説明

ラジエータコアサポート

【課題】 車両搭載時にサイドメンバ間を梁構造とし、材料及び重量の増加を招くことなくラジエータコアサポートの全体剛性を向上させることによって車両操作安定性の向上を図ることができるラジエータコアサポートの提供。
【解決手段】 ラジエータコアサポートアッパ1と、ラジエータコアサポートロア2と、ラジエータコアサポートサイド3,4を備え、両ラジエータコアサポートサイド3,4、ラジエータコアサポートアッパ1、ラジエータコアサポートロア2の内側に配置されたファン開口部8を有するファンシュラウド部5を形成し、両ラジエータコアサポートサイド3,4に近接してそれぞれサイドメンバ取付部6,7を形成したラジエータコアサポートAにおいて、両サイドメンバ取付部6,7の間に剛体部(リブ10a,10b、ファンステイ12c〜12f)を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータコアサポートに関し、特に、ファン開口部を有するファンシュラウド部が形成されたラジエータコアサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパと、このラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、これらラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアとの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドを備え、前記両ラジエータコアサポートサイド、ラジエータコアサポートアッパ、ラジエータコアサポートロアの内側に配置されたファン開口部を有するファンシュラウド部を形成し、前記両ラジエータコアサポートサイドに近接してそれぞれサイドメンバ取付部を形成したラジエータコアサポートの技術が公知になっている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2003−300483号公報
【特許文献2】特開平5−105115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、ラジエータコアサポートを主に単体で考慮した際に必要な部位の剛性強化を図っているため、不必要な部位の厚みや形状に変更が生じ、材料及び重量の増加を招く虞があるという問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、車両搭載時にサイドメンバ間を梁構造とし、材料及び重量の増加を招くことなくラジエータコアサポートの全体剛性を向上させることによって車両操作安定性の向上を図ることができるラジエータコアサポートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパと、このラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、これらラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアとの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドを備え、前記両ラジエータコアサポートサイド、ラジエータコアサポートアッパ、ラジエータコアサポートロアの内側に配置されたファン開口部を有するファンシュラウド部を形成し、前記両ラジエータコアサポートサイドに近接してそれぞれサイドメンバ取付部を形成したラジエータコアサポートにおいて、前記両サイドメンバ取付部の間に剛体部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパと、このラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、これらラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアとの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドを備え、前記両ラジエータコアサポートサイド、ラジエータコアサポートアッパ、ラジエータコアサポートロアの内側に配置されたファン開口部を有するファンシュラウド部を形成し、前記両ラジエータコアサポートサイドに近接してそれぞれサイドメンバ取付部を形成したラジエータコアサポートにおいて、前記両サイドメンバ取付部の間に剛体部を形成したため、車両搭載時にサイドメンバ間を梁構造とし、材料及び重量の増加を招くことなくラジエータコアサポートの全体剛性を向上させることによって車両操作安定性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1のラジエータコアサポートを示す正面図、図2は同前方斜視図、図3は同後方斜視図、図4は図1のS4−S4線における端面図、図5は図1のS5−S5線における端面図、図6は図1のS6−S6線における端面図、図7及び図8はラジエータコアサポートの車両搭載時を説明する図である。
【0009】
先ず、全体構成を説明する。
図1〜3に示すように、本実施例1のラジエータコアサポートAは、車幅方向に延在する板状のラジエータコアサポートアッパ1と、このラジエータコアサポートアッパ1と並行する板状のラジエータコアサポートロア2と、これらラジエータコアサポートアッパ1とラジエータコアサポートロア2との両端部同士を結合する板状のラジエータコアサポートサイド3,4と、両ラジエータコアサポートサイド3,4、ラジエータコアサポートアッパ1、ラジエータコアサポートロア2の内側に形成された板状のファンシュラウド部5を備え、全体が樹脂製で一体的に形成されている。
なお、ラジエータコアサポート全体を金属製で形成したり、或いは金属製部分を設けて樹脂モードルドさせても良い。
【0010】
ファンシュラウド部5の両ラジエータコアサポートサイド3,4に近接した中途部には、開口部O1,O2を有するサイドメンバ取付部6,7が形成される他、これらサイドメンバ取付部6,7の四隅にはボルト挿通穴6a,7aが形成されている。
また、後述するが、これらのサイドメンバ取付部6,7には車両搭載時において車両のサイドメンバ13,14がボルトで締結され固定される。
【0011】
また、ファンシュラウド部5には、車幅方向へ図中右側にオフセットした状態でファン開口部8が形成されている。
【0012】
そして、ファンシュラウド部5におけるファン開口部8とサイドメンバ取付部6,7との間には、車両前方側に開口した略コ字状断面のリブ10a,10b(剛体部に相当)が両サイドメンバ取付部6,7の間を繋ぐ方向(車幅方向)へ向かって直線状に形成されている(図4参照)。
【0013】
さらに、ファン開口部8には、ファンシュラウド部5からファン取付部11を形成するように略三角形断面形状のファンステイ12a〜12fが形成されると共に、ファンステイ12c、12d(剛体部に相当)はリブ10aと略同じ高さ位置で車幅方向へ連続するように、ファンステイ12e,12f(剛体部に相当)がリブ10bと略同じ高さ位置で車幅方向へ連続するようにそれぞれ形成されている(図5、6参照)。
なお、ファンステイ12a〜12fの形成数及び断面形状等は適宜設定できる。
【0014】
従って、本実施例1のラジエータコアサポートAでは、両サイドメンバ取付部6,7の間を繋ぐ方向へリブ10a,10bとファンステイ12d〜12fが形成され、これによって、両サイドメンバ取付部6,7の間は他の部位に比べて高剛性となっている。
【0015】
その他、ファンシュラウド部5にはファン開口部8と対面して車両前方側に配置される図外の熱交換器の左右の各ポートを挿通させるための挿通穴5aがそれぞれ形成され、ラジエータコアサポートロア2には、図外の熱交換器の左右下端を固定するための取付穴2aがそれぞれ形成されている。
【0016】
次に、作用を説明する。
このように構成されたラジエータコアサポートAの車両搭載時には、図7、8に示すように、ファン取付部11に形成された複数の取付穴11a(本実施例1では三カ所)とファン15のそれぞれ対応する取付穴15a(下方の一カ所は波線で図示)に図外のボルト等の締結手段が挿通されて締結されることにより、該ファン15がファン開口部8に臨んだ状態で搭載される。
【0017】
また、両サイドメンバ取付部6,7に形成された複数のボルト挿通穴6a,7a(本実施例1では4カ所)とサイドメンバ13,14の前面側に形成された締結穴13a,14aに図外のボルト等の締結手段が挿通されて締結されることにより、該サイドメンバ13,14がサイドメンバ取付部6,7に締結される。
【0018】
従って、車両搭載時のラジエータコアサポートAは、リブ10a,10b及びファンステイ12a〜12fによって、両サイドメンバ13,14同士を繋ぐように梁構造が形成されて全体剛性が大幅に向上している。
【0019】
これにより、ファン開口部8(ファン15)が車幅方向にオフセットした状態で配置される場合であっても、車両操作安定性が低下する虞がない。
【0020】
ここで、従来の発明にあっては、ラジエータコアサポートを単体で考慮した際の各部位の剛性強化を図っており、この結果、不必要な部位の厚みや形状に変更が生じ、材料及び重量の増加を招く虞があるという問題点があった。
【0021】
しかしながら、本実施例1のラジエータコアサポートAにあっては、前述したように、車両搭載時にサイドメンバ13,14とリブ10a,10b及びファンステイ12a〜12fを協働させて梁構造を形成することでラジエータコアサポートAの全体剛性を向上させることができ、車両操作安定性の向上を図ることができる。
【0022】
また、従来の発明に比べて、閉断面構造を採用したり、追加補強部材を別体で必要としないため、部品点数、製造工数、材料、重量の削減を実現できる。
【0023】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1のラジエータコアサポートAにあっては、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパ1と、このラジエータコアサポートアッパ1と並行するラジエータコアサポートロア2と、これらラジエータコアサポートアッパ1とラジエータコアサポートロア2との両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド3,4を備え、両ラジエータコアサポートサイド3,4、ラジエータコアサポートアッパ1、ラジエータコアサポートロア2の内側に配置されたファン開口部8を有するファンシュラウド部5を形成し、両ラジエータコアサポートサイド3,4に近接してそれぞれサイドメンバ取付部6,7を形成したラジエータコアサポートAにおいて、両サイドメンバ取付部6,7の間に剛体部を形成したため、車両搭載時にサイドメンバ13,14間を梁構造とし、材料及び重量の増加を招くことなくラジエータコアサポートAの全体剛性を向上でき、この結果、車両操作安定性の向上を図ることができる。
【0024】
また、剛体部を両サイドメンバ取付部6,7を繋ぐ方向へ形成したため、車両搭載時にサイドメンバ13,14同士を繋ぐ方向に配置された剛体部によって梁構造を形成でき、これによってラジエータコアサポートAの全体剛性を向上できる。
【0025】
また、剛体部をファンシュラウド部5に形成したリブ10a,10bとしたため、車両搭載時にサイドメンバ13,14同士を繋ぐ方向に配置されたリブ10a,10bによって梁構造を形成でき、これによってラジエータコアサポートAの全体剛性を向上できる。
【0026】
また、剛体部をファン開口部8に形成されたファンステイ12c〜12fとしたため、車両搭載時にサイドメンバ13,14同士を繋ぐ方向に配置されたファンステイ12c〜12fによって梁構造を形成し、これによってラジエータコアサポートAの全体剛性を向上できる。
【0027】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、リブ、ファンステイの断面形状については適宜設定でき、その形状も直線状に限らず、曲線状や波線状に形成しても良い。
また、リブやファンステイを閉断面に形成することはできるが、この場合、車両レイアウトを考慮したコンパクト化が図れないため、あまり好ましくない。
【0028】
さらに、図9に示すように、両サイドメンバ取付部の間に上下方向に伸びるリブ20を複数形成しても良い。
【0029】
さらに、本実施例1ではファン開口部8が、両ラジエータコアサポートサイド3,4、ラジエータコアサポートアッパ1、ラジエータコアサポートロア2の内側にオフセットされた位置に形成されていたが、ファン開口部8は中央部に配置されていても良い。この場合、車両搭載時にサイドメンバ13,14同士を繋ぐ方向にリブ10a,10bと同様の剛体部をファン開口部8の両側に設ける。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1のラジエータコアサポートを示す正面図である。
【図2】本発明の実施例1のラジエータコアサポートを示す前方斜視図である。
【図3】本発明の実施例1のラジエータコアサポートを示す後方斜視図である。
【図4】図1のS4−S4線における端面図である。
【図5】図1のS5−S5線における端面図である。
【図6】図1のS6−S6線における端面図である。
【図7】ラジエータコアサポートの車両搭載時を説明する図である。
【図8】ラジエータコアサポートの車両搭載時を説明する図である。
【図9】その他の実施例のラジエータコアサポートを示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
A ラジエータコアサポート
O1、O2 開口部
1 ラジエータコアサポートアッパ
2 ラジエータコアサポートロア
2a 取付穴
3、4 ラジエータコアサポートサイド
5 ファンシュラウド部
5a 挿通穴
6、7 サイドメンバ取付部
6a、7a ボルト挿通穴
8 ファン開口部
10a、10b リブ(剛体部に相当)
11 ファン取付部
11a 取付穴
12a、12b ファンステイ
12c、12d、12e、12f ファンステイ(剛体部に相当)
13、14 サイドメンバ
13a、14a 締結穴
15 ファン
15a 取付穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパと、このラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、これらラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアとの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドを備え、
前記両ラジエータコアサポートサイド、ラジエータコアサポートアッパ、ラジエータコアサポートロアの内側に配置されたファン開口部を有するファンシュラウド部を形成し、
前記両ラジエータコアサポートサイドに近接してそれぞれサイドメンバ取付部を形成したラジエータコアサポートにおいて、
前記両サイドメンバ取付部の間に剛体部を形成したことを特徴とするラジエータコアサポート。
【請求項2】
請求項1記載のラジエータコアサポートにおいて、
前記剛体部を両サイドメンバ取付部を繋ぐ方向へ形成したことを特徴とするラジエータコアサポート。
【請求項3】
請求項2記載のラジエータコアサポートにおいて、
前記剛体部をファンシュラウド部に形成したリブとしたことを特徴とするラジエータコアサポート。
【請求項4】
請求項2記載のラジエータコアサポートにおいて、
前記剛体部をファン開口部に形成されたファンステイとしたことを特徴とするラジエータコアサポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−145222(P2007−145222A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343870(P2005−343870)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】