ラウドスピーカのアレイシステム
【課題】少なくとも2つの異なる寸法の複数の変換器を有するラウドスピーカであって、複数の変換器は第1の軸に関しておよび第1の軸に対して垂直な第2の軸に関して対称的に配置されており、第1の軸または第2の軸のいずれの上でもない位置に、ラウドスピーカに沿って、その中心が置かれる変換器を含む、ラウドスピーカを提供する。
【解決手段】ラウドスピーカは、少なくとも2つの異なる寸法の複数の変換器を有し、複数の変換器は第1の軸に関しておよび該第1の軸に対して垂直な第2の軸に関して対称的に配置されており、該ラウドスピーカは、第1の軸または第2の軸のいずれの上でもない位置に、ラウドスピーカに沿って、その中心が置かれる変換器を含む。
【解決手段】ラウドスピーカは、少なくとも2つの異なる寸法の複数の変換器を有し、複数の変換器は第1の軸に関しておよび該第1の軸に対して垂直な第2の軸に関して対称的に配置されており、該ラウドスピーカは、第1の軸または第2の軸のいずれの上でもない位置に、ラウドスピーカに沿って、その中心が置かれる変換器を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は概して、マルチウェイラウドスピーカシステムに関する。詳細には、二次元平面内に対称的に配置されたラウドスピーカドライバにより構成され、ステレオラウドスピーカシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステム、および公共案内放送システムとの組合わせ使用において高品質なサウンドを達成し得る、マルチウェイラウドスピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカの設計者は、システム内の必要な増幅器(例えば、ウェイ)の数に対すると同様に、変換器(例えば、ドライバ)の寸法および数に対する制約があるにもかかわらず、周波数バンドの広い範囲にわたって高品質のサウンドを達成する、制御された指向性を有するラウドスピーカシステムの設計に、常に努力している。広い周波数範囲にわたってこのような高品質のサウンドを実現することは、可聴周波数バンドの専属の(dedicated)各部分に対する変換器の寸法が変化することと、変換器相互の間の間隔に対する制約とのために、困難な課題とされてきた。
【0003】
可聴周波数範囲に対する高品質なラウドスピーカは、可聴周波数バンドの専属の各部分に対して専用の、複数のドライバを一般に採用し、それはツイータ(一般に2kHz〜20kHz)、中間域ドライバ(一般に200Hz〜5kHz)、およびウーファ(一般に20Hz〜1kHz)などである。一般により高い周波数のドライバは、より低い周波数のドライバよりも寸法がより小さい。
【0004】
高いサウンド品質を達成するためには、ラウドスピーカの中でドライバを可能な限り相互に接近して置くことが望ましい。しかしながら、専用のドライバの物理的な寸法のために、ドライバを相互に近接して置く可能性は限られる。ドライバが相互に離れて置かれるほど、より多くの音響的な問題が生じる。
【0005】
ドライバ自身の物理的な寸法に起因するドライバ相互の間隔のために、その間隔が放射されるサウンドの波長と同程度であるので、ドライバの音響的な出力は、通常アコースティックセンターと呼ばれるラウドスピーカに垂直な1本の線上のみにおいて加え合わされて、意図された周波数に依存しない平坦な応答が得られる。その軸から外れた点においては、各ドライバから空間の考慮する点までの、音波の到達経路長さが異なることによる干渉のために、周波数応答は多かれ少なかれ、歪みを生じる。したがって、大きな空間において、軸から外れた位置でも滑らかな応答が得られるように、制御されたサウンド空間(field)を有するラウドスピーカを構成するための多くの試みが、歴史的に存在してきた。
【0006】
公共の空間などの、大きな空間においてサウンド空間を制御するための現在の技術は、一様に配置された音を強めるためのホーンを使用することである。しかしながら、一様に配置されたホーンの使用には、欠点がある。一様に配置されたホーンは、制約された周波数範囲、固定され方向変換不可能な極性パターン、および比較的高い歪みを有するからである。
【0007】
現在のホームエンターテイメントのサラウンドサウンドのための二次元アレイ、いわゆるサウンドプロジェクタは、同一の小型の、広いバンドのドライバを直線的に間隔をとって配置したアレイである。この種類のアレイは、複数のサウンドビームを生成することができ、そのサウンドビームは室内に放射し、壁面から聴取者への跳ね返りの間に、所望のサウンド効果を生成する。しかしながら、二次元の、直線的に間隔をとって配置したアレイのドライバは同一のものであり、サウンドプロジェクタの最大の音圧および音響品質は変換器の性能によって制限されるが、それは一般に、専属の周波数バンドに対して最適化されたドライブユニットと比較して、劣るものである。さらに、サウンドプロジェクタは、全て個別に駆動される必要のある非常に多数のドライバを使用し、そのために実行上非常な複雑さおよび高いコストをもたらす。
【0008】
このように、増幅器と同様に最少数の変換器を使用し、変換器はツイータ、中間域ドライバまたはウーファなどの可聴周波数バンドにわたる専用のドライバを使用することによって高性能に最適化される、高品質の、歪みの少ない、二次元のラウドスピーカの構成に対するニーズが、依然として存在する。ホーンのアレイを使用する固定された装置とは異なり、オンサイトでビームの幅および方向の角度を電子的に変更する、二次元ラウドスピーカの構成に対して、さらなるニーズが依然として存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要約)
(項目1)
少なくとも2つの異なる寸法の複数の変換器を有するラウドスピーカであって、該複数の変換器は第1の軸に関しておよび該第1の軸に対して垂直な第2の軸に関して対称的に配置されており、該ラウドスピーカは、
該第1の軸または第2の軸のいずれの上でもない位置に、該ラウドスピーカに沿って(along the loudspeaker)、その中心が置かれる変換器を含む、ラウドスピーカ。
【0010】
(項目2)
上記第1および第2の両方の軸に関して相互に対称的に配置された、ラウドスピーカの上記変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0011】
(項目3)
上記少なくとも2つの異なる寸法の上記複数の変換器は、ツイータおよび中間域ドライバである、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0012】
(項目4)
上記少なくとも2つの異なる寸法の、上記複数の変換器は、ツイータおよびウーファである、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0013】
(項目5)
上記少なくとも2つの異なる寸法の、上記複数の変換器は、中間域ドライバおよびツイータである、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0014】
(項目6)
上記複数のドライバは、ツイータ、中間域ドライバおよびウーファを含む、項目1の記載のラウドスピーカ。
【0015】
(項目7)
上記複数の変換器の1つは、上記第1および第2の軸の交点に、その中心が置かれる、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0016】
(項目8)
上記中央の変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、項目7に記載のラウドスピーカ。
【0017】
(項目9)
各FIRフィルタに対する線形位相フィルタ係数は、初期のドライバ位置を確定することと、システムに対する初期の指向性目的関数を確定することと、該初期の指向性目的関数に基づいてコスト最小化関数を適用することと、該システムの各フィルタに対する線形位相フィルタ係数を計算することと、によって決定される、項目2に記載のラウドスピーカ。
【0018】
(項目10)
上記初期のドライバ位置は、ラウドスピーカのの中心である原点に関連する座標である、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0019】
(項目11)
上記確定された初期指向性目的関数に基づいて、所定の周波数範囲の対数目盛り上に周波数ポイントが確定される、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0020】
(項目12)
上記コスト最小化は、最少の周波数から始まりステップ状に増加し、上記周波数ポイントにおいて適用される関数である、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0021】
(項目13)
上記線形位相フィルタ係数を確定する(establish)ために、フーリエ近似法が使用される、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0022】
(項目14)
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該アレイが配列されている該軸上に中心を有する該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアは、置き換えに際して、該ペアの内の1個の変換器が該アレイが配列されている該軸の片側に配置され、該ペアの別の変換器が該アレイが配列されている該軸の反対側において該アレイが配列されている該軸から同じ距離に配置され、対向するペアは該アレイが配列されている該軸に対して直角方向の該軸から同じ距離に配置されるように、置き換えられる、方法。
【0023】
(項目15)
上記ペアの変換器は、少なくとも1個のデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1個のパワーD/Aコンバータから受け取る、項目14のラウドスピーカ。
【0024】
(項目16)
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアの変換器は、該アレイが配列されている該軸に沿った点で、該軸に関して相互に鏡像の位置に配置され、その結果として該アレイが配列されている該軸の該指向性が維持される、方法。
【0025】
(項目17)
少なくとも2つの異なる寸法の少なくとも5個の変換器を備えるラウドスピーカシステムであって、
該少なくとも5個の変換器は、第1の軸および該第1の軸に対して直角な第2の軸の両方に関して対称的に配置され、少なくとも1組の実質的に同一の変換器のペアが、その中心を該第1の軸に関して相互に平行に置かれ、該ペアの内の1つの変換器が該第2の軸の片側に置かれ、該ペアの中の他の変換器が該第2の軸の反対側に、該軸からの距離が該ペアの他の変換器と同じ距離となるように置かれている、ラウドスピーカシステム。
【0026】
(要約)
本発明は、高忠実度(ハイファイ)ステレオシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステムまたは公共案内放送システムにおける高品質サウンドを生成することができる、マルチウェイアレイラウドスピーカである。
【0027】
一実施形態においては、アレイは1個のハウジングの中に配置された、または1個のユニットにアセンブルされた、複数のツイータ、中間域ドライバおよびウーファを含み、そのハウジングまたはユニットはドライバのカップリングを避けるために、いくつかのドライバを相互に分離する密閉された区画を有する。アレイは入力から個別のラウドスピーカドライバへ、または複数のドライバへの様々な信号経路を有する、シングルチャンネルであり得る。それぞれの信号経路はデジタル入力を備え、デジタルFIRフィルタ、単一のドライバまたは複数のドライバと接続されるD/Aコンバータおよび電力増幅器、またはいわゆるパワーD/Aコンバータを含む。
【0028】
アレイの中のラウドスピーカの性能、位置および配置が、ラウドスピーカの各信号の流れの経路の中の各FIRフィルタに対する係数を確定する、フィルタ設計アルゴリズムによって決定され得る。当該の周波数範囲内の対数目盛上の周波数ポイントにおいて定義される、初期のドライバ位置および初期の指向性目的関数を使用して、コスト最小化関数が所定の周波数ポイントに対して適用される。コスト最小化関数の適用によって得られた結果が、システムの性能要求に合致しない場合には、ドライバの位置が修正され得、得られる結果がシステムの要求に合致するまで、コスト最小化関数が再適用され得る。得られた結果がシステムの要求と合致したときには、1つの経路内の線形位相FIRフィルタのそれぞれに対するフィルタ係数が、フーリエ近似法または他の周波数サンプリング法を使用して計算される。
【0029】
本発明のマルチウェイラウドスピーカは、内蔵のDSP処理、D/Aコンバータおよび増幅器を含み得、またデジタルネットワーク(例えば、IEEE1394標準)と接続され得る。さらに、本発明のマルチウェイラウドスピーカシステムは、その手頃な寸法のために、壁に取り付け可能なサラウンドシステムとしても設計され得る。
【0030】
マルチウェイラウドスピーカシステムは、寸法の異なる、生成される歪みが少ない、高出力を取り扱う、ドライバを採用し得、なぜならば専用のドライバは、広いバンドの同一ドライバのアレイとは異なり、その専属の周波数バンドの中で最適に作動することができるからである。本発明のマルチウェイスピーカ設計はまた、軸から外れた(out−of−axis)位置においてなめらかな応答を有するために、室内の応答のより良い制御を提供する。システムはさらに、全サウンドパワーと同様に反射されたサウンドの周波数応答を制御し、床および天井の反射を抑制することができる。
【0031】
本発明の、他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な記載内容を吟味することによって、同業者にとって明白となるであろう。これら全ての付加的なシステム、方法、特徴および利点は、この記載内容に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の請求項によって保護されることが、意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、以下の図面を参照することによって、より良く理解することができる。図面の中の構成部品は必ずしも正しい尺度で描かれているとは限らず、発明の原理を表すためにむしろ強調されている。さらに図面の中において同じ参照番号は、異なる図面において対応する部分を指定する。
【0033】
図1は本発明の基礎となる一次元(1D)マルチウェイラウドスピーカ100の実施例、およびシステム100の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。図1に示されるように、マルチウェイラウドスピーカ100は、(1)第1のパワーD/Aコンバータ103と接続される中央のツイータ102、(2)第2のパワーD/Aコンバータ105と接続される2個の追加のツイータ104および106、(3)第3のパワーD/Aコンバータ107と接続される2個の中間域ドライバ108および110、および(5)第4のD/Aコンバータ109と接続される2個のウーファ112および114、を有する4ウェイラウドスピーカとして設計され得る。それぞれのラウドスピーカと増幅器との間の接続は、マルチウェイラウドスピーカの中の異なるウェイを表す。
【0034】
図1において、変換器(transducer)としても呼称されるドライバは、図示されるようにセパレータ132および134によって分離され密閉された区画120、122、および124から成るハウジング116の中に取り付けられ得る。ドライバを分離され密閉された区画内に取り付けることによって、隣同士のドライバのカップリングが最少化される。図1には様々な区画が見られるが、ラウドスピーカシステムは、完成した製品として具体化されたときには、区画は消費者から見えないように設計され得る。ウーファ112を含む区画124は、中間域ドライバ108および110、およびツイータ102、104および106を含む区画120から、セパレータ132によって分離され得る。同様にウーファ114を含む区画122は、中間域ドライバ108および110、およびツイータ102、104および106を含む区画120から、セパレータ134によって分離され得る。全てのツイータ102、104、106は中間域ドライバ108および110と同じ区画120に含まれ得、なぜならばツイータ102、104および106は一般に密閉されており、ツイータ102、104および106を中間域ドライバから分離する必要性がないからである。
【0035】
図1は中央のツイータ102、ツイータ104および106、中間域ドライバ108、110および低周波数ウーファ112および114を示し、これらはy−軸に沿って直線的に、かつ中央のツイータ102に関して対称的に組み込まれている。代表的な配置は、約40mm〜50mmの外直径のツイータ102、104および106、約80mm〜110mmの外直径の中間域ドライバ108および110、および約120mm〜250mmの外直径のウーファ112および114を含み得る。一般的には、変換器コーンの寸法は、所望の使用目的および所望のアレイ寸法に基づいて変わり得る。さらに、変換器はネオジウム磁石を使用し得るが、その特定の種類の磁石を使用することは、記載される用途に対して必ずしも必要ではない。
【0036】
直径50mmのツイータ、110mmの中間域ドライバおよび160mmのウーファを使用するとき、システムの実施例は、y−軸上のx軸およびy軸の交差点である中心点0に組み込まれた、中央のツイータ102を含み得る。ツイータ104および106は、その中心を中心点から約+/−60mmの位置に組み込まれ得る。中間域ドライバ110および108は、次いでその中心を中心点0から約+/−150mmの位置に組み込まれ得る。低周波ウーファ112および114は、次いでその中心を中心点から約+/−300mmの位置に組み込まれ得る。
【0037】
図1はまた、マルチウェイラウドスピーカシステムの信号の流れのブロック図140をも示す。図1は信号の流れ142、144、146および148の4個のウェイを示すが、チャンネルは2またはそれ以上のウェイに分割され得る。信号の流れは、SPDIFまたはIEEE1394およびそれらの派生物などの、標準的な接続フォーマットを使用して実行され得るデジタル入力150を備え、図1に示されるような様々な経路またはウェイを経由してドライバに接続されることができる。それぞれの経路またはウェイ142、144、146および148は、デジタルFIRフィルタ152、およびそれぞれ1個のまたは複数個のラウドスピーカドライバに接続される、パワーD/Aコンバータ103、105、107および109を含み得る。パワーD/Aコンバータ103、105、107および109は、従来のオーディオD/Aコンバータ(図示されていない)およびパワー増幅器(図示されていない)のカスケードによって、または直接デジタル入力を有するクラスDパワー増幅器(図示されていない)によって、実現され得る。FIRフィルタ152は、デジタル信号処理器(DSP)(図示されていない)によって実行され得る。ラウドスピーカドライバは、図示されているようなツイータ、中間域ドライバまたはウーファであり得る。
【0038】
作動においては、複数のFIRフィルタ152のそれぞれの出力は、複数のパワーD/Aコンバータ103、105、107および109に接続され、次いでハウジング116の仕切り板(baffle)に取り付けられた複数のラウドスピーカドライバ102、104、106、108、110、112、および114に供給される。104と106のように1個より多いドライバが、パワーD/Aコンバータ103、105、107および109を含む経路またはウェイ142、144、146および148に、並列に接続され得る。
【0039】
図2は、図1のツイータ104と106および中間域ドライバ108と110をペアに分離することによって得られる、二次元マルチウェイラウドスピーカ200を示す。以下でさらに説明するとおり、ペアをなすドライバは相互に電気的に結合され得、図1の一次元(1D)マルチウェイラウドスピーカ100と同じフィルタによって供給され得る。従って、y−軸に沿った指向性は影響を受けず、遠距離空間においては当初に規定されたものと同じ指向性が保たれる。しかしながら新しい指向特性が、所望のとおりx−軸に沿って導入され得る。
【0040】
詳細には、図2は4個の追加のツイータ204、206、208および210によって円形に囲まれた中央のツイータ202を有する、1チャンネル二次元4ウェイラウドスピーカ200を示す。さらに、ラウドスピーカ200は4個の中間域ドライバ212、214、216および218、および2個のウーファ220および222を含む。
【0041】
ツイータ204、206、208および210、中間域ドライバ212、214、216および218、および2個のウーファ220および222は全て、中央のツイータ202に関して対称的に、y−軸に沿って直線的に整列されている。ペアのツイータ204と206、およびペアのツイータ208と210は、それぞれ中央のツイータ202の片側に、x−軸によって定義される中心線より上方および下方に、置かれる。同様にペアの中間域ドライバ212と214は、ツイータ202、204、206、208および210の上方に位置し、他のペアの中間域ドライバ216と218は、ツイータ202、204、206、208および210の下方に位置し、x−軸によって定義される中心線に関して対称的に置かれる。
【0042】
図1のラウドスピーカシステム100と同様に、図2のラウドスピーカシステムは約40mm〜50mmの外直径のツイータ202、204、206、208および210、約80mm〜110mmの外直径の中間域ドライバ212、214、216および218、および約120mm〜250mmの外直径のウーファ220および222を含み得る。以前に述べたとおり、変換器コーンの寸法は所望の用途および所望のアレイ寸法に基づいて変わり得る。
【0043】
一般に、n個のウェイを有するシステムの設計は、特定の指向性目的関数に関して、最適の位置座標y0,+/−(y1,y2,y3,・・・,yn−1)、およびフィルタFIR(0,1,2,3,・・・,n−1)に対するフィルタ係数を得る。nが4に等しく与えられた例において、二次元アレイを生成する場合には、添字(1,・・・,m)、m≦nを有するドライバはペア(ここではm=1およびm=2)に分離され得る。また、対応するx−軸座標は+/−(x1,x2,・・・,xm)であり、一方y−座標は一次元設計の値がそのまま変化せずに残る。
【0044】
二次元ラウドスピーカシステム200におけるy−座標は、図2に示されるように、ドライバの物理的寸法よりも小さく設計され得、なぜならばドライバを分離しx−軸方向に移動することによってスペースが得られるからである。このように二次元設計からは付加的な自由度が得られ、それは一般的にはさらなる性能の改善をもたらす。
【0045】
x−軸に沿った指向性は、位置のパラメータx1,・・・,xmの最適化によって、およびmの値自身によって、適合され得る。添字(m+1),・・・,n−1を有するドライバは分離されず、その元の位置に残る。このことは、x−軸に関するアレイは、y−軸に関して設計された本来の標準的アレイの切捨形(truncated)バージョンであることを意味する。従って、指向性関数はより高いコーナー周波数を示す。
【0046】
係数x1,・・・,xmは、なめらかな、周波数に依存しない指向性関数がx−軸に沿って得られるように、最適化され得る。x1<y1,x2<y2,・・・の場合には、アレイのx−軸方向に関する指向性は少ない。x1=y1,x2=y2,・・・の場合には、高い周波数において両者は等しい。
【0047】
図2に提供された実施例において、中央のツイータ202は図2に示されるように、x−軸とy−軸との交点である、y−軸上の中心点0に組み込まれ得る。ツイータ204、206、208および210はその中心を、x−軸に沿って約+/−30mmおよびy−軸に沿って+/−42mmの位置(+/−30mm,+/−42mm)に組み込まれる。
【0048】
中間域ドライバ212、214、216および218は次いでその中心を、x−軸に沿って中心点0から約+/−80mmおよびy−軸に沿って約+/−120mmの位置(+/−80mm,+/−120mm)に、組み込まれ得る。ウーファ220および222は次いでその中心を、中心点から約+/−300mmの位置(+/−0mm,+/−300mm)に組み込まれる。
【0049】
図1のラウドスピーカシステム100と同様に、変換器は、図示されるようにセパレータ242および244によって分離され密閉された区画232、234および236を備えるハウジング230に、組み込まれ得る。ウーファ220を含む区画232は、セパレータ242によって、中間域ドライバ212、214、216および218、およびツイータ202、204、206、208および210を含む区画236から分離され得る。同様にウーファ222を含む区画234は、セパレータ244によって、中間域ドライバ212、214、216および218、およびツイータ202、204、206、208および210を含む区画236から分離され得る。
【0050】
図2はまた、マルチウェイラウドスピーカシステム200の、信号の流れのブロック図250をも示す。図2は信号の流れの4個のウェイ252、254、256および258を示す。信号の流れは、標準的な接続フォーマットを使用して実行され得るデジタル入力264を備え、図2に示される4個のウェイのような、様々な経路またはウェイを経由してドライバと接続される。それぞれの経路またはウェイ252、254、256および258は、1個のまたは複数のラウドスピーカドライバと接続されるデジタルFIRフィルタ260およびパワーD/A変換器262を含み得る。
【0051】
図3は、本発明のラウドスピーカシステムを設計するために使用される、フィルタ設計アルゴリズム300のフローチャートである。フィルタ設計アルゴリズム300の目的は、ラウドスピーカのそれぞれの信号の流れ経路に対応する、それぞれのFIRフィルタに対する係数を決定することである。以下にさらに詳細に示されるように、初期のドライバの位置および初期の指向性目的関数が、最初に決定される(310)。初期のスピーカおよびドライバの位置または設計配置は、所望のスピーカ寸法、使用目的、製造上の制約条件、美的趣味または他の製品設計上の局面などの、用途に依存する多数の様々な変数に従って設計され得る。次いでドライバの座標が、主軸に沿ってそれぞれのドライバに対して規定される。次いで、指向性目的関数に対する初期の推定値が設定され、それは対数目盛り上で問題の間隔の範囲内で周波数ポイントを設定することを含む。次いで、規定された周波数ポイントにおいてコスト関数が最小化される(312)。ステップ314で、その結果がシステムの性能要求と合致しない場合には、ドライバの位置が修正され、そしてコスト最小化関数が再び適用される(316)。結果が要求と合致するまで、このサイクルが繰り返され得る。結果が要求と合致する場合には、線形位相フィルタ係数が計算される(318)。ドライバを等化(イコライズ)するための、および位相シフトを補償するための、およびビームの向きの調整を可能にするための、追加的な計算がまた実行され得る(320)。
【0052】
最初のステップ310において、初期のドライバの位置および初期の指向性目的関数が設定される。以前に述べたとおり、ドライバの数、位置、寸法および方向は、第一義的には製品設計の局面によって決定される。方向が決定されたならば、次いで初期の座標値が主軸上のN個のドライバに対して、初期のドライバ座標p(n)、n=1,・・・,Nとして規定され得る。例えば図1に示される一次元(1D)アレイにおいては、N=7:p(n)=[−0.30,−0.15、−0.06、0、0.06,0.15,0.30]m(メートル)である。図2に示される二次元(2D)アレイにおいては、N=7:p(n)=[−0.30,−0.12,−0.042,0,0.042,0.12,0.30]mである。
【0053】
図2に描かれるように、二次元の配置がxおよびyの両軸に関して対称的である場合には、二次元配置に対する設計プロセスは1つの次元に対して、例えば上述したように主軸に関して、実施することができる。対称性のゆえに同じ指向性特性が、より高いコーナー周波数を除いて、他の軸に関しても得られる。
【0054】
初期の指向性目的関数を決定するためには、特定の角度qにおけるドライバの所望の性能に基づいて決定される、指向性目的関数T(f,q)に対する初期推定値が規定されることが必要である。図4は、5個の特定の角度qにおける、角度に依存する減衰に対する目的関数の1組の例を示す。指向性目的関数は、予定されるサウンドレベル減衰量をdBにより規定(y軸)し、それは無反響の環境でスピーカから十分に大きな距離(スピーカの寸法よりも大きい)において、原点(中央のツイータ)に対する垂直線からの角度qにおいて、様々な周波数において測定されることができる。周波数ベクトルfは、当該の周波数間隔、例えば100Hz,・・・,20kHzの範囲内の対数目盛り上で、周波数ポイントの組、例えば100を規定する。
【0055】
角度ベクトルq(i)、i=1,・・・,Nqは、最適化が実施される角度の組を規定する。図4は、5個の角度における指向性に対する、初期の推定値を示すが、
(Nq=5):q=[0,10,20,30,40]°、
大部分の場合には、2個の角度、例えばNq=2、のみに対して指向性を規定することで十分であり得る。この場合、目的とされる指向性は外側の角度、例えば40度および、軸上でゼロの指向性が規定される、0度において規定され得る。例えばq=[0,40]°である。
【0056】
軸上の目的関数を除いて、各角度における目的関数は、f=0におけるT=0dBから特定の周波数fc(例えばfc=350Hz)におけるT<0dBの値まで、両対数目盛り上で直線的に減少し、その後は一定値を保つ。軸上の目的関数402は、全周波数範囲にわたって0dBの一定値を保つ。10(10)度404、20(20)度410、30(30)度412、および40(40)度414の目的指向性関数は、全てT=0dBから始まり、図4においては350Hzによって表されるfcに関数が到達するまで、両対数目盛り上を下降し、その後は問題の周波数範囲にわたって一定値を維持する。
【0057】
初期のドライバ位置および初期の指向性目的関数が決定された後に、次のステップ312が、所定の周波数ベクトルポイントfにおいてコスト関数F(f)を最小化する。この最小化は、最少の周波数増加ステップ、例えば100HZ、によって始まり、得られた解を次のステップのための初期解として、それぞれに使用し、下記の方程式を使用することによって行われる。
【0058】
【数1】
および
【0059】
【数2】
ここで、Hm(n,f,q)は、対象のドライバn、周波数f、および角度qに対する、軸上(角度0)で得られる応答に対して正規化された、測定された振幅周波数応答の組であり、その例は図5に示されている。図5は、ある取り付けられたツイータの、様々な垂直偏差角度において測定され、軸上の値に対して正規化された周波数応答500を示す。図5において、線502は軸上の応答を表し、線504は10度において測定された周波数応答であり、線506は20度における応答であり、線508は30度における応答であり、線510は40度において測定された周波数応答であり、全て1kHzと20kHzとの間の周波数範囲において測定される。
【0060】
さらに、最小化は、チャンネルフィルタCopt(n,f)の実数値周波数ポイントを、間隔[0,1]の範囲内で、変化させることによって実行され、ここでnはドライバの符号、fは周波数である。さらに、下記の制約条件
Copt(n,f)=0、 f>fo、f<fu
が、特定のドライバnの特性に応じて、満足される必要がある。例えば、ウーファの例においては、上方の作動限界はfo=1kHzであり、ツイータに対しては下方の作動限界はfu=2kHzであり、中間域ドライバに対してはfu=300Hz、fo=3kHzであり得る。
【0061】
上記記載されたコスト関数最小化の手順は、The MathWorks、Inc.によって所有され配布されるMatlab(登録商標)ソフトウェアパッケージの部分である、関数「fminsearch」によって実施され得る。Matlabソフトウェアパッケージの中の「fminsearch」関数は、Nelder−Meadシンプレクスアルゴリズムまたはその派生物を使用する。代替案としては、制約されたパラメータの範囲内の予め定義された格子上で、吐き出し(exhaustive)探査法が適用され得る。コスト関数を最小化するために、他の方法論もまた使用され得る。
【0062】
得られた結果と目標との間の差異が十分に小さい場合には、または特定の設計用途に対して同業者によって決定されるように許容可能である場合には、次いで線形アレイの中の各信号経路に対するFIRフィルタ係数が得られる。
【0063】
得られた結果と目標との間の差異が、特定の設計用途に対して許容可能でない場合には、例えば、または大きすぎる場合には、ドライバの位置または幾何学的形状、および/またはパラメータq(i)および目的関数T(f,g)のfc(図4を参照)が、次いで修正される。修正された後、コスト最小化関数が再度適用され、得られた結果と目標が十分に小さいかまたは用途に対する許容範囲内になるまで、プロセスが繰り返される。
【0064】
図3に示すように、アルゴリズムが目的関数の許容範囲内の結果を与えるように、ドライバの位置およびドライバの幾何学的形状が定められたならば、各信号経路n=1,・・・,Nに対するFIRフィルタ係数が決定される必要があり、これを図3のステップ318に示す。FIRフィルタ係数を決定する1つの方法は、フーリエ近似法(周波数サンプリング法)を使用して、所与の次数(degree)の線形位相フィルタを得ることである。フーリエ近似法または他の周波数サンプリング法を適用するときには、その近似法が十分に正確となるような次数を選択する必要がある。
【0065】
フーリエ近似法は、The MathWorks,Inc.によって所有され配布される、Matlab(登録商標)ソフトウェアパッケージの部分である関数「firls」によって実施され得る。同様の方法論が、ほかのソフトウェアシステムの中で実行されることによって、コスト関数を最小化するために使用され得る。
【0066】
追加として、1個またはそれ以上のドライバ(特にツイータ、中間域ドライバ)の測定された周波数応答をイコライズするために、FIRフィルタに対して修正を行うことができる。これらのフィルタのインパルス応答は、周知の方法によって得ることができ、上記のようにFIRフィルタの係数を決定するときに、線形位相チャンネルフィルタのインパルス応答と結合される(convolved)必要がある。さらに、音声コイル(ドライバの音響的中心)は整列されることを得ない。これを補償するために、FIRインパルス応答に先頭のゼロ(leading zero)を加えることによって、フィルタに適切な遅延を与えることができる。
【0067】
二次元マルチウェイラウドスピーカシステムは、ステレオラウドスピーカシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステムおよび公共案内放送システムなどの、様々な用途と結合する使用に対して計画され得る。同業者は、ドライバの数、種類、および位置、チャンネルの数、信号の流れの経路または回路の数、を変更し得、同様に、特定の用途に対して指向性を適合させるために、軸に沿った位置パラメータを修正し得る。
【0068】
図6は、また別の二次元マルチウェイラウドスピーカであり、このラウドスピーカシステムは2個のウーファの代わりに4個のウーファ620、622、624および626を含むことを除いては、図2のラウドスピーカと同じである。図6に記された配置は、同業者がサウンド増強用途に使用するために望ましいと考え得る設計である。
【0069】
図6に提供された実施例において、中央のツイータ602は、図6のx軸とy軸の交点として示される、x−軸上の中心点0に取り付けられ得る。ツイータ604、606、608および610はその中心を、y−軸に沿って約+/−42mmおよびx−軸に沿って約+/−30mmの位置(+/−30mm,+/−42mm)に取り付けられる。
【0070】
中間域ドライバ612、614、616および618は、次いでその中心を、y−軸に沿ってその中心点0から約+/−110mmおよびx−軸に沿って約+/−80mmの位置(+/−80mm,+/−110mm)に取り付けられ得る。ウーファ620、622、624および626は、次いでその中心を、y−軸に沿って約+/−300mmおよびx−軸に沿って約+/−180mmの位置(+/−180mm,+/−300mm)に取り付けられる。
【0071】
図1および図2の、それぞれのラウドスピーカシステム100および200と同様に、変換器は、図示されるようにセパレータ636および642によって分離され密閉された区画630、632および634を備える、ハウジング630の中に取り付けられ得る。
【0072】
図7は、図6のマルチウェイラウドスピーカシステム600の信号の流れのブロック図700を示す。図7は、信号の流れの4個のウェイ702、704、706および708を示す。信号の流れは標準的な接続フォーマットを使用することによって実行され得るデジタル入力710を備え、図7に示される4個のウェイのような様々な経路またはウェイを経由して、ドライバに接続される。それぞれの経路またはウェイ702、704、706および708は、それぞれ1個または複数のラウドスピーカドライバと接続される、デジタルFIRフルタ712、714、716、718およびパワーD/Aコンバータ720、722、724、726を含み得る。
【0073】
図7に示されるように、信号の流れのウェイ702は、図6のラウドスピーカシステム600のウーファ620、622、624および626に供給する。信号の流れのウェイ704は、図6のラウドスピーカシステム600の中間域ドライバ612、614、616および618に供給する。信号の流れのウェイ706は、図6のラウドスピーカシステム600のツイータ604、606、608および610に供給し、信号の流れのウェイ708は、図6のラウドスピーカシステム600の中央のツイータ602に供給する。
【0074】
図8は、図7に示された4個のフィルタの、図6に示されたものと同様のラウドスピーカシステムに適用されたときの、周波数応答に対して得られた許容された結果のグラフ800を示す。詳細には、線802はFIRフィルタ712の周波数応答に対する結果を表す。線804はFIRフィルタ714の周波数応答に対する結果を示し、線806はFIRフィルタ716の周波数応答に対する結果を示し、そして線718はFIRフィルタ718の周波数応答の結果を示す。
【0075】
図9は、様々な角度における、結果として得られた水平方向(y−軸)の周波数応答を示すグラフ900である。このグラフは、図3のステップ314を通過した後に得られた、フィルタ周波数応答V(f,q)を示す。通過したことは、結果が要求と合致したことを意味する。詳細には、線902は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線904は5度における周波数応答V(f,q(2))であり、線906は10度における応答V(f,q(3))であり、線908は15度における応答V(f,q(4))であり、線910は20度における応答V(f,q(5))であり、線912は25度における応答V(f,q(6))であり、線914は30度における応答V(f,q(7))であり、そして線916は35度における応答V(f,q(8))であり、全て100Hzと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0076】
図10は、様々な角度における、結果として得られた垂直方向(x−軸)の周波数応答を示すグラフ1000である。詳細には、線1002は結果として得られた垂直方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線1004は5度における周波数応答V(f,q(2))であり、線1006は10度における応答V(f,q(3))であり、線1008は15度における応答V(f,q(4))であり、線1010は20度における応答V(f,q(5))であり、線1012は25度における応答V(f,q(6))であり、線1014は30度における応答V(f,q(7))であり、そして線1016は35度における応答V(f,q(8))であり、全て100Hzと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0077】
図11〜図22は、ホームエンターテイメントに適したラウドスピーカシステムに対する、マルチウェイラウドスピーカの実施例を示す。
【0078】
図11は、x−軸に沿って対称的に組み込まれた一次元(1D)7ウェイラウドスピーカシステム1100の実施例、およびこのシステムの各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図1160を示す。この実施例は、図14および図17に示される二次元(2D)マルチウェイラウドスピーカシステム設計1400および1700に対する基礎として役立ち得、これらのシステム設計はホームエンターテイメント用途、または同業者によって既知の他の適切な用途における使用のために設計され得る。
【0079】
図11に示されるように、一次元7ウェイラウドスピーカシステム1100は、(1)原点に置かれた1個の中央のツイータ1102、(2)中央のツイータ1102の両側にx−軸に沿って+/−0.035mの位置に置かれる、第1のペアのツイータ1104と1106、(3)第1のペアのツイータの両側にx−軸に沿って+/−0.07mの位置に置かれる、第2のペアのツイータ1108と1110、(4)x−軸に沿って+/−0.12mの位置に置かれる、第1のペアの中間域ドライバ1112と1114、(5)x−軸に沿って+/−0.20mの位置に置かれる、第2のペアの中間域ドライバ1116と1118、(6)x−軸に沿って+/−0.34mの位置に置かれる、第3のペアの中間域ドライバ1120と1122、および(7)x−軸に沿って+/−0.54mの位置に置かれる、ペアのウーファ1124と1126、を含み得る。
【0080】
以前に示された実施形態におけるように、ドライバは様々な区画を有するハウジングに含まれ得る。ツイータ1102、1104、1106、1108および1110、および中間域ドライバ1112および1114は、1個の区画1130の中に置かれ得る。区画1130に隣接して置かれセパレータ1132によって一方を分離される区画1136は、中間域ドライバ1116を含む。区画1130の反対側に置かれセパレータ1134によって分離される区画1138は、中間域ドライバ1118を含む。区画1144は中間域ドライバ1120を含み、片側をセパレータ1140によって区画1136から分離され、反対側はウーファ1124を含む区画1152から、セパレータ1148によって分離される。同様に、区画1146は中間域ドライバ1122を含み、片側をセパレータ1142によって区画1138から分離され、反対側はウーファ1126を含む区画1154から、セパレータ1150によって分離される。
【0081】
ラウドスピーカシステム1100はデジタル入力1180を受信し得る。信号のフローダイヤグラム1160は、中央のツイータ1102が、FIRフィルタ1176およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1174によって、供給されることを示す。第1のペアのツイータ1104と1106は、FIRフィルタ1178およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1172によって供給され、第2のペアのツイータ1108と1110は、FIRフィルタ1180およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1170によって供給される。第1のペアの中間域ドライバ1112と1114は、FIRフィルタ1182およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1168によって供給され、一方では第2のペアの中間域ドライバ1116と1118は、FIRフィルタ1184およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1166によって供給される。第3のペアの中間域ドライバ1120と1122は、FIRフィルタ1186およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1164によって供給される。最後に、ペアのウーファ1124と1126は、FIRフィルタ1188およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1162によって供給される。
【0082】
図12は、図11のラウドスピーカシステムの7個のフィルタの周波数特性を示すグラフ1200であり、コスト最小化関数が適用され、得られた結果が十分に小さいか、または所望の用途に対する許容範囲内にあることがすでに知られているものである。1202によって表される線は、FIRフィルタ1176の周波数応答であり、線1204はFIRフィルタ1178の周波数応答であり、線1206はFIRフィルタ1180の周波数応答であり、線1208はFIRフィルタ1182の周波数応答であり、線1210はFIRフィルタ1184の周波数応答であり、線1212はFIRフィルタ1186の周波数応答であり、そして線1214はFIRフィルタ1188の周波数応答である。
【0083】
図13は、様々な角度において計測された、図11のラウドスピーカシステムの結果として得られた水平方向(x−軸)の周波数応答を示すグラフ1300である。このグラフは、図3のステップ314の要求に合致した後に得られた、フィルタ周波数応答V(f,q)を示す。詳細には、線1302は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線1304は10度における周波数応答V(f,q(2))であり、線1306は15度における応答V(f,q(3))であり、線1308は20度における応答V(f,q(4))であり、線1310は30度における応答V(f,q(5))であり、全て100Hzと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0084】
図14は、x−軸およびy−軸に沿って対称的に組み込まれた、二次元(2D)マルチチャンネル7ウェイラウドスピーカシステム1400の実施例を示す。ラウドスピーカシステム1400は、図11のラウドスピーカシステム1100の、ツイータ1104、1106、1108および1110、および中間域ドライバ1112および1114を、ペアに分離することによって得られる。
【0085】
ラウドスピーカシステム1400は、2方向の指向性を制御し、中央のツイータ1402、4組のペアのツイータ1404と1406、1408と1410、1412と1414、および1416と1418、4組のペアの中間域ドライバ1420と1422、1424と1426、1428と1430、および1432と1434、およびペアのウーファ1436と1438、を含む。最初の2組のペアのツイータ1404と1406と1408と1410は、中央のツイータ1402に関して正方形の形状に配置される。第3および第4のペアのツイータ1412、1414、1416および1418は、xおよびy軸に沿って対称的に、より離れた四分円(quadrant)上に置かれる。第1および第2のペアの中間域ドライバ1420、1422、1424および1428は、xおよびy軸に沿って対称的に、さらに遠く離れた四分円上に置かれる。以下においてさらに説明されるように、内側の四分円(inner quadrant)はx−軸に対して45(45)度の角度によって定義される。
【0086】
追加して、中間域ドライバ1428、1430、1432および1434、およびウーファ1436および1438は、x−軸上を直線的に間隔をあけて配置される。ラウドスピーカ1400のドライバの(x,y)座標は、以下のようになり得る。
【0087】
ツイータ1402: (0,0)
ツイータ1404、1406、1408および1410:(+/−35,+/−35)mm
ツイータ1412、1414、1416および1418:(+/−70,+/−70)mm
中間域1420、1422、1424および1426: (+/−120,+/−120)mm
中間域1428および1430: (+/−200,0)mm
中間域1432および1434: (+/−340,0)mm
ウーファ1436および1438: (+/−540,0)mm
図11に示されたラウドスピーカシステムに関してのように、ドライバは、分離され密閉された区画1440、1442、1444、1446、1448、1450および1452を備える仕切板(baffle)1476の中に取り付けられ得る。ツイータ1402、1404、1406、1408、1410、1412、1414、1416および1418、および中間域ドライバ1420、1422、1424および1426は、全て区画1440に含まれ得る。右側においては、区画1440は、三角形の線1460によって表されるセパレータによって、区画1444から分離され得る。区画1444は中間域ドライバ1430を含み、その右側は線1464によって示されるセパレータによって、中間域ドライバ1434を含む区画1448から分離され得る。区画1448の右側に、ウーファ1438を含む区画1452がある。区画1448および1452は、線1468によって表されるセパレータによって、相互に分離され得る。
【0088】
同様に、区画1440はその左側において、三角形の線1462によって表されるセパレータによって、区画1442から分離され得る。区画1442は中間域ドライバ1428を含み、その左側は線1466によって示されるセパレータによって、中間域ドライバ1432を含む区画1446から分離され得る。区画1446の左側に、ウーファ1436を含む区画1450がある。区画1446および1450は、線1470によって表されるセパレータによって、相互に分離され得る。
【0089】
図1および図2のドライバに関してのように、ツイータ1402、1404、1406、1408、1410、1412、1414、1416および1418は約40mm〜50mmの外直径であり得、中間域ドライバ1420、1422、1424、1426、1428、1430、1432および1434は約80mm〜110mmの外直径であり得、またウーファ1436および1438は約120mm〜160mmの外直径であり得る。
【0090】
図15は、図14のラウドスピーカシステム1400の、各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図1500である。図15に示されるように、以前に設定された、同じ位置座標の組を有するドライバごとに、各々異なる経路またはウェイによって供給され、この結果として7個のウェイのラウドスピーカとなる。ラウドスピーカシステム1400はデジタル入力1502を受け取る。中央のツイータ1402は信号の流れのウェイ1504によって供給される。ツイータ1404、1406、1408および1410は信号の流れのウェイ1506によって供給される。ツイータ1412、1414、1416および1418は信号の流れのウェイ1508によって供給される。中間域ドライバ1420、1422、1424および1426は信号の流れのウェイ1510によって供給され、一方では、中間域ドライバ1428および1430は信号の流れのウェイ1512によって供給され、また、中間域ドライバ1432および1434は信号の流れのウェイ1514によって供給される。ペアのウーファ1436および1438は信号の流れのウェイ1516によって供給される。それぞれの信号の流れのウェイは、FIRフィルタ1518およびパワーD/Aコンバータ1520を含む。
【0091】
図16は、図14のラウドスピーカシステム1400の、様々な角度で測定された、結果として得られた垂直方向(y−軸)の周波数応答を表すグラフ1600である。このグラフは、図3のステップ314の要求に合致した後に得られた、フィルタの周波数応答V(f,q)を示す。詳細には、線1602は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線1604は10度における周波数応答V(f,q(2))であり、線1406は15度における周波数応答V(f,q(3))であり、線1608は20度における周波数応答V(f,q(4))であり、線1610は30度における周波数応答V(f,q(5))であり、全て100HZと20kHzとの間の周波数範囲において示される。図16によって見られるように、図14の二次元ラウドスピーカシステム1400に対する垂直方向の周波数応答は、図11の一次元ラウドスピーカシステム1100に対する、図13によって示される水平方向の周波数応答と類似するが、しかし、その周波数以上においてシステムの指向性が現れる下方コーナー周波数については、かなり高い周波数値を有する。
【0092】
図17は、x−軸に沿って対称的に取り付けられた、二次元(2D)5チャンネルマルチウェイラウドスピーカシステム1700の実施例を示す。ラウドスピーカシステム1700は、x−軸にそって対称的に取り付けられた、一対の統合された(integrated)2ウェイステレオスピーカを有するように設計され、特にホームシアター用途向けの使用のために設計されている。以下(図18〜図20)でさらに説明されるように、ラウドスピーカシステム1700は、5個の入力チャンネルL(左)、R(右),C(中央)、LS(左サラウンド)、およびRS(右サラウンド)を有し得る。
【0093】
ラウドスピーカシステム1700は、2個の追加のツイータ1744および1746、および2個の追加のウーファを備えることを除いては、図14のシステムと同じであり、その違いは、外側のウーファはy−軸に関して1736と1738のペア、および1740と1742のペアに分離され、それぞれのペアのウーファ1736と1738、1740と1742の間に置かれた追加のペアのツイータ1744と1746を有することである。ウーファのペア1736と1738、および1740と1742のそれぞれに対して指定されたツイータ1744および1746を有することによって、ラウドスピーカシステム1700は、独立のステレオスピーカチャンネル(例えば、ツイータは分離されたチャンネルによって提供される信号を供給され得る)のアレイを備え得る。独立のステレオスピーカチャンネルの目的は、従来のステレオスピーカおよびアレイによって生成される指向性のサウンドビームによって、統合されたサラウンドサウンドシステムを提供し、リスニングルームの壁面反射を使用して間接的に周囲後方(ambient rear)チャンネルを再生することである。
【0094】
図14に示されたラウドスピーカシステム1400と同様に、図17のラウドスピーカシステム1700は、(1)中央のツイータ1702、(2)中央のツイータ1702に関して正方形の形に配置された、2つのペアのツイータ1704と1706、および1708と1710、(3)x−軸およびy−軸に沿って対称的に、さらに離れた四分円上に置かれた、2つの追加のペアのツイータ1712と1714、および1716と1718、および(4)x−軸およびy−軸に沿って対称的に、一層さらに離れた四分円上に置かれた、2つのペアの中間域ドライバ1720と1722、および1724と1726、を有する。四分円はx−軸に対して45(45)度の角度によって定義される。
【0095】
追加的に、ラウドスピーカシステム1700は、中間域ドライバ1728、1730、1732および1743を含み、これらはx−軸を直線的に間隔をあけて配置される。ラウドスピーカシステム1700のドライバの(x,y)座標は、以下のようであり得る。
【0096】
ツイータ1702: (0,0)
ツイータ1704、1706、1708および1710:(+/−35,+/−35)mm
ツイータ1712、1714、1716および1718:(+/−70,+/−70)mm
中間域1720、1722、1724および1726:(+/−120,+/−120)mm
中間域1728および1730: (+/−200,0)mm
中間域1732および1734: (+/−340,0)mm
ツイータ1744および1746: (+/−540,0)mm
ウーファ1736、1738、1740および1742(+/−540,+/−90)mm
図1、図2、図6、図11および図14に示されたラウドスピーカシステムに関するように、ラウドスピーカシステム1700のドライバは、線1766、1768、1770、1772、1774および1776によってそれぞれ表されるセパレータによって相互に分割される、分離され密閉された区画1752、1754、1756、1768、1760、1762および1764を備える仕切板またはハウジング1750の中に取り付けられ得る。
【0097】
図18〜図20は、図17のラウドスピーカシステム1700の、5個の入力信号に対する信号の流れのブロック図を示す。図18は、図17のラウドスピーカシステム1700のための、サラウンドチャンネルに対する信号の流れのブロック図1800である。システム1700の右および左サラウンドチャンネルに対する信号の流れは、遅延値(delay value)が異なることを除いては、同一であるので、以下にさらに記載するように、図18のブロック図1800は、左および右の両方のサラウンドに対する信号の流れの経路を表す。従って、左および右の両方のサラウンド入力信号は、図18に示されるものと同様の信号経路システムを経由して伝達する。それぞれの出力信号の和が、図18に記されるように、次いで計算され、変換器に接続される。FIRフィルタの出力は、その周波数応答は図12に示されており、遅延ラインD0およびペアの遅延ラインD+/−(1,・・・,6)に、それぞれ接続される。
【0098】
図18の信号の流れのブロック図1800は、下記の方程式に従って、遅延が各経路に
加えられることを示す。
【0099】
Δt=p/c・sinα,(p=ドライバの座標(メートル)、c=345m/sec(音速))
ここで主サウンドビームは、それ以外のときは主軸に対して垂直であるが、角度αの所望の方向に向けられ得る。αに対する代表的な値は、左のサラウンドに対しては−(40,・・・,60)度、および右のサラウンドに対しては+(40,・・・,60)度であり、これは角度αおよび−αの方向の側壁に向けてサウンドビームが形成され向けられて、壁で跳ね返ることによって、サラウンド信号として聴取者に届くことを意味する。
【0100】
図18に示されるように、信号の流れの経路図1800は、右および左サラウンドサウンドチャンネルのためのデジタル入力1802および1804に対する、それぞれの流れの経路を示す。経路1806に対するFIRフィルタ1822の出力は、遅延ライン(D0)1840に接続され、それは中央のツイータ1702に接続される。経路1808に対するFIRフィルタ1824の出力は、遅延ライン(D−1)1842および(D+1)1844に並列に接続される。遅延ライン1842は右のペアのツイータ1708と1710に接続され、遅延ライン1844は左のペアのツイータ1704と1706に接続される。同様に、経路1810に対するFIRフィルタ1826の出力は、遅延ライン(D−2)1846および(D+2)1848に並列に接続される。遅延ライン1846は右のペアのツイータ1716と1718に接続され、遅延ライン1848は左のペアのツイータ1712と1714に接続される。遅延ライン(D−3)1850および(D+3)1852は、中間域ドライバ1720と1722、および1724と1726に、それぞれ接続され、それらは経路1812に並列に接続され、それはFIRフィルタ1828に対する出力経路である。
【0101】
中間域ドライバ1728および1730は、遅延ライン(D+4)1856および(D−4)1854にそれぞれ接続され、それはFIRフィルタ1830に対する出力経路1814である。中間域ドライバ1732および1734は、遅延ライン(D+5)1862および(D−5)1860にそれぞれ接続され、それはFIRフィルタ1832に対する出力経路1816である。
【0102】
右のペアのウーファ1740と1742は遅延ライン(D−6)1864に接続され、
左のペアのウーファ1736と1738は遅延ライン(D+6)1866に接続される。遅延ライン(D+6)1866および遅延ライン(D−6)1864は、FIRフィルタ1834に対する出力経路1820に並列に接続される。
【0103】
図19は、図17のラウドスピーカシステムのための、右および左チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。左および右チャンネルは、従来の2ウェイスピーカのように統合される。左チャンネルは、ビーム形成アレイの部分でないツイータ1744、およびウーファ1736および1738から成る。右チャンネルは、ツイータ1746および、ウーファ1740および1742から成る。
【0104】
図19によって示されるように、左および右チャンネルに対する信号処理1900は、ステレオ基底(basis)を拡げるためにHDフィルタ1910およびHIフィルタ1912から成るステレオ拡張(widening)回路、および低域(low pass)フィルタ1914およびHP高域(high pass)フィルタ1916を有するクロスオーバー回路、を使用する。
【0105】
図20は、図17のラウドスピーカシステム1700のための中央チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。中央チャンネルは、図3で定められたように決定された係数を有するFIRフィルタを伴う、ツイータ1702、1704、1706、1708、1710、1712、1714、1716および1718、および中間域ドライバ1720、1722、1724および1726の、内側のアレイによって再生される。
【0106】
中央チャンネルに対するデジタル信号の出力2010は、4個の信号経路2002、2004、2006および2008に分割され、各経路はそれぞれFIRフィルタ2012、2014、2016および2018を有し、またパワーD/Aコンバータ2020、2022、2024および2026を、それぞれ有する。経路2002は中央のツイータ1702に供給する。経路2004は最も内側の四分円のツイータ1704、1706、1708および1710に供給する。経路2006は最も外側の四分円のツイータ1712、1714、1716および1718に供給し、経路2008は中央の四分円の中間域ドライバ1720、1722、1724および1726に供給する。
【0107】
図21は、図17のラウドスピーカシステムの、中央チャンネル(図20)に使用される4個のFIRフィルタの、周波数応答を示すグラフ2100である。線2102はFIRフィルタ2012の周波数応答を表し、線2104はFIRフィルタ2014の周波数応答を表し、線2106はFIRフィルタ2016の周波数応答を表し、線2108はFIRフィルタ2018の周波数応答を表す。
【0108】
図22は、図17のラウドスピーカシステム1700の中央チャンネル出力(図20)の、様々な角度で測定された、結果として得られた水平方向(x−軸)の、そして垂直方向(y−軸)も同じの、周波数応答を表すグラフ2200である。このグラフは、図3のステップ314の要求に合致した後に得られた、フィルタの周波数応答V(f,q)を示す。詳細には、線2202は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線2204は5度における周波数応答V(f,q(2))であり、線2206は10度における周波数応答V(f,q(3))であり、線2208は15度における周波数応答V(f,q(4))であり、線2210は20度における周波数応答V(f,q(5))であり、線2212は25度における周波数応答V(f,q(6))であり、線2214は30度における周波数応答V(f,q(7))であり、線2216は35度における周波数応答V(f,q(8))であり、全て100HZと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0109】
本発明の様々な実施形態が記載されてきたが、さらに多くの実施形態および実行例が、本発明の範囲内において可能であることは、同業者にとって明らかであろう。従って、発明は、添付の請求項およびその均等物を考慮に入れる場合を除いて、制限されるべきではない。
【0110】
本発明は、手頃な寸法のラウドスピーカの形態、およびデジタル信号処理の領域で作動するフィルタ設計の方法論を提供する、マルチウェイ・ラウドスピーカシステムである。さらにラウドスピーカシステムは、二次元平面内で対称的に配置されたラウドスピーカドライバを備えるマルチウェイラウドスピーカシステムとして設計されることができ、高品質のサウンド、すなわち垂直および水平の両面の広い範囲にわたる一定の指向性を達成することができ、またステレオラウドスピーカシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステムおよび公共案内放送システムと結合して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】y−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、一次元4ウェイラウドスピーカシステムの例、およびシステム内の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。
【図2】x−軸およびy−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、二次元4ウェイラウドスピーカシステムの例、およびシステム内の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。
【図3】ラウドスピーカシステムを設計するために使用される、フィルタ設計アルゴリズムのフローチャートである。
【図4】角度に依存する減衰に対する、指向性目的関数を示すグラフである。
【図5】取り付けられたあるツイータの、様々な垂直方向の軸外れ偏位角度で測定された振幅周波数応答を示すグラフである。
【図6】x−軸およびy−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、別の二次元4ウェイラウドスピーカシステムの例を示す。
【図7】図6に示された各ラウドスピーカドライバへの、信号の流れのブロック図である。
【図8】図6のラウドスピーカシステムの、4個のフィルタの周波数応答を表す。
【図9】様々な角度で測定された、図6のラウドスピーカシステムの結果として得られた水平方向(y−軸)周波数応答を示す。
【図10】図9に示された水平方向応答と対応する、図6のラウドスピーカシステムの結果として得られた垂直方向(x−軸)周波数応答を示す。
【図11】y−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、一次元(1D)7ウェイラウドスピーカシステムの実施例、およびシステム内の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。
【図12】図11のラウドスピーカシステムの、7個のフィルタの周波数応答を示す。
【図13】様々な角度で測定された、図11のラウドスピーカシステムの結果として得られた水平方向(x−軸)周波数応答を示す。
【図14】x−軸およびy−軸に沿って対称に取り付けられた、二次元(2D)マルチチャンネル7ウェイラウドスピーカシステムの実施例を示す。
【図15】図14のラウドスピーカシステムの各ラウドスピーカドライバへの、信号の流れのブロック図である。
【図16】様々な角度で測定された、図14のラウドスピーカシステムの結果として得られた垂直方向(y−軸)周波数応答を示す。
【図17】x−軸およびy−軸に沿って対称に取り付けられホームシアター用途のために設計された、二次元(2D)5チャンネルマルチウェイラウドスピーカシステムの実施例を示す。
【図18】図17のラウドスピーカシステムに対する、右および左サラウンドチャンネルに対する信号の流れのブロック図である。
【図19】図17のラウドスピーカシステムに対する、右および左チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。
【図20】図17のラウドスピーカシステムに対する、中央チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。
【図21】図17のラウドスピーカシステムの中央チャンネルの4個のフィルタの周波数応答を示す。
【図22】様々な角度で測定された図17のラウドスピーカシステムの中央チャンネルの、結果として得られた水平方向(x−軸)周波数応答を示す。
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は概して、マルチウェイラウドスピーカシステムに関する。詳細には、二次元平面内に対称的に配置されたラウドスピーカドライバにより構成され、ステレオラウドスピーカシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステム、および公共案内放送システムとの組合わせ使用において高品質なサウンドを達成し得る、マルチウェイラウドスピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカの設計者は、システム内の必要な増幅器(例えば、ウェイ)の数に対すると同様に、変換器(例えば、ドライバ)の寸法および数に対する制約があるにもかかわらず、周波数バンドの広い範囲にわたって高品質のサウンドを達成する、制御された指向性を有するラウドスピーカシステムの設計に、常に努力している。広い周波数範囲にわたってこのような高品質のサウンドを実現することは、可聴周波数バンドの専属の(dedicated)各部分に対する変換器の寸法が変化することと、変換器相互の間の間隔に対する制約とのために、困難な課題とされてきた。
【0003】
可聴周波数範囲に対する高品質なラウドスピーカは、可聴周波数バンドの専属の各部分に対して専用の、複数のドライバを一般に採用し、それはツイータ(一般に2kHz〜20kHz)、中間域ドライバ(一般に200Hz〜5kHz)、およびウーファ(一般に20Hz〜1kHz)などである。一般により高い周波数のドライバは、より低い周波数のドライバよりも寸法がより小さい。
【0004】
高いサウンド品質を達成するためには、ラウドスピーカの中でドライバを可能な限り相互に接近して置くことが望ましい。しかしながら、専用のドライバの物理的な寸法のために、ドライバを相互に近接して置く可能性は限られる。ドライバが相互に離れて置かれるほど、より多くの音響的な問題が生じる。
【0005】
ドライバ自身の物理的な寸法に起因するドライバ相互の間隔のために、その間隔が放射されるサウンドの波長と同程度であるので、ドライバの音響的な出力は、通常アコースティックセンターと呼ばれるラウドスピーカに垂直な1本の線上のみにおいて加え合わされて、意図された周波数に依存しない平坦な応答が得られる。その軸から外れた点においては、各ドライバから空間の考慮する点までの、音波の到達経路長さが異なることによる干渉のために、周波数応答は多かれ少なかれ、歪みを生じる。したがって、大きな空間において、軸から外れた位置でも滑らかな応答が得られるように、制御されたサウンド空間(field)を有するラウドスピーカを構成するための多くの試みが、歴史的に存在してきた。
【0006】
公共の空間などの、大きな空間においてサウンド空間を制御するための現在の技術は、一様に配置された音を強めるためのホーンを使用することである。しかしながら、一様に配置されたホーンの使用には、欠点がある。一様に配置されたホーンは、制約された周波数範囲、固定され方向変換不可能な極性パターン、および比較的高い歪みを有するからである。
【0007】
現在のホームエンターテイメントのサラウンドサウンドのための二次元アレイ、いわゆるサウンドプロジェクタは、同一の小型の、広いバンドのドライバを直線的に間隔をとって配置したアレイである。この種類のアレイは、複数のサウンドビームを生成することができ、そのサウンドビームは室内に放射し、壁面から聴取者への跳ね返りの間に、所望のサウンド効果を生成する。しかしながら、二次元の、直線的に間隔をとって配置したアレイのドライバは同一のものであり、サウンドプロジェクタの最大の音圧および音響品質は変換器の性能によって制限されるが、それは一般に、専属の周波数バンドに対して最適化されたドライブユニットと比較して、劣るものである。さらに、サウンドプロジェクタは、全て個別に駆動される必要のある非常に多数のドライバを使用し、そのために実行上非常な複雑さおよび高いコストをもたらす。
【0008】
このように、増幅器と同様に最少数の変換器を使用し、変換器はツイータ、中間域ドライバまたはウーファなどの可聴周波数バンドにわたる専用のドライバを使用することによって高性能に最適化される、高品質の、歪みの少ない、二次元のラウドスピーカの構成に対するニーズが、依然として存在する。ホーンのアレイを使用する固定された装置とは異なり、オンサイトでビームの幅および方向の角度を電子的に変更する、二次元ラウドスピーカの構成に対して、さらなるニーズが依然として存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要約)
(項目1)
少なくとも2つの異なる寸法の複数の変換器を有するラウドスピーカであって、該複数の変換器は第1の軸に関しておよび該第1の軸に対して垂直な第2の軸に関して対称的に配置されており、該ラウドスピーカは、
該第1の軸または第2の軸のいずれの上でもない位置に、該ラウドスピーカに沿って(along the loudspeaker)、その中心が置かれる変換器を含む、ラウドスピーカ。
【0010】
(項目2)
上記第1および第2の両方の軸に関して相互に対称的に配置された、ラウドスピーカの上記変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0011】
(項目3)
上記少なくとも2つの異なる寸法の上記複数の変換器は、ツイータおよび中間域ドライバである、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0012】
(項目4)
上記少なくとも2つの異なる寸法の、上記複数の変換器は、ツイータおよびウーファである、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0013】
(項目5)
上記少なくとも2つの異なる寸法の、上記複数の変換器は、中間域ドライバおよびツイータである、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0014】
(項目6)
上記複数のドライバは、ツイータ、中間域ドライバおよびウーファを含む、項目1の記載のラウドスピーカ。
【0015】
(項目7)
上記複数の変換器の1つは、上記第1および第2の軸の交点に、その中心が置かれる、項目1に記載のラウドスピーカ。
【0016】
(項目8)
上記中央の変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、項目7に記載のラウドスピーカ。
【0017】
(項目9)
各FIRフィルタに対する線形位相フィルタ係数は、初期のドライバ位置を確定することと、システムに対する初期の指向性目的関数を確定することと、該初期の指向性目的関数に基づいてコスト最小化関数を適用することと、該システムの各フィルタに対する線形位相フィルタ係数を計算することと、によって決定される、項目2に記載のラウドスピーカ。
【0018】
(項目10)
上記初期のドライバ位置は、ラウドスピーカのの中心である原点に関連する座標である、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0019】
(項目11)
上記確定された初期指向性目的関数に基づいて、所定の周波数範囲の対数目盛り上に周波数ポイントが確定される、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0020】
(項目12)
上記コスト最小化は、最少の周波数から始まりステップ状に増加し、上記周波数ポイントにおいて適用される関数である、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0021】
(項目13)
上記線形位相フィルタ係数を確定する(establish)ために、フーリエ近似法が使用される、項目9に記載のラウドスピーカ。
【0022】
(項目14)
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該アレイが配列されている該軸上に中心を有する該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアは、置き換えに際して、該ペアの内の1個の変換器が該アレイが配列されている該軸の片側に配置され、該ペアの別の変換器が該アレイが配列されている該軸の反対側において該アレイが配列されている該軸から同じ距離に配置され、対向するペアは該アレイが配列されている該軸に対して直角方向の該軸から同じ距離に配置されるように、置き換えられる、方法。
【0023】
(項目15)
上記ペアの変換器は、少なくとも1個のデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1個のパワーD/Aコンバータから受け取る、項目14のラウドスピーカ。
【0024】
(項目16)
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアの変換器は、該アレイが配列されている該軸に沿った点で、該軸に関して相互に鏡像の位置に配置され、その結果として該アレイが配列されている該軸の該指向性が維持される、方法。
【0025】
(項目17)
少なくとも2つの異なる寸法の少なくとも5個の変換器を備えるラウドスピーカシステムであって、
該少なくとも5個の変換器は、第1の軸および該第1の軸に対して直角な第2の軸の両方に関して対称的に配置され、少なくとも1組の実質的に同一の変換器のペアが、その中心を該第1の軸に関して相互に平行に置かれ、該ペアの内の1つの変換器が該第2の軸の片側に置かれ、該ペアの中の他の変換器が該第2の軸の反対側に、該軸からの距離が該ペアの他の変換器と同じ距離となるように置かれている、ラウドスピーカシステム。
【0026】
(要約)
本発明は、高忠実度(ハイファイ)ステレオシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステムまたは公共案内放送システムにおける高品質サウンドを生成することができる、マルチウェイアレイラウドスピーカである。
【0027】
一実施形態においては、アレイは1個のハウジングの中に配置された、または1個のユニットにアセンブルされた、複数のツイータ、中間域ドライバおよびウーファを含み、そのハウジングまたはユニットはドライバのカップリングを避けるために、いくつかのドライバを相互に分離する密閉された区画を有する。アレイは入力から個別のラウドスピーカドライバへ、または複数のドライバへの様々な信号経路を有する、シングルチャンネルであり得る。それぞれの信号経路はデジタル入力を備え、デジタルFIRフィルタ、単一のドライバまたは複数のドライバと接続されるD/Aコンバータおよび電力増幅器、またはいわゆるパワーD/Aコンバータを含む。
【0028】
アレイの中のラウドスピーカの性能、位置および配置が、ラウドスピーカの各信号の流れの経路の中の各FIRフィルタに対する係数を確定する、フィルタ設計アルゴリズムによって決定され得る。当該の周波数範囲内の対数目盛上の周波数ポイントにおいて定義される、初期のドライバ位置および初期の指向性目的関数を使用して、コスト最小化関数が所定の周波数ポイントに対して適用される。コスト最小化関数の適用によって得られた結果が、システムの性能要求に合致しない場合には、ドライバの位置が修正され得、得られる結果がシステムの要求に合致するまで、コスト最小化関数が再適用され得る。得られた結果がシステムの要求と合致したときには、1つの経路内の線形位相FIRフィルタのそれぞれに対するフィルタ係数が、フーリエ近似法または他の周波数サンプリング法を使用して計算される。
【0029】
本発明のマルチウェイラウドスピーカは、内蔵のDSP処理、D/Aコンバータおよび増幅器を含み得、またデジタルネットワーク(例えば、IEEE1394標準)と接続され得る。さらに、本発明のマルチウェイラウドスピーカシステムは、その手頃な寸法のために、壁に取り付け可能なサラウンドシステムとしても設計され得る。
【0030】
マルチウェイラウドスピーカシステムは、寸法の異なる、生成される歪みが少ない、高出力を取り扱う、ドライバを採用し得、なぜならば専用のドライバは、広いバンドの同一ドライバのアレイとは異なり、その専属の周波数バンドの中で最適に作動することができるからである。本発明のマルチウェイスピーカ設計はまた、軸から外れた(out−of−axis)位置においてなめらかな応答を有するために、室内の応答のより良い制御を提供する。システムはさらに、全サウンドパワーと同様に反射されたサウンドの周波数応答を制御し、床および天井の反射を抑制することができる。
【0031】
本発明の、他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な記載内容を吟味することによって、同業者にとって明白となるであろう。これら全ての付加的なシステム、方法、特徴および利点は、この記載内容に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の請求項によって保護されることが、意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、以下の図面を参照することによって、より良く理解することができる。図面の中の構成部品は必ずしも正しい尺度で描かれているとは限らず、発明の原理を表すためにむしろ強調されている。さらに図面の中において同じ参照番号は、異なる図面において対応する部分を指定する。
【0033】
図1は本発明の基礎となる一次元(1D)マルチウェイラウドスピーカ100の実施例、およびシステム100の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。図1に示されるように、マルチウェイラウドスピーカ100は、(1)第1のパワーD/Aコンバータ103と接続される中央のツイータ102、(2)第2のパワーD/Aコンバータ105と接続される2個の追加のツイータ104および106、(3)第3のパワーD/Aコンバータ107と接続される2個の中間域ドライバ108および110、および(5)第4のD/Aコンバータ109と接続される2個のウーファ112および114、を有する4ウェイラウドスピーカとして設計され得る。それぞれのラウドスピーカと増幅器との間の接続は、マルチウェイラウドスピーカの中の異なるウェイを表す。
【0034】
図1において、変換器(transducer)としても呼称されるドライバは、図示されるようにセパレータ132および134によって分離され密閉された区画120、122、および124から成るハウジング116の中に取り付けられ得る。ドライバを分離され密閉された区画内に取り付けることによって、隣同士のドライバのカップリングが最少化される。図1には様々な区画が見られるが、ラウドスピーカシステムは、完成した製品として具体化されたときには、区画は消費者から見えないように設計され得る。ウーファ112を含む区画124は、中間域ドライバ108および110、およびツイータ102、104および106を含む区画120から、セパレータ132によって分離され得る。同様にウーファ114を含む区画122は、中間域ドライバ108および110、およびツイータ102、104および106を含む区画120から、セパレータ134によって分離され得る。全てのツイータ102、104、106は中間域ドライバ108および110と同じ区画120に含まれ得、なぜならばツイータ102、104および106は一般に密閉されており、ツイータ102、104および106を中間域ドライバから分離する必要性がないからである。
【0035】
図1は中央のツイータ102、ツイータ104および106、中間域ドライバ108、110および低周波数ウーファ112および114を示し、これらはy−軸に沿って直線的に、かつ中央のツイータ102に関して対称的に組み込まれている。代表的な配置は、約40mm〜50mmの外直径のツイータ102、104および106、約80mm〜110mmの外直径の中間域ドライバ108および110、および約120mm〜250mmの外直径のウーファ112および114を含み得る。一般的には、変換器コーンの寸法は、所望の使用目的および所望のアレイ寸法に基づいて変わり得る。さらに、変換器はネオジウム磁石を使用し得るが、その特定の種類の磁石を使用することは、記載される用途に対して必ずしも必要ではない。
【0036】
直径50mmのツイータ、110mmの中間域ドライバおよび160mmのウーファを使用するとき、システムの実施例は、y−軸上のx軸およびy軸の交差点である中心点0に組み込まれた、中央のツイータ102を含み得る。ツイータ104および106は、その中心を中心点から約+/−60mmの位置に組み込まれ得る。中間域ドライバ110および108は、次いでその中心を中心点0から約+/−150mmの位置に組み込まれ得る。低周波ウーファ112および114は、次いでその中心を中心点から約+/−300mmの位置に組み込まれ得る。
【0037】
図1はまた、マルチウェイラウドスピーカシステムの信号の流れのブロック図140をも示す。図1は信号の流れ142、144、146および148の4個のウェイを示すが、チャンネルは2またはそれ以上のウェイに分割され得る。信号の流れは、SPDIFまたはIEEE1394およびそれらの派生物などの、標準的な接続フォーマットを使用して実行され得るデジタル入力150を備え、図1に示されるような様々な経路またはウェイを経由してドライバに接続されることができる。それぞれの経路またはウェイ142、144、146および148は、デジタルFIRフィルタ152、およびそれぞれ1個のまたは複数個のラウドスピーカドライバに接続される、パワーD/Aコンバータ103、105、107および109を含み得る。パワーD/Aコンバータ103、105、107および109は、従来のオーディオD/Aコンバータ(図示されていない)およびパワー増幅器(図示されていない)のカスケードによって、または直接デジタル入力を有するクラスDパワー増幅器(図示されていない)によって、実現され得る。FIRフィルタ152は、デジタル信号処理器(DSP)(図示されていない)によって実行され得る。ラウドスピーカドライバは、図示されているようなツイータ、中間域ドライバまたはウーファであり得る。
【0038】
作動においては、複数のFIRフィルタ152のそれぞれの出力は、複数のパワーD/Aコンバータ103、105、107および109に接続され、次いでハウジング116の仕切り板(baffle)に取り付けられた複数のラウドスピーカドライバ102、104、106、108、110、112、および114に供給される。104と106のように1個より多いドライバが、パワーD/Aコンバータ103、105、107および109を含む経路またはウェイ142、144、146および148に、並列に接続され得る。
【0039】
図2は、図1のツイータ104と106および中間域ドライバ108と110をペアに分離することによって得られる、二次元マルチウェイラウドスピーカ200を示す。以下でさらに説明するとおり、ペアをなすドライバは相互に電気的に結合され得、図1の一次元(1D)マルチウェイラウドスピーカ100と同じフィルタによって供給され得る。従って、y−軸に沿った指向性は影響を受けず、遠距離空間においては当初に規定されたものと同じ指向性が保たれる。しかしながら新しい指向特性が、所望のとおりx−軸に沿って導入され得る。
【0040】
詳細には、図2は4個の追加のツイータ204、206、208および210によって円形に囲まれた中央のツイータ202を有する、1チャンネル二次元4ウェイラウドスピーカ200を示す。さらに、ラウドスピーカ200は4個の中間域ドライバ212、214、216および218、および2個のウーファ220および222を含む。
【0041】
ツイータ204、206、208および210、中間域ドライバ212、214、216および218、および2個のウーファ220および222は全て、中央のツイータ202に関して対称的に、y−軸に沿って直線的に整列されている。ペアのツイータ204と206、およびペアのツイータ208と210は、それぞれ中央のツイータ202の片側に、x−軸によって定義される中心線より上方および下方に、置かれる。同様にペアの中間域ドライバ212と214は、ツイータ202、204、206、208および210の上方に位置し、他のペアの中間域ドライバ216と218は、ツイータ202、204、206、208および210の下方に位置し、x−軸によって定義される中心線に関して対称的に置かれる。
【0042】
図1のラウドスピーカシステム100と同様に、図2のラウドスピーカシステムは約40mm〜50mmの外直径のツイータ202、204、206、208および210、約80mm〜110mmの外直径の中間域ドライバ212、214、216および218、および約120mm〜250mmの外直径のウーファ220および222を含み得る。以前に述べたとおり、変換器コーンの寸法は所望の用途および所望のアレイ寸法に基づいて変わり得る。
【0043】
一般に、n個のウェイを有するシステムの設計は、特定の指向性目的関数に関して、最適の位置座標y0,+/−(y1,y2,y3,・・・,yn−1)、およびフィルタFIR(0,1,2,3,・・・,n−1)に対するフィルタ係数を得る。nが4に等しく与えられた例において、二次元アレイを生成する場合には、添字(1,・・・,m)、m≦nを有するドライバはペア(ここではm=1およびm=2)に分離され得る。また、対応するx−軸座標は+/−(x1,x2,・・・,xm)であり、一方y−座標は一次元設計の値がそのまま変化せずに残る。
【0044】
二次元ラウドスピーカシステム200におけるy−座標は、図2に示されるように、ドライバの物理的寸法よりも小さく設計され得、なぜならばドライバを分離しx−軸方向に移動することによってスペースが得られるからである。このように二次元設計からは付加的な自由度が得られ、それは一般的にはさらなる性能の改善をもたらす。
【0045】
x−軸に沿った指向性は、位置のパラメータx1,・・・,xmの最適化によって、およびmの値自身によって、適合され得る。添字(m+1),・・・,n−1を有するドライバは分離されず、その元の位置に残る。このことは、x−軸に関するアレイは、y−軸に関して設計された本来の標準的アレイの切捨形(truncated)バージョンであることを意味する。従って、指向性関数はより高いコーナー周波数を示す。
【0046】
係数x1,・・・,xmは、なめらかな、周波数に依存しない指向性関数がx−軸に沿って得られるように、最適化され得る。x1<y1,x2<y2,・・・の場合には、アレイのx−軸方向に関する指向性は少ない。x1=y1,x2=y2,・・・の場合には、高い周波数において両者は等しい。
【0047】
図2に提供された実施例において、中央のツイータ202は図2に示されるように、x−軸とy−軸との交点である、y−軸上の中心点0に組み込まれ得る。ツイータ204、206、208および210はその中心を、x−軸に沿って約+/−30mmおよびy−軸に沿って+/−42mmの位置(+/−30mm,+/−42mm)に組み込まれる。
【0048】
中間域ドライバ212、214、216および218は次いでその中心を、x−軸に沿って中心点0から約+/−80mmおよびy−軸に沿って約+/−120mmの位置(+/−80mm,+/−120mm)に、組み込まれ得る。ウーファ220および222は次いでその中心を、中心点から約+/−300mmの位置(+/−0mm,+/−300mm)に組み込まれる。
【0049】
図1のラウドスピーカシステム100と同様に、変換器は、図示されるようにセパレータ242および244によって分離され密閉された区画232、234および236を備えるハウジング230に、組み込まれ得る。ウーファ220を含む区画232は、セパレータ242によって、中間域ドライバ212、214、216および218、およびツイータ202、204、206、208および210を含む区画236から分離され得る。同様にウーファ222を含む区画234は、セパレータ244によって、中間域ドライバ212、214、216および218、およびツイータ202、204、206、208および210を含む区画236から分離され得る。
【0050】
図2はまた、マルチウェイラウドスピーカシステム200の、信号の流れのブロック図250をも示す。図2は信号の流れの4個のウェイ252、254、256および258を示す。信号の流れは、標準的な接続フォーマットを使用して実行され得るデジタル入力264を備え、図2に示される4個のウェイのような、様々な経路またはウェイを経由してドライバと接続される。それぞれの経路またはウェイ252、254、256および258は、1個のまたは複数のラウドスピーカドライバと接続されるデジタルFIRフィルタ260およびパワーD/A変換器262を含み得る。
【0051】
図3は、本発明のラウドスピーカシステムを設計するために使用される、フィルタ設計アルゴリズム300のフローチャートである。フィルタ設計アルゴリズム300の目的は、ラウドスピーカのそれぞれの信号の流れ経路に対応する、それぞれのFIRフィルタに対する係数を決定することである。以下にさらに詳細に示されるように、初期のドライバの位置および初期の指向性目的関数が、最初に決定される(310)。初期のスピーカおよびドライバの位置または設計配置は、所望のスピーカ寸法、使用目的、製造上の制約条件、美的趣味または他の製品設計上の局面などの、用途に依存する多数の様々な変数に従って設計され得る。次いでドライバの座標が、主軸に沿ってそれぞれのドライバに対して規定される。次いで、指向性目的関数に対する初期の推定値が設定され、それは対数目盛り上で問題の間隔の範囲内で周波数ポイントを設定することを含む。次いで、規定された周波数ポイントにおいてコスト関数が最小化される(312)。ステップ314で、その結果がシステムの性能要求と合致しない場合には、ドライバの位置が修正され、そしてコスト最小化関数が再び適用される(316)。結果が要求と合致するまで、このサイクルが繰り返され得る。結果が要求と合致する場合には、線形位相フィルタ係数が計算される(318)。ドライバを等化(イコライズ)するための、および位相シフトを補償するための、およびビームの向きの調整を可能にするための、追加的な計算がまた実行され得る(320)。
【0052】
最初のステップ310において、初期のドライバの位置および初期の指向性目的関数が設定される。以前に述べたとおり、ドライバの数、位置、寸法および方向は、第一義的には製品設計の局面によって決定される。方向が決定されたならば、次いで初期の座標値が主軸上のN個のドライバに対して、初期のドライバ座標p(n)、n=1,・・・,Nとして規定され得る。例えば図1に示される一次元(1D)アレイにおいては、N=7:p(n)=[−0.30,−0.15、−0.06、0、0.06,0.15,0.30]m(メートル)である。図2に示される二次元(2D)アレイにおいては、N=7:p(n)=[−0.30,−0.12,−0.042,0,0.042,0.12,0.30]mである。
【0053】
図2に描かれるように、二次元の配置がxおよびyの両軸に関して対称的である場合には、二次元配置に対する設計プロセスは1つの次元に対して、例えば上述したように主軸に関して、実施することができる。対称性のゆえに同じ指向性特性が、より高いコーナー周波数を除いて、他の軸に関しても得られる。
【0054】
初期の指向性目的関数を決定するためには、特定の角度qにおけるドライバの所望の性能に基づいて決定される、指向性目的関数T(f,q)に対する初期推定値が規定されることが必要である。図4は、5個の特定の角度qにおける、角度に依存する減衰に対する目的関数の1組の例を示す。指向性目的関数は、予定されるサウンドレベル減衰量をdBにより規定(y軸)し、それは無反響の環境でスピーカから十分に大きな距離(スピーカの寸法よりも大きい)において、原点(中央のツイータ)に対する垂直線からの角度qにおいて、様々な周波数において測定されることができる。周波数ベクトルfは、当該の周波数間隔、例えば100Hz,・・・,20kHzの範囲内の対数目盛り上で、周波数ポイントの組、例えば100を規定する。
【0055】
角度ベクトルq(i)、i=1,・・・,Nqは、最適化が実施される角度の組を規定する。図4は、5個の角度における指向性に対する、初期の推定値を示すが、
(Nq=5):q=[0,10,20,30,40]°、
大部分の場合には、2個の角度、例えばNq=2、のみに対して指向性を規定することで十分であり得る。この場合、目的とされる指向性は外側の角度、例えば40度および、軸上でゼロの指向性が規定される、0度において規定され得る。例えばq=[0,40]°である。
【0056】
軸上の目的関数を除いて、各角度における目的関数は、f=0におけるT=0dBから特定の周波数fc(例えばfc=350Hz)におけるT<0dBの値まで、両対数目盛り上で直線的に減少し、その後は一定値を保つ。軸上の目的関数402は、全周波数範囲にわたって0dBの一定値を保つ。10(10)度404、20(20)度410、30(30)度412、および40(40)度414の目的指向性関数は、全てT=0dBから始まり、図4においては350Hzによって表されるfcに関数が到達するまで、両対数目盛り上を下降し、その後は問題の周波数範囲にわたって一定値を維持する。
【0057】
初期のドライバ位置および初期の指向性目的関数が決定された後に、次のステップ312が、所定の周波数ベクトルポイントfにおいてコスト関数F(f)を最小化する。この最小化は、最少の周波数増加ステップ、例えば100HZ、によって始まり、得られた解を次のステップのための初期解として、それぞれに使用し、下記の方程式を使用することによって行われる。
【0058】
【数1】
および
【0059】
【数2】
ここで、Hm(n,f,q)は、対象のドライバn、周波数f、および角度qに対する、軸上(角度0)で得られる応答に対して正規化された、測定された振幅周波数応答の組であり、その例は図5に示されている。図5は、ある取り付けられたツイータの、様々な垂直偏差角度において測定され、軸上の値に対して正規化された周波数応答500を示す。図5において、線502は軸上の応答を表し、線504は10度において測定された周波数応答であり、線506は20度における応答であり、線508は30度における応答であり、線510は40度において測定された周波数応答であり、全て1kHzと20kHzとの間の周波数範囲において測定される。
【0060】
さらに、最小化は、チャンネルフィルタCopt(n,f)の実数値周波数ポイントを、間隔[0,1]の範囲内で、変化させることによって実行され、ここでnはドライバの符号、fは周波数である。さらに、下記の制約条件
Copt(n,f)=0、 f>fo、f<fu
が、特定のドライバnの特性に応じて、満足される必要がある。例えば、ウーファの例においては、上方の作動限界はfo=1kHzであり、ツイータに対しては下方の作動限界はfu=2kHzであり、中間域ドライバに対してはfu=300Hz、fo=3kHzであり得る。
【0061】
上記記載されたコスト関数最小化の手順は、The MathWorks、Inc.によって所有され配布されるMatlab(登録商標)ソフトウェアパッケージの部分である、関数「fminsearch」によって実施され得る。Matlabソフトウェアパッケージの中の「fminsearch」関数は、Nelder−Meadシンプレクスアルゴリズムまたはその派生物を使用する。代替案としては、制約されたパラメータの範囲内の予め定義された格子上で、吐き出し(exhaustive)探査法が適用され得る。コスト関数を最小化するために、他の方法論もまた使用され得る。
【0062】
得られた結果と目標との間の差異が十分に小さい場合には、または特定の設計用途に対して同業者によって決定されるように許容可能である場合には、次いで線形アレイの中の各信号経路に対するFIRフィルタ係数が得られる。
【0063】
得られた結果と目標との間の差異が、特定の設計用途に対して許容可能でない場合には、例えば、または大きすぎる場合には、ドライバの位置または幾何学的形状、および/またはパラメータq(i)および目的関数T(f,g)のfc(図4を参照)が、次いで修正される。修正された後、コスト最小化関数が再度適用され、得られた結果と目標が十分に小さいかまたは用途に対する許容範囲内になるまで、プロセスが繰り返される。
【0064】
図3に示すように、アルゴリズムが目的関数の許容範囲内の結果を与えるように、ドライバの位置およびドライバの幾何学的形状が定められたならば、各信号経路n=1,・・・,Nに対するFIRフィルタ係数が決定される必要があり、これを図3のステップ318に示す。FIRフィルタ係数を決定する1つの方法は、フーリエ近似法(周波数サンプリング法)を使用して、所与の次数(degree)の線形位相フィルタを得ることである。フーリエ近似法または他の周波数サンプリング法を適用するときには、その近似法が十分に正確となるような次数を選択する必要がある。
【0065】
フーリエ近似法は、The MathWorks,Inc.によって所有され配布される、Matlab(登録商標)ソフトウェアパッケージの部分である関数「firls」によって実施され得る。同様の方法論が、ほかのソフトウェアシステムの中で実行されることによって、コスト関数を最小化するために使用され得る。
【0066】
追加として、1個またはそれ以上のドライバ(特にツイータ、中間域ドライバ)の測定された周波数応答をイコライズするために、FIRフィルタに対して修正を行うことができる。これらのフィルタのインパルス応答は、周知の方法によって得ることができ、上記のようにFIRフィルタの係数を決定するときに、線形位相チャンネルフィルタのインパルス応答と結合される(convolved)必要がある。さらに、音声コイル(ドライバの音響的中心)は整列されることを得ない。これを補償するために、FIRインパルス応答に先頭のゼロ(leading zero)を加えることによって、フィルタに適切な遅延を与えることができる。
【0067】
二次元マルチウェイラウドスピーカシステムは、ステレオラウドスピーカシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステムおよび公共案内放送システムなどの、様々な用途と結合する使用に対して計画され得る。同業者は、ドライバの数、種類、および位置、チャンネルの数、信号の流れの経路または回路の数、を変更し得、同様に、特定の用途に対して指向性を適合させるために、軸に沿った位置パラメータを修正し得る。
【0068】
図6は、また別の二次元マルチウェイラウドスピーカであり、このラウドスピーカシステムは2個のウーファの代わりに4個のウーファ620、622、624および626を含むことを除いては、図2のラウドスピーカと同じである。図6に記された配置は、同業者がサウンド増強用途に使用するために望ましいと考え得る設計である。
【0069】
図6に提供された実施例において、中央のツイータ602は、図6のx軸とy軸の交点として示される、x−軸上の中心点0に取り付けられ得る。ツイータ604、606、608および610はその中心を、y−軸に沿って約+/−42mmおよびx−軸に沿って約+/−30mmの位置(+/−30mm,+/−42mm)に取り付けられる。
【0070】
中間域ドライバ612、614、616および618は、次いでその中心を、y−軸に沿ってその中心点0から約+/−110mmおよびx−軸に沿って約+/−80mmの位置(+/−80mm,+/−110mm)に取り付けられ得る。ウーファ620、622、624および626は、次いでその中心を、y−軸に沿って約+/−300mmおよびx−軸に沿って約+/−180mmの位置(+/−180mm,+/−300mm)に取り付けられる。
【0071】
図1および図2の、それぞれのラウドスピーカシステム100および200と同様に、変換器は、図示されるようにセパレータ636および642によって分離され密閉された区画630、632および634を備える、ハウジング630の中に取り付けられ得る。
【0072】
図7は、図6のマルチウェイラウドスピーカシステム600の信号の流れのブロック図700を示す。図7は、信号の流れの4個のウェイ702、704、706および708を示す。信号の流れは標準的な接続フォーマットを使用することによって実行され得るデジタル入力710を備え、図7に示される4個のウェイのような様々な経路またはウェイを経由して、ドライバに接続される。それぞれの経路またはウェイ702、704、706および708は、それぞれ1個または複数のラウドスピーカドライバと接続される、デジタルFIRフルタ712、714、716、718およびパワーD/Aコンバータ720、722、724、726を含み得る。
【0073】
図7に示されるように、信号の流れのウェイ702は、図6のラウドスピーカシステム600のウーファ620、622、624および626に供給する。信号の流れのウェイ704は、図6のラウドスピーカシステム600の中間域ドライバ612、614、616および618に供給する。信号の流れのウェイ706は、図6のラウドスピーカシステム600のツイータ604、606、608および610に供給し、信号の流れのウェイ708は、図6のラウドスピーカシステム600の中央のツイータ602に供給する。
【0074】
図8は、図7に示された4個のフィルタの、図6に示されたものと同様のラウドスピーカシステムに適用されたときの、周波数応答に対して得られた許容された結果のグラフ800を示す。詳細には、線802はFIRフィルタ712の周波数応答に対する結果を表す。線804はFIRフィルタ714の周波数応答に対する結果を示し、線806はFIRフィルタ716の周波数応答に対する結果を示し、そして線718はFIRフィルタ718の周波数応答の結果を示す。
【0075】
図9は、様々な角度における、結果として得られた水平方向(y−軸)の周波数応答を示すグラフ900である。このグラフは、図3のステップ314を通過した後に得られた、フィルタ周波数応答V(f,q)を示す。通過したことは、結果が要求と合致したことを意味する。詳細には、線902は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線904は5度における周波数応答V(f,q(2))であり、線906は10度における応答V(f,q(3))であり、線908は15度における応答V(f,q(4))であり、線910は20度における応答V(f,q(5))であり、線912は25度における応答V(f,q(6))であり、線914は30度における応答V(f,q(7))であり、そして線916は35度における応答V(f,q(8))であり、全て100Hzと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0076】
図10は、様々な角度における、結果として得られた垂直方向(x−軸)の周波数応答を示すグラフ1000である。詳細には、線1002は結果として得られた垂直方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線1004は5度における周波数応答V(f,q(2))であり、線1006は10度における応答V(f,q(3))であり、線1008は15度における応答V(f,q(4))であり、線1010は20度における応答V(f,q(5))であり、線1012は25度における応答V(f,q(6))であり、線1014は30度における応答V(f,q(7))であり、そして線1016は35度における応答V(f,q(8))であり、全て100Hzと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0077】
図11〜図22は、ホームエンターテイメントに適したラウドスピーカシステムに対する、マルチウェイラウドスピーカの実施例を示す。
【0078】
図11は、x−軸に沿って対称的に組み込まれた一次元(1D)7ウェイラウドスピーカシステム1100の実施例、およびこのシステムの各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図1160を示す。この実施例は、図14および図17に示される二次元(2D)マルチウェイラウドスピーカシステム設計1400および1700に対する基礎として役立ち得、これらのシステム設計はホームエンターテイメント用途、または同業者によって既知の他の適切な用途における使用のために設計され得る。
【0079】
図11に示されるように、一次元7ウェイラウドスピーカシステム1100は、(1)原点に置かれた1個の中央のツイータ1102、(2)中央のツイータ1102の両側にx−軸に沿って+/−0.035mの位置に置かれる、第1のペアのツイータ1104と1106、(3)第1のペアのツイータの両側にx−軸に沿って+/−0.07mの位置に置かれる、第2のペアのツイータ1108と1110、(4)x−軸に沿って+/−0.12mの位置に置かれる、第1のペアの中間域ドライバ1112と1114、(5)x−軸に沿って+/−0.20mの位置に置かれる、第2のペアの中間域ドライバ1116と1118、(6)x−軸に沿って+/−0.34mの位置に置かれる、第3のペアの中間域ドライバ1120と1122、および(7)x−軸に沿って+/−0.54mの位置に置かれる、ペアのウーファ1124と1126、を含み得る。
【0080】
以前に示された実施形態におけるように、ドライバは様々な区画を有するハウジングに含まれ得る。ツイータ1102、1104、1106、1108および1110、および中間域ドライバ1112および1114は、1個の区画1130の中に置かれ得る。区画1130に隣接して置かれセパレータ1132によって一方を分離される区画1136は、中間域ドライバ1116を含む。区画1130の反対側に置かれセパレータ1134によって分離される区画1138は、中間域ドライバ1118を含む。区画1144は中間域ドライバ1120を含み、片側をセパレータ1140によって区画1136から分離され、反対側はウーファ1124を含む区画1152から、セパレータ1148によって分離される。同様に、区画1146は中間域ドライバ1122を含み、片側をセパレータ1142によって区画1138から分離され、反対側はウーファ1126を含む区画1154から、セパレータ1150によって分離される。
【0081】
ラウドスピーカシステム1100はデジタル入力1180を受信し得る。信号のフローダイヤグラム1160は、中央のツイータ1102が、FIRフィルタ1176およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1174によって、供給されることを示す。第1のペアのツイータ1104と1106は、FIRフィルタ1178およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1172によって供給され、第2のペアのツイータ1108と1110は、FIRフィルタ1180およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1170によって供給される。第1のペアの中間域ドライバ1112と1114は、FIRフィルタ1182およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1168によって供給され、一方では第2のペアの中間域ドライバ1116と1118は、FIRフィルタ1184およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1166によって供給される。第3のペアの中間域ドライバ1120と1122は、FIRフィルタ1186およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1164によって供給される。最後に、ペアのウーファ1124と1126は、FIRフィルタ1188およびパワーD/Aコンバータ1178を含む信号の流れのウェイ1162によって供給される。
【0082】
図12は、図11のラウドスピーカシステムの7個のフィルタの周波数特性を示すグラフ1200であり、コスト最小化関数が適用され、得られた結果が十分に小さいか、または所望の用途に対する許容範囲内にあることがすでに知られているものである。1202によって表される線は、FIRフィルタ1176の周波数応答であり、線1204はFIRフィルタ1178の周波数応答であり、線1206はFIRフィルタ1180の周波数応答であり、線1208はFIRフィルタ1182の周波数応答であり、線1210はFIRフィルタ1184の周波数応答であり、線1212はFIRフィルタ1186の周波数応答であり、そして線1214はFIRフィルタ1188の周波数応答である。
【0083】
図13は、様々な角度において計測された、図11のラウドスピーカシステムの結果として得られた水平方向(x−軸)の周波数応答を示すグラフ1300である。このグラフは、図3のステップ314の要求に合致した後に得られた、フィルタ周波数応答V(f,q)を示す。詳細には、線1302は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線1304は10度における周波数応答V(f,q(2))であり、線1306は15度における応答V(f,q(3))であり、線1308は20度における応答V(f,q(4))であり、線1310は30度における応答V(f,q(5))であり、全て100Hzと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0084】
図14は、x−軸およびy−軸に沿って対称的に組み込まれた、二次元(2D)マルチチャンネル7ウェイラウドスピーカシステム1400の実施例を示す。ラウドスピーカシステム1400は、図11のラウドスピーカシステム1100の、ツイータ1104、1106、1108および1110、および中間域ドライバ1112および1114を、ペアに分離することによって得られる。
【0085】
ラウドスピーカシステム1400は、2方向の指向性を制御し、中央のツイータ1402、4組のペアのツイータ1404と1406、1408と1410、1412と1414、および1416と1418、4組のペアの中間域ドライバ1420と1422、1424と1426、1428と1430、および1432と1434、およびペアのウーファ1436と1438、を含む。最初の2組のペアのツイータ1404と1406と1408と1410は、中央のツイータ1402に関して正方形の形状に配置される。第3および第4のペアのツイータ1412、1414、1416および1418は、xおよびy軸に沿って対称的に、より離れた四分円(quadrant)上に置かれる。第1および第2のペアの中間域ドライバ1420、1422、1424および1428は、xおよびy軸に沿って対称的に、さらに遠く離れた四分円上に置かれる。以下においてさらに説明されるように、内側の四分円(inner quadrant)はx−軸に対して45(45)度の角度によって定義される。
【0086】
追加して、中間域ドライバ1428、1430、1432および1434、およびウーファ1436および1438は、x−軸上を直線的に間隔をあけて配置される。ラウドスピーカ1400のドライバの(x,y)座標は、以下のようになり得る。
【0087】
ツイータ1402: (0,0)
ツイータ1404、1406、1408および1410:(+/−35,+/−35)mm
ツイータ1412、1414、1416および1418:(+/−70,+/−70)mm
中間域1420、1422、1424および1426: (+/−120,+/−120)mm
中間域1428および1430: (+/−200,0)mm
中間域1432および1434: (+/−340,0)mm
ウーファ1436および1438: (+/−540,0)mm
図11に示されたラウドスピーカシステムに関してのように、ドライバは、分離され密閉された区画1440、1442、1444、1446、1448、1450および1452を備える仕切板(baffle)1476の中に取り付けられ得る。ツイータ1402、1404、1406、1408、1410、1412、1414、1416および1418、および中間域ドライバ1420、1422、1424および1426は、全て区画1440に含まれ得る。右側においては、区画1440は、三角形の線1460によって表されるセパレータによって、区画1444から分離され得る。区画1444は中間域ドライバ1430を含み、その右側は線1464によって示されるセパレータによって、中間域ドライバ1434を含む区画1448から分離され得る。区画1448の右側に、ウーファ1438を含む区画1452がある。区画1448および1452は、線1468によって表されるセパレータによって、相互に分離され得る。
【0088】
同様に、区画1440はその左側において、三角形の線1462によって表されるセパレータによって、区画1442から分離され得る。区画1442は中間域ドライバ1428を含み、その左側は線1466によって示されるセパレータによって、中間域ドライバ1432を含む区画1446から分離され得る。区画1446の左側に、ウーファ1436を含む区画1450がある。区画1446および1450は、線1470によって表されるセパレータによって、相互に分離され得る。
【0089】
図1および図2のドライバに関してのように、ツイータ1402、1404、1406、1408、1410、1412、1414、1416および1418は約40mm〜50mmの外直径であり得、中間域ドライバ1420、1422、1424、1426、1428、1430、1432および1434は約80mm〜110mmの外直径であり得、またウーファ1436および1438は約120mm〜160mmの外直径であり得る。
【0090】
図15は、図14のラウドスピーカシステム1400の、各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図1500である。図15に示されるように、以前に設定された、同じ位置座標の組を有するドライバごとに、各々異なる経路またはウェイによって供給され、この結果として7個のウェイのラウドスピーカとなる。ラウドスピーカシステム1400はデジタル入力1502を受け取る。中央のツイータ1402は信号の流れのウェイ1504によって供給される。ツイータ1404、1406、1408および1410は信号の流れのウェイ1506によって供給される。ツイータ1412、1414、1416および1418は信号の流れのウェイ1508によって供給される。中間域ドライバ1420、1422、1424および1426は信号の流れのウェイ1510によって供給され、一方では、中間域ドライバ1428および1430は信号の流れのウェイ1512によって供給され、また、中間域ドライバ1432および1434は信号の流れのウェイ1514によって供給される。ペアのウーファ1436および1438は信号の流れのウェイ1516によって供給される。それぞれの信号の流れのウェイは、FIRフィルタ1518およびパワーD/Aコンバータ1520を含む。
【0091】
図16は、図14のラウドスピーカシステム1400の、様々な角度で測定された、結果として得られた垂直方向(y−軸)の周波数応答を表すグラフ1600である。このグラフは、図3のステップ314の要求に合致した後に得られた、フィルタの周波数応答V(f,q)を示す。詳細には、線1602は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線1604は10度における周波数応答V(f,q(2))であり、線1406は15度における周波数応答V(f,q(3))であり、線1608は20度における周波数応答V(f,q(4))であり、線1610は30度における周波数応答V(f,q(5))であり、全て100HZと20kHzとの間の周波数範囲において示される。図16によって見られるように、図14の二次元ラウドスピーカシステム1400に対する垂直方向の周波数応答は、図11の一次元ラウドスピーカシステム1100に対する、図13によって示される水平方向の周波数応答と類似するが、しかし、その周波数以上においてシステムの指向性が現れる下方コーナー周波数については、かなり高い周波数値を有する。
【0092】
図17は、x−軸に沿って対称的に取り付けられた、二次元(2D)5チャンネルマルチウェイラウドスピーカシステム1700の実施例を示す。ラウドスピーカシステム1700は、x−軸にそって対称的に取り付けられた、一対の統合された(integrated)2ウェイステレオスピーカを有するように設計され、特にホームシアター用途向けの使用のために設計されている。以下(図18〜図20)でさらに説明されるように、ラウドスピーカシステム1700は、5個の入力チャンネルL(左)、R(右),C(中央)、LS(左サラウンド)、およびRS(右サラウンド)を有し得る。
【0093】
ラウドスピーカシステム1700は、2個の追加のツイータ1744および1746、および2個の追加のウーファを備えることを除いては、図14のシステムと同じであり、その違いは、外側のウーファはy−軸に関して1736と1738のペア、および1740と1742のペアに分離され、それぞれのペアのウーファ1736と1738、1740と1742の間に置かれた追加のペアのツイータ1744と1746を有することである。ウーファのペア1736と1738、および1740と1742のそれぞれに対して指定されたツイータ1744および1746を有することによって、ラウドスピーカシステム1700は、独立のステレオスピーカチャンネル(例えば、ツイータは分離されたチャンネルによって提供される信号を供給され得る)のアレイを備え得る。独立のステレオスピーカチャンネルの目的は、従来のステレオスピーカおよびアレイによって生成される指向性のサウンドビームによって、統合されたサラウンドサウンドシステムを提供し、リスニングルームの壁面反射を使用して間接的に周囲後方(ambient rear)チャンネルを再生することである。
【0094】
図14に示されたラウドスピーカシステム1400と同様に、図17のラウドスピーカシステム1700は、(1)中央のツイータ1702、(2)中央のツイータ1702に関して正方形の形に配置された、2つのペアのツイータ1704と1706、および1708と1710、(3)x−軸およびy−軸に沿って対称的に、さらに離れた四分円上に置かれた、2つの追加のペアのツイータ1712と1714、および1716と1718、および(4)x−軸およびy−軸に沿って対称的に、一層さらに離れた四分円上に置かれた、2つのペアの中間域ドライバ1720と1722、および1724と1726、を有する。四分円はx−軸に対して45(45)度の角度によって定義される。
【0095】
追加的に、ラウドスピーカシステム1700は、中間域ドライバ1728、1730、1732および1743を含み、これらはx−軸を直線的に間隔をあけて配置される。ラウドスピーカシステム1700のドライバの(x,y)座標は、以下のようであり得る。
【0096】
ツイータ1702: (0,0)
ツイータ1704、1706、1708および1710:(+/−35,+/−35)mm
ツイータ1712、1714、1716および1718:(+/−70,+/−70)mm
中間域1720、1722、1724および1726:(+/−120,+/−120)mm
中間域1728および1730: (+/−200,0)mm
中間域1732および1734: (+/−340,0)mm
ツイータ1744および1746: (+/−540,0)mm
ウーファ1736、1738、1740および1742(+/−540,+/−90)mm
図1、図2、図6、図11および図14に示されたラウドスピーカシステムに関するように、ラウドスピーカシステム1700のドライバは、線1766、1768、1770、1772、1774および1776によってそれぞれ表されるセパレータによって相互に分割される、分離され密閉された区画1752、1754、1756、1768、1760、1762および1764を備える仕切板またはハウジング1750の中に取り付けられ得る。
【0097】
図18〜図20は、図17のラウドスピーカシステム1700の、5個の入力信号に対する信号の流れのブロック図を示す。図18は、図17のラウドスピーカシステム1700のための、サラウンドチャンネルに対する信号の流れのブロック図1800である。システム1700の右および左サラウンドチャンネルに対する信号の流れは、遅延値(delay value)が異なることを除いては、同一であるので、以下にさらに記載するように、図18のブロック図1800は、左および右の両方のサラウンドに対する信号の流れの経路を表す。従って、左および右の両方のサラウンド入力信号は、図18に示されるものと同様の信号経路システムを経由して伝達する。それぞれの出力信号の和が、図18に記されるように、次いで計算され、変換器に接続される。FIRフィルタの出力は、その周波数応答は図12に示されており、遅延ラインD0およびペアの遅延ラインD+/−(1,・・・,6)に、それぞれ接続される。
【0098】
図18の信号の流れのブロック図1800は、下記の方程式に従って、遅延が各経路に
加えられることを示す。
【0099】
Δt=p/c・sinα,(p=ドライバの座標(メートル)、c=345m/sec(音速))
ここで主サウンドビームは、それ以外のときは主軸に対して垂直であるが、角度αの所望の方向に向けられ得る。αに対する代表的な値は、左のサラウンドに対しては−(40,・・・,60)度、および右のサラウンドに対しては+(40,・・・,60)度であり、これは角度αおよび−αの方向の側壁に向けてサウンドビームが形成され向けられて、壁で跳ね返ることによって、サラウンド信号として聴取者に届くことを意味する。
【0100】
図18に示されるように、信号の流れの経路図1800は、右および左サラウンドサウンドチャンネルのためのデジタル入力1802および1804に対する、それぞれの流れの経路を示す。経路1806に対するFIRフィルタ1822の出力は、遅延ライン(D0)1840に接続され、それは中央のツイータ1702に接続される。経路1808に対するFIRフィルタ1824の出力は、遅延ライン(D−1)1842および(D+1)1844に並列に接続される。遅延ライン1842は右のペアのツイータ1708と1710に接続され、遅延ライン1844は左のペアのツイータ1704と1706に接続される。同様に、経路1810に対するFIRフィルタ1826の出力は、遅延ライン(D−2)1846および(D+2)1848に並列に接続される。遅延ライン1846は右のペアのツイータ1716と1718に接続され、遅延ライン1848は左のペアのツイータ1712と1714に接続される。遅延ライン(D−3)1850および(D+3)1852は、中間域ドライバ1720と1722、および1724と1726に、それぞれ接続され、それらは経路1812に並列に接続され、それはFIRフィルタ1828に対する出力経路である。
【0101】
中間域ドライバ1728および1730は、遅延ライン(D+4)1856および(D−4)1854にそれぞれ接続され、それはFIRフィルタ1830に対する出力経路1814である。中間域ドライバ1732および1734は、遅延ライン(D+5)1862および(D−5)1860にそれぞれ接続され、それはFIRフィルタ1832に対する出力経路1816である。
【0102】
右のペアのウーファ1740と1742は遅延ライン(D−6)1864に接続され、
左のペアのウーファ1736と1738は遅延ライン(D+6)1866に接続される。遅延ライン(D+6)1866および遅延ライン(D−6)1864は、FIRフィルタ1834に対する出力経路1820に並列に接続される。
【0103】
図19は、図17のラウドスピーカシステムのための、右および左チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。左および右チャンネルは、従来の2ウェイスピーカのように統合される。左チャンネルは、ビーム形成アレイの部分でないツイータ1744、およびウーファ1736および1738から成る。右チャンネルは、ツイータ1746および、ウーファ1740および1742から成る。
【0104】
図19によって示されるように、左および右チャンネルに対する信号処理1900は、ステレオ基底(basis)を拡げるためにHDフィルタ1910およびHIフィルタ1912から成るステレオ拡張(widening)回路、および低域(low pass)フィルタ1914およびHP高域(high pass)フィルタ1916を有するクロスオーバー回路、を使用する。
【0105】
図20は、図17のラウドスピーカシステム1700のための中央チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。中央チャンネルは、図3で定められたように決定された係数を有するFIRフィルタを伴う、ツイータ1702、1704、1706、1708、1710、1712、1714、1716および1718、および中間域ドライバ1720、1722、1724および1726の、内側のアレイによって再生される。
【0106】
中央チャンネルに対するデジタル信号の出力2010は、4個の信号経路2002、2004、2006および2008に分割され、各経路はそれぞれFIRフィルタ2012、2014、2016および2018を有し、またパワーD/Aコンバータ2020、2022、2024および2026を、それぞれ有する。経路2002は中央のツイータ1702に供給する。経路2004は最も内側の四分円のツイータ1704、1706、1708および1710に供給する。経路2006は最も外側の四分円のツイータ1712、1714、1716および1718に供給し、経路2008は中央の四分円の中間域ドライバ1720、1722、1724および1726に供給する。
【0107】
図21は、図17のラウドスピーカシステムの、中央チャンネル(図20)に使用される4個のFIRフィルタの、周波数応答を示すグラフ2100である。線2102はFIRフィルタ2012の周波数応答を表し、線2104はFIRフィルタ2014の周波数応答を表し、線2106はFIRフィルタ2016の周波数応答を表し、線2108はFIRフィルタ2018の周波数応答を表す。
【0108】
図22は、図17のラウドスピーカシステム1700の中央チャンネル出力(図20)の、様々な角度で測定された、結果として得られた水平方向(x−軸)の、そして垂直方向(y−軸)も同じの、周波数応答を表すグラフ2200である。このグラフは、図3のステップ314の要求に合致した後に得られた、フィルタの周波数応答V(f,q)を示す。詳細には、線2202は結果として得られた水平方向軸上の応答V(f,q(1))を表し、線2204は5度における周波数応答V(f,q(2))であり、線2206は10度における周波数応答V(f,q(3))であり、線2208は15度における周波数応答V(f,q(4))であり、線2210は20度における周波数応答V(f,q(5))であり、線2212は25度における周波数応答V(f,q(6))であり、線2214は30度における周波数応答V(f,q(7))であり、線2216は35度における周波数応答V(f,q(8))であり、全て100HZと20kHzとの間の周波数範囲において示される。
【0109】
本発明の様々な実施形態が記載されてきたが、さらに多くの実施形態および実行例が、本発明の範囲内において可能であることは、同業者にとって明らかであろう。従って、発明は、添付の請求項およびその均等物を考慮に入れる場合を除いて、制限されるべきではない。
【0110】
本発明は、手頃な寸法のラウドスピーカの形態、およびデジタル信号処理の領域で作動するフィルタ設計の方法論を提供する、マルチウェイ・ラウドスピーカシステムである。さらにラウドスピーカシステムは、二次元平面内で対称的に配置されたラウドスピーカドライバを備えるマルチウェイラウドスピーカシステムとして設計されることができ、高品質のサウンド、すなわち垂直および水平の両面の広い範囲にわたる一定の指向性を達成することができ、またステレオラウドスピーカシステム、マルチチャンネルホームエンターテイメントシステムおよび公共案内放送システムと結合して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】y−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、一次元4ウェイラウドスピーカシステムの例、およびシステム内の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。
【図2】x−軸およびy−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、二次元4ウェイラウドスピーカシステムの例、およびシステム内の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。
【図3】ラウドスピーカシステムを設計するために使用される、フィルタ設計アルゴリズムのフローチャートである。
【図4】角度に依存する減衰に対する、指向性目的関数を示すグラフである。
【図5】取り付けられたあるツイータの、様々な垂直方向の軸外れ偏位角度で測定された振幅周波数応答を示すグラフである。
【図6】x−軸およびy−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、別の二次元4ウェイラウドスピーカシステムの例を示す。
【図7】図6に示された各ラウドスピーカドライバへの、信号の流れのブロック図である。
【図8】図6のラウドスピーカシステムの、4個のフィルタの周波数応答を表す。
【図9】様々な角度で測定された、図6のラウドスピーカシステムの結果として得られた水平方向(y−軸)周波数応答を示す。
【図10】図9に示された水平方向応答と対応する、図6のラウドスピーカシステムの結果として得られた垂直方向(x−軸)周波数応答を示す。
【図11】y−軸に沿って原点に対称に取り付けられた、一次元(1D)7ウェイラウドスピーカシステムの実施例、およびシステム内の各ラウドスピーカドライバへの信号の流れのブロック図を示す。
【図12】図11のラウドスピーカシステムの、7個のフィルタの周波数応答を示す。
【図13】様々な角度で測定された、図11のラウドスピーカシステムの結果として得られた水平方向(x−軸)周波数応答を示す。
【図14】x−軸およびy−軸に沿って対称に取り付けられた、二次元(2D)マルチチャンネル7ウェイラウドスピーカシステムの実施例を示す。
【図15】図14のラウドスピーカシステムの各ラウドスピーカドライバへの、信号の流れのブロック図である。
【図16】様々な角度で測定された、図14のラウドスピーカシステムの結果として得られた垂直方向(y−軸)周波数応答を示す。
【図17】x−軸およびy−軸に沿って対称に取り付けられホームシアター用途のために設計された、二次元(2D)5チャンネルマルチウェイラウドスピーカシステムの実施例を示す。
【図18】図17のラウドスピーカシステムに対する、右および左サラウンドチャンネルに対する信号の流れのブロック図である。
【図19】図17のラウドスピーカシステムに対する、右および左チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。
【図20】図17のラウドスピーカシステムに対する、中央チャンネルに対する信号の流れのブロック図である。
【図21】図17のラウドスピーカシステムの中央チャンネルの4個のフィルタの周波数応答を示す。
【図22】様々な角度で測定された図17のラウドスピーカシステムの中央チャンネルの、結果として得られた水平方向(x−軸)周波数応答を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる寸法の複数の変換器を有するラウドスピーカであって、該複数の変換器は第1の軸に関しておよび該第1の軸に対して垂直な第2の軸に関して対称的に配置されており、該ラウドスピーカは、
該第1の軸または第2の軸のいずれの上でもない位置に、該ラウドスピーカに沿って、その中心が置かれる変換器を含む、ラウドスピーカ。
【請求項2】
前記第1および第2の両方の軸に関して相互に対称的に配置された、ラウドスピーカの前記変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項3】
前記少なくとも2つの異なる寸法の前記複数の変換器は、ツイータおよび中間域ドライバである、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項4】
前記少なくとも2つの異なる寸法の、前記複数の変換器は、ツイータおよびウーファである、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項5】
前記少なくとも2つの異なる寸法の、前記複数の変換器は、中間域ドライバおよびツイータである、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項6】
前記複数のドライバは、ツイータ、中間域ドライバおよびウーファを含む、請求項1の記載のラウドスピーカ。
【請求項7】
前記複数の変換器の1つは、前記第1および第2の軸の交点に、その中心が置かれる、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項8】
前記中央の変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、請求項7に記載のラウドスピーカ。
【請求項9】
各FIRフィルタに対する線形位相フィルタ係数は、初期のドライバ位置を確定することと、システムに対する初期の指向性目的関数を確定することと、該初期の指向性目的関数に基づいてコスト最小化関数を適用することと、該システムの各フィルタに対する線形位相フィルタ係数を計算することと、によって決定される、請求項2に記載のラウドスピーカ。
【請求項10】
前記初期のドライバ位置は、ラウドスピーカの中心である原点に関連する座標である、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項11】
前記確定された初期指向性目的関数に基づいて、所定の周波数範囲の対数目盛り上に周波数ポイントが確定される、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項12】
前記コスト最小化は、最少の周波数から始まりステップ状に増加し、前記周波数ポイントにおいて適用される関数である、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項13】
前記線形位相フィルタ係数を確定するために、フーリエ近似法が使用される、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項14】
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該アレイが配列されている該軸上に中心を有する該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアは、置き換えに際して、該ペアの内の1個の変換器が該アレイが配列されている該軸の片側に配置され、該ペアの別の変換器が該アレイが配列されている該軸の反対側において該アレイが配列されている該軸から同じ距離に配置され、対向するペアは該アレイが配列されている該軸に対して直角方向の該軸から同じ距離に配置されるように、置き換えられる、方法。
【請求項15】
前記ペアの変換器は、少なくとも1個のデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1個のパワーD/Aコンバータから受け取る、請求項14のラウドスピーカ。
【請求項16】
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアの変換器は、該アレイが配列されている該軸に沿った点で、該軸に関して相互に鏡像の位置に配置され、その結果として該アレイが配列されている該軸の該指向性が維持される、方法。
【請求項17】
少なくとも2つの異なる寸法の少なくとも5個の変換器を備えるラウドスピーカシステムであって、
該少なくとも5個の変換器は、第1の軸および該第1の軸に対して直角な第2の軸の両方に関して対称的に配置され、少なくとも1組の実質的に同一の変換器のペアが、その中心を該第1の軸に関して相互に平行に置かれ、該ペアの内の1つの変換器が該第2の軸の片側に置かれ、該ペアの中の他の変換器が該第2の軸の反対側に、該軸からの距離が該ペアの他の変換器と同じ距離となるように置かれている、ラウドスピーカシステム。
【請求項1】
少なくとも2つの異なる寸法の複数の変換器を有するラウドスピーカであって、該複数の変換器は第1の軸に関しておよび該第1の軸に対して垂直な第2の軸に関して対称的に配置されており、該ラウドスピーカは、
該第1の軸または第2の軸のいずれの上でもない位置に、該ラウドスピーカに沿って、その中心が置かれる変換器を含む、ラウドスピーカ。
【請求項2】
前記第1および第2の両方の軸に関して相互に対称的に配置された、ラウドスピーカの前記変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項3】
前記少なくとも2つの異なる寸法の前記複数の変換器は、ツイータおよび中間域ドライバである、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項4】
前記少なくとも2つの異なる寸法の、前記複数の変換器は、ツイータおよびウーファである、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項5】
前記少なくとも2つの異なる寸法の、前記複数の変換器は、中間域ドライバおよびツイータである、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項6】
前記複数のドライバは、ツイータ、中間域ドライバおよびウーファを含む、請求項1の記載のラウドスピーカ。
【請求項7】
前記複数の変換器の1つは、前記第1および第2の軸の交点に、その中心が置かれる、請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項8】
前記中央の変換器は、少なくとも1つのデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1つのパワーD/Aコンバータから受け取る、請求項7に記載のラウドスピーカ。
【請求項9】
各FIRフィルタに対する線形位相フィルタ係数は、初期のドライバ位置を確定することと、システムに対する初期の指向性目的関数を確定することと、該初期の指向性目的関数に基づいてコスト最小化関数を適用することと、該システムの各フィルタに対する線形位相フィルタ係数を計算することと、によって決定される、請求項2に記載のラウドスピーカ。
【請求項10】
前記初期のドライバ位置は、ラウドスピーカの中心である原点に関連する座標である、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項11】
前記確定された初期指向性目的関数に基づいて、所定の周波数範囲の対数目盛り上に周波数ポイントが確定される、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項12】
前記コスト最小化は、最少の周波数から始まりステップ状に増加し、前記周波数ポイントにおいて適用される関数である、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項13】
前記線形位相フィルタ係数を確定するために、フーリエ近似法が使用される、請求項9に記載のラウドスピーカ。
【請求項14】
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該アレイが配列されている該軸上に中心を有する該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアは、置き換えに際して、該ペアの内の1個の変換器が該アレイが配列されている該軸の片側に配置され、該ペアの別の変換器が該アレイが配列されている該軸の反対側において該アレイが配列されている該軸から同じ距離に配置され、対向するペアは該アレイが配列されている該軸に対して直角方向の該軸から同じ距離に配置されるように、置き換えられる、方法。
【請求項15】
前記ペアの変換器は、少なくとも1個のデジタルFIRフィルタを経由してフィルタされたデジタル出力信号を、少なくとも1個のパワーD/Aコンバータから受け取る、請求項14のラウドスピーカ。
【請求項16】
アレイが配列されている軸に沿った該アレイの指向性を維持したままで、該アレイが配列されている方向に対して直角方向の軸に沿ったラウドスピーカアレイの該指向性を変更するための方法であって、該方法は、
該線状アレイが配列されている該軸上に中心を有する少なくとも1個の変換器を、該変換器と実質的に同一の変換器の少なくとも1組のペアによって置き換えることを包含し、
該ペアの変換器は、該アレイが配列されている該軸に沿った点で、該軸に関して相互に鏡像の位置に配置され、その結果として該アレイが配列されている該軸の該指向性が維持される、方法。
【請求項17】
少なくとも2つの異なる寸法の少なくとも5個の変換器を備えるラウドスピーカシステムであって、
該少なくとも5個の変換器は、第1の軸および該第1の軸に対して直角な第2の軸の両方に関して対称的に配置され、少なくとも1組の実質的に同一の変換器のペアが、その中心を該第1の軸に関して相互に平行に置かれ、該ペアの内の1つの変換器が該第2の軸の片側に置かれ、該ペアの中の他の変換器が該第2の軸の反対側に、該軸からの距離が該ペアの他の変換器と同じ距離となるように置かれている、ラウドスピーカシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−158636(P2007−158636A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−350065(P2005−350065)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(592051453)ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド (91)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350065(P2005−350065)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(592051453)ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド (91)
【Fターム(参考)】
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