説明

ヨー角初期化異常判定装置及び方法

【課題】慣性装置が搭載された車両が移動するような場合に、ヨー角初期化が異常であるか否かを容易に判定することができるヨー角初期化異常判定装置及び方法を提供すること。
【解決手段】ヨー角初期化異常判定装置200は、GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出し、IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出し、アルゴリズム速度によって移動体の移動方向が前進か後退かを判定し、判定した移動方向に基づいて、方位角の平均値と、ヨー角度の平均値との差分を算出し、算出した差分が閾値以上であるか未満であるかを判断する。さらに、算出した差分が閾値以上であると判断した場合にカウントをインクリメントし、算出した差分が閾値未満であると判断した場合にカウントをデクリメントし、計数したカウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨー角初期化異常判定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、GPS(Global Positioning System)/IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)統合システムによって移動体の位置、速度及び方位等を演算するGPS/IMU統合装置では、IMUの初期姿勢角、特にヨー角度を決定する必要がある。例えば、高精度ジャイロセンサを備えていれば、地球の自転を計測できる感度があるため、ジャイロコンパスという方法でヨー角度を高精度に決定できる。これに対して、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)IMU等の低精度ジャイロセンサしか備えていない場合、別手段で初期ヨー角度を決定する必要がある。
【0003】
例えば、慣性装置の初期アライメント計算時においてジャイロ誤差にもとづく方位角誤差の増加を抑圧する技術を開示する特許文献1が知られている。特許文献1に開示された慣性装置は、初期アライメント計算部に方位角補正演算部を設け、初期アライメント計算中に、計算した方位角Ψを方位角補正演算部に入力して、その出力を姿勢基準行列計算部に帰還補正して、方位角Ψがゼロに収斂するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−153680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の慣性装置で行われる初期アライメント計算は、慣性装置が搭載された機体が移動しないという条件下で計算されることを利用して、方位角Ψがゼロになるように補正量を計算するので、慣性装置が搭載された車両が移動するような場合に利用することができない。
【0006】
例えば、移動体の進行方向とIMUの軸が同軸上に配置されているGPS/IMU統合装置において、初期アライメント時にGPS方位角からIMU初期ヨー角を近似的に決定する際、GPS方位角がマルチパスの影響により、真の値からずれてしまっているとき、初期ヨー角は誤った値にて初期化されてしまう。また、移動体が前進方向に進まず、後退方向に進行してしまったとき、GPS方位角と初期ヨー角は180°ずれてしまうため、初期ヨー角は180°ずれた誤った値にて初期化されてしまう。また、一般的にGPSによる位置及び速度と、GPS/IMU統合システムによる位置及び速度との差分から、初期アライメントの異常を判定することが可能であるが、GPSによる位置及び速度と、GPS/IMU統合システムによる位置及び速度との差が生じずに、姿勢角だけが異常な値を出力し続けるという状況が生じてしまう可能性がある。このような場合、位置及び速度の差分から初期アライメントの異常を判定するだけでは不十分である。
【0007】
そこで、慣性装置が搭載された車両が移動するような場合に、ヨー角初期化が異常であるか否かを容易に判定することができる装置及び方法が求められている。
【0008】
本発明は、慣性装置が搭載された車両が移動するような場合に、ヨー角初期化が異常であるか否かを容易に判定することができるヨー角初期化異常判定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
(1) GPS受信機及びIMUを使用して計測した計測速度からカルマンフィルタによって移動体の速度を推定し、推定した速度と前記計測速度とを融合して自律航法アルゴリズムによって移動体のアルゴリズム速度を算出する装置に含まれており、移動体の進行方向とIMUの軸とが同軸上に配置されている場合に用いられるヨー角初期化異常判定装置において、前記GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出するGPS方位角平均値演算手段と、前記IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出するヨー角度平均値演算手段と、前記アルゴリズム速度によって前記移動体の移動方向が前進か後退かを判定する逆位相判定手段と、前記逆位相判定手段によって判定された前記移動方向に基づいて、前記方位角の平均値と、前記ヨー角度の平均値との差分を算出する差分演算手段と、前記差分演算手段によって算出された差分が閾値以上であるか未満であるかを判断する誤差閾値判断手段と、前記誤差閾値判断手段によって、前記算出された差分が閾値以上であると判断された場合にカウントをインクリメントし、前記算出された差分が閾値未満であると判断された場合にカウントをデクリメントするカウント手段と、前記カウント手段によって計数された前記カウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する異常判定手段と、を備えるヨー角初期化異常判定装置。
【0011】
(1)の構成によれば、本発明に係るヨー角初期化異常判定装置は、GPS受信機及びIMUを使用して計測した計測速度からカルマンフィルタによって移動体の速度を推定し、推定した速度と計測速度とを融合して自律航法アルゴリズムによって移動体のアルゴリズム速度を算出する装置に含まれ、移動体の進行方向とIMUの軸とが同軸上に配置されている場合に用いられる。そして、ヨー角初期化異常判定装置は、GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出し、IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出し、アルゴリズム速度によって移動体の移動方向が前進か後退かを判定し、判定した移動方向に基づいて、方位角の平均値と、ヨー角度の平均値との差分を算出し、算出した差分が閾値以上であるか未満であるかを判断する。さらに、ヨー角初期化異常判定装置は、算出した差分が閾値以上であると判断した場合にカウントをインクリメントし、算出した差分が閾値未満であると判断した場合にカウントをデクリメントし、計数したカウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する。
【0012】
すなわち、本発明に係るヨー角初期化異常判定装置は、慣性装置が搭載された車両の移動方向に基づいて、GPSによる方位角の平均値と、IMUによるヨー角度の平均値との差分を算出し、算出した差分が閾値以上であるか未満であるかによって計数したカウントが一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する。したがって、本発明に係るヨー角初期化異常判定装置は、ヨー角初期化において、車両が前後に移動した後に前進したり、後進したりする場合に、ヨー角初期化が異常であるか否かを容易に判定することができる。
【0013】
(2) GPS受信機及びIMUを使用して計測した計測速度からカルマンフィルタによって移動体の速度を推定し、推定した速度と前記計測速度とを融合して自律航法アルゴリズムによって移動体のアルゴリズム速度を算出する装置に含まれており、移動体の進行方向とIMUの軸とが同軸上に配置されている場合に用いられるヨー角初期化異常判定装置が実行する方法において、前記GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出するGPS方位角平均値演算ステップと、前記IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出するヨー角度平均値演算ステップと、前記アルゴリズム速度によって前記移動体の移動方向が前進か後退かを判定する逆位相判定ステップと、前記逆位相判定ステップによって判定された前記移動方向に基づいて、前記方位角の平均値と、前記ヨー角度の平均値との差分を算出する差分演算ステップと、前記差分演算ステップによって算出された差分が閾値以上であるか未満であるかを判断する誤差閾値判断ステップと、前記誤差閾値判断ステップによって、前記算出された差分が閾値以上であると判断された場合にカウントをインクリメントし、前記算出された差分が閾値未満であると判断された場合にカウントをデクリメントするカウントステップと、前記カウントステップによって計数された前記カウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する異常判定ステップと、を備える方法。
【0014】
したがって、(2)に係る方法は、(1)と同様に、ヨー角初期化において、車両が前後に移動した後に前進したり、後進したりする場合に、ヨー角初期化が異常であるか否かを容易に判定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、慣性装置が搭載された車両が前後のみに移動するような場合に、ヨー角初期化が異常であるか否かを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態であるヨー角初期化異常判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るヨー角初期化異常判定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るヨー角初期化異常判定装置の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態であるヨー角初期化異常判定装置200の構成を示すブロック図である。ヨー角初期化異常判定装置200は、GPS方位角平均値演算部201と、ヨー角度平均値演算部202と、逆位相判定部203と、差分演算部204と、誤差閾値判断部205と、カウント部206と、異常判定部207とを備える。例えば、ヨー角初期化異常判定装置200は、GPS受信機及びIMUを使用して計測した計測速度からカルマンフィルタによって移動体の速度を推定し、推定した速度と計測速度とを融合して自律航法アルゴリズムによって移動体のアルゴリズム速度を算出する高精度車両速度計測装置(図示せず)に組み込まれ、車両の進行方向とIMUの軸とが同軸上に配置されている場合に用いられる。そして、ヨー角初期化異常判定装置200は、入力として、GPS方位角(θGPS:−π〜π)と、IMUヨー角度(θyaw:−π〜π)と、GPS/IMU統合速度(Vbody:BODY座標系進行方向速度)とが与えられ、出力として、ヨー角度の正常又は異常判定を行う。
【0019】
GPS方位角平均値演算部201は、GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出する。すなわち、GPS方位角平均値演算部201は、GPS/IMU統合装置(例えば、高精度車両速度計測装置)によって入力されるGPS方位角θGPSのある一定時間における平均値θGPS平均を算出する。ただし、θGPSは−π〜πの非連続な範囲であるため、そのままθGPSを平均した場合は正しくない値となってしまう。そこで、sinθGPS、cosθGPSした値を平均化し、その出力に対し、tan−1変換することで、θGPSの正しい平均値であるθGPS平均を求めることが可能となる。
【0020】
ヨー角度平均値演算部202は、IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出する。すなわち、ヨー角度平均値演算部202は、GPS方位角平均値演算部201と同様の処理を行い、GPS/IMU統合装置(例えば、高精度車両速度計測装置)によって入力されるヨー角度θyawの一定時間における平均値θyaw平均を算出する。
【0021】
逆位相判定部203は、自律航法アルゴリズムによって算出された移動体のアルゴリズム速度によって移動体の移動方向が前進か後退かを判定する。すなわち、逆位相判定部203は、GPS/IMU統合速度Vbody(進行方向速度)から、移動体が前進しているか、後退しているかを判定する。これは、GPS方位角とIMUヨー角度が本質的には等価ではないことへの対策である。もしVbodyが正であった場合、移動体は前進していると判定し、Vbodyが負であった場合、移動体は後退していると判定することができる。そして、移動体について前進していると判定した場合、逆位相判定部203は、方位角の平均値をθGPS平均のままとする。移動体について後退していると判定した場合、GPS方位角とヨー角度は180°ずれていることから、逆位相判定部203は、方位角の平均値をθGPS平均+πとする。
【0022】
差分演算部204は、逆位相判定部203によって判定された移動方向に基づいて、方位角の平均値と、ヨー角度の平均値との差分を算出する。すなわち、差分演算部204は、θyaw平均と逆位相判定部203から出力されたθGPS平均もしくはθGPS平均+πとの角度誤差Δθを計算する。ただし、両値ともに−π〜π範囲の非連続値であるため、差分演算部204は、この非線形性を考慮して差分計算を行う。すなわち、差分演算部204は、差分値がπより大きいとき、2πから差分値を引いた値を出力する。差分値が−πより小さいとき、差分値に2πを足した値を出力する。
【0023】
誤差閾値判断部205は、差分演算部204によって算出された差分(角度誤差Δθ)が閾値以上であるか未満であるかを判断する。これによって、現在のGPS方位角とヨー角度との誤差の大小を判定する。
【0024】
カウント部206は、誤差閾値判断部205によって、差分演算部204によって算出された差分が閾値以上であると判断された場合にカウントをインクリメントし、差分演算部204によって算出された差分が閾値未満であると判断された場合にカウントをデクリメントする。すなわち、カウント部206は、誤差閾値判断部205によって差分が閾値以上であると判定された場合、カウントを+1し、差分が閾値未満であると判定された場合、最小値を0としてカウントを−1する(すなわち、カウントが0の場合、−1しない)。
【0025】
異常判定部207は、カウント部206によって計数されたカウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、ヨー角初期化を異常状態と判定する。すなわち、異常判定部207は、カウントがインクリメントされ続けて、ある一定値以上となった場合、ヨー角度を異常と判断し、ヨー角初期化の異常を検出する。
【0026】
上記構成により、ヨー角初期化異常判定装置200は、初期アライメント時にヨー角度が誤った値に決定されてしまったとしても、容易にその異常を検出することができる。そして、ヨー角初期化異常判定装置200は、異常を検出した場合、再度初期アライメントを実行するように、GPS/IMU統合装置(例えば、高精度車両速度計測装置)に通知することにより、初期アライメント処理をアルゴリズム的に戻させることが可能となる。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係るヨー角初期化異常判定装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。ヨー角初期化異常判定装置200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)1010、バスライン1005、メモリ1050及び入出力I/F1040を備える。
【0028】
CPU1010は、ヨー角初期化異常判定装置200を統括的に制御する部分であり、メモリ1050に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0029】
メモリ1050は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。例えば、メモリ1050は、方位角及びヨー角度の平均値や、カウント等の各種演算結果を記憶する。
【0030】
入出力I/F1040は、ヨー角初期化異常判定装置200が高精度車両速度計測装置から3軸ジャイロセンサによるヨー角度(θyaw)と、GPS受信機による方位角(θGPS)と、GPS/IMUの統合速度(Vbody)とを入力し、高精度車両速度計測装置に初期アライメントの異常又は正常を通知するためのインターフェースである。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係るヨー角初期化異常判定装置200の処理内容を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS101において、CPU1010は、方位角と、ヨー角度と、統合速度とを入力する。その後、CPU1010は、処理をステップS102に移す。
【0033】
ステップS102において、CPU1010(GPS方位角平均値演算部201、ヨー角度平均値演算部202)は、方位角の平均値と、ヨー角度の平均値とを算出する。その後、CPU1010は、処理をステップS103に移す。
【0034】
ステップS103において、CPU1010(逆位相判定部203)は、移動体が前進しているか否かを判断する。より具体的には、CPU1010は、ステップS101で入力した統合速度が正の値である場合に、移動体が前進していると判断し、統合速度が負の値である場合に、後退していると判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS105に移し、NOの場合、CPU1010は、処理をステップS104に移す。
【0035】
ステップS104において、CPU1010(逆位相判定部203)は、方位角の平均値にπを加算する。その後、CPU1010は、処理をステップS105に移す。
【0036】
ステップS105において、CPU1010(差分演算部204)は、方位角の平均値と、ヨー角度の平均値との差分を算出する。その後、CPU1010は、処理をステップS106に移す。
【0037】
ステップS106において、CPU1010(誤差閾値判断部205)は、差分が閾値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS107に移し、NOの場合、CPU1010は、処理をステップS108に移す。
【0038】
ステップS107において、CPU1010(カウント部206)は、カウントをインクリメントする。その後、CPU1010は、処理をステップS109に移す。
【0039】
ステップS108において、CPU1010(カウント部206)は、カウントをデクリメントする。その後、CPU1010は、処理をステップS109に移す。
【0040】
ステップS109において、CPU1010(異常判定部207)は、カウントが一定値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS110に移し、NOの場合、CPU1010は、処理をステップS111に移す。
【0041】
ステップS110において、CPU1010(異常判定部207部)は、異常と判定する。その後、CPU1010は、処理を終了する。
【0042】
ステップS111において、CPU1010(異常判定部207)は、一定時間が経過か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS112に移し、NOの場合、CPU1010は、処理をステップS101に移す。
【0043】
ステップS112において、CPU1010(異常判定部207部)は、正常と判定する。その後、CPU1010は、処理を終了する。
【0044】
本実施形態によれば、ヨー角初期化異常判定装置200は、GPS受信機及びIMUを使用して計測した計測速度からカルマンフィルタによって移動体の速度を推定し、推定した速度と計測速度とを融合して自律航法アルゴリズムによって移動体のアルゴリズム速度を算出する高精度車両速度計測装置に組み込まれ、移動体の進行方向とIMUの軸とが同軸上に配置されている場合に用いられる。そして、ヨー角初期化異常判定装置200は、GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出し、IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出し、アルゴリズム速度によって移動体の移動方向が前進か後退かを判定し、判定した移動方向に基づいて、方位角の平均値と、ヨー角度の平均値との差分を算出し、算出した差分が閾値以上であるか未満であるかを判断する。さらに、ヨー角初期化異常判定装置200は、算出した差分が閾値以上であると判断した場合にカウントをインクリメントし、算出した差分が閾値未満であると判断した場合にカウントをデクリメントし、計数したカウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する。したがって、ヨー角初期化異常判定装置200は、ヨー角初期化において、車両が前後に移動した後に前進したり、後進したりする場合に、ヨー角初期化が異常であるか否かを容易に判定することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
200 ヨー角初期化異常判定装置
201 GPS方位角平均値演算部
202 ヨー角度平均値演算部
203 逆位相判定部
204 差分演算部
205 誤差閾値判断部
206 カウント部
207 異常判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信機及びIMUを使用して計測した計測速度からカルマンフィルタによって移動体の速度を推定し、推定した速度と前記計測速度とを融合して自律航法アルゴリズムによって移動体のアルゴリズム速度を算出する装置に含まれており、移動体の進行方向とIMUの軸とが同軸上に配置されている場合に用いられるヨー角初期化異常判定装置において、
前記GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出するGPS方位角平均値演算手段と、
前記IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出するヨー角度平均値演算手段と、
前記アルゴリズム速度によって前記移動体の移動方向が前進か後退かを判定する逆位相判定手段と、
前記逆位相判定手段によって判定された前記移動方向に基づいて、前記方位角の平均値と、前記ヨー角度の平均値との差分を算出する差分演算手段と、
前記差分演算手段によって算出された差分が閾値以上であるか未満であるかを判断する誤差閾値判断手段と、
前記誤差閾値判断手段によって、前記算出された差分が閾値以上であると判断された場合にカウントをインクリメントし、前記算出された差分が閾値未満であると判断された場合にカウントをデクリメントするカウント手段と、
前記カウント手段によって計数された前記カウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する異常判定手段と、
を備えるヨー角初期化異常判定装置。
【請求項2】
GPS受信機及びIMUを使用して計測した計測速度からカルマンフィルタによって移動体の速度を推定し、推定した速度と前記計測速度とを融合して自律航法アルゴリズムによって移動体のアルゴリズム速度を算出する装置に含まれており、移動体の進行方向とIMUの軸とが同軸上に配置されている場合に用いられるヨー角初期化異常判定装置が実行する方法において、
前記GPS受信機によって算出された方位角の平均値を算出するGPS方位角平均値演算ステップと、
前記IMUによって計測されたヨー角度の平均値を算出するヨー角度平均値演算ステップと、
前記アルゴリズム速度によって前記移動体の移動方向が前進か後退かを判定する逆位相判定ステップと、
前記逆位相判定ステップによって判定された前記移動方向に基づいて、前記方位角の平均値と、前記ヨー角度の平均値との差分を算出する差分演算ステップと、
前記差分演算ステップによって算出された差分が閾値以上であるか未満であるかを判断する誤差閾値判断ステップと、
前記誤差閾値判断ステップによって、前記算出された差分が閾値以上であると判断された場合にカウントをインクリメントし、前記算出された差分が閾値未満であると判断された場合にカウントをデクリメントするカウントステップと、
前記カウントステップによって計数された前記カウントが一定の値以上であるか否かを判断し、一定の値以上であると判断した場合に、異常状態と判定する異常判定ステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−42285(P2012−42285A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182544(P2010−182544)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【Fターム(参考)】