説明

ライブロック用構造体及び多孔質セメント硬化体

【課題】生物の成育に適したライブロックを効率的に生産すること。
【解決手段】所定量に計量した砂とセメントとを用意して、これらを混練器に投入し(ステップS101)、また、所定量に計量した水及び混和剤を前記セメントと砂との混合物へ投入する(ステップS102)。そして、砂、セメント、水及び混和剤の混合物を練り混ぜる(ステップS103)。前記混合物が十分に練り混ざったら、所望の形状(ライブロックの形状)に成形し(ステップS104)、成型物を水中で養生させる(ステップS105)。所定期間の養生が終了したら、成形体のアク抜きをして(ステップS106)、ライブロック用構造体が完成する(ステップS107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質のセメント、モルタルあるいはコンクリートに関し、さらに詳しくは、人工的にライブロックを生産することに適した多孔質のセメント、モルタルあるいはコンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
ライブロックとは、サンゴ礁の海から引き揚げられた自然の岩のことであり、窒素化合物等を分解するバクテリアが定着している。このため、海水魚の飼育等において、理想的な濾材として用いられている。特許文献1には、槽内に少なくとも1つのライブロックを設置し、ライブロック上に水生生物、草木及び藻類を繁殖させ、水生生物、草木及び藻類の浄化作用で水槽水の浄化を促進させる海水等利用水槽が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−262706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ライブロックは自然の岩であるため、自然保護の観点から採取が制限される傾向にある。このため、近年においては、人工的にライブロックを生産し、濾材として提供する試みが行われている。人工的にライブロックを生産する場合、例えば、ライブロック用の構造体を海中に所定期間浸漬して、生物を付着させてライブロックとする手法が考えられる。このような手法で人工的にライブロックを生産する場合、生物が定着してライブロックが完成するまでの期間をできる限り短くしたいという要請がある。
【0005】
また、人工的に生産したライブロックに子サンゴを移植してサンゴの養殖をしたり、サンゴ礁が失われた海域に人工的に生産したライブロックを配置してサンゴ礁を回復させたりする試みも提案され、実行されつつある。このためには多くのライブロックが必要となるので、効率的に、かつ窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育に適したライブロックを人工的に生産できることが望まれる。
【0006】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生物の成育に適したライブロックを効率的に生産することができるライブロック用構造体及び多孔質セメント硬化体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るライブロック用構造体は、セメントと水とを含むセメント混合物を水和硬化させてなるセメントの硬化体であり、セメントと、前記セメント混合物中に微細な気泡を混入させる空気連行剤と、前記セメント混合物中に発生する物質と反応して気体を発生させる起泡剤と、を含み、少なくとも、前記硬化体の内部に形成される空隙に生物を定着させることを特徴とする。
【0008】
このライブロック用構造体は、バクテリア類や藻類、あるいはサンゴ等の生物が定着したライブロックの生産に用いられるものである。そして、このライブロック用構造体は、少なくとも、セメントと空気連行剤と起泡剤と水とを混練した混合物を成型して製造される。これによって、このライブロック用構造体の内部には、直径数μm〜数百μmの連続した空隙が多数形成されるので、窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育に好ましい環境を作り出しやすくなる。このようなライブロック用構造体を海中に浸漬すれば、比較的短期間で窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育に好ましい環境が形成されるので、生物の成育に適したライブロックを効率的に生産することができる。また、このライブロック用構造体は、材料を計量し、混合した後に成形するのみで製造することができるので、品質のばらつきが少ないものを効率よく大量に製造することができる。
【0009】
次の本発明に係るライブロック用構造体のように、前記ライブロック用構造体において、前記硬化体の透水係数は5.0×10-2cm/秒以上5.0×10-1cm/秒以下とすることが好ましい。このようにすれば、窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育により好ましい環境とすることができるので、ライブロック用構造体への生物の定着を促進して、より効率的にライブロックを生産できる。
【0010】
次の本発明に係るライブロック用構造体のように、前記ライブロック用構造体において、前記起泡剤には、アルミニウム系の起泡剤を用い、前記セメント混合物中に発生する水酸化カルシウムと反応して水素を発生させることが好ましい。このようにすれば、混合物中の水酸化カルシウムと反応して、空気連行剤によってセメントと水とを含むセメント混合物中に混入される気泡よりも小さい水素の気泡が発生し、この気泡が空気連行剤によって混入される気泡の間を動くことにより、効率よく連続した空隙をライブロック用構造体内に形成することができる。
【0011】
次の本発明に係るライブロック用構造体のように、前記ライブロック用構造体において、前記水と前記セメントとの質量比は、30%以上40%以下とすることが好ましい。このようにすれば、ライブロック用構造体に適した透水係数を確保するとともに、ライブロック用構造体としての強度を確保することができる。
【0012】
次の本発明に係るライブロック用構造体のように、前記ライブロック用構造体において、前記セメントの質量に対する前記空気連行剤の質量の比は、0.1%以上0.3%以下であり、前記セメントの質量に対する前記起泡剤の質量の比は、0.5%以上1.5%以下であることが好ましい。このようにすれば、ライブロック用構造体に適した透水係数を確保するとともに、ライブロック用構造体としての強度を確保することができる。
【0013】
次の本発明に係る多孔質セメント硬化体は、セメントと水とを含むセメント混合物を水和硬化させてなるセメントの硬化体であり、セメントと、前記セメント混合物中に気泡を混入させる空気連行剤と、前記セメント混合物中に発生する物質と反応して気体を発生させる起泡剤と、を含むことを特徴とする。
【0014】
この多孔質セメント硬化体は、人工的にライブロックを生産する用途や、透水性が要求される構造物等に適用されるものであり、少なくとも、セメントと空気連行剤と起泡剤と水とを混練した混合物を成型して製造される。この多孔質セメント硬化体を、人工的にライブロックを生産する用途に用いると、この多孔質セメント硬化体の内部には、直径数μm〜数百μmの連続した空隙が多数形成されるので、窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育に好ましい環境を作り出しやすくなる。このような多孔質セメント硬化体を海中に浸漬すれば、比較的短期間で窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育に好ましい環境が形成されるので、生物の成育に適したライブロックを効率的に生産することができる。また、この多孔質セメント構造体は、材料を計量し、混合した後に成形することで製造することができるので、品質のばらつきが少ないものを効率よく製造することができる。
【0015】
次の本発明に係る多孔質セメント硬化体のように、前記多孔質セメント硬化体において、前記硬化体の透水係数は5.0×10-2cm/秒以上5.0×10-1cm/秒以下とすることが好ましい。このようにすれば、窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育により好ましい環境とすることができるので、ライブロック用構造体への生物の定着を促進して、より効率的にライブロックを生産できる。
【0016】
次の本発明に係る多孔質セメント硬化体のように、前記多孔質セメント硬化体において、前記起泡剤には、アルミニウム系の起泡剤を用い、前記セメント混合物中に発生する水酸化カルシウムと反応して水素を発生させることが好ましい。このようにすれば、混合物中の水酸化カルシウムと反応して、空気連行剤によってセメントと水とを含むセメント混合物中に混入される気泡よりも小さい水素の気泡が発生し、この気泡が空気連行剤によって混入される気泡の間を動くことにより、効率よく連続した空隙を形成することができる。
【0017】
次の本発明に係る多孔質セメント硬化体のように、前記多孔質セメント硬化体において、前記水と前記セメントとの質量比は、30%以上40%以下とすることが好ましい。このようにすれば、強度を確保しつつ、高い透水係数を確保することができる。
【0018】
次の本発明に係る多孔質セメント硬化体のように、多孔質セメント硬化体において、前記セメントの質量に対する前記空気連行剤の質量の比は、0.1%以上0.3%以下であり、前記セメントの質量に対する前記起泡剤の質量の比は、0.5%以上1.5%以下であることが好ましい。このようにすれば、強度を確保しつつ、高い透水係数を確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係るライブロック用構造体及び多孔質セメント構造体は、ライブロックを人工的に生産するにあたり、生物の成育に適したライブロックを効率的に生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0021】
なお、以下の実施形態において、「セメント混合物」、「セメント硬化体」とは、砂や石等の骨材の有無、骨材の大小、骨材の種類、減水剤やAE剤等の混和剤の有無、混和剤の種類等に関わらず、セメントを含む硬化前におけるセメントの混合物、硬化後におけるセメントの硬化体を総称する用語として使用する。また、本発明は、例えば、水質浄化用等に用いるライブロックや環境回復に用いられるライブロック、あるいは、サンゴを養殖するために用いるライブロックに好適であるが、本発明の適用対象はこれに限られるものではない。例えば、フィルタや透水性の舗装のように、透水性が求められる構造物等に対しても適用できる。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態は、少なくとも、セメントと空気連行剤と起泡剤と水とを混練した混合物を成型して、連続した空隙が形成される多孔質セメント硬化体やライブロック用構造体を製造する方法に関する。次においては、多孔質セメント硬化体を、人工的にライブロックを生産するために用いるライブロック用構造体として用いる例を説明する。
【0023】
図1−1は、実施形態1に係る多孔質セメント硬化体を示す全体図である。図1−2は、実施形態1に係る多孔質セメント硬化体の内部構造を示す模式図である。本実施形態に係る多孔質セメント硬化体1は、内部に連続した空隙2(図1−2、以下必要に応じて連続空隙2という)を含んでいる。連続した空隙とは、多孔質セメント硬化体1の異なる部分(本実施形態では、第1表面1Aと第2表面1Bであり、異なる表面)同士を連通する空隙をいう(図1−2参照)。これによって、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体1は、連続空隙2が連通する異なる二つの部分間で、透水性が向上する。
【0024】
本実施形態に係る多孔質セメント硬化体1を、例えば、ライブロックとして使用したり、サンゴの養殖に使用したりする場合には、連続空隙2の開口部から連続空隙2内へ酸素が供給されるので、連続空隙2内に生物や微生物が生息し、生態系が形成される。これによって、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体1は、ライブロックとして、あるいはサンゴの養殖用途として、好ましい環境を形成する。
【0025】
また、連続空隙2内に生物や微生物が生息させるためには、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体1の透水係数を5.0×10-2cm/秒以上5.0×10-1cm/秒以下の範囲とすることが好ましい。ここで、透水係数は、日本コンクリート工業協会「ポーラスコンクリートの透水試験方法」に規定する方法で測定したものである。多孔質セメント硬化体1を、このような範囲とすれば、連続空隙2内に生物や微生物を生息させて、効果的に生態系を形成することができる。次に、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体1の製造方法を説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体の製造方法の手順を示すフローチャートである。図3は、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体をライブロック用の構造体として成形した例を示す説明図である。本実施形態に係る多孔質セメント硬化体を製造するにあたって、まず、所定量に計量した骨材(本実施形態では砂)とセメントとを用意して、これらを混練器に投入する(ステップS101)。なお、骨材は増量を目的として用いるものであり、必要に応じて用いればよい。また、骨材は砂に限定されるものではなく、例えば、石やスラグを用いてもよい。なお、ライブロック用構造体として用いる場合には、海砂を用いることもできる。
【0027】
次に、所定量に計量した水及び混和剤を前記セメントと砂との混合物へ投入し(ステップS102)、セメント混合物を生成する。本実施形態においては、混和剤として、少なくとも空気連行剤と起泡剤とを用いる。ここで、起泡剤としては、例えば、アルミニウム系の起泡剤を用いる。なお、本実施形態において、起泡剤とは、セメント混合物中へ気泡を発生させることができる混和剤であり、化学反応により気体を発生させることによりセメント混合物中へ気泡を発生させる機構や、物理的にセメント混合物中へ気泡を発生させる機構等、気泡を発生させる機構は問わない。また、混和剤の投入においては、空気連行剤と起泡剤の他に減水剤を添加してもよい。減水剤としては、例えば、AE(Air Entraining Agent)減水剤(空気連行性を持ちセメント粒子を分散させるもの)や、高性能AE減水剤を用いることができる。
【0028】
空気連行剤により、前記セメント混合物中に直径20μm〜30μm程度の微細な独立気泡が発生する。ここで、独立気泡とは、連続空隙に対する概念で、多孔質セメント硬化体1の内部で閉じた空間を形成するものであり、多孔質セメント硬化体1の異なる部分同士を連通しない空間をいう。
【0029】
セメントと水とが反応すると、セメントと水との混合物(セメント混合物)中には水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が発生するが、この水酸化カルシウムと起泡剤中のアルミニウムとが反応して水素(H2)を発生する。水素は軽いため、セメント中に発生した前記独立気泡の間を上方(重力の作用方向とは反対方向)へ動き、その過程で、空気連行剤によって発生した前記独立気泡同士をつなげて連続空隙2(図1−2参照)を形成すると考えられる。このため、この実施形態に係るライブロック用構造体や多孔質セメント硬化体では、セメント、水及び混和剤のみの状態(骨材を含まない状態)でも、連続空隙2を形成することができる。
【0030】
水及び混和剤を前記セメントと砂との混合物へ投入したら、砂、セメント、水及び混和剤の混合物を練り混ぜる(ステップS103)。前記混合物が十分に練り混ざったら、所望の形状(ライブロックの形状)に成形し(ステップS104)、成型物を水中で養生させる(ステップS105)。なお、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体をライブロック用途やサンゴの養殖用途に用いる場合には、前記成形対を海水中で養生させてもよい。所定期間の水中での養生が終了したら、成形体のアク抜きをして(ステップS106)、例えば、図3に示すような、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体で構成したライブロック用の構造体(ライブロック用構造体)5が完成する(ステップS107)。このライブロック用構造体5は、多数の微細な連続空隙が内部に形成されており、ライブロックやサンゴの養殖に好適である。
【0031】
本実施形態に係る多孔質セメント硬化体は、ライブロックやサンゴ等の養殖の他、水や海水の浄化、フィルタや透水性の舗装等にも好適に用いることができる。本実施形態に係る多孔質セメント硬化体をサンゴの養殖に用いる場合、直径が数μm〜数百μm程度の微細な孔が表面に開口しているので、表面へ藻類が根を張りにくくなると考えられる。その結果、藻類が構造体の表面へ生い茂ることによるサンゴの光合成阻害を抑制することができるという効果も期待できる。さらに、材料を計量し、混合した後に成形するのみで製造できるので、品質のばらつきが少ないライブロック用構造体や多孔質セメント構造体を効率よく製造することができる。
【0032】
以上、本実施形態では、少なくとも、セメントと空気連行剤と起泡剤と水とを混練した混合物を成型して、ライブロック用構造体や多孔質セメント硬化体を得る。このようにして得られたライブロック用構造体や多孔質セメント硬化体は、直径が数十μmの連続した空隙が内部に形成される。このような連続した空隙は、生物や微生物の生息に好適なので、本実施形態に係るライブロック用構造体を用いれば、生物の成育に適したライブロックを効率よく生産できる。また、本実施形態に係る多孔質セメント硬化体やライブロック用構造体は、子サンゴを移植したり、海中でサンゴの幼生を活着させたりして、サンゴを養殖することにも好適に用いることができる。なお、本実施形態の構成は、以下の実施形態においても適宜適用することができる。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1に係る、連続空隙を有する多孔質セメント硬化体をライブロックに適用した例である。ライブロックは、水槽内の浄化に用いる比較的小さいものがよく知られているが、例えば、海中環境を回復させるような用途に用いられるライブロックは、寸法、質量ともに大きくなる。実施形態2は、このような海中環境の回復に用いられる、寸法、質量ともに大きいライブロックに関するものである。
【0034】
実施形態2は、例えば、海中環境の回復に用いられる、寸法、質量ともに大きいライブロックの取り扱いを容易にするためのものであり、次の点に特徴がある。すなわち、実施形態1に係る多孔質セメント硬化体で構成される生物定着層の内部に中空部を形成し、この中空部に浮力発生手段を備える。そして、養殖海域において所定期間養生させて、生物定着層の多孔質で構成される部分に生物を付着させる。その後、設置場所へ移動させて、設置時には、浮力発生手段の浮力を減少させる。
【0035】
図4は、実施形態2に係るライブロック用構造体の構成を示す断面図である。図5は、実施形態2に係るライブロック用構造体を用いて生産したライブロックを海底に設置した状態を示す説明図である。なお、図4、図5において、ライブロックは断面図で示してある。本実施形態に係るライブロック用構造体10は、実施形態1に係る、連続空隙を有する多孔質セメント硬化体で構成される生物定着層12と、その内部に設けられる浮力発生手段である中空容器13とを含んで構成される。
【0036】
ライブロック用構造体10を構成する生物定着層12は、窒素化合物等を分解するバクテリア類、石灰藻やサンゴ等が定着する部分である。本実施形態に係るライブロック用構造体10は、上記実施形態1で説明した、連続空隙2を有する多孔質セメント硬化体1(図1−1、図1−2等参照)で構成する。これによって、生物定着層12の透水性が向上してバクテリア類や石灰藻等の定着を促進する。また、多孔質セメント硬化体により、表面積を大きくすることができるので、バクテリア類や石灰藻等の定着量が増加する。これによって、バクテリア類や石灰藻等が豊富なライブロックを、比較的短期間で生産することができる。
【0037】
ライブロック用構造体10には、自己を識別できる個体識別手段として、IC(Integrated Circuit)タグ17が取り付けられる。ICタグ17は、防水ケース内に封入したり、防水シールをしたりして、防水対策が施されてから、ライブロック用構造体10に取り付けられる。ライブロック用構造体10を養殖海域で養生させ、図5に示すように、バクテリア類、石灰藻やサンゴC等が定着すると、自然の岩礁と見分けがつかなくなるおそれがある。そこで、ICタグ17により、バクテリア類、石灰藻やサンゴC等が定着することにより完成したライブロック10Lを、人工の構造物として識別する。また、ICタグ17にライブロック用構造体10の属性(定着させるサンゴCの種類や、養生開始時期、養生海域の情報等)を記憶させておくことができる。これによって、多数のライブロック用構造体10の管理が容易になる。また、水槽撤去等で不要になったライブロックのリサイクルにも活用できる。
【0038】
生物定着層12の内部は、中空部12Rが形成されている。中空部12Rには、浮力発生手段である中空容器13が取り付けられている。中空容器13は、生物定着層12と結合されて一体化されている。ここでいう「一体化」とは、生物定着層12を破壊することなしには生物定着層12と中空容器13とを分離できないことをいう。
【0039】
中空容器13は、連通孔14、15に栓16を取り付けることで密閉構造となり、水中で浮力を発生する。中空容器13は、例えば、鉄やFRP(Fiber Reinforced Plastic:繊維強化型プラスチック)で構成される。本実施形態において、中空容器13は、ライブロック用構造体10の底部10Bに相当する部分に連通孔15が設けられており、後述するライブロック10Lの設置時において、海水が中空容器13の内部13Rに流入しやすくしてある。このライブロック用構造体10は、生物定着層12の内部に中空容器13を備えるため、この中空容器13によって生物定着層12を補強できるという利点がある。
【0040】
ライブロック用構造体10を設置場所に設置する前は、連通孔14、15に栓16を取り付けて中空容器13を密封構造とし、水中において浮力を発生させる。この場合、浮力調整のため、所定量の水を中空容器13内に注入しておいてもよい。ライブロック用構造体10がライブロック10L(図5)として完成した後、設置場所に設置する場合には、中空容器13に浮力を発生させたまま設置場所まで曳航する。そして、設置時に栓16を取り外すことで、連通孔14、15から海水Wが中空容器13内に流入して、中空容器13が海水Wで満たされる。これによって、中空容器13の浮力が失われ、中空容器13を内部に備えるライブロック10Lは、設置場所の海底Lへ沈降して設置される。
【0041】
このライブロック用構造体10は、内部に浮力発生手段である中空容器13を備え、養殖海域への曳航中や養生中、あるいは設置場所までの曳航中には、中空容器13に浮力を発生させる。これによって、海水によってライブロック用構造体10や、これにバクテリアやサンゴC等が定着したライブロック10Lの重量の一部を海水が負担する。その結果、ライブロック用構造体10やこれにバクテリア等が定着したライブロック10Lを曳航するときの負荷を低減できる。また、養殖海域でライブロック用構造体10を養生させる場合、ライブロック用構造体10を支持するための力も低減できるので、ライブロックを養生させる施設において、ライブロック用構造体10の支持構造を簡略化したり、当該施設の耐久性低下を抑制したりすることができる。本実施形態に係る構成は、ライブロック用構造体10やライブロック10Lの寸法や質量が大きくなるほど好ましい。
【0042】
以上、本実施形態及びその変形例に係るライブロック用構造体は、連続空隙を有する多孔質セメント硬化体で生物を定着させる生物定着層を構成するとともに、前記生物定着層の内部に浮力発生手段を設け、これを用いてライブロックを生産する。これによって、浮力発生手段の浮力を利用することができるので、ライブロックを設置する場所まで移動させる際の取り扱いが容易になる。また、ライブロックを設置する際には、浮力発生手段の浮力を減少させればよいので、ライブロックの設置作業が容易になる。
【0043】
(実施形態3)
実施形態3では、実施形態1で説明したライブロック用構造体5(図3参照)や、実施形態2に係るライブロック用構造体10(図4、図5参照)を用いてライブロックを生産するためのライブロック生産設備及びライブロックの生産方法を説明する。ここで、ライブロックは、ライブロック用構造体に生物が定着したものをいう。
【0044】
図6は、実施形態3に係るライブロック生産設備を示す平面図である。図7、図8は、実施形態3に係るライブロック生産設備を示す側面図である。このライブロック生産設備30は、実施形態1で説明したライブロック用構造体5(図3等参照)が取り付けられた浮体構造物20を、ライブロックの養生に適した海域(養生海域)Sに浮かべる。これにより、ライブロック用構造体5に、バクテリアや石灰藻やサンゴ等を定着させ、ライブロックを生産する。
【0045】
なお、浮体構造物20に、実施形態2に係る、生物を定着させる生物定着層の内部に浮力発生手段を設けたライブロック用構造体10(図4、図5参照)を取り付けてもよい。このようなライブロック用構造体10を用いれば、ライブロック用構造体10の浮力発生手段が発生する浮力を利用することができるので、ライブロック用構造体10を浮体構造物20に取り付ける作業や、生物の定着状態を確認するためにライブロック用構造体10を引き上げる場合の負担が軽減できる。また、ライブロック用構造体10の浮力発生手段が浮力を発生するため、浮体構造物20が負担する荷重も低減できる。その結果、より多くのライブロックを養生、生産することが可能となる。
【0046】
本実施形態に係るライブロック生産設備30は、複数の浮力体を組み合わせて浮体構造物20が構成されるが、浮体構造物20を構成する方式や浮体構造物20の形状は、図6〜8に開示したものに限定されるものではない。浮体構造物20を構成する浮力体は、例えば、複数の金属板を溶接等で接合した、中空構造物を用いることができる。浮体構造物20は、アンカーにより所定の海域に係留してもよいし、陸地に係留してもよい。
【0047】
ライブロック用構造体5は、ライブロック取付手段によって浮体構造物20に取り付けられて、所定の海域に浸漬される。説明の便宜上、本実施形態に係るライブロック生産設備30は、2種類のライブロック取付手段を備えるが、実際上は2種類のライブロック取付手段のうちいずれか一方を用いることになる。
【0048】
ライブロック取付手段としては、例えば、図7に示すような係留索24を用いて、浮体構造物20にライブロック用構造体10を繋留することができる。係留索24は、例えば、ロープや耐食性の高いワイヤ等を用いる。また、ライブロック取付手段として、例えば図8に示すようなライブロック支持具21を用いてもよい。ライブロック支持具21は、板状のライブロック取付部23と、ライブロック取付部23と浮体構造物20とを連結する軸22とで構成される。
【0049】
(変形例)
実施形態3の変形例は、実施形態1で説明した多孔質セメント硬化体1(図1−1、図1−2参照)を外周部に備えたサンゴ等を育成するための構造物(以下サンゴ等育成用構造物)に関するものである。実施形態3の変形例に係るサンゴ等育成用構造物は、浮き桟橋のようなコンクリート製の浮体構造物であり、外周部分かつ少なくとも水(海水)に接する部分を実施形態1で説明した多孔質セメント硬化体1で被覆して、表面部分に生態系を構成することにより、サンゴ等の生育に適した環境を作り出したりする。
【0050】
図9は、実施形態3の変形例に係るサンゴ等育成用構造物の構造を示す断面図である。図10は、実施形態3の変形例に係るサンゴ等育成用構造物に設けたサンゴの養殖部を示す説明図である。コンクリートで構成された浮桟橋や防波堤等の沿岸構造物の表面には、サンゴや海草、貝類等が付着して繁殖することが知られている。特にサンゴの成育にとっては、水深が比較的浅く、太陽光がよく差し込む海域が適していることが分かっている。そこで、本実施形態においては、コンクリートが海水と接する部分に打設された浮力体にサンゴを養殖する部分を設けて、サンゴを養殖する。
【0051】
このサンゴ等育成用構造物40は、浮力を発生して海上に浮かぶ浮力体である。なお、サンゴ等育成用構造物40は、浮力体に限られるものではない。サンゴ等育成用構造物40は、鋼板40SPをリブ40SRで補強して基本骨格を構成し、その外面に複数のジベル40SE、鉄筋40SCを配置した後、コンクリートを打設してコンクリート層42を形成して、浮力体として構成される。また、コンクリート層42の表面には、少なくとも海水に接する部分に、実施形態1で説明した多孔質セメント硬化体1(図1−1等参照)が打設されて、生物定着層43が形成される。ここで、サンゴ等育成用構造物40は、サンゴの養殖用に用意して岸壁や海底に係留してもよいが、例えば、サンゴ等育成用構造物40を浮桟橋等として用いてもよい。あるいは、浮桟橋等を利用して、海水と接する側面にサンゴを養殖する部分を設けてもよい。
【0052】
ここで、サンゴ等育成用構造物40を移動可能な浮力体として構成すると、海水温度が異常に上昇した場合には、浮体構造物ごと成育中の子サンゴを適正な水温の海域に移動させることができる。また、台風等による暴風時には、浮体構造物ごと生育中の子サンゴを港内に移動できるので、生育中における子サンゴの破損等を最小限に抑えることができる。
【0053】
図10に示すように、サンゴ等育成用構造物40に設けられる生物定着層43には、移植孔43fが所定の間隔で開口している。これによって、サンゴを成育させる部分(サンゴ育成部)48を形成する。この移植孔43fに、子サンゴCを、支持棒44を介して移植する。そして、養殖に適した海域の海中で、前記子サンゴCを所定の期間成育させる。
【0054】
生物定着層43には、サンゴも付着しやすいが、藻類や貝類も付着しやすい。実施形態1で説明したように、生物定着層43を構成する多孔質セメント硬化体は、藻類の根が張りにくいと予測されるため、藻類が構造体の表面へ生い茂ることによるサンゴの光合成阻害を抑制することができるという効果も期待できる。また、サンゴ育成部48の少なくとも移植孔43fの周辺に、例えば、フッ素樹脂のような、硬質かつ表面が滑らかな被覆層を設ける。これによって、子サンゴCの周囲に藻類や貝類が付着することを抑制して、子サンゴCの成育が妨げられるおそれを低減してもよい。
【0055】
以上、本実施形態及びその変形例では、浮体構造物を用いることにより、海水温度が異常に上昇した場合には、浮体構造物ごと養生中のライブロック用構造体を適正な水温の海域に移動させることができる。また、台風等による暴風時には、浮体構造物ごと養生中のライブロック用構造体を港内に移動できるので、養生中のライブロック用構造体の破損等を最小限に抑えることができる。そして、ライブロック用構造体の浮力発生手段が浮力を発生するため、浮体構造物ごとライブロック用構造体を移動させるときの負荷を低減できる。
【0056】
(実施形態4)
実施形態4は、実施形態1で説明した多孔質セメント硬化体で構成したライブロック用構造体5(図3参照)を海中に保持して、サンゴ等を育成し、サンゴ礁等を造礁するための構造物(以下造礁用構造物)に関するものである。
【0057】
図11は、実施形態4に係る造礁用構造物の構成を示す正面図である。図12は、実施形態4に係る造礁用構造物の構成を示す平面図である。この造礁用構造物50は、一対の支持体52を補強部材51及び底側連結部材53で連結した構造であり、コンクリート等で構成された一対の支持体52の間に、保持手段である載置網54を設けてある。そして、海底Lに設置されて、例えば、サンゴ礁の造礁に用いられる。
【0058】
この載置網54上に、多孔質セメント硬化体で構成したライブロック用構造体5(図3参照)を載置する。また、一対の支持体52と載置網54と底側連結部材53とで囲まれる空間内には、前記ライブロック用構造体5が配置されて、造礁用構造物50の錘として利用される。ライブロック用構造体5には、海中でサンゴの幼生を着床させてもよいし、あるいは予めに子サンゴを移植したライブロック用構造体5を載置網54によって海中に保持してサンゴを養殖してもよい。
【0059】
支持体52は、多孔質コンクリートを鉄筋等で強化してもよいし、鉄板にセラミック粉末や多孔質コンクリートを塗布して構成してもよい。また、底側連結部材53は、例えば鉄骨をトラス状に組み合わせて構成してもよいし、また、支持体52と一体で構成してもよい。なお、支持体52の表面には、実施形態1で説明した多孔質セメント硬化体の生物定着層52Sを形成してもよい。このようにすれば、支持体52の表面でもサンゴを成育させることができる。
【実施例】
【0060】
実施形態1に係る多孔質セメント硬化体の製造方法により、実施形態1に係る多孔質セメント硬化体を2種類試作した(製造例1、製造例2)。また、比較例として、空気連行剤及び起泡剤を加えていないもの(比較例1)、空気連行剤及び起泡剤を加え、かつ水と砂利(骨材)とセメントとで形成したもの(比較例2)、水と骨材(砂利)とセメントとで形成したもの(比較例3)を試作した。比較例3は、いわゆる骨材同士に空間が形成されるように骨材同士をセメントで接合した、これまでのポーラスコンクリートである。表1に、本実施例に係る多孔質セメント硬化体の製造に使用した材料を示す。
【0061】
セメントは普通セメントを用い、減水剤はレオビルドSP8SBs(商品名、ポゾリス物産扱い)を用い、空気連行剤はファインフォーム707(商品名、ポゾリス物産扱い)を用い、起泡剤はポゾリスGF−630(商品名、ポゾリス物産扱い)を用いた。これらの配合を表2に示す。表2に示す配合は、多孔質セメント硬化体1m3を製造する場合の量であり、1m3中の質量(kg/m3)で示してある。セメントは記号CEで、砂は記号SAで、減水剤は記号SPで、空気連行剤は記号FFで、起泡剤は記号GFで示す。
【0062】
本発明は、1m3中における水の質量を200kg〜300kgとし、1m3中における砂の質量を750kg〜850kgとした場合、水対セメントの質量比が30%未満では、練り上がりの状態が固くなってしまい、気泡、すなわちアルミニウムにより発生した水素ガスの動きが悪くなり、連続空隙の形成が困難になってしまう。また、水対セメントの質量比が40%を超えると、ライブロックの素材としての強度(圧縮強度)が弱くなってしまい、ライブロック自体の成形が困難になってしまう。したがって、水対セメントの質量比は、30%以上40%以下が好ましい。この場合、セメントに対する空気連行剤の質量比は、0.1%以上0.3%以下、セメントに対する起泡剤(アルミニウム系)の質量比は0.5%以上〜1.5%以下とすることが好ましい。
【0063】
ここで、通常、水対セメントの質量比が55%程度である。本発明では、水対セメントの質量比は、30%以上40%以下とすることにより、後述するように、ライブロック用構造体に適した高い透水係数を確保するとともに、ライブロック用構造体の素材としての強度を確保することができる。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
製造例1及び製造例2に係る多孔質セメント硬化体の断面を観察した結果、異なる二つの表面を連通する多数の連続空隙が形成されていることが確認された。また、表2の結果から、製造例1では、透水係数が0.24cm/秒、圧縮強度が1.80MPaの多孔質セメント硬化体が得られた。製造例2では、透水係数が0.11cm/秒、圧縮強度が1.90MPaの多孔質セメント硬化体が得られた。本発明に係る製造例1及び製造例2は、比較例1(従来建築用途に用いられるモルタル)、比較例2に対して大きな圧縮強度の低下は見られない。
【0067】
また、製造例1及び製造例2の透水係数は、比較例1の透水係数の1/2程度である。この結果から、比較例1と比べて、製造例1及び製造例2では、窒素化合物等を分解するバクテリア等の生物の生育に好ましい連続空隙が形成されていると判断できる。このように、本発明によれば、ライブロックの生産やサンゴの養殖、あるいは水質浄化等の用途に適し、かつ強度低下の小さい多孔質セメント硬化体が得られることがわかる。なお、減水剤SPの有無によっては、透水係数、連続空隙の平均直径、圧縮強度は大きく変化しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係るライブロック用構造体及び多孔質セメント硬化体は、人工的にライブロックを生産することに有用であり、特に、品質の揃ったライブロック用の構造体を効率的に製造することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1−1】実施形態1に係る多孔質セメント硬化体を示す全体図である。
【図1−2】実施形態1に係る多孔質セメント硬化体の内部構造を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る多孔質セメント硬化体の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る多孔質セメント硬化体をライブロック用の構造体として成形した例を示す説明図である。
【図4】実施形態2に係るライブロック用構造体の構成を示す断面図である。
【図5】実施形態2に係るライブロック用構造体を用いて生産したライブロックを海底に設置した状態を示す説明図である。
【図6】実施形態3に係るライブロック生産設備を示す平面図である。
【図7】実施形態3に係るライブロック生産設備を示す側面図である。
【図8】実施形態3に係るライブロック生産設備を示す側面図である。
【図9】実施形態3の変形例に係るサンゴ等育成用構造物の構造を示す断面図である。
【図10】実施形態3の変形例に係るサンゴ等育成用構造物に設けたサンゴの養殖部を示す説明図である。
【図11】実施形態4に係る造礁用構造物の構成を示す正面図である。
【図12】実施形態4に係る造礁用構造物の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 多孔質セメント硬化体
2 連続空隙(連続した空隙)
5 ライブロック用構造体
10 ライブロック用構造体
10L ライブロック
12 生物定着層
20 浮体構造物
21 ライブロック支持具
23 ライブロック取付部
30 ライブロック生産設備
40 サンゴ等育成用構造物
42 コンクリート層
43 生物定着層
50 造礁用構造物
52 支持体
52S 生物定着層
54 載置網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと水とを含むセメント混合物を水和硬化させてなるセメントの硬化体であり、
セメントと、
前記セメント混合物中に微細な気泡を混入させる空気連行剤と、
前記セメント混合物中に発生する物質と反応して気体を発生させる起泡剤と、を含み、
少なくとも、前記硬化体の内部に形成される空隙に生物を定着させることを特徴とするライブロック用構造体。
【請求項2】
前記硬化体の透水係数は5.0×10-2cm/秒以上5.0×10-1cm/秒以下であることを特徴とする請求項1に記載のライブロック用構造体。
【請求項3】
前記起泡剤は、アルミニウム系の起泡剤であり、前記セメント混合物中に発生する水酸化カルシウムと反応して水素を発生することを特徴とする請求項2に記載のライブロック用構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のライブロック用構造体において、
前記水と前記セメントとの質量比は、30%以上40%以下であることを特徴とするライブロック用構造体。
【請求項5】
請求項4に記載のライブロック用構造体において、
前記セメントの質量に対する前記空気連行剤の質量の比は、0.1%以上0.3%以下であり、前記セメントの質量に対する前記起泡剤の質量の比は、0.5%以上1.5%以下であることを特徴とするライブロック用構造体。
【請求項6】
セメントと水とを含むセメント混合物を水和硬化させてなるセメントの硬化体であり、
セメントと、
前記セメント混合物中に気泡を混入させる空気連行剤と、
前記セメント混合物中に発生する物質と反応して気体を発生させる起泡剤と、
を含むことを特徴とする多孔質セメント硬化体。
【請求項7】
前記硬化体の透水係数は5.0×10-2cm/秒以上5.0×10-1cm/秒以下であることを特徴とする請求項6に記載の多孔質セメント硬化体。
【請求項8】
前記起泡剤は、アルミニウム系の起泡剤であり、前記セメント混合物中に発生する水酸化カルシウムと反応して水素を発生することを特徴とする請求項7に記載の多孔質セメント硬化体。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の多孔質セメント硬化体において、
前記水と前記セメントとの質量比は、30%以上40%以下であることを特徴とする多孔質セメント硬化体。
【請求項10】
請求項9に記載の多孔質セメント硬化体において、
前記セメントの質量に対する前記空気連行剤の質量の比は、0.1%以上0.3%以下であり、前記セメントの質量に対する前記起泡剤の質量の比は、0.5%以上1.5%以下であることを特徴とする多孔質セメント硬化体。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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