説明

ラインヘッド、および画像形成装置

【課題】 レジストマークの形成を簡略な構成で行うラインヘッドと、そのラインヘッドを用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 ラインヘッドには、ガラス基板62に形成された画像形成用のドット光源群70を用いる。レジストマーク形成用のライン光源73、74は、画像形成用のドット光源群70よりも主走査方向の長さを短く形成する。このライン光源73、74は、主走査方向に水平に配列されており、副走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストマークの形成を簡略に行えるラインヘッド、およびそのラインヘッドを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンデム方式の画像形成装置においては、露光装置として走査光学系を設ける方式と、発光素子アレイを用いる方式が知られている。例えば特許文献1には、LEDヘッドを用いたタンデム型画像形成装置で、色ずれマークを形成してレジスト制御を行う例が記載されている。また、特許文献2には、有機EL発光素子でラインヘッドを構成し、発光特性のバラツキを解消させている例が記載されている。また、このようなラインヘッドを用いたタンデム型画像形成装置が開示されている。さらに、
特許文献3には、タンデム型画像形成装置において、色ずれを補正するためのレジストセンサと濃度センサを共用する例が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平4−107579号公報
【特許文献2】特開平11−138899
【特許文献3】特開平1−167769
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、タンデム型の画像形成装置においてカラー画像を形成する際には、色ずれを防止するためにレジストマークを形成している。従来、レジストマークの形成は、画像の書込みを行う露光ヘッドを制御して行われていた。このため、レジストマークの形成のためにレジストマークの画像データを記憶する手段や、記憶した画像データに基づき、露光ヘッドを制御するための制御回路などが必要であり、構成が複雑になるという問題があった。
【0005】
また、通常電子写真方式の画像形成装置では、画像処理を行う画像コントローラ部とメカ部分を制御するメカコントローラ部が設けられている。色ずれ量の測定は通常メカコントローラ部で行われ、レジストマークを形成するために、前記メカコントローラ部に画像処理や露光制御を行う回路が必要となるので、この点でも構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レジストマークの形成を簡略に行えるラインヘッド、およびそのラインヘッドを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のラインヘッドは、基板の主走査方向に画像形成用のドット光源群を形成したラインヘッドにおいて、レジストマーク形成用のライン光源を前記画像形成用のドット光源群よりも主走査方向の長さを短く形成したことを特徴とする。このように、ライン光源をレジストマーク形成用の光源としているので、ラインのエッジが滑らかとなり、高精度な色ずれの検出ができる。また、レジストマーク形成用のライン光源の主走査方向の長さは、画像形成用のドット光源群の主走査方向の長さよりも短くしているので、レジストマーク形成用のライン光源を形成するためのコストを低減することができる。
【0008】
また、本発明のラインヘッドは、前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記基板の主走査方向の一方端部に形成したことを特徴とする。この場合には、単一のレジストマーク形成用のライン光源を形成しているので、構成が簡略化されコストを低減できる。
【0009】
また、本発明のラインヘッドは、前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記基板の主走査方向の両端部に形成したことを特徴とする。このため、レジストマークは複数個所に形成されるので、色ずれ検出の精度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明のラインヘッドは、前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記基板の主走査方向の中央部に形成したことを特徴とする。このため、ライン光源をドット光源群の中心線と平行に、すなわち、主走査方向に水平に形成する処理を誤差なく行えるので、特に副走査方向の色ずれ検出の精度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明のラインヘッドは、前記レジストマーク形成用のライン光源は、副走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のラインヘッドは、前記レジストマーク形成用のライン光源は、主走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のラインヘッドは、前記レジストマーク形成用のライン光源は、副走査方向および主走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成することを特徴とする。
【0014】
このように、本発明の実施形態においては、副走査方向、または主走査方向単独の、あるいは副走査方向および主走査方向の両方向について、色ずれを検出するレジストマークを形成することができる。すなわち、レジストマークを用途に応じて多様な形態で作成することができる。
【0015】
また、本発明のラインヘッドは、前記画像形成用のドット光源と、レジストマーク形成用の光源を共通の駆動回路で駆動することを特徴とする。このように、単一の駆動回路を用いているので、制御回路の構成を簡略にすることができる。
【0016】
また、本発明のラインヘッドは、前記画像形成用のドット光源群の点灯と、レジストマーク形成用のライン光源の点灯は、制御シーケンスの設定で異なるタイミングで行うことを特徴とする。このため、画像形成とレジストマーク形成が同時に行われることがなく、それぞれの動作を個別に確実に行うことができる。
【0017】
また、本発明のラインヘッドは、前記画像形成用のドット光源群の点灯データと、レジストマーク形成用のライン光源の点灯データを、制御データの先頭ビットが異なるデータで形成したことを特徴とする。このため、制御データの先頭ビットをチェックすることにより、通常の画像形成データとレジストマーク形成用データのいずれであるかが判定できる。したがって、制御データの構成が簡略化される。
【0018】
また、本発明のラインヘッドは、前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記ドット光源群の画像形成領域外に設けることを特徴とする。このため、電極の配線処理が容易である。
【0019】
また、本発明のラインヘッドは、前記ドット光源およびライン光源は有機EL素子であることを特徴とする。このように、工程上直線性を良好に製造できる有機EL素子をドット光源およびライン光源としているので、位置精度が向上し高精度の色ずれ補正が可能となる。また、有機EL素子は、面状発光体であるから、任意の形状で発光可能であり、レジストマークを形成するためのライン光源の作成が容易に行える。
【0020】
本発明の画像形成装置は、像担持体の周囲に帯電手段と、前記のいずれかに記載のラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする。この構成により、タンデム型の画像形成装置に用いるラインヘッドにおいて、レジストマークの形成を簡略に行うことができる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、中間転写部材を備えたことを特徴とする。このため、中間転写部材を備えた画像形成装置に用いるラインヘッドにおいて、レジストマークの形成を簡略に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のラインヘッド、およびラインヘッドを用いる画像形成装置によれば、特別な制御回路を設けることなく、レジストマーク形成用のライン光源を画像形成用のドット光源群とは別に設けるという簡略な構成で、レジストパターンの形成を行うことができる。また、レジストマーク形成用のライン光源を形成するためのコストを低減することができる。さらに、ライン光源をレジストマーク形成用の光源としているので、ラインのエッジが滑らかとなり、高精度な色ずれの検出ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明を説明する。図1は、本発明のラインヘッドに用いるガラス基板の例を示す平面図である。図1において、ガラス基板62には、ドット光源として構成されている画像形成用の光源(発光部)63が形成されている。発光部63が主走査方向に複数配列されて、画像形成用のドット光源群70が形成される。ガラス基板62の長尺方向Xは主走査方向、短尺方向Yは副走査方向である。
【0024】
ガラス基板62の主走査方向両端には、色ずれを検出するためのレジストマーク形成用のライン光源(発光部)73、74が設けられている。このライン光源73、74は、画像形成用のドット光源群70から副走査方向にずれた位置に、ドット光源群70の中心線と主走査方向に平行に形成される。
【0025】
このように、レジストマーク形成用のライン光源を画像形成用のドット光源群とは別に設けるという簡略な構成で、特別な制御回路を設けることなく色ずれの検出が行える。また、ライン光源をレジストマーク形成用の光源としているので、ラインのエッジが滑らかとなり、高精度な色ずれの検出ができる。なお、図1の例では、レジストマーク形成用のライン光源をガラス基板62の両端に設けているので、レジストマークは複数個所に形成される。
【0026】
このため、色ずれ検出の精度を向上させることができる。なお、レジストマーク形成用のライン光源73、74の主走査方向の長さは、画像形成用のドット光源群70の主走査方向の長さよりも短くしている。このため、レジストマーク形成用のライン光源73、74を形成するためのコストを低減することができる。
【0027】
72は、後述するようにTFTなどを用いた駆動回路である。駆動回路72は、画像形成用のドット光源群70の各発光部63と、レジストマーク形成用のライン光源73、74を制御する。このように、画像形成用のドット光源群70と、レジストマーク形成用のライン光源73、74は、同じ駆動回路72で制御されるので、制御系の構成が簡単になる。図1に示すように本発明の実施形態においては、レジストマーク形成用のライン光源73、74を、画像形成用のドット光源群70とは別に設けている。このため、ライン光源73、74を駆動することにより、特別な制御回路を設けることなく簡単にレジストマークを形成することができる。
【0028】
図1に示すように、ガラス基板62の主走査方向に水平に配列されたレジストマーク形成用のライン光源73、74は、副走査方向の色ずれを検出する。その理由について、図11の説明図で説明する。図11のMLは、図1の図示番号73に相当するレジストマーク形成用のマゼンタのライン光源で形成されたレジストマークである。また、CLはシアンのレジストマークである。
【0029】
中間転写体などの図11に示された位置に、マゼンタとシアンのレジストマークが形成されたとする。この場合には、両者のレジストマークは副走査方向にΔYの位置ずれが発生している。したがって、ΔYの位置ずれを補正することにより色ずれを防止することが出来る。このようにして、図1のように、ガラス基板62の主走査方向に水平に平成されたレジストマーク形成用のライン光源73、74により形成されるレジストマークを検出することにより、副走査方向の色ずれを検出することができる。
【0030】
図1の例では、ガラス基板62の主走査方向の両端にレジストマーク形成用のライン光源73、74を設けているが、レジストマーク形成用のライン光源は、ガラス基板62の主走査方向の一方端部にのみ設けることもできる。この場合には、レジストマーク形成用のライン光源の個数が減少するので、構成が簡略化される。
【0031】
図2は、本発明の他の実施形態にかかる説明図である。図1と同じところには同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図2の例では、レジストマーク形成用のライン光源をガラス基板62の両端の位置73、74と共に中央部の位置75にも形成している。図2の例では、レジストマーク形成用のライン光源が3個所に設けられているので、図1の例よりも色ずれ検出の精度が向上する。また、ライン光源75をガラス基板62の中央部に形成しているので、両端のライン光源73、74とで3個所形成されているライン光源75を誤差なく直線上に形成することができる。
【0032】
なお、ガラス基板62の両端の位置に形成する前記ライン光源を省略して、中央部の位置75にのみレジストマーク形成用のライン光源を形成する構成とすることもできる。この場合には、ライン光源75をドット光源群70の中心線に平行に、すなわち、主走査方向に水平に形成する処理が誤差なく行えるので、特に副走査方向の色ずれ検出の精度を向上させることができる。
【0033】
図3は、本発明の他の実施形態にかかる説明図である。図3の例では、レジストマーク形成用のライン光源76、77を、ガラス基板62の両端に副走査方向に傾斜させて形成している。このように、レジストマーク形成用のライン光源76、77をガラス基板62の副走査方向に傾斜させて配列し、レジストマークを形成することにより、主走査方向の色ずれを検出することができる。
【0034】
図12は、主走査方向の色ずれを検出する例の説明図である。図12のMLは、図3の図示番号76に相当するレジストマーク形成用のマゼンタのライン光源で形成されたレジストマークである。また、CLはシアンのレジストマークである。さらに、MRは、図3の図示番号77に相当するレジストマーク形成用のマゼンタのライン光源で形成されたレジストマークである。また、CRはシアンのレジストマークである。
【0035】
図12の例で、MLとCLの副走査方向の位置ずれがΔYL、MRとCRの副走査方向の位置ずれがΔYRとする。また、マゼンタのレジストマーク間の主走査方向の長さをXm、シアンのレジストマーク間の主走査方向の長さをXcとする。この場合の主走査方向の位置ずれΔXは、ΔX=Xm−Xc=(1/2)・(ΔYL―ΔYR)となる。すなわち、図3のように、ガラス基板62の両端に副走査方向に傾斜させて配列したライン光源76、77でレジストマークを形成することにより、主走査方向の色ずれを検出することができる。
【0036】
図4は、本発明の他の実施形態にかかる説明図である。図4の例では、レジストマーク形成用のライン光源79、80を、ガラス基板62の両端に設けている。このライン光源79、80は、くさび状に形成している。すなわち、ライン光源79は、主走査方向の水平部79aと副走査方向の傾斜部79bで形成される。ライン光源80も同じ形状としている。したがって、ライン光源79、80で形成されるレジストマークにより、副走査方向および主走査方向の色ずれを検出することができる。
【0037】
このように、本発明の実施形態においては、図1、図2に示したように副走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成している。また、図3に示したように主走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成している。さらに、図4に示すように、副走査方向および主走査方向の両方向について、色ずれを検出するレジストマークを形成することができる。このため、本発明の実施形態においては、用途に応じてレジストマークを多様な形態で作成することができる。
【0038】
図4の例では、前記のようにライン光源79、80により、主走査方向および副走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成している。また、図4では、前記ライン光源79、80は、画像形成用のドット光源群70による画像形成領域外に形成されている。このため、電極の配線処理が容易である。
【0039】
図5は、本発明の実施形態を示すフローチャートである。図5において、処理プログラムを開始し(S1)、画像形成装置の初期化を行う(S2)。次に、画像形成シーケンスが設定されているか否かを判定し(S3)、この判定結果がYesの場合には、本体側のコントローラから画像データをラインヘッドに送信し(S4)、画像形成シーケンスを実行する(S5)。その後処理プログラムを終了する(S6)。
【0040】
前記S3の判定結果がNoの場合、すなわち画像形成シーケンスが設定されていない場合には、レジスト補正シーケンスが設定されているか否かを判定する(S7)。この判定結果がYesの場合には、本体側のコントローラからレジスト画像データをラインヘッドに送信し(S8)、レジストマークを形成する。次に、形成されたレジストマークを検出し(S9)、レジスト補正データを更新する(S10)。その後処理プログラムを終了する(S11)。
【0041】
前記S7の判定結果がNoの場合、すなわちレジスト補正シーケンスが設定されていない場合には、本体側のコントローラから濃度パターンデータ(パッチデータ)をラインヘッドに送信する(S12)。次に、形成されたパターンの濃度を検出し(S13)、濃度補正データを更新する(S14)。その後処理プログラムを終了する(S15)。
【0042】
本発明の実施形態では、図5のように、画像形成シーケンス、レジスト補正シーケンスを設定しているので、画像形成とレジストマーク形成が同時に行われることなく、異なるタイミングで確実に行える。なお、濃度パターンの形成も画像形成、レジストマーク形成とは異なるタイミングで確実に行える。
【0043】
図6は、本発明の制御部の構成を示す回路図であり、図1の構成と対応している。図6において、92は例えば本体側のコントローラに接続されて制御データの送受信が行われる周辺回路、94はスキャンライン、95はデータライン、96はサプライライン(アノード側電源線)、97はカソード側電源線で、画像形成用のドット光源63とレジストマーク形成用のライン光源73のカソードに共通に接続される。98は制御データを転送するシフトレジスタである。前記各ドット光源63は、個別に接続されたTFT回路72で制御され、ライン光源73は図示左端のTFT回路72aで制御される。各ドット光源63は、例えば有機EL素子で形成する。
【0044】
ラインヘッドの発光部に有機EL素子を用いた場合には、発光画素列は単一の基板上に半導体プロセスを用いて製造されるため、その直線性は、従来のLEDに比べて極めて高精度に構成することが可能となる。さらに、発光素子自身の光量ムラもレンズアレイの透過光量ムラに比べて小さく、レンズアレイの中心線と発光素子列を高精度に位置決めできれば、光量補正がなくとも光量を均一にすることができ、スポット径も均一となる。このため、高画質なラインヘッドを構成することができる。また、有機EL素子は、面状発光体であるから、任意の形状で発光可能であり、レジストマークを形成するためのライン光源の作成が容易に行える。
【0045】
図6の例では、本体側のコントローラで形成された制御データが周辺回路92に入力され、周辺回路92からシフトレジスタ98に出力される。シフトレジスタ98は、制御データに基づきスキャンライン94を選択する。スキャンライン94は、前記各TFT回路72に接続されており、シフトレジスタ98で選択されたスキャンライン94は、接続されているドット光源駆動用の各TFT回路72、またはTFT回路72aに制御信号を印加する。
【0046】
また、周辺回路92はデータライン95とサプライライン96に接続されており、スキャンライン94から制御信号が印加されたTFT回路72が起動し、対応するドット光源63が点灯する。この際に、TFT回路72aが起動すると、レジストマーク形成用のライン光源73が点灯する。
【0047】
図7は、本発明の実施形態にかかる制御データの構成を示す説明図である。図7の例では、16階調の画像データを構成している。図示左端の先頭ビットは、レジストマーク形成用のライン光源に対する制御信号である。図7(a)は、通常の印字(画像形成)データで、先頭ビットは0である。図7(b)は、レジストマーク形成用データで、先頭ビットは15である。図7(c)は、濃度パターン形成用データで先頭ビットは7であり、ハーフ点灯となる。
【0048】
このように、本発明においては、制御データの先頭ビットをチェックすることにより、通常の印字データ、レジストマーク形成用データ、濃度パターン形成用データのいずれであるかが判定できる。したがって、それぞれの個別の制御データを独立して作成する必要がないので、制御データの構成が簡略化される。
【0049】
図8は、本発明によって色ずれ補正するラインヘッドが用いられる画像形成装置の縦断側面図である。本実施例は、転写ベルトとして中間転写ベルトを用いる例である。図8において、本実施例の画像形成装置1は、ハウジング本体2と、ハウジング本体2の前面に開閉自在に装着された第1の開閉部材3と、ハウジング本体2の上面に開閉自在に装着された第2の開閉部材(排紙トレイを兼用している)4とを有している。さらに、第1の開閉部材3には、ハウジング本体2の前面に開閉自在に装着された開閉蓋3’を備えている。
【0050】
ハウジング本体2内には、電源回路基板及び制御回路基板を内蔵する電装品ボックス5、画像形成ユニット6、送風ファン7、転写ベルトユニット9、給紙ユニット10が配設される。また、第1の開閉部材3内には、二次転写ユニット11、定着ユニット12、記録媒体搬送手段13が配設されている。
【0051】
転写ベルトユニット9は、ハウジング本体2の下方に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラ14と、駆動ローラ14の斜め上方に配設される従動ローラ15と、この2本のローラ14、15間に張架されて図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の表面に離当接されるクリーニング手段17とを備えている。
【0052】
各画像形成ステーションY、M、C、Kの像担持体20に対向して、板バネ電極からなる一次転写部材21がその弾性力で当接され、一次転写部材21には転写バイアスが印加されている。転写ベルトユニット9には、駆動ローラ14に近接してテストパターンセンサ18が設置されている。画像形成ユニット6は、複数(本実施例では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イェロー用)、M(マゼンタ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備え、各画像形成ステーションY、M、C、Kにはそれぞれ、感光ドラムからなる像担持体20と、像担持体20の周囲に配設された、帯電手段22、像書込手段(ラインヘッド)23及び現像手段24を有している。
【0053】
像担持体20は、図示矢印に示すように、中間転写ベルト16の搬送方向に回転駆動される。帯電手段22は、高電圧発生源に接続された導電性ブラシローラで構成され、ブラシ外周が感光体である像担持体20に対して逆方向で、かつ、2〜3倍の周速度で当接回転して像担持体20の表面を一様に帯電させる。
【0054】
像書込手段23は、有機EL素子を像担持体20の軸方向に列状に配列した有機EL素子アレイを用いている。有機EL素子アレイを用いたラインヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトであり、像担持体20に対して近接配置が可能であり、装置全体を小型化できるという利点を有する。本実施形態においては、各画像形成ステーションY、M、C、Kの像担持体20、帯電手段22及び像書込手段23を1つの像担持体ユニット25としてユニット化している。
【0055】
次に、現像手段24の詳細について、画像形成ステーションKを代表して説明する。現像手段24は、トナー(図のハッチング部)を貯留するトナー貯留容器26と、このトナー貯留容器26内に形成されたトナー貯留部27と、トナー貯留部27内に配設されたトナー撹拌部材29と、トナー貯留部27の上部に区画形成された仕切部材30を有している。また、仕切部材30の上方に配設されたトナー供給ローラ31と、仕切部材30に設けられトナー供給ローラ31に当接されるブレード32と、トナー供給ローラ31及び像担持体20に当接するように配設される現像ローラ33と、現像ローラ33に当接される規制ブレード34とが設けられている。
【0056】
給紙ユニット10は、記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ36とからなる給紙部を備えている。第1の開閉部材3内には、二次転写部への記録媒体Pの給紙タイミングを規定するレジストローラ対37と、駆動ローラ14及び中間転写ベルト16に圧接される二次転写手段としての二次転写ユニット11と、定着ユニット12と、記録媒体搬送手段13と、排紙ローラ対39と、両面プリント用搬送路40を備えている。
【0057】
定着ユニット12は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ45と、この加熱ローラ45を押圧付勢する加圧ローラ46と、加圧ローラ46に揺動可能に配設されたベルト張架部材47と、加圧ローラ45とベルト張架部材47間に張架された耐熱ベルト49を有している。記録媒体に二次転写されたカラー画像は、加熱ローラ45と耐熱ベルト49で形成するニップ部で所定の温度で記録媒体に定着される。
【0058】
図9は、像書込手段23を拡大して示す概略の斜視図である。図9においては、像書込手段23の細部が示されている。像担持体ユニット25に取り付けられた各像担持体(感光体ドラム)20に対して、像書込手段23を正確に位置決めするための機構が示されている。有機EL素子アレイ61は、長尺のハウジング60中に保持されている。長尺のハウジング60の両端に設けた位置決めピン69をケース50の対向する位置決め穴に嵌入させると共に、長尺のハウジング60の両端に設けたねじ挿入孔68を通して固定ねじをケース50のねじ穴にねじ込んで固定することにより、各像書込手段23が所定位置に固定される。
【0059】
像書込手段23は、ガラス基板62上に有機EL素子アレイ61の発光部63を載置し、同じガラス基板62上に形成されたTFT71により駆動される。屈折率分布型ロッドレンズアレイ65は結像光学系を構成し、発光部63の前面に配置される屈折率分布型ロッドレンズ78を俵積みしている。60はハウジング、66はカバー、67は固定板バネである。ハウジング60は、ガラス基板62の周囲を覆い、像担持体20に面した側は開放する。このようにして、屈折率分布型ロッドレンズ78から像担持体20に光線を射出する。ハウジング60のガラス基板62の端面と対向する面には、光吸収性の部材(塗料)が設けられている。
【0060】
図10は、像書込手段23の副走査方向の断面図である。像書込手段23には、ハウジング60中の屈折率分布型ロッドレンズアレイ65の後面に面して取り付けられた有機EL素子アレイ61と、ハウジング60の背面からその中の有機EL発光素子アレイ61を遮蔽する不透明なカバー66とが設けられている。また、固定板バネ67によりハウジング60の背面に対してカバー66を押圧して、ハウジング60内を光密に密閉する。すなわち、ガラス基板62は、固定板バネ67によりハウジング60で光学的に密閉されている。固定板バネ67は、ハウジング60の長手方向に複数個所設けられている。91は像担持体に形成される像面である。
【0061】
ケース50の内面に紫外線を吸収する黒色の塗料を塗布しておくと、有機EL素子アレイ61に対する紫外線遮蔽作用をより確実に行うことができ、有機EL発光素子の劣化を防止することができる。また、像書込手段23のハウジング60は不透明部材で形成され、その背面には不透明なカバー66により覆われている。このため、有機EL素子アレイ61の背面に入射する蛍光灯や太陽からの紫外線も、有機EL素子アレイ61の発光部63へ達することは防止される。83はガラス基板62をハウジング60に固定する接着剤である。
【0062】
本発明の実施形態によれば、タンデム型の画像形成装置に用いるラインヘッドにおいて、レジストパターンの形成を簡略に行うことができる。また、この画像形成装置は、中間転写部材を備えた構成とすることができる。
【0063】
以上、本発明のラインヘッド、およびそのラインヘッドを用いた画像形成装置をいくつかの実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ラインヘッドのガラス基板の平面図である。
【図2】光源の他の形状を示す説明図である。
【図3】光源の他の形状を示す説明図である。
【図4】光源の他の形状を示す説明図である。
【図5】処理手順を示すフローチャートである。
【図6】ラインヘッドの制御回路の例を示す回路図である。
【図7】制御データの例を示す説明図である。
【図8】本発明のラインヘッドが用いられる画像形成装置の縦断側面図である。
【図9】像書込手段を拡大して示す概略の斜視図である。
【図10】ガラス基板を固定した例を示す断面図である。
【図11】副走査方向の色ずれを検出する例の説明図である。
【図12】主走査方向の色ずれを検出する例の説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・画像形成装置、16・・・中間転写ベルト、20・・・像担持体、23・・・像書込手段(ラインヘッド)、61・・・有機EL素子アレイ、62・・・ガラス基板、63・・・ドット光源(発光部)、64・・・カバーガラス、65…屈折率分布型ロッドレンズアレイ(SLA)、70・・・ドット光源群、72・・・駆動回路、73、74・・・レジストマーク形成用のライン光源、78・・・屈折率分布型ロッドレンズ、92・・・周辺回路、98・・・シフトレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主走査方向に画像形成用のドット光源群を形成したラインヘッドにおいて、レジストマーク形成用のライン光源を、前記画像形成用のドット光源群よりも主走査方向の長さを短く形成したことを特徴とする、ラインヘッド。
【請求項2】
前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記基板の主走査方向の一方端部に形成したことを特徴とする、請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記基板の主走査方向の両端部に形成したことを特徴とする、請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項4】
前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記基板の主走査方向の中央部に形成したことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項5】
前記レジストマーク形成用のライン光源は、副走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項6】
前記レジストマーク形成用のライン光源は、主走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項7】
前記レジストマーク形成用のライン光源は、副走査方向および主走査方向の色ずれを検出するレジストマークを形成することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項8】
前記画像形成用のドット光源群と、前記レジストマーク形成用のライン光源を共通の駆動回路で駆動することを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項9】
前記画像形成用のドット光源群の点灯と、レジストマーク形成用のライン光源の点灯は、制御シーケンスの設定で異なるタイミングで行うことを特徴とする、請求項8に記載のラインヘッド。
【請求項10】
前記画像形成用のドット光源群の点灯データと、レジストマーク形成用のライン光源の点灯データを、制御データの先頭ビットが異なるデータで形成したことを特徴とする、請求項9に記載のラインヘッド。
【請求項11】
前記レジストマーク形成用のライン光源は、前記ドット光源群の画像形成領域外に設けることを特徴とする、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項12】
前記ドット光源およびライン光源は有機EL素子であることを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項13】
像担持体の周囲に帯電手段と、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
中間転写部材を備えたことを特徴とする、請求項13に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−205363(P2006−205363A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16400(P2005−16400)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】