説明

ラクトバシラス・ジョンソニイD115の広いスペクトルの抗菌および抗真菌活性

本発明は、ラクトバシラス・ジョンソニイD115の生菌として、予防剤として、または物質の表面処理剤としての、ヒトおよび動物の病原体、例えばブラキスピラ・ピロシコリ、ブラキスピラ・ハイオディセンテリア、シゲラ・ソンネ、ビブリオ・コレラ、ビブリオ・パラヘモリチカス、カンピロバクター・ジェジュニ、ストレプトコッカス・ニューモニエ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、クロストリジウム・パーフリンジェンス、エルシニア・エンテロコリチカ、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、スタフィロコッカス・アウレウス、サルモネラ属の種、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムに対する使用の可能性を示した。そのタンパク質性抗微生物化合物は部分的に特性づけられ、121℃までにおいて15分間耐熱性であり、pH1までにおいて40℃で30分間耐酸性であることが分かった。その化合物は酵素消化に対しても安定であり、ペプシンおよびトリプシンで処理した場合に60%より多くの抗微生物活性を保持していることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連する出願】
【0001】
[0001] この出願は、2007年4月24日に出願された米国特許出願シリアル番号60/925,937に対して優先権を主張し、これを本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本発明は概して抗微生物活性を有する細菌に関し、より詳細には、抗菌および抗真菌活性の両方を有する、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)D115株を含むラクトバシラス・ジョンソニイの細菌に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] ブラキスピラ(Brachyspira)属(以前はトレポネーマ(Treponema)およびセルプリナ(Serpulina))は、いくつかの種、例えばブラキスピラ・イノセンス(Brachyspira innocens)、B.マードシー(B. murdochii)、B.インテルメディア(B. intermedia)、B.ハイオディセンテリア(B. hyodysenteriae)およびB.ピロシコリ(B. pilosicoli)からなる。これらの細菌はグラム陰性のスピロヘータ(ゆるくコイル状になった(coiled)形態)であり、運動性で、酸素に耐性があり、血液寒天上で溶血活性を有する嫌気性菌である。全ての中で、B.ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリは、様々な動物種において重い下痢性疾患および虚弱な成長速度を引き起こし、結果としてかなりの生産性および経済上の損失をもたらすそれらの高い病原性のため、相当に重要である。ブタにおいて、B.ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリは、それぞれブタ赤痢およびブタ腸管スピロヘータ症の病因因子である。同じ属であるにも関わらず、B.ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリはそれらの溶血活性において異なり、それはそれぞれのスピロヘータにより引き起こされる結腸の疾患を明確に区別している。
【0004】
[0004] ブタ赤痢は高度に接触感染する下痢性疾患であり、それは全ての年齢のブタで起こる可能性があり、成長期および仕上げ期のブタにおいてより高い発生率で観察される。ブタ赤痢の最初の記述は1921年におけるもので、病因因子であるトレポネーマ・ハイオディセンテリアが明確に解明されたのは1971においてであった。その疾患は粘膜出血性大腸炎であり、大腸の粘膜層の炎症、過度の粘液産生、および壊死を特徴とする。原因因子であるB.ハイオディセンテリアに感染したブタは、臨床徴候、例えば体重の低下、抑うつ、食欲の減少、ならびにB.ハイオディセンテリアの強力なベータ溶血活性により最も顕著である顔の外見の暗褐色への変化(ブタ赤痢の始まり)および血性の下痢(重篤期)を示すであろう。死は通常は重い下痢による持続性の脱水症の結果である。感染したブタの回復が可能である場合は、ブタは遅い成長速度を有し、最も重要なことには、その生物を温存しており他のブタに感染を広める危険がある可能性がある。ブタ赤痢の発生はいくつかの国、例えばオーストラリア、イタリア、ドイツ、スイス、デンマーク、米国(US)、イギリス(UK)およびチェコ共和国で報告されている。イギリスでは、ブタにおけるブタ赤痢の有病率は群れの約11%であると見積もられた。オーストラリアでは、1年あたりに雌ブタあたり$100がその疾患で失われていると見積もられており、一方米国ではその疾患による1年間の損失は$11520万にもなると見積もられた。ブタ赤痢による重大な経済上の損失には、投薬のコスト、追加の動物のケア、低減した動物の成長速度、低減した飼料転換効率および高い死亡率が一因となっている。
【0005】
[0005] ブタ赤痢と比べると、ブタ腸管スピロヘータ症(PIS)は、弱いベータ溶血性のB.ピロシコリにより引き起こされる、致命的ではないより穏やかな形の下痢性疾患である。その疾患は一般に4〜20週目の離乳期および成長期のブタにおいて起こる。この疾患と関係する臨床徴候には、粘液を含み血性でない下痢、乏しい飼料転換および低下した成長速度が含まれる。PISの発生はいくつかの国、例えばイギリス、オーストラリア、ブラジルおよびスウェーデンで報告されている。イギリスにおける最近の調査で、B.ピロシコリは85頭のブタの内の44頭における大腸炎の原因であったことが報告された。ブラジルにおける研究(8)で、17個の飼育場の内の7個においてブタで下痢を引き起こす因子としてB.ピロシコリが同定された。ブタの他に、B.ピロシコリはヒト、イヌおよびトリにおいても疾患を引き起こすことが示されている。ニワトリにおいて、病原性スピロヘータの感染症はトリ腸管スピロヘータ症(AIS)と呼ばれ、オーストラリアで多くの注目を受けてきた。
【0006】
[0006] ブラキスピラ属の種の伝染および感染の経路は、主に感染した動物からの糞便物質の摂取によるものである(41)。疾患の拡大は、糞便物質が汚染されたブーツおよび乗り物を通して移動する;または動物の飲み水に入る場合にさらに促進される(48)。研究はB.ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリがブタの糞便中で10℃においてそれぞれ112および210日間まで生存することができたことを示した。早期の研究は、B.ハイオディセンテリアが赤痢のブタの糞便中で、37および25℃においてそれぞれ1および7日間まで生きられたことを示した。ブタ赤痢の最初の徴候はブタがその生物に感染した5〜10日後であると報告された(23,29)。B.ピロシコリにより引き起こされる下痢性疾患の潜伏期間は4〜9日間(52)、より最近の研究では9〜24日間(25)であることが分かった。関係の正確な機構は完全には解明されていないが、これらの細菌の病原性および下痢を引き起こす能力は腸管の粘膜との関係に見出される。ブラキスピラ・ハイオディセンテリア(Brachyspira hyodysenteriae)は粘液の方へ走化性の反応を有することが示されており、他の腸内細菌と比べて粘液中で高い運動性を有し、これは溶血素が放出され得る場合に粘膜中への侵入を促進し、それは疾患の発病における重要な因子である(22,28,29,37)。出血、フィブリン、粘液、浮腫、壊死および充血の存在は、結腸におけるB.ハイオディセンテリアの感染の一般的な巨視的徴候である(22)。疾患の重さとは対照的に、B.ピロシコリにより引き起こされる肉眼的病変は比較的穏やかであり、結腸内容物が緑色がかった〜緑色がかった灰色であり、血液または増大した粘液生産の証拠は無い(25)。ブラキスピラ・ピロシコリ(Brachyspira pilosicoli)は管腔の上皮への端と端とを合わせた(end−on)付着により大腸でコロニー形成し、スピロヘータ細胞の偽の刷子縁を形成し、これはB.ハイオディセンテリアの非特異的な付着とは異なる(25)。
【0007】
[0007] ブラキスピラ属の種により引き起こされる下痢性疾患の処置および制御は、抗生物質、例えばタイロシン、チアムリン、リンコマイシン、ゲンタマイシンおよびバルネムリンの使用に重く頼っている(14,41)。しかし、抗生物質の使用は常にブラキスピラ属の種における抗微生物物質耐性の発現の問題の周りを巡ってきた。いくつかの研究が、ブラキスピラ属の種の株のタイロシン、リンコマイシン、テトラサイクリンおよびゲンタマイシンに対する増大した耐性について報告した(14,16,19,27,41,49)。加えて、動物で見つかったブラキスピラ属の種の株の高い遺伝的多様性が問題をさらに複雑にしている(42)。
【0008】
[0008] 細菌性赤痢は毎年世界中で300,000を越える症例の原因となっており、致死率は一部の株では10〜15%もの高さである可能性がある。しかし、この疾患は動物ではめったに起こらない;それは主にヒトおよび他の霊長類、例えばサルおよびチンパンジーの疾患である。シゲラの感染によるアウトブレイク(outbreak)は、それらの低い感染用量のせいで食い止めるのが難しい。共同体における、散発性に見える増大した数の症例は、実際には認識されていないアウトブレイクによるものである可能性がある。細菌性赤痢はシゲラの4種類の種、すなわちシゲラ・ディセンテリア(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ボイディ(Shigella boydii)およびシゲラ・ソンネ(Shigella sonnei)のいずれかにより引き起こされる。これらの中で、シゲラ・ソンネは工業先進国で最も流行している(77%)種であり、発展途上国で2番目に流行しており、その次がシゲラ・フレクスネリである。一部の株はエンテロトキシンおよび志賀毒素を産生することが知られている(11)。その生物はしばしばヒトの糞便で汚染された水ならびにサラダ(ジャガイモ、マグロ、小エビ、マカロニ、およびニワトリ)、生野菜、牛乳および乳製品のような食品中で見つかり、家禽は糞便−口の経路を通って汚染され得る。
【0009】
[0009] ビブリオ(Vibrio)属はグラム陰性のまっすぐな、または曲がった桿菌からなり、単一極性の鞭毛を用いて運動する。それは世界の地表水において最もありふれた生物の1つである。それらは海洋の、および淡水の生息場所の両方に、水生動物と関連して生息している。一部の種は生物発光性であり、魚類および他の海洋生物と相利共生的に関連して生きている。他の種は魚類、ウナギ、カエルおよび霊長類にとって病原性である。V.コレラ(V. cholerae)およびV.パラヘモリチカス(V. parahaemolyticus)はヒトの病原体である。両方が下痢をもたらすが、そのやり方は全く異なる。V.パラヘモリチカスは主に結腸に影響を与える侵入性生物である;V.コレラは非侵入性であり、エンテロトキシンの分泌を通して小腸に影響を与える(11)。感染はしばしば穏やかであるか症状が無いが、時々それは重症になり得る。感染した人のおおよそ20人に1人は、大量の水様下痢、嘔吐、および足の痙攣を特徴とする重い疾患を有する。これらの人では、急激な体液の喪失が脱水症およびショックにつながる。処置しなければ、数時間の内に死亡し得る。コレラ下痢は、その長い流行の歴史から国際保健規則の下でWHOへの連絡を必要とする3種類の疾患の1つである。例えば、1994年にコンゴ民主共和国のゴマの難民キャンプにおいて重大な流行が起こった。1ヶ月の内に推定58000〜80000件の症例および23800件の死亡が起きた。同様に、1961年にインドネシアのスラウェシにおいて、その疾患はアジア、ヨーロッパおよびアフリカの他の国に、そして最終的には1991年にラテンアメリカへと急速に広まり、400000件近くの報告された症例および4000件を越える報告された死亡をその年に引き起こした。症例の1年間の概算は400,000件であり、死亡の1年間の概算は5,000件であった。
【0010】
[0010] 1990年代より前は、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(enterococci)はバンコマイシンが長年使われてきた病院にのみ存在すると考えられていた。しかし、バンコマイシン耐性エンテロコッカスはアボパルシンを与えられた飼育場の動物から容易に取り出されることが段々と明らかになった(1,9,30)。エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)はより一般的な人における疾患の原因であるが、バンコマイシンに対する耐性はE.フェシウム(E. faecium)分離株の間でより頻発する。1995年から2000年までのデンマークの抗微生物耐性のモニタリングのプログラムの一部として、ブタからの総計673株のエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)および1,088株のエンテロコッカス・フェカリス分離株、およびブロイラーからの856株のE.フェシウム分離株を分離し、成長促進に用いられる4種類の抗微生物薬剤への感受性に関して試験した。E.フェシウム分離株の間でのエリスロマイシン耐性は最大で1997年に76.3%に達したが、2000年にはその薬物の使用制限に伴い12.7%まで減少したことが分かった。ヴァージニアマイシンの使用は1995年から1997年まで増加し、それに続いてブロイラーにおけるE.フェシウム分離株の間でのヴァージニアマイシン耐性の発生が1995年の27.3%から1997年の66.2%まで増加した。1998年1月にデンマークでヴァージニアマイシンの使用が禁止され、ヴァージニアマイシン耐性の発生は2000年には33.9%まで減少した。アビラマイシンの使用は1995年から1996年まで増加し、それに続いてブロイラーからのE.フェシウム分離株の間でのアビラマイシン耐性が1995年の63.6%から1996年の77.4%まで増加した。
【0011】
[0011] ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)はグラム陽性の被包性双球菌である。多糖類(PS)莢膜の組成の違いに基づいて、90種類の血清型が同定されている(18)。この莢膜は不可欠な病原性因子である。S.ニューモニエ(S. pneumoniae)はヒトの上気道の通常の居住者である。その細菌は、通常は大葉性の肺炎、副鼻腔炎および中耳炎、または髄膜炎を引き起こす可能性があり、それは通常は前者の感染症の1つの2次的なものである。それは骨髄炎、敗血症性関節炎、心内膜炎、腹膜炎、蜂巣炎および脳膿瘍も引き起こす。2000年までに、S.ニューモニエの感染は毎年60,000件の症例の侵入性疾患を引き起こし、これらの40%までは少なくとも1種類の薬剤に感受性の無い肺炎球菌(pneumococci)により引き起こされた。これらの数字は、子供への肺炎球菌の結合型ワクチンの導入の後にかなり減少した。2002年には、37,000件の侵入性肺炎球菌疾患の症例があった。これらの内で、34%は少なくとも1種類の薬物に対して感受性の無い肺炎球菌により引き起こされ、17%は3種類以上の薬物に対して感受性の無い株によるものであった(CDC)。侵入性疾患を有する入院した成人の14%が死亡し、人から人への伝染が起こり得る。入手可能なデータに基づくと、S.ニューモニエは毎年世界中で100万人近い5歳未満の子供を、特に肺炎球菌が乳児期の最も重大な細菌性病原体の1つである発展途上国において殺していると見積もられる(WHO)。S.ニューモニエは厳密なヒトの病原体ではない;それはいくつかの動物種において鼻咽頭にコロニー形成し、呼吸器の疾患および髄膜炎を引き起こすことも知られている。
【0012】
[0012] カンピロバクテラセアエ(Campylobacteriaceae)ファミリーはグラム陰性の微好気性菌を含み、それは世界中で重大な動物由来感染症の(zoonotic)病原体である。ヒトの食物系感染症に関わっていることが示されている2種類の最も重要な種はC.ジェジュニ(C. jejuni)およびC.コリ(C. coli)である。カンピロバクター(Campylobacters)は世界中に及ぶ細菌性の下痢の主要な要因であり、西ヨーロッパの人口の推定1%が感染しており、罹患率が100,000人あたり370人であると報告されている(21)ニュージーランドにおける重要な公衆衛生の関心事である。一般的な症状には、血性の下痢、腹部の痛み、熱、吐き気、倦怠感および、まれに嘔吐が含まれる。より長い期間において、C.ジェジュニの感染はギランバレーおよびミラーフィッシャー症候群につながり得る(38)。カンピロバクター症(campylobateriosis)の抗生物質による処置は、報告によれば増大する抗微生物耐性につながり得る。カンピロバクテラセアエは広い範囲の動物で見つかっており、一部は家禽、ブタ、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、鳥類、ミンク、ウサギおよびウマにおいて消化管および生殖器系の感染症を引き起こす。動物は汚染された環境、例えば水との接触によりその細菌を得ると考えられる。家禽は、汚染されたニワトリによりもたらされるヒトの健康に対して最も大きな危険を有するカンピロバクターの主な源である。特定の食物、例えば生のニワトリの肉は、極めて高いカンピロバクター数(死骸あたり>10細胞)を有し得る(26)。従って、死骸の汚染の発生率およびレベルの両方を低減させる切迫した需要が存在する。スカンジナビアにおいて厳しい生物保安策は収容した鳥(housed birds)でのカンピロバクターの発生を制御するいくらかの助けとなったが、その策が異なる気候およびより大きな家禽産業を有する世界の他の地域でどれだけうまく行くかはまだ分からない。それに対し、健康でバランスのとれた消化管のミクロフローラまたは摂生(eubiosis)の状態は、動物をカンピロバクターのような腸の病原体による負荷に対して守るために重要である。有用な生菌の細菌またはそれらが作り出す細菌に対して特異的な生理活性分子のどちらかの導入は、動物およびヒトの両方におけるカンピロバクター症の、さらに生鮮品および食品におけるカンピロバクターの根絶における効果的な抑制策である可能性がある。
【0013】
[0013] 糸状構造の糸状菌(Filamentous molds)および酵母は、食物および飼料生産物、さらに貯蔵された作物および飼料、例えば干し草および貯蔵牧草の一般的な腐敗性生物である。さらに、菌類で汚染された食物および飼料生産物はマイコトキシン類による汚染の可能性を有する(2,44)。同様に、動物飼料は潜在的に収穫、飼料ミルにおける加工の間に、または貯蔵の間に食物系サルモネラ(Salmonella)で汚染された状態になる可能性がある。これらの段階の間に飼料と接触する、それもまた汚染菌を有するあらゆる環境は、理論上飼料を汚染し得る。これは飼料が飼料ミルにおいて混合される際に飼料と混ぜ合わされる成分に関しても当てはまる。動物飼料は、動物に食べさせられる間のサルモネラを含む媒介者および環境上の源からの交叉汚染に関する潜在的な貯蔵所(reservoir)でもある(36)。糸状菌の増殖に特に貢献する条件、例えば未熟な、または湿った作物、傷ついた穀物、および最適より下の貯蔵条件、例えば高い熱または湿度の下では、糸状菌および細菌の阻害剤の使用が必要となる。現在利用できる、農業飼料におけるサルモネラおよび糸状菌の増殖の処置および抑制は、プロピオン酸およびギ酸のような有機酸の使用に重く頼っている。抗微生物物質を用いた食物および飼料の保存は、十分に文書で裏付けられている。しかし、食物および飼料の細菌および菌類による汚染の両方に対する保存のための細菌の使用の文献は存在しない。本発明は、食物および飼料の細菌および菌類による汚染に対する予防および処置の可能性を証明する。さらに、本発明はヒトおよび動物の病原体両方に対する表面および生体内の両方の予防および処置に適用可能である。
【発明の概要】
【0014】
[0014] 本発明は抗菌および抗真菌活性の両方を有する細菌からなる。細菌はラクトバシラス(Lactobacillus)属の種であり、ラクトバシラス属ジョンソニイ種の細菌細胞を含み、それは抗微生物性代謝産物(metabolite(s))を産生し、それは周囲(約20℃)から少なくとも121℃までの範囲を通して少なくとも15分間熱安定性であり、中性からpH1までの範囲を通して少なくとも30分間耐酸性である。細菌は好ましくはラクトバシラス・ジョンソニイD115株のものである。
【0015】
本発明の細菌は、グラム陽性およびグラム陰性の病原体の両方、例えばブラキスピラ・ピロシコリ、B.ハイオディセンテリア、シゲラ・ソンネ、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera)、V.パラヘモリチカス、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、エンテロコッカス・フェシウム、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、サルモネラ属の種およびバチルス・セレウス(Bacillus cereus)、さらにリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ニューモニエ、エンテロコッカス・フェカリス、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebbsiella pneumoniae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対して広いスペクトルの試験管内での抗菌活性を有し、それは試験管内でアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)およびフザリウム・クラミドスポルム(Fusarium chlamydosporum)に対しても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】[0015] 図1は乳酸菌D115株の16S rRNA遺伝子配列である(配列ID NO.1)。
【図2】[0016] 図2は乳酸菌D115n株のEF−Tu遺伝子配列である(配列ID NO.2)。
【図3】[0017] 図3はラクトバシラス・ジョンソニイD115のブラキスピラ・ピロシコリに対する効果のグラフである。
【図4】[0018] 図4はラクトバシラス・ジョンソニイD115のブラキスピラ・ハイオディセンテリアに対する効果のグラフである。
【図5】[0019] 図5はラクトバシラス・ジョンソニイATCC11506のブラキスピラ・ハイオディセンテリアに対する効果のグラフである。
【図6】[0020] 図6はラクトバシラス・ジョンソニイATCC11506のブラキスピラ・ピロシコリに対する効果のグラフである。
【図7】[0021] 図7はラクトバシラス・ジョンソニイD115のサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)に対する効果のグラフである。
【図8】[0022] 図8はラクトバシラス・ジョンソニイD115のサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)に対する効果のグラフである。
【図9】[0023] 図9はラクトバシラス・ジョンソニイD115のクロストリジウム・パーフリンジェンスに対する効果のグラフである。
【図10】[0024] 図10は、L.ジョンソニイD115(cおよびf)のA.ニゲル(A. niger)に対する、陰性対照(aおよびd)およびL.ジョンソニイATCC11506(bおよびe)と比較したそれぞれ14および21日間の抗真菌活性を示す抗真菌アッセイである。
【図11】[0025] 図11はビブリオ・コレラに対するウェル拡散アッセイ(well diffusion assay)である。(a)100μlのL.ジョンソニイ(L. johnsonii)D115無細胞(cell−free)培養培地、(b)0.18%乳酸を含むMRS、および(c)L.ジョンソニイATCC11506無細胞培養培地の指示生物に対する抗微生物効果。D115無細胞培地(a)の抗微生物効果が、対照(bおよびc)と比較して明確に分かることができる。
【図12】[0026] 図12はビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrio parahaemolyticus)に対するウェル拡散アッセイである。(a)100μlのL.ジョンソニイD115無細胞培養培地、(b)0.18%乳酸を含むMRS、および(c)L.ジョンソニイATCC11506無細胞培養培地の指示生物に対する抗微生物効果。D115無細胞培地(a)の抗微生物効果が、対照(bおよびc)と比較して明確に分かることができる。
【図13】[0027] 図13はシゲラ・ソンネに対するウェル拡散アッセイである。(a)100μlのL.ジョンソニイD115無細胞培養培地、(b)0.18%乳酸を含むMRS、および(c)L.ジョンソニイATCC11506無細胞培養培地の指示生物に対する抗微生物効果。D115無細胞培地(a)の抗微生物効果が、対照(bおよびc)と比較して明確に分かることができる。
【図14】[0028] 図14はカンピロバクター・ジェジュニに対するウェル拡散アッセイである。(a)100μlのL.ジョンソニイD115無細胞培養培地、(b)0.18%乳酸を含むMRS、および(c)L.ジョンソニイATCC11506無細胞培養培地の指示生物に対する抗微生物効果。D115無細胞培地(a)の抗微生物効果が、対照(bおよびc)と比較して明確に分かることができる。
【図15】[0029] 図15はストレプトコッカス・ニューモニエに対するウェル拡散アッセイである。(a)100μlのL.ジョンソニイD115無細胞培養培地、(b)0.18%乳酸を含むMRS、および(c)L.ジョンソニイATCC11506無細胞培養培地の指示生物に対する抗微生物効果。D115無細胞培地(a)の抗微生物効果が、対照(bおよびc)と比較して明確に分かることができる。
【図16】[0030] 図16はエンテロコッカス・フェシウムに対するウェル拡散アッセイである。(a)100μlのL.ジョンソニイD115無細胞培養培地、(b)0.18%乳酸を含むMRS、および(c)L.ジョンソニイATCC11506無細胞培養培地の指示生物に対する抗微生物効果。D115無細胞培地(a)の抗微生物効果が、対照(bおよびc)と比較して明確に分かることができる。
【図17】[0031] 図17Aおよび17Bは、L.ジョンソニイD115(A)またはL.ジョンソニイATCC11506(B)の様々な濃度の再構成した上清によるY.エンテロコリチカ(Y. enterocolitica)の試験管内での増殖阻害のチャートである;増殖は37℃において自動化されたBioscreen C Analyserで600nmにおける光学密度を測定することにより監視された。
【図18】[0032] 図18はアスペルギルス・ニゲルに対するウェル拡散アッセイである。(a)100μlのL.ジョンソニイD115無細胞培養培地、(b)0.18%乳酸を含むMRS、および(c)L.ジョンソニイATCC11506無細胞培養培地の指示生物に対する抗微生物効果。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0026] 本発明は、広いスペクトルの抗微生物活性を有する熱安定性およびpH耐性代謝産物を産生するラクトバシラス・ジョンソニイの株を含む。本発明は、その代謝産物、L.ジョンソニイ株の生菌としての投与も含み、それはそれが投与された動物またはヒトの胃腸管で生育し、そこでそれは代謝産物を産生し、ならびにグラム陽性およびグラム陰性の細菌ならびに菌類の感染の効果の予防のための代謝産物の投与も含む。その株および代謝産物は、ブラキスピラ・ピロシコリ、B.ハイオディセンテリア、リステリア・モノサイトゲネス、シゲラ・ソンネ、ビブリオ・コレラ、V.パラヘモリチカス、カンピロバクター・ジェジュニ、ストレプトコッカス・ニューモニエ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、クロストリジウム・パーフリンジェンス、エルシニア・エンテロコリチカ、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、スタフィロコッカス・アウレウス、サルモネラ属の種、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムに対して有効である。
【0018】
[0027] 代謝産物は熱安定性であり、それにより代謝産物が時間をかけた熱処理にさらされてなおその抗微生物特性を維持していることが分かったことを意味する。代謝産物は、約20℃の周囲温度から121℃を含むまでの範囲を通した熱処理にさらされた際に、その熱処理が少なくとも15分間以上の時間をかけて適用された際に、その活性を維持していることが分かった。
【0019】
[0028] 代謝産物はpH耐性でもあり、それにより代謝産物が酸性条件下での時間をかけた処理にさらされてなおその抗微生物特性を維持していることが分かったことを意味する。代謝産物は、中性からpH1を含むまでの範囲を通した酸性条件にさらされた際に、その酸性条件が少なくとも30分間以上の時間をかけて適用された際に、その活性を維持していることが分かった。
【0020】
[0029] 本発明は、有効量の1種類以上の細菌株の経口投与により、対象の代謝産物が生体内で関心の微生物に対して拮抗的であるレベルで産生されるように実行されてよい。当業者は個々の用途のための有効量を周知の方法により決定することができるであろう。有効量は1日あたりおおよそ10CFU〜1012CFUの範囲の用量を含むことが予想される。
【0021】
[0030] 本発明は、関心の微生物に拮抗効果をもたらすために有効な量の代謝産物の経口投与により実行されてもよい。当業者は個々の用途のための有効量を周知の方法により決定することができるであろう。
【0022】
[0031] 本発明は、関心の微生物による汚染を防ぐ、またはそれの増殖を阻害するために有効な量の1種類以上の細菌株を食物または飼料に添加することにより実行されてもよい。当業者は個々の用途のための有効量を周知の方法により決定することができるであろう。
【実施例】
【0023】
[0032] 実施例1
[0033] 材料および方法
[0034] 乳酸菌(LAB)D115株の培養条件。乳酸菌D115株を、deMan Rogosa Sharpeブロス(MRS,pH6.3)(Becton Dickinson and Company,USA)中で、37℃において嫌気性条件下で24時間増殖させた。一夜培養液をMRS寒天上にストリークし、生じた純粋なコロニーをMRSブロス中で、記述したものと同じ条件を用いて2次培養した。長期保管のため、培養液を20%グリセロール中で−80℃で保存した。
【0024】
[0035] ブラキスピラ属の種の培養条件。ブラキスピラ・ハイオディセンテリアATCC27164およびB.ピロシコリATCC51139を、10%ウシ胎仔血清(HyClone Laboratories Inc, USA)、0.05%L−システイン(Sigma Chemical Co., シュタインハイム、ドイツ)および0.2%グルコース(Merck, ダルムシュタット、ドイツ)を補ったBrain Heart Infusionブロス(Oxoid Ltd, ベイジングストーク、ハンプシャー、イギリス)中で増殖させ、37℃で厳しい嫌気性条件の下で4〜6日間培養した。長期保管のため、培養液を40%グリセロール中で−80℃で保存した。
【0025】
[0036] 16S rRNAの塩基配列決定による細菌の同定。D115株の分離されたコロニーを、塩基配列決定作業のためにシンガポールのResearch Biolabs Technologies Pte Ltdに送った。ほぼ完全長の16S rRNAを、順方向プライマー27Fおよび逆方向プライマーユニバーサル1492Rを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。精製したPCR産物を、ABI PRISM 3100 DNAシークエンサーおよびABI PRISM BigDye terminator cycle sequencing ready−reaction kitを用いて塩基配列決定した。プライマー27F、530F、926F、519R、907Rおよび1492R44を採用して16S rRNA遺伝子の両方の鎖を塩基配列決定した。最終的に配列をまとめて図1の完全長配列(配列ID NO.1)を生成し、完全長配列をNCBIのGenbankのデータベースに対して照合した。
【0026】
[0037] EF−Tu遺伝子配列による細菌の同定。おおよそ900bpのtuf遺伝子断片を、2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、すなわちTUF−1(GATGCTGCTCCAGAAGA)およびTUF−2(ACCTTCTGGCAATTCAATC)を用いてPCR増幅した。得られたPCR産物をQiaquick PCR Purification Kit (Qiagen)を用いて精製し、ABI PRISM 3100 DNAシークエンサーおよびABI PRISM BigDye Terminator Cycle Sequencing ready−reaction kitを用いて塩基配列決定した。2種類の追加のプライマー(TUF−f2− TGCTTCTGGTCGTATCGACCGTおよびTUF−r2− GGTCACCTTCAAGTGCCTTC)を設計し、TUF−1およびTUF−2プライマーと一緒にPCR産物の両方向における塩基配列決定のために用いた。最終的に、配列をまとめて得られた配列を
NCBIのGenbankのデータベースで入手可能な全ての他の配列と比較した。乳酸菌D115株のEF−Tu遺伝子配列を図2に示す(配列ID NO.2)。
【0027】
[0038] 拮抗アッセイ(Antagonistic assay)。ラクトバシラス・ジョンソニイD115、ブラキスピラ・ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリの培養液を、別々に4200×gで15分間遠心分離した後、それぞれをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の中に再懸濁した。L.ジョンソニイD115のペレットをPBSで2回洗浄した後再懸濁した。B.ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリの1mlの懸濁液をL.ジョンソニイD115の細胞中に添加して拮抗効果を調べた。B.ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリの増殖は、L.ジョンソニイD115非存在下でもモニターした。L.ジョンソニイD115の細胞および/またはブラキスピラ属の種が入った他のセットの試料フラスコにおいて、0.05%システインを添加し、過酸化水素の生成が無い状態でL.ジョンソニイD115の阻害効果を測定した。全ての試料フラスコを37℃において嫌気性条件および75rpmにおける振とうの下で培養した。試料を0,2ならびに4時間の間隔で、MRS寒天ならびに5%脱フィブリンヒツジ血液(Oxoid Ltd, ベイジングストーク、ハンプシャー、イギリス)、12.5mg/lリファンピシンおよび200mg/lスペクチノマイシンを補ったBrain Heart Infusion寒天の両方の上に撒いた。MRS寒天および血液寒天のプレートを、それぞれ30℃において5%COの下で、および37℃において嫌気性条件下で培養した。
【0028】
[0039] 拮抗アッセイ。ラクトバシラス・ジョンソニイD115、C.パーフリンジェンス(C. perfringens)、サルモネラ・エンテリティディスおよびS.チフィムリウム(S. typhimurium)の一夜培養液を、別々に4200×gで15分間遠心分離した。L.ジョンソニイD115のペレットをPBSで2回洗浄した後、ペレットを10mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で再懸濁し、1010CFU/ml培養液を得た。指示生物をPBSで再懸濁し、10CFU/ml培養液を得た。C.パーフリンジェンスまたはサルモネラ・エンテリティディスまたはS.チフィムリウムの1ml懸濁液を、50mlディスポーザブルBD Falcon(登録商標)コニカルボトムディスポーザブルプラスチックチューブ中の9mlのL.ジョンソニイD115培養液にそれぞれ添加した。L.ジョンソニイD115もしくはC.パーフリンジェンスもしくはサルモネラ・エンテリティディスもしくはS.チフィムリウムのみの培養液、またはL.ジョンソニイD115およびC.パーフリンジェンスもしくはサルモネラ・エンテリティディスもしくはS.チフィムリウムの培養液のいずれかを含む個々のチューブに、0.05%システインを対照として含めた。嫌気性条件下にあったC.パーフリンジェンスを除いた全ての培養液を、37℃において好気性条件および75rpmにおける振とうの下で培養した。1mlの試料をそれぞれの混合培養液から0および4時間の間隔で移し、9倍系列希釈を実施した後、試料をMRS寒天および/またはパーフリンジェンス寒天および/または酵母抽出物を補ったTryptone Soy Agar(Oxoid, ベイジングストーク、ハンプシャー、イギリス)上に撒いた。37℃において嫌気性条件下で培養したパーフリンジェンス寒天を除き、培養液を37℃において好気性条件下で培養した。
【0029】
[0040] 過酸化水素の生成の測定。過酸化水素の生成は、拮抗アッセイの間に0,2および4時間の間隔でFOX−2(第1鉄−酸化−キシレノール2)法を用いて測定された。細胞懸濁液を4200×gで15分間遠心分離した後、上清の190μlの体積を、続くFOX−2試薬との反応のために10μlのメタノールを含む別のマイクロ遠心チューブに移した。試薬は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチフェノール(2,6−di−tert−butyl−4−methyphenol)(>99%,Merck Schuchardt ドイツ)、HPLCグレードのメタノール(Merck,ドイツ)、キシレノールオレンジナトリウム塩(ACS試薬、Sigma Chemicals,セントルイス, MO)、硫酸第1鉄アンモニウム(>99%,ACS試薬,Aldrich, USA)、および硫酸(95〜97%,Merck,ダルムシュタット,ドイツ)から調製した。1)細菌の上清およびカタラーゼ、2)PBSおよびメタノール、ならびに3)PBSおよびカタラーゼ(1000U/ml)を含む3種類の陰性対照も組み込んだ。それぞれの処理に対して、800μlの体積のFOX−2試薬を添加し、撹拌により十分に混合した後、4200×gで10分間遠心分離した。光学密度(OD)の読みを、メタノールのブランクに対して、分光光度計のセットを用いて、560nmの波長において記録し、標準曲線から過酸化水素の濃度を決定した。
【0030】
[0041] 過酸化水素のブラキスピラ属の種に対する効果。拮抗アッセイにおいて2および4時間の間隔で、ラクトバシラス・ジョンソニイD115により産生される過酸化水素の平均濃度を測定した。過酸化水素の10mMストック溶液を、純度30%の過酸化水素(Merck,ドイツ)から、PBSを用いて調製した。ストック溶液を、前もってPBS中で再懸濁したブラキスピラ属の種の培養液中に添加し、言及したような過酸化水素の予め決定した濃度を得た。過酸化水素の添加無しのブラキスピラ属の種を対照として用いた。試料を37℃において嫌気性条件下で2時間培養した。ブラキスピラ属の種のプレート計数は、5%脱フィブリンヒツジ血液を補ったBrain Heart Infusion寒天を用いて実施した。
【0031】
[0042] D115の有効代謝産物の抽出および分離。乳酸菌D115株を、deMan Rogosa Sharpeブロス(MRS,pH6.3)(Becton Dickinson and Company,USA)中で、37℃において嫌気性条件下で24時間増殖させた。培養液を4200×gで15分間遠心分離した。上清をジエチルエーテルを用いて3回抽出し、有機相を集めた。集めた有機相を回転蒸発器を用いて蒸発させ、PBSを用いて再構成した。抽出した化合物を、ウェル拡散アッセイを用いるブラキスピラ・ハイオディセンテリア、B.ピロシコリ、C.パーフリンジェンス、サルモネラ・エンテリティディスおよびS.チフィムリウムに対する有効性の試験を受けさせた。抽出していない培養ブロスを対照として含めた。
【0032】
[0043] 有効代謝産物に対する熱の効果。乳酸菌D115株を、deMan Rogosa Sharpeブロス(MRS,pH6.3)(Becton Dickinson and Company,USA)中で、37℃において5%COの下で48時間増殖させた。培養液を4200×gで15分間遠心分離した。上清を集め、121℃および100℃の湿熱に15分間さらした。処理した上清を室温に冷却し、ブラキスピラ・ハイオディセンテリア、B.ピロシコリ、C.パーフリンジェンス、サルモネラ・エンテリティディスおよびS.チフィムリウムに対するウェル拡散アッセイにおいて用いた。熱処理した接種していないブロスを対照として含めた。
【0033】
[0044] 有効代謝産物に対するpHの効果。乳酸菌D115株を、deMan Rogosa Sharpeブロス(MRS,pH6.3)(Becton Dickinson and Company,USA)中で、37℃において5%COの下で48時間増殖させた。培養液を4200×gで15分間遠心分離した。上清を集め、40℃におけるpH1および2の処理にそれぞれ30分間さらした。処理した上清をブラキスピラ・ハイオディセンテリア、B.ピロシコリ、C.パーフリンジェンス、サルモネラ・エンテリティディスおよびS.チフィムリウムに対するウェル拡散アッセイにおいて用いた。pH処理した接種していないブロスを対照として含めた。
【0034】
[0045] D115の抗真菌効果。乳酸菌D115株およびラクトバシラス・ジョンソニイATCC11506株の培養液を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS,pH7.4)を用いてマックファーランド等量(McFarland equivalent)0.5ユニットに調整した。酵母抽出物を補ったTryptone Soy Agarのそれぞれの半分に、それぞれ乳酸菌D115株およびラクトバシラス・ジョンソニイATCC11506株をプレートに広げる技法を用いて接種した。プレートを37℃で48時間培養した。プレートの他方の半分に、アスペルギルス・ニゲルおまたはフザリウム・クラミドスポルムのどちらかを点接種した。プレートを30℃で7(F.クラミドスポルム(F. chlamydosporum))または21(A.ニゲル)日間までの間再培養した。
【0035】
結果
[0041] 乳酸菌D115株をニワトリの胃腸管の十二指腸切片から分離した。生化学試験を用いた予備的な細菌の同定(API 50 CHL)は、細菌の正体がラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)であることを明らかにした。最新の研究において、16S rRNAの塩基配列決定の結果は、D115株は乳酸菌グループに属するが別の種、最もありそうなのはラクトバシラス・ジョンソニイに属することを示している(図1および表1)。D115株はNCBI Genbankデータベースにおいて、ラクトバシラス・ジョンソニイNCC533と最も高い遺伝子配列の相同性(100%)を、ラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)と最も低い相同性(99.4%)を示した(表1)。tuf遺伝子の塩基配列決定の結果は、D115株が乳酸菌グループおよび最もありそうなのはラクトバシラス・ジョンソニイに属していることを確証した(図2および表2)。D115株はNCBI Genbankデータベースにおいて、ラクトバシラス・ジョンソニイNCC533と最も高いtuf遺伝子配列の相同性(99.95%)を、ラクトバシラス・ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)ATCC25258と最も低い相同性(91.20%)を示した。従って、16S rRNAおよびtuf遺伝子の塩基配列決定は微生物を同定し分類するためのより信頼でき、単純で安価なやり方として広く受け入れられてきたため、D115株の正体をラクトバシラス・ジョンソニイとすることをその後の研究で採用した。
【0036】
表1.乳酸菌D115株の、NCBI Genbankデータベースにおける既知の種に対する16S rRNA遺伝子の配列の同一性の調査
【0037】
【表1】

【0038】
表2.乳酸菌D115株の、NCBI Genbankデータベースにおける既知の種に対するtuf遺伝子の配列の同一性の調査
【0039】
【表2】

【0040】
[0042] ブラキスピラ属の種に対する拮抗アッセイにおいて、L.ジョンソニイD115による過酸化水素の産生を0,2および4時間の間隔で監視した。得られた結果は、培養期間に渡るD115株による増大する過酸化水素の産生の傾向を示しており、B.ピロシコリおよびB.ハイオディセンテリアに対する拮抗アッセイの両方において、4時間の培養の後におおよそ3,000μMが検出された(表3および4)。しかし、L.ジョンソニイD115の細胞をブラキスピラ属の種と一緒に培養した場合、2時間の間隔において前者の細菌により産生される高い量の過酸化水素(平均3,400μM)が観察されたが、その後で4時間までの続く培養において濃度が減少した(表3および4)。D115株を還元剤であるシステインと一緒に培養した場合、過酸化水素の産生は観察されなかった(表3および4)。L.ジョンソニイD115の両方のブラキスピラ属の種に対する明確な阻害効果がこの試験で観察された(図3および4)。
【0041】
表3.ブラキスピラ・ピロシコリの存在下でのラクトバシラス・ジョンソニイD115の過酸化水素の産生
【0042】
【表3】

【0043】
L.ジョンソニイD115の細胞は全ての試料においてmlあたり10CFUで落ち着かせた。
過酸化水素の産生はシステインを含む試料では検出されなかった。
【0044】
表4.ブラキスピラ・ハイオディセンテリアの存在下でのラクトバシラス・ジョンソニイD115の過酸化水素の産生
【0045】
【表4】

【0046】
L.ジョンソニイD115の細胞は全ての試料においてmlあたり10CFUで落ち着かせた。
過酸化水素の産生はシステインを含む試料では検出されなかった。
【0047】
[0043] 過酸化水素を産生する株D115の存在下で、B.ピロシコリおよびB.ハイオディセンテリアの細菌の数は、共に2時間の培養の後に5対数減少し、4時間の培養の後に完全な阻害が観察された(図3および4)。4時間後に内容物を血液寒天上に撒いた際に、ブラキスピラ属の種の細胞も溶血活性も観察されなかった(データは示していない)。興味深いことに、これらの疾患を引き起こすスピロヘータは、例え過酸化水素がシステインにより除去されてもL.ジョンソニイD115による阻害に感受性があることも分かった。ブラキスピラ・ピロシコリおよびB.ハイオディセンテリアは、過酸化水素の非存在下ではそれぞれ細菌数の3および5対数の減少を被る(図3および4)。この場合、B.ハイオディセンテリアはD115株により産生されるこの追加の抗微生物化合物に対してより感受性があるようである。
【0048】
[0044] 過酸化水素のブラキスピラ属の種に対する死滅効果をさらに確証して関係付けるため、我々は拮抗アッセイにおいてL.ジョンソニイD115により産生されたものに類似する落ち着かせた濃度の過酸化水素の作用液中でのこれらの生物の生存可能性を評価した。結果は、おおよそ3,000μMの過酸化水素が、拮抗アッセイにおいて見られた阻害効果と同様に、B.ピロシコリおよびB.ハイオディセンテリアの数をそれぞれ4および5対数減少させたことを示している(表5および6)。過酸化水素に追加される抗微生物化合物に関して我々は、ブラキスピラ属の種を阻害し得るL.ジョンソニイD115の阻害効果は乳酸の産生とは関係ないことを示した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた分析試験は、L.ジョンソニイD115およびブラキスピラ属の種の両方を含む培養懸濁液中に乳酸が存在しない、または無視してよい微量しかないことを示した(データは示していない)。
【0049】
表5.2時間の培養に渡るブラキスピラ・ピロシコリに対する過酸化水素の効果
【0050】
【表5】

【0051】
過酸化水素の濃度は3300μMで落ち着かせた。
表6.2時間の培養に渡るブラキスピラ・ハイオディセンテリアに対する過酸化水素の効果
【0052】
【表6】

【0053】
過酸化水素の濃度は3100μMで落ち着かせた。
[0045] ブラキスピラ・ピロシコリおよびB.ハイオディセンテリアに対してラクトバシラス・ジョンソニイATCC11506株を用いて実施された拮抗アッセイにおいて、図7および8に示したように病原性細菌の1対数未満の減少が観察された。過酸化水素の産生が抑制された場合、ブラキスピラ・ピロシコリおよびB.ハイオディセンテリアの減少はほとんど観察されなかった。
【0054】
[0046] D115株を拮抗アッセイを用いてサルモネラ・チフィムリウムに対して試験した場合、図9に示したように病原性細菌の2.5対数の減少が観察された。過酸化水素の産生を還元剤で抑制した場合、なおサルモネラ・チフィムリウムの1対数の減少が観察され、これは阻害効果がD115株による追加の抗微生物化合物の産生によるものであったことを示している。
【0055】
[0047] D115株を拮抗アッセイを用いてサルモネラ・エンテリティディスに対して試験した場合、図10に示したように病原性細菌の2対数の減少が観察された。過酸化水素の産生を還元剤で抑制した場合、なおサルモネラ・エンテリティディスの2対数の減少が観察され、これは阻害効果がD115株による追加の抗微生物化合物の産生によるものであったことを示している。
【0056】
[0048] D115株を拮抗アッセイを用いてクロストリジウム・パーフリンジェンスに対して試験した場合、図11に示したように病原性細菌の7対数の減少が観察された。過酸化水素の産生を還元剤で抑制した場合、なおクロストリジウム・パーフリンジェンスの2.5対数の減少が観察され、これは阻害効果がD115株による追加の抗微生物化合物の産生によるものであったことを示している。
【0057】
[0049] D115株からの24時間培養ブロスを121℃および100℃にそれぞれ15分間さらした。処理した培養ブロスを、ブラキスピラ・ハイオディセンテリア、B.ピロシコリ、サルモネラ・エンテリティディス、S.チフィムリウムおよびクロストリジウム・パーフリンジェンスに対する阻害効果に関して、ウェル拡散アッセイで試験した。表7に示したように、熱処理した培養ブロスはブラキスピラ・ハイオディセンテリア、B.ピロシコリ、サルモネラ・エンテリティディス、S.チフィムリウムおよびクロストリジウム・パーフリンジェンスに対してなお阻害効果を示した。D115株からの24時間培養ブロスをpH1および2の処理に40℃において30分間さらした場合、表8に示したように、処理した培養ブロスはウェル拡散アッセイにおいてブラキスピラ・ハイオディセンテリア、B.ピロシコリ、サルモネラ・エンテリティディス、S.チフィムリウムおよびクロストリジウム・パーフリンジェンスに対してなお阻害効果を示した。
【0058】
表7.熱処理した培養ブロスの阻害効果
【0059】
【表7】

【0060】
表8.pH処理した培養ブロスの阻害効果
【0061】
【表8】

【0062】
[0050] 24時間のD115培養物は、図10において、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムに対してもL.ジョンソニイATCC11506株のプレートと比較して阻害を示し、D115と一緒に接種(co−inoculated)したプレート上でA.ニゲルの増殖が抑制された。これは抗真菌化合物(類)の培養寒天をまたいだ拡散によるものである可能性がある。一方で、PBSを用いた対照プレート上のアスペルギルス・ニゲルは、寒天プレートをまたいだ真菌の増殖および拡散を示した。L.ジョンソニイD115は、表9に示したように、フザリウム・クラミドスポルムに対しても7日目においてL.ジョンソニイATCC11506と比較して阻害を示した。
【0063】
表9
【0064】
【表9】

【0065】
[0051] 比較によると、D115と一緒に培養したフザリウム・クラミドスポルムは、L.ジョンソニイATCC11506と比較して大きさの13.7%の抑制を示した。
論考
[0052] D115株は、以前にAPI50CHL試験を用いてラクトバシラス・ファーメンタムであると特徴づけられたのとは異なり、16S rRNAの塩基配列決定を用いてラクトバシラス・ジョンソニイであると同定された。通常、16S rRNAの塩基配列決定は生化学的プロフィールと比較してより高い信頼性を有することが受け入れられている。2005年においてSowら、および2000年においてNigatuらは、ラクトバシラス属の同定および識別におけるAPI50CHLの不十分性を示し、より有効な特徴づけのための遺伝子型解析(genotyping)の技法の必要性を強調した(50,40)。ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクト.ファーメンタム(Lact. fermentum)、ラクト.ラムノサス(Lact. rhamnosus)、ラクト.サケ(Lact. sake)、ラクト.パラブフネリ(Lact. parabuchneri)、ラクト.ガリナラム(Lact. gallinarum)、ラクト.カゼイ(Lact. casei)、ワイセラ・ミノー(Weiseella minor)ならびにkochoおよびtef.から分離された関連する分類群を識別するための、RAPDならびにAPI50CHのパターンの数値分析の評価 Journal of Apllied Microbiology 89(6): 969-978)。これは、表現型の特性は時々不安定であり、発現は進化および環境変化、例えば増殖の基質、温度およびpHに影響される可能性があるからである(24,50)。延長因子Tu(tuf)遺伝子の塩基配列決定は、D115株の正体がラクトバシラス属ジョンソニイ種の下にあることをさらに確証した。tuf遺伝子は進化を通して高度に保存されおり、機能不変性を示すと報告されている(35,34)。延長因子Tuからのタンパク質配列に基づいた系統発生学は、rRNA遺伝子配列データと十分な一致を示し(35)、ラクトバシラス属の中での種の同定に関して正確である(53)。
【0066】
[0053] ラクトバシラス・ジョンソニイは、それに関して生菌の役割がよく報告されているアシドフィルス(Acidophilus)グループのメンバーである(45)。その細菌は1992年にラクトバシラス・アシドフィルスから別の種として再分類された(17)。ラクトバシラス・ジョンソニイの様々な株の中で、NCC533(La1株としても知られる)(10)は、その生菌の活性、例えば病原体の阻害、上皮細胞接着および免疫修飾に関して最もよく報告されている細菌である(12,20,39)。その細菌はランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)に対して拮抗し、寄生生物に誘発される粘膜の損傷に対して保護することが分かった(20)。特に家禽において、ラクトバシラス・ジョンソニイF19785はクロストリジウム・パーフリンジェンスのコロニー形成を競争的排除により抑制することができることが報告された(32)。これらの報告は、D115株のブラキスピラ属の種に対する生菌としての使用の可能性を支持する。
【0067】
[0054] 我々の最新の研究は、L.ジョンソニイD115のブラキスピラ属の種に対する、過酸化水素の産生および第2の推定される抗微生物化合物の存在を通した2種類の阻害作用を示した。研究は、ラクトバシラス属の種が好気性環境において過剰な過酸化水素(H)を産生し、それにより、カタラーゼのようなH排除酵素をほとんどまたは全く産生しない他の望ましくない病原性細菌の増殖を防ぐことができることを示した(5,15,31)。条件的嫌気性菌である乳酸菌は、それらのNADH酸化酵素系を通して分子の酸素を過酸化水素に変換する(5,47)。カタラーゼが存在しないため、これらの細菌はNADHペルオキシダーゼのみに依存して過酸化水素をサブ阻害(sub−inhibitory)濃度レベルで保つ(47)。この場合、L.ジョンソニイD115により産生される過酸化水素の濃度はB.ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリの両方に対して阻害的であることが示された。Philipsらによる研究(2003)も、ニワトリの糞便中のB.ピロシコリを不活性化するための過酸化水素の強力な消毒剤としての使用を示した(43)。過酸化水素の強力な抗微生物特性は、その細菌中のDNAの破壊を引き起こす能力によるものである(4,51)。過酸化水素の産生とは別に、L.ジョンソニイD115の第2の阻害作用は、抗微生物化合物の産生によるものであると起因されると考えられ、HPLC分析に支持されるように、これは乳酸ではない。実際、乳酸菌による有機酸に加えて他の抗微生物化合物の産生が一般的に報告されている(7,13,33)。特に、ラクトバシラス・ジョンソニイLa1はスタフィロコッカス・アウレウス、リステリア・モノサイトゲネス、S.チフィムリウム、シゲラ・フレクスネリ、クレブシエラ・ニューモニエ、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびエンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)に対して狭い阻害スペクトルを有するバクテリオシンを産生することも示された(10)。
【0068】
[0055] L.ジョンソニイD115はサルモネラ属の種およびC.パーフリンジェンスに対しても阻害的であることが、拮抗アッセイを用いて示された。還元剤がアッセイ中に添加された場合でもなお、全ての実験においてサルモネラ属の種およびC.パーフリンジェンスに対する阻害を見ることができ、これは過酸化水素以外の抗微生物化合物(類)の存在を示している。抗微生物化合物(類)は、S.チフィムリウムと比較してサルモネラ・エンテリティディスに対してより有効である。
【0069】
[0056] ラクトバシラス・ジョンソニイD115はアスペルギルス・ニゲルに対しても阻害的であることが示された。D115株の24時間経った培養プレートをA.ニゲルと一緒に培養した場合、A.ニゲルの増殖の抑制が観察された。これは培養寒天に渡って拡散した抗真菌化合物(類)に起因すると考えることができる。L.ジョンソニイATCC11506、A.ニゲルを一緒に培養したものを含む培養プレートは、真菌の増殖の抑制を示さなかった。PBSおよび真菌のみを含む対照プレートも、真菌に対して抑制効果を示さず、真菌の培養物は培養プレートに渡って増殖して広がった。加えて、L.ジョンソニイD115はペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenun)に対して阻害を示さないことが観察された。現在、L.ジョンソニイによる抗アスペルギルスおよび抗フザリウム活性の報告は存在しない。
【0070】
[0057] 全般的に言えば、この研究はL.ジョンソニイD115のブラキスピラ属の種に対する抗微生物剤としての使用の可能性を支持する期待できる結果を与える。最も重要なことだが、これらの腸管スピロヘータの阻害における乳酸菌の使用のアイデアは新規であり、ブタ赤痢およびブタ腸管スピロヘータ症の処置および予防における抗生物質の使用に対して優れた代替の解決法を提供する。加えて、結果はL.ジョンソニイD115のサルモネラ属の種、C.パーフリンジェンス、アスペルギルス属の種およびフザリウム属の種に対する抗微生物剤としての使用の可能性も示している。サルモネラ属の種、C.パーフリンジェンス、アスペルギルス属の種およびフザリウム属の種の汚染の予防または阻害のために、乳酸菌を食物、飼料および動物への、またはその中での適用において用いるアイデアは新規である。
【0071】
結論
[0058] この研究は、ラクトバシラス・ジョンソニイD115のブラキスピラ・ハイオディセンテリアおよびB.ピロシコリの両方に対する使用の可能性を示した。ラクトバシラス・ジョンソニイD115は、その過酸化水素および別の抗微生物化合物の産生により両方のスピロヘータを阻害することが示された。ブタ赤痢およびブタ腸管スピロヘータ症の処置および予防における有益な細菌の使用は新規であり、病原性細菌の増大する抗生物質耐性の現状を緩和する可能性がある。また、ラクトバシラス・ジョンソニイD115はサルモネラ属の種およびC.パーフリンジェンスに対する阻害作用を有することが示された。さらに、D115株からの抗微生物化合物は121℃に15分間まで耐熱性であり、pH1に40℃において30分間まで耐酸性である。結果はラクトバシラス・ジョンソニイD115およびその抗微生物性代謝産物がアスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムに対しても阻害的であることも示している。
【0072】
実施例2
材料および方法
[0059] 乳酸菌(LAB)D115株の培養条件。乳酸菌D115株を、deMan Rogosa Sharpeブロス(MRS,pH6.3)(Becton Dickinson and Company,USA)中で、37℃において嫌気性条件下で24時間増殖させた。一夜培養液をMRS寒天上にストリークし、生じた純粋なコロニーをMRSブロス中で、記述したものと同じ条件を用いて2次培養した。長期保管のため、培養液を20%グリセロール中で−80℃で保存した。
【0073】
[0060] 指示生物の培養条件。カンピロバクター・ジェジュニ(ATCC35918)、大腸菌(ATCC25922)、クレブシエラ・ニューモニエ(臨床分離株、国立大学病院、シンガポール)、リステリア・モノサイトゲネス(ATCC7644)、シゲラ・ソンネ(臨床分離株、国立大学病院、シンガポール)、ビブリオ・コレラ(臨床分離株、国立大学病院、シンガポール)、ビブリオ・パラヘモリチカス(臨床分離株、国立大学病院、シンガポール)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(臨床分離株、国立大学病院、シンガポール)、エンテロコッカス・フェカリス(臨床分離株、国立大学病院、シンガポール)、エンテロコッカス・フェシウム(臨床分離株、国立大学病院、シンガポール)、アスペルギルス・ニゲル(ATCC24126)およびフザリウム・クラミドスポルム(ATCC200468)を、指示生物として用いた。クレブシエラ・ニューモニエ、大腸菌およびアスペルギルス・ニゲルの個々の分離されたコロニーを、栄養寒天上にそれぞれストリークした。カンピロバクター・ジェジュニ、シゲラ・ソンネ、ビブリオ・コレラおよびビブリオ・パラヘモリチカスの個々の分離されたコロニーを、微好気性条件下で、Campygen Pak (Oxoid)を用いて、それぞれ血液寒天(Biomed Diagnostic, BBL)上にストリークした。カンピロバクター・ジェジュニを42℃で48時間培養した。ストレプトコッカス・ニューモニエの単一の分離されたコロニーを血液寒天上にストリークした。リステリア・モノサイトゲネスの単一の分離されたコロニーをBrain Heart Infusion寒天(Oxoid)上にストリークした。エンテロコッカス・フェカリスおよびエンテロコッカス・フェシウムの個々の分離されたコロニーをMRS上にそれぞれストリークした。全ての培養物を、別途記載しない限り37℃で24時間培養した。
【0074】
[0061] ウェル拡散アッセイ。それぞれの指示生物の分離されたコロニーを、リン酸緩衝生理食塩水に再懸濁し、マクファーランド0.1番標準液に合わせたA.ニゲル以外をマクファーランド0.5番標準液に合わせた。A.ニゲル接種物を、血球計算板を用いた計数を受けさせ、最初の密度が10分生子/mlであることを確かめた。無菌の綿棒をそれぞれの個々の試料調製物の中に浸し、それらのそれぞれの増殖用寒天の上に均一に広げた。無菌のコルクボーラー(5番)を用いて寒天の中にウェルを作った。100μlのL.ジョンソニイD115無細胞培地をそれぞれのウェルの中に入れた。L.ジョンソニイATCC11506無細胞培地およびそれぞれの接種していない増殖培地を対照として含めた。
【0075】
[0062] マイクロタイタープレート増殖アッセイ。L.ジョンソニイD115の上清のいくつかの細菌に対する抗微生物物質としての有効性を定量するため、マイクロタイタープレート中での自動化された増殖阻害アッセイをBioscreen C Analyser (Thermo Labsystems, Thermo Electron Oy,フィンランド)を用いて実施した。この方法において、600nmの波長における濁度を定期的に測定し、微生物の増殖を示すものとして記録した。L.ジョンソニイD115の上清125μLを125μLの試験微生物(M.O.)と混合してHoneycombマイクロタイタープレート(Thermo Electron)の個々のウェルの中に入れ、結果としてウェルあたり250μLの総体積を得た。陰性対照は125μLの試験生物および125μLの無菌蒸留水で構成された。ブランクは125μLの培養培地(M.O.無し)および125μLの無菌蒸留水で構成された。培養温度は細菌に関して37℃に設定され、振盪の後、10分間隔で測定した。データは、微生物の増殖速度によって20〜48時間の期間に渡って集めた。
【0076】
[0063] ディスク拡散アッセイ−微好気性および嫌気性細菌。細胞を、ヒツジ血液を補ったtryptone soy agar(TSA)プレート上で、微好気性または嫌気性条件下で37℃において48時間増殖させた。それぞれのプレートから細胞を集め、3mLの生理食塩水(1%ペプトン、8.5%NaCl、0.05%Triton−X−100)に再懸濁した。上記のようにそれぞれの懸濁液のOD625を測定して0.08に合わせた。100μLのそれぞれの標準化した培養液を、ヒツジ血液を補ったTSAプレート上に撒き、乾燥させた。5枚の無菌の紙製ディスクをプレートの上に置いた。10μLの再構成したL.ジョンソニイD115の上清またはL.ジョンソニイATCC11506の上清(陰性対照)をディスクの上にスポットした。プレートを4℃で4時間、適切な雰囲気条件(微好気性または嫌気性)において保った後、37℃で一夜培養した。
【0077】
結果
[0064] 様々なグラム陽性およびグラム陰性微生物の、L.ジョンソニイD115無細胞培地の存在下での生存度を、試験管内で、ウェル拡散アッセイを用いて試験した。試験した全ての細菌は、L.ジョンソニイD115により産生される抗微生物化合物(類)に、異なる程度の感受性で感受性があることが分かった(図11〜16)。平均乳酸濃度は1800ppmまたは0.18%であることが分かったため、0.18%乳酸を含むMRSを陰性対照として含めた。
【0078】
[0065] マイクロタイタープレート増殖アッセイ。マイクロタイタープレートのそれぞれのウェルのODを、10分間ごとに20〜48時間(微生物の増殖速度による)測定した。OD600の増加の遅れは、抗微生物溶液による細胞増殖の阻害を示す。マイクロタイタープレート増殖アッセイの結果によれば、得られた増殖曲線は、L.ジョンソニイD115の上清の存在下ではY.エンテロコリチカの増殖がL.ジョンソニイ11506の上清の存在下での増殖と比較して低減されたことを示している(図17AおよびB)。
【0079】
[0066] ウェル拡散アッセイを用いた抗真菌スクリーニングは、前に実施例1で観察されたように、L.ジョンソニイD115が一般的な飼料腐敗真菌、例えばアスペルギルス・ニゲルの増殖に対して有効であることを確証した(図18)。
【0080】
[0067] ディスク拡散アッセイ。増殖阻害領域の直径を定規を用いて測定した。阻害が観察されなかった場合、直径は6mm、すなわち紙製ディスクの直径であった。結果を表10および11に示す。
【0081】
表10.D115の上清を様々な細菌に対してスクリーニングするディスク拡散アッセイの結果
【0082】
【表10】

【0083】
L.ジョンソニイ、D115株
L.ジョンソニイATCC11506
論考
[0068] ウェル拡散アッセイの方法を用いて、シゲラ・ソンネ、ビブリオ・コレラ、ビブリオ・パラヘモリチカス、カンピロバクター・ジェジュニ、ストレプトコッカス・ニューモニエおよびエンテロコッカス・フェシウムを含むいくつかの細菌がL.ジョンソニイD115の上清中に含まれる推定される抗微生物物質に感受性があることが示された。
【0084】
[0069] ウェル拡散アッセイの方法を用いて、L.ジョンソニイD115の上清の抗真菌活性をさらにA.ニゲルに対して示した(図18)。L.ジョンソニイATCC11506の無細胞培養培地からわずかな抗真菌活性が見られたが、L.ジョンソニイD115の無細胞培養培地を用いて検出された阻害領域は明確で輪郭がはっきりした(defined)真菌の阻害を示した。結果は、L.ジョンソニイD115の上清がこれらの微生物に対して、L.ジョンソニイ11506の上清と比較して増殖阻害活性を有していることを示した。その効果は乳酸菌に一般的な乳酸の産生によるものではなかった;この抗微生物効果は第2の代謝産物の産生によるものであった。
【0085】
[0070] ディスク拡散アッセイ法を用いて、サルモネラ・モンテビデオ(Salmonella montevideo)、S.センフテンベルク(S. senftenberg)、大腸菌(E. coli)、バチルス・セレウスおよびY.エンテロコリチカを含むいくつかの細菌がL.ジョンソニイD115の上清に含まれる代謝産物に感受性があることが示された。
【0086】
[0071] 全般的に言えば、下記の表11に要約したように、L.ジョンソニイD115は広いスペクトルの抗微生物および抗真菌活性を示した。
表11.L.ジョンソニイD115の抗微生物活性の結果の要約
【0087】
【表11】

【0088】
[0072] ラクトバシラス・ジョンソニイ分離株D115は、ブダペスト条約の条項の下で、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC) 10801、Boulevard大学、マナサス、Va. 20110−2209において、2008年3月7日に、PTA−9079として寄託された。
【0089】
[0073] 前述の記述および図は、本発明の説明的な態様を含む。本明細書で記述された前述の態様および方法は、当業者の能力、経験、および好みに基づいて変化してよい。単に方法の工程を特定の順序で列挙することは、方法の工程の順序にいかなる制限も構成しない。前述の記述および図は本発明を単に説明および図説するものであり、特許請求の範囲がそう限定する場合を除き、本発明はそれに限定されない。それらより前の開示を有する当業者は、本発明の範囲から逸脱することなくそれに修正および変更を加えることができるであろう。
【0090】
結論
[0074] この研究は、L.ジョンソニイD115の広いスペクトルの抗微生物および抗真菌活性を示した。スタフィロコッカス・アウレウス、リステリア・モノサイトゲネス、S.エンテリティディス、S.チフィムリウム、クレブシエラ・ニューモニエ、E.フェカリス、大腸菌に対する阻害効果を有する他のL.ジョンソニイ株、例えばL.ジョンソニイLa1について報告されたことに加え、L.ジョンソニイD115株は、シゲラ・ソンネ、ビブリオ・コレラ、V.パラヘモリチカス、カンピロバクター・ジェジュニ、ストレプトコッカス・ニューモニエ、エンテロコッカス・フェシウム、エルシニア・エンテロコリチカ、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムに対して阻害的であることが分かった。これは、L.ジョンソニイD115の生菌として、予防剤としてまたは物質の表面処理剤としての、ヒトおよび動物の病原体、例えばシゲラ・ソンネ、ビブリオ・コレラ、V.パラヘモリチカス、カンピロバクター・ジェジュニ、ストレプトコッカス・ニューモニエ、エンテロコッカス・フェシウム、エルシニア・エンテロコリチカ、バチルス・セレウス、S.モンテビデオおよびS.センフテンベルクならびに菌類であるアスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムに対する使用の可能性を示す。
【0091】
参考文献
【0092】
【化1−1】

【0093】
【化1−2】

【0094】
【化1−3】

【0095】
【化1−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
D115として同定され、ATCCに寄託番号PTA−9079の下で寄託された、ラクトバシラス・ジョンソニイ株の分離された細菌。
【請求項2】
請求項1で定められた分離された細菌株であって、さらに配列ID NO.1の配列を含む分離された細菌株。
【請求項3】
請求項2で定められた分離された細菌株であって、配列ID NO.1の配列と少なくとも90%の相同性を有する株。
【請求項4】
請求項1で定められた分離された細菌株であって、さらに配列ID NO.2の配列を含む分離された細菌株。
【請求項5】
請求項4で定められた分離された細菌株であって、配列ID NO.2のtuf遺伝子の配列に対して少なくとも90%の相同性を有する株。
【請求項6】
次のものを含む組成物:
(a)121℃までの温度において少なくとも15分間熱安定性であり、中性からpH1までの範囲において少なくとも30分間耐酸性である抗微生物性代謝産物を産生する、ラクトバシラス属ジョンソニイ種D115株の細菌細胞;ならびに
(b)細菌細胞および代謝産物のための、経口投与に適した、生理的に許容できるキャリヤー。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、代謝産物がヒトおよび動物の病原体に対して抗微生物活性を有する組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物であって、ヒトおよび動物の病原体がブラキスピラ属の種、シゲラ属の種、ビブリオ属の種、カンピロバクター属の種、ストレプトコッカス属の種、エンテロコッカス属の種、リステリア属の種、クロストリジウム属の種、クレブシエラ属の種、スタフィロコッカス属の種、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリチカ、大腸菌、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムからなるグループから選択される組成物。
【請求項9】
ブラキスピラ属の種、シゲラ属の種、ビブリオ属の種、カンピロバクター属の種、ストレプトコッカス属の種、エンテロコッカス属の種、リステリア属の種、クロストリジウム属の種、クレブシエラ属の種、スタフィロコッカス属の種、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリチカ、大腸菌、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムからなるグループから選択される微生物の感染の効果の予防のための方法であって、有効量の請求項6の株の組成物またはその代謝産物を投与する工程を含む方法。
【請求項10】
ブラキスピラ属の種、シゲラ属の種、ビブリオ属の種、カンピロバクター属の種、ストレプトコッカス属の種、エンテロコッカス属の種、リステリア属の種、クロストリジウム属の種、クレブシエラ属の種、スタフィロコッカス属の種、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリチカ、大腸菌、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムからなるグループから選択される微生物の感染の効果の予防のための方法であって、有効量の請求項6の株を投与する工程を含む方法。
【請求項11】
ブラキスピラ属の種、シゲラ属の種、ビブリオ属の種、カンピロバクター属の種、ストレプトコッカス属の種、エンテロコッカス属の種、リステリア属の種、クロストリジウム属の種、クレブシエラ属の種、スタフィロコッカス属の種、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリチカ、大腸菌、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムからなるグループから選択される微生物による汚染を阻害するために物質を処理する方法であって、有効量の請求項6の株を物質に与える工程を含む方法。
【請求項12】
ブラキスピラ属の種、シゲラ属の種、ビブリオ属の種、カンピロバクター属の種、ストレプトコッカス属の種、エンテロコッカス属の種、リステリア属の種、クロストリジウム属の種、クレブシエラ属の種、スタフィロコッカス属の種、サルモネラ属の種、エルシニア・エンテロコリチカ、大腸菌、バチルス・セレウス、アスペルギルス・ニゲルおよびフザリウム・クラミドスポルムからなるグループから選択される微生物の増殖を阻害するために物質を処理する方法であって、有効量の請求項6の株を物質に与える工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−527236(P2010−527236A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506498(P2010−506498)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/061452
【国際公開番号】WO2008/134450
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(500462328)ケミン、インダストリーズ、インコーポレーテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】KEMIN INDUSTRIES, INC.
【Fターム(参考)】