説明

ライニング装置およびそれを用いたライニング方法

【構成】 ライニング装置10は、ガイドフレーム14を備え、このガイドフレーム14には、ガイドフレーム14上を移動可能な製管ユニット16が装着される。製管ユニット16は、ガイドフレーム14上を所定の速度で移動し、ストリップ202を既設管200内面に沿わせるとともに、そのストリップ202と、製管された後のライニング管206のストリップ202とをジョイナ204で接合する。また、ガイドフレーム14には、製管ユニット16よりも後方に、コーナ押さえユニット58が設けられる。コーナ押さえユニット58は、既設管200の角部208において、ライニング管206を押さえ付ける。
【効果】 ライニングによる断面縮小率を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ライニング装置およびそれを用いたライニング方法に関し、特にたとえば、帯状体を螺旋状に巻回して製管した管状体により既設管の内面をライニングする、ライニング装置およびそれを用いたライニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のライニング方法の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1のライニング方法では、送りユニットがガイドフレーム上を移動しながら帯状のストリップを送り出し、ストリップを所定の鋭角で既設管の内面に押し付ける。そして、嵌合ユニットがガイドフレーム上を移動しながら、既設管の内面に押し付けられたストリップにジョイナを押さえ付けて嵌合することによって、ライニング管を形成している。
【特許文献1】特許4471762号[B29C 63/32]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のライニング方法では、たとえば既設管が角部を有する非円形管である場合などには、その角部において、既設管内面に沿わせたストリップにジョイナを押さえ付けて嵌合しても、嵌合後にストリップが自身の復元力により角部の内面から内側(すなわち、既設管の中心側)に浮き上がってしまうことがあった。この場合には、ライニング管を製管していくにつれて、ストリップの浮き上がりの影響が少しずつ蓄積していくこととなり、結果的にライニング管が徐々に縮径してしまう。すなわち、特許文献1のライニング方法では、ライニング管の断面縮小率が大きくなってしまい、ライニング管の排水能力が低下してしまうことがあった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、ライニング装置およびそれを用いたライニング方法を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、ライニングによる断面縮小率を小さく抑えつつ、非円形の既設管に対しても施工することが可能な、ライニング装置およびそれを用いたライニング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、角部を有する非円形管の既設管内において、長尺の帯状体を螺旋状に巻回して製管した管状体によって既設管の内面をライニングするライニング装置であって、既設管の断面形状に沿うガイドフレーム、ガイドフレーム上に移動可能に装着され、隣接する帯状体どうしを嵌合させる製管ユニット、および進行方向において、製管ユニットよりも後方に設けられ、既設管の角部において管状体を押さえ付けるコーナ押さえユニットを備える、ライニング装置である。
【0008】
第1の発明では、ライニング装置(10)は、たとえば老朽化した既設管(200)の内面をライニングする管状体(206)を製管する装置であり、既設管の断面形状に沿うガイドフレーム(12)を備えている。ガイドフレームには、ガイドフレーム上を移動可能な製管ユニット(16)が装着される。たとえば、製管ユニットは、長尺の帯状体(202,204)を既設管内面に沿わせて螺旋状に巻回し、隣接する帯状体の幅方向端縁どうしを接合することによって管状体を形成する。また、ガイドフレームには、ライニング装置の進行方向において、製管ユニットよりも後方に、コーナ押さえユニット(58)が設けられる。コーナ押さえユニットは、既設管の角部(208)において、管状体を押さえ付けておくものであり、既設管内に管状体を形成する際には、コーナ押さえユニットが既設管の角部において管状体を押さえ付けた状態で、製管ユニットがその管状体に帯状体を嵌合する。
【0009】
第1の発明によれば、既設管の角部における管状体の浮き上がりをコーナ押さえユニットによって抑えた状態で、管状体に帯状体を嵌合することが可能になる。したがって、非円形の既設管などに対しても、既設管の内面に密着させた管状体を製管することができるようになるので、ライニングによる断面縮小率を小さくすることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、既設管は4つの角部を有する矩形管であり、コーナ押さえユニットは、既設管の各角部において管状体を継続的に押さえ付ける。
【0011】
第2の発明では、既設管(200)は4つの角部(208)を有する断面矩形状の非円形管である。そして、既設管の各角部において、ライニング装置(10)のコーナ押さえユニット(58)が管状体(206)を継続的に押さえ付ける。
【0012】
第2の発明によれば、ライニング装置が既設管に沿って直進できるようになる。
【0013】
第3の発明は、第1または2の発明に従属し、コーナ押さえユニットは、管状体の軸方向に回転自在のコーナ押さえローラを含み、このコーナ押さえローラによって管状体を押さえ付ける。
【0014】
第3の発明では、コーナ押さえユニット(58)は、管状体(206)の軸方向に回転自在のコーナ押さえローラ(66)によって管状体を押さえ付ける。コーナ押さえローラはライニング装置(10)の移動に合わせて回転するので、管状体を押さえ付ける際に、その押さえ付ける力の反力によってライニング装置の移動が制限されることがない。
【0015】
第4の発明は、第3の発明に従属し、コーナ押さえローラは、既設管の角部の内面に適合する外形を有する。
【0016】
第4の発明では、コーナ押さえローラ(66)が既設管(200)の内面に適合する外形を有しているので、コーナ押さえローラによって押さえ付けた管状体(206)を既設管内面に密着させても、それによって管状体が変形してしまうことがなく、またライニング装置の姿勢が変化してしまうこともないので、ライニング装置(10)が確実に既設管に沿って直進できるようになる。
【0017】
第5の発明は、第3または4の発明に従属し、コーナ押さえユニットは、コーナ押さえローラの管状体への押圧力を調整するためのシリンダをさらに含む。
【0018】
第5の発明では、コーナ押さえローラ(66)の管状体(206)への押圧力がシリンダ(62)によって調整されるので、コーナ押さえローラは常時、適切な押圧力をもって管状体を押さえ付けて、管状体を既設管(200)内面に密着させることができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明に従属し、コーナ押さえユニットは、コーナ押さえローラとシリンダとを連結するリンク機構をさらに含む。
【0020】
第6の発明では、コーナ押さえローラ(66)とシリンダ(62)とがリンク機構(64)によって連結される。このため、シリンダの伸縮と、コーナ押さえローラが管状体(206)を押さえ付ける動きとを連動させつつ、たとえばリンク機構のアーム(72)の長さに応じた距離だけコーナ押さえローラを前方に突き出して配置することができるようになる。
【0021】
第6の発明によれば、コーナ押さえローラを製管ユニットの近傍に配置することにより、製管ユニットが帯状体を嵌合させる際に生じる引っ張り力等によって管状体が変形や位置ずれを起こすことを回避できる。したがって、帯状体を嵌合する作業が容易になり、施工効率を向上させることができる。
【0022】
第7の発明は、第3ないし6のいずれかの発明に従属し、コーナ押さえユニットは、コーナ押さえローラの配置角度を所定の範囲内で変更可能な首振り機構をさらに含む。
【0023】
第7の発明では、コーナ押さえユニット(58)は、コーナ押さえローラ(66)の配置角度を変更可能な首振り機構を含み、実施例では、コーナ押さえローラ支持部(68)が、所定角度傾斜可能にコーナ押さえローラを支持している。
【0024】
第7の発明によれば、ライニング装置が多少動いてずれても、コーナ押さえローラによって管状体を押さえ付けることが可能である。
【0025】
第8の発明は、第1ないし7のいずれかの発明に従属し、角部にはスペーサが設けられ、コーナ押さえユニットは、管状体をスペーサに密着するように押さえ付ける。
【0026】
第8の発明では、既設管(200)は角部(208)を有する非円形管であり、その角部には、パンチングメタルやエキスパンドメタルなどのスペーサ(228)が設けられる。このため、既設管の角部において、コーナ押さえローラ(66)が管状体(206)を押さえ付けるときに、スペーサが管状体を背後から支えることにより、管状体を押さえ付けることが容易になる。
【0027】
第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明に従属し、製管ユニットは、帯状体と、これに隣接する管状体とを接合用嵌合部材を介して嵌合させる。
【0028】
第9の発明では、隣接する帯状体(202)どうしが接合用嵌合部材(204)を介して嵌合され、実施例では、製管ユニット(16)の嵌合手段(98,100,102,106)が、帯状体と、これに隣接する帯状体、すなわち製管された後の管状体(206)とに接合用嵌合部材を嵌合させる。
【0029】
第10の発明は、第1ないし9のいずれかの発明のライニング装置を用いたライニング方法であって、(a)ガイドフレームを既設管内に設置するステップ、(b)既設管の角部においてコーナ押さえユニットによって管状体を押さえ付けるステップ、および(c)コーナ押さえユニットによって管状体を押さえ付けた状態を保持したまま、ガイドフレーム上を移動する製管ユニットによって、帯状体とこれに隣接する管状体とを嵌合させるステップを含む、ライニング方法である。
【0030】
第10の発明では、ステップ(a)において、ライニング装置(10)のガイドフレーム(14)を既設管(200)内に設置する。ステップ(b)において、ライニング装置のコーナ押さえユニット(56)が既設管の角部(208)において管状体(206)を押さえ付けるようにする。ステップ(c)において、ガイドフレーム上を移動する製管ユニット(16)によって、螺旋状に巻回させた帯状体(202,204)と、これに隣接する帯状体、すなわち製管された後の管状体とを嵌合させる。
【0031】
第10の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、コーナ押さえユニットが既設管の角部において管状体を押さえ付けた状態で製管ユニットによって管状体が製管されることにより、既設管の角部における管状体の浮き上がりを抑えることができるので、ライニングによる断面縮小率を小さくすることができる。
【0033】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施例のライニング装置を示す正面図である。
【図2】図1のライニング装置を示す側面図である。
【図3】(a)は、ストリップを示す断面図であり、(b)は、ジョイナを示す断面図である。
【図4】幅方向に隣接するストリップをジョイナで接合した状態を示す断面図である。
【図5】走行ユニットを示す側面図である。
【図6】(a)は、ガイドフレームが鉛直面に沿うように走行ユニットによって支持した様子を示す図解図であり、(b)は、ガイドフレームを前方に傾かせた状態で走行ユニットによって支持した様子を示す図解図である。
【図7】ガイドフレームを示す正面図である。
【図8】図7のガイドフレームを示す背面図である。
【図9】(a)は、図7のガイドフレームを示す拡大断面図であり、(b)は、図7のガイドフレームを示す拡大側面図である。
【図10】ガイドフレームに装着したローラーチェーンをチェーン駆動ユニットによって旋回させる構造を示す図解図である。
【図11】(a)は、コーナ押さえユニットのシリンダのロッドが上昇した状態を示す正面図であり、(b)は、コーナ押さえユニットのシリンダのロッドが下降した状態を示す正面図である。
【図12】(a)は、コーナ押さえユニットのシリンダのロッドが上昇した状態を示す側面図であり、(b)は、コーナ押さえユニットのシリンダのロッドが下降した状態を示す側面図である。
【図13】コーナ押さえユニットを示す上面図である。
【図14】コーナ押さえユニットの首振り機能を示す図解図である。
【図15】製管ユニットを示す正面図である。
【図16】図15の製管ユニットを示す側面図である。
【図17】図15の製管ユニットを示す上面図である。
【図18】製管ユニットによってライニング管を製管する様子を示す図解図である。
【図19】(a)は、押し付けユニットによってストリップを既設管の内面に押し付ける様子を示す図解図であり、(b)は、嵌合ユニットによってジョイナをストリップに嵌合させる様子を示す図解図である。
【図20】製管ユニットとスイベルとを連結した様子を示す正面図である。
【図21】製管ユニットとスイベルとを連結した様子を示す側面図である。
【図22】断面矩形の既設管の角部にスペーサを配置した様子を示す断面図である。
【図23】断面馬蹄形の既設管の角部にスペーサを配置した様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および図2を参照して、この発明の一実施例であるライニング装置10は、たとえば老朽化した既設管200の内面をライニングするために、ストリップ202を既設管200の内面に沿って螺旋状に巻回し、その幅方向側縁どうしをジョイナ204で接合することによって管状体(ライニング管)206を形成する装置である。
【0036】
なお、この実施例では、既設管200は角部208を有する断面矩形状の非円形管であり、その構成材料には、たとえば鉄筋コンクリートが適用されるが、これに限定される必要はない。
【0037】
ここで、ライニング装置10の具体的な説明に先立って、ストリップ202およびジョイナ204について説明しておく。
【0038】
図3(a)に示すように、ストリップ202は、たとえば硬質塩化ビニル等のような合成樹脂の押出成形によって連続的に形成されるものであり、長尺の帯状の本体(ストリップ本体)210を含む。本体210の一方の面には、所定の間隔を隔てて3つのアンカ部212が設けられる。アンカ部212どうしの間には、ストリップ202の剛性を高めるための補強用部材(図示せず)が取り付けられている。また、本体210の両側側縁には、係合部214および嵌合部216がそれぞれ1つずつ左右相称に設けられる。これらアンカ部212、係合部214および嵌合部216は本体210の長さ方向に沿ってその全体に亘って形成される。
【0039】
また、図3(b)に示すように、ジョイナ204は、たとえば硬質塩化ビニル等のような合成樹脂の押出成形によって連続的に形成されるものであり、長尺の帯状の本体(ジョイナ本体)218を含む。本体218の一方の面の両側側縁には、挟持部220および突条222がそれぞれ1つずつ左右相称に設けられる。挟持部220の断面形状はく字状に屈曲し、突条222と挟持部220との間で本体218の長手方向に沿ってシール材224が装着される。また、本体218の一方の面の略中央部には、フレキシブル部226が形成されており、フレキシブル部226の側縁どうしの間の位置には、屈曲部228が形成されている。これら挟持部220、突条222、フレキシブル部224および屈曲部228は本体218の長さ方向に沿ってその全長に亘って連続して形成される。
【0040】
図4に示すように、ジョイナ204の突条222をストリップ202の嵌合部216に嵌めれば、ジョイナ204の挟持部220の屈曲部はストリップ202の係合部214と当接して、ジョイナ204の突条222および挟持部220は互いに協働してストリップ202の係合部214を挟持する。また、ストリップ202の係合部214がジョイナ204のシール材224に圧着して、ストリップ202とジョイナ204との間の水密性を確保する。
【0041】
ただし、上述したストリップ202およびジョイナ204の構成は、単なる例示であり、この発明の本旨を変更しない範囲内において、ストリップ202およびジョイナ204の構成は適宜変更可能である。また、ストリップ202に必ずしも補強用部材を取り付ける必要もない。
【0042】
ライニング装置10の説明に戻って、ライニング装置10は、図1および図2に示すように、走行ユニット12、走行ユニット12に支持されるガイドフレーム14、およびガイドフレーム14上に装着される製管ユニット16を備えている。
【0043】
走行ユニット12は、図5に示すように、車体18、複数(この実施例では7個)の駆動ローラ20、および駆動モータ22を含む。駆動ローラ20はそれぞれ並列に車体18内に並び、後述するガイドフレーム14の直線部38bに対して平行に配置される。駆動モータ22は、駆動ローラ20を駆動するものであり、たとえば、施工中に作業者(操作者)が座るために車体18上に設置される椅子24と車体18との間の空間に設けられる。さらに、車体18の幅方向の両側には、それぞれ取り付けフレーム26が立設される。取り付けフレーム26は、丸パイプや角パイプなどの鋼管を組み合わせることによって形成され、その所定位置には、後述するサイドローラユニット74やスプリングバランサ130が取り付けられる。
【0044】
走行ユニット12の車体18の上面には、角度可変部28が設けられ、この角度可変部28を介して、走行ユニット12の前方(すなわち、ライニング装置10の進行方向側)にガイドフレーム14が取り付けられる。
【0045】
角度可変部28は、ヒンジ30によって連結された第1部32および第2部34を有し、第1部32と第2部34とがなす角度は可変である。たとえば、この実施例では、角度可変部28の第1部32が車体18上面の前方端部に固定されるとともに、第2部34が後述するガイドフレーム14の下部の直線部38bに固定され、したがって、図6(a)および図6(b)に示すように、走行ユニット12の車体18に対するガイドフレーム14の設置角度をヒンジ30の変動範囲で自由に調整可能である。
【0046】
また、車体18とガイドフレーム14とは、図2に示すように、伸縮自在ポール36によって連結されている。伸縮自在ポール36は、走行ユニット12の車体18に対するガイドフレーム14の設置角度に合わせて伸縮自在であり、その一端が車体18上面に固定され、その他端がガイドフレーム14の後方側に取り付けられた第2支柱部材54に固定される。通常時は、伸縮自在ポール36は、図6(a)のようにガイドフレーム14が鉛直面に沿って設置された状態でガイドフレーム14を固定的に支持するが、伸縮自在ポール36を伸ばすことにより、図6(b)のようにガイドフレーム14を前方に傾かせた状態でガイドフレーム14を固定的に支持することも可能である。
【0047】
図1および図2に戻って、ガイドフレーム14は、既設管200の断面形状に沿った形状に形成され、たとえば、この実施例のように断面矩形の既設管200に用いる場合には矩形状である。たとえば、この実施例では、図7−図9に示すように、ガイドフレーム14には、2つのフランジ14a,14bとウェブ14cとからなるH形鋼が用いられ、フランジ14aがガイドフレーム14前面を、そしてフランジ14bが後面(すなわち、ライニング装置10の進行方向の反対側の面)を形成するように配置される。
【0048】
ガイドフレーム14は、角部38aおよび直線部38bに分割可能であり、複数(この実施例では8個)に分割される。各分割部材38a、38bの端に貫通孔が開いており、この端部を他の分割部材38a、38bの端部に当接させ、金属板などの接続部材40を隣接する2つの分割部材38a、38bの間に渡す。接続部材40は分割部材38a、38bの貫通孔に対応する位置に貫通孔を有し、この貫通孔を分割部材38a、38bの貫通孔に合わせて、貫通孔にボルトを嵌めナットで固定して分割部材38a、38b同士を連結する。
【0049】
また、フランジ14bの外側の端縁には、後方に突き出す突出部42が一体的に形成される。そして、後に詳細を説明するように、ガイドフレーム14上に製管ユニット16を装着した際には、この突出部42に後述するガイドユニット80(の係止部96)が係止される。
【0050】
さらに、ガイドフレーム14の外側側壁、すなわちウェブ14cの外側面には、図9(a)および図9(b)に示すように、ローラチェーン44が装着され、分割部材38a、38bを連結しガイドフレーム14を組み立てると、このローラチェーン44はガイドフレーム14の全周に亘って形成される。図示は省略するが、ローラチェーン44の所定位置には、後述するガイドユニット80(のチェーン固定部88)が固定される。
【0051】
そして、ガイドフレーム14の所定位置、この実施例ではガイドフレーム14の上部の直線部38bには、チェーン駆動ユニット46が取り付けられる。図10に示すように、チェーン駆動ユニット46は、モータ48およびスプロケット50を有し、モータ48を駆動させると、このモータ48と連結するスプロケット50が回転し、このスプロケット48がローラチェーン44にかみ合いながら回転することにより、ローラチェーン44はガイドフレーム14の周方向に旋回(回転)する。
【0052】
図7および図8に戻って、ガイドフレーム14の後方には、上下方向に所定の間隔を隔てて、2つの第1支柱部材52が設けられる。第1支柱部材52は、H形鋼などの鋼材を用いて形成され、ガイドフレーム14の左右方向に延びて、ガイドフレーム14の左右方向の一方側の直線部38bと他方側の直線部38bとに差し渡され、各直線部38bの後方にボルトおよびナットで固定される。
【0053】
ただし、この実施例における“左右方向”とは、ライニング装置10の進行方向に直交し、かつ水平な2つの方向を意味する。
【0054】
さらに、第1支柱部材52の後方には、ガイドフレーム14の左右方向に所定の間隔を隔てて、2つの第2支柱部材54が設けられる。第2支柱部材54は、H形鋼などの鋼材を用いて形成され、上下方向に延びて、2つの第1支柱部材52に差し渡され、各第1支柱部材52の後方にボルトおよびナットで固定される。
【0055】
さらにまた、第2支柱部材54の後方には、上下方向に所定の間隔を隔てて、2つの取り付け部材56が設けられる。取り付け部材56は、たとえば溝形鋼からなり、左右方向に延びて2つの第2支柱部材54に差し渡される直線部56aを含み、各第2支柱部材54の後方にボルトおよびナットで固定される。直線部56aの両端はそれぞれ既設管200の角部208に向けて屈曲し、そこに屈曲部56bが形成される。すなわち、上部の取り付け部材56の屈曲部56bは、直線部56aの両端からそれぞれ既設管200の角部208に向けて斜め上方向に延び、下部の取り付け部材56の屈曲部56bは、直線部56aの両端からそれぞれ既設管200の角部208に向けて斜め下方向に延びる。そして、取り付け部材56の各屈曲部56bの先端には、図11−図13に示すコーナ押さえユニット58が取り付けられる。
【0056】
コーナ押さえユニット58は、既設管200の角部208において、ライニング管206を押さえ付けておくものであり、図11−図13に示すように、取り付け部材56の屈曲部56bの先端にボルトおよびナットで固定される取付部60を含み、この取付部60の前方には、シリンダ62およびリンク機構64を介して、コーナ押さえ手段が設けられる。
【0057】
この実施例では、コーナ押さえ手段は、コーナ押さえローラ66である。コーナ押さえローラ66は、コーナ押さえローラ支持部68によって前後方向(すなわち、ライニング管206の軸方向)に回転自在に支持され、またコーナ押さえローラ66の内方に設けられたシリンダ62およびリンク機構64によってその押圧力が調整される。
【0058】
具体的には、図11および図12に示すように、取付部60の前方には、1または複数(この実施例では2つ)のシリンダ62が固定される。各シリンダ62内には、ロッド70が収納されており、ロッド70は、油圧や空気圧によって昇降可能(変位可能)とされている。シリンダ62は、ロッド70が取り付け部材56の屈曲部56bと平行に変位するように取付部60に固定される。
【0059】
また、取付部60の前方であってかつシリンダ62の先端側には、リンク機構64が設けられる。リンク機構64は、シリンダ62内のロッド70の動きと、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付ける動きとを連動させるものであり、図13に示すように、取り付け部材56(の屈曲部56b)を間に挟んで2つのリンク機構64が並行に配置される。各リンク機構64は、シリンダ62のロッド70が変位する方向に間隔を隔てた複数(この実施例では2本)のアーム72を含み、このアーム72は、鉄やステンレスなどの金属からなる平棒などで形成される。アーム72の後方端部は、取付部60とピン接合され、その前方端部は、コーナ押さえローラ支持部68とピン接合される。アーム72の長さは、たとえば150mmである。また、2本のアーム72のうち内方(すなわち、シリンダ62側)に配置されるアーム72には、上述したシリンダ62内のロッド70の先端が接続され、このアーム72は、外側に一定の範囲で回転可能なように取付部60とピン接合される。
【0060】
すなわち、シリンダ62内のロッド70が上昇すると、図11(a)に示すように、リンク機構64のアーム72は取付部60との接合部を支点として矢印A方向に動いて(回転して)、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付ける方向に移動し、反対に、シリンダ62内のロッド70が下降すると、図11(b)に示すように、アーム72は取付部60との接合部を支点として矢印B方向に動いて(回転して)、コーナ押さえローラ66がライニング管206から離れる方向に移動する。
【0061】
また、コーナ押さえローラ66をリンク機構64を介してシリンダ62と連結させることにより、シリンダ62の伸縮と、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付ける動きとを連動させつつ、このコーナ押さえローラ66をリンク機構64のアーム72の長さに応じた距離だけ前方に突き出して配置することができるようになる。
【0062】
コーナ押さえローラ66は、コーナ押さえローラ支持部68によって前後方向に回転自在に支持された略円筒形の回転物である。たとえば、コーナ押さえローラ66は、ライニング管206の内面に適合する外形を有しており、この実施例では、軸方向の中央部がやや膨れた略円筒形状に形成され、その最大径は、既設管200の角部208の曲率に合わせて設定され、たとえば75mmであり、その軸方向の長さは、たとえば200mmである。また、コーナ押さえローラ66の外周面は、合成ゴム等の弾性材によって被覆されている。
【0063】
コーナ押さえローラ66は、図11(a)および図12(a)に示すように、シリンダ62内のロッド70が上昇した状態から、図11(b)および図12(b)に示すように、シリンダ62内のロッド70が下降した状態までの間の範囲の適正な位置で固定状態にされ、既設管200の角部208において、適切な押圧力をもってライニング管206を押さえ付けて、ライニング管206を既設管200の内面(またはスペーサ228)に密着させる。そして、シリンダ62はコーナ押さえローラ66をライニング管206に対して押さえ付けながら、コーナ押さえローラ66はライニング装置10(の走行ユニット12)の移動に合わせて回転し、これによって、施工時に既設管200の角部208にライニング管206を押さえ付けた状態で、製管ユニット16(の嵌合ユニット82)がジョイナ204をストリップ202に嵌合できるようになる。
【0064】
また、コーナ押さえローラ支持部68は、コーナ押さえローラ66の配置角度を変更できる首振り機構を具備している。具体的には、コーナ押さえローラ支持部68は、図13および図14に示すように、回転軸68aを有し、その回転軸68aを中心にして所定角度傾斜ないし首振り可能にコーナ押さえローラ66を支持している。
【0065】
図2に戻って、サイドガイドローラユニット74は、ライニング装置10の向き(姿勢)を安定させることを目的として、ライニング装置10の左右方向においてライニング管206に接触して、その反力を取るものであり、この実施例では、ライニング装置10の進行方向に所定の間隔を隔てて2つのサイドガイドローラユニット74が設けられる。たとえば、この実施例では、図7および図8に示すように、1つのサイドガイドローラユニット74が、第2支柱部材54の後方の所定位置に設けられ、そして、もう1つのサイドガイドローラユニット74が、図5に示すように、走行ユニット12の取り付けフレーム26の所定位置に配置される。
【0066】
各サイドガイドローラユニット74は、両端部のそれぞれに複数(この実施例では3個)のサイドガイドローラ76を有し、このサイドガイドローラ76は、シリンダ78の伸縮により適切な押圧力をもってライニング管206に接触するとともに、ライニング装置10(の走行ユニット12)の移動に合わせて回転するため、ライニング装置10は既設管200に沿って直進できるようになる。さらに、このサイドガイドローラ76はシリンダ78の伸縮によってライニング管206に接触しながらも多少の動きが可能であるので、既設管200内の凹凸などにもある程度対応できる。
【0067】
また、上述したように、ガイドフレーム14上には、図15−図17に示す製管ユニット16が装着される。製管ユニット16は、図15−図17に示すように、ガイドユニット80、嵌合ユニット82、および押し付けユニット84によって構成される。
【0068】
ガイドユニット80は、ガイドフレーム14上に移動可能に装着される部位であり、第1板部86a、第2板部86bおよび第3板部86cからなる略コ字の本体86を含む。
【0069】
第1板部86aは、ガイドフレーム14のフランジ14aおよびフランジ14bに亘る板状体であり、その内側の面には、チェーン固定部88が形成される。チェーン固定部88は、上述したローラチェーン44に固定される突起であり、このチェーン固定部88がローラチェーン44に固定されることにより、ガイドユニット80がローラチェーン44とともにガイドフレーム14の周方向に旋回することとなる。
【0070】
第2板部86bは、第1板部86aの前方端縁から内側に向けて垂直に立ち上がる板状体であり、その後方には、ガイドフレーム14の周方向に回動自在に設けられる複数(この実施例では4つ)のホイール90が取り付けられる。たとえば、4つのホイール90は、ガイドフレーム14の外側および内側にそれぞれ2つずつ離間して設けられ、ガイドフレーム14の外側に位置するホイール90とガイドフレーム14の内側に位置するホイール90とが、それぞれ同一鉛直線上となるように配置される。そして、その同一鉛直線上に配置されたホイール90どうしでガイドフレーム14のフランジ14aを上下から挟み込んでいる。
【0071】
また、第2板部86bの先端部にはピン92が設けられ、このピン92には、連結部材94がピン92を中心に回転可能に接続される。連結部材94は、鉄やSUSなどの金属によって矩形平板状に形成され、詳細は後に説明するように、その他端がスイベル128の回転部140に接続される。
【0072】
第3板部86cは、第1板部86aの後方端縁から内側に向けて垂直に立ち上がる板状体であり、その前面には、係止部96が形成される。係止部96は、第3板部86cから突き出す一対の突起であり、ガイドフレーム14の突出部42を上下から挟み込むとともに、ガイドフレーム14のフランジ14bに当接することによって、ガイドフレーム14の突出部42に係止される。これにより、ガイドユニット80が、延いては、製管ユニット16が自身の重量によってガイドフレーム14の前方側に傾くことが防止される。
【0073】
ガイドユニット80の前方側には、嵌合ユニット82がボルトおよびナットで固定され、すなわち、嵌合ユニット82はガイドユニット80を介してガイドフレーム14上に移動可能に装着される。
【0074】
嵌合ユニット82は、嵌合手段を備え、嵌合手段は押し付けユニット84が既設管200の内面に押し付けたストリップ202と、これに隣接するストリップ202(すなわち、製管された後のライニング管206)とをジョイナ204を介して嵌合させるものであり、この実施例では、嵌合手段は嵌合ローラ98である。嵌合ローラ98は、嵌合ローラ支持部100によって製管ユニット16の移動方向に回転自在に支持され、また嵌合ローラ98の内方に設けられたシリンダ102によってその押圧力が調整されて、嵌合ローラ98は適切な押圧力をもってストリップ202にジョイナ204を押し付ける。
【0075】
具体的には、ガイドユニット80(の第2板部86b)には、取り付け板104がボルトおよびナットで固定され、この取り付け板104の前方には、シリンダ102が固定される。各シリンダ102内には、油圧や空気圧によって昇降可能なロッド104が収納されており、このロッド106の先端が嵌合ローラ支持部100に連結される。また、シリンダ102の左右両側には、シリンダ102の動きに応じて昇降可能な可動部108が配置される。この可動部108は、シリンダ102のロッド106の動きに合わせて昇降するシャフト110を有し、シャフト110の先端が嵌合ローラ支持部100に連結される。そして、シリンダ102は嵌合ローラ98をジョイナ204に押さえ付けながら、嵌合ローラ98は嵌合ユニット82の移動に合わせて回転し、これによって、図18および図19(b)に示すように、嵌合ローラ98によりストリップ202とこれに隣接する管状体206間にジョイナ204が押し付けられて嵌合されることとなる。
【0076】
図15−図17に戻って、嵌合ユニット82(の取り付け板104)には、ガイドユニット80の移動方向の前方に、押し付けユニット84が取り付けられ、すなわち、押し付けユニット84はガイドユニット80および嵌合ユニット82を介してガイドフレーム14上に移動可能に装着される。
【0077】
押し付けユニット84は押し付け手段を備え、押し付け手段はローラやハンマなどの、既設管200の内面との間にストリップ202を挟み込んでそのストリップ202を既設管200の内面に押し付けるものである。この実施例では、押し付け手段は押し付けローラ112であり、押し付けローラ支持部114によって製管ユニット16の移動方向に回転自在に支持され、また押し付けローラ112の内方に設けられたシリンダ116によってその押圧力が調整されて、押し付けローラ112は適切な押圧力をもってストリップ202を既設管200の内面に押し付ける。
【0078】
具体的には、嵌合ユニット84の取り付け板104の前方には、シリンダ116の動きに応じて昇降可能な可動部118がボルトおよびナットで固定される。この可動部118は、軸受け120、および軸受け120内に収納されるかつシリンダ116の動きに合わせて昇降可能なシャフト122を有し、シャフト122の先端が押し付けローラ支持部114に連結される。また、可動部118の軸受け120の前方には、シリンダ116が配置される。シリンダ116内には、油圧や空気圧によって昇降可能なロッド124が収納されており、ロッド124の先端が押し付けローラ支持部114に連結される。そして、シリンダ116は押し付けローラ112をストリップ202に押さえ付けながら、押し付けローラ112は押し付けユニット84の移動に合わせて回転し、これによって、図18および図19(a)に示すように、押し付けローラ112により既設管200の内面との間に挟み込んだストリップ202が既設管200の内面に押し付けられて、ストリップ202が既設管200内面に沿わされることとなる。
【0079】
また、図20に示すように、ガイドフレーム14の内側には、スイベル保持フレーム126に保持されたスイベル128が配置され、製管ユニット16はスイベル128と上述した連結部材94で連結される。
【0080】
スイベル保持フレーム126は、鉄やSUSなどの金属からなり、上下方向に短く左右方向に長い矩形の枠状に形成され、スプリングバランサ130から延びるワイヤ132(図2参照)によって第1支柱部52に吊り下げられた状態で、第2支柱部54に装着される。具体的には、スイベル保持フレーム126は、上下方向に回動自在に設けられる複数(この実施例では4つ)のホイール134を有し、このホイール134を各第2支柱部54の外側に取り付けることにより、上下方向に移動可能に第2支柱部54に装着される。
【0081】
また、図20および図21に示すように、スイベル128は、矩形の板状に形成される台座136、および台座136に設けられた大きさの異なる2つの中空管138、140を含み、小さい方の中空管138は固定部として台座136と接合する。大きい方の中空管140は小さい方の中空管138の外側に嵌まり、回転部として周方向に回転する。回転部140は連結部材94の他端に接続され、したがって、製管ユニット16(のガイドユニット80)の移動に合わせて回転部140は固定部138を中心に回転する。台座136には、左右方向に回動自在に設けられた複数(この実施例では4つ)のホイール142が設けられ、このホイール142をスイベル保持フレーム126の内側に取り付けることにより、スイベル128は左右方向に移動可能にスイベル保持フレーム126に装着される。
【0082】
すなわち、製管ユニット16がガイドフレーム14上を移動するに伴い、連結部材94に接続されたスイベル128の回転部140が回転する。そして、製管ユニット16の移動に合わせて連結部材94にスイベル128が引っ張られると、スイベル保持フレーム126が上下方向に移動(変位)し、かつそのスイベル保持フレーム126内をスイベル128が左右方向に移動(変位)することにより、スイベル128は適切な位置に移動することとなる。
【0083】
また、スイベル128の回転部140の側壁には、空気圧や油圧などの供給ラインが接続され、ここからその供給ラインが、ガイドフレーム14上を移動する製管ユニット16の押し込みユニット82および嵌合ユニット84のシリンダ102,116に接続される。ただし、図面の簡素化のため、供給ラインの図示を省略していることに留意されたい。
【0084】
図1、図2、図18、図19および図22を参照して、このようなライニング装置10を用いて、断面矩形の既設管200内にライニング管206を製管し、そのライニング管206により既設管200の内面をライニングする方法を以下に示す。
【0085】
先ず、図22に示すように、既設管200の角部208にパンチングメタルやエキスパンドメタルなどのスペーサ228を設ける。そして、ガイドフレーム14の前面が進行方向に向くようにライニング装置10を設置し、進行方向に作業員を配置する。
【0086】
続いて、ストリップ202およびジョイナ204をライニング装置10の進行方向前方からライニング装置10側へ引き寄せて、ストリップ202およびジョイナ204を作業員の手作業によって螺旋状に巻回して、既設管200の内面に所定距離分(たとえば、1〜3周程度)のライニング管206を製管する。それから、既設管200の角部208において、コーナ押さえユニット56のコーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付けて、ライニング管206をスペーサ228に密着させるようにするとともに、ライニング管206の前方端において、ライニング装置10の押し付けユニット84および嵌合ユニット82を所定の製管位置に配置する。具体的には、押し付けローラ112が既設管200内面との間にストリップ202を挟み込むように押し付けユニット84を配置するとともに、嵌合ローラ98がストリップ202の幅方向側縁と、これに隣接するストリップ202の幅方向側縁(すなわち、製管された後のライニング管206の前方端縁)とに跨ってかつジョイナ204を既設管200内面との間に挟み込むように嵌合ユニット82を配置する。
【0087】
次に、作業員を車体18上の椅子24に移動させて、ライニング装置10を作動させる。具体的には、走行ユニット12の駆動モータ22を作動させて、ライニング装置10を前方に進行させるとともに、チェーン駆動ユニット46のモータ48を駆動させて、製管ユニット16にガイドフレーム14上を移動させる。
【0088】
すると、製管ユニット16は既設管200の断面形状に沿った形状のガイドフレーム14上を所定の速度で移動し、かつ、ガイドフレーム14は走行ユニット12により前方(進行方向)に移動することにより、ストリップ202が螺旋状に巻回されて管状体(ライニング管)206に製管される。
【0089】
具体的には、製管ユニット16の移動に合わせて押し付けユニット84の押し付けローラ112が回転し、図18および図19(a)に示すように、押し付けローラ112によりストリップ202が既設管200内面に対して押し付けられて、ストリップ202が既設管200内面に沿わされる。このとき、シリンダ116により適切な押圧力を得た押し付けローラ112が既設管200内面との間にストリップ202を挟み込んで既設管200内面に押し付けるので、ストリップ202は既設管200の内面に密着して配置されることとなる。そして、ストリップ202は、既設管200内面へ押し付けられることによって生じる引き出し力によってライニング装置10の進行方向前方から引き寄せられる。すなわち、ライニング装置10に新たに供給されるストリップ202は、押し付けローラ112と既設管200内面との間に自然に位置決めされて、順次、押し付けローラ112により既設管200内面に押し付けられる。
【0090】
一方、製管ユニット16の移動方向において押し付けユニット82よりも後方に位置する嵌合ユニット84の嵌合ローラ98も、製管ユニット16の移動に合わせて回転し、図18および図19(b)に示すように、嵌合ローラ98によりジョイナ204がストリップ202に押し付けられて、押し付けローラ112によって既設管200内面に押し付けられたストリップ200の幅方向端縁と、これに隣接するストリップ202の幅方向側縁(すなわち、製管された後のライニング管206の前方端縁)とにジョイナ204が嵌合される。このとき、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付けた状態で、シリンダ102により適切な押圧力を得た嵌合ローラ98が、押し付けローラ112によって既設管200内面に沿わされたストリップ202とライニング管206とにジョイナ204を嵌合させるので、ストリップ202およびジョイナ204は既設管200の内面に密着して製管されることとなる。そして、ジョイナ204は、ストリップ202へ嵌合されることによって生じる引き出し力によってライニング装置10の進行方向前方から引き寄せられる。すなわち、ライニング装置10に新たに供給されるジョイナ204は、嵌合ローラ98と既設管200内面との間であってかつストリップ202とライニング管206とに跨る位置に自然に位置決めされて、順次、嵌合ローラ98によりストリップ202に嵌合される。
【0091】
このようにして、既設管200の更生部分の全体をライニング管206によりライニングすると、最後に既設管200の内面とスペーサ228との間のスペースに充填用ホース(図示せず)を挿入し、既設管200の内面とライニング管206との間にコンクリートやモルタルなどの充填材を充填し、作業を終了する。
【0092】
このように、この実施例では、コーナ押さえユニット58が、既設管200の角部208においてライニング管206を押さえ付けた状態で、製管ユニット16がライニング管206にストリップ202およびジョイナ204を製管するため、たとえ既設管200の角部208において製管後のストリップ202が自身の復元力によって内側(すなわち、既設管200の中心側)に浮き上がったとしても、その浮き上がりの影響をコーナ押さえユニット58によって抑えた状態で、ライニング管206にストリップ202およびジョイナ204を製管することが可能になる。
【0093】
すなわち、この実施例によれば、既設管200の角部208におけるストリップ202の浮き上がりの影響が蓄積することを回避できるので、ライニング管206が縮径してしまうことがなく、既設管200内面に密着させた(すなわち、部材を張った)状態のライニング管206にストリップ202およびジョイナ204を製管することが可能になる。したがって、円形管だけでなく矩形や馬蹄形など非円形の既設管200に対しても、ライニング管206を既設管200の内面に密着させて、ライニングによる断面縮小率を小さくすることができ、延いては、ライニング管206の排水能力の低下を防止することができる。
【0094】
しかも、この実施例においては、既設管200が4つの角部208を有する矩形管であり、その各角部208においてコーナ押さえユニット58がライニング管206を押さえ付けているので、ライニング装置10が既設管200に沿って直進できるように、ライニング装置10の姿勢を制御できる。
【0095】
また、この実施例では、ライニング管206の軸方向に回転自在のコーナ押さえローラ66によってライニング管206を押さえ付けるようにしているので、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付ける際に、その押さえ付ける力の反力によってライニング装置10(の走行ユニット12)の移動が制限されることがない。しかも、このコーナ押さえローラ66は既設管200の角部208の内面に適合する外形を有しているので、ライニング管206を押さえ付けて既設管200の角部208の内面に密着させても、それによってライニング管206の形状が変形してしまうことがなく、またライニング装置10の姿勢が変化してしまうこともない。
【0096】
さらに、この実施例では、コーナ押さえローラ66のライニング管206への押圧力がシリンダ62によって調整されるので、コーナ押さえローラ66は常時、適切な押圧力をもってライニング管206を押さえ付けて、ライニング管206を既設管200の内面に密着させることが可能である。
【0097】
また、この実施例では、コーナ押さえローラ66とシリンダ62とがリンク機構64によって連結するようにしたため、シリンダ62の伸縮と、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえる動きとを連動させつつ、リンク機構64のアーム72の長さに応じた距離だけコーナ押さえローラ66を前方に突き出して配置することができるようになる。このため、コーナ押さえローラ66を製管ユニット16の後方の近傍に配置することにより、製管ユニット16がストリップ202にジョイナ204を押し付けて嵌合させる際に生じる引っ張り力等によってライニング管206が変形や位置ずれを起こすことを回避できるようになる。したがって、ライニング管206にストリップ202およびジョイナ204を製管する作業が容易になり、施工効率を向上させることができる。
【0098】
さらにまた、この実施例では、コーナ押さえローラ支持部68がコーナ押さえローラ66の配置角度を変更できる首振り機構を具備している。このため、ライニング装置10が多少動いてずれても、コーナ押さえローラ66によってライニング管206を押さえ付けることが可能である。
【0099】
また、この実施例では、走行ユニット12の前方に角度可変部28を介してガイドフレーム14を取り付けるようにしたため、走行ユニット12の車体18に対するガイドフレーム14の設置角度を自由に調整することが可能である。したがって、施工時に作業者に緊急避難の必要性が生じた場合にも、ガイドフレーム14を前方側に傾ける(倒す)ことによって、速やかにライニング装置10の前方に退避することが可能である。
【0100】
さらにまた、この実施例では、非円形の既設管200の角部208にスペーサ228を設けるようにした。このため、既設管200の角部208において、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付けるときに、スペーサ228がライニング管206を背後から支えることにより、ライニング管206を押さえ付けることが容易になる。
【0101】
なお、上述の実施例では、コーナ押さえユニット58のコーナ押さえ手段はコーナ押さえローラ66であり、コーナ押さえローラ66のライニング管206への押圧力をシリンダ62によって調整することにより、コーナ押さえローラ66は適切な押圧力をもってライニング管206を押さえ付けたが、これに限定される必要はない。
【0102】
たとえば、コーナ押さえ手段は、既設管200の角部208において、ライニング管206を押さえ付けておくことができるのであれば、特にコーナ押さえローラ66に限定される必要はない。
【0103】
また、コーナ押さえローラ66は、ライニング管206の内面に適合する外形を有しており、上述の実施例では、軸方向の中央部がやや膨れた略円筒形状、所謂樽形状に形成されたが、ライニング管206の軸方向に回転自在であって、しかもライニング管206を適切に押さえ付けておくことができるのであれば、特にコーナ押さえローラ66がライニング管206の内面に適合する外形を有している必要はない。一例を挙げると、コーナ押さえローラ66をライニング管206の軸方向に回転自在のタイヤ状に形成してもよいし、球状に形成してもよい。
【0104】
さらにまた、必ずしもコーナ押さえローラ66のライニング管206への押圧力をシリンダ62によって調整する必要もない。たとえば、たとえばコーナ押さえローラ66の外周面を被覆した弾性材の形状変化によって対応させるようにしてもよい。
【0105】
さらに、上述の実施例では、コーナ押さえローラ66とシリンダ62とをリンク機構64によって連結した。しかしながら、リンク機構64は、あくまでシリンダ62の伸縮と、コーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付ける動きとを連動させつつ、コーナ押さえローラ66を前方に突き出して配置するために設けたものであるので、これに限定される必要はなく、シリンダ62のロッド70の先端に直接コーナ押さえローラ支持部68を接続するようにしてもよい。
【0106】
さらにまた、上述の実施例では、走行ユニット12の車体18の上面に角度可変部28が設けられ、この角度可変部28を介して、走行ユニット12の前方にガイドフレーム14が取り付けられたが、これに限定される必要はない。
【0107】
たとえば、図示は省略するが、ガイドフレーム14の下部の直線部38bに、直線部38bと垂直かつ後方側に延びる取付ブラケットを設けて、この取り付けブラケットを走行ユニット12の車体18の上面に直動ベアリングを介して連結するようにしてもよい。このようにすれば、取り付けブラケットを摺動軸としてガイドフレーム14が前方および後方に摺動(スライド)できるようになるので、ライニング装置10全体を常に移動させていなくても一定距離の製管が可能になる。したがって、施工効率が向上される。
【0108】
また、上述の実施例では、既設管200の角部208にスペーサ228を設けるようにしたが、角部208においてコーナ押さえユニット58のコーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付けるための十分な反力を得られ、既設管200内面に密着させた(すなわち、部材を張った)状態のライニング管206にストリップ202およびジョイナ204を製管することができる場合には、必ずしも既設管200の角部208にスペーサ228を設ける必要はない。
【0109】
さらに、上述の実施例では、ライニング装置10を断面矩形の既設管200に適用したが、これに限定される必要はなく、角部を有する非円形管であれば、断面馬蹄形状の既設管や、断面多角形の既設管に適用するようにしてもよい。なお、図23に示すような断面馬蹄形状の既設管200に適用する場合には、コーナ押さえユニット58がライニング管206を押さえ付けるための十分な反力が得られない2つの角部208にスペーサ228を設ければよい。ただし、この場合も上記と同様に、角部208においてコーナ押さえユニット58のコーナ押さえローラ66がライニング管206を押さえ付けるための十分な反力を得られる場合には、既設管200の角部208に必ずしもスペーサ228を設ける必要はない。
【0110】
さらに、上述の実施例では、製管ユニット16の押し付けユニット84が、押し付けローラ112によってストリップ202を既設管200の内面に押し付けるとともに、製管ユニット16の嵌合ユニット82が、嵌合ローラ98によってジョイナ202をストリップ202に押さえ付けて嵌合させた。しかしながら、製管ユニット16の押し付けユニット84および嵌合ユニット82の構成は、単なる例示であり、この発明の本旨を変更しない範囲内において、製管ユニット16の構成は適宜変更可能である。すなわち、製管ユニット16は、ストリップ202を螺旋状に巻回し、ストリップ202の幅方向端縁にジョイナ204を嵌合させることによってライニング管206を製管するものであればよく、たとえば、特許文献1の送りユニットのように、ストリップ202を所定の鋭角で既設管200の内面に押し付けることによって、ストリップ202を螺旋状に巻回するようにしてもよい。
【0111】
さらにまた、上述の実施例では、ストリップ202を既設管200の内面に沿って螺旋状に巻回し、その幅方向側縁どうしをジョイナ204で接合することによってライニング管206を製管した。具体的には、ストリップ200の幅方向端縁と、これに隣接するストリップ202の幅方向側縁(すなわち、製管された後のライニング管206の前方端縁)とをジョイナ204を介して嵌合したが、これに限定される必要はなく、ストリップ202の幅方向側縁どうしを直接嵌合するようにしてもよい。たとえば、ストリップ202(の本体210)の一方側縁に嵌合用条溝を形成するとともに、そのストリップ202(の本体210)の他方側縁に嵌合用条溝と嵌合可能な嵌合用突条を形成し、互いに隣接するストリップ202の嵌合用条溝と嵌合用突条とを嵌合させてそれらを接合することによって、ライニング管206を形成してもよい。この場合には、コーナ押さえユニット58は、製管ユニット16がストリップ202の幅方向端縁どうしを嵌合する力に対抗してライニング管206を押さえ付けることとなる。
【0112】
さらに、上述の実施例では、ライニング装置10は走行ユニット12の駆動モータ22によりその進行方向に移動したが、走行ユニット12に駆動モータ22を設けず、作業員などがライニング装置10を引っ張って移動させるようにしてもよい。
【0113】
なお、上の説明では、ストリップ202が既設管200の内面に密着するものとして説明した。しかしながら、この明細書中における「既設管の内面に密着」とは、ストリップ202と既設管200の内面との間に全体として多少の間隔ができたり、あるいは実施例における既設管200の角部208のようにストリップ202がスペーサ228に密着された場合をも包含する意図であることに留意されたい。
【0114】
また、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0115】
10 …ライニング装置
12 …走行ユニット
14 …ガイドフレーム
16 …製管ユニット
28 …角度可変部
58 …コーナ押さえユニット
62 …シリンダ
64 …リンク機構
66 …コーナ押さえローラ
80 …ガイドユニット
82 …押し付けユニット
84 …嵌合ユニット
200 …既設管
202 …ストリップ
204 …ジョイナ
206 …ライニング管(管状体)
208 …角部
228 …スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角部を有する非円形管の既設管内において、長尺の帯状体を螺旋状に巻回して製管した管状体によって前記既設管の内面をライニングするライニング装置であって、
前記既設管の断面形状に沿うガイドフレーム、
前記ガイドフレーム上に移動可能に装着され、隣接する前記帯状体どうしを嵌合させる製管ユニット、および
進行方向において、前記製管ユニットよりも後方に設けられ、前記既設管の前記角部において前記管状体を押さえ付けるコーナ押さえユニットを備える、ライニング装置。
【請求項2】
前記既設管は4つの前記角部を有する矩形管であり、
前記コーナ押さえユニットは、前記既設管の各角部において前記管状体を継続的に押さえ付ける、請求項1記載のライニング装置。
【請求項3】
前記コーナ押さえユニットは、前記管状体の軸方向に回転自在のコーナ押さえローラを含み、このコーナ押さえローラによって前記管状体を押さえ付ける、請求項1または2記載のライニング装置。
【請求項4】
前記コーナ押さえローラは、前記既設管の前記角部の内面に適合する外形を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載のライニング装置。
【請求項5】
前記コーナ押さえユニットは、前記コーナ押さえローラの前記管状体への押圧力を調整するためのシリンダをさらに含む、請求項3または4記載のライニング装置。
【請求項6】
前記コーナ押さえユニットは、前記コーナ押さえローラと前記シリンダとを連結するリンク機構をさらに含む、請求項5記載のライニング装置。
【請求項7】
前記コーナ押さえユニットは、前記コーナ押さえローラの配置角度を所定の範囲内で変更可能な首振り機構をさらに含む、請求項3ないし6のいずれかに記載のライニング装置。
【請求項8】
前記角部にはスペーサが設けられ、
前記コーナ押さえユニットは、前記管状体を前記スペーサに密着するように押さえ付ける、請求項1ないし7のいずれかに記載のライニング装置。
【請求項9】
前記製管ユニットは、前記帯状体と、これに隣接する前記管状体とを接合用嵌合部材を介して嵌合させる、請求項1ない8のいずれかに記載のライニング装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のライニング装置を用いたライニング方法であって、
(a)ガイドフレームを既設管内に設置するステップ、
(b)前記既設管の角部においてコーナ押さえユニットによって管状体を押さえ付けるステップ、および
(c)前記コーナ押さえユニットによって前記管状体を押さえ付けた状態を保持したまま、前記ガイドフレーム上を移動する製管ユニットによって、帯状体とこれに隣接する管状体とを嵌合させるステップを含む、ライニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−245621(P2012−245621A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116525(P2011−116525)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【出願人】(000149206)株式会社大阪防水建設社 (44)
【出願人】(507157676)株式会社クボタ工建 (8)
【Fターム(参考)】