説明

ラケット用ガット

【課題】ファッション性、実用性および機能性を併せ持ち、特に初心者の練習用として好適に使用されるラケット用ガットを提供する。
【解決手段】ラケット用ガットを構成する合成樹脂フィラメントの少なくとも一部に、0.1〜30重量%のピエゾクロミック材料を含有することを特徴とするラケット用ガット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バドミントンやテニス等に使用する合成樹脂フィラメントからなるラケット用ガットに関するものであり、さらに詳しくは、プレー中の色の変化性に富むラケット用ガット、すなわち外部からの圧力により色が変化し、優れたファッション性、実用性および機能性を併せ持つラケット用ガットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラケット用ガットとしては、従来から羊腸、鯨筋に代表される動物繊維からなる天然ガットが用いられてきた。
【0003】
しかるに、天然ガットは反発性、制球性、耐衝撃性などに優れている反面、耐水性に劣ることから使用寿命が短く、しかも高価であるため、近年では耐久性、量産性および経済性などに優れる合成樹脂製ガットが用いられている。
【0004】
これらの合成樹脂製ガットとしては、ポリアミド製ガットが比較的多く用いられているが、ポリアミド製ガットは気温や湿度などの環境変化に十分対応できず、伸び、強力および弾性率などが変化するため、競技者に対して安定した競技感覚を与えにくいという問題があった。
【0005】
このような状況から、環境変化による特性変化を起こし難く、しかも強伸度曲線が天然ガットに極めて近似しており、制球性に優れるポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する)製ガットが開発され実用に供されている。
【0006】
さらに、ラケット用ガットは着色が施されていないものもあるが、使用者の好みにより、近年では様々な色に着色されたものが好まれる傾向がある。そして、この着色ガットは、ガットの製造工程の中で繊維用染料などが用いられ、染色されるのが一般的である。
【0007】
しかるに、近年のカラー嗜好に伴い、単に染色された合成樹脂ガット以外に、時と場合によって色が変わるなどの変化性に富むガットを使用したいといった要望があり、このような従来技術としては、温度によってガットの色が変わる(サーモトロピック)ガット(例えば、特許文献1参照)や、紫外線や可視光線が照射されると色が可逆的に変化する(フォトクロミック)ガット(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0008】
しかしながら、上述した従来技術のガットは、色が可逆的に変化するという面でファッション性や外観的には優れているが、一般的にプレー中の温度や光の変化がそれほど大きいものではないため、色調の変化の巾が狭く変化性に劣るものであり、未だに十分な満足ができないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平2−45772号公報
【特許文献2】特公平6−83731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決すべく検討した結果達成されたものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、プレー中の色の変化性に富むラケット用ガット、すなわち外部からの圧力により色が変化し、優れたファッション性、実用性および機能性を併せ持つラケット用ガットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明によれば、ラケット用ガットを構成する合成樹脂フィラメントの少なくとも一部に、0.1〜30重量%のピエゾクロミック化合物を含有することを特徴とするラケット用ガットが提供される。
【0013】
なお、本発明のラケット用ガットにおいては、合成樹脂フィラメントがその表面にコーティング樹脂層を有し、このコーティング樹脂層中に0.1〜30重量%のピエゾクロミック化合物を含有することが好ましい条件であり、この条件を適用した場合には、さらに優れた効果の取得を期待できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下に説明するとおり、合成樹脂フィラメントの少なくとも一部にピエゾクロミック材料を含有しているため、外部刺激である圧力によって色が可逆的に変化し、変化性に富むとともに、優れたファッション性、実用性および機能性を併せ持ち、特に初心者の練習用として好適に使用されるラケット用ガットを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明について具体的に説明する。
【0016】
本発明のラケット用ガットは、ラケット用ガットを構成する合成樹脂フィラメントの少なくとも一部に、0.1〜30重量%のピエゾクロミック材料を含有することを特徴とするものである。
【0017】
ピエゾクロミック材料とは、圧力によって発色が可逆的に変化する化合物である。このため、本発明のラケット用ガットは、球やシャトルを打つと、その衝撃によって球やシャトルの当たった部分のみが発色し、しばらくすると元に戻るため、ラケット面のどこに球やシャトルが当たったかを一目で確認することができ、初心者がラケットの中心で打つ練習を効果的に行なうことができる。
【0018】
本発明のラケット用ガットを構成する合成樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系ゴムとポリプロピレンまたはエチレンなどのポリオレフィンとのブレンドなどのポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素ゴム系エラストマー、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、エチレンテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂などが挙げられるが、中でもポリアミド系樹脂およびポリエステル系樹脂が好ましく使用される。
【0019】
本発明のラケット用ガットは、上記の合成樹脂からなるフィラメントで構成され、モノフィラメント、マルチフィラメントおよびこれらの組み合わせであっても良い。さらに本発明においては、編組や巻付けなどによって合糸されたものを擬似フィラメントとして取り扱うことができる。
【0020】
ここで、本発明で用いるピエゾクロミック材料とは、無機系・有機系を問わず、特に制約はなく、公知のものを用いることができる。ピエゾクロミック材料としては、例えば、一硫化サマリウム、下記式(I)で表される一部のピレン誘導体、1,3,6,8−テトラフェニルピレン誘導体などが知られている。式(I)のピレン誘導体は、圧力が加わると黄色から緑色に変色する。さらに、これらピエゾクロミック材料は、一般的にはメラミン樹脂、ゼラチン、無機シリカ等によるマイクロカプセルに封入されて使用される。
【0021】
【化1】

【0022】
合成樹脂フィラメントにピエゾクロミック材料を含有させる方法としては、前記合成樹脂を溶融紡糸時にピエゾクロミック材料を混合し、合成樹脂フィラメント内部に分散させてピエゾクロミック材料を含有させる方法、もしくは合成樹脂フィラメントの製造途中または製造後に前記合成樹脂フィラメントの表面にコーティング樹脂層を形成し、そのコーティング樹脂層中にピエゾクロミック材料を含有させる方法がある。本発明においては特に制約はないが、望ましくは合成樹脂フィラメントの表面にコーティング樹脂層を形成し、このコーティング樹脂層中にピエゾクロミック材料を含有していることが望ましい。
【0023】
さらに、ここでいうコーティング方法としては、公知の技術を使用することができるが、例えばロールコーティング、スプレーコート、浸漬コーティングなどの方法が挙げられる。本発明においては、浸漬コーティング方法を適用するのが望ましく、ピエゾクロミック材料を添加したコーティング樹脂の浴中で付与する方法が好ましい。
【0024】
コーティング樹脂については公知のものを使用できるが、例えば熱可塑性樹脂固体粒子の水系懸濁液を適用することができる。これは完全水系懸濁液であり、水を分散剤として共重合ポリアミド系もしくはポリエステル系の熱可塑性樹脂が分散されたものであり、共重合ポリアミド系完全水系懸濁液としては、例えばエムスケミー・ジャパン株式会社製・商品名「Griltex 2A Suspension」、「Griltex D1500A Suspension」などが、また共重合ポリエステル系完全水系懸濁液としては、例えばエムスケミー・ジャパン株式会社製・商品名「Griltex D1377E Suspension」、「Griltex 9E Suspension」などの市販品を適用することによって、コーティング樹脂層を形成することができる。
【0025】
前記完全水系懸濁液に分散されている熱可塑性樹脂の種類は、コーティング樹脂層を形成する合成樹脂フィラメントの素材に応じて選択することができる。例えば合成樹脂フィラメントがナイロン系であれば、共重合ポリアミド系完全水系懸濁液を、合成樹脂フィラメントがポリエステル系であれば、共重合ポリエステル系完全水系懸濁液を好適に使用することができる。
【0026】
また、本発明で使用する水系懸濁液中の熱可塑性樹脂の融点は、合成樹脂フィラメントを構成する熱可塑性樹脂の融点より5℃以上低いことが好ましい。
【0027】
水系懸濁液中の熱可塑性樹脂は数ミクロンの大きさで分散されており、これを合成樹脂フィラメントに塗布してから、水分を取り除くために乾燥し、さらに熱処理を行って熱可塑性樹脂を溶融することによって、合成樹脂フィラメント表面にコーティング樹脂層が形成されるが、この熱処理時に合成樹脂フィラメントを構成する熱可塑性樹脂との融点差が5℃未満の場合には、実質的に融点を超える温度で熱処理する必要があり、合成樹脂フィラメントが溶融しやすくなって強度低下を引き起こす原因を招きやすい。
【0028】
さらに、このコーティング樹脂層はガット張設時および打球時の繊維の疲労を防ぐとともに耐久性、耐摩耗性を向上させることができ、且つ品位の向上という利点がある。
【0029】
コーティング樹脂層中のピエゾクロミック材料の使用濃度は、コーティング樹脂に対して0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜20重量%がさらに好ましい。使用濃度に関して、ピエゾクロミック材料の濃度が上記範囲を下回る場合には、本発明のラケット用ガットとして使用した際に、打球時の色の変化が小さくなり、ラケット用ガットを使用する人によっては打球時の色の変化を確認しにくい傾向となる。逆にコーティング樹脂に対してピエゾクロミック材料の濃度が上記範囲を上回る場合には、コーティング樹脂とフィラメント表面の接着性が下がり、コーティング樹脂自体の強度が弱く、ラケット用ガットとして使用しているうちにコーティング樹脂層自体の脱落が起こり、持続的な効果が得られにくくなる。さらには製造面でコーティング樹脂層を形成するためのコーティング樹脂の水成分が不足してコーティング樹脂自体の流動性が低下し、ベースとなるフィラメントの表面に均一なコーティング樹脂層を形成することが困難となり、得られるフィラメントの線径斑が大きくなることがあるばかりか、ラケット用ガットとして使用している際にコーティング樹脂層が脱落して、ラケット用ガットの表面の見栄えを悪くするといった問題を生ずることがある。
【0030】
本発明のラケット用ガットの形態としては、ピエゾクロミック材料を含有するモノフィラメント単線で用いる場合、ピエゾクロミック材料を含有する皮糸を芯糸の周囲に配して用いる場合、芯糸と皮糸を編組や巻付けなどによって合糸した後にピエゾクロミック材料を含有させて用いる場合などが例示される。また、必要に応じて樹脂コーティングや印字、油剤付与などの加工が行われても良い。
【0031】
次に本発明のラケット用ガットの製造方法の一例を示すが、製造方法はこれに限られるものではない。
【0032】
本発明に用いる合成樹脂フィラメントは、公知の溶融紡糸にて得ることができる。すなわち、溶融紡糸した未延伸フィラメントを冷却後にローラー間で熱延伸することで得られる。また延伸段数は特に制限されるものではなく、1段延伸の他にも2段延伸、3段延伸といった多段延伸プロセスを採用することができる。
【0033】
得られた合成樹脂フィラメントは、その製造途中または製造後に、必要に応じてその表面にコーティングが施される。この場合には、前述の熱可塑性樹脂が分散された水系懸濁液にピエゾクロミック材料を加え、この混合液の入った浴中に合成樹脂フィラメントを浸漬させることで、熱可塑性樹脂とピエゾクロミック材料を合成樹脂フィラメント表面に塗布する。その後、さらに熱処理を行なって水分を取り除き、水系懸濁液中の熱可塑性樹脂を溶解することによって、コーティング樹脂層が形成される。
【0034】
得られた合成樹脂フィラメントは、従来のPETガットのように、モノフィラメント単体で、または従来のポリアミドガットのように芯糸の周囲に皮糸を配置して、ラケット用ガットとして用いられる。芯糸の周囲に皮糸を配置する方法は、公知の編組織(例えば16打ち)または巻き付け機を用いて行なうことができ、続いて熱処理、樹脂コーティング、印字、油剤付与などの加工が行なわれてもよい。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明のラケット用ガットについて実施例に基づいてさらに詳しく説明する。なお本発明に関わるラケット用ガットの評価は下記の方法で実施した。
【0036】
[ラケット用ガットの打球時の色変化の評価]
複数の人に、実施例および比較例で得られたラケット用ガットを使用してもらい、打球時の色の変化について次の段階で評価を行った。
【0037】
ラケット用ガットが張設されたラケットを用意し、テニス経験が2年未満のアマチュアプレーヤー3人にストロークしてもらい、打球時の色の変化についてピエゾクロミック材料が含有していないラケット用ガットと比較して以下のように評価した。
◎: 3人中3人ともに打球時の色の変化を確認でき、本発明の効果を認識することができた。
○: 3人中2人が打球時の色の変化を確認でき、本発明の効果を認識することができた。
×: 3人中2人以上が打球時の色の変化を確認できず、本発明の効果を認識することができなかった。
【0038】
[耐久性]
ラケット用ガットが張設されたラケットのフェースに、時速100Km、打ち出し間隔15回/分、打ち出し距離50cm、かつ打ち出し角度40°の条件でテニスボールを衝突させ、打ち出し回数1000回試打後のガットでコーティング樹脂層の脱落の有無を評価した。
【0039】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(三井化学製三井ペットJ055)をエクストルーダー型紡糸機に供給し、溶融混練したのち円形断面糸用紡糸ノズルから紡出させ、短い気体ゾーンを通過したのち75℃の温水浴に導き冷却し、未延伸モノフィラメントを得た。得られた未延伸糸を90℃の温水浴で3.0倍に第1段延伸し、次いで180℃の熱風乾熱炉で1.7倍に第2段目延伸したモノフィラメントを得た。次いで、得られたモノフィラメントを、ピエゾクロミック材料(式(I)に示したピレン系誘導体においてRをメチル基とした)をコーティング樹脂に対して10重量%含有したコーティング樹脂完全水系・共重合ポリエステルサスペンジョン(エムスケミー・ジャパン株式会社製Griltex 2A Suspension)に浸漬した後、180℃雰囲気下、0.95倍で加熱弛緩処理することにより、直径0.93mmのモノフィラメントを製造した。得られたモノフィラメントをラケット用ガットとして用い、その性能を評価した。
【0040】
得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0041】
[実施例2]
実施例1において、コーティング樹脂に対してピエゾクロミック材料の濃度を25重量%に変更した以外は、実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0042】
[実施例3]
実施例1において、コーティング樹脂に対してピエゾクロミック材料の濃度を0.5重量%に変更した以外は、実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0043】
[実施例4]
実施例1において、コーティング樹脂に対してピエゾクロミック材料の濃度を0.1重量%に変更した以外は、実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0044】
[実施例5]
実施例1において、熱可塑性樹脂をナイロン(東レ株式会社製M6151)に変更した以外は実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0045】
[実施例6]
実施例1において、ポリエチレンテレフタレート(三井化学製三井ペットJ055)をエクストルダー型紡糸機に供給し溶融混練する際に、ピエゾクロミック材料(式(I)に示したピレン系誘導体においてRをメチル基とした)を合成樹脂に対して10重量%混合し、押し出しした後、円形断面糸用紡糸ノズルから紡出させ、短い気体ゾーンを通過したのち75℃の温水浴に導き冷却し、未延伸モノフィラメントを得た。得られた未延伸糸を90℃の温水浴で3.0倍に第1段延伸し、次いで180℃の熱風乾熱炉で1.7倍に第2段目延伸することにより、ピエゾクロミック材料が内部に分散された合成樹脂モノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
実施例1において、コーティング樹脂にピエゾクロミック材料を添加しないこと以外は、実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0047】
[比較例2]
実施例1において、熱可塑性樹脂をナイロン(東レ株式会社製M6151)に変更し、さらに得られたモノフィラメントにコーティング樹脂層を形成せず、ピエゾクロミック材料を含有していないこと以外は実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0048】
[比較例3]
実施例1において、コーティング樹脂に対してピエゾクロミック材料の濃度を60重量%に変更した以外は、実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0049】
[比較例4]
実施例1において、コーティング樹脂に対してピエゾクロミック材料の濃度を80重量%に変更した以外は、実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0050】
[比較例5]
実施例1において、コーティング樹脂に対してピエゾクロミック材料の濃度を0.05重量%に変更した以外は、実施例1に準じてモノフィラメントを作製した。得られたモノフィラメントの評価結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1の結果から明らかなように、本発明のモノフィラメントは(実施例1〜6)は、ラケット用ガットとして使用した際にいずれも打球時の圧力による色の変化を認識することができ、打球した位置が明確にわかることで初心者の練習用として特に好適に使用することができるものであった。
【0053】
一方、本発明の条件を満たさないコーティング樹脂層にピエゾクロミック材料が含有していないモノフィラメント(比較例1〜5)は、本発明の効果である打球時の色の変化が発揮されず、ラケット用ガットとしての性能や使用感は問題ないものの、本発明の目的に関してモノフィラメントあるいはモノフィラメント表面に形成されるコーティング樹脂層にピエゾクロミック材料が含有していないため打球時の圧力によって色の変化が起こらないことから初心者の練習用などとしては満足できるものではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上、説明したとおり、本発明のラケット用ガットは、ピエゾクロミック材料を含有しており、ガットとして使用した際に打球時の圧力により色が変わることから、プレー中の色の変化性に富むとともに、優れたファッション性、実用性および機能性を併せ持つものであり、特に球やシャトルの当たった部分のみが発色するため、初心者の練習用などに好適に使用することができ、機能性面で優れた特性を発揮できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラケット用ガットを構成する合成樹脂フィラメントの少なくとも一部に、0.1〜30重量%のピエゾクロミック材料を含有することを特徴とするラケット用ガット。
【請求項2】
前記合成樹脂フィラメントがその表面にコーティング樹脂層を有し、このコーティング樹脂層中に0.1〜30重量%のピエゾクロミック材料を含有することを特徴とする請求項1に記載のラケット用ガット。

【公開番号】特開2012−210367(P2012−210367A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78064(P2011−78064)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000219288)東レ・モノフィラメント株式会社 (239)