説明

ラジカル硬化性樹脂組成物及びその硬化方法

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、過酸化物を使用せずとも硬化可能なラジカル硬化性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】 ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、コバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、
前記ラジカル硬化性樹脂組成物中における、前記(A)と、前記(B)と、の質量割合が、(A)/(B)=80/20〜40/60であり、前記ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化させる時に、前記ラジカル硬化性樹脂組成物に含まれない前記(C)又は前記(D)のいずれかを添加することを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化物を使用せずとも硬化可能なラジカル硬化性樹脂組成物及びその硬化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
末端部に(メタ)アクリロイル基が導入されたウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、機械的強度、耐久性等の諸物性を有することから、接着剤、シーリング剤、コーティング剤、光学レンズシート、保護フィルム、バインダー等様々な分野で広く利用されている。
【0003】
前記した用途以外にも、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、土木建築用途においても、広く利用されている。
【0004】
例えば、特許文献1及び2には、ウレタンメタクリレート樹脂と、ナフテン酸コバルトと、ケトンパーオキサイド類と、を含有する建材用樹脂組成物を硬化してなる硬化体が開示されている(特に実施例参照。)。
【0005】
前記したウレタン(メタ)アクリレート樹脂を用いた土木建築用ラジカル硬化性樹脂を硬化させる際には、低温や高温等の様々な施工現場環境下においても、室温で、且つ短時間で硬化させるために、樹脂組成物中に過酸化物を使用することが従来の技術であった。
【0006】
しかしながら、前記過酸化物は、危険上の観点から、その使用において注意を要するものであり、且つ、施工現場において過酸化物の計量等を正確に行う必要があるため、現場での作業性が悪いとの問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−162920号公報
【特許文献2】特開2005-162921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、過酸化物を使用せずとも硬化可能なラジカル硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決すべく研究を進める中で、ラジカル硬化性樹脂と単量体との組合せ、及びそれらと硬化剤との組合せに着目し、鋭意研究を行った。
その結果、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、(メタ)アクリル酸メチルと、特定の硬化剤、とを組合せ使用し、且つ、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、(メタ)アクリル酸メチルと、を特定の質量割合で含有することにより、過酸化物を使用せずとも硬化可能なラジカル硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、コバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、
前記ラジカル硬化性樹脂組成物中における、前記(A)と、前記(B)と、の質量割合が、(A)/(B)=80/20〜40/60であり、前記ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化させる時に、前記ラジカル硬化性樹脂組成物に含まれない前記(C)又は前記(D)のいずれかを添加することを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物及びその硬化方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物は、過酸化物を使用せずとも常温で且つ短時間で硬化可能であり、更に、引張強度、引張伸び率等の引張物性にも優れるものであることから、土木建築用途に特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
先ず、本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)について説明する。
【0013】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、ポリオール(A−1)と、ポリイソシアネート(A−2)と、を反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−3)を得、次いで水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(A−4)を反応させて得られるものであり、必要に応じてその他の添加剤を含有するものである。
【0014】
前記ポリオール(A−1)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール等を使用することができ、これらは単独又は2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、常温での硬化性等の観点からポリエステルポリオール、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールを併用したポリオールを使用することが好ましい。
【0015】
前記ポリエステルポリオールとしては、多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られるものを使用することができる。
【0016】
前記多塩基酸としては、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アコニット酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルネンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、グルタル酸、3−メチル−2−ペンテン・二酸、2−メチル−2−ペンテン・二酸、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、2−エチルヘキサン酸、シス−3−メチル−4−シクロへキセン−シス−1,2−ジカルボン酸、シス−3−メチル−4−シクロへキセン−シス−1,2−ジカルボン酸の無水物等の脂肪族ポリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸が挙げられ、これらは単独又は2種以上を併用して使用することができる。これらの中でも、引張り伸び率を向上できる観点から、ジカルボン酸を使用することが好ましく、脂肪族ジカルボン酸を使用することがより好ましく、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸を使用することが特に好ましい。
【0017】
前記多塩基酸成分中における脂肪族ジカルボン酸の使用割合としては、引張伸び率を向上できる観点から、好ましくは20〜100モル%、さらに好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。
【0018】
前記多価アルコールとしては、2個以上の水酸基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂環族ジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロオクタン−1,4−ジオール、2,5−ノルボルナンジオール等の脂環式ジオール、p−キシレンジオール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,5−ナフタレンジオール等の芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル等のトリオール等を使用することができ、これらは単独または2種以上併用して使用することができる。これらの中でも、柔軟性を付与できる観点から、脂肪族ジオールを使用することが好ましい。
【0019】
前記ポリエステルポリオールは、前記多塩基酸と前記多価アルコールとを従来公知の方法で重縮合反応させて得られる。前記重縮合反応としては、例えば、前記多塩基酸と前記多価アルコールとを反応容器に仕込み、必要に応じてキシレン等の高沸点溶剤、エステル化触媒を添加し、脱水縮合させることにより、エステル化反応を進行させる方法が挙げられる。前記重縮合反応の反応温度は140〜240℃、好ましくは170〜230℃であり、反応時間は10〜25時間、好ましくは15〜23時間である。
【0020】
前記エステル化触媒としては、特に限定はされないが、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のアレーンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、スズテトラエチレート、ブチルスズマレート、ジメチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のスズ化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、四塩化チタン等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物等を使用することができる。
【0021】
前記エステル化触媒の使用量は、前記多塩基酸と前記多価アルコールとの合計質量に対して、0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.001〜0.05質量%であることがより好ましい。
【0022】
前記反応により得られるポリエステルポリオールとしては、2500〜7000の数平均分子量を有するものを使用することで、引張り強度と引張り伸び率のバランスの良好なラジカル硬化性樹脂を与えることができる。なかでも、引っ張り強度及び引張り伸び率を向上できる観点から、3500〜6500の数平均分子量を有するポリエステルポリオールを使用することがより好ましく、4500〜6500の数平均分子量を有するポリエステルポリオールを使用することが特に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを使用し、スチレン換算によって求めた値である。
【0023】
また、前記ポリエステルポリオールは、酸価が0.0〜1.0mgKOH/gであることがより好ましく、0.20〜0.80mgKOH/gであることが特に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオールの酸価は、JIS K1557−5に準拠して測定を行った値である。
【0024】
また、前記ポリエステルポリオールは、水酸基価が10〜200mgKOH/gであることが好ましく、10〜50mgKOH/gであることがさらに好ましく、10〜40mgKOH/gであることが特に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオールの水酸基価は、JIS K0070に準拠して測定を行った値である。
【0025】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合せしめた生成物や、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランを共重合させた変性ポリテトラメチレングリコールや、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランを共重合させた変性ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0026】
前記2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば水、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、サッカロース、エチレンジアミン、N−エチルジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、燐酸、酸性リン酸エステル等を使用することができる。
【0027】
前記ポリエーテルポリオールとしては、ラジカル硬化性樹脂の引張物性の観点から、500〜3000の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。なお、前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを使用し、スチレン換算によって求めた値である。
【0028】
また、前記ポリオール(A−1)として、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールを併用したポリオールを使用する場合には、引張伸び率等の観点から、前記ポリオール中ポリエーテルポリオールを50質量%以下使用することが好ましく、10質量%以下使用することが特に好ましい。
【0029】
前記ポリイソシアネート(A−2)としては、分子中にイソシアネート基を2個以上有
するものであれば特に限定されないが、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等
の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシク
ロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリ
レンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造含有ジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、
フェニレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、メチレ
ンジフェニルジイソシアネートのホルマリン縮合体、4,4′−ジフェニルメタンジイソ
シアネートのカルボジイミド変性体等の芳香族系ポリイソシアネート等が挙げられ、これ
らは単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。これらの中でも、反応
性の観点からジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0030】
前記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(A−4)としては、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基
含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、
ポリプロピレングリコールモノアクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用または2
種以上を併用して使用することができる。ラジカル硬化性である本発明の樹脂組成物にお
いては、前記(A−4)成分として水酸基含有アクリロイル化合物を使用し、前記ウレタ
ン(メタ)アクリレート樹脂(A)としてウレタンアクリレート樹脂としても、常温にお
いて十分な硬化特性が得られる。前記したなかでも常温での硬化特性をより向上できる観
点から、水酸基含有メタクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートを使用することが特に好ましい。従って、前記ウレタン(メ
タ)アクリレート樹脂(A)としては、ウレタンメタクリレート樹脂を使用することが特
に好ましい。
【0031】
次に、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)の製造方法について説明する。
【0032】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、前記ポリオール(A−1)と、前記ポリイソシアネート(A−2)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−3)を得、次いで前記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(A−4)を反応させて得られるものである。
【0033】
前記ポリオール(A−1)と前記ポリイソシアネート(A−2)との反応は、前記ポリオール(A−1)の有する水酸基と前記ポリイソシアネート(A−2)の有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基]が2.2/1.0〜1.8/1.0の範囲で行うことが好ましく、2.1/1.0〜1.9/1.0の範囲であることが好ましい。また、前記ポリオール(A−1)と前記ポリイソシアネート(A−2)との反応は、50〜100℃の条件下で概ね30分〜8時間程度行うことが好ましい。
【0034】
前記ポリオール(A−1)と前記ポリイソシアネート(A−2)との反応で得られた、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−3)と、前記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(A−4)との反応は、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの残存イソシアネート基と前記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物の有する水酸基との当量割合[残存イソシアネート基/水酸基]が0.8/1.0〜1.2/1.0の範囲であることが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)の末端部の全てが、前記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物由来の(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、実質的にイソシアネート基が残存していないことが好ましい。
また、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−3)と前記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(A−4)との反応は、50〜120℃の条件下で概ね30分〜5時間程度行うことが好ましい。
【0035】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)を製造する際には、必要に応じて三級アミン触媒や有機金属系触媒を使用しても良い。
【0036】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、必要に応じて重合禁止剤等のその他の添加剤を含有してもよい。
【0037】
前記重合禁止剤としては、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、14−
ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノ
メチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチルフェノール等が挙げられ、これらは単独で使用または2種以上を併用して使用す
ることができる。前記重合禁止剤の使用量は、前記ポリオール(1−1)と前記ポリイソ
シアネート(1−2)と前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物(1−4)との合計質量
に対して、0.005〜0.1重量%であることが好ましく、0.01〜0.1重量%で
あることがより好ましい。
【0038】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ
)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のラジカル硬化性樹脂を前記ウレ
タン(メタ)アクリレート樹脂(A)と併用して使用してもよい。
【0039】
次に、本発明で使用する(メタ)アクリル酸メチル(B)について説明する。
【0040】
前記(メタ)アクリル酸メチル(B)は、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)の反応性希釈剤として使用するものであり、常温での硬化性の観点からメタクリル酸メチルを使用することが特に好ましい。
【0041】
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物においては、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、前記(メタ)アクリル酸メチル(B)と、の質量割合が、(A)/(B)=80/20〜40/60であることが、過酸化物を使用せずとも常温で且つ短時間で硬化可能な樹脂組成物が得られる。なかでも、(A)/(B)=80/20〜50/50であることで常温での硬化時間が更に速まるためより好ましい。前記質量割合が前記範囲から外れると硬化時間が長くなり、樹脂組成物の硬化性が不良となる。
【0042】
また、前記反応性希釈剤としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記(メタ)アクリル酸メチル(B)以外の反応性希釈剤を併用して使用してもよい。
【0043】
前記(メタ)アクリル酸メチル(B)以外の反応性希釈剤としては、例えば、ジシクロ
ペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレー
ト、トリシクロ[5−2−1−02,6]デカニル(メタ)アクリレート及びトリス(2
−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸、メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレ−ト、n−オクチル(メタ)アクリレ−ト、デシル(メタ)アク
リレ−ト、ラウリル(メタ)アクリレ−ト、ステアリル(メタ)アクリレ−ト、2−ハイ
ドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、β−エトキシエチル(メタ)アクリレ−ト、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、エチル
カルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、イソボロ
ニル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロフリフリル(メタ)アクリレ−ト等の不飽和単
量体が挙げられる。
【0044】
次に、本発明で使用するコバルト系有機酸塩(C)について説明する。
【0045】
前記コバルト系有機酸塩(C)としては、例えば、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、ステ
アリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト、ナフテン酸コバ
ルト、オクチル酸コバルト等のコバルト石鹸が挙げられ、これらは単独又は2種以上を併
用して使用することができる。これらのなかでも、常温で良好な硬化性を付与できる観点
から、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトを使用することがより好ましい。
【0046】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウ
ム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等の金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート
、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属器レートを前記コバル
ト系有機酸塩(3)に併用して使用してもよい。
【0047】
次に、本発明で使用するアセチルラクトン化合物(D)について説明する。
【0048】
前記アセチルラクトン化合物(D)としては、下記式(1)で示されるものを使用する
ことができる。

(式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、置換アル
コキシ基を表し、nは整数を表し、好ましくは1〜3である。)
なかでも、硬化性が良好となる観点から、アセチルブチロラクトンを使用することがより
好ましい。
【0049】
本発明においては、前記コバルト系有機酸塩(C)と前記アセチルラクトン化合物(D
)とを組合せ使用することにより、過酸化物を使用せずとも硬化剤として機能する。硬化
剤として機能する機構としては、前記コバルト系有機酸塩(C)がアセチルラクトン化合
物(D)のα水素を引き抜くことでラジカルが発生し、該ラジカルが、前記ウレタン(メ
タ)アクリレート樹脂(A)及び前記(メタ)アクリル酸メチル(B)の重合を促進する
ことが推測される。従って、前記アセチルラクトン化合物(D)としては、アセチルブチ
ロラクトン以外であっても、十分な硬化性を有する。
【0050】
前記コバルト系有機酸塩(C)と前記アセチルラクトン化合物(D)との合計質量は、
樹脂組成物の硬化性が良好となる観点から、ラジカル硬化性樹脂組成物中において、0.
5〜3%であることが好ましい。
【0051】
また、前記コバルト系有機酸塩(C)と、前記アセチルラクトン化合物(D)と、の質量割合は、樹脂組成物の硬化性が良好となる観点から、(C)/(D)=1.0/2.0〜2.0/1.0であることが好ましい。
【0052】
次に、本発明のラジカル硬化性樹脂組成物について説明する。
【0053】
前記ラジカル硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、コバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、前記ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化させる時に、前記ラジカル硬化性樹脂組成物に含まれない前記(C)又は前記(D)のいずれかを添加されてなり、必要に応じて他の添加剤を含有してもよい。
【0054】
前記他の添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、骨材、紫外線吸収剤、低収縮剤、増粘剤、老化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、安定剤、繊維補強剤、パラフィンワックス等の塗膜乾燥補助剤等を使用することができる。
【0055】
次に、本発明のラジカル硬化性樹脂組成物の硬化方法について説明する。
【0056】
前記ラジカル硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、コバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、前記ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化させる時に、前記ラジカル硬化性樹脂組成物に含まれない前記(C)又は前記(D)のいずれかを添加されてなり、必要に応じて他の添加剤を含有されてなるが、前記ラジカル硬化性樹脂組成物は、前記コバルト系有機酸塩(C)と前記アセチルラクトン化合物(D)とが混合された瞬間に、常温においてもラジカル硬化性樹脂組成物の硬化反応が開始する。
【0057】
前記コバルト系有機酸塩(C)と前記アセチルラクトン化合物(D)との混合方法は、
ヘラ等の道具による攪拌等が使用できるが、均一に混合できれば、混合方法は問わない。
【0058】
また、本発明においては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、コバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物と、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、前記ラジカル硬化性樹脂組成物に含まれないコバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物と、を混合してもよい。
【0059】
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物は、過酸化物を使用せずとも常温で且つ短時間で硬化可能であり、更に、引張強度、引張伸び率等の引張物性にも優れるものであることから、土木建築用途に特に好適に使用することができる。
【0060】
前記土木建築用とは、例えば、道路や鉄道線路等に使用される舗装材、防水材等を表す。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例により、一層具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、本発明では、特に断りのない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
【0062】
[合成例1]
<ポリエステルポリオール(A−1−1)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、アジピン酸531部、3−メチルペンタンジオール469部を仕込み、その全仕込み量に対して、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.003質量%添加し、220℃で20時間反応させ、ポリエステルポリオール(A−1−1)を得た。得られたポリエステルポリオール(A−1−1)の酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は37mgKOH/g、数平均分子量は3000であった。
【0063】
[合成例2]
<ポリエステルポリオール(A−1−2)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、アジピン酸539部、3−メチルペンタンジオール461部を仕込み、その全仕込み量に対して、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.003質量%添加し、220℃で20時間反応させ、ポリエステルポリオール(A−1−2)を得た。得られたポリエステルポリオール(A−1−2)の酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は22.6mgKOH/g、数平均分子量は5000であった。
【0064】
[合成例3]
<ポリエステルポリオール(A−1−3)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、アジピン酸541部、3−メチルペンタンジオール459部を仕込み、その全仕込み量に対して、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.003質量%添加し、220℃で20時間反応させ、ポリエステルポリオール(A−1−3)を得た。得られたポリエステルポリオール(A−1−3)の酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/g、数平均分子量は6000であった。
【0065】
[合成例4]
<ウレタンメタクリレート樹脂(Ax)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口にトリレンジイソシアネート122gとイソホロンジイソシアネート28gと合成例1で得られたポリエステルポリオール(A−1−1)2000gを仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が1.60となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを130g加え、更に90℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、トルハイドロキノン0.05%、ターシャリーブチルカテコール0.025%添加し、ウレタンメタクリレート樹脂(Ax)を得た。
【0066】
[合成例5]
<ウレタンメタクリレート樹脂(Ay)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口にトリレンジイソシアネート120gとイソホロンジイソシアネート27gと合成例2で得られたポリエステルポリオール(A−1−2)2000gを仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が1.59となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを129g加え、更に90℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、トルハイドロキノン0.05%、ターシャリーブチルカテコール0.025%添加し、ウレタンメタクリレート樹脂(Ay)を得た。
【0067】
[合成例6]
<ウレタンメタクリレート樹脂(Az)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口にトリレンジイソシアネート118gとイソホロンジイソシアネート26gと合成例3で得られたポリエステルポリオール(A−1−3)2000gを仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が1.64となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを129g加え、更に90℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、トルハイドロキノン0.05%、ターシャリーブチルカテコール0.025%添加し、ウレタンメタクリレート樹脂(Az)を得た。
【0068】
[合成例7]
<ウレタンメタクリレート樹脂(Aw)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口にトリレンジイソシアネート120gとイソホロンジイソシアネート26gと合成例3で得られたポリエステルポリオール(A−1−3)1900gと分子量1000のポリプロピレングリコールを100g仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が1.70となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを130g加え、更に90℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、トルハイドロキノン0.05%、ターシャリーブチルカテコール0.025%添加し、ウレタンメタクリレート樹脂(Aw)を得た。
【0069】
[実施例1]
前記合成例4で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Ax)80部をメタクリル酸メチル20部に溶解させ、次いで、6%ナフテン酸コバルトを1部加え、25℃に調整した後、アセチルブチロラクトンを1部添加し混合攪拌し、放置し、ゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は11分であった(25℃)。
【0070】
[実施例2]
前記合成例4で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Ax)40部をメタクリル酸メチル60部に溶解させた以外は、実施例1と同様にゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は15分であった(25℃)。
【0071】
[実施例3]
前記合成例5で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Ay)50部をメタクリル酸メチル50部に溶解させた以外は、実施例1と同様にゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は9分であった(25℃)。
【0072】
[実施例4]
前記合成例6で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Az)50部をメタクリル酸メチル50部に溶解させた以外は、実施例1と同様にゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は10分であった(25℃)。
【0073】
[実施例5]
前記合成例6で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Az)50部をメタクリル酸メチル50部に溶解させ、次いで、8%オクチル酸コバルトを1部加え、25℃に調整した後、アセチルブチロラクトンを1部添加し混合攪拌し、放置し、ゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は9分であった(25℃)。
【0074】
[実施例6]
前記合成例5で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Ay)50部をメタクリル酸メチル50部に溶解させ、次いで、6%オクチル酸コバルトを2部加え混合攪拌したものを主剤とし、前記合成例5で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Ay)50部をメタクリル酸メチル50部に溶解させ、次いで、アセチルブチロラクトンを2部加え混合攪拌したものを硬化剤とした。
前記主剤と前記硬化剤とを質量比で1:1で混合攪拌し、放置し、ゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は11分であった(25℃)。
【0075】
[実施例7]
前記合成例7で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Aw)50部をメタクリル酸メチル50部に溶解させ、次いで、8%オクチル酸コバルトを1部加え、25℃に調整した後、アセチルブチロラクトンを1部添加し混合攪拌し、放置し、ゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は13分であった(25℃)。
【0076】
[比較例1]
前記合成例5で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Ay)30部をメタクリル酸メチル70部に溶解させた以外は、実施例1と同様にゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、硬化時間は23分であった(25℃)。
【0077】
[比較例2]
前記合成例5で得られたウレタンメタクリレート樹脂(Ay)90部をメタクリル酸メチル10部に溶解させた以外は、実施例1と同様にゲル化するまでの時間(硬化時間)を測定したところ、1時間以内では硬化しなかった(25℃)。
【0078】
なお、本発明で用いた評価方法は、以下の通りである。
【0079】
[引張強度及び引張伸び率試験の測定方法]
2枚の300mm×300mm×3mmのガラス板に離型剤を塗布し、該ガラス板の間に3mmのスペーサーを挟んで型枠とした。該型枠に、実施例1〜5においてはアセチルブチロラクトンを1部添加した直後、また実施例6においては主剤と硬化剤とを混合した直後に、ラジカル硬化性樹脂組成物を流し込み、常温(25℃)で硬化させた(配合組成は、実施例と同様。)。これを25℃で24時間、80℃で5時間養生硬化させた。該注型板から2mm厚の試験体を作成し、試験体とした。該試験体をJIS−K−7113引張り試験法に準拠して測定した。測定温度は、25℃で常温物性を評価した。評価結果は、表1〜2に示す。
なお、比較例2のラジカル硬化性樹脂組成物は、完全に硬化せず、引張強度及び引張伸び率の評価を行えなかったため、「−」とした。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、コバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、
前記ラジカル硬化性樹脂組成物中における、前記(A)と、前記(B)と、の質量割合が、(A)/(B)=80/20〜40/60であり、前記ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化させる時に、前記ラジカル硬化性樹脂組成物に含まれない前記(C)又は前記(D)のいずれかを添加することを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記コバルト系有機酸塩(C)が、ナフテン酸コバルト及び/又はオクチル酸コバルトである、請求項1に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アセチルラクトン化合物(D)が、アセチルブチロラクトンである、請求項1又は2に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記コバルト系有機酸塩(C)と、前記アセチルラクトン化合物(D)と、の合計質量の割合が、ラジカル硬化性樹脂組成物中の0.5〜3%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記コバルト系有機酸塩(C)と、前記アセチルラクトン化合物(D)と、の質量割合が、(C)/(D)=1.0/2.0〜2.0/1.0である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)が、ポリエステルポリオールを含有するポリオールを原料とするものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
土木建築用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸メチル(B)と、コバルト系有機酸塩(C)又はアセチルラクトン化合物(D)のいずれかと、を含有するラジカル硬化性樹脂組成物の硬化方法であって、
前記ラジカル硬化性樹脂組成物中における、前記(A)と、前記(B)と、の質量割合が、(A)/(B)=80/20〜40/60であり、前記ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化させる時に、前記ラジカル硬化性樹脂組成物に含まれない前記(C)又は前記(D)のいずれかを添加することを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物の硬化方法。

【公開番号】特開2012−180444(P2012−180444A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43823(P2011−43823)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】