より好ましくは3.5〜4.2に調整され、2.5重量%を越え、より好ましくは5重量%を越える比較的高いヒドロキシカルボン酸緩衝液濃度を有する)は、アリコート(使用濃度の)をウサギの眼に滴下して行った研究により、組織(例えば、皮膚及び粘膜組織)に対して実質的に非刺激性であることが示された。米国特許第7,147,873号に開示されたウサギ眼刺激(Rabbit Eye Irritation Test)試験に従って試験された際の好ましい組成物は、生じたとしても角膜混濁を殆ど生じず、96時間以内、好ましくは72時間以内で実質的に完全に正常に戻った(即ち、透明又はDraizeスコア0を有する)。これは、組成物が皮膚及び粘膜組織上での使用に関して非常に穏やかであろうことを示している。これは、以前の報告が、酸性pHでの高いレベルのα−ヒドロキシ酸が、皮膚に対して刺激性であり得ることを示しているため、非常に驚くべきことである。
【0051】
この緩衝液レベルは、抗菌剤としてポビドン−ヨウ素(特にポビドン−ヨウ素USP)を含有する殺菌組成物に特に望ましい。これらのシステムにおいては、急速な微生物殺傷レベルが有意に増大され、いくつかのシステムにおいては、ヒドロキシカルボン酸のモル濃度と共に直線状に増大される。
【0052】
好ましいヒドロキシカルボン酸緩衝液は、米国特許第7,147,873号に開示され、式:R(CROH)(CHCOOH(式中、R及びRは、各々独立してH又は(C1〜C8)アルキル基(飽和の直鎖、分岐鎖又は環式基)、(C6〜C12)アリール、又は(C6〜C12)アラルキル若しくはアルカリル基(飽和の直鎖、分岐鎖又は環式アルキル基)であり、R及びRは、場合により1つ以上のカルボン酸基で置換されてもよく、m=0又は1であり、n=1〜3であり、好ましくは、n=1〜2である)で示される1種以上の化合物を含む。
【0053】
緩衝液、及び炭化水素基を含む他の賦形剤が飽和であり、又は低いレベルの不飽和を含んで、組成物中のヨウ素を涸渇させ、及び/又は有毒な種を生成し得るヨウ素付加を防止することが特に望ましい。組成物中の不飽和のレベルは、1リットル当たり50ミリ等量(meq/L)以下、より好ましくは5meq/L以下、最も好ましくは0.5meq/L以下の不飽和が好ましい。
【0054】
本発明のヒドロキシカルボン酸緩衝液は、好ましくはβ−及びα−ヒドロキシ酸(それぞれBHA、AHA、集合的にヒドロキシ酸(HA)と称する)、それらの塩、それらラクトン、及び/又はそれらの誘導体を含む(好ましくは、α−ヒドロキシ酸が使用される)。これらは、モノ−、ジ−及びトリ−官能基性カルボン酸を含んでもよい。1個又は2個のヒドロキシル基及び1個又は2個のカルボン酸基を有するHAが特に好ましい。好適なHAとしては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、グルコン酸、酒石酸、サリチル酸、及びそれらの誘導体(例えば、ヒドロキシル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、アルキル基、ハロゲン、及びそれらの組み合わせで置換された化合物)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいHAは、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸を含む。これらの酸は、D、L、又はDL体であってもよく、遊離酸、ラクトン、又はそれらの塩として存在してもよい。他の好適なHAは、米国特許第5,665,776号(ユー(Yu)ら)に記載されている。ヨウ素、特にポビドン−ヨウ素と共に使用するのに好ましいHAは、乳酸及びリンゴ酸である。所望であれば、ヒドロキシカルボン酸の様々な組み合わせを使用することができる。
【0055】
ヒドロキシカルボン酸緩衝液は、少なくとも0.3molar、より好ましくは少なくとも0.45molar、最も好ましくは少なくとも0.6molarのモル濃度で存在することが好ましい。皮膚上での非常に急速な微生物殺傷が所望される製剤に関しては、ヒドロキシカルボン酸濃度は0.7molarを越える。
【0056】
場合による界面活性剤
本発明の組成物は、皮膚及び粘膜組織上での有効な殺傷のために、好ましくは1種以上の界面活性剤を含有する。必要なこととして、界面活性剤は、抗菌剤、単糖及び/又は糖アルコール、並びに例えば増粘剤又はフィルム形成ポリマー等の、場合による任意の他の成分と適合性を有する必要がある。フィルム形成ポリマーと共に調製する際、1種以上の界面活性剤を含んで組成物中のポリマーの溶解度及び安定性を向上させることが特に望ましいと思われる。加えて、界面活性剤は、組成物が皮膚を湿潤させることを助け、滑らかな均一のコーティングを確実にする。誤りのない容易な適用を確実にするよう、完全な範囲を有するコーティング(好ましくは、持続性の)を提供することが望ましい。例えば殆どの粘膜表面等の視認が困難な組織上では、界面活性剤を使用して、湿潤を助け、抗菌剤が組織を横切り拡散し及び/又は毛細管現象により分配されることを確実にすることが望ましい。皮膚上では、急速に乾燥するであろう薄い比較的均一なコーティングが適用されることが好ましい。加えて、所定の界面活性剤は、抗菌活性を増大させ得る。
【0057】
使用される場合、1種以上の界面活性剤は、組成物の総量を基準として、一般に本発明の殺菌組成物に少なくとも0.5重量%で添加される。好ましくは、1種以上の界面活性剤は、組成物の総量を基準として、一般に本発明の殺菌組成物に12重量%以下、より好ましくは8重量%以下、更により好ましくは6重量%以下、最も好ましくは5重量%以下の量で添加される。少量過ぎる界面活性剤は不安定な組成物(特に高温への暴露により)を生じ、及び/又は組織に対する抗菌効果が低下し得る。多量過ぎる界面活性剤は、皮膚上の乾燥組成物の持続性を損なわせ得る。そのため、界面活性剤レベルは、一般に、必要な総界面活性剤の最少レベルを僅かに越えるよう選択されて、50℃での安定性を確実にする。
【0058】
更に、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩不純物が少ない界面活性剤を使用することが好ましい。好ましくは、そのような塩含有量は、界面活性剤の20%水溶液が1センチメートル当たり100マイクロモー(マイクロモー/cm)未満、より好ましくは85マイクロモー/cm未満、最も好ましくは75マイクロモー/cm未満の伝導率を有するよう十分に低い必要がある。
【0059】
所望であれば、以下のタイプの界面活性剤を使用することができる。
【0060】
a.非イオン性界面活性剤。特に有用な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。ポリアルコキシル化、特にポリエトキシル化、非イオン性界面活性剤が水溶液中でフィルム形成ポリマーを特に良好に安定化できることが見出されている。一般に、有用なポリアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも14、より好ましくは少なくとも16の親水性/親油性バランス(HLB)を有する。有用なポリアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、好ましくは19以下のHLBを有する。非イオン性界面活性剤の組み合わせを使用する場合、重量平均HLBを使用して非イオン性界面活性剤システムのHLBを決定する。本明細書で使用される際、HLBは、界面活性剤分子中のエチレンオキシドセグメントの重量百分率の1/5と定義される。
【0061】
特に有用な非イオン性型の界面活性剤は、以下を含む。
【0062】
1.ポリエチレンオキシド延長ソルビタンモノアルキレート(即ち、ポリソルベート(POLYSORBATE))。詳細には、NIKKOL TL−10(バレット・プロダクツ(Barret Products))として商業的に入手可能なポリソルベート(Polysorbate)20は、非常に有効である。
【0063】
2.ポリアルコキシル化アルカノール。少なくとも14のHLBを有する、デラウェア州ウィルミントンのアイーシーアイ・スペシャルティ・ケミカルズ(ICI Specialty Chemicals)から商品名BRIJで商業的に入手可能なもの等の界面活性剤は、有用であると証明されている。詳細には、それぞれ20モル及び100モルのポリエチレンオキシドを有するステアリルアルコールエトキシレートであるBRIJ 78及びBRIJ 700は、非常に有用であると証明されている。ニュージャージー州マウント・オリーブのBASF社機能化学部門(BASF Corp., Performance Chemicals Div.)から商品名PLURAFAC A−39で商業的に入手可能なセテアレス(ceteareth)55も有用である。
【0064】
3.ポリアルコキシル化アルキルフェノール。このタイプの有用な界面活性剤は、少なくとも14のHLB値を有する、商業的に入手可能な、ニュージャージー州マウント・オリーブのBASF社機能化学部門(BASF Corp., Performance Chemicals Div.)から商品名イコノール(ICONOL)、及びコネチカット州ダンバリーのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)から商品名トリトン(TRITON)である、ポリエトキシル化オクチル又はノニルフェノールを含む。例としては、トリトン(TRITON)X100(コネチカット州ダンバリーのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)から入手可能な、15モルのエチレンオキシドを有するオクチルフェノール)並びにイコノール(ICONOL)NP70及びNP40(それぞれ、40モル及び70モルのエチレンオキシド単位を有する、ニュージャージー州マウント・オリーブのBASF社機能化学部門(BASF Corp., Performance Chemicals Div.)から入手可能なノニルフェノール)が挙げられる。これらの界面活性剤の硫酸化誘導体及びリン酸化誘導体も有用である。そのような誘導体の例はノノキシノール−4−硫酸アンモニウムを含み、ニュージャージー州デイトン(Dayton)のロディア(Rhodia)から商品名RHODAPEX CO−436で商業的に入手可能である。
【0065】
4.ポラキサマー(Polaxamer)。エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)のブロックコポリマーをベースとする界面活性剤は、フィルム形成ポリマーの安定化に有効であることが示されており、良好な湿潤を提供する。EO−PO−EOブロック及びPO−EO−POブロックの両方は、HLBが少なくとも14、好ましくは少なくとも16である限り、良好に作用することが期待される。そのような界面活性剤は、ニュージャージー州マウント・オリーブのBASF社機能化学部門(BASF Corp., Performance Chemicals Div.)から商品名プルロニック(PLURONIC)及びテトロニック(TETRONIC)として商業的に入手可能である。BASFからのプルロニック(PLURONIC)界面活性剤は、上述したものと異なるよう計算された、報告されたHLB値を有することが知られている。そのような状況下では、BASFにより報告されたHLB値を使用するべきである。例えば、好ましいプルロニック(PLURONIC)界面活性剤は、15のHLBを有するL−64及び22のHLBを有するを有するF−127である。プルロニック(PLURONIC)界面活性剤は、本発明の組成物の安定化に非常に有効であり、活性薬剤としてのヨウ素を伴って非常に有効であるが、活性薬剤としてポビドン−ヨウ素を使用する組成物の抗菌活性を低減し得る。
【0066】
5.ポリアルコキシル化エステル。例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール及び同様物等のポリアルコキシル化グリコールは、部分的に又は完全にエステル化されていてもよく、即ち、1つ以上のアルコールは、(C8〜C22)アルキルカルボン酸によりエステル化されていてもよい。少なくとも14、好ましくは少なくとも16のHLBを有するそのようなポリエトキシル化エステルは、本発明の組成物中で使用するのに好適である。
【0067】
6.アルキルポリグリコシド。例えば米国特許第5,951,993号(ショルツ(Scholz)ら)記載されているような、カラム9、44行目から開始するアルキルポリグリコシドは、フィルム形成ポリマーと適合性を有し、ポリマー安定性に寄与し得る。例としては、平均鎖長が10.3炭素である(C8〜C16)アルキル鎖長を有し、1〜4個のブドウ糖単位を有するグルコポン(glucopon)425が挙げられる。
【0068】
b.双極性界面活性剤双極性界面活性剤としては、第三級アミン基を有する界面活性剤が挙げられ、これはプロトン化並びに第四級アミン含有双極性界面活性剤であってよい。特に有用なものは、以下を含む。
【0069】
1.カルボン酸アンモニウム双極性イオン。このクラスの界面活性剤は、以下の式により表すことができる。
【0070】
−(C(O)−NH)−R−N(R−R−COO
式中、a=0又は1であり、Rは、(C7〜C21)アルキル基(飽和又は不飽和直鎖、分岐鎖又は環状基)、(C6〜C22)アリール基又は(C6〜C22)アラルキル基若しくはアルカリル基(飽和直鎖、分岐鎖又は環状基)であって、Rは、所望により、1個以上のN、O若しくはS原子又は1個以上のヒドロキシル、カルボキシル、アミド若しくはアミン基によって置換されていてよく、Rは、H又は(C1〜C8)アルキル基(飽和若しくは不飽和直鎖、分岐鎖又は環状基)であって、Rは、所望により、1個以上のN、O若しくはS原子又は1個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基、(C6〜C9)アリール基又は(C6〜C9)アラルキル基若しくはアルカリル基によって置換されていてよく、R及びRは、それぞれ独立して、同一であっても異なってもよい(C1〜C10)アルキレン基であって、所望により、1個以上のN、O若しくはS原子又は1個以上のヒドロキシル基若しくはアミン基によって置換されていてよい。
【0071】
より好ましくは、カルボン酸アンモニウム双極性イオンに関する上記の式中、Rは(C1〜C16)アルキル基であり、Rは、好ましくはメチル又はベンジル基、最も好ましくはメチル基で置換された(C1〜C2)アルキル基である。RがHの場合、より高いpH値における界面活性剤は、例えばNa、K、Li等のカチオン性対イオンと共に第三級アミンとして、又は第四級アミン基として存在し得ることが理解される。
【0072】
このような双極性界面活性剤の例としては、ココベタイン及びコカミドプロピルベタインのような特定のベタイン(マッキンタイアーグループ(McIntyre Group Ltd.)(イリノイ州ユニバーシティパーク(University Park)から商品名マッカム(MACKAM)CB−35及びマッカムLとして市販されている);ラウロアンホ酢酸ナトリウムのようなモノアセテート;ラウロアンホ酢酸二ナトリウムのようなジアセテート;ラウルアミノプロピオン酸のようなアミノ−及びアルキルアミノ−プロピオネート(マッキンタイアーグループから、それぞれ、商品名マッカム1L、マッカム2L及びマッカム151Lとして市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
2.スルホン酸アンモニウム双極性イオン。このクラスの双極性界面活性剤は、多くの場合、「スルタイン」又は「スルホベタイン」と称され、以下の式により表すことができる。
【0074】
−(C(O)−NH)−R−N(R−R−SO
式中、R−R及び「a」は、カルボン酸アンモニウム双極性イオンに関して上記に定義した通りである。例としては、コカミドプロピルヒドロキシスルタインヤシ及びラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン(マッカム(MACKAM)50−SBとしてマッキンタイア・グループ(McIntyre Group Ltd.)から商業的に入手可能)が挙げられる。
【0075】
3.リン脂質双極性イオン。これらの界面活性剤は、少なくとも1つのアニオン性リン酸基、1つのカチオン性アンモニウム基(プロトン化又は第四級のいずれか)、及び少なくとも8個の炭素原子からなる少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アラルキル又はアラルケニル基を有するとして特徴付けられる。このクラスの界面活性剤の多数の界面活性剤は、以下の式で表すことができる。
【0076】
−OP(O)O−CHCH(R
式中、Rは、カルボン酸アンモニウム双極性イオンに関して上記に定義され、RはR(カルボン酸アンモニウム双極性イオンに関して上記に定義した通りである)であるが、但し、Rは、Rが、例えば、ホスファチジルコリン等のグリセロールエステル誘導体の場合、複数のRも含み得る。例としては、レシチン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンが挙げられる。商標名アルラシルク(Arlasilk)リン脂質CDM(ヤシ油(coco)PG−ジモニウムクロリドホスフェート)、アルラシルク(Arlasilk)リン脂質EFA(リノールアミドプロピルPG−ジモニウムクロリドホスフェート)でユニケマ/クローダ(Uniqema/Croda)から販売されているもの等、鎖内の第四級アンモニウム基と、末端リン酸基とを所有する通称「逆リン脂質」も可能である。
【0077】
c.アニオン性界面活性剤。特に有用なアニオン性型の界面活性剤は、以下を含む。
【0078】
1.スルホネート及びサルフェート。好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンエーテルサルフェート、アルキルスルホアセテート、第二級アルカンスルホネート及び第二級アルキルサルフェート等のようなスルホネート及びサルフェートが挙げられる。これらの多くは、下式により表すことができる。
【0079】
−(OCHCH(OCH(CH)CH−(Ph)−(OCHCH−(O)−SO
及び、
−CH[SO−M]−R
式中、a及びb=0又は1であり、n、p、m=0〜100(好ましくは0〜40、より好ましくは0〜20)であり、Rは、双極性イオンに関して上記に定義した通りであり、Rは、場合によりN、O、若しくはS原子又はヒドロキシル、カルボキシル、アミド若しくはアミン基で置換されてもよい(C1〜C12)アルキル基(飽和の直鎖、分岐鎖又は環式基)であり、Ph=フェニルであり、Mは、例えばNa、K、Li、アンモニウム、トリエタノールアミン又は第四級アンモニウム基等のプロトン化第三級アミン等の、カチオン性対イオンである。
【0080】
上記式中、エチレンオキシド基(即ち、「n」及び「m」基)及びプロピレンオキシド基(即ち、「p」基)は、逆の順番並びに無作為、順次又はブロック配列で生じる場合がある。このクラスにおいて好ましくは、Rは、例えばR−C(O)N(CH)CHCH−等のアルキルアミド基、及び例えば−OC(O)−CH−等のエステル基を含み、式中、Rは、(C8〜C22)アルキル基(飽和の直鎖、分岐鎖又は環式基)である。
【0081】
例としては、ステパン社(イリノイ州ノースフィールド(Northfield))から入手可能なポリステップ(POLYSTEP)B12(n=3〜4であり、M=ナトリウムである)及びB22(n=12であり、M=アンモニウムである)、並びに、メチルタウリン酸ナトリウム(日光ケミカルズ(Nikko Chemicals Co.)(日本、東京)から商品名ニッコール(NIKKOL)CMT30として入手可能)などのラウリルエーテルサルフェートのようなアルキルエーテルスルホネート、クラリアント社(Clariant Corp.)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))から入手可能なナトリウム(C14〜C17)二級アルカンスルホネート(α−オレフィンスルホネート)であるホスタプル(Hostapur)SASのような二級アルカンスルホネート、ステパン社から商品名アルファステ(ALPHASTE)PC−48として入手可能なメチル−2−スルホ(C12〜C16)エステルナトリウム及び2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸二ナトリウムのようなメチル−2−スルホアルキルエステル、両方ともステパン社からラウリルスルホ酢酸ナトリウム(商品名ランサノール(LANTHANOL)LAL)及びラウレススルホコハク酸二ナトリウム(ステパンマイルド(STEPANMILD)SL3)として入手可能なアルキルスルホアセテート及びアルキルスルホスクシネート、ステパン社からステパノール(STEPANOL)AMとして市販されているラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキルサルフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
2.ホスフェート及びホスホネート。好適なアニオン性界面活性剤としてはまた、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アラルキルホスフェート、グリセロールエステルホスフェート及びアラルキルエーテルホスフェートのようなホスフェートが挙げられる。多くは、下式により表すことができる。
【0083】
[R−(Ph)−O(CHCHO)(CHCH(CH)O)−P(O)[O
式中、Ph、R、a、n、p、及びMは、上記に定義され、rは0〜2であり、q=1〜3であり、但し、q=1の場合、r=2であり、またq=2の場合、r=1であり、またq=3の場合、r=0である。上記と同様、エチレンオキシド基(即ち、「n」基)及びプロピレンオキシド基(即ち、「p」基)は、逆の順番並びに無作為、順次又はブロック配列で生じる場合がある。
【0084】
例としては、クラリアント社(Clariant Corp.)から商品名ホスタファット(HOSTAPHAT)340KLとして市販されている、一般にトリラウレス−4−ホスフェートと呼ばれるモノ−、ジ−及びトリ−(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステルの混合物、並びに、クローダ社(Croda Inc.)(ニュージャージー州パーシパニー(Parsippany))から商品名クローダホス(CRODAPHOS)SGとして入手可能なPPG−5セテス10ホスフェートが挙げられる。
【0085】
3.アミンオキシド。好適なアニオン性界面活性剤は、以下の式のアルキル及びアルキルアミドアルキルジアルキルアミンオキシドを含むアミンオキシドも含む。
【0086】
(R−N→O
式中、Rは、上記に定義され、各Rは、同一又は異なっていてもよい。
【0087】
場合により、R基は、結合して、窒素を有する複素環を形成し、アルキルモルホリン及びアルキルピペラジンなどのアミンオキシドのような界面活性剤を形成してもよい。好ましくは、2つのR基はメチルであり、1つのR基は、(C12〜C16)アルキル又はアルキルアミドプロピル基である。
【0088】
アミンオキシド界面活性剤の例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシド及びセチルアミンオキシドである、商品名アモニックス(AMMONYX)LO、LMDO、及びCOとして市販されているものが挙げられ、これらは全てステパン社製である。
【0089】
所望により、界面活性剤の組合せを使用することができる。例えば、非イオン性界面活性剤を上述した所定のアニオン性界面活性剤又は双極性界面活性剤と組み合わせて、所定の利益のために使用することができる。例えば、1つの好ましい界面活性剤システムは、ポリソルベートとポリエトキシル化アルキルアルコールとの組み合わせをベースとする(ポリソルベート(POLYSORBATE)20+ステアレス(steareth)−100)。
【0090】
所定の好ましい双極性界面活性剤としては、スルタイン、ベタイン、リン脂質又はそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態において、双極性界面活性剤は、スルタイン、リン脂質又はそれらの組み合わせである。
【0091】
所定の好ましいアニオン性界面活性剤は、ポリアルコキシル化基を含む。これらは、スルホネート、サルフェート、ホスフェート及びホスホネートを含む。所望であれば、これらの様々な組み合わせを使用することができる。
【0092】
所定の実施形態のために、乾燥後により良好に耐え得るように、組成物中の他の成分と会合し又は会合する可能性のある1種以上の界面活性剤を選択することが望ましい。例えば、メチル−2−スルホアルキルエステル(例えば、商品名アルファ・ステップ(ALPHASTEP)PC−48でステパン社(Stepan Company)から入手可能なナトリウムメチル−2−スルホ(C12〜16)エステル及び二ナトリウム2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸)等の所定のアニオン性界面活性剤と、ポリアミンオキシドフィルム形成ポリマーとの組み合わせは、殺菌組成物の乾燥フィルムの持続性と、PSA被覆製品の粘着とを増大させるように思われる。所定のサルフェート及びスルホネート含有界面活性剤も、乾燥時間を有意に短縮するように思われる。この機構は明かではない。理論に束縛されることを意図するものではないが、これらの界面活性剤は、フィルム形成ポリマー上のカチオン性アミン基と会合し、乾燥中に、より疎水性の複合体を形成する可能性がある。サルフェート及びスルホネート、ホスフェート及びホスホネート、並びにスルホベタイン型の界面活性剤は、乾燥時間を有意に短縮することが示されている。
【0093】
ビヒクル
本発明の殺菌組成物のための好適なビヒクル(好ましくは、所定の実施形態における23℃で液体のビヒクル)は、単糖及び/又は糖アルコールが可溶であり、室温で光路長1センチメートル(cm)を有するキュベット内で85%を越える550ナノメートル(nm)でのパーセント透過率を有する、透明かつ澄んだ溶液を形成するビヒクルを含む。試験溶液は、より少量の抗菌剤、及び任意の増粘剤又はフィルム形成ポリマー、並びに界面活性剤及び例えば充填剤又は他の微粒子等の任意の他の不溶性種を含む組成物である。好ましい組成物は、23℃で2週間放置した後も安定かつ透明である。それ故、単糖及び/又は糖アルコールの可溶性を確実にするために、ビヒクルは一般に、水、アセトン、アルコール(特に(C1〜C4)アルコール(即ち、低級アルコール)例えばエタノール、2−プロパノール、及びn−プロパノール等)、又はそれらの混合物を含む。
【0094】
ビヒクルは、例えばグリコール、特にポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)等の1種以上の湿潤剤を含んでもよい。所定の実施形態において、湿潤剤(特にポリアルキレングリコール)は水溶性であり、これは脱イオン水に5%で添加され2時間非常に良く混合された際に、1cm光路長セル内の550nmでのパーセント透過率が、90%を越えることを意味する。所定の実施形態において、ポリアルキレングリコールは、2500ダルトン未満、好ましくは1500ダルトン未満、より好ましくは1000ダルトン未満の分子量を有する。好ましい湿潤剤型のグリコール(ポリオール)の非限定的な例は、それらのポリエトキシル化誘導体を含む、グリセロール、ポリグリセリン、1,3−及び1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、パントテノール、グルコン酸塩及び同様物を含む。
【0095】
好ましいビヒクルは、例えば蒸留水及び脱イオン水等の精製水を含む。他の好ましいビヒクルは、好ましくは1500ダルトン未満、より好ましくは1000ダルトン未満、更により好ましくは600ダルトン未満の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。これらの材料は、分子量の分布を含むことが認識される。これらの材料は、以下の化学構造を有する。H−(OCHCH−OHこれらのPEGは、USP又はNF規格を満たすことが好ましい。いくつかの糖アルコール及び単糖は、ニートのPEG中に可溶でない可能性がある。例えば、5重量%のキシリトールは加熱した際にPEG 400に溶解するが、その溶解性は数日〜数週間の間に徐々になくなるであろう。それ故、PEG含有ビヒクルは、例えば水、他のグリコール、界面活性剤、又はそれらの組み合わせ等、可溶性を助けるために、更なる成分を必要とし得る。ビヒクルの好ましい実施形態は、PEG及び水を含む。
【0096】
しかしながら、無傷皮膚への適用のために、例えばエタノール、イソプロパノール又はn−プロパノール等のより低級のアルコールを含むことが望ましい場合がある。これらのアルコールは、急速な微生物殺傷に寄与することが周知である。これらの用途のために、アルコール対水の重量比は、好ましくは少なくとも60:40、より好ましくは少なくとも70:30である。これら高濃度でのアルコールの添加は、組成物の乾燥時間も短縮するであろう。
【0097】
低級アルコールを使用する際、界面活性剤の組み込み(上記により詳細に説明したように)は必要であり又は必要でない可能性がある。殆どの場合、界面活性剤の低減又は排除は、PSA被覆製品の乾燥フィルムを越える、より良好な粘着を可能とし得る。
【0098】
粘膜組織上での使用に特に好ましい殺菌組成物は水を含有し、例えばアセトン、低級アルコール、アルカン、揮発性ケイ素等の揮発性の有機溶媒(即ち、60℃(140°F)を越えるクローズドカップ(closed-cap)引火点を有するもの)を実質的に含有しない(即ち、10重量%未満)。
【0099】
水性製剤は、これらの製剤が皮膚及び粘膜組織の両方に穏やかであり、開放創傷上でさえも創傷洗浄剤として使用するのに好適であり得るため好ましい。更に、有機溶媒を含有する組成物は可燃性であり得、これは典型的には製品の出荷及び取り扱いにおける留意事項である。
【0100】
粘膜組織(口腔、食道、鼻、前鼻孔、膣及び創傷)上での使用のための本発明の好ましい組成物は、組成物の総量を基準として、5重量%未満の揮発性有機溶媒、より好ましくは3重量%未満の揮発性有機溶媒を含む。これらの好ましい水性組成物は、典型的には不燃性であり、60℃(140°F)を越えるクローズドカップ(closed-cup)引火点を有する。低級アルコール(C1〜C4)を4重量%未満で加えると、組成物の湿潤が向上し得るが、尚、60℃(140°F)を越える引火点を維持する。引火点は、試験方法ASTM D3278〜96に従って測定される。
【0101】
場合による増粘剤及びフィルム形成ポリマー
1種以上の増粘剤、特にポリマー性増粘剤(フィルム形成ポリマーであってもよい)及び/又はフィルム形成ポリマーを殺菌組成物に加えて、持続性(例えば、血液及び体液暴露による洗い落としに対する耐性)を向上させ、PSA被覆製品の粘着を向上させ、粘度を増大させて液だれ等を防止し、及び/又は組成物の粘着性を低減することが特に望ましい。本発明の殺菌組成物の好ましいポリマー性増粘剤及び/又はフィルム形成ポリマーは持続性であり、例えば水、生理食塩水及び体液等の流体に対する長時間の暴露による除去に耐性であるが、尚、有機溶媒を必要とせずに容易かつ穏やかに除去することができる。
【0102】
本発明の所定の皮膚殺菌組成物は、それらが乾燥した後に、特に良好に除去に耐える。これらの組成物は、一般により低い粘度(例えば、1000cps未満)を有し、好ましくは10cpsを越え、一般により小さい分子量(例えば、200,000ダルトン未満)を有するポリマーを含む。
【0103】
しかしながら、創傷並びに鼻及び前鼻孔内等の粘膜組織上での使用のための殺菌組成物は、組成物を組織(多くの場合、湿潤した)上でより長く保持し、また液だれ及び煩雑を防止するために、より高い粘度を有する。これらの組成物は、好ましくは100cpsを越え、より好ましくは500cpsを越え、更により好ましくは1000cpsを越え、更により好ましくは2000cpsを越え、更により好ましくは5000cpsを越える粘度を有する。これらの組成物は、以下の1つ以上により増粘されてもよい。
【0104】
a.高分子増粘剤
b.疎水変性高分子増粘剤
c.ポリマー/界面活性剤の組み合わせ
d.乳化剤(鑞を含む)
e.無機コロイド状増粘剤
局所皮膚殺菌剤のための高分子増粘剤(例えば、手術前及びIVプレップ)。
【0105】
好ましい高分子増粘剤(フィルム形成物であってもよい)は、親水性部分及び疎水性部分の両方を有する。特に好ましい高分子増粘剤は、比較的高いレベルの全疎水性モノマーを含む。好ましいポリマーは、良好な持続性及びPSA被覆製品の長い粘着を提供するよう比較的疎水性である。特に好ましいポリマーは、重合性組成物の総重量を基準として(また好ましくは、ポリマーの総重量を基準として)疎水性モノマーを少なくとも50重量%のレベル、また多くの場合、80重量%もの高い濃度で使用して形成される。所望であれば、疎水性モノマーの様々な組み合わせを使用することができる。
【0106】
好適な疎水性及び親水性モノマーの例は、米国特許第6,838,078号に記載されている。
【0107】
高分子増粘剤(フィルム形成ポリマーであってもよい)は、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は双極性であってもよい。それらは、感圧接着特性も有し得る。これらは合成及び天然ポリマーの両方、並びに天然ポリマーの誘導体を含む。好ましいポリマーは、カチオン性(特にフィルム形成ポリマー)である。
【0108】
驚くべきことに、カチオン性高分子増粘剤の溶解度及び安定性は、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸及び同様物等の多官能基カルボン酸含有ヒドロキシ酸の存在により悪影響を受けない。これは、これらの酸をカチオン性ポリマーを含有する組成物に非常に高い濃度で添加することにより、例えばイオン性架橋を原因としてポリマーの沈殿がもたらされることが予想され得るため、特に驚くべきことである。
【0109】
所定の実施形態において、好ましい高分子増粘剤は、カチオン性ポリマー、特に側鎖官能基性アミン基を含むものであり、これはフィルム形成ポリマーであってもよい。そのような基の例は、プロトン化第三級アミン、第四級アミン、アミンオキシド、及びそれらの組み合わせを含む。好ましいそのようなポリマーは、米国特許第6,838,078号に記載されている。
【0110】
所定の実施形態において、好ましい高分子増粘剤は、アミン基含有モノマーから調製されたビニルポリマーである。好ましくは、ビニルポリマーは、少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも50℃のTgを有する。ポリマーのTgを測定する一つの方法は、−100℃〜+100℃の範囲内で20℃/分の速度での示差走査熱量計(DSC、例えばPYRIS 7−シリーズ熱分析計、パーキンエルマー(Perkin-Elmer)、コネチカット州シェルトン)の使用を含み得る。
【0111】
所定の好ましい高分子増粘剤のために、アミン基含有モノマーを、重合性組成物の総重量を基準として(また好ましくは、ポリマーの総重量を基準として)、少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、更により好ましくは少なくとも25重量%、最も好ましくは少なくとも30重量%の量で使用して、ポリマーを調製し得る。ポリマーの調製に使用されるアミン基含有モノマーは、典型的には、重合性組成物の総重量を基準として(また好ましくは、ポリマーの総重量を基準として)70重量%以下、好ましくは65重量%以下、より好ましくは60重量%以下、最も好ましくは55重量%以下の量で使用される。
【0112】
ポリマー中に含まれるアミン基の等量は、等量のアミン基当たり好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも350、更により好ましくは少なくとも400、最も好ましくは少なくとも500グラムのポリマーである。ポリマー中に含まれるアミン基の等量は、等量のアミン基当たり好ましくは3000以下、より好ましくは1500以下、更により好ましくは1200以下、最も好ましくは950以下のグラムのポリマーである。
【0113】
フィルム形成ポリマーであり、室温でPSAである高分子増粘剤の例は、側鎖官能基性アミン基モノマーと長鎖アルキルアクリルポリマー及び場合により他の親水性モノマーとの組み合わせをベースとするものを含む。例えば、PSAである特に有効なポリマーは、重合性組成物の総重量を基準として(また好ましくは、ポリマーの総重量を基準として)80%の2−エチルヘキシルアクリレート及び20%の塩化トリメチルアミノエチルメタクリレートを含有する。このクラスの他のPSAポリマーは、75%の2−エチルヘキシルアクリルレート、25%の塩化トリメチルアミノエチルメタクリレート、及び5%のメトキシポリエチレングリコール(9エチレンオキシ単位)モノアクリレートを含有し、日本、和歌山市のシン−ナカムラケミカル(Shin-NakamuraChemicals)から商品名AM−90Gで商業的に入手可能である。
【0114】
所定の実施形態において、好ましくは、局所皮膚上での使用が意図される本発明の組成物の粘度は、実施例に記載されるように、23℃にてブルークフィールドRVT ROTOVISCO粘度計を使用して測定された際に、好ましくは1000cps以下である(また好ましくは10cpsを越える)。したがって、本発明の組成物中で有用なポリマー(好ましくはフィルム形成ポリマー)は、米国特許第7,147,873号の方法に従ってテトラヒドロフラン中で測定して、好ましくは0.75以下、より好ましくは0.5以下の固有粘度を有する。しかしながら、十分な持続性を確実にするために、ポリマー(好ましくはフィルム形成ポリマー)の固有粘度は、米国特許第7,147,873号の方法に従ってテトラヒドロフラン中で測定して、好ましくは少なくとも0.1である。
【0115】
ポリマーの分子量はまた、例えば皮膚等、組成物が乾燥する組織への適用のために、低い粘度の組成物を維持するよう小さく保たれることが好ましい。好ましくは、ポリマーの分子量は、一般に350,000ダルトン以下、より好ましくは250,000ダルトン以下、更により好ましくは150,000ダルトン以下、最も好ましくは100,000ダルトン以下である。
【0116】
所定の実施形態において、1種以上の高分子増粘剤及び/又はフィルム形成ポリマー(好ましくは持続性フィルム形成高分子増粘剤)が、殺菌組成物の総重量を基準として少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%の総量で殺菌組成物中に存在する。所定の実施形態では、1種以上の高分子増粘剤及び/又はフィルム形成ポリマー(好ましくは持続性フィルム形成高分子増粘剤)が、殺菌組成物の総重量を基準として10重量%以下、より好ましくは8重量%以下の総量で殺菌組成物中に存在する。場合による1種以上の高分子増粘剤及び/又はフィルム形成ポリマー(好ましくは持続性フィルム形成高分子増粘剤)が、好ましくはある量で存在して持続性組成物を提供する。
【0117】
より高い濃度のフィルム形成ポリマーは、PSA被覆製品の粘着を促進するように思われる。しかしながら、所定の組成物では、より高い濃度は、特に50℃を越える温度に暴露された際の不安定性を原因として不可能であり得る。
【0118】
好ましくは、十分な持続性を確実にするために、フィルム形成ポリマー対ヒドロキシカルボン酸の重量比は、少なくとも0.25:1、好ましくは少なくとも0.35:1、より好ましくは少なくとも0.5:1、最も好ましくは少なくとも0.70:1である。
【0119】
粘膜及び創傷組織殺菌組成物の増粘
上記に簡潔に記載したように、例えば殆どの粘膜及び創傷組織等の湿潤組織での使用のための組成物は、好ましくはより高い粘度を有するよう調製される。これらの組成物は、適用により乾燥し切れ得ないため、より高い粘度の組成物を使用することにより、組織上の組成物はより長期間維持され得る。例えば、鼻道内で使用された場合、鼻纖毛は組成物を鼻道から咽喉へと下方に洗い去るよう試みるであろう。同様に、口腔又は食道腔内で使用された場合、口腔分泌物は組成物を咽喉へと下方に洗い流す傾向があるであろう。それ故、これらの組成物の増粘して、組織上で殺菌剤を長期間保持し、十分な殺菌を確実にすることが有利である。これらの組成物は、当技術分野にて公知の手段により、特に以下の1つ以上を使用して増粘することができる:高分子増粘剤、無機コロイド状増粘剤、疎水変性高分子増粘剤、ポリマー/界面活性剤の組み合わせ、乳化剤、及びそれらの組み合わせ。
【0120】
好適な高分子増粘剤は多数存在し、非イオン性、カチオン性、双極性及びアニオン性の天然ゴム及び変性天然ゴムを含む。これらは、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース)のような水溶性又はコロイド状で水溶性のポリマー、グアーガム、澱粉及び澱粉誘導体、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、カロブゴム(carob gum)、グアーガム、カラヤゴム、カラゲーニン、ペクチン、寒天、マルメロ種子(quince seed)(マルメロ(Cydonia oblonga Mill))、澱粉(米、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦)、アルゲコロイド(藻抽出物)、例えばデキストラン、サクシノグルカン、プレラン(pulleran)等の微生物ポリマー、例えばカルボキシメチル澱粉、メチルヒドロキシプロピル澱粉等の澱粉ベースのポリマー、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸ベースのポリマー、並びにそれらの誘導体等、ゲル様の粘度を組成物に付与することができるものを含む。セルロース及びグアーのカチオン性誘導体が特に好ましい。
【0121】
本明細書で有用なものは、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、例えばCTFA名カルボマー(CARBOMER)を有するもの等の直鎖及び架橋アクリル酸ポリマー、例えばポリクオテリウム4、10、24、32及び37等のカチオン性ポリマー、並びに米国特許第6,582,711号に開示されている他のポリマー増粘剤、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマー、ポリエチレンイミンである。
【0122】
カチオン性天然ポリマー誘導体は、本発明の組成物に有用な増粘剤であり得る。カチオン性変性セルロースポリマーは、水に可溶であることが文献に報告されている。そのようなポリマーは本発明に有用であることが見出されている。最も好ましい変性セルロース製品は、商標名セルカット(CELQUAT)(ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemicals Corp.)、ニュージャージー州ブリッジウォーター)及びウカレ(UCARE)(アマコール社(Amerchol Corporation)、ニュージャージー州エディソン)で販売されている。セルカット(CELQUAT)はポリエトキシル化セルロースと塩化ジメチルジアリルアンモニウムとのコポリマーであり、米国化粧品トイレタリー香料協会(Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association)(CTFA)指定ポリクオタニウム−4を有する。使用し得る特に好適なタイプのカチオン性多糖ポリマーは、例えばグアー塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム(商品名ジャガー(JAGUAR)でローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から商業的に入手可能)等のカチオン性グアーガム誘導体である。
【0123】
ヒドロキシエチルセルロースのアルキル変性第四級アンモニウム塩、及び塩化トリメチルアンモニウム置換エポキシドも有用であり得る。ポリマーは、CTFA指定ポリクオタニウム24に適合し、アマコール社(Amerchol Corp.)から、クアトリソフト(QUATRISOFT)LM−200として商業的に入手可能である。
【0124】
可溶性ポリマー、特にカチオン性合成ポリマーも有用な増粘剤である。本発明にて有用な合成カチオン性直鎖ポリマーは、好ましくはカチオン性電荷密度が非常に高く、一般に10重量%を越え、好ましくは25重量%を越え、より好ましくは50重量%を越える。これは良好な化粧品感触を確実にし、実際に水溶性を向上させ得る。一般に、本発明に有用なポリマーは、一般に5重量%未満のポリマーで増粘が達成されるに十分であるが、ローション/クリーム/軟膏が、ぬるぬるして糸をひく感触を有する程高くはない分子量を有する。ポリマーの組成は、十分な増粘が生じる分子量に対して劇的な影響を与えるが、ポリマーは少なくとも150,000ダルトン、より好ましくは少なくとも250,000ダルトン、最も好ましくは少なくとも500,000ダルトンの分子量を有することが好ましい。ポリマーは、3,000,000ダルトン以下、より好ましくは1,000,000ダルトン以下の分子量を有することが好ましい。ホモポリマーは、メタクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、及び/又は第四級化ジアルキルアミノアルキルアクリルアミジン塩から調製されることが好ましい。好ましくは、ポリマーは、トリアルキルアミノアルキルアクリレート及びメタクリレート塩、ジアルキルジアリルアンモニウム塩、アクリルアミドアルキルトリアルキル塩、メタクリルアミドアルキルトリアルキル塩及びアルキルイミダゾリニウム塩、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、メチルビニルエーテル、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーである。典型的には、塩のための対イオンは、好ましくはF、Cl、Br、及びCH(CHSO(式中、n=0〜4)である。
【0125】
アミノアクリレートとメチル、エチル又はプロピル側鎖とのホモ又はコポリマーをベースとして、第四級化を変動させた多様な第四級コポリマーを合成することができる。これらのモノマーは他の非イオン性モノマーと共重合することもでき、それらには例えば2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドと2−メタクリルオキシエチルメチルジエチルアンモニウムブロミドとのホモポリマー等の第四級アクリルホモポリマー;及び第四級アクリレートモノマーと可溶性モノマーとのコポリマー、例えば直鎖第四級アクリレートとアクリルアミドとの独占所有権がある高分子量(4〜500万MW)コポリマーであるペトロライト・プロダクト(Petrolite Product)No.Q−0043等が含まれる。
【0126】
他の有用な可溶性カチオン性ポリマーは、ポリアクリロニトリルのブロックに結合したN,N−ジメチルアミノプロピル−N−アクリルアミジン(硫酸ジエチルで第四級化された)である。このブロックコポリマーは、ニュージャージー州パターソンのリポケミカル社(Lipo Chemicals Inc.)からハイパン(Hypan)QT−100の商品名で入手可能である。これは水性システムの増粘に非常に有効であり、良好な化粧品感触を有する。しかしながら、受容したままのこのポリマーは、不快なアミンの匂いを有する。匂いは、おそらく適切な香料により遮蔽することができるが、製剤が香料なしで供給され得るように、調製前に除去される(例えば、溶媒洗浄プロセスにより)ことが好ましい。
【0127】
好適なカチオン性ポリマーとしては、例えば1−ビニル−2−ピロリジン及び1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物塩)とのコポリマー(当産業界では、化粧品トイレタリー香料協会(CTFA)により、ポリクオタニウム(Polyquaternium)−16と称される)が挙げられる。この材料は、BASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corp(ニュージャージー州パーシッパニー))から商業的に入手可能な商品名、ルビクワット(LUVIQUAT)(例えばルビクワット(LUVIQUAT)FC 370);1−ビニル−2−ピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー類(当産業界(CTFA)ではポリクオタニウム−11と称される)である。この材料は、ニュージャージー州ウェインのガフ・コーポレーション(Gaf Corp.)からガフクワット(GAFQUAT)の商品名で商業的に入手可能な、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムのホモポリマー及びアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムとのコポリマーを含むカチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマーであり、当産業界(CTFA)で、それぞれポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と称される。
【0128】
好ましい天然又は変性天然ゴムは、カチオン性又は双極性イオンである。特に好ましいポリマーは、ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナル・スターチ・パーソナル・ケア(National Starch Personal Care)から入手可能なセルカット(CELQUAT)SC230M(ポリクオタニウム10)として入手可能である。
【0129】
代替的に、例えば米国特許第6,582,711号に開示されているもの等の架橋カチオン性ポリマーも使用することができる。
【0130】
水不溶性であるが、おそらく膨潤性である無機材料は、本発明の組成物に有用な増粘剤であり得る。これらは、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトナイト(hectonite)、フュームドシリカ、沈降性シリカ(precipitated silica)、シリカゾル及び他のシリカ微粒子、並びに無水ケイ酸及び同様物を含むが、これらに限定されない。
【0131】
疎水変性高分子増粘剤は、本発明の組成物に有用な増粘剤であり得る。これらは、一般に、少なくとも1つのC8又はより長いアルキル若しくはアルケニル基を含むポリマーである。これらのポリマーは、溶液中で会合する傾向があり、多くの場合、会合性ポリマー(associative polymer)と称される。会合性ポリマーは、本発明の組成物の増粘システムに使用することができる。そのようなポリマーは、疎水性又は疎水性側鎖のファンデルワールス結合の結果として増粘すると思われる。そのような会合性ポリマーは、それらの比較的小さい分子量にも関わらず粘性からゲル状の溶液を形成することができる。可溶性のポリマーは、長鎖疎水性基の付加により変性されることができる。そのような会合性ポリマーの好ましいクラスは、少なくとも1つのコモノマーが少なくとも8個の炭素原子を有する非イオン性エチレン性不飽和モノマーをベースとする。
【0132】
一例は、アクアロン(Aqualon)から「ナトロソルプラス(NATROSOL PLUS)」として入手可能なセチルヒドロキシエチルセルロースであり、これは会合機構を利用して、それが生成する粘度を増大させる。セチルアルキル基のグラフト側鎖は、隣接するアルキル疎水性物質と会合することができる。これらのポリマー間の会合は、ポリマーの粘性化(viscosification)の効率を劇的に向上させ得る。本発明の水アルコールシステムにおいて、ポリマー間の会合は、より長鎖の疎水性基がセチル基の代わりに使用された場合に多大に向上され得、これは、C16基がより長鎖のアルキル程不溶性でないためである。例えば、18〜31個の炭素原子、好ましくは20〜34個の炭素原子を含有するアルキル鎖は、少なくとも65:35のアルコール対水の比で含有するヒドロアルコール性溶媒システム中で、特に望ましい高分子増粘剤を提供する。長鎖アルケニル及びアラルキル基も好適であり得る。
【0133】
ポリマー/界面活性剤の組み合わせも、本発明の組成物に有用な増粘剤である。これらは米国特許第5,908,619号に詳細に説明され、またNovel Gelling Agents Based on Polymer/Surfactant Systems,E.D.Goodard et.al.,J.Soc.Cosmet.Chem.,42,19〜34(Jan/Feb,1991)は、第四級ポリマーとアニオン性界面活性剤との組み合わせをベースとする、完全に水性のシステムのためのポリマー/界面活性剤増粘剤システムを開示している。増粘システムは、帯電したポリマーと逆帯電した界面活性剤との複合体を含む。この複合体は、ポリマーと界面活性剤との両方の上でのイオン性基間で反応して、その結果としてイオン性基を両方の上に形成し、次いで該イオン性基がイオン会合する。この複合体は、ポリマー及び界面活性剤上のイオン性基の酸−塩基反応の結果として形成されることが好ましい。例えば、ポリマーは、酸性基又は塩基性基を有する界面活性剤と組み合わされた際に互いに中和し、それにより帯電した種を形成する、酸性基又は塩基性基を有してもよい。次いでこれらの帯電種はイオン会合して、増粘システムを含む複合体を本発明のヒドロアルコール性組成物中で形成する。帯電した界面活性剤分子はまた、界面活性剤の疎水性領域により疎水性会合し得る。米国特許第5,908,619号は、ヒドロアルコール性ビヒクルを使用するシステムに特に言及している。これらの同一のシステムは、イオン性界面活性剤、及び/又は他のポリマー分子の他の疎水性側鎖と疎水性会合できる疎水性側鎖を含むイオン性物質を使用して、アルコールを含まない水性システムに好適であり得る。好適な疎水性側鎖の例としては、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは少なくとも12個の炭素原子、より好ましくは少なくとも16個の炭素原子を有するアルキル側鎖、ポリスチレン側鎖(典型的には2,000〜30,000の数平均分子量)及び同様物、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0134】
乳化剤及び鑞も本発明の組成物の増粘に使用することができる。これらのシステムは、油相と水相とを有し、安定なエマルジョンを形成する傾向がある。上記の抗菌剤を含有する二層製剤の場合において、乳化剤及び鑞増粘剤は、使用される殺菌剤及び他の界面活性剤の量に応じて、好ましくは3重量パーセント(重量%)〜14重量%、より好ましくは5重量%〜10重量%の範囲内の量で使用されるであろう。
【0135】
本明細書で使用するのに好適な乳化剤−増粘剤は、例えばクローダ社(Croda Co.)からのポラワックス(POLAWAX)及びポラワックス(POLAWAX)A31等の非イオン性乳化鑞等の、ポリエチレングリコールと脂肪アルコールとのエーテルを含むことができ、これは例えばセチル及びステアリルアルコール等のアルキルアルコールと、1種以上のエトキシル化アルコールとの組み合わせを含む。ポリオキシエチレン(20)ステアリルアルコールエーテル(ブリッジ(BRIJ)78、ユニケマ(Uniqema))又はポリオキシエチレン(20)セチルアルコールエーテル(ブリッジ(BRIJ)58、ユニケマ(Uniqema))のセチル又はステアリルアルコールとの混合物。ブリッジ(BRIJ)又は2種のブリッジ(BRIJ)の混合物と、脂肪アルコール又は2種のアルコールの混合物との比は、0.6〜3.5、好ましくは1〜3の範囲内でなければならない。他の好適な乳化剤システムとしては、クローダホス(CRODAPHOS)CES(セテアリルアルコール(及び)リン酸ジセチル(及び)セテス(Ceteth)−10ホスフェート、クローダ(Croda)USA)、インクロクワットベヘニル(Incroquat Behenyl)TMS(硫酸ベヘントリモニウム、セテアリルアルコール、クローダ(Croda)USA)、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのような非イオン性乳化剤、PEG−40ステアレート、セテアレス(ceteareth)−12(例えば、ヘンケル(Henkel)により製造されたユームルジン(EUMULGIN)B−1)、セテアレス(ceteareth)−20(例えば、ヘンケル(Henkel)により製造されたユームルジン(EUMULGIN)B−2)、セテアレス(ceteareth)−30、ラネット(Lanette)O(ヘンケル(Henkel)により製造;セテアレス(ceteareth)アルコール)、ステアリン酸グリセリル(例えば、ヘンケル(Henkel)により製造されたクティナ(CUTINA)GMS)、PEG−100ステアレート、アーラセル(ARLACEL)165(ステアリン酸グリセリル及びPEG−100ステアレート、ユニケマ(Uniqema))、ステアレス(steareth)−2及びステアレス(steareth)−20、又はそれらの組み合わせ/混合物、並びにステアラミドプロピルジメチルアミンのようなカチオン性乳化剤及び硫酸ベヘントリモニウム、又はそれらの組み合わせ/混合物が挙げられる。本発明のローション又はクリームでの使用に好適な他の乳化剤システムは、モノステアリン酸グリセリルとポリオキシエチレンソルビタンパルミテート(plamitate)又はステアレートとセチル又はステアリルアルコールとの組み合わせを含む。例えば、水中油クリームは、ヒマシ油(4.5〜6%)、モノステアリン酸グリセリル(4.5〜6%)、セチル又はステアリルアルコール(9〜11%)及びツイーン(TWEEN)60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン2.7〜3.5%)を使用して作製することができる。
【0136】
増粘剤及び/又はフィルム形成ポリマーの様々な組み合わせを、本発明の組成物に使用することができる。
【0137】
他の任意成分
1種以上の他の(二次的な)抗菌剤を、保存剤及び/又は活性成分としてヨウ素と組み合わて含有することが望ましいと思われる。他の活性物質としては、例えばポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB、アーチ・バイオサイド(Arch Biocides)からのコスモシル(COSMOCIL)CQ)、例えばグルコン酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン及び同様物等のクロルヘキシジン塩等のカチオン性物質、並びに米国特許出願公開第2006/0051384号に開示されている他のカチオン性殺菌剤を含む。例えば米国特許出願公開第2006/0051384号に開示されているもの等の天然油殺菌剤を加えてもよい。加えて、例えば米国特許出願公開第2005/0089539号に記載されているもの等の抗菌脂質を加えることが望ましいと思われるが、所定の実施形態において、本発明の組成物は抗菌脂質を含まない。例えばトリクロサン、パラクロロメタキシレノール及び米国特許出願公開第2006/0052452号に開示されている他のもの等のフェノールタイプの抗菌剤も有用であり得る。
【0138】
例えばメチル、エチル、プロピル、及びブチルパラベン、2フェノキシエタノール、ヒダントイン、ジアゾリジニル尿素及び同様物等の保存剤を加えることも望ましいと思われる。
【0139】
本発明の組成物は、従来から医薬組成物中に見出される補助成分を、それらの当技術分野にて確立された様式で、当技術分野にて確立された濃度で追加的に使用してもよい。それ故、例えば、組成物は、組み合わせ療法のために医薬的に活性な付加的な適合性材料(例えば補足抗菌剤、抗寄生虫剤、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬、又は抗炎症剤等)を含有してもよく、又は例えば賦形剤、染料、芳香剤、滑沢剤、安定剤、皮膚浸透促進剤、保存剤若しくは抗酸化剤、風味剤、風味遮蔽剤、臭気遮蔽剤、抗炎症薬、抗酸化剤、ビタミン、酵素、酵素阻害剤、増殖因子、及び例えばメントール等の冷感又は熱感を誘発する感覚剤(sensate)、並びに同様物等の、本発明の様々な剤形の物理的な調製に有用な材料を含有してもよい。
【0140】
使用方法
本発明の組織殺菌組成物は、組織(特に皮膚又は粘膜組織、例えば口腔組織及び食道組織等)の消毒のための多様な方法に使用することができる。例えば、組成物は、対象の鼻道の脱コロニー化(decolonize)に使用することができ、これは内部の細菌の量を低減することを意味する。これは細菌の殺傷を含み得るが、手術部位の感染の機会を減少させ、及び/又は患者及び医療スタッフ間の例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)等の細菌の感染の危険を低減することを助けるレベルに低下される限り、常に必要というわけではない。典型的には、そのような方法は、単に組成物を対象の組織に適用することにより生じる。そのような組織の消毒方法は、好ましくは対象に侵襲的手順(例えば、手術手順)が実施される前に行われ、又は患者間でMRSA等の細菌の感染を防止する。例えば、本発明の組成物は、組織に直接適用されてもよく、又は例えば綿球、発泡体、拭き取り用品等の基材中に含浸された後、場合により幾分かの洗浄除去又は拭い作用と共に鼻に適用されてもよい。基材は、直ぐに除去されるか、又は場合により、除去前に定位置に一定時間保持されてもよい(例えば、15〜60分間)。
【0141】
好ましい実施形態
本発明は、番号を付与した以下の実施形態を提供する。
【0142】
1.ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、23℃で液体であるビヒクルと、を含み、23℃で液体である、組織殺菌組成物。
【0143】
2.α−ヒドロキシ酸を更に含む、実施形態1に記載の組織殺菌組成物。
【0144】
3.α−ヒドロキシ酸が1重量%を越える量で存在する、実施形態2に記載の組織殺菌組成物。
【0145】
4.α−ヒドロキシ酸が3重量%を越える量で存在する、実施形態3に記載の組織殺菌組成物。
【0146】
5.α−ヒドロキシ酸が5重量%を越える量で存在する、実施形態4に記載の組織殺菌組成物。
【0147】
6.界面活性剤を更に含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0148】
7.界面活性剤の混合物を含む、実施形態6に記載の組織殺菌組成物。
【0149】
8.界面活性剤がアニオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態6又は7に記載の組織殺菌組成物。
【0150】
9.組成物が、非イオン性界面活性剤をアニオン性界面活性剤又は双極性界面活性剤と組み合わせて更に含む、実施形態8に記載の組織殺菌組成物。
【0151】
10.組成物が双極性界面活性剤を含む、実施形態8又は9に記載の組織殺菌組成物。
【0152】
11.双極性界面活性剤がスルタイン、ベタイン、リン脂質、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態10に記載の組織殺菌組成物。
【0153】
12.双極性界面活性剤がスルタイン、リン脂質、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態11に記載の組織殺菌組成物。
【0154】
13.組成物がアニオン性界面活性剤を含む、実施形態8又は9に記載の組織殺菌組成物。
【0155】
14.アニオン性界面活性剤がホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホネート、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態13に記載の組織殺菌組成物。
【0156】
15.組成物が非イオン性界面活性剤を含む、実施形態6又は7に記載の組織殺菌組成物。
【0157】
16.ビヒクルが水を含む、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0158】
17.ビヒクルがグリコールを含む、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0159】
18.グリコールがグリセロール、ポリグリセリン、1,3−及び1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、パントテノール、グルコン酸塩、それらのポリエトキシル化誘導体、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態17に記載の組織殺菌組成物。
【0160】
19.ビヒクルが1500未満の分子量を有するポリエチレングリコールを含む、実施形態18に記載の組織殺菌組成物。
【0161】
20.ビヒクルがポリエチレングリコール又はポリオールを最大の量で含む、実施形態1〜19のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0162】
21.抗菌脂質を含まない、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0163】
22.組成物が糖アルコールを含む、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0164】
23.糖アルコールが単糖のアルコールを含む、実施形態22に記載の組織殺菌組成物。
【0165】
24.単糖のアルコールがキシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリトリトール、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態23に記載の組織殺菌組成物。
【0166】
25.1000cps未満の粘度を有する、実施形態1〜24のいずれか1つの組織殺菌組成物。
【0167】
26.10cps未満の粘度を有する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0168】
27.100cpsを越える粘度を有する、実施形態26に記載の組織殺菌組成物。
【0169】
28.500cpsを越える粘度を有する、実施形態27に記載の組織殺菌組成物。
【0170】
29.1000cpsを越える粘度を有する、実施形態28に記載の組織殺菌組成物。
【0171】
30.増粘剤を更に含有する、実施形態1〜29のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0172】
31.増粘剤がカチオン性ポリマーを含む、実施形態30に記載の組織殺菌組成物。
【0173】
32.増粘剤が多糖、修飾多糖、ビニルピロリドンから誘導されたポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態30に記載の組織殺菌組成物。
【0174】
33.増粘剤が変性セルロース、グアー、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態32に記載の組織殺菌組成物。
【0175】
34.増粘剤がポリビニルピロリドン又はビニルピロリドンコポリマーを含む、実施形態32に記載の組織殺菌組成物。
【0176】
35.ASTM試験方法El173〜93を使用して、組成物中に浸したガーゼにより適度の圧力を用いて30秒間洗浄除去することにより、乾燥したヒト皮膚部位上で正常な皮膚叢を2分間で少なくとも1log低減する、実施形態1〜34のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0177】
36.50℃で、視認可能な変化なしで7日間を越えて安定である、実施形態1〜35のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0178】
37.ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、界面活性剤と、主要な量の可溶性グリコール湿潤剤含有ビヒクルと、を含み、23℃で液体である、組織殺菌組成物。
【0179】
38.界面活性剤の混合物を含む、実施形態37に記載の組織殺菌組成物。
【0180】
39.界面活性剤がアニオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態37又は38に記載の組織殺菌組成物。
【0181】
40.組成物が、非イオン性界面活性剤をアニオン性界面活性剤又は双極性界面活性剤と組み合わせて更に含む、実施形態39に記載の組織殺菌組成物。
【0182】
41.組成物が双極性界面活性剤を含む、実施形態39又は40に記載の組織殺菌組成物。
【0183】
42.双極性界面活性剤がスルタイン、ベタイン、リン脂質、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態41に記載の組織殺菌組成物。
【0184】
43.双極性界面活性剤がスルタイン、リン脂質、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態42に記載の組織殺菌組成物。
【0185】
44.組成物がアニオン性界面活性剤を含む、実施形態39又は40に記載の組織殺菌組成物。
【0186】
45.アニオン性界面活性剤がホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホネート、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態44に記載の組織殺菌組成物。
【0187】
46.組成物が非イオン性界面活性剤を含む、実施形態37又は38に記載の組織殺菌組成物。
【0188】
47.ビヒクルが、1500未満の分子量を有するポリエチレングリコールを含む、実施形態37〜46のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0189】
48.ビヒクルが、1000未満の分子量を有するポリエチレングリコールを含む、実施形態47に記載の組織殺菌組成物。
【0190】
49.単糖、単糖のアルコール、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態37〜48のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0191】
50.組成物が単糖のアルコールを含む、実施形態49に記載の組織殺菌組成物。
【0192】
51.単糖のアルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリトリトール、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態50に記載の組織殺菌組成物。
【0193】
52.α−ヒドロキシ酸を更に含む、実施形態37〜51のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0194】
53.α−ヒドロキシ酸が1重量%を越える量で存在する、実施形態52に記載の組織殺菌組成物。
【0195】
54.α−ヒドロキシ酸が3重量%を越える量で存在する、実施形態53に記載の組織殺菌組成物。
【0196】
55.α−ヒドロキシ酸が5重量%を越える量で存在する、実施形態54に記載の組織殺菌組成物。
【0197】
56.ビヒクルが更に水を含む、実施形態37〜55のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0198】
57.ビヒクルが更に(C1〜C4)アルコール、又はそれらの混合物を含む、実施形態37〜56のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0199】
58.ビヒクルが23℃で液体である、実施形態37〜57のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0200】
59.抗菌脂質を含有しない、実施形態37〜58のいずれか1つに記載の組織殺菌組成物。
【0201】
60.ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、ビヒクルと、を含み、1000cpsを越える粘度を有し、23℃で液体である、組織殺菌組成物。
【0202】
61.実施形態1〜60のいずれか1つに記載の組成物を対象の鼻腔に適用する工程を含む、該対象の鼻腔を脱コロニー化する方法。
【0203】
62.実施形態1〜60のいずれか1つに記載の組成物を対象の組織に適用する工程を含む、該対象の組織を消毒する方法。
【0204】
63.組織が粘膜組織を含む、実施形態62に記載の方法。
【0205】
64.粘膜組織が口腔組織を含む、実施形態63に記載の方法。
【0206】
65.口腔粘膜組織が食道組織を含む、実施形態64に記載の方法。
【0207】
66.組織が皮膚を含む、実施形態62に記載の方法。
【0208】
67.対象の組織に組成物を適用することが、対象に侵襲的手順を実施する前に行われる、実施形態61〜66のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
68.単糖のアルコールが、0.5%を越える量で存在する、実施形態24に記載の組織殺菌組成物。
【実施例】
【0210】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。
【0211】
【表1】

【0212】
ヒト皮膚抗菌活性
組成物が健康な志願者の背部(「乾燥」部位を考慮して)に適用され、ASTM方法のセクション7.1に提示されるベースライン細菌叢数が、同様に高くないことを除いて、多数の組成物の抗菌活性を、手術前皮膚製剤の評価のためのASTM試験方法E−1173〜93標準試験と類似した方法にて調べた。プレップは、製造業者の指示に従って、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(7.5%ポビドン−ヨウ素、パーデュー・フレデリック(Purdue Frederick)、コネチカット州ノーウォーク)及びベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)(10%ポビドン−ヨウ素「顔料」、パーデュー・フレデリック(Purdue Frederick)、コネチカット州ノーウォーク)の2ステップ適用、又は3Mワンステップ(One-Step)プレップ(3M社(3M Company)、ミネソタ州セントポール)と常に比較された。全ての研究は、無作為化ブロック設計であった。研究の日、ベースライン微生物数に関する2つのサンプルを、脊柱の反対側上の上背部から1つ、及び下背部から1つ取り出された。試験製剤及び対照を背部上に、通常、上背部を横切り4つ、及び下背部を横切り4つに無作為化した。適用から2分後、全部位から、残留した細菌のサンプルを採取した。全ての試験サンプルは、試験組成物で飽和された(完全に湿潤及び滴下した)無菌ガーゼを使用して適用され、以下のように適用された。1つの方法では、約5.1cm×5.1cm(2×2インチ)範囲を、適度の圧力を用いて60秒間「洗浄除去」した。ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)及びベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)を、製造業者の指示に従って適用した。簡潔には、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)は飽和ガーゼを用いて適用され、5分間洗浄除去され、拭き取られ、ベタジン・サージカル・ソリューションは中心から外方向螺旋にて適用された。したがって、本発明の組成物は、ベタジン(BETADINE)洗浄除去及び塗布手順が有した時間と比較して、遙かに短い殺傷のための時間を有した。ASTM試験方法E1173のセクション8.2〜8.3に従って、最小限の8人の対象を用いた。全ての対象は、抗菌製品の使用を最低2週間控えた。試験組成物を、厚さ5×5cm(2×2インチ)2.5cmのウィルソーブ(Wilsorb)ポリウレタンオープンセルスポンジ(ウィルソーブ(Wilsorb)可撓性オープンセルポリウレタンスポンジ、イルブルック社(Illbruck Inc.)ポリウレタンポリエステル、ポリウレタンスポンジ発泡体;密度=1.8 lb/ft(ASTM 3574);圧縮力=25%圧縮にて3.8kPa(0.56psi)又は65%圧縮にて5.5kPa(0.81psi))の小片を使用して適用した。各組成物に関して、ベースラインからの平均log低下を測定した。複数の部位を試験した場合、各部位に関するlog低下を測定した。結果は、平均log低下(log低下値の数値の平均)にて報告する。ASTM試験方法E1173〜93セクション6.7に従って、試験した各製剤に関して適切な中和剤を最初に決定したことに留意されたい。殆どのポリマーシステムに以下の中和試料採取溶液を使用した:リン酸二水素カリウム0.4g、リン酸水素ナトリウム10.1g、テキサス州ヒューストンのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)から入手可能なトリトン(TRITON)X100界面活性剤1.0g、レシチン(CAS#8002〜43〜5、ニュージャージー州フェアローンのフィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)からCatNo.03376〜250として入手可能)4.5g、ツイーン(TWEEN)80(ICI)45.0g、チオ硫酸ナトリウム1.0g、及び総容積を1リットルにするための脱イオン水。全成分を一緒に加え、溶解する迄撹拌しながら約60℃に加熱することにより試料採取溶液を調製した。これを次に、容器内に配置し、蒸気滅菌した。
【0213】
所定の第四級ポリマーは抗菌活性を有することが示されており、本明細書に記載したような適切な中和剤を必要とした。第四級ポリマーを沈殿させることが可能な、例えばポリスルホン酸ポリマー等のポリアニオン性ポリマーは良好に作用する。好ましいポリスルホン酸酸ポリマーは、テネシー州キングスポートのイーストマン・ケミカル・カンバニー(Eastman Chemical Company)からAQポリエステルとして入手可能であり、特にAQ 55Sが好ましく、これはスルホイソフタル酸ナトリウムをベースとする直鎖非晶質ポリエステルであると報告されている。イーストマン(EASTMAN)AQ 55Sポリマーは更に、約55℃の乾燥Tgを有する比較的高分子量のポリマーとして記載されている。これを、中和媒体に加える前に、30重量%にて水中に分散させた。必要な場合、水で最終容積1リットルに調整するに先だって、これを70gの30%wt/wtのAQ55S水溶液として試料採取溶液に加えた。
【0214】
ブタ尿道アッセイ
接種製剤:リン酸緩衝水中の約10テトラサイクリン耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)(ATCC#27217)の接種材料を、0.5マクファーランド濁度標準液と比較して調製した。
【0215】
試験方法:雄及び雌ブタから尿道を回収し、直ぐに−20℃で冷凍した。必要な場合、尿道を試験直前に解凍して、可撓性としたが、柔軟にはしなかった。層流フード内で尿道から脂肪及び他の組織を洗浄し、1−センチメートルのセグメントチューブに切断した。これらのチューブを半分にスライスして、2つの半円筒セグメントとした。尿道を使用前に室温に到達させた。各尿道セグメントを別個の50mLの無菌遠心分離管内に配置し、内部(粘膜)表面を露出させて、管内部の内側を下にして横たえた。
【0216】
各尿道セグメントを、上記で調製した約10の接種材料、10マイクロリットル(μL)を接種した。遠心分離管をキャップし、管を37℃インキュベーター内に少なくとも30分間配置(横たえたまま)した。これは、細菌を組織に付着させ、それ故、細菌を殺傷することがより困難となる。30分間の付着時間後、遠心分離管をインキュベーターから除去した。
【0217】
各試験組成物300μLのサンプルを、容積移送式ピペット(positive displacement pipet)又は注射器のいずれかを用いて2つの各尿道セグメントに適用した(二重試験のために)。一対の尿道セグメントはプレップせずに、正の対照として使用した。全表面がサンプル製剤で覆われるように(内部及び外部)、鉗子を使用して尿道セグメントを操作した。遠心分離管を再度キャップし、37℃インキュベーターに所望の暴露時間(特に指摘されない限り30分間)戻した。遠心分離管を、尿道セグメントが試験組成物と接触した状態にあるようインキュベーター内で配向させた。暴露時間後、インキュベーターからサンプルを除去した。遠心分離管を試験管立てに垂直に配置し、試料採取溶液25mL(下記参照)を試験管に加えた。混合物を高速で2分間渦撹拌して、殺菌剤の卓越した混合及び中和を確実にした。試料採取溶液を予め試験して、細菌細胞に損傷を与えることのない殺菌剤の適切な中和、即ち試料採取溶液が細菌に有毒ではないことを確実にした。
【0218】
試験した各製剤試験用の適切な中和剤を、最初にASTM試験方法E1173〜93セクション6.7に従って決定したことに留意されたい。殆どのポリマーシステムに以下の中和試料採取溶液を使用した:リン酸二水素カリウム0.4g、リン酸水素ナトリウム10.1g、テキサス州ヒューストンのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.)から入手可能なトリトン(TRITON)X100界面活性剤1.0g、大豆精製レシチン(CAS#8002〜43〜5、ニュージャージー州フェアローンのフィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)から、CatNo.03376〜250として入手可能)4.5g、ツイーン(TWEEN)80(ICI)、1.0gチオ硫酸ナトリウム45.0g、及び総容積を1リットルにするための脱イオン水。全成分を一緒に加え、溶解する迄撹拌しながら約60℃に加熱することにより試料採取溶液を調製した。pHは7.9であった。これを次に、容器内に配置し、蒸気滅菌した。ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB、コスモシル(Cosmocil)CQ)を含有するサンプルに関しては、中和溶液は0.4重量%のポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(即ち、4g/L、シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)、70,000MW、CAS#25704〜18〜1も含んだ。
【0219】
中和サンプルをリン酸緩衝水で10−3に連続的に希釈した。トリプシン性大豆寒天培地(Tryptic Soy Agar)を用いた注入播種法(pour plating technique)を使用して各希釈物を2重に播種した。試験細菌(テトラサイクリン耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)(ATCC#27217))のみ選択するために、プレート注入前にテトラサイクリンを寒天培地に加えた。テトラサイクリンは無菌水中4mg/mLにて調製し、この製剤を寒天1L当たり1mLテトラサイクリン製剤にて寒天培地に加えた。寒天プレートを整えた後、37℃インキュベーター内に48時間配置した。
【0220】
プレートを除去し、コロニー形成単位、CFUを計数した。測定されたCFUを、希釈により増殖させた。二重プレートを平均することにより、CFUのlog10回収率を決定した。値が接近していない場合(例えば、0.5log以内)更なる同型(replicate)を試験した。対照のlog10平均も決定した。対照のlog回収率(典型的には約6log)との間の差異を取り、試験組成物のlog回収率を減じることにより、log低下を決定した。
【0221】
ブルークフィールド粘度試験
粘度は、エンジニアリング・ラボ社(Engineering Labs Inc.)(マサチューセッツ州ミドルボロ)から商業的に入手可能な、小さいサンプルアダプタ(ULAアダプタ)LVDVI+を有するブルークフィールドRVT ROTOVISCO粘度計を使用して測定した。測定値は、低粘度サンプルに関しては23℃〜25℃でスピンドルサイズ00を使用して、1分間当たり30回転(rpm)の速度にて獲得した。1000を越える粘度を有するサンプルに関しては、粘度は23℃にて周囲圧力で、モデルDブルークフィールドヘリオパス(heliopath)及びTスピンドルB−Fを搭載したブルークフィールドLVDV−I粘度計を使用して測定した。スピンドル及び速度は、特定の各サンプルに関して選択し、それにより粘度計はその範囲の中間にて作動された。全サンプルは測定前に23℃で24時間平衡化された。好ましくは、粘度は、粘度計範囲の20〜80%以内に、より好ましくは範囲の30〜70%間に留まる一方、可能な限り低速で獲得された。全ての場合において、サンプル寸法及び容器外形は、壁効果が全く存在しないことを確実にするよう選択された。「壁効果」により、粘度値が容器による影響を受けず、無限大の容器内で得た粘度と本質的に等価であることが意味される。そのため、より低い粘度のサンプルは、より大きいスピンドルに適応するためにより、大きいサンプル寸法を必要とした。以下の表1に、様々なサンプル粘度にとって好ましいスピンドルを概略したが、最大のスピンドルをサンプル寸法に使用する必要がある。
【0222】
【表2】

【0223】
各サンプルの粘度は、スピンドルがヘリオパスアダプター(heliopath adapter)を使用して横切る第一経路上で達成される、比較的安定な最高読み取り値として得た。
【0224】
実施例1〜2及び比較例A〜B:
表2に示す組成物を、以下に記載する一般的手順を使用して調製した。
【0225】
1.ポビドン−ヨウ素USPの20%固体溶液を、脱イオン水120gにPVP−Iを30グラム(g)を溶解し、広口瓶を密封し、PVPIが溶解する迄広口瓶を回転することにより調製した。
【0226】
2.実施例2及び比較例Bに関しては、界面活性剤(SG、LMDO及びブリッジ(Brij)700)を脱イオン水に溶解し、実施例1及び比較例Aに関してはPEG400/水に溶解した。
【0227】
3.リンゴ酸及び乳酸を加え、回転により溶解した。
【0228】
4.キシリトールを加え、70℃迄1時間加熱して溶解し、回転により冷却した。
【0229】
5.ポビドンヨウ素を粉末又は溶液として加え、溶液を一夜回転して混合した。
【0230】
【表3】

【0231】
組成物を、尿道殺傷アッセイを使用して、それらの抗菌活性に関して評価した。結果を表2に示す。結果は、PEG 400中及び水ビヒクル中の両方で、キシリトールの添加は細菌殺傷を有意に増大させたことを示す。水性(水)ビヒクル中での抗菌活性の増強(実施例2)は、非常に顕著であった。
【0232】
実施例3及び実施例4:
表3に示す組成物を調製し、拡がりに関して試験した。
【0233】
【表4】

【0234】
調製されたサンプルは、良好な抗菌活性を有する滑らかな粘性ゲルを形成した。ゲルを、赤身肉及び脂肪部分を有する新たに切断した牛肉ローストスライス上に室温で配置した。組成物をヒドロキシピレントリスルホン酸染料を加えることにより染色した。この蛍光染料により、黒色(UV)光を使用した組成物の拡がり特性の完全な可視化が可能となった。両方の組成物は、組織に沿って赤身肉及び脂肪部分の両方上に拡がり、特に凹部内に運ばれたことが観察された。両方のサンプルは良好に拡がるが、実施例3は実施例4よりも急速に拡がることが見出された。
【0235】
実施例5〜7及び比較例C:
表4に示す組成物を、以下に記載する一般的手順を使用して調製した。
【0236】
1.ポビドン−ヨウ素USPの20%固体溶液を、脱イオン水120gにPVP−Iを30グラム(g)を溶解し、広口瓶を密封し、PVPIが溶解する迄広口瓶を回転することにより調製した。
【0237】
2.実施例7及び比較例Cに関しては、界面活性剤(マッカム(Mackam)SB−50及びブリッジ(Brij)700)を脱イオン水に溶解し、実施例5及び実施例6に関してはPEG400/水に溶解した。
【0238】
3.リンゴ酸及び乳酸を加え、回転により溶解した。
【0239】
4.キシリトールを加え、70℃迄1時間加熱して溶解し、回転して冷却した。
【0240】
5.ポビドンヨウ素を粉末又は溶液として加え、溶液を一夜回転して混合した。
【0241】
【表5】

【0242】
尿道殺傷アッセイを用いて、組成物をそれらの粘度及び抗菌活性に関して評価した。結果を、上記の表4に示す。
【0243】
実施例8〜10:
ポリマー濃度を調製し、即ちセルカット(Celquat)SC230Mの濃度を調製した以外は、実施例2を繰り返した。バランスを水で置き換えた。
【0244】
この結果を以下の表5に示す。
【0245】
【表6】

【0246】
実施例11〜13:
ポリマー濃度を調製し、即ちセルカット(Celquat)SC230Mの濃度を調製した以外は、実施例7を繰り返した。バランスを水で置き換えた。
【0247】
この結果を以下の表6に示す。
【0248】
【表7】

【0249】
ヒト皮膚抗菌活性:
1%ポリマーのみを含む(ポリマーを水で置き換えた)実施例5、実施例10、実施例13及び比較例Cを、本明細書に記載した手順に従って、ヒト皮膚抗菌活性に関して試験した。サンプルを3Mワンステップ(One-Step)プレップと比較した。この結果を表7に示す。
【0250】
【表8】

【0251】
表4及び表7の結果は、このアッセイにおいて水性プレップが、皮膚上で測定され、適用から10秒後に調べた際、ヒト皮膚上でPEGビヒクルよりも良好に機能したことを示す。実施例7及び実施例10は、尿道アッセイ及びヒト皮膚抗菌アッセイにおいて、それぞれ比較例Cより有意に良好に機能した。
【0252】
ヒト組織相互作用:
鼻腔内での使用:サンプル5、7及び10をヒト志願者の鼻孔に適用した。各組成物0.25mLのサンプルを両方の前鼻孔内に適用し、鼻を15秒間マッサージすることにより擦り込んだ。組成物を除去せずに鼻孔/小鼻内に滞在させた。4時間後、次のサンプルを評価した。全サンプルは非刺激性であると見出された。ヨウ素の匂いは検出可能であったが、その匂いは不快なものではなかった。
【0253】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、
単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、
23℃で液体であるビヒクルと、を含み、
23℃で液体である、組織殺菌組成物。
【請求項2】
界面活性剤を含む、請求項1に記載の組織殺菌組成物。
【請求項3】
前記ビヒクルが水を含む、請求項1に記載の組織殺菌組成物。
【請求項4】
前記ビヒクルがグリコールを含む、請求項1に記載の組織殺菌組成物。
【請求項5】
前記組成物が糖アルコールを含む、請求項1に記載の組織殺菌組成物。
【請求項6】
1000cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の組織殺菌組成物。
【請求項7】
10cpsを越える粘度を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組織殺菌組成物。
【請求項8】
1000cpsを越える粘度を有する、請求項7に記載の組織殺菌組成物。
【請求項9】
増粘剤を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組織殺菌組成物。
【請求項10】
ASTM試験方法El173〜93を使用して、組成物中に浸したガーゼにより適度の圧力を用いて30秒間洗浄除去することにより、乾燥したヒト皮膚部位上の皮膚正常細菌叢を2分間で少なくとも1log低減する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組織殺菌組成物。
【請求項11】
視認可能な変化がなく、50℃で7日間を超えて安定である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組織殺菌組成物。
【請求項12】
ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、
単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、
界面活性剤と、
主要な量の可溶性グリコール湿潤剤含有ビヒクルと、を含み、
23℃で液体である、組織殺菌組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤がアニオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項2又は12に記載の組織殺菌組成物。
【請求項14】
前記組成物が、非イオン性界面活性剤を、アニオン性界面活性剤及び/又は双極性界面活性剤と組み合わせて更に含む、請求項13に記載の組織殺菌組成物。
【請求項15】
α−ヒドロキシ酸を更に含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組織殺菌組成物。
【請求項16】
抗菌脂質を含まない、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組織殺菌組成物。
【請求項17】
ヨウ素(I)、ヨードフォール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、利用可能なヨウ素濃度0.1重量%〜2重量%を提供するのに十分な濃度で存在する、抗菌剤と、
単糖、糖アルコール、又はそれらの組み合わせと、
ビヒクルと、を含み、
1000cpsを越える粘度を有し、
23℃で液体である、組織殺菌組成物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物を対象の鼻腔に適用する工程を含む、該対象の鼻腔を脱コロニー化する方法。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物を対象の組織に適用する工程を含む、該対象の組織の消毒方法。

【公表番号】特表2011−507976(P2011−507976A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541510(P2010−541510)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/088428
【国際公開番号】WO2009/088826
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】