ラジオロジーにおける患者皮膚線量の改良された表示
本発明の分野は、診断及びインターベンショナルラジオロジーであり、本発明は、電離放射線を使用して放射線処置を実行するシステムにおいて使用し、前記放射線処置中に対象により皮膚の領域において受けられた放射線の線量を示す線量表示器であり、照射される皮膚の領域の範囲を表すゾーンが表示され、前記ゾーンに関連付けられた線量の値が表示される。前記線量の値は、前記処置中に照射された前記皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す。前記表示は、容易に迅速に理解され、前記システムのユーザが、前記患者により生じた皮膚線量を迅速に理解することを可能にする。前記ゾーンの使用は、直観的な表示を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電離放射線を使用して放射線処置を実行するシステムにおいて使用し、前記放射線処置の間に対象により皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表示する線量表示器(dose indicator)に関する。
【背景技術】
【0002】
電離放射線は、放射線学的及び外科的介入の間の介入器具のガイドのために、診断目的及び特別な環境下の両方で体の画像の取得のために医療分野で使用される。放射線画像は、現在、前記画像が記憶されるX線撮影機器と、前記画像が記憶されない蛍光透視機器の両方で実行される。
【0003】
インターベンショナルラジオロジー(IVR)は、通常は外科的な介入処置が進行中である間に、患者の診断的に関連した画像を形成するように撮像技術を使用する。この前に、同じ機器は、しばしば、完全な介入が保証されない場合に確かめる目的で前記患者の診断画像の系列を形成するのに使用される。これらの環境下で取得されるこのような診断画像は、通常は、X線染料(radiographic dye)及びガイドワイヤの使用を伴う。診断的取得及び介入取得の両方の間に取得された画像は、ガイドワイヤ又は介入機器及び前記処置で使用される外科器具の正確な位置決めを可能にする。IVR処置の圧倒的多数は、ユーザに対して迅速に表示されるリアルタイム画像を提供し、人間の組織からの外科機器の視覚的区別を可能にするのに十分なコントラストを含むことを保証される。一例は、動脈狭窄のバルーンカテーテル又はステント留置を実行しながらの蛍光透視法の使用である。
【0004】
画像コントラスト及び結果画像に必要とされる細部は、診断及び後の介入の両方に対して、しばしば、患者に高い線量を引き起こすのに十分なビームパラメータにおけるX線ビームの使用を必要とする。これは、部分的には、ビームのkVpと組み合わせて前記介入処置を完了するのに要する時間の長さのために起こる。他の因子も、当技術分野において既知であるように、前記患者により受けられた総線量に影響を与える。前記処置を受ける患者により吸収される放射線量に関する正確な情報をユーザに提供するためにIVRにおいて使用される機器の製造者により多くの努力が注ぎ込まれた。特に、前記処置を実行する外科医又は放射線科医は、前記介入の間に生じる患者線量を通知されることができる場合、患者線量を最小に保ちながら前記処置を成功裏に完了する方法に関する、より多くの情報に基づく決定をすることができる。
【0005】
X線及びガンマ放射線の両方の、生体組織を含む、物質における吸収は、実際には本質的に確率論的であり、これは、電離放射線に照射された生体組織に対する付随する確率論的損傷である。放射線の確率論的効果は、発生が放射線の吸収の統計的関数であり、放射線照射による癌の誘導、放射線発癌として既知のプロセスを含む。当技術分野において既知であるように、確率論的効果に関連した用語は、吸収線量、等価線量及び実効線量である。
【0006】
しかしながら、放射線の十分に高い線量率は、非確率論的組織損傷を引き起こすのに十分に高い率で組織により吸収されることができる。決定論的効果として既知である、この非確率論的損傷は、特定の閾値より上で起こり、一度前記閾値が超過されると前記効果の厳しさは、増加する線量とともに増加する。放射線疾患は、決定論的効果である。放射線医学的に重要なことは、放射線処置中の人体の表面に対する放射線の決定論的効果である。皮膚に対する決定論的効果は、2Gyにおいて起こる初期過渡紅斑(early transient erythema)、3Gyにおいて生じる一時脱毛(temporary epilation)、7Gyにおいて生じる永久脱毛、及び14Gyにおいて生じる乾性落屑(dry desquamation)を含む。引用された値は、近似的であることが知られている。当技術分野において既知であるように、決定論的効果に関する用語は、入射皮膚線量及び空気カーマである。
【0007】
文献、例えばMinimizing radiation-induced skin injury in interventional radiology procedures, Radiology 2002; 225; 329-336及びCalibration of Kodak EDR2 film for patient skin dose assessment in cardiac catheterization procedures, Morrel et al., Phys. Med. Biol. 2004; 49; 5559-5570の調査は、IVR処置中の患者線量の減少が、患者の健康全体に対して重要であり、前記患者線量の減少における重要なステップは、前記患者に対する線量に関する関連情報のユーザに対する提供及び表示であることを明らかにする。特に、放射線の決定論的効果としての皮膚損傷は、皮膚線量に関する情報が外科医に利用可能である場合に減少されることができる。
【0008】
シーメンスケアグラフシステムは、IVR処置中に患者に皮膚線量を表示するように設計された製品であり、複数の刊行物、例えばTechniques to estimate radiation dose to skin during fluoroscopically guided procedures, Balter et al., Skin Dose Measurements AAPM July 2002; Comparison of Four Techniques to Estimate Radiation Dose to Skin During Angiographic and Interventional Radiology Procedures, Fletcher et al. SCVIR, 2002, 391-397ページに記載されている。これは、照射された皮膚の各0.5cm2の断片により吸収された線量が表示される平らな2次元画像に広げられた患者の皮膚表面の領域を示すスクリーンディスプレイからなる。各断片は、最近接間隔に吸収された線量を表示するようにカラー符号化され、プロットされた線量間隔の範囲と、各々が描かれる色とを表示するキーが示される。シーメンスケアグラフは、現在、患者に線量を表示する最も正確な製品であると見なされる。しかしながら、線量の表示器として、迅速に理解するのが難しく、介入処置を実行するプロセスにおいてユーザにより理解するのは難しすぎる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、見る人により迅速に理解されることができる、ユーザに線量情報を提供する、患者に対する線量の表示器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これは、前記線量表示器が、照射される皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成され、前記線量の値が処置中に照射された皮膚の領域に受けられた放射線の線量を表す、本発明により達成される。
【0011】
前記表示される線量の値は、当技術分野において既知であるように、測定されるか又は計算されることができ、前記ゾーンにより表される皮膚の領域において受けられた線量の単純かつ容易に理解される表示を前記ユーザに提供する。
【0012】
前記線量表示器は、したがって、大幅に減少された量の情報を前記ユーザに示し、更に、即座に臨床的に認識可能である患者皮膚の表現画像と関連付けられるように前記情報を表示する。
【0013】
前記情報は、したがって、前記ユーザにより認識できるレベルに容易に吸収される。前記システムのユーザ、外科医又は放射線科医は、前記処置の画像に描かれた視覚的情報を同時に吸収しようとしながら前記患者に対する前記吸収された線量に関する提供された情報を吸収するために、非常に短い時間を持ち、実際に典型的には一瞬である。実際には線量の単一の値のみを示すことにより、前記ユーザは、情報過多にならずに目立った情報を提供される。示される線量を照射される領域を表すゾーンに関連付けることにより、前記ユーザは、表示される線量情報の関連性を即座に見て理解することができる。
【0014】
更に、前記ゾーンは、前記処置に対して前記システム内で適用される一般に使用される回転及びアンギュレーション(angulation)における前記IVR処置中に照射された前記患者の皮膚の共通の大きさの(commonly sized)領域として描かれることができる。このフィーチャは、前記ユーザが、即座に臨床的に関連し、認識可能であるように表示される情報を見ることを可能にし、更に、前記表示される情報の理解可能性を強化する。
【0015】
線量の値は、グラフィックで表示されることができる。
【0016】
本発明を使用して表示されることができる線量の特に有用な尺度は、線量の空気カーマ値である。
【0017】
放射線により照射される皮膚の領域を表す前記ゾーンのサイズは、典型的には行われる処置において照射される皮膚の領域を表す。少なくとも10cm×10cmである皮膚の領域を表すゾーンを使用することは、特に有用であり、介入処置により一般に照射される皮膚のサイズをカバーする。
【0018】
前記線量表示器は、いつ前記線量の値が閾値を通過するかを表示するように構成されることができる。一般に、これは、決定論的皮膚効果に対する閾値であり、前記処置の完了に臨床的に必要であるとしても、同じ皮膚領域に対する更なる照射が、特定の皮膚領域において決定論的皮膚効果を引き起こす可能性が高いという外科医に対する警告として機能する。
【0019】
本発明は、対象に対して電離放射線を使用する放射線処置を実行するシステムにも関し、前記システムは、対象に対して放射線処置を実行する撮像装置を有し、前記対象の皮膚の領域が放射線の線量に照射され、前記システムは、前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成された表示装置をも有し、前記線量の値が、前記処置中に照射された皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す。このようなシステムは、本発明による線量表示器を組み込み、したがってIVRにおいて使用するのに適しており、前記患者に対する前記線量に関して迅速に理解される情報を前記ユーザに提供するという利点を持つ。
【0020】
本発明は、本発明による線量表示器を有する放射線処置を実行するシステムに対するユーザインタフェースにも関する。このようなユーザインタフェースは、前記線量表示器が、電離放射線を使用する放射線装置を駆動及び動作するのに使用されるユーザインタフェースに適用されることを可能にする。更に、本発明は、本発明による線量表示器を有する放射線処置を実行するシステムに対するワークステーションにも関する。このようなワークステーションは、前記線量表示器が、電離放射線を使用する放射線装置を駆動及び動作するのに使用されるユーザインタフェースに適用されることを可能にする。
【0021】
前記システムは、前記介入処置からの画像を表示するのに使用される同じスクリーン上に前記線量表示器を表示するように構成されることができる。これは、前記外科医の処置をガイドするために前記画像を使用する前記外科医が、前記外科医の目を前記スクリーンから離さずに照射下の皮膚の領域における前記患者に対する線量を見て迅速に理解することができるという利点を持つ。
【0022】
本発明は、介入処置に適したX線撮影及び蛍光透視機器に対する応用に関して主に説明されたが、実際には、電離放射線を使用する如何なるX線撮影機器にも応用されることができる。これは、実際に、例えば標準的な胸部X線像を撮るのに使用されるX線ユニットに応用されることができる。本発明の能力は、迅速に容易に理解され、直観的な形で患者皮膚線量に関する情報を通信する能力にあり、したがって、ユーザ又は臨床医が、生じた患者皮膚線量を迅速に容易に理解することを望む環境下で患者照射に使用されるX線撮影機器に応用されることができる。
【0023】
本発明は、以下の図面を使用して更に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、IVRの実行に適した典型的なX線ユニット101を示す。前記ユニットは、X線源102及びX線検出器103と、患者の配置用の患者ベッドと、前記X線源及び対応して前記X線検出器の回転及びアンギュレーションを制御する制御ユニット105と、ユーザが前記線源の回転及びアンギュレーションを制御し、前記線源の動作を制御する命令を入力することができる入力点106と、前記ユーザが前記X線ユニットにより取得された画像を見ることができる表示装置107とからなる。
【0025】
典型的な実行において、前記患者は、ベッド104上に配置され、前記ユーザは、介入処置を実行しながら前記患者の画像を取得する。前記介入処置中の表示装置107上の前記画像の表示は、前記ユーザが、前記介入処置の進行を知覚することを可能にする。前記ユーザは、入力点106を使用して、前記X線源の動作を制御し、換言すると、オン及びオフを切替え、前記線源のKVp及びコリメータ・ジョウ(collimator jaws)のサイズを制御する。入力点106は、例えば前記患者の中心軸の周りの前記X線源の回転及び前記患者の矢状面に垂直な軸の周りの前記X線源のアンギュレーションである、前記X線源の位置を制御するのに使用されることもできる。当技術分野において既知であるように、機器の個別の製造者は、回転及びアンギュレーションの正確な定義が異なる。
【0026】
前記入力点は、制御ユニット105に対する情報の入力に適した如何なるデバイスであってもよく、したがって、例えば、ハンドセット、キーボード、足操作デバイスであってもよい。当技術分野において既知であるように、音声操作入力点も可能である。
【0027】
X線ユニット101は、典型的には、前記線源からの放射線照射の測定用の線量測定デバイス108を含む。患者皮膚線量の計算は、当技術分野において既知であり、例えば、典型的には、皮膚線量の最終的尺度に到達するために単一の又は一連の既知の又は仮定の線源から皮膚までの距離を組み込む更なる外挿を使用して、X線ビームがオンに切替えられている間に前記X線ビームにおける既知の点における放射線照射の測定によりなされることができる。これを達成する様々な方法が既知である。本発明の応用は、照射中に照射された皮膚の領域における前記患者により受けられた線量を表す線量の測定又は計算がなされることを必要とする。
【0028】
図2は、一般に使用されている線量表示器を組み込んだ従来技術のグラフィック表示を示す。表示201は、放射線ビームのエネルギの詳細202、前記患者に対する前記線源の幾何学的方向203、前記線源と前記患者との間の距離204、経過した照射時間205、空気カーマ206及び面積線量207を含む。
【0029】
図3は、ゾーンの表示302及び線量の値のグラフィック表示303を有する線量表示器301を示す。この線量表示器は、前記ユーザによりはっきりと理解されることができ、グラフィック表示303のバーにより示される空気カーマにおける生じた線量を表示し、この線量が吸収された前記患者の皮膚領域302をも表示する。
【0030】
図4は、本発明による可能なゾーン401ないし410のアレイを示す。この場合、これらは、心臓処置において一般に照射された患者の皮膚の領域を表すゾーンである。心臓医学処置の場合、心臓医又は放射線科医は、典型的には、3つの主冠動脈、回旋動脈、右冠動脈及び左冠動脈を見ることを望む。前記3つの冠動脈は、通常は、例えば'Coronary Arteriography, Nomenclature of the Arteries, Codification of Lesions', by the Working Group "Functional Evaluation and Angiography of the French Society of Cardiology", Coordinated by M.E. Bertrand, 1979において、当技術分野において既知であるように、一連の標準的な画像投影において見られることができる。前記ゾーンは、一般に使用された投影411ないし421を表し、30°の右前斜位投影(RAO30°)、アイテム420と、前後投影(AP)、アイテム416と、ここでLAO55と示される、55/60°の左前斜位投影(LAO55/60°)、アイテム413と、ここでLAO55Caud20として示される、20°の頭側アンギュレーション(cranial angulation)と組み合わせた55/60°の左前斜位投影、アイテム411と、左外側投影、アイテム414と、15°の尾側アンギュレーションと組み合わせた45°の左前斜位投影、アイテム412と、45°の右前斜位投影(RAO45°)、アイテム419とである。図示されない、10°の頭側アンギュレーションと組み合わせた120°の右前斜位投影も可能である。
【0031】
各病院又は医療機関は、一般に、しばしば個別のユーザの臨床的専門知識に基づく、好適な方向の特定の組を使用し、提示される特定の患者の形態の細部を使用する。当技術分野において既知であるように、これらは、X線撮影及び蛍光透視機器で使用される標準的な度のアンギュレーション及び回転を用いる標準的な投影であるが、しばしば、患者に基づいて小さな角度変更を必要とする。図示された前記ゾーンは、使用されることができる特定の臨床的方向の表示器である。このように、図4は、表示されることができ、各々の場合に問題の病院により使用される方向を描くのに使用されることができる10のゾーンを示す。
【0032】
20°のアンギュレーションを持つ30°の右前斜位、アイテム421と、20°のアンギュレーションを持つ30°の右前斜位、アイテム418と、15°の右前斜位、アイテム417と、20°のアンギュレーションを持つ55°の左前斜位、アイテム415も可能である。
【0033】
ゾーンの異なる組が、他の診断及び介入処置に対する本発明の応用に使用される。例えば、頭側応用に応用される場合、示される可能なゾーンは、正しい生体構造の画像を取得するX線機器の一般に使用される方向を描く。
【0034】
ゾーンの使用は、本発明によると、同じ標準化されたゾーンが、前記患者の実際の照射中に作成されることができる標準的な投影からの小さなずれにかかわらず表示されるという利点を更に持つ。これは、前記システムのユーザの視点から大幅に表示を単純化し、特定の患者に使用された実際のアンギュレーション及び回転の組み合わせにかかわらず前記患者に対する皮膚線量の理解を可能にする。
【0035】
図5は、IVRシステムのユーザに明確に迅速に効果的に前記線量の値を表示するのに特に効果的であることが分かった前記線量の値に対するグラフィック表示501の一実施例を示す。表示501は、所定の閾値まで増加的に生じる皮膚線量を示すように段階的に配列された一連のバー502を有する。前記所定の閾値は、通常は、2Gyであるが、照射下の皮膚の領域に対する事前に生じた存在する線量を持つ患者の場合に減少されることができ、理論的には、放射線耐性を持つことが知られた患者の場合には増大されることもできる。特定の照射が開始すると、照射下の前記領域に対する皮膚線量は、各バー502により表されるレベルまで増加するので、バー502が、表示501上に現れる。前記ユーザは、全てのバー502が前記表示の水平軸に沿って見えるようになるまで、相次いで現れる一連のバー502を見る。最後のバー503が見える場合、前記照射下の皮膚の領域は、閾値線量を受けている。図5は、前記照射の開始におけるt=0における前記表示を示し、次いで、t=0+Δt、t=0+2Δt、t=0+3Δt及びt=0+4Δtにおける前記表示を示す。ここで、前記表示の図の間の時間間隔Δtは、放射線のビームの照射率に依存する。
【0036】
図6は、本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれることができるかを示す。図6は、放射線ビームのエネルギの詳細602、患者に対する線源の幾何学的方向603、前記線源と前記患者との間の距離604、並びにこの場合には照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーン605及び当該ゾーンに関連付けられた線量の値606を有する表示601を示す。追加の、特に有利な実施例も示される。皮膚線量率が、数値609として前記表示上に示されるが、また、線量の値606と実質的に同じ形式のグラフィック表示608を使用して示される。前記皮膚線量率及び前記生じた皮膚線量をまとめることは、前記閾値が到達される前に残っている時間の予測を可能にし、この時間も表示されることができ607、前記ユーザに対して更に有用な情報を提供する。特定の動作設定に対する線量率を予測することも可能であり、前記閾値までの予測された時間は、これらの設定に対して示されることができ、表示されることができ、前記ユーザが、前記処置の残りの部分の特定の必要条件に対する最適な設定を選択することを可能にする。
【0037】
図7は、本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれることができ、所定の閾値の通過後に前記表示の変化を組み込むのかを示す。図7は、放射線ビームのエネルギの詳細702、患者に対する線源の幾何学的方向703、線源と患者との間の距離704、照射された皮膚の領域の範囲を示すゾーン705、及び所定の閾値が超過されたことを示す視覚的に変化する色で示される線量の値707を有する表示701を示す。これは、図6の606に示されるバーが最大値に到達した場合に起こる。この時点で、前記バーは等しく視覚的に変化する色706で示され、前記最大値に残り、したがって、前記皮膚の領域に対する前記閾値が到達されたことを前記ユーザに示す。
【0038】
代替的には、前記表示の形式は、前記バーが前記表示上に残らないが、例えば警告シンボルにより置き換えられる。他の実施例において、前記バーは、ゼロの値から再表示されるが、ここでは逆さまに表示される。これは、新しい第2の閾値まで線量を合計し続けながら、以前の表示とは異なることにより視覚的に警告するという利点を持つ。これは、前記ユーザが、徐々に増加する患者皮膚線量についての情報を受け続けることができるという利点を持つ。前記新しいバーは、依然として、視覚的に変化する色で表示されることができる。皮膚線量が増加する速度709も示されることができる。
【0039】
最終的に、本発明は、IVR機器の臨床的ユーザが、前記患者に対する線量を容易に直観的に理解できるように監視することを可能にし、したがって、前記患者に対する過剰照射及び付随する損傷のリスクを軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】IVRの実行に適した、したがって本発明の応用に適した典型的なX線ユニットを示す。
【図2】線量表示器を組み込んだ従来技術のグラフィック表示を示す。
【図3】好適なグラフィック表示の一実施例を示す。
【図4】本発明による可能なゾーンのアレイを示す。
【図5a】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5b】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5c】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5d】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5e】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図6】本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれることができるのかを示す。
【図7】本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれ、所定の閾値の通過後に表示の変更を組み込むことができるのかを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電離放射線を使用して放射線処置を実行するシステムにおいて使用し、前記放射線処置の間に対象により皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表示する線量表示器(dose indicator)に関する。
【背景技術】
【0002】
電離放射線は、放射線学的及び外科的介入の間の介入器具のガイドのために、診断目的及び特別な環境下の両方で体の画像の取得のために医療分野で使用される。放射線画像は、現在、前記画像が記憶されるX線撮影機器と、前記画像が記憶されない蛍光透視機器の両方で実行される。
【0003】
インターベンショナルラジオロジー(IVR)は、通常は外科的な介入処置が進行中である間に、患者の診断的に関連した画像を形成するように撮像技術を使用する。この前に、同じ機器は、しばしば、完全な介入が保証されない場合に確かめる目的で前記患者の診断画像の系列を形成するのに使用される。これらの環境下で取得されるこのような診断画像は、通常は、X線染料(radiographic dye)及びガイドワイヤの使用を伴う。診断的取得及び介入取得の両方の間に取得された画像は、ガイドワイヤ又は介入機器及び前記処置で使用される外科器具の正確な位置決めを可能にする。IVR処置の圧倒的多数は、ユーザに対して迅速に表示されるリアルタイム画像を提供し、人間の組織からの外科機器の視覚的区別を可能にするのに十分なコントラストを含むことを保証される。一例は、動脈狭窄のバルーンカテーテル又はステント留置を実行しながらの蛍光透視法の使用である。
【0004】
画像コントラスト及び結果画像に必要とされる細部は、診断及び後の介入の両方に対して、しばしば、患者に高い線量を引き起こすのに十分なビームパラメータにおけるX線ビームの使用を必要とする。これは、部分的には、ビームのkVpと組み合わせて前記介入処置を完了するのに要する時間の長さのために起こる。他の因子も、当技術分野において既知であるように、前記患者により受けられた総線量に影響を与える。前記処置を受ける患者により吸収される放射線量に関する正確な情報をユーザに提供するためにIVRにおいて使用される機器の製造者により多くの努力が注ぎ込まれた。特に、前記処置を実行する外科医又は放射線科医は、前記介入の間に生じる患者線量を通知されることができる場合、患者線量を最小に保ちながら前記処置を成功裏に完了する方法に関する、より多くの情報に基づく決定をすることができる。
【0005】
X線及びガンマ放射線の両方の、生体組織を含む、物質における吸収は、実際には本質的に確率論的であり、これは、電離放射線に照射された生体組織に対する付随する確率論的損傷である。放射線の確率論的効果は、発生が放射線の吸収の統計的関数であり、放射線照射による癌の誘導、放射線発癌として既知のプロセスを含む。当技術分野において既知であるように、確率論的効果に関連した用語は、吸収線量、等価線量及び実効線量である。
【0006】
しかしながら、放射線の十分に高い線量率は、非確率論的組織損傷を引き起こすのに十分に高い率で組織により吸収されることができる。決定論的効果として既知である、この非確率論的損傷は、特定の閾値より上で起こり、一度前記閾値が超過されると前記効果の厳しさは、増加する線量とともに増加する。放射線疾患は、決定論的効果である。放射線医学的に重要なことは、放射線処置中の人体の表面に対する放射線の決定論的効果である。皮膚に対する決定論的効果は、2Gyにおいて起こる初期過渡紅斑(early transient erythema)、3Gyにおいて生じる一時脱毛(temporary epilation)、7Gyにおいて生じる永久脱毛、及び14Gyにおいて生じる乾性落屑(dry desquamation)を含む。引用された値は、近似的であることが知られている。当技術分野において既知であるように、決定論的効果に関する用語は、入射皮膚線量及び空気カーマである。
【0007】
文献、例えばMinimizing radiation-induced skin injury in interventional radiology procedures, Radiology 2002; 225; 329-336及びCalibration of Kodak EDR2 film for patient skin dose assessment in cardiac catheterization procedures, Morrel et al., Phys. Med. Biol. 2004; 49; 5559-5570の調査は、IVR処置中の患者線量の減少が、患者の健康全体に対して重要であり、前記患者線量の減少における重要なステップは、前記患者に対する線量に関する関連情報のユーザに対する提供及び表示であることを明らかにする。特に、放射線の決定論的効果としての皮膚損傷は、皮膚線量に関する情報が外科医に利用可能である場合に減少されることができる。
【0008】
シーメンスケアグラフシステムは、IVR処置中に患者に皮膚線量を表示するように設計された製品であり、複数の刊行物、例えばTechniques to estimate radiation dose to skin during fluoroscopically guided procedures, Balter et al., Skin Dose Measurements AAPM July 2002; Comparison of Four Techniques to Estimate Radiation Dose to Skin During Angiographic and Interventional Radiology Procedures, Fletcher et al. SCVIR, 2002, 391-397ページに記載されている。これは、照射された皮膚の各0.5cm2の断片により吸収された線量が表示される平らな2次元画像に広げられた患者の皮膚表面の領域を示すスクリーンディスプレイからなる。各断片は、最近接間隔に吸収された線量を表示するようにカラー符号化され、プロットされた線量間隔の範囲と、各々が描かれる色とを表示するキーが示される。シーメンスケアグラフは、現在、患者に線量を表示する最も正確な製品であると見なされる。しかしながら、線量の表示器として、迅速に理解するのが難しく、介入処置を実行するプロセスにおいてユーザにより理解するのは難しすぎる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、見る人により迅速に理解されることができる、ユーザに線量情報を提供する、患者に対する線量の表示器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これは、前記線量表示器が、照射される皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成され、前記線量の値が処置中に照射された皮膚の領域に受けられた放射線の線量を表す、本発明により達成される。
【0011】
前記表示される線量の値は、当技術分野において既知であるように、測定されるか又は計算されることができ、前記ゾーンにより表される皮膚の領域において受けられた線量の単純かつ容易に理解される表示を前記ユーザに提供する。
【0012】
前記線量表示器は、したがって、大幅に減少された量の情報を前記ユーザに示し、更に、即座に臨床的に認識可能である患者皮膚の表現画像と関連付けられるように前記情報を表示する。
【0013】
前記情報は、したがって、前記ユーザにより認識できるレベルに容易に吸収される。前記システムのユーザ、外科医又は放射線科医は、前記処置の画像に描かれた視覚的情報を同時に吸収しようとしながら前記患者に対する前記吸収された線量に関する提供された情報を吸収するために、非常に短い時間を持ち、実際に典型的には一瞬である。実際には線量の単一の値のみを示すことにより、前記ユーザは、情報過多にならずに目立った情報を提供される。示される線量を照射される領域を表すゾーンに関連付けることにより、前記ユーザは、表示される線量情報の関連性を即座に見て理解することができる。
【0014】
更に、前記ゾーンは、前記処置に対して前記システム内で適用される一般に使用される回転及びアンギュレーション(angulation)における前記IVR処置中に照射された前記患者の皮膚の共通の大きさの(commonly sized)領域として描かれることができる。このフィーチャは、前記ユーザが、即座に臨床的に関連し、認識可能であるように表示される情報を見ることを可能にし、更に、前記表示される情報の理解可能性を強化する。
【0015】
線量の値は、グラフィックで表示されることができる。
【0016】
本発明を使用して表示されることができる線量の特に有用な尺度は、線量の空気カーマ値である。
【0017】
放射線により照射される皮膚の領域を表す前記ゾーンのサイズは、典型的には行われる処置において照射される皮膚の領域を表す。少なくとも10cm×10cmである皮膚の領域を表すゾーンを使用することは、特に有用であり、介入処置により一般に照射される皮膚のサイズをカバーする。
【0018】
前記線量表示器は、いつ前記線量の値が閾値を通過するかを表示するように構成されることができる。一般に、これは、決定論的皮膚効果に対する閾値であり、前記処置の完了に臨床的に必要であるとしても、同じ皮膚領域に対する更なる照射が、特定の皮膚領域において決定論的皮膚効果を引き起こす可能性が高いという外科医に対する警告として機能する。
【0019】
本発明は、対象に対して電離放射線を使用する放射線処置を実行するシステムにも関し、前記システムは、対象に対して放射線処置を実行する撮像装置を有し、前記対象の皮膚の領域が放射線の線量に照射され、前記システムは、前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成された表示装置をも有し、前記線量の値が、前記処置中に照射された皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す。このようなシステムは、本発明による線量表示器を組み込み、したがってIVRにおいて使用するのに適しており、前記患者に対する前記線量に関して迅速に理解される情報を前記ユーザに提供するという利点を持つ。
【0020】
本発明は、本発明による線量表示器を有する放射線処置を実行するシステムに対するユーザインタフェースにも関する。このようなユーザインタフェースは、前記線量表示器が、電離放射線を使用する放射線装置を駆動及び動作するのに使用されるユーザインタフェースに適用されることを可能にする。更に、本発明は、本発明による線量表示器を有する放射線処置を実行するシステムに対するワークステーションにも関する。このようなワークステーションは、前記線量表示器が、電離放射線を使用する放射線装置を駆動及び動作するのに使用されるユーザインタフェースに適用されることを可能にする。
【0021】
前記システムは、前記介入処置からの画像を表示するのに使用される同じスクリーン上に前記線量表示器を表示するように構成されることができる。これは、前記外科医の処置をガイドするために前記画像を使用する前記外科医が、前記外科医の目を前記スクリーンから離さずに照射下の皮膚の領域における前記患者に対する線量を見て迅速に理解することができるという利点を持つ。
【0022】
本発明は、介入処置に適したX線撮影及び蛍光透視機器に対する応用に関して主に説明されたが、実際には、電離放射線を使用する如何なるX線撮影機器にも応用されることができる。これは、実際に、例えば標準的な胸部X線像を撮るのに使用されるX線ユニットに応用されることができる。本発明の能力は、迅速に容易に理解され、直観的な形で患者皮膚線量に関する情報を通信する能力にあり、したがって、ユーザ又は臨床医が、生じた患者皮膚線量を迅速に容易に理解することを望む環境下で患者照射に使用されるX線撮影機器に応用されることができる。
【0023】
本発明は、以下の図面を使用して更に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、IVRの実行に適した典型的なX線ユニット101を示す。前記ユニットは、X線源102及びX線検出器103と、患者の配置用の患者ベッドと、前記X線源及び対応して前記X線検出器の回転及びアンギュレーションを制御する制御ユニット105と、ユーザが前記線源の回転及びアンギュレーションを制御し、前記線源の動作を制御する命令を入力することができる入力点106と、前記ユーザが前記X線ユニットにより取得された画像を見ることができる表示装置107とからなる。
【0025】
典型的な実行において、前記患者は、ベッド104上に配置され、前記ユーザは、介入処置を実行しながら前記患者の画像を取得する。前記介入処置中の表示装置107上の前記画像の表示は、前記ユーザが、前記介入処置の進行を知覚することを可能にする。前記ユーザは、入力点106を使用して、前記X線源の動作を制御し、換言すると、オン及びオフを切替え、前記線源のKVp及びコリメータ・ジョウ(collimator jaws)のサイズを制御する。入力点106は、例えば前記患者の中心軸の周りの前記X線源の回転及び前記患者の矢状面に垂直な軸の周りの前記X線源のアンギュレーションである、前記X線源の位置を制御するのに使用されることもできる。当技術分野において既知であるように、機器の個別の製造者は、回転及びアンギュレーションの正確な定義が異なる。
【0026】
前記入力点は、制御ユニット105に対する情報の入力に適した如何なるデバイスであってもよく、したがって、例えば、ハンドセット、キーボード、足操作デバイスであってもよい。当技術分野において既知であるように、音声操作入力点も可能である。
【0027】
X線ユニット101は、典型的には、前記線源からの放射線照射の測定用の線量測定デバイス108を含む。患者皮膚線量の計算は、当技術分野において既知であり、例えば、典型的には、皮膚線量の最終的尺度に到達するために単一の又は一連の既知の又は仮定の線源から皮膚までの距離を組み込む更なる外挿を使用して、X線ビームがオンに切替えられている間に前記X線ビームにおける既知の点における放射線照射の測定によりなされることができる。これを達成する様々な方法が既知である。本発明の応用は、照射中に照射された皮膚の領域における前記患者により受けられた線量を表す線量の測定又は計算がなされることを必要とする。
【0028】
図2は、一般に使用されている線量表示器を組み込んだ従来技術のグラフィック表示を示す。表示201は、放射線ビームのエネルギの詳細202、前記患者に対する前記線源の幾何学的方向203、前記線源と前記患者との間の距離204、経過した照射時間205、空気カーマ206及び面積線量207を含む。
【0029】
図3は、ゾーンの表示302及び線量の値のグラフィック表示303を有する線量表示器301を示す。この線量表示器は、前記ユーザによりはっきりと理解されることができ、グラフィック表示303のバーにより示される空気カーマにおける生じた線量を表示し、この線量が吸収された前記患者の皮膚領域302をも表示する。
【0030】
図4は、本発明による可能なゾーン401ないし410のアレイを示す。この場合、これらは、心臓処置において一般に照射された患者の皮膚の領域を表すゾーンである。心臓医学処置の場合、心臓医又は放射線科医は、典型的には、3つの主冠動脈、回旋動脈、右冠動脈及び左冠動脈を見ることを望む。前記3つの冠動脈は、通常は、例えば'Coronary Arteriography, Nomenclature of the Arteries, Codification of Lesions', by the Working Group "Functional Evaluation and Angiography of the French Society of Cardiology", Coordinated by M.E. Bertrand, 1979において、当技術分野において既知であるように、一連の標準的な画像投影において見られることができる。前記ゾーンは、一般に使用された投影411ないし421を表し、30°の右前斜位投影(RAO30°)、アイテム420と、前後投影(AP)、アイテム416と、ここでLAO55と示される、55/60°の左前斜位投影(LAO55/60°)、アイテム413と、ここでLAO55Caud20として示される、20°の頭側アンギュレーション(cranial angulation)と組み合わせた55/60°の左前斜位投影、アイテム411と、左外側投影、アイテム414と、15°の尾側アンギュレーションと組み合わせた45°の左前斜位投影、アイテム412と、45°の右前斜位投影(RAO45°)、アイテム419とである。図示されない、10°の頭側アンギュレーションと組み合わせた120°の右前斜位投影も可能である。
【0031】
各病院又は医療機関は、一般に、しばしば個別のユーザの臨床的専門知識に基づく、好適な方向の特定の組を使用し、提示される特定の患者の形態の細部を使用する。当技術分野において既知であるように、これらは、X線撮影及び蛍光透視機器で使用される標準的な度のアンギュレーション及び回転を用いる標準的な投影であるが、しばしば、患者に基づいて小さな角度変更を必要とする。図示された前記ゾーンは、使用されることができる特定の臨床的方向の表示器である。このように、図4は、表示されることができ、各々の場合に問題の病院により使用される方向を描くのに使用されることができる10のゾーンを示す。
【0032】
20°のアンギュレーションを持つ30°の右前斜位、アイテム421と、20°のアンギュレーションを持つ30°の右前斜位、アイテム418と、15°の右前斜位、アイテム417と、20°のアンギュレーションを持つ55°の左前斜位、アイテム415も可能である。
【0033】
ゾーンの異なる組が、他の診断及び介入処置に対する本発明の応用に使用される。例えば、頭側応用に応用される場合、示される可能なゾーンは、正しい生体構造の画像を取得するX線機器の一般に使用される方向を描く。
【0034】
ゾーンの使用は、本発明によると、同じ標準化されたゾーンが、前記患者の実際の照射中に作成されることができる標準的な投影からの小さなずれにかかわらず表示されるという利点を更に持つ。これは、前記システムのユーザの視点から大幅に表示を単純化し、特定の患者に使用された実際のアンギュレーション及び回転の組み合わせにかかわらず前記患者に対する皮膚線量の理解を可能にする。
【0035】
図5は、IVRシステムのユーザに明確に迅速に効果的に前記線量の値を表示するのに特に効果的であることが分かった前記線量の値に対するグラフィック表示501の一実施例を示す。表示501は、所定の閾値まで増加的に生じる皮膚線量を示すように段階的に配列された一連のバー502を有する。前記所定の閾値は、通常は、2Gyであるが、照射下の皮膚の領域に対する事前に生じた存在する線量を持つ患者の場合に減少されることができ、理論的には、放射線耐性を持つことが知られた患者の場合には増大されることもできる。特定の照射が開始すると、照射下の前記領域に対する皮膚線量は、各バー502により表されるレベルまで増加するので、バー502が、表示501上に現れる。前記ユーザは、全てのバー502が前記表示の水平軸に沿って見えるようになるまで、相次いで現れる一連のバー502を見る。最後のバー503が見える場合、前記照射下の皮膚の領域は、閾値線量を受けている。図5は、前記照射の開始におけるt=0における前記表示を示し、次いで、t=0+Δt、t=0+2Δt、t=0+3Δt及びt=0+4Δtにおける前記表示を示す。ここで、前記表示の図の間の時間間隔Δtは、放射線のビームの照射率に依存する。
【0036】
図6は、本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれることができるかを示す。図6は、放射線ビームのエネルギの詳細602、患者に対する線源の幾何学的方向603、前記線源と前記患者との間の距離604、並びにこの場合には照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーン605及び当該ゾーンに関連付けられた線量の値606を有する表示601を示す。追加の、特に有利な実施例も示される。皮膚線量率が、数値609として前記表示上に示されるが、また、線量の値606と実質的に同じ形式のグラフィック表示608を使用して示される。前記皮膚線量率及び前記生じた皮膚線量をまとめることは、前記閾値が到達される前に残っている時間の予測を可能にし、この時間も表示されることができ607、前記ユーザに対して更に有用な情報を提供する。特定の動作設定に対する線量率を予測することも可能であり、前記閾値までの予測された時間は、これらの設定に対して示されることができ、表示されることができ、前記ユーザが、前記処置の残りの部分の特定の必要条件に対する最適な設定を選択することを可能にする。
【0037】
図7は、本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれることができ、所定の閾値の通過後に前記表示の変化を組み込むのかを示す。図7は、放射線ビームのエネルギの詳細702、患者に対する線源の幾何学的方向703、線源と患者との間の距離704、照射された皮膚の領域の範囲を示すゾーン705、及び所定の閾値が超過されたことを示す視覚的に変化する色で示される線量の値707を有する表示701を示す。これは、図6の606に示されるバーが最大値に到達した場合に起こる。この時点で、前記バーは等しく視覚的に変化する色706で示され、前記最大値に残り、したがって、前記皮膚の領域に対する前記閾値が到達されたことを前記ユーザに示す。
【0038】
代替的には、前記表示の形式は、前記バーが前記表示上に残らないが、例えば警告シンボルにより置き換えられる。他の実施例において、前記バーは、ゼロの値から再表示されるが、ここでは逆さまに表示される。これは、新しい第2の閾値まで線量を合計し続けながら、以前の表示とは異なることにより視覚的に警告するという利点を持つ。これは、前記ユーザが、徐々に増加する患者皮膚線量についての情報を受け続けることができるという利点を持つ。前記新しいバーは、依然として、視覚的に変化する色で表示されることができる。皮膚線量が増加する速度709も示されることができる。
【0039】
最終的に、本発明は、IVR機器の臨床的ユーザが、前記患者に対する線量を容易に直観的に理解できるように監視することを可能にし、したがって、前記患者に対する過剰照射及び付随する損傷のリスクを軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】IVRの実行に適した、したがって本発明の応用に適した典型的なX線ユニットを示す。
【図2】線量表示器を組み込んだ従来技術のグラフィック表示を示す。
【図3】好適なグラフィック表示の一実施例を示す。
【図4】本発明による可能なゾーンのアレイを示す。
【図5a】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5b】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5c】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5d】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図5e】特に効果的であることが分かった線量の値に対するグラフィック表示の一実施例を示す。
【図6】本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれることができるのかを示す。
【図7】本発明、特に図5の実施例がどのように視覚的表示に組み込まれ、所定の閾値の通過後に表示の変更を組み込むことができるのかを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電離放射線を使用して放射線処置を実行するシステムにおいて使用し、前記放射線処置中に対象により皮膚の領域において受けられる放射線の線量を表示する線量表示器において、
前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、
前記処置中に照射された前記皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成される、
線量表示器。
【請求項2】
前記ゾーンが、前記処置のために前記システム内で使用される一般に使用される回転及びアンギュレーションの使用により前記放射線処置中に照射された前記対象における共通の大きさの皮膚の領域として描かれることを特徴とする、請求項1に記載の線量表示器。
【請求項3】
前記線量の値が、前記ゾーンとともにグラフィック表示されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の線量表示器。
【請求項4】
前記線量の値が、空気カーマの単位で表示されることを特徴とする、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項5】
前記ゾーンが、少なくとも10cm2の皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項6】
前記ゾーンが、少なくとも10cm×15cmである皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項7】
前記線量の値が所定の閾値を通過する場合に、前記表示のグラフィック形式が変化することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の線量表示器を有する放射線処置を実行するシステム用のユーザインタフェース。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の線量表示器を有する放射線処置を実行するシステム用のワークステーション。
【請求項10】
対象に対して電離放射線を使用する放射線処置の実行に対するシステムにおいて、
対象の皮膚の領域が放射線の線量に照射される前記対象に対する放射線処置の実行に対する撮像装置と、
前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成される表示装置であって、
前記処置中に照射された前記皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成される当該表示装置と、
を有するシステム。
【請求項11】
前記ゾーンが、前記処置のために前記撮像装置の一般に使用される回転及びアンギュレーションの使用により前記処置中に照射された前記対象における共通の大きさの皮膚の領域として描かれることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処置から生じる少なくとも1つの画像を表示するように更に構成され、前記ゾーン及び前記占領の値が、前記表示装置の前記少なくとも1つの画像と同じ視覚的表示画面上に表示されることを特徴とする、請求項10又は11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ゾーンが、少なくとも10cm2の皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項10、11又は12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ゾーンが、少なくとも10cm×15cmである皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項10、11、12又は13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
電離放射線を使用して放射線処置を実行するシステムにおいて使用し、前記処置中に対象により皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表示する線量表示器を表示するように構成されたコンピュータプログラムにおいて、前記線量表示器が、
前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、
前記処置中に照射された前記皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成される、
コンピュータプログラム。
【請求項16】
前記ゾーンが、前記処置のために前記システム内で使用される一般に使用される回転及びアンギュレーションの使用により前記IVR処置中に照射された前記対象における共通の大きさの領域として描かれることを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項1】
電離放射線を使用して放射線処置を実行するシステムにおいて使用し、前記放射線処置中に対象により皮膚の領域において受けられる放射線の線量を表示する線量表示器において、
前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、
前記処置中に照射された前記皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成される、
線量表示器。
【請求項2】
前記ゾーンが、前記処置のために前記システム内で使用される一般に使用される回転及びアンギュレーションの使用により前記放射線処置中に照射された前記対象における共通の大きさの皮膚の領域として描かれることを特徴とする、請求項1に記載の線量表示器。
【請求項3】
前記線量の値が、前記ゾーンとともにグラフィック表示されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の線量表示器。
【請求項4】
前記線量の値が、空気カーマの単位で表示されることを特徴とする、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項5】
前記ゾーンが、少なくとも10cm2の皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項6】
前記ゾーンが、少なくとも10cm×15cmである皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項7】
前記線量の値が所定の閾値を通過する場合に、前記表示のグラフィック形式が変化することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の線量表示器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の線量表示器を有する放射線処置を実行するシステム用のユーザインタフェース。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の線量表示器を有する放射線処置を実行するシステム用のワークステーション。
【請求項10】
対象に対して電離放射線を使用する放射線処置の実行に対するシステムにおいて、
対象の皮膚の領域が放射線の線量に照射される前記対象に対する放射線処置の実行に対する撮像装置と、
前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成される表示装置であって、
前記処置中に照射された前記皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成される当該表示装置と、
を有するシステム。
【請求項11】
前記ゾーンが、前記処置のために前記撮像装置の一般に使用される回転及びアンギュレーションの使用により前記処置中に照射された前記対象における共通の大きさの皮膚の領域として描かれることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処置から生じる少なくとも1つの画像を表示するように更に構成され、前記ゾーン及び前記占領の値が、前記表示装置の前記少なくとも1つの画像と同じ視覚的表示画面上に表示されることを特徴とする、請求項10又は11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ゾーンが、少なくとも10cm2の皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項10、11又は12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ゾーンが、少なくとも10cm×15cmである皮膚の領域を表すことを特徴とする、請求項10、11、12又は13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
電離放射線を使用して放射線処置を実行するシステムにおいて使用し、前記処置中に対象により皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表示する線量表示器を表示するように構成されたコンピュータプログラムにおいて、前記線量表示器が、
前記照射された皮膚の領域の範囲を表すゾーンを表示するように構成され、
前記処置中に照射された前記皮膚の領域において受けられた放射線の線量を表す、前記ゾーンに関連付けられた線量の値を表示するように更に構成される、
コンピュータプログラム。
【請求項16】
前記ゾーンが、前記処置のために前記システム内で使用される一般に使用される回転及びアンギュレーションの使用により前記IVR処置中に照射された前記対象における共通の大きさの領域として描かれることを特徴とする、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2009−523049(P2009−523049A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549954(P2008−549954)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050019
【国際公開番号】WO2007/080522
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050019
【国際公開番号】WO2007/080522
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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