説明

ラジオカプセル送受信システム

【課題】本発明のラジオカプセル送受信システムは、短い時間間隔での生体情報の取得を可能にすることを目的とする。
【解決手段】 生体情報を検出するセンサと、このセンサによって検出された前記生体情報を送信する送信器を有するラジオカプセルと、複数のアンテナ、及び前記送信部からの信号を前記アンテナを介して任意の時間間隔で受信する受信器を有する体外ユニットとを備え、前記対外ユニットは、前記複数のアンテナのうち、前回使用したアンテナから所定の範囲内に配置されているアンテナを次に使用するアンテナとして決定するラジオカプセル送受信システムとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に留置されるラジオカプセルと、このラジオカプセルから送信される生体情報を受信する体外ユニットとを有するラジオカプセル送受信システムの体外ユニット用アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
体腔内の温度やpH値等の物理量の長時間にわたる測定や観察を行うために、センサと小型発信器とを備え、生体内に留置されて生体内の生体情報を無線によって体外に伝送するラジオカプセル及びその無線信号を受信する体外ユニットが知られている。
【0003】
このようなラジオカプセル及び体外ユニットに関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が存在している。
【0004】
特許文献1の車載アンテナの代表例を図18及び図19に示す。図18は特許文献1の体外ユニット100の概略図が示されている。この体外ユニット100は被験者が装着するベスト型からなっていて、複数のアンテナ101を配置したアンテナアレイ、受信モジュール102、体外ユニット100から着脱可能なメモリ103および電源104が設けられている。アンテナ101で受信された生体情報は、受信モジュール102で加工され、メモリ103に記憶される。電源104は体外ユニット100から取り外して充電できる充電池であって、受信モジュール102に接続されてこれに電力を供給する。
【0005】
図19は、特許文献1のラジオカプセル105の概略が示されている。図19に示すラジオカプセル105は、生体情報を検出するセンサ105a、センサ105aによって検出された後変調された生体情報を送信する送信器105b、これらに電力を供給するバッテリー105c、および送信アンテナ105dとを備えている。このセンサ105aは体腔内におけるpH値や温度等の測定や撮影を行うもので、この測定・観察した生体情報を送信器105bから送信することができる。
【0006】
体内のラジオカプセル105から送信された信号は、被験者の着用している体外ユニット100に設けられたアンテナアレイにて受信(スキャン)され、受信モジュール102に設けられた復調回路と位置特定手段とに送られる。生体情報は復調回路において復調されると共に、ラジオカプセルの位置情報については位置特定手段において、受信した信号の強弱、強い信号を受信したアンテナ101の位置およびその周辺のアンテナ101の受信状態などから特定される。これら生体情報、ラジオカプセル位置情報は、時刻情報とともに、メモリ103に記憶される。測定観察された動的生体情報信号は全てメモリ103に記憶されるので、被験者はベッドに固定されたり測定機器のそばから離れられないなどの不自由を被ることなく行動できる。
【特許文献1】特開2001−46357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術の場合、アンテナアレイを構成する多数のアンテナ101で生体情報を受信するため、それぞれのアンテナが受信する信号を順番に検波していくと、すべてのアンテナ101の検波に膨大な時間がかかってしまい、生体内のラジオカプセルが高速で移動している場合に、短い時間間隔での生体情報の取得が不可能となる。
【0008】
そこで、本発明のラジオカプセル送受信システムは、短い時間間隔での生体情報の取得を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のラジオカプセル送受信システムは、生体情報を検出するセンサと、このセンサによって検出された前記生体情報を送信する送信器を有するラジオカプセルと、複数のアンテナ、及び前記送信部からの信号を前記アンテナを介して任意の時間間隔で受信する受信器を有する体外ユニットとを備え、前記対外ユニットは、前記複数のアンテナのうち、前回使用したアンテナから所定の範囲内に配置されているアンテナを次に使用するアンテナとして決定する。
【発明の効果】
【0010】
本出願の発明は、上記構成により、ラジオカプセルからの生体情報を受信するためのアンテナを決定する上で、モニタリング作業の対象となるアンテナが所定の範囲内のアンテナに絞られているため、モニタリング作業時間の短縮を図ることができ、短い時間間隔での生体情報の取得が可能となる。又、モニタリング作業の効率化が図れることから、モニタリング作業に必要であった消費電力の低減が図れ、体外ユニットのバッテリー容量を減らす事ができ、結果、動作時間の長期化、体外ユニットの軽量化、体外ユニットの装着感向上を図ることができる。
【0011】
更に、後述するが、体外ユニットを第1のユニット及び第2のユニットに分割することで、人体周辺に長く引き回される信号線の本数を減らす事ができるため、体外ユニットの人体装着感の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明のラジオカプセル送受信システムの概要図である。生体内に留置されているラジオカプセル16に内蔵されているセンサ15により取得された生体情報は、変復調器14で無線通信に適した信号形式に変調され、送受信器13を介してラジオカプセル側アンテナ12より体外ユニット17へ無線送信される。このラジオカプセル16からの生体情報は体外ユニット17を構成する第1のユニット5のアンテナアレイ部1により受信する。アンテナアレイ部1により受信された生体情報は、アンテナ切り替えモジュール4を介して体外ユニット17を構成する第2のユニット11内のRF送受信モジュール6へ送られ、復調可能な周波数へ周波数変換された後、復調器7に送られる。復調器7に送られた生体情報は、復調後、メモリ8において蓄積される。又、必要に応じて、第2のユニット11内の送信信号発生器9においてラジオカプセル16を制御するための信号を生成し、RF送受信モジュール6、アンテナ切り替えモジュール4、アンテナアレイ部1を介して、ラジオカプセル16へ無線送信される。又、ラジオカプセル16による生体情報の取得に要する時間が数時間に及ぶことから、被験者が体外ユニット17を装着した状態で日常生活を営めるように、体外ユニット17に必要な電力は、第2のユニット11内に配置されたバッテリー10より供給される。
【0013】
アンテナアレイ部1は複数の体外ユニット側アンテナ2と、体外ユニット側アンテナ2に接続された増幅器3により構成されている。増幅器3を体外ユニット側アンテナ2の直下に接続する事で、アンテナ切り替えモジュール4以降の電力ロス要因によるNF特性劣化を軽減する事が可能となる。尚、増幅器3と体外ユニット側アンテナ2の間にフィルタを挿入する事で、増幅器の歪み防止を図っても良い。又、ラジオカプセルと体外ユニット間の無線通信のマージンが十分ある場合には、消費電力低減を優先し、増幅器3を無くして、パッシブアンテナのみでアンテナアレイ部1を構成しても良い。
【0014】
アンテナ切り替えモジュール4は、受信信号が最良となる体外ユニット側アンテナ2に切り替える。具体的には、前記アンテナアレイ部1を構成する前記体外ユニット側アンテナ2の内の所定アンテナで受信される信号を順次検波するために、順番にアンテナを切り替えた後、前記第1のユニット5又は前記第2のユニット11に配置された比較器で受信信号が最良であった体外ユニット側アンテナを導出し、当該体外ユニット側アンテナにスイッチを切り替えるものである。図3及び図4において詳述するが、前記第1のユニット5は衣服やコルセットに装着されると共に、前記第2のユニット11は腰にベルトで装着されるため、その間を結ぶ信号線の本数はできるだけ少ない方が体外ユニットの装着間は向上する。図1に示した本発明の体外ユニットは、この点を考慮した構成となっており、アンテナ切り替えモジュール4により体外ユニット側アンテナ2は1本のみ選択されるため、第1のユニット5と第2のユニット11を結ぶ信号線の本数は1本のみとすることが可能となっている。第1のユニット5の電力は、第2のユニット11内に設置されたバッテリー10から信号線に乗重することで供給される。
【0015】
図1においては、送信機能をも有した体外ユニットを示したが、送信機能を削除し、体外ユニットの小型・軽量化を図ってもよい。尚、特許請求の範囲における「受信器」とは、図1中のRF送受信モジュール6のRF信号を受信するブロック部分と復調器7を示す。
【0016】
図2には、図1で示したものとは別の本発明の体外ユニットの概要図を示す。図2において、ラジオカプセル16から送信された生体情報は、多数の体外ユニット側アンテナにより構成されたアンテナアレイ部1で受信され、それぞれの体外ユニット側アンテナはRF送受信モジュール6が接続されている。受信信号は、それぞれのRF送受信モジュール6で復調可能な周波数に変換された後、復調器7に送られ復調され、復調後、信号線を経てメモリ8に蓄積される。図1の実施の形態との大きな違いは、アンテナアレイ部1を構成する体外ユニット側アンテナ全てに、RF送受信モジュールが接続されている点である。このような構成を取る事により、アンテナアレイ部1を構成する体外ユニット側アンテナの内、所定の範囲内の体外ユニット側アンテナ2が受信する信号を利用して、最大比合成方式や等利得合成方式を用いたダイバーシティ受信が可能となる。また、OFDM変調方式を用いている場合には、各キャリア毎に受信品質が最良となる所定範囲内の体外ユニット側アンテナ2を選択することが可能となる。このように、図1に示した体外ユニット以上の優れた通信品質の実現が可能となる。また、最大比合成方式や等利得合成方式に用いるアンテナ本数を通信品質の優れた所定の範囲内の体外ユニット側アンテナ2に絞ることができる、ダイバーシティ受信時の合成処理の簡易化を図ることが可能となる。更に、所定の範囲内の体外ユニット側アンテナ2の受信信号の復調後の情報(例えば、BER特性等)を用いて、最良な受信状態にある体外ユニット側アンテナ2を選択することができるため、アンテナの選択精度を向上させることができるというメリットも有る。
【0017】
ラジオカプセル16を制御するための信号を体外ユニット17から送信したい場合には、送信信号発生器9がその時点における所定の範囲内の体外ユニット側アンテナ2を特定するための情報を復調器7から入手した後、送信信号発生器9から当該所定の範囲内の体外ユニット側アンテナ2に接続されているRF送受信モジュール6へ制御信号を送信し、当該RF送受信モジュール6が接続されている体外ユニット側アンテナ2を介してラジオアンテナへ制御信号が送信される。これにより、ラジオカプセルの電源ON/OFFや生体情報取得間隔の変更等、高度なラジオカプセルの制御が可能となる。
【0018】
尚、図2における実施の形態において、アンテナアレイ部1、RF送受信モジュール6、復調器7、送信信号発生器9を第1のユニットとし、メモリ8、バッテリー10を第2のユニットとすることで、図1の体外ユニットの実施の形態同様に、衣服又はコルセットに装着される第1のユニット5と腰のベルトに装着される第2のユニット11の間を1本の信号線で結ぶ事が可能となり、体外ユニット17の装着間の向上を図ることが可能となる事は言うまでも無い。
【0019】
又、図2の実施の形態において、体外ユニット側アンテナ2の直下に増幅器を設けて、NF特性の向上を図っても良い。
【0020】
図3及び図4に体外ユニットの人体装着時の一例を示す。図3は、シャツ18の表側又は内側へ第1のユニット5を設置した場合、図4はコルセット21の表側又は内側へ第1のユニット5を設置した場合をそれぞれ示す。第1のユニット5の設置される位置は、人体に対して腹側でも背中側でも良いが、tanδの大きい筋肉の比較的少ない腹側に設置したほうが、ラジオカプセルと体外ユニット間の伝搬損を低減する事ができる。また、シャツ18又はコルセット21を着る人の体型に合わせて第1のユニット5の設置位置を調整できるように、付け外しが容易となるようにマジックテープ(登録商標)等で第1のユニット5をシャツ18又はコルセット21へ設置できるようにしたほうがよい。
【0021】
第1のユニット5は同軸ケーブル19を介して、ベルト20により腰に設置された第2のユニット11へ接続される。本発明においては、図3及び図4からも分かるように、同軸ケーブル19の本数が1本のみであるので、体外ユニット17の人体装着時の装着間を向上させることが可能となる。
【0022】
尚、第2のユニット11をベルト20により腰に設置することに抵抗を感じる場合には、第2のユニット11をショルダーバッグ内に設置しても良いし、ズボンのポケットに設置しても問題無い。
【0023】
図3、図4からも分かるように、アンテナアレイ部を含む第1のユニット5は人体に密着して設置されるため、人体を考慮したアンテナを用いる必要がある。人体は比較的大きなtanδを有した誘電体で模擬され、磁性体では模擬されないことから、誘電体の大きなtanδにより減衰してしまう電界成分の磁界成分に対する比率がより小さい磁流型アンテナを用いるほうがよい。磁流型アンテナとしては、ループアンテナ、μストリップアンテナ、板状逆Fアンテナ等が挙げられる。
【0024】
又、シャツ18及びコルセット21を導電性繊維を用いて作製し、第1のユニット5をシャツ18及びコルセット21の内側へ設置することで、ラジオカプセルと第1のユニット5の間の伝搬損低減を図ることができると共に、外部からのノイズに対する耐性を向上させることができる。
【0025】
尚、第1のユニット5を装着する媒体にシャツ18を選択した場合には、体外ユニット5を長期間装着した時の人体装着感が優れており、第1のユニット5を装着する媒体にコルセット21を選択した場合には、体外ユニット側アンテナと人体との距離が変動する事が無くなり、体外ユニット側アンテナ特性が安定し、ラジオカプセルと体外ユニット間の通信品質の変動を防止する事が可能となる。又、第1のユニット5を人体近傍に設置する方法としては、図3、図4に示した方法以外に、第1のユニット5をサスペンダにより肩から直接吊るす方法(シャツ、コルセット等の衣服が不要というメリットが有る)や、人体に直接張付ける方法(人体設置のための治具が不要というメリットが有る)が考えられる。
【0026】
図5に第1のユニット5の具体的な設置方法の一例を示す。第1のユニット取付け治具23に設けられた複数のポケット22に、複数の体外ユニット側アンテナ2及びこれに同軸ケーブル19で接続されるアンテナ切り替えモジュール4をそれぞれ挿入し、第1のユニット取付け治具23を図3又は図4の第1のユニット5の図示した位置に設置する構成となっている。このように、第1のユニットが取り付けられる第1のユニット取付け治具23とシャツ又はコルセットを別構成とする事で、シャツ及びコルセットの洗濯時の準備や測定開始時の準備の負荷を軽減する事が可能となる。
【0027】
図6(a)、(b)、(c)に体外ユニット側アンテナを第1のユニット取付け治具23への具体的な取付け方法の一例を示す。図6(a)は第1のユニット取付け治具23にポケット22を設け、そのポケット22に体外ユニット側アンテナ2を挿入する様子を示したものである。ポケット22に挿入固定するような方法を採用し、体外ユニット側アンテナ2や同軸ケーブル19を随時取り外す事ができるので、第1のユニット取付け治具23を容易に洗濯することが可能となる。
【0028】
ポケット22に体外ユニット側アンテナ2が配置されている状態におけるポケット22の断面図を図6(b)に示す。体外ユニット側アンテナ2は詳細に記載されていないが、磁流型アンテナを樹脂ケースでカバーしたものである。装着感を向上させるため、体外ユニット側アンテナ2に接するポケット22には緩衝材24が設けられている。また、体外ユニット側アンテナ2がポケット22の内部で移動しないように、ポケット22のふたはマジックテープ(登録商標)25で閉じられている。体外ユニット側アンテナ2から伸びる同軸ケーブル19は、第1のユニット取付け治具23に設けられた貫通穴26を通して人体に対して外側に引き回される。その様子を図6(c)に示す。図6(c)は人体に対して外側から第1のユニット取付け治具23を外観した図である。貫通穴26から引き出された同軸ケーブル19は、同軸ケーブル留め治具27で第1のユニット取付け治具23の表面に固定されながら、アンテナ切り替えモジュール4まで引き回され、接続される。同軸ケーブル19を第1のユニット取付け治具23の人体側表面に引き回すと、体外ユニットの装着感が損なわれる可能性があるためである。
【0029】
図6(a)〜図6(c)においては、第1のユニット取付け治具23の人体側にポケット22を設け、アンテナ13を配置したが、人体に対して第1のユニット取付け治具23の外側表面にポケット22を設けても問題ない。こうする事により、体外ユニットを装着した時の人体装着感が向上できる。また、体外ユニット側アンテナ2の第1のユニット取付け治具23への取付け方法は、ポケット22を設けて挿入する方法以外に、マジックテープ(登録商標)等で直接張付けても良い。
【0030】
尚、図6(a)、(b)、(c)においては、第1のユニット取付け治具23に体外ユニット側アンテナ2を設置する事例を示したが、体外ユニット側アンテナ2をシャツやコルセットに直接設けられたポケットに挿入する事で設置しても良い。このような構成を取る事により、第1のユニット取付け治具23が不要となり、コスト削減を図ることができる。
【0031】
図7に、図1に示した体外ユニットのより具体的な構成図の一例を示す。図7において、図1に示した体外ユニットと比べてより詳述した部分は、アンテナ切り替えモジュール4と、第1のユニット5への電力供給及びアンテナ切り替え期間開始信号を供給するために第2のユニット11内に設けられた電位制御器32及びその周辺回路である。
【0032】
図7に示したように、アンテナ切り替えモジュール4は、アンテナ切り替えスイッチ29、カプラ30、電源取出し回路31、比較器28により構成されている。アンテナ切り替えスイッチ29は、比較器28から供給されるアンテナ切り替え位置に関する制御信号を基にアンテナアレイ部1を構成する体外ユニット側アンテナ2を切り替える。カプラ30は、体外ユニット側アンテナ2が受信する信号の一部を取出し、比較器28へ送る。電源取出し回路31は、第2のユニット11から信号線33を経由して供給される電源電圧を取出し、比較器28やアンテナ切り替えスイッチ29や増幅器3へ電源を供給する。比較器28は、アンテナ切り替えスイッチ29へ制御信号を送信してスイッチを順番に切り替える事で、所定範囲内の体外ユニット側アンテナ2の受信する信号をカプラ30を経由してモニタリングし、受信信号の状態が最良であった体外ユニット側アンテナ2がどれであるか比較特定し、当該アンテナにアンテナ切り替えスイッチ29が切り替わるように制御信号をアンテナ切り替えスイッチ29へ送信する。比較器28が行う一連のモニタリング作業は、電位制御器32が送信するアンテナ切り替え期間開始信号を受けて後、開始される。このアンテナ切り替え期間開始信号は、第1のユニット5の電源として第2のユニット11から供給される電源電圧の電圧値を変動させる事で、比較器28へ知らされる。
【0033】
図8に、電位制御器32から供給される電圧の様子を示す。図8に示された例では、本発明のラジオカプセル送受信システムは、アンテナ切り替え期間及び生体情報取得期間の2つの期間を繰り返す事により、生体情報の取得がなされている事が分かる。ここで、アンテナ切り替え期間の開始は、電位制御器32の電位がV1からV2へ変化したときで表され、比較器28ではこの変化を検波する事によりアンテナ切り替え期間の開始のタイミングを知る事ができる。ここでは、アンテナ切り替え期間の開始はV1からV2への電位の立ち上がりで表したが、V2からV1への立ち下がりで表しても良い事は言うまでも無い。また、ここでは2つの期間の繰り返しで生体情報の取得を行ったが、ラジオカプセルの制御信号を体外ユニットから送信する期間をアンテナ切り替え期間と生体情報取得期間の間に設けても良い。尚、電位V1は、後ほど説明する電源取出し回路31を構成するレギュレータの動作電位以上の電位に設定されている事とする。このように、電源電圧にアンテナ切り替え期間開始信号を乗重することにより、第1のユニット5と第2のユニット11の間を1本の信号線で結ぶ事が可能となり、体外ユニットの人体装着感を向上させることができる。
【0034】
尚、特許請求の範囲に記載されている「モニタリング作業の実施間隔」とは、アンテナ切り替え期間と生体情報取得期間を足し合わせた時間間隔を言う。
【0035】
又、特許請求の範囲に記載されている「モニタリング作業の実施間隔の最小値」とは、所定範囲内の体外ユニット側アンテナの受信信号の検波に最低限必要な時間+当該検波結果より最適な体外ユニット側アンテナを選択するために最低限必要な時間+生体情報を受信するのに最低限必要な時間で表される。
【0036】
電位制御器32が行う電位制御は、復調器7から電位切り替えタイミングを把握するための制御信号をもらうことで実施される。
【0037】
図9に、図7中の電源取出し回路31の具体的回路構成を示す。第2のユニットから供給されたアンテナ切り替え期間開始信号が乗重された電源電圧は、コンデンサ36によりそのままの電位でカプラ側へ伝えられる事が阻止される。このアンテナ切り替え期間開始信号が乗重された電源電圧は、第1のコイル34を介して比較器へ供給され、アンテナ切り替え開始期間を判断するために利用される。また、第1のコイル34を介してアンテナ切り替え期間開始信号が乗重された電源電圧はレギュレータ37へも供給され、比較器やアンテナ切り替えスイッチや増幅器の動作電圧へ電圧降下される。レギュレータにより作り出された電圧は、比較器・アンテナ切り替えスイッチへ直接供給されると共に、増幅器へは、第2のコイル35を介して供給される。第1のコイル34及び第2のコイル35はレギュレータ37側へRF信号が漏れ出させないことを目的に挿入されている。
【0038】
図10に、図7の増幅器3の具体的構成を示す。アンテナ切り替えスイッチを介して供給される電源電圧は、第3のコイル38を介してローノイズアンプ39へ供給される。ローノイズアンプ39への電源電圧の供給は、アンテナ切り替えスイッチがONとなっている経路のローノイズアンプにのみ為されるため、それ以外のローノイズアンプへの電力供給を防止する事ができる事から消費電力の低減を図ることができる。ローノイズアンプ39と体外ユニット側アンテナの間にはフィルタ40が挿入されており、ラジオカプセルから体外ユニットへ送信される無線信号の周波数以外の信号を除去する事で、これらの周波数の信号によりローノイズアンプ39が歪む事を防止する事ができる。尚、ラジオカプセルから体外ユニットへ送信される無線信号の周波数以外の信号が殆ど無視できる場合には、フィルタ40を削除し、NF特性の向上を図ることができる。
【0039】
図7の体外ユニットの場合、比較器28をアンテナ切り替えモジュール4の中に設置した構成を示した。このような構成を取る事により、アンテナ切り替えスイッチの制御を第1のユニット5の中で行う事ができ、第2のユニット11から第1のユニット5へ送られる制御信号の種類を減らす事ができる。
【0040】
図11に示したのは、体外ユニット17の他の実施の形態である。図11に示した体外ユニット17の場合、比較器28が第2のユニット11の中に設置されている点が、図7に示した体外ユニット17と大きく異なる点である。比較器28は、各々の体外ユニット側アンテナ2について予め定められた所定範囲内の体外ユニット側アンテナ2の受信信号のモニタリングをした後、受信状態が最良となる体外ユニット側アンテナ2を選択し、アンテナ切り替えスイッチを当該体外ユニット側アンテナに切り替える命令を電位制御器32に送信させる必要がある。このため、比較器28は、各々の体外ユニット側アンテナ2について予め定められた所定範囲内の体外ユニット側アンテナ2についての情報やどの体外ユニット側アンテナ2の受信信号が最良か比較するためのプログラム等が記録されるメモリと、当該プログラムを処理するためのCPUとを少なくとも有する形となる。又、図7の体外ユニット17のように、比較器28が復調器7が配置されていない第1のユニット5に配置されてしまうと、受信信号を検波するための検波回路を比較器が有する必要も出てくる。このように、比較器28は比較的大きな回路規模となることが予想されるため、図11のように第2のユニット11に配置する事で、第1のユニット5の小型・軽量化を図ることが可能となり、体外ユニット17の装着感向上を図ることができる。また、図11のように第2のユニット11に比較器28を配置すると、復調器7から復調後の受信信号に関する情報を入手できるため、比較器28に受信信号を検波するための検波器を設ける必要も無く、また、復調後の精度の高い情報が使用できることから、体外ユニット側アンテナ2の選択精度が向上する。
【0041】
比較器28で最良の受信信号が得られる体外ユニット側アンテナ2が判定された後、電位制御器32において、当該体外ユニット側アンテナへアンテナ切り替えスイッチ29が切り替わるための制御信号が生成される。生成された制御信号は、第2のユニット11から第1のユニット5へ供給される電源電圧に乗重されて、アンテナ切り替えモジュール4内に設置された電位判定器41に送られる。このアンテナ切り替えスイッチ29を切り替えるための制御信号の状態を図12に示す。図12に示した一例のように、アンテナ切り替えスイッチ29の制御は、予め定められた数ステップの電位レベルに、それぞれスイッチ番号を割り当てる事で行われる。尚、電位V1は、レギュレータ37が動作するために最低必要な電位以上の電位となっている。
【0042】
電位判定器41は、上記制御信号を読み取り、アンテナ切り替えスイッチ29へスイッチを最適位置へ切り替えるための信号を送信する事を目的としている。具体的には、オペアンプ等を用いた単純なロジック回路で構成される。このため、電位判定器41が第1のユニット5の小型・軽量化を阻害する事は無い。
【0043】
図13を用いて、特許請求の範囲に記載されている「所定の範囲内に配置されているアンテナ」について詳説する。図13は、被験者の腹部に設置されたアンテナアレイ部1を構成する多数の体外ユニット側アンテナ2の概略図である(説明しやすいようにアンテナに番号を付けている)。
【0044】
体内に留置されているラジオカプセルが図13中のアンテナ(7)の真下に存在している場合、ラジオカプセルからの無線信号の受信電力が最大となる確率が最も高いのはアンテナ(7)である。これは、電磁波の電力は距離に比例して減衰していくため、ラジオカプセルからの距離が最短となるアンテナ(7)で受信した場合が、最も電磁波の距離減衰が小さくなるためである、特に、ラジオカプセル送受信システムには、300MHz〜500MHz程度の周波数を用いる場合が多く、これらの周波数帯での波長:60cm〜1mと、実際の通信距離(ラジオカプセル側アンテナ〜体外ユニット側アンテナ):10cm以内を考慮すると、ラジオカプセル側アンテナと体外ユニット側アンテナは近傍界における通信を行っていると考えた方が良い。このような近傍界領域においては、電界・磁界は、距離の3乗又は2乗で減衰するため、アンテナ間距離による受信電力値変化はより感度の高いものとなることが予想される。つまり、ラジオカプセルの位置は、各アンテナが受信する電力値を比較する事でおおよそ把握する事ができる。
【0045】
また、ラジオカプセルは体内をゆっくりと移動するため、例えば、ある時間において、アンテナ(7)の直下に存在したラジオカプセルが、次のモニタリング時期にアンテナ(13)
の直下へ移動すると言う事は考えにくい。つまり、ある時間におけるラジオカプセルの位置をおおよそ把握しておけば、モニタリング作業時に受信信号を検波する必要があるアンテナの本数をラジオカプセルが存在する位置近傍のアンテナのみに絞る事が可能となる。例えば、前回のモニタリング作業において、アンテナ(7)の受信電力が最大であった場合には、ラジオカプセルがアンテナ(7)の周辺に存在していたと仮定し、次のモニタリング作業時に使用するアンテナを、例えば、アンテナ(7)、アンテナ(3)、アンテナ(6)、アンテナ(8)、アンテナ(11)に絞る事ができる(これを特許請求の範囲においては「所定の範囲内に配置されているアンテナ」と表現している)。これにより、モニタリング作業に必要となる時間を短縮する事が可能となると共に、モニタリング作業に必要であった電力を低減する事が可能となる。また、この場合に、モニタリング作業をアンテナ(7)から始めれば、前回のモニタリング作業後、アンテナ切り替えモジュールにおいてアンテナ(7)が選択されているので、アンテナ切り替え時間を短縮する事が可能となる。更に、前回のモニタリング作業後、アンテナ(7)でラジオカプセルからの生体情報が取得されるが、この生体情報の取得と同時に、次のモニタリング作業において受信予定であった最良の受信状態のアンテナを選択するために必要な情報を取得しておけば、次のモニタリング作業におけるアンテナ(7)の信号受信時間を短縮できる。これにより、モニタリング時間の短縮とモニタリング作業で必要であった電力の低減を図ることが可能となる。
【0046】
特許請求の範囲に記載された「所定の範囲内に配置されているアンテナ」である前回のモニタリング作業で受信電力が最大となったアンテナ及びそれに近接するアンテナは、予め各アンテナ毎に定められ、比較器のメモリに登録されている。例えば、図13のアンテナ(1)の所定の範囲内に配置されたアンテナは、アンテナ(1)、アンテナ(2)、アンテナ(5)
であり、アンテナ(2)の所定の範囲内に配置されたアンテナは、アンテナ(1)、アンテナ(2)、アンテナ(3)、アンテナ(6)であるというように、アンテナアレイ部を構成する体外ユニット側アンテナすべてについて、それぞれ予め定められている。
【0047】
この「所定の範囲内に配置されたアンテナ」は、基本的には前回のモニタリング作業時に受信電力が最大であった体外ユニット側アンテナとそのアンテナに近接するアンテナが選ばれるが、近接するアンテナを選ぶ手順の概要を図14を用いて説明する。図14(a)はアンテナアレイ部を構成する一部の体外ユニット側アンテナの位置を○で表したものである(説明しやすいように各アンテナには番号を付けてある)。図14(b)において、アンテナ(4)に近接するアンテナを決定する手順を示す。
【0048】
最初に、アンテナ(4)を中心に、領域を90度ずつ均等に分割する2本の直線を引く。この直線を引く角度は任意であり、当該直線上にアンテナが存在しないように引いてあれば問題無い。次に、4つに分割された各領域に存在するアンテナにおいて、アンテナ(4)
から最も近い距離に位置するアンテナを選択する(図14(b)中では灰色の○で示したアンテナが当該アンテナに該当する)。つまり、図14(b)のアンテナ(4)に近接するアンテナはアンテナ(1)、アンテナ(3)、アンテナ(5)、アンテナ(7)と定義できた事になる。よって、アンテナ(4)について「所定の範囲内に配置されているアンテナ」は、アンテナ(4)、アンテナ(1)、アンテナ(3)、アンテナ(5)、アンテナ(7)となり、予め比較器のメモリに当該内容が登録される事となる。図14(b)においては、領域を4つに分割して近接するアンテナを定義したが、精度を高める意味で、領域を更に細かく分割しても良い。図14(c)においては、領域を6つに分割した場合を示す。領域の分割数は任意であるが、2〜8くらいが適当である。
【0049】
尚、モニタリング作業で選択されたアンテナの履歴から、次に選択されるアンテナが推測される場合には、図14(a)〜(c)に示した方法に則ることなく「所定の範囲内に配置されているアンテナ」を決定しても良い。例えば、ラジオカプセルが胃内に存在している時から生体情報の受信をはじめた場合には、胃以降の内臓経路はある程度予想されるため、ラジオカプセルが胃の位置に存在した時に使用された体外ユニット側アンテナが特定されれば、又、それ以降に選択された体外ユニット側アンテナの履歴を用いれば、「所定の範囲内に配置されているアンテナ」を特定する事が可能となる。
【0050】
この場合には、生体情報の取得において選択された体外ユニット側アンテナの履歴を参照しながら、比較器のメモリに予め登録されている「所定の範囲内に配置されているアンテナ」の本数の絞り込みを行う事となる。これにより、モニタリング作業に利用される体外ユニット側アンテナの本数が更に絞られ、モニタリング作業の更なる効率化を図ることができる。
【0051】
尚、これまでラジオカプセルの位置を体外ユニット側アンテナの受信電力で推定する旨を述べてきたが、体外ユニット側アンテナの受信信号を復調した後の情報を基に推定しても良い。例えば、BER特性等が挙げられる。
【0052】
また、図2の体外ユニットにおいては、所定の範囲内に配置された体外ユニット側アンテナの複数の受信信号を用いて、最大比合成等のダイバーシティ受信を行うことを説明したが、この場合においても、まずは、受信電力等からラジオカプセルに近接する体外ユニット側アンテナを決定した後、所定の範囲内に配置された体外ユニット側アンテナを特定することとなる。こうすることで、最もS/Nが大きい確率の高い複数のアンテナを選択することができる。
【0053】
ちなみに、ラジオカプセルからの生体情報を受信する初回は、ラジオカプセルの位置が特定されていないため、体外ユニット側アンテナすべてをモニタリングする必要がある。但し、人体への体外ユニットの取付け位置から、ラジオカプセルの位置がある程度推定できる場合には、モニタリングに使用するアンテナを絞る事もできると考える。例えば、人がラジオカプセルを飲み込んだ後、数秒後には胃に達する事が分かっているため、ラジオカプセルを飲み込んで数秒後から生体情報の取得を開始する場合には、体外ユニットの取付け位置から胃の上部周辺に配置される体外ユニット側アンテナのみをモニタリング作業に使用すれば良い。
【0054】
図15に、体外ユニットのモニタリング作業と生体情報の取得についてのフローチャートの一例を示す。図15のフローチャートにおいて、「受信信号が最良となるアンテナ」とは、例えば、受信電力が最大となるアンテナやBERが最良となるアンテナを指している。
【0055】
図16に示したフローチャートは、モニタリング作業の実施間隔を可変にできるものである。人体内を移動するラジオカプセルの移動速度は、常に一定ではなく、通過部位によっては、その移動速度が極めて小さいこともある。このような場合には、同様の生体情報が連続して取得されてしまうため、モニタリング作業の実施間隔を長くして、生体情報の取得頻度を下げてやれば、ラジオカプセル側の生体情報の送信回数を低減する事ができ、消費電力を抑えることが可能となる。また、体外ユニットについても、モニタリング作業の回数が減るため、消費電力の低減が図れると共に、変化の少ない生体情報のデータ数を圧縮できる事から、測定後の生体情報データの整理が楽になる。
【0056】
人体内でのラジオカプセルの移動速度は、前回モニタリング作業時に取得された受信信号と今回のモニタリング作業時に取得された受信信号の変動幅により判断される。変動幅が第1の変動幅より小さい場合には、ラジオカプセルの移動速度が極めて小さいと判断し、モニタリング作業の実施間隔を長くする。例えば、それまでのモニタリング作業の実施間隔50msだったとすると、第1の閾値より変動幅が大きいと判定されるたびに10msずつモニタリング作業の実施間隔を長くしていくといったものである。逆に、第2の閾値より変動幅が大きい場合には、ラジオカプセルの移動速度が大きいと判定され、モニタリング作業の実施間隔が短く設定しなおされ、短い時間間隔で生体情報が取得される事となる。測定後の生体情報の解析に使用するため、このモニタリング作業の実施間隔を生体情報と同時にメモリに記録しても良い。
【0057】
前回モニタリング作業時に取得された受信信号と今回のモニタリング作業時に取得された受信信号の変動幅は、例えば、前回のモニタリング作業時の所定の範囲内に配置された複数の体外ユニット側アンテナの受信電力平均値と今回のモニタリング作業時の所定の範囲内に配置された複数の体外ユニット側アンテナの受信電力平均値の差により導出することができる。このような方法で変動幅を導出した場合には、モニタリング作業で使用された体外ユニット側アンテナ毎に受信電力値を記憶しておく必要が無いため、メモリサイズが小さくでき、また、極めて短い演算処理時間で変動幅を算出する事ができる。
【0058】
もしも、ラジオカプセルの移動速度を更に精度良く把握したい場合には、特許請求の範囲の請求項20に記載した演算を行うと良い。具体的に変動幅を導出する式を(数1)に示す。
【0059】
【数1】

【0060】
1からn番までの所定の範囲内のアンテナにおいて、n番目のアンテナの前回のモニタリング作業時の受信電力P1n、今回のモニタリング作業時の受信電力P2nと定義し、(数1)を表現している。
【0061】
但し、(数1)のf(P1n,P2n)は、(P1n−P2n)又は(P2n−P1n)を係数として含まないP1n又は/及びP2nを用いた式で表される。もしも、f(P1n,P2n)が(P1n−P2n)であったとすると、(数1)は1又は−1で定数となり、所望の変動幅を得る事ができなくなるためである。
【0062】
f(P1n,P2n)の一例としては、(P1n+P2n)/2、P1n*P2n、P1n等、上記条件さえ満足すれば、P1nとP2nを用いた式であれば、どんなものでもよい。
【0063】
(数1)を用いて変動幅を導出すれば、モニタリング作業に用いた各アンテナ毎の受信信号の変動幅を基に算出されるため、ラジオカプセルの移動速度に精度良く比例した変動幅を得る事が可能となる。
【0064】
尚、上記においては、前回と今回のモニタリング作業の結果より変動幅を導出したが、更に、全前回と前回のモニタリング作業の結果より導出された変動幅をも参考にして、ラジオカプセルの移動速度の推定精度を上げても良い。例えば、全前回と前回のモニタリング作業の結果から導出された変動幅より前回と今回のモニタリング作業の結果から導出された変動幅の方が小さい場合、ラジオカプセルの移動速度が徐々に遅くなってきていると判断でき、次のモニタリング間隔を広げる対応を取る事もできる。
【0065】
図17のフローチャートは、図16の変動幅の計算を簡易にするための工夫を付加したものである。具体的には、前回のモニタリング作業の結果選択されたアンテナと今回のモニタリング作業の結果選択されたアンテナが同一の場合には、ラジオカプセルの移動速度が遅いことが想定される。よって、このような場合には、変動幅の算出に使用する受信信号を、前回と今回のモニタリング作業の結果選択されたアンテナのみに限定し、変動幅の計算時間を短縮することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明にかかるラジオカプセル送受信ユニットは、ラジオカプセルからの生体情報を受信するためのアンテナを決定する上で、モニタリング作業の対象となるアンテナが所定の範囲内のアンテナに絞られているため、モニタリング作業時間の短縮を図ることができ、短い時間間隔での生体情報の取得が可能となる。又、モニタリング作業の効率化が図れることから、モニタリング作業に必要であった消費電力の低減が図れ、体外ユニットのバッテリー容量を減らす事ができ、結果、動作時間の長期化、体外ユニットの軽量化、体外ユニットの装着感向上を図ることができる。
【0067】
更に、体外ユニットを第1のユニット及び第2のユニットに分割することで、人体周辺に長く引き回される信号線の本数を減らす事ができるため、体外ユニットの人体装着感の向上を図ることができる。このようなことから当該発明は、小型のラジオカプセルを人が飲む事で人体内部の生体情報を容易に取得できるカプセル内視鏡等の医療機器に用いるのに最適である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】体外ユニットの第1の構成図
【図2】体外ユニットの第2の構成図
【図3】シャツに体外ユニットを装着した図
【図4】コルセットに体外ユニットを装着した図
【図5】第1のユニットに体外ユニット側アンテナとアンテナ切り替えモジュールを配置した上面図
【図6】(a)体外ユニット側アンテナ設置方法を示す上面斜視図、(b)体外ユニット側アンテナ設置方法を示す断面図、(c)体外ユニット側アンテナ設置方法を示す背面斜視図
【図7】体外ユニットの第1のブロック図
【図8】電位制御器から送信される制御信号の電位を表す図
【図9】電源取出し回路の詳細図
【図10】増幅器の詳細ブロック図
【図11】体外ユニットの第2のブロック図
【図12】電位制御器から送信される制御信号の電位を表す図
【図13】アンテナアレイ部を構成する多数の体外ユニット側アンテナの概念図
【図14】(a)、(b)、(c)所定の範囲内に配置されたアンテナを特定するための方法を説明するための図
【図15】体外ユニットの第1のフローチャート
【図16】体外ユニットの第2のフローチャート
【図17】体外ユニットの第3のフローチャート
【図18】従来のラジオカプセル送受信システムを示す図
【図19】従来のラジオカプセル送受信システムを示す図
【符号の説明】
【0069】
1 アンテナアレイ部
2 体外ユニット側アンテナ
3 増幅器
4 アンテナ切り替えモジュール
5 第1のユニット
6 RF送受信モジュール
7 復調器
8 メモリ
9 送信信号発生器
10 バッテリー
11 第2のユニット
12 ラジオカプセル側アンテナ
13 送受信器
14 変復調器
15 センサ
16 ラジオカプセル
17 体外ユニット
19 同軸ケーブル
28 比較器
29 アンテナ切り替えスイッチ
30 カプラ
31 電源取出し回路
32 電位制御器
33 信号線
37 レギュレータ
39 ローノイズアンプ
40 フィルタ
41 電位判定器
100 体外ユニット
101 アンテナ
102 受信モジュール
103 メモリ
104 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を検出するセンサと、このセンサによって検出された前記生体情報を送信する送信器を有するラジオカプセルと、
複数のアンテナ、及び前記送信部からの信号を前記アンテナを介して任意の時間間隔で受信する受信器を有する体外ユニットとを備え、
前記体外ユニットは、前記複数のアンテナのうち、前回使用したアンテナから所定の範囲内に配置されているアンテナを次に使用するアンテナとして決定するラジオカプセル送受信システム。
【請求項2】
前記複数のアンテナには増幅器が接続されており、
前記体外ユニットによって次に使用するアンテナとして決定されたアンテナに接続されている増幅器の電源はONになり、それ以外のアンテナの増幅器の電源はOFFになる請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項3】
前記複数のアンテナのうち、1本のアンテナのみをラジオカプセルからの生体情報の受信に使用する請求項1または請求項2に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項4】
前回使用したアンテナから所定の範囲内に配置されているアンテナの受信信号を順番に検波し、それぞれの前記受信信号を比較するモニタリング作業を行う比較器を有し、前記体外ユニットは、前記比較器の比較結果に基づき、次に使用するアンテナを決定する請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項5】
前記体外ユニットは、前記アンテナにより受信する信号の受信電力値を検波し、前記受信電力値に基づいて、次に使用するアンテナを決定する請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項6】
前回のモニタリング作業の結果、選択されたアンテナを、今回のモニタリング作業の際に、最初に検波する請求項4に記載のラジオカプセル送受信ユニット。
【請求項7】
前記モニタリング作業の際に、前回使用されたアンテナを検波しない請求項4に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項8】
前記ラジオカプセルから送信される前記生体情報を前記体外ユニットにて最初に受信する時は、前記モニタリング作業の際に、前記アンテナのすべてについて検波が為される請求項4に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項9】
前記複数のアンテナの一部又は全部は磁流型アンテナにより構成されている請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項10】
前記体外ユニットは、前記複数のアンテナと前記受信器の間に接続されるアンテナ切り替えモジュールと前記複数のアンテナとを有する第1のユニットと、前記体外ユニットを構成する各部品に電力を供給するバッテリーと前記受信器とを有する第2のユニットとから構成され、
前記第1のユニットと前記第2のユニットとは、1本の信号線にて結ばれている請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項11】
前記第1のユニットは、衣服又はコルセットに取り付けられる請求項10に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項12】
前記複数のアンテナの受信信号を比較する比較器が前記第1のユニットの中に配置されると共に、前記第2のユニットが、アンテナの切り替えタイミングを知らせる信号を前記信号線に乗重して前記受信器から前記アンテナ切り替えモジュールに送信する請求項10に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項13】
前記比較器を前記第2のユニットの中に配置すると共に、どのアンテナに切り替えるかを知らせる信号を信号線に乗重して前記第2のユニットから前記アンテナ切り替えモジュールに送信する請求項10に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項14】
モニタリング作業時に受信信号の比較に利用される前記アンテナにおいて、前回のモニタリング作業時の受信電力値と今回のモニタリング作業時の受信電力値の変動幅を導出し、この変動幅が第1の閾値より小さい場合にはモニタリング作業の実施間隔を広げる請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項15】
モニタリング作業時に受信信号の比較に利用される前記アンテナにおいて、前回のモニタリング作業時の受信電力値と今回のモニタリング作業時の受信電力値の変動幅を導出し、この変動幅が第2の閾値より大きい場合にはモニタリング作業の実施間隔を狭める請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項16】
モニタリング作業の結果、選択されたアンテナが、前回のモニタリング作業の結果、選択されたアンテナと同一の場合に、今回と前回のモニタリング作業時における当該アンテナのそれぞれの受信電力値の変動幅を導出し、この変動幅が第3の閾値より小さい場合にはモニタリング作業の実施間隔を広げる請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項17】
モニタリング作業の結果、選択されたアンテナが、前回のモニタリング作業の結果、選択されたアンテナと同一の場合に、今回と前回のモニタリング作業時における当該アンテナのそれぞれの受信電力値の変動幅を導出し、この変動幅が第4の閾値より大きい場合にはモニタリング作業の実施間隔を狭める請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項18】
モニタリング作業の実施間隔の最小値が決められていることを特徴とする請求項15又は請求項17に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項19】
前記変動幅は、前回のモニタリング作業時の受信電力平均値と今回のモニタリング作業時の受信電力平均値の差により導出する請求項14又は請求項15に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項20】
前回のモニタリング作業時に使用され、且つ、今回のモニタリング作業時に使用された前記アンテナにおいて、当該アンテナの内、n番目のアンテナの前回のモニタリング作業時の受信電力P1n、今回のモニタリング作業時の受信電力P2nを用いて、前記変動幅が、
【数1】

で導出され、f(P1n,P2n)は(P1n−P2n)又は(P2n−P1n)を係数として含まないP1n又は/及びP2nを用いた式である請求項14又は請求項15に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項21】
2回前以前のモニタリング作業時の受信信号をも前記変動幅の導出に用いる請求項14から請求項17に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項22】
生体情報の受信のために選択された前記アンテナの履歴を基に、次回モニタリング作業時に使用するアンテナを限定する請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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