説明

ラキニモドナトリウムの結晶、及びその製造方法

【課題】塩形成の後に存在する不純物を除去するラキニモドナトリウムを調製するための方法の提供。
【解決手段】a)ラキニモドナトリウムを水に溶解して水溶液を形成することと;b)前記水溶液を濃縮して濃縮溶液を形成することと;c)水混和性の貧溶媒(water-miscible anti-solvent)を前記濃縮溶液に添加してラキニモドナトリウム結晶を形成することと;d)前記ラキニモドナトリウム結晶を単離すること。以上のステップによる塩形成工程後に不純物を除去するラキニモドナトリウムを調製するための方法。これにより、高純度の結晶および結晶特性が改善された結晶が得られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願の全体において、様々な文献、特許出願、および特許が参照される。これら文献の開示の全体は、当該発明が属する技術の状況をより完全に記載するために、本明細書中に参照によって本出願に援用される。
【0002】
[発明の背景]
ラキニモド(Laquinimod)は、急性の実験的な自己免疫性の脳脊髄炎(aEAE)モデルに有効であることが示された化合物である(米国特許第6,077,851号)。その化学名はN-エチル-N-フェニル-1,2,-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-5-クロロ-1-メチル-2-オキソキノリン-3-カルボキサミドであり、その化学物質登録番号は248281-84-7である。ラキニモドの合成法及びそのナトリウム塩の調製は、米国特許第6,077,851号に開示されている。付加的なラキニモドの合成法は、米国特許第6,077,851号に開示されている。
【0003】
米国特許第 6,077,851に開示されたラキニモドナトリウムの調製において、ラキニモド酸がエタノールに懸濁され、5M水酸化ナトリウム溶液が添加される。撹拌後、生じた沈殿物を、濾過し、エタノールで洗浄し、乾燥した。米国特許第6,077,851のラキニモドナトリウムを作出するために使用される方法は、一般にスラリースラリー塩形成(slurry-to-slurry salt formation)と称される。
【0004】
ラキニモドナトリウムのスラリースラリー塩形成法において、ラキニモドナトリウムは、溶液に溶解されない。それゆえ、ラキニモドナトリウム懸濁液中の固形の不純物(存在する場合)は、濾過で除去されない。
【0005】
出願人は、ラキニモドナトリウムのスラリースラリー形成によって通常他の化合物および/または金属で汚染した産物が生じることを見出した。開示される発明は、この事項に対応するラキニモドナトリウムを調製するための方法である。
【0006】
[発明の概要]
開示される発明は、塩形成の後に存在する不純物を除去するラキニモドナトリウムを調製するための方法であり、高純度の結晶および結晶特性が改善された結晶を生じる。
【0007】
本発明は、10%以上の総体積量(total amount by volume)のラキニモドナトリウム粒子が40ミクロンをこえるサイズを有する結晶性のラキニモドナトリウム粒子の混合物を提供する。
【0008】
また、本発明は、少なくとも0.6 g/mLのタップ密度を有している結晶性のラキニモドナトリウム粒子の混合物を提供する。
【0009】
また、本発明は、ラキニモドナトリウムおよび組成物中のラキニモドナトリウムの総量に基づいて計算される2 ppm以下の重金属を含んでいる組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、ラキニモドナトリウムの再結晶化法を提供し、該方法は以下を備える:
a) ラキニモドナトリウムを水に溶解して水溶液を形成することと;
b) 前記水溶液を濃縮して濃縮溶液を形成することと;
c) 水混和性の貧溶媒(water-miscible anti-solvent)を前記濃縮溶液に添加してラキニモドナトリウム結晶を形成することと;
d) 前記ラキニモドナトリウム結晶を単離すること。
【0011】
また、本発明は、ラキニモドナトリウムを含んでいる薬学的組成物を作出するための方法を提供し、該方法は以下を備える:
a) ラキニモドナトリウムのバッチを取得することと;
b) 不溶物が工程a)のバッチに存在するかどうかを、前記バッチからのサンプルを脱イオン水中、室温で少なくとも110 mgのサンプルに対し1.0 mlの水の比で混合して決定すること、及び生じた混合物を不溶物の存在に関して検査(inspect)することと;
c) 工程b)において不溶物が規定量未満で存在すると決定された場合、工程a)のバッチを少なくとも一つの薬学的に許容される担体と混合すること。
【0012】
[発明の詳細な説明]
本発明は、10%以上の総体積量(total amount by volume)のラキニモドナトリウム粒子が40ミクロンをこえるサイズを有する結晶性のラキニモドナトリウム粒子の混合物を提供する。
【0013】
前記混合物の態様において、50%以上の総体積量のラキニモドナトリウム粒子は、15ミクロンをこえるサイズを有する。
【0014】
更なる一態様において、前記混合物は、少なくとも 0.6 g/mL, 少なくとも 0.5 g/mL, または少なくとも 0.4 g/mLのタップ密度を有する。
【0015】
別の態様において、前記混合物は、少なくとも 0.4 g/mL, 少なくとも 0.3 g/mL, または少なくとも 0.2 g/mLの容積密度(bulk density)を有する。
【0016】
なお別の態様において、前記混合物は、0.8 g/mL未満または0.7 g/mL未満のタップ密度を有する。
【0017】
更なる一態様において、前記混合物は、2 ppm以下の重金属を含む。前記重金属は、鉄, ニッケル またはクロムである可能性がある。
【0018】
一態様において、前記混合物は、2 ppm 以下の鉄, 1.5 ppm 以下の鉄, または1 ppm 以下の鉄を含む。
【0019】
更なる一態様において、前記混合物は、0.2 ppm 以下のニッケル, 0.15 ppm 以下のニッケル, または0.1 ppm 以下のニッケルを含む。
【0020】
更なる一態様において、前記混合物は、0.3 ppm 以下のクロム, 0.25 ppm 以下のクロム, 0.2 ppm 以下のクロム, 0.15 ppm 以下のクロム, または0.1 ppm 以下のクロムを含む。
【0021】
また、本発明は、任意の開示された混合物および薬学的に許容される担体を含んでいる薬学的組成物を提供する。前記薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態であってもよい。
【0022】
また、本発明は、ラキニモドナトリウムおよび組成物中のラキニモドナトリウムの総量に基づいて計算される2 ppm以下の重金属を含んでいる組成物を提供する。前記重金属は、鉄, ニッケル またはクロムであってもよい。
【0023】
一態様において、前記組成物の鉄含有量は、2 ppm以下, 1.5 ppm以下, または1 ppm以下である。
【0024】
前記組成物の更なる一態様において、ニッケル含有量は、0.2 ppm以下, 0.15 ppm以下, または0.1 ppm以下である。
【0025】
前記組成物のなお更なる一態様において、クロム含有量は、0.3 ppm以下, 0.25 ppm以下, 0.2 ppm以下, 0.15 ppm以下, または0.1 ppm以下である。
【0026】
別の態様において、前記組成物は、結晶性形態(crystalline form)である。結晶性形態における組成物は、任意の開示された態様の形態であってもよい。
【0027】
また、本発明は、ラキニモドナトリウムの再結晶化法を提供し、概方法は以下を備える:
a) ラキニモドナトリウムを水に溶解して水溶液を形成することと;
b) 前記水溶液を濃縮して濃縮溶液を形成することと;
c) 水混和性の貧溶媒(water-miscible anti-solvent)を前記濃縮溶液に添加してラキニモドナトリウム結晶を形成することと;
d) 前記ラキニモドナトリウム結晶を単離すること。
【0028】
前記方法の一態様において、工程a)は、前記水溶液を40〜80℃の温度に加温することで行われる。
【0029】
前記方法の更なる一態様において、前記濃縮溶液は、ラキニモドナトリウムのグラムあたり1〜4ミリリットルの水を含む。
【0030】
前記方法の更なる一態様において、前記濃縮溶液は、ラキニモドナトリウムのグラムあたり1〜2ミリリットルの水を含む。
【0031】
前記方法の別の態様において、前記貧溶媒は、エタノール, イソプロパノール, およびアセトンからなる群の一つであるか又はそれらの二つ以上の混合物である。
【0032】
前記方法の別の態様において、前記貧溶媒は、アセトンである。
【0033】
前記方法のなお別の態様において、前記貧溶媒は、ラキニモドナトリウムのグラムあたり3および15ミリリットルの間の量で添加される。
【0034】
前記方法の更なる態様において、工程c)に続いて溶液が10℃未満の温度まで冷却される。
【0035】
前記方法のなお更なる態様において、工程b)に続いてラキニモドナトリウムの濃縮溶液がシーディング(seeding)される。
【0036】
また、本発明は、何れか一つの開示された方法によって調製されたラキニモドナトリウムを提供する。
【0037】
ラキニモドナトリウムを含んでいる薬学的組成物を作出するための方法は、以下を備える:
a) ラキニモドナトリウムのバッチを取得することと;
b) 不溶物が工程a)のバッチに存在するかどうかを、前記バッチからのサンプルを脱イオン水中、室温で少なくとも110 mgのサンプルに対し1.0 mlの水の比で混合して決定すること、及び生じた混合物を不溶物の存在に関して検査(inspect)することと;
c) 工程b)において不溶物が規定量未満で存在すると決定された場合、工程a)のバッチを少なくとも一つの薬学的に許容される担体と混合すること。
【0038】
前記方法の一態様において、工程b)の混合物における不溶物が規定量未満で存在しないと決定された場合、前記方法は更に以下を備える:
d) 工程a)のバッチを水に溶解して水溶液を形成することと;
e) 工程d)の水溶液を濾過して不溶物の量を規定量未満に減少させることと;
f) 工程e)の水溶液を濃縮して濃縮溶液を形成することと;
g) 水混和性の貧溶媒(water-miscible anti-solvent)を工程f)の濃縮溶液に添加してラキニモドナトリウム結晶を形成することと;
h) 工程g)のラキニモドナトリウム結晶を単離すること。
【0039】
本明細書中に使用される「薬学的に許容される」成分は、妥当な利益/危険の比率に相応して、過度に有害な副作用(例えば、毒性, 刺激作用, およびアレルギー性の応答)なくヒトおよび/または動物で使用するために適切なものである。
【0040】
従って、「薬学的に許容される担体」は、動物またはヒトに対して即時調製用化合物(instant compounds)を送達するための薬学的に許容される溶媒, 懸濁剤またはビヒクルである。担体は、意図する投与で計画された様式で選択される。リポソームも薬学的担体である。
【0041】
単位剤形(dosage unit)は、単一の化合物又はその化合物の混合物を含んでもよい。単位剤形は、経口の剤形(例えば、錠剤, カプセル, 丸剤, 粉剤, および顆粒剤)に調製できる。
【0042】
原薬(Drug substance)は、意図する形態の投与に関連し、従来の薬学的な実施に沿って適切に選択される適切な薬学的な希釈剤, 増量剤(extenders), 賦形剤, または担体(本明細書中で薬学的に許容される担体として集合的に称される)と混合して投与することができる。前記単位は、経口投与に適切な形態で存在するだろう。原薬は、単独で投与される。しかし、原薬は、一般には薬学的に許容される担体と混合され、錠剤またはカプセル剤の形態、リポソーム、または塊状化粉末(agglomerated powder)として共投与される。適切な固形の担体の例には、ラクトース, スクロース, ゼラチン および寒天が含まれる。カプセル剤または錠剤は、容易に製剤化でき、容易に嚥下または噛むために作出できる;他の固形の形態には、顆粒剤およびバルク粉剤が含まれる。錠剤は、適切な結合剤, 潤滑剤, 希釈剤, 崩壊剤, 着色剤, 香味剤(flavoring agents)流動誘発剤(flow-inducing agents), および溶融剤(melting agents)を含んでもよい。
【0043】
当該技術の特定の例示、本発明の経口の剤形を製剤化するために使用しえる薬学的に許容される担体および賦形剤は、米国特許出願公開第2005/0192315号などに記載されている。一例を挙げると,本発明の経口の剤形は、アルカリ反応成分(alkaline-reacting component)を含んでもよい。該成分は、好ましくは8をこえるpHを保持するために、約1〜20重量%の製剤の量である。
【0044】
本発明に有用な剤形を作出するための一般的な技術および組成物は、以下の文献に記載されている: 7 Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors, 1979); Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman et al., 1981); Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976); Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985); Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992); Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995); Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989); Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993); Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J.G.Hardy, S.S.Davis, Clive G.Wilson, Eds.); Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S.Banker, Christopher T.Rhodes, Eds.)。
【0045】
錠剤は、適切な結合剤, 潤滑剤, 崩壊剤, 着色剤, 香味剤(flavoring agents)流動誘発剤(flow-inducing agents), および溶融剤(melting agents)を含んでもよい。一例を挙げると,錠剤またはカプセル剤の単位剤形形態での経口投与に対し、活性な薬成分を、経口, 非毒性, 薬学的に許容される, 不活性な担体(例えば、ラクトース, ゼラチン, 寒天, デンプン, スクロース, グルコース, メチルセルロース, リン酸二カルシウム, 硫酸カルシウム, マンニトール, ソルビトール, 微結晶性セルロースなど)と混合できる。適切な結合剤には、デンプン, ゼラチン, 天然の糖, 例えば, グルコース またはβ-ラクトース, コーンスターチ, 天然および合成のガム, 例えば, アカシア, トラガカント, またはアルギン酸ナトリウム, ポビドン, カルボキシメチルセルロース, ポリエチレングリコール, ワックスなどが含まれる。これらの剤形に使用される潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム, ステアリン酸ナトリウム, 安息香酸ナトリウム, 酢酸ナトリウム, 塩化ナトリウム, ステアリン酸, フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumarate), 滑石などが含まれる。崩壊剤には、限定されることなく、デンプン, メチルセルロース, 寒天, ベントナイト, キサンタンガム, クロスカルメロースナトリウム, デンプングリコール酸ナトリウムなどが含まれる。
【0046】
本明細書中に使用される「貧溶媒(anti-solvent)」は、ラキニモドナトリウムが室温(20〜25℃)で僅かに可溶性(slightly soluble)、ごく僅かに可溶性(very slightly soluble)、事実上不溶性(practically insoluble)または不溶性である溶媒である。溶解性(solubility)の用語は、以下に規定され、米国薬局方XXVと一致する。
【表A】

【0047】
本明細書中に使用される「密度(density)」は、物質の質量/単位体積として規定される測定値である。
【0048】
本明細書中に使用される「容積密度(bulk density)」または「BD」は、緩い、詰まっていない物質の密度測定を意味する(ここで、物質の体積には、粒子の間にトラップされた空気が含まれる)。
【0049】
本明細書中に使用される「タップ密度(tapped density)」または「TD」は、タップされ又は振動され、それによって粒子の間にトラップされた空気を排除する又は最小化することによって物質の体積を最小化させた物質の密度測定を意味する。
【0050】
通常、不純物のある結晶性の化合物の精製は、適切な溶媒または溶媒の混合物からの再結晶によって達成される(Vogel's Textbook of Practical Organic Chemistry. 5th edition. Longman Scientific & Technical, 1989)。
【0051】
再結晶の方法は、一般に以下の工程を備える:
a) 不純物のある結晶性の物質を沸点に近い適切な溶媒に溶解すること;
b) 熱い溶液を不溶性の原料(material)および粉塵の粒子から濾過すること;
c) 熱い溶液を冷やさせて溶解した物質を結晶化させること;および
d) 前記結晶を上清溶液から分離すること(Id.)。
【0052】
しかしながら、標準の再結晶技術では、ラキニモドナトリウムに応用したときに収量が低い又は収量がなかった。例1〜10に示したとおり、ラキニモドナトリウムを再結晶する試みは、たとえあったにしても乏しい収量を生じるものであった。本発明は、ラキニモドナトリウムの高収量を生じる産業上再現可能な再結晶法を提供する。
【0053】
本発明の方法は、ラキニモドナトリウムが実際に不溶性である貧溶媒を使用する。加えて,本発明の方法は、貧溶媒の付加前に、ラキニモドナトリウム水溶液を濃縮する。
【0054】
本発明の再結晶法によって製造されたラキニモドナトリウムは、従来技術において開示されたラキニモドナトリウムに対し純度が増加している。米国特許第6,875,869号は、基剤化合物ラキニモド(base compound laquinimod)を高収率で及び低レベルの不純物で調製する方法を開示している。しかしながら、米国特許第6,875,869の方法は、基剤化合物の合成に関してのみであり、塩ではない。スラリースラリー塩形成法は、それ自体、ナトリウム塩を形成するためになお必要とされるだろう。以前に開示されたスラリースラリー塩形成法は、出発原料中に存在する何らかの不純物を除去することにおいて効率的ではない。
【0055】
本発明の再結晶法の第二の効果は、環境にやさしいことである。というのも、水が主な溶媒として使用されるからである。
【0056】
本発明の再結晶法の第三の効果は、従来技術において開示されたラキニモドナトリウム結晶よりも高密度のラキニモドナトリウム結晶が産生されることです。低いタップ密度は、原薬の特定の価値のある品質、例えば、圧縮率(圧力下の体積の減少に対する粉末の能力)、および成形性(特定の強度または硬さの錠剤へと圧縮される粉末の能力)には望まれない。また、低いタップ密度を有する結晶は、乏しい流動性を有することが知られており、これによって最終的な剤形(特に、錠剤)の含有量の均一性が失われる(Rudnic et al. Chpt. 45, Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition, Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MD. (2000))。含有量の均一性の問題は、錠剤内の活性な薬学的成分の量が低い錠剤において特に重要である。
【0057】
本発明の再結晶法の第四の効果は、生じるラキニモドナトリウム結晶の粒径が増大することである。ラキニモドナトリウムの大きな粒子は、薬学的組成物を作出するときにより加工が可能である。小さな粒子は、薬学的組成物の製造における加工に干渉するだろう粉塵様の特性と度々関連している。加えて、小さな粒子は、薬学的組成物の製造に干渉するだろう流動性の問題と時々関連する。さらにまた、幾つかの例において、化学的な安定性は、小さな粒径から生じる表面積の増加によって減少することが示されている。
【0058】
[実験の詳細]
粉末密度の決定
容積密度
1. 粉末を混合;
2. 0.01 gを感知するバランスで50 mlの空シリンダーの重量を測る;
3. 粉末を圧縮することなく、未タップの見かけ上の体積の40〜50 mlを達成するために約45度の角度で保持されている前記シリンダーに移す。
【0059】
4. サンプルを含んでいるシリンダーを、記録する体積をみるために素早く移動して垂直位にする。
【0060】
5. 最も近い目盛りの単位で見かけ上の体積(Va;apparent volume)を読む;
6. サンプルを有するシリンダーを秤量する(バランスによって、サンプル重量Mが与えられる);
7. BD=M/Vaの式にしたがって容積密度g/mlを計算する;
8. 工程1-7を再び行って、デュープリケート(duplicates)の平均データを報告する。
【0061】
タップ密度
1. 使用した同じシリンダーを容積密度を計算するためQuantachrome Dual Autotap機器に配置する;
2. 1250 タップを行う;
3. 最も近い目盛りの単位でタップ体積(Vf;tapped volume)を読む;
4. TD=M/Vfの式にしたがってタップ密度g/mlを計算する;
5. 工程1-4を再び行って、デュープリケート(duplicates)の平均データを報告する。
【0062】
粒径の決定
粒径の分布を、Mastersizer Sモデルを用いるMalvernレーザー回折で測定した。レーザー回折は、ライトの回折角度が粒径と反比例するとの事実によるものである。粒子の特性が、測定され、球の測定値として解釈される(球は一つのユニークな数で記述できる唯一の形である)。加えて、レーザー回折は、周囲の体積の条件に基づく粒径分布を計算し、粒径の判定から粒子数を引く。Mastersizer Sモデルは、単一の技術および単一の範囲設定を用いて粒子を測定する。
【0063】
D(0.1)は、粒径(ミクロン)であり、それ以下で集団の10体積%の分布が見つかる。D(0.5)は、粒径(ミクロン)であり、それ以下で集団の50体積%の分布が見つかる。D(0.9)は、粒径(ミクロン)であり、それ以下で集団の90体積%の分布が見つかる。
【0064】
重金属の決定
金属の含有量を、Spectro (Kleve, Germany)が製造した誘導結合プラズマ原子分光分析(「ICP-AES」)を用いて誘導結合プラズマ原子分光分析で測定した。サンプルの消化を、65%硝酸で行った。また、使用した内部標準は、スカンジウムであった。
【0065】
ノート: 以下の実験において、使用した溶媒の体積は、ラキニモドナトリウムの開始重量に対して相対的に計算された。収量は、重量パーセントで計算された。
【0066】
純度の決定
ラキニモドナトリウムおよび極性の不純物/デグラデーション産物を、ODS-3Vカラムおよび酢酸アンモニウム緩衝剤 pH7.0(80%)およびアセトニトリル(20%)の混合物から構成される移動相を用いた定組成(isocratic)の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で決定した。検出を、240nmでの紫外吸収で行った。
【0067】
例1 (ラキニモドナトリウムを調製する方法)
ラキニモド酸を、米国特許第 6,875,869に記載の方法にしたがって調製した: 5-クロロ-1,2-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボン酸 メチルエステル(3.0 g), N-エチルアニリン(2 eq 2-2.88 ml), およびヘプタン(60 ml)を熱し、揮発性物質(主にヘプタンおよび形成されたメタノール)(32 ml)を6 時間および35 分間で蒸留除去した。室温に冷却した後に、結晶性の懸濁液を濾過した。その結晶を、ヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥し、白色からオフホワイトの結晶としてラキニモド酸(3.94 g, 98%)が産出された。
【0068】
ラキニモド酸を、米国特許第 6,077,851, 例 2に記載の方法を用いてラキニモドナトリウムへと転換した: 5 M水酸化ナトリウムの溶液を、50重量%の水酸化ナトリウム溶液(10.0 g)を滅菌水で25 mlの総容積に希釈することによって調製した。N-エチル-N-フェニル-1,2-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド (10.0 g)を、エタノール (150 ml)に懸濁した。以前に調製した5 M水酸化ナトリウム溶液を、pH8-12まで添加した(5.6 ml)。反応混合物を、周囲温度(ambient temperature)でさらに30 分間撹拌した。生じた沈殿を、濾過し、急速にエタノール (2x150 ml)で二回洗浄した。沈殿物を、次にP2O5に対して減圧下で乾燥して、表題の化合物(9.5 g)を生じた(収率90%)。この方法は、「スラリースラリー法(slurry-to-slurry process)」として知られている。
【0069】
例2
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、6.1 容量の水に50℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって12.5に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。50.0容量のエタノールを添加した。溶液を2℃に冷却したが、結晶化は生じなかった。
【0070】
例3
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、6.1 容量の水に50℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって12.5に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。100.0容量のエタノールを添加した。溶液を-18℃に冷却したが、結晶化は生じなかった。
【0071】
例4
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、6.1 容量の水に50℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって12.5に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。50.0容量のエタノールを添加した。溶液を-18℃に冷却したが、結晶化は生じなかった。
【0072】
例5
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、6.1 容量の水に50℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって12.5に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。50.0容量のエタノールを添加した。溶液を、HClを添加することによってpH5.0に酸性化(acidified)した。溶液を4℃に冷却し、結晶化が生じた。結晶化した化合物を、濾過し、20 mLのエタノール:水溶液(water solution)1:1で洗浄し、50℃で減圧下で恒量(constant weight)まで乾燥し、ラキニモド酸であると決定した(収率56.2%)。
【0073】
例2〜5の考察
例2〜5において、再結晶を、ラキニモドナトリウムを少量の水中に溶解すること、及びエタノールを貧溶媒として添加することによって試みた。ラキニモドナトリウムのエタノールにおける溶解度は低いが(ラキニモドナトリウムは、室温でエタノールに僅かに可溶性である)、ラキニモドナトリウムの結晶化は多量(100 容量程度)のエタノールが添加されたにもかかわらず達成されなかった。
【0074】
例6
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、9.9 容量の水に76℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって10.5-11に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。溶液を3℃に冷却したが、結晶化は生じなかった。
【0075】
例7
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、9.9 容量の水に76℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって10.5-11に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。30.6容量のイソプロパノールを添加した。溶液を5℃に冷却したが、結晶化は生じなかった。
【0076】
例2〜7の考察
例 6は、ラキニモドナトリウムの水溶液を単に冷やすことによって、結晶化が生じないことを示している。例 7は、イソプロパノール貧溶媒(ラキニモドナトリウムは、室温でイソプロパノールにごく僅かに可溶性である)をラキニモドナトリウムの水溶液へ添加することによって、結晶化が生じないことを示している。
【0077】
例2〜7は、ラキニモドの再結晶に使用されたときに、再結晶の標準法が効果的ではなかったことを示している。というのも、結晶化が生じないか、低収量であったからである。
【0078】
例8
例 7の溶液を、減圧下で3.8容量まで蒸発させることによって濃縮した。少量の固形物が、溶液から結晶化した。混合物を、7℃で一晩冷却した。混合物を、濾過した。固形の結晶を、20 mlのイソプロパノールで洗浄し、50℃で減圧下で恒量まで乾燥した。収率は、11.2%であると決定された。
【0079】
例9
例 8の濾過物を、採取した。8.2容量(例 7の開始ラキニモドナトリウムとの相対量)のイソプロパノールを、濾過物に室温で添加した。イソプロパノールでの濾過物を、7℃に冷却し、固形物が溶液から結晶化した。結晶を、10 mlのイソプロパノールで洗浄し、50℃で減圧下で恒量まで乾燥した。収率は、(例 7の開始ラキニモドナトリウムの)29.8%であると決定された。
【0080】
例10
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、9.9 容量の水に76℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって10.5-11に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。91容量のアセトンを添加した。溶液を5℃に冷却し、少量の固形物の結晶化が認められた。固形物を、アセトンで洗浄し、濾過し、50℃で減圧下で恒量まで乾燥した。収率は、10.2%であると決定された。
【0081】
例11
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、9.9 容量の水に76℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって10.5-11に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。溶液を、回転エバポレータを用いて1.4容量まで濃縮した。
【0082】
8.0容量のアセトンを、溶液に添加し、結晶化が生じた。混合物を、7℃に一晩冷却した。固形物を、濾過し、50℃で減圧下で恒量まで乾燥した。固形物は、ラキニモドナトリウムであると決定され、収率は90.3%であった。
【0083】
例10および11の考察
例 10は、大量のアセトン(ラキニモドナトリウムは、室温でアセトンに事実上不溶性である)をラキニモドナトリウムの非濃縮の水溶液へ添加することによって、低い収量の結晶性のラキニモドナトリウムが提供されることを示している。
【0084】
他方で、例 11は、ラキニモドナトリウム水溶液が最初に濃縮される場合、貧溶媒が添加され、ラキニモドナトリウムの収量が高いことを示している。大量の貧溶媒は、このケースで高収量を達成するために必要とされない。
【0085】
例12
例 1にしたがって調製したラキニモドナトリウムを、11.1 容量の水に78℃で添加した。pHを、NaOHを添加することによって12に調製した。その混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。溶液を、回転式エバポレータを用いて1.9容量まで濃縮した。溶液を、温めた反応器(ジャケット温度50℃)に移した。
【0086】
9.5容量のアセトンを、ゆっくり溶液に添加し、結晶化を生じさせた。混合物を、3℃に冷却し、反応器で1.5 時間混合した。固形物を、濾過し、新鮮なアセトンで洗浄し、50℃で減圧下で恒量まで乾燥し、ラキニモドナトリウムであると決定した(収率は79.5%であった)。
【0087】
例 13(シーディングなしの再結晶)
例 1(バッチA)の手順に続いてスケールアップ法によって調製された46.7gのラキニモドナトリウムおよび500mlの脱イオン水を、理化学用ガラス反応器に導入した。混合物を、撹拌し、固形物が完全に溶解するまで50℃に熱した。溶液を濾紙で濾過し、濾紙を10mlの水で洗浄し、洗浄液を濾過物と混合した。
【0088】
生じた溶液を、減圧蒸留システムを備えた理化学用反応器に導入した。溶液を、減圧下(35-38 mbar)で112mlの容量まで蒸発させることによって濃縮した。蒸発後、圧力を、大気圧に調整した。ジャケット温度を、50℃に上昇させた。295gのアセトンを、2 時間でバッチに添加した。固形物の結晶化を、アセトン添加の間に観察した。バッチを、2℃に冷やし、この温度で12 時間撹拌した。固形の産物を、濾過で単離し、アセトンで二回洗浄し、減圧下で35-40℃で恒量まで乾燥した。35.7gの乾いた固形物を得た(収率76.4%)。
【0089】
例 1にしたがって調製した出発原料(バッチ A)および乾いた再結晶産物を、採取し、粒径分布, 粉末密度および化学的な純度に関して分析した。結果を表1に示す。
【表1】

【0090】
例 13の方法は、産業上再現可能な高収量をともなっていた。
【0091】
例 13は、再結晶法がラキニモドナトリウムの純度を増加させたことを示している。というのも、不純物ピーク1が、再結晶の後にもはや検出可能ではなく、色が変化したからである。加えて、重金属Fe, Ni, および Crの含有量が減少した。
【0092】
加えて、ラキニモドナトリウムの粉末密度が、増加した。粒子のサイズも、増加した。
【0093】
例 14〔自発性の結晶化でのラキニモドナトリウム再結晶化(水中での核形成)〕
例 1(バッチB)の手順に続いてスケールアップ法によって調製された71.4gのラキニモドナトリウムおよび750mlの脱イオン水を、理化学用ガラス反応器に導入した。混合物を、撹拌し、60℃に熱し、固形物の完全な溶解が観察された。溶液を濾紙で濾過し、濾紙を36mlの水で洗浄し、洗浄液を濾過物と混合した。
【0094】
生じた溶液を、減圧蒸留システムを備えた理化学用反応器に導入した。前記バッチを、減圧下(37-38 mbar)で153mlの容量まで蒸発させることによって濃縮した。蒸発の完了後、反応器の圧力を大気圧に調整し、ジャケット温度を50℃に調整した。前記バッチを、25 分間撹拌した。この段階で固形物の自発性の結晶化を観察した。それから450.5gのアセトンを、前記バッチに2 時間添加した。前記バッチを、2℃に冷却し、この温度で12hrs撹拌した。そして、固形の産物を、濾過で単離し、アセトンで二回洗浄し、減圧下で35-40℃で恒量まで乾燥した。64.2gの乾いた固形物を得た(収率89.9%)。
【0095】
例 1にしたがって調製した出発原料(バッチ B)および乾いた再結晶産物を、採取し、粒径分布, 粉末密度および化学的な純度に関して分析した。結果を表2に示す。
【表2】

【0096】
例 15〔種結晶での再結晶化法(水中での制御した核形成)〕
例 1(バッチC)の手順に続くスケールアップ法によって調製された25.0gのラキニモドナトリウムおよび260mlの脱イオン水を、理化学用ガラス反応器に導入した。混合物を、撹拌し、60℃に熱し、固形物の完全な溶解が観察された。溶液を濾紙で濾過し、濾紙を15mlの水で洗浄し、洗浄液を濾過物と混合した。生じた溶液を、回転エバポレータで減圧下(20-25mbar)で60.0gの残重量まで蒸発させることによって濃縮した。蒸発の完了後、残留物を、50℃(ジャケット温度)に予熱した理化学用ガラス反応器に導入した。前記バッチを、0.2 gの固形のラキニモドナトリウムを播種し、一時間撹拌した。固形物の結晶化が、観察された。それから157.7gのアセトンを、前記バッチに2 時間添加した。前記バッチを、2℃に冷やし、12 時間撹拌した。固形の産物を、濾過で単離し、アセトンで二回洗浄し、減圧下で35〜40℃で恒量まで乾燥した。22.6gの乾いた固形物を得た(収率90.4%)。
【0097】
例 1にしたがって調製した出発原料(バッチ C)および乾いた再結晶産物を、採取し、粒径分布, 粉末密度および化学的な純度に関して分析した。結果を表3に示す。
【表3】

【0098】
例14および15の考察
例 14および15の方法は、産業上再現可能な高収量をともなっていた。
【0099】
例 14および15は、再結晶法がラキニモドナトリウムの純度を増加させたことを示している。というのも、不純物ピークが、再結晶の後にもはや検出可能ではなかったからである。加えて、重金属Fe, Ni, および Crの含有量が減少した。例 14および15で再結晶後に生じた結晶は、再結晶前の結晶よりも大きかった。
【0100】
例 16〔シーディングなしの結晶化(アセトンの存在下での核形成)〕
水 (532 mL) および ラキニモドナトリウム (52.3 g)を、理化学用ガラス反応器(0.5 L)に導入した。懸濁液を、透明な溶液が得られるまで70-73℃に熱した。熱い溶液を、50℃に冷やし、0.2 ミクロンのフィルターで濾過した。そのフィルターを、10mlの水で洗浄した。そして洗浄物を、濾過物と混合した。ジャケット温度を60℃で反応器を約35-40℃で維持し、30-50 mbarの減圧下で撹拌している間に蒸発させることによって、生じた溶液を1リットルの反応器中で112 mLの容量に濃縮した。蒸発完了および圧力の調整の直後、ジャケット温度を50℃に維持している間にアセトン(417mL)を蒸発の残留物に2 時間添加した。結晶化混合物を、2 時間2℃に冷やし、この温度で5〜10 時間維持した。形成された固形物を、濾過で採取し、50 mLのアセトンで二回洗浄した。湿った原料を、乾燥機で30-40℃で減圧下で乾燥して、47.6 グラム(90.6% 収率)の乾燥原料を得た。結果を表4に示す。
【表4】

【0101】
再結晶法で生産された結晶は、出発原料の結晶よりも大きかった。
【0102】
例 17(不溶性の不純物を伴う粗製ラキニモドナトリウムの再結晶化)
例 1(バッチD)の手順に続くスケールアップ法によって調製された55 mgのラキニモドナトリウムのサンプルを、0.5 mLの脱イオン水中で周囲温度で混合した。サンプルは、水中で完全に溶解しなかった。
【0103】
前記バッチのサンプルの再結晶による精製を、以下の通り行った:
水 (391 mL) および例 1(バッチD)のラキニモドナトリウム (39.1 g)を、理化学用ガラス反応器(0.5 L)に導入した。懸濁液を、ジャケット温度を73℃に上昇させることによって熱した。20 min後、溶液は透明ではなかった。懸濁液を、さらにジャケット温度を75℃に上昇させることによって温めた。透明な溶液は、なおも得られなかった。熱い溶液を、50℃に冷やし、Buchner漏斗で研究用フィルターをとおして濾過した。0.3 gramsの固形の残留物が、濾紙上に残った。固形の残留物のサンプルを、不純物含有量に関して試験した。その濾紙を、47 mlの水で洗浄した。そして洗浄物を、濾過物と混合した。生じた溶液を、ジャケット温度を25℃に低下させることによって冷却した。その溶液を、減圧下(P < 45 mmHg)で、30 minのコースで加温している間にジャケット温度を65℃に上昇させることによって濃縮した。蒸発の完了後、残留物(82.1 ml, 93.2 g, d=1.135 g/ml)を、ジャケット温度を50℃に低下させることによって冷却し、10 min撹拌した。前記バッチは、固形のラキニモドナトリウムを播種され、ジャケット温度を50℃で1 時間維持している間に撹拌された。アセトン (316.7mL, 250.2 g)を、結晶化混合物に添加した(2 時間、50℃)。生じた懸濁液を、4 時間2℃に冷やし、この温度でさらに11 時間維持した。形成された固形物を、濾過で採取し、31.3 gのアセトンで二回洗浄した。湿った原料を、乾燥機で30-40℃で減圧下で乾燥して、31.7 グラム(81.1%)の乾燥した結晶性のラキニモドナトリウムを得た。粗製のラキニモドナトリウムの不純物含有量を、再結晶の前後のICPで試験した。
【表5】

【0104】
例17の考察
粗製のラキニモドナトリウムでさえも、再結晶前に高い不溶性の不純物レベルを有していた。再結晶法では、低い不純物レベルを有していた。固形の残留物の高い不純物含有量は、不純物のレベルを低くするために水性のラキニモド溶液の濾過の重要性を示している。従って、ラキニモド製剤の安定性などに有害な効果を生じることが判明している量未満に、不溶物の量を低くすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】例14の例1(バッチB)にしたがって調製したラキニモドナトリウムの走査電子顕微鏡写真(再結晶前)。
【図2】例15の再結晶した結晶の走査電子顕微鏡写真。
【図3】例16の再結晶した結晶の走査電子顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10%以上の総体積量のラキニモドナトリウム粒子が40ミクロンをこえるサイズを有する結晶性のラキニモドナトリウム粒子の混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の混合物であって、50%以上の総体積量のラキニモドナトリウム粒子は、15ミクロンをこえるサイズを有する混合物。
【請求項3】
少なくとも 0.6 g/mLのタップ密度を有している請求項1または2に記載の混合物。
【請求項4】
少なくとも 0.4 g/mLの容積密度を有している請求項1〜3の何れか1項に記載の混合物。
【請求項5】
0.8 g/mL未満のタップ密度を有している請求項1〜4の何れか1項に記載の混合物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の混合物であって、2 ppm以下の重金属を含んでいる混合物。
【請求項7】
請求項6に記載の混合物であって、前記重金属が鉄, ニッケル またはクロムである混合物。
【請求項8】
請求項7に記載の混合物であって、2 ppm以下の鉄を含む混合物。
【請求項9】
請求項7に記載の混合物であって、0.2 ppm以下のニッケルを含む混合物。
【請求項10】
請求項7に記載の混合物であって、0.3 ppm以下のクロムを含む混合物。
【請求項11】
少なくとも0.6 g/mLのタップ密度を有している結晶性のラキニモドナトリウム粒子の混合物。
【請求項12】
少なくとも 0.4 g/mLの容積密度を有している請求項11に記載の混合物。
【請求項13】
0.8 g/mL未満のタップ密度を有している請求項11または12に記載の混合物。
【請求項14】
請求項11〜13の何れか1項に記載の混合物であって、2 ppm以下の重金属を含んでいる混合物。
【請求項15】
請求項14に記載の混合物であって、前記重金属が鉄, ニッケル またはクロムである混合物。
【請求項16】
請求項15に記載の混合物であって、2 ppm以下の鉄を含む混合物。
【請求項17】
請求項15に記載の混合物であって、0.2 ppm以下のニッケルを含む混合物。
【請求項18】
請求項15に記載の混合物であって、0.3 ppm以下のクロムを含む混合物。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか1項に記載の混合物と薬学的に許容される担体とを含んでいる薬学的組成物。
【請求項20】
錠剤またはカプセル剤の形態の請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
ラキニモドナトリウムおよび組成物中のラキニモドナトリウムの総量に基づいて計算される2 ppm以下の重金属を含んでいる組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の組成物であって、前記重金属が鉄, ニッケル またはクロムである組成物。
【請求項23】
請求項22記載の組成物であって、鉄の含有量が2 ppm以下である組成物。
【請求項24】
請求項22記載の組成物であって、ニッケルの含有量が0.2 ppm以下である組成物。
【請求項25】
請求項22記載の組成物であって、クロムの含有量が0.3 ppm以下である組成物。
【請求項26】
結晶性形態の請求項21〜25の何れか1項に記載の組成物。
【請求項27】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項21〜26の何れか1項に記載の組成物。
【請求項28】
錠剤またはカプセル剤の形態の請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
ラキニモドナトリウムの再結晶化の方法であって、以下を備える方法:
a) ラキニモドナトリウムを水に溶解して水溶液を形成することと;
b) 前記水溶液を濾過して固形の不純物を除去することと;
c) 前記水溶液を濃縮して濃縮溶液を形成することと;
d) 水混和性の貧溶媒を前記濃縮溶液に添加してラキニモドナトリウム結晶を形成することと;
e) 前記ラキニモドナトリウム結晶を単離すること。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、工程a)は、前記水溶液を40〜80℃の温度に加温することで行われる方法。
【請求項31】
請求項29〜30の何れか1項に記載の方法であって、前記濃縮溶液は、ラキニモドナトリウムのグラムあたり1〜4ミリリットルの水を含む方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記濃縮溶液は、ラキニモドナトリウムのグラムあたり1〜2ミリリットルの水を含む方法。
【請求項33】
請求項29〜32の何れか1項に記載の方法であって、前記貧溶媒は、エタノール, イソプロパノール, およびアセトンからなる群の一つであるか又は二つ以上の混合物である方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記貧溶媒がアセトンである方法。
【請求項35】
請求項29〜34の何れか1項に記載の方法であって、前記貧溶媒は、ラキニモドナトリウムのグラムあたり3および15ミリリットルの間の量で添加される方法。
【請求項36】
請求項29〜35の何れか1項に記載の方法であって、工程c)に続いて溶液が10℃未満の温度まで冷却される方法。
【請求項37】
請求項29〜36の何れか1項に記載の方法であって、工程b)に続いて濃縮溶液がラキニモドナトリウムでシーディングされる方法。
【請求項38】
請求項29〜37の何れか1項に記載の方法によって調製されたラキニモドナトリウム。
【請求項39】
ラキニモドナトリウムを含んでいる薬学的組成物を作出するための方法であって、以下を備える方法:
a) ラキニモドナトリウムのバッチを取得することと;
b) 不溶物が工程a)のバッチに存在するかどうかを、前記バッチからのサンプルを脱イオン水中、室温で少なくとも110 mgのサンプルに対し1.0 mlの水の比で混合して決定すること、及び生じた混合物を不溶物の存在に関して検査することと;
c) 工程b)において不溶物が規定量未満で存在すると決定された場合、工程a)のバッチを少なくとも一つの薬学的に許容される担体と混合すること。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、工程b)の混合物における不溶物が規定量未満で存在しないと決定された場合、前記方法は更に以下を備える方法:
d) 工程a)のバッチを水に溶解して水溶液を形成することと;
e) 工程d)の水溶液を濾過して不溶物の量を規定量未満に減少させることと;
f) 工程e)の水溶液を濃縮して濃縮溶液を形成することと;
g) 水混和性の貧溶媒を工程f)の濃縮溶液に添加してラキニモドナトリウム結晶を形成することと;
h) 工程g)のラキニモドナトリウム結晶を単離すること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100299(P2013−100299A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−277069(P2012−277069)
【出願日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【分割の表示】特願2008−536806(P2008−536806)の分割
【原出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】