説明

ラウンドコンベヤ装置

【課題】装置稼働時における塵の飛散を防止・抑制することができ、且つ搬送ベルトを安定して回転させることができるラウンドコンベヤ装置を提供すること
【解決手段】中心軸の延長線が所定角度で相互に交差するよう配置された一対のローラ2、3と、平面扇状からなり、一対のローラ2、3に回転可能に巻装された無端状の搬送ベルト4と、搬送ベルト4の外周辺部40に一定間隔毎に突設された複数の係合部5と、搬送ベルト4の外周辺部40よりも内方向側に該外周辺部40に沿って配設され、係合部5を摺動可能に当接するガイド部6と、搬送ベルト4を回転させる駆動部7とを備えており、駆動部7は、係合部5と噛合される歯95を外周に有し、回転軸が搬送ベルト4の外周辺部40から離間して配置された回転噛合部70と、回転噛合部70を回転させる原動部71とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウンドコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送物を搬送するコンベヤにおいて搬送方向を変更する場合には、ラウンドコンベヤ装置(カーブドコンベヤ)が用いられている。このようなラウンドコンベヤ装置に関する技術として、例えば下記特許文献1〜3がある。
【0003】
特許文献1及び2には、平面扇状の搬送ベルトと、搬送ベルトの外周縁に沿って周回する伝動ベルト(Vベルト等)と、伝動ベルトをガイドする案内ローラと、搬送ベルトと伝動ベルトとの間に架け渡された複数の連結具と、からなるラウンドコンベヤ装置が記載されている。この連結具各々は、一端が搬送用ベルトに接続されており、他端が伝動ベルトに形成された孔に直接差し込まれている。
【0004】
特許文献3には、平面扇状の搬送ベルトと、搬送ベルトの外周辺部に所定の間隔で装着されたローラと、駆動側と従動側に掛架した伝動ベルトと、ローラに当接されることで搬送ベルトの内方向側への偏倚を阻止するガイド部と、からなるラウンドコンベヤ装置が記載されている。この特許文献3に記載されているラウンドコンベヤ装置は、伝動ベルトの背面をローラに当接させて、伝動ベルトの回転をローラへ伝達させることで搬送ベルトを回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−208023号公報
【特許文献2】特開2009−83946号公報
【特許文献3】特開平8−143122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されたラウンドコンベヤ装置では、伝動ベルトには、連結具を差し込む孔を形成するために心線が切断されているため、伝動ベルトの強度低下を招いている。また、伝動ベルトの孔には連結具が直接差し込まれているため、ラウンドコンベヤ装置の稼働により、孔の孔径の拡大、伝動ベルトの伸びや破断などが生じる問題がある。またさらに、伝動ベルトを搬送ベルトの外周縁に沿って周回させるために、伝動ベルトを案内ローラにより強制的に湾曲させているため、この伝動ベルトと案内ローラとの間には装置稼働時に大きな摩擦力が生じ、その結果、伝動ベルトに摩耗を生じさせると共に、この摩耗により伝動ベルトから多くの塵が飛散されるという問題がある。
【0007】
特許文献3に記載されたラウンドコンベヤ装置は、伝動ベルトを介した摩擦伝動であるため、伝動ベルトの摩耗による塵の飛散や、伝動ベルトの摩耗や伸びに起因する伝動スリップにより搬送ベルトの回転の安定性が低下するという問題がある。
【0008】
上記のように、特許文献1〜3に記載されたラウンドコンベヤ装置では、コンベヤの稼働により伝動ベルトが摩耗等されるため、作業時間が非常に多くかかる伝動ベルトの交換を頻繁に行う必要があり、作業負担が多大であるという問題がある。また、搬送物が食品の場合、伝動ベルトから飛散した塵が混入される可能性があり、食品衛生上好ましくなかった。
【0009】
そこで、本願発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、装置稼働時における塵の飛散を防止・抑制することができ、且つ搬送ベルトを安定して回転させることができるラウンドコンベヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のラウンドコンベヤ装置は、中心軸の延長線が所定角度で相互に交差するよう配置された一対のローラと、平面扇状からなり、前記一対のローラに回転可能に巻装された無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの外周辺部に一定間隔毎に突設された複数の係合部と、前記搬送ベルトの前記外周辺部よりも内方向側に該外周辺部に沿って配設され、前記係合部を摺動可能に当接するガイド部と、前記搬送ベルトを回転させる駆動部とを備えており、前記駆動部は、前記係合部と噛合される歯を外周に有し、回転軸が前記搬送ベルトの前記外周辺部から離間して配置された回転噛合部と、前記回転噛合部を回転させる原動部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、原動部により回転噛合部が回転されることによって、回転噛合部の歯が搬送ベルトの外周辺部に一定間隔毎に突設された係合部に順次噛合され、その結果、搬送ベルトが回転される。また、搬送ベルトの回転時には、搬送ベルトの外周辺部に突設された係合部が、この外周辺部よりも内方向側に該外周辺部に沿って配設されたガイド部に当接しながら摺動するため、搬送ベルトにおける内方向側への偏倚は阻止されている。
このように、従来装置が備えている伝動ベルトを使用せずに搬送ベルトを回転させているため、従来問題とされていた伝動ベルトからの塵の発散や、伝動ベルトの交換に伴う作業負担が生じることはない。またさらに、搬送ベルトに突設された係合部と回転噛合部の歯とを噛合させることで搬送ベルトを回転させているため、伝動スリップがなく、安定して搬送ベルトを回転させることができる。
【0012】
また、本発明のラウンドコンベヤ装置において、前記駆動部における前記回転噛合部の前記回転軸は、前記一対のローラにおける前記延長線間の角度二等分線上に配置されていてもよい。上記の構成によれば、搬送ベルトに突設された係合部への回転噛合部の回転の伝動は、搬送ベルトの周方向の中間位置においてされる。これにより、この中間位置と各ローラとの間の搬送ベルトの送り速度を同じにすることができるので、その結果、搬送ベルト全体の送り速度を一定にすることができる。
【0013】
また、本発明のラウンドコンベヤ装置においては、前記係合部は更に前記搬送ベルトの上下両面から一対対向して突設されており、前記駆動部は、前記原動部により同期して回転される二つの前記回転噛合部を備え、前記二つの回転噛合部において、第1の回転噛合部の前記歯は前記一対の係合部の一方の前記係合部と噛合され、第2の回転噛合部の前記歯は前記一対の係合部の他方の前記係合部と噛合されていてもよい。上記の構成によれば、搬送ベルトは、回転噛合部からの回転の伝動を、この搬送ベルトの上下両面から一対対向して突設された係合部を介して受けることになるので、搬送ベルトの片面のみから突設された係合部を介して伝動を受ける場合と比べて、搬送ベルトの送りをより確実にすることができる。
【0014】
また、本発明のラウンドコンベヤ装置において、前記駆動部は、前記搬送ベルトにおける上部巻回ベルトよりも下方に配置されており、前記回転噛合部の前記歯は、前記搬送ベルトにおける下部巻回ベルトから突設された前記係合部と噛合されていてもよい。上記の構成によれば、駆動部が上部巻回ベルトよりも下方に配置されており、搬送ベルトの回転時において、回転噛合部の歯は上部巻回ベルトから突設された係合部とは噛合されない。これにより、上部巻回ベルトにおいて搬送される搬送物の移動が、駆動部により阻害されることはないため、搬送物をスムーズに搬送させることができる。
【0015】
また、本発明のラウンドコンベヤ装置において、前記駆動部における前記回転噛合部の前記回転軸は、前記搬送ベルトの前記外周辺部よりも内方向側に配置されていてもよい。上記の構成によれば、回転噛合部の回転軸が搬送ベルトの外周辺部よりも外方向側に配置されている場合に比べて、駆動部を内方向側に配置させることができるので、ラウンドコンベヤ装置の平面投影面積を小さくすることができ、その結果、ラウンドコンベヤ装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0016】
装置稼働時における塵の飛散を防止・抑制することができ、且つ搬送ベルトを安定して回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るラウンドコンベヤ装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るラウンドコンベヤ装置の側面図である。
【図3】図1のA―A線矢視図である。
【図4】図1のB−B線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るラウンドコンベヤ装置1の平面図である。図2は、本発明の実施形態に係るラウンドコンベヤ装置の側面図である。図3は、図1のA―A線矢視図である。図4は図1のB−B線矢視図である。
【0020】
(ラウンドコンベヤ装置1)
図1に示すように、本実施形態のラウンドコンベヤ装置1は、図示しない他のベルトコンベア装置等から搬入端において搬送物Wを受け取り、受け取った搬送物Wを搬出端に向かって曲線方向に搬送して、搬送物Wを図示しない他のベルトコンベア等に受け渡すために用いられる。
【0021】
図1〜図4に示すようにラウンドコンベヤ装置1は、本体フレーム50に取り付けられた一対のローラ2、3と、ローラ2、3に回転可能に巻装された無端状の搬送ベルト4と、搬送ベルト4の外周辺部40に一定間隔毎に突設された係合部5と、係合部5を摺動可能に当接するガイド部6と、搬送ベルト4を回転させる駆動部7とを備えている。
(本体フレーム50)
本体フレーム50は、図1に示すように円弧状の内フレーム(図示せず)、該内フレームに対向配置された円弧状の外フレーム51、並びに内フレーム及び外フレーム51の各端部を結ぶ一対の側桁フレーム52(52a、52b)からなる略扇形の枠体である。また、本体フレーム50において、側桁フレーム52間には、内フレームと外フレーム51とを結ぶ複数の桁フレーム53が配設されている。側桁フレーム52及び桁フレーム53には搬送ベルト4の上部巻回ベルト4aを支持する複数の桟フレーム54が掛架されている。また、外フレーム51から、円弧状のガイド部支持フレーム42が内周方向に向けて突設されている。なお、内フレーム、外フレーム51、及びガイド部支持フレーム42の半径中心は同心にされている。
【0022】
側桁フレーム52各々における本体フレーム50の周方向(以下、装置周方向とも称す)の外側には、図1及び2に示すように、側桁フレーム52と対向配置されるローラ位置調整板55(55a、55b)、間隔調節手段56(56a、56b)、ローラ位置調整板55から突設されたローラ軸受部57(57a、57b)、及びローラ軸受部57に支持されるローラ2、3がそれぞれ配されている。ローラ位置調整板55の両端部には、後述のボルト61が挿通可能な調整板貫通孔59が形成されている。また、側桁フレーム52には、ローラ位置調整板55の調整板貫通孔59に対応する位置に後述のボルト61が挿通可能なフレーム貫通孔58が形成されている。
【0023】
ローラ軸受部57は、ローラ位置調整板55から装置周方向外側に突設され、ローラ2、3を回転自在に支持する軸受である。
【0024】
間隔調節手段56は、ボルト61とナット60とから構成されており、ボルト61を側桁フレーム52のフレーム貫通孔58及びローラ位置調整板55の調整板貫通孔59に挿通させ、ナット60をボルト61に螺合させることで、側桁フレーム52とローラ位置調整板55とを連結すると共に、この両者の装置周方向の距離Lを調節することができる。
【0025】
このように、間隔調節手段56によって側桁フレーム52とローラ位置調整板55との装置周方向の距離Lを調整することで、ローラ2、3間の装置周方向の距離を調整することができるので、このローラ2、3に巻装される搬送ベルト4のテンションを最適化することができる。
【0026】
また、本体フレーム50には、4本の脚41が下設されている。具体的には、外フレーム51の各端部位置、並びに内フレーム及び外フレーム51における後述する一対のローラ2、3の中心軸の延長線間の角度二等分線線上にある各位置から脚41が下設されている。
【0027】
(ローラ2、3)
ローラ2、3は、搬送ベルト4を巻装して反転させる機能を有し、搬送ベルト4の回転(走行)に伴い回転する従動ローラである。
【0028】
図1に示すように、一対のローラ2、3は、その中心軸の延長線が所定角度(本実施形態においては90°)で相互に交差するように配置されている。換言すれば、一方のローラ2は、他方のローラ3に対して所定の開き角度(本実施形態においては90°)となるように配置されている。このローラ2、3の中心軸の延長線の交差点と、内フレーム、外フレーム51、ガイド部支持フレーム42、及び搬送ベルト4の半径中心は一致されている。なお、ローラ2、3の中心軸とは、装置周方向において最も外側に配置されるローラの中心軸のことをいい、本実施形態においては、ローラ2における後述する上ローラ群20の中心軸、ローラ3における後述する上ローラ群30の中心軸のことをいう。
【0029】
ローラ2は、図2に示すように、同一径を持った複数の上ローラ20aを直列に配列した上ローラ群20、及び同一径を持った複数の下ローラ21aを直列に配列した下ローラ群21から構成されている。この上ローラ20a各々及び下ローラ21a各々は、それぞれ独立して回転し得るローラであり、内側に位置するローラと外側に位置するローラとは異なる速度で回転することが可能にされている。従って、外方向側(外周側)と内方向側(内周側)とで異なる速度で走行される搬送ベルト4をローラ2に巻装させた場合においても、滑りが生じることなく搬送ベルト4を回転させることができる。なお、下ローラ群21は、上ローラ群20に比して装置周方向内側に寄せて配されている。
【0030】
ローラ3は、ローラ2と同様に、上ローラ群30と下ローラ群31とから構成されている。
【0031】
(搬送ベルト4)
ローラ2、3に巻装される搬送ベルト4は、帯状のベルトの両端部を接合した平面扇状の無端ベルトである。この搬送ベルト4の外周辺部40には一定間隔毎に貫通孔40aが形成されている。
【0032】
(係合部5)
係合部5は、搬送ベルト4の貫通孔40a各々に対応する位置に、搬送ベルト4の上下両面から一対対向して突設されている。即ち、搬送ベルト4の外周辺部40において一定間隔毎に、搬送ベルト4の上下両面から一対対向して係合部5(5a、5b)が突設されている。
【0033】
係合部5は、回転体であるベアリング81と、ベアリング81を搬送ベルト4に装着させるベアリング装着手段82とから主に構成されている。ベアリング装着手段82は、取付軸である取付ボルト80及び、ナット84とから構成されている。取付ボルト80は、軸部80aの一端側にやや径大の軸頭80bが設けてあり、他端側にネジ部80cを設けた構造である。
【0034】
本実施形態においては、搬送ベルト4の上下両面(外周面及び内周面の両面)から突設された一対の係合部5(5a、5b)は、同一のベアリング装着手段82により装着されている。具体的には、図2に示すように、搬送ベルト4を挟んで一対のベアリング81(81a、81b)を対向配置させる。そして、取付ボルト80を搬送ベルト4の外周面側から、ベアリング81a、搬送ベルト4の貫通孔40a、ベアリング81bの順に挿通させている。挿通された取付ボルト80の軸部80aにはベアリング81a及び81bが回転可能に装着されている。また、ネジ部80cには、ナット84が螺合されて締め付けられている。このようにされることで、一対の係合部5(5a、5b)は搬送ベルト4に装着されている。
【0035】
(ガイド部6)
ガイド部6は、搬送ベルト4の外周辺部40よりも内方向側(内周側)に外周辺部40に沿って配設された円弧状のガイドレールである。このガイド部6は、搬送ベルト4に突設された係合部5のベアリング81aを摺動可能に当接するものであり、ラウンドコンベヤ装置1の稼働時における搬送ベルト4の内方向への偏倚を阻止している。
【0036】
ガイド部6は、搬送ベルト4の上部巻回ベルト4aの上下両面から突設された係合部5と当接する2箇所、下部巻回ベルト4bの上下両面から突設された係合部5と当接する2箇所の計4箇所設けられており、ガイド部支持フレーム42に固設されたガイド支持板43に取り付けられている。なお、下部巻回ベルト4bの上下両面から突設された係合部5と当接する2箇所のガイド部6は、後述する回転噛合部70が接触しないように、該回転噛合部70の回転軌跡内(回転面積内)には設けられていない。
【0037】
(駆動部7)
駆動部7は、搬送ベルト4を回転させるものであり、搬送ベルト4を挟んで対向配置されるプロペラ状の二つの回転噛合部70(70a、70b)と、回転噛合部70を回転させる原動部71とを備えている。また、この駆動部7は、搬送ベルト4における上部巻回ベルト4aよりも下方に配置されている。
【0038】
回転噛合部70には、搬送ベルト4に突設された係合部5と噛合される歯95が外周に等間隔毎に複数(本実施形態では4つ)形成されている。また、回転噛合部70a、70bは同一の形状をしており、回転時において平面投影面積が略完全に重なるよう原動部71によって同期されて回転される。
【0039】
また、回転噛合部70a、70bは、搬送ベルト4における下部巻回ベルト4bに突設された係合部5を搬出端側から搬入端側に向けて移動させる回転方向で回転される。このように回転噛合部70を回転させると、搬送ベルト4における下部巻回ベルト4bは搬出端側から搬入端側に向けて走行することになり、これに伴い、搬送物Wが載置された上部巻回ベルト4aは搬入端側から搬出端側に向けて走行することになる。
【0040】
原動部71は、減速機構付きのモータ72、モータ72の駆動軸である下部回転軸73、下部回転軸73の軸中間部に固定されたスプロケット74、搬送ベルト4の外周辺部40よりも外側に設けられた補助回転軸75、補助回転軸75の軸中間部に固定されたスプロケット76、補助回転軸75の軸上端部に固定されたスプロケット77、下部回転軸73と同軸上に配された上部回転軸78、上部回転軸78の軸中間部に固定されたスプロケット79、スプロケット74及びスプロケット76に装着された下部チェーンベルト(図示せず)並びにスプロケット77及びスプロケット79に装着された上部チェーンベルト(図示せず)から主に構成されている。
【0041】
モータ72は、外フレーム51における一対のローラ2、3の中心軸の延長線間の角度二等分線線上にある位置から下設された脚41にモータ支持部材90を介して取り付けられている。また、補助回転軸75は軸下端部において、モータ支持部材90に形成された軸受90aにより回転自在に支持されている。また、上部回転軸78は軸上端部において、外フレーム51に取り付けられた上部回転軸保持板91に形成された軸受91aにより回転自在に支持されている。
【0042】
下部回転軸73、及び上部回転軸78は、一対のローラ2、3の中心軸の延長線間の角度二等分線線上であり、且つ搬送ベルト4の外周辺部40から離間した位置に配置されている。本実施形態においては、下部回転軸73、及び上部回転軸78は、搬送ベルト4の外周辺部40よりも内方向側(内周方向側)に配置されている。また、上部回転軸78の軸下端部には上部回転軸78と同軸の回転軸を有する回転噛合部70aが固定されている。同様に下部回転軸73の軸上端部には下部回転軸73と同軸の回転軸を有する回転噛合部70bが固定されている。即ち、本実施形態において、回転噛合部70a、70bの回転軸は、一対のローラ2、3の中心軸の延長線間の角度二等分線線上であり、且つ搬送ベルト4の外周辺部40よりも内方向側に配置されている。
【0043】
回転噛合部70aの歯95は、搬送ベルト4の下部巻回ベルト4bの上面(内周面)から突設された係合部5bのベアリング81bと噛合される。また、回転噛合部70bの歯95は、搬送ベルト4の下部巻回ベルト4bの下面(外周面)から突設された係合部5aのベアリング81aと噛合される。このようにされることで、搬送ベルト4は、回転噛合部70からの回転の伝動を、搬送ベルト4の上下両面から一対対向して突設された係合部5を介して受けることになるので、搬送ベルト4の片面のみから突設された係合部を介して伝動を受ける場合と比べて、搬送ベルト4の送りをより確実にすることができる。
【0044】
モータ72が駆動すると、モータ72の駆動軸である下部回転軸73が回転し、これに伴い、スプロケット74及び回転噛合部70bが回転する。このスプロケット74の回転により、下部チェーンベルトを介してスプロケット76が回転して補助回転軸75が回転し、スプロケット77が回転する。そして、このスプロケット77の回転により、上部チェーンベルトを介してスプロケット79が回転して上部回転軸78が回転し、回転噛合部70aが回転する。このようにして、回転噛合部70(70a、及び70b)は原動部71により同期して回転される。この回転噛合部70の回転は、搬送ベルト4に突設された係合部5を介して搬送ベルト4に伝動される。
【0045】
以上のように、回転噛合部70aの回転軸は、ローラ2、3における中心軸の延長線間の角度二等分線上に配置されているので、搬送ベルト4に突設された係合部5への回転噛合部70の回転の伝動は、搬送ベルト4の周方向の中間位置においてすることができる。これにより、この中間位置とローラ2との間の搬送ベルト4の送り速度と、この中間位置とローラ3との間の搬送ベルト4の送り速度を同じにすることができるので、その結果、搬送ベルト全体の送り速度を一定にすることができる。またさらに、回転噛合部70の回転軸は、搬送ベルト4の外周辺部40よりも内方向側に配置されており、回転噛合部70の回転軸が搬送ベルト4の外周辺部40よりも外方向側に配置されている場合に比べて、駆動部7を内方向側に配置させることができるので、ラウンドコンベヤ装置1の平面投影面積を小さくすることができ、その結果、ラウンドコンベヤ装置1を小型化することができる。
【0046】
また、駆動部7は、搬送ベルト4における上部巻回ベルト4aよりも下方に配置されており、回転噛合部70の歯95は、搬送ベルト4における下部巻回ベルト4bから突設された係合部5と噛合させているので、上部巻回ベルト4aにおいて搬送される搬送物Wの移動が、駆動部7により阻害されることはないため、搬送物Wをスムーズに搬入端から搬出端へ搬送させることができる。
【0047】
(ラウンドコンベヤ装置1の動作)
次に、ラウンドコンベヤ装置1の動作について説明する。
【0048】
まず、ラウンドコンベヤ装置1の稼働時において、原動部71のモータ72が駆動することにより、回転噛合部70が回転する。この回転噛合部70が回転すると、回転噛合部70の歯95が、搬送ベルト4の下部巻回ベルト4bに突設された係合部5に順次噛合される、搬送ベルト4における下部巻回ベルト4bが搬出端側から搬入端側に向けて走行する。これにより、上部巻回ベルト4aは搬入端側から搬出端側に向けて走行することになり、上部巻回ベルト4aに載置された搬送物Wは搬入端から搬出端へ搬送される。なお、搬送ベルト4の回転時には、搬送ベルト4の外周辺部40に突設された係合部5が、この外周辺部40よりも内方向側にこの外周辺部40に沿って配設されたガイド部6に当接しながら摺動するため、搬送ベルト4における内方向側への偏倚は阻止されている。
【0049】
以上のように、本実施形態のラウンドコンベヤ装置1は、従来装置が備えている伝動ベルトを使用せずに搬送ベルトを回転させているため、従来問題とされていた伝動ベルトからの塵の発散や、伝動ベルトの交換に伴う作業負担が生じることはない。またさらに、搬送ベルトに突設された係合部と回転噛合部の歯とを噛合させることで搬送ベルトを回転させているため、伝動スリップがなく、安定して搬送ベルトを回転させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0051】
例えば、本実施形態において、ラウンドコンベヤ装置1は、駆動部7を1つのみ備えているが、これに限定されるものではなく複数備えていても良い。この場合、各駆動部7が備える回転噛合部70の中心軸が、ローラ2、3の中心軸の延長線の交差点を中心とする円弧上に等間隔に配置されていることが好ましい。こうすることにより、搬送ベルト4の送り速度を一定にすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ラウンドコンベヤ装置
2 ローラ
3 ローラ
4 搬送ベルト
4a 上部巻回ベルト
4b 下部巻回ベルト
5 係合部
6 ガイド部
7 駆動部
70 回転噛合部
71 原動部
95 歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸の延長線が所定角度で相互に交差するよう配置された一対のローラと、
平面扇状からなり、前記一対のローラに回転可能に巻装された無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの外周辺部に一定間隔毎に突設された複数の係合部と、
前記搬送ベルトの前記外周辺部よりも内方向側に該外周辺部に沿って配設され、前記係合部を摺動可能に当接するガイド部と、
前記搬送ベルトを回転させる駆動部と
を備えており、
前記駆動部は、
前記係合部と噛合される歯を外周に有し、回転軸が前記搬送ベルトの前記外周辺部から離間して配置された回転噛合部と、
前記回転噛合部を回転させる原動部と
を備えていることを特徴とするラウンドコンベヤ装置。
【請求項2】
前記駆動部における前記回転噛合部の前記回転軸は、
前記一対のローラにおける前記延長線間の角度二等分線上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のラウンドコンベヤ装置。
【請求項3】
前記係合部は更に前記搬送ベルトの上下両面から一対対向して突設されており、
前記駆動部は、前記原動部により同期して回転される二つの前記回転噛合部を備え、
前記二つの回転噛合部において、第1の回転噛合部の前記歯は前記一対の係合部の一方の前記係合部と噛合され、第2の回転噛合部の前記歯は前記一対の係合部の他方の前記係合部と噛合されることを特徴とする請求項1又は2に記載のラウンドコンベヤ装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記搬送ベルトにおける上部巻回ベルトよりも下方に配置されており、
前記回転噛合部の前記歯は、前記搬送ベルトにおける下部巻回ベルトから突設された前記係合部と噛合されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のラウンドコンベヤ装置。
【請求項5】
前記駆動部における前記回転噛合部の前記回転軸は、前記搬送ベルトの前記外周辺部よりも内方向側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のラウンドコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−246247(P2011−246247A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122627(P2010−122627)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】