説明

ラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤及びそれを含む成形材料

【課題】ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度を向上させることができると共に、不飽和単量体の残留を抑制することができ、かつ成形物の表面外観特性が良好であるラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤及びそれを含む成形材料を提供する。
【解決手段】ラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤は、下記の一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールを含有するものである。
〔化1〕


(但し、式中、Rは炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。RとRは同じ構造であってもよい。)
上記一般式(1)中のRは、炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であることが好ましく、n−プロピル基であることが最も好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化に用いられるラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤及びそれを含む成形材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば浴槽、洗面ユニット等の住宅設備の分野や電気部品等の分野で用いられるシートモールディングコンパウンド(以下、SMCと略記する)やバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと略記する)等の成形材料が知られている。これらSMCやBMCは、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂に、硬化剤、低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤、着色剤等を混合したコンパウンドをガラス繊維等の強化材に含浸させた成形材料である。そのうち、シート状にした成形材料がSMC、そしてバルク状にした成形材料がBMCである。
【0003】
これらの成形材料は、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、射出圧縮成形法等の各種成形法により繊維強化プラスチック(以下、FRPと略記する)に成形され、住宅設備機器、自動車部品、電気部品、電子部品等として工業的に広く用いられている。
【0004】
前述の成形材料は通常100〜180℃で加熱、硬化されるため、そのような温度で効率的に分解してラジカルを発生する有機過酸化物が硬化剤として使用される。斯かる有機過酸化物としては、様々な要求性能に対するトータルバランスが比較的良好なt−ブチルパーオキシアセテート(例えば、特許文献1を参照)、環状パーオキシケタール(例えば、特許文献2を参照)及びt−ブチルパーオキシベンゾエート(例えば、特許文献3を参照)が広く利用されてきた。
【特許文献1】特開平9−31314号公報(第2頁及び第3頁)
【特許文献2】特開2008−239748号公報(第2頁及び第6頁)
【特許文献3】特開平9−227611号公報(第2頁及び第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、特にシックハウス、シックスクール、シックビル症候群等の点から、建築材料に含まれるVOC(揮発性有機化学物質)の人体への影響が問題となり、行政からも建築材料についてVOCに関する指針が出されるようになってきた。そのため、建築材料で用いられるラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化物に対しても、残存する不飽和単量体であるスチレン等のVOCは、住宅環境保全のために低減が望まれているという現状がある。
【0006】
前記ラジカル重合型熱硬化性樹脂を特許文献1に記載されたt−ブチルパーオキシアセテートで硬化させた場合、該t−ブチルパーオキシアセテートの熱分解温度が高いため硬化速度が遅く、しかも生成するラジカルの重合効率が低いため硬化物中に残存する不飽和単量体量が多くなるという問題があった。また、特許文献3に記載されたt−ブチルパーオキシベンゾエートを使用した場合には、フェニル基を有する特異な構造に起因して分解が遅く、従って硬化速度が遅いと共に、硬化物中に残存する不飽和単量体量も多いという問題があった。
【0007】
さらに、特許文献2に記載された環状のパーオキシケタールを用いた場合、確かに硬化速度が速く、硬化物中に残存する不飽和単体量も少なくなる。しかしながら、特許文献3の第2頁段落番号0010に記載されているように、1,1−ビスt−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の環状のパーオキシケタールを使用すると成形物の表面外観特性が劣るという問題があった。斯かる表面外観は、成形物(硬化物)の価値を決める最も重要なファクターである。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度を向上させることができると共に、不飽和単量体の残留を抑制することができ、かつ成形物の表面外観特性が良好であるラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤及びそれを含む成形材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、第1の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤では、下記の一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールを含有することを特徴とする。
【0010】
【化1】

(但し、式中、Rは炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。RとRは同じ構造であってもよい。)
第2の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤では、第1の発明において、前記一般式(1)中のRは、炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であることを特徴とする。
【0011】
第3の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤では、第2の発明において、前記一般式(1)中のRは、n−プロピル基であることを特徴とする。
第4の発明の成形材料は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂、及び第1から第3のいずれか1項に記載の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤では、前記の一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールを含有する。この硬化剤をラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤として使用した場合、従来のt−ブチルパーオキシアセテートに比べて熱分解温度が低く、またt−ブチルパーオキシアセテートやt−ブチルパーオキシベンゾエートとは異なる化学構造により、低い温度で分解が始まってラジカルを生成し、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化を促進させることができる。さらに、生成するラジカルはラジカル重合反応の効率が高く、未反応の不飽和単量体の残存を抑えることができると共に、成形物の表面状態を良好に維持することができる。
【0013】
従って、本発明によれば、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度を向上させることができると共に、不飽和単量体の残留を抑制することができ、かつ成形物の表面外観特性を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
<ラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤>
本実施形態のラジカル重合型熱硬化性樹脂(以下、単に熱硬化性樹脂ともいう)用硬化剤(以下、単に硬化剤ともいう)は、下記の一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールを含有するものである。
【0015】
【化2】

(但し、式中、Rは炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。RとRは同じ構造であってもよい。)
一般式(1)中のRのうち、炭素数1〜5の直鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、炭素数1〜5の分岐のアルキル基としては、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
【0016】
一般式(1)中のRが炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であるジ−t−アルキルパーオキシケタールの場合には、熱分解温度が低いためにラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度が速く、また生成するラジカルの重合効率が良いために得られる硬化物に残存する不飽和単量体を少なくすることができる。当該Rが特にn−プロピル基であるジ−t−アルキルパーオキシケタールの場合には、熱分解温度が一層低いためにラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度が最も速く、生成するラジカルの重合効率が最も良いために得られる硬化物に残存する不飽和単量体を極力少なくすることができる。従って、Rがn−プロピル基である特定のジ−t−アルキルパーオキシケタールは、熱硬化性樹脂の硬化速度の向上と、不飽和単量体の残留の抑制という両効果をバランス良く発揮することができる優れた硬化剤である。
【0017】
一方、このRが炭素数6以上となる場合には、硬化剤の活性酸素量が低下するため、該硬化剤を含有する熱硬化性樹脂の硬化が遅くなると共に、硬化物中の不飽和単量体が多くなり、不適当である。
【0018】
一般式(1)中のR及びRのうち、炭素数1〜4の直鎖の炭化水素としてはメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。また、炭素数1〜4の分岐のアルキル基としては2−メチルプロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。さらに、RとRの炭素数の合計が5以下である場合、一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールの活性酸素量が高くなり、その硬化剤を含有する熱硬化性樹脂の硬化が速くなると共に、硬化物中の不飽和単量体が少なくなって好ましい。
【0019】
前記一般式(1)で表されるジ−t−アルキルパーオキシケタールの具体例としては、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−アミルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ブタン、2−メチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ペンタン、2−メチル−4,4−ビス(t−アミルパーオキシ)ペンタン、2−メチル−4,4−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ペンタン、2−メチル−3,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2−メチル−3,3−ビス(t−アミルパーオキシ)ブタン、2−メチル−3,3−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、特に2−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ブタン、2−メチル−4,4−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ペンタン、2−メチル−3,3−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ブタン等のジ−t−ヘキシルパーオキシケタールが好ましい。その理由は、ジ−t−ヘキシルパーオキシケタールがジ−t−ブチルパーオキシケタールに比べて熱分解温度が低いため熱硬化性樹脂の硬化が速く、脱型可能時間を短縮できると共に、生成するラジカルの重合効率が高いため硬化物中の不飽和単量体をジ−t−ブチルパーオキシケタールより低減できるからである。
【0021】
一般式(1)で表される特定構造のジ−t−アルキルパーオキシケタールは、公知の製造方法に従って製造することができる。例えば、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンは、t−ブチルハイドロパーオキサイドとメチルエチルケトンとを反応させて製造することができる。
【0022】
ジ−t−アルキルパーオキシケタールは、その取扱い性を高めるために、希釈剤で希釈したパーオキサイド組成物として使用してもよい。希釈剤の種類としては、例えば脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、酢酸エステル、フタル酸エステル、ケトン、アルコール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール等、ジ−t−アルキルパーオキシケタールの安定性や成形材料の硬化特性や硬化物の物性に悪影響を与えない公知のものであればいずれも使用可能である。この希釈剤の使用量は、硬化剤中に通常60質量%以下、好ましくは20〜50質量%である。言い換えれば、ジ−t−アルキルパーオキシケタールの含有量(純度)は、硬化剤中に通常40質量%以上、好ましくは50〜80質量%である。そしてこれらの希釈剤は、ジ−t−アルキルパーオキシケタールの製造時又は製造後のいずれかの時点で添加することができる。
【0023】
熱硬化性樹脂用硬化剤中には、前記一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールと共に、例えば100℃付近での低温成形又は180℃付近での高温成形における硬化特性や硬化度を改良するために熱分解温度の異なる他の公知の有機過酸化物を併用することができる。その場合、一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールが硬化剤中の有機過酸化物として50質量%以上を占めるように配合することが好ましい。他の公知の有機過酸化物として、例えばジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシアセテートなどのパーオキシアルキレート等が挙げられる。
<ラジカル重合型熱硬化性樹脂>
次に、成形材料を形成するためのラジカル重合型熱硬化性樹脂について説明する。
【0024】
熱硬化性樹脂は、通常不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂であり、単独のみならずこれらの樹脂を併用することもできる。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸及び多価アルコールを特定の割合で加熱脱水縮合させ、エステル化して得られる不飽和ポリエステルをラジカル重合性不飽和単量体(以下、単に不飽和単量体と略記する。)に溶解させて得られる液状樹脂であり、公知のものがいずれも使用できる。
【0025】
前記不飽和二塩基酸としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。飽和二塩基酸としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、コハク酸等の脂肪族二塩基酸等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。前記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。
【0026】
前記不飽和単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体が挙げられる。また、得られる硬化物の残存スチレン量を低減するために、その他の不飽和単量体を用いることができる。該その他の不飽和単量体としては、モノメチルフマレート、ジメチルフマレート等のα,β−不飽和多塩基酸アルキル、酢酸ビニル、ビニル(メタ)アクリレート等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキル基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル類等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートとの総称である。これらの不飽和単量体は、一種又は二種以上を使用することができる。二種以上を使用する場合、スチレン誘導体とその他の不飽和単量体とを併用することができる。
【0027】
前記不飽和ポリエステル樹脂の原料成分である不飽和ポリエステルと不飽和単量体の好ましい配合比率は、不飽和ポリエステルが30〜80質量%であり、不飽和単量体が70〜20質量%である。不飽和ポリエステルが30質量%未満で、不飽和単量体が70質量%を超える場合には、得られる不飽和ポリエステル樹脂の硬化物の機械的特性が低下する傾向にある。一方、不飽和ポリエステルが80質量%を超え、不飽和単量体が20質量%未満の場合には、得られる不飽和ポリエステル樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
【0028】
また、前記ビニルエステル樹脂は、不飽和エポキシ樹脂又はエポキシアクリレート樹脂とも言われるもので、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基に、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和一塩基酸又はマレイン酸やフマル酸等の不飽和二塩基酸のモノエステルを開環付加させた反応生成物(以下、エポキシアクリレートと略記する。)を不飽和単量体に溶解させて得られる液状樹脂であり、公知のものがいずれも使用できる。
【0029】
前記エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂がいずれも使用できるが、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。前記不飽和単量体としては、前述の不飽和ポリエステル樹脂における不飽和単量体と同様の不飽和単量体のいずれも使用でき、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。
【0030】
そして、ビニルエステル樹脂の原料成分であるエポキシアクリレートと不飽和単量体との好ましい配合比率は、エポキシアクリレートが30〜90質量%であり、不飽和単量体が70〜10質量%である。エポキシアクリレートが30質量%未満で、不飽和単量体が70質量%を超える場合には、得られるビニルエステル樹脂の硬化物の耐蝕性や耐熱性が悪化する傾向にある。一方、エポキシアクリレートが90質量%を超え、不飽和単量体が10質量%未満の場合には、得られるビニルエステル樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
【0031】
さらに、前記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル樹脂を1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する架橋剤を必須成分として含有する不飽和単量体に溶解させた(メタ)アクリルシラップを指し、公知のものがいずれも使用できる。
【0032】
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、一種又は二種以上が選択して使用されるが、耐候性や透明性、表面光沢に優れる硬化物を得るためにはメチルメタクリレートを50質量%以上含有することが好ましい。また、メチルメタクリレートの沸点以上で加熱成形する場合には、硬化物の光沢ムラが少なく耐熱水性を向上させるためにメチルメタクリレートとシクロヘキサン環、ビシクロ環、トリシクロ環等の基を有する高沸点の(メタ)アクリル酸エステルを併用することが好ましい。また、(メタ)アクリル樹脂の原料成分として(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和一塩基酸、前述の不飽和ポリエステル樹脂における不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸のモノエステル、スチレン誘導体、ビニルエステル類を30質量%以下の範囲で含有させることもできる。
【0033】
(メタ)アクリル系樹脂の原料成分である前記不飽和単量体としては、前記(メタ)アクリル系樹脂の構成成分である(メタ)アクリル酸エステルに加え、前述の不飽和一塩基酸、不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸のモノエステル、スチレン誘導体、ビニルエステル類などが挙げられる。これらの不飽和単量体は、一種又は二種以上が選択して用いられるが、メチルメタクリレートを50質量%以上含有することが好ましい。メチルメタクリレートを50質量%以上含有することにより、耐候性や透明性、表面光沢に優れる硬化物が得られる。
【0034】
この不飽和単量体には、1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体、いわゆる架橋剤を必須成分として含有する。該架橋剤としては、前述の不飽和ポリエステル樹脂における(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、ビニルエステル類や、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートなどが挙げられる。これらの架橋剤は、一種又は二種以上より選択して用いられる。不飽和単量体中に占める架橋剤の含有量は、通常1〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%である。架橋剤の含有量が1質量%未満の場合には、これより得られる硬化物の耐熱性が悪化する傾向にある。一方、架橋剤の含有量が20質量%を超える場合には、これより得られる硬化物が脆くなる傾向にある。
【0035】
(メタ)アクリル系樹脂の原料成分である(メタ)アクリル樹脂と不飽和単量体の好ましい配合比率は、(メタ)アクリル樹脂が10〜50質量%であり、不飽和単量体が90〜50質量%である。(メタ)アクリル樹脂が10質量%未満で、不飽和単量体が90質量%を超える場合には、これより得られる硬化物にクラックが入り易くなる。一方、(メタ)アクリル樹脂が50質量%を超え、不飽和単量体が50質量%未満の場合には、(メタ)アクリル系樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
<成形材料>
成形材料は、前記熱硬化性樹脂及びその硬化剤として一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールを含有するものである。
【0036】
成形材料中におけるジ−t−アルキルパーオキシケタールの含有量は、成形温度や所望する成形時間等によって異なるが、熱硬化性樹脂100質量部に対して純分で好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜4質量部である。この含有量が0.1質量部より少ない場合には、硬化時間が長く、かつ硬化が不十分となる傾向にある。その一方、含有量が5質量部より多い場合には、硬化剤の増量に見合う効果が得られず、硬化剤が無駄になって実用的でなく、場合によっては硬化剤の分解残渣が成形物の着色といった外観上の問題を引き起こすために好ましくない。
【0037】
成形材料中には、熱硬化性樹脂及び一般式(1)で示される硬化剤に加えて、低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤及び強化材から選ばれる一種又は二種以上の添加剤(熱硬化性樹脂の物性向上剤)を含むこともできる。その他必要に応じて着色剤、柄材、加飾基材又は排水性向上剤を含有させることもできる。さらに、紫外線吸収剤、分離防止剤、増粘調節剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、撥水剤等、成形材料分野で用いられている公知の添加剤を用途に応じて含有させることができる。
【0038】
前記低収縮剤は、熱硬化性樹脂の硬化収縮を抑制し、硬化物(成形物)の寸法精度を高めると共に、表面の光沢性や平滑性といった表面特性を高めるための成分である。係る低収縮剤としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリスチレン、飽和ポリエステル等の熱可塑性樹脂類、ブタジエンゴム等のゴム類、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの低収縮剤は単独で配合しても良いし、低収縮性と表面特性、更には機械特性、着色性、透明性、耐熱水性を両立させるため、或いはポリスチレン等の熱可塑性樹脂とスチレン−酢酸ビニルブロック共重合体を併用することで熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の分離安定性を高めるといった目的で、二種以上を併用して配合することもできる。この低収縮剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは3〜30質量部である。低収縮剤は、スチレン等の単量体に溶解した溶液として配合することもできる。
【0039】
前記充填剤(フィラー)は、成形材料の流動性改善、硬化物の剛性の向上、収縮の低減、透明性の向上、表面光沢性及び平滑性の向上、軽量化等のための成分である。係る充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、クレー、シリカ、ガラスマイクロバルーン等の無機充填剤や、合成繊維、天然繊維等の有機充填剤が挙げられる。充填剤はシランカップリング剤等により表面処理したものも使用できる。この充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは50〜300質量部である。
【0040】
前記増粘剤は、成形材料の粘性を高め、強化材に含浸されやすくするための成分である。係る増粘剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、重合体粉末等が挙げられる。この増粘剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜5質量部である。前記離型剤は、成形物を金型から離型しやすくするための成分である。係る離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、アルキル燐酸エステル等の内部離型剤が挙げられる。離型剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは1〜8質量部である。
【0041】
前記重合禁止剤は、成形材料を重合させる前の段階で重合を抑制するための成分である。係る重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール等が挙げられる。その配合量は、成形温度や所望する型内流動時間(成形材料を加熱硬化させる際、金型内に配置した未硬化の成形材料がゲル化せずに金型内を流動できる時間)と成形時間、重合禁止剤の種類や成形物の着色度等によって異なるが、熱硬化性樹脂に対して通常100〜2000ppmである。
【0042】
前記強化材は、成形材料より得られる成形物について機械的強度、衝撃強度、耐圧強度等の強度を向上させ、クラック等の発生を抑制するための成分である。該強化材としては、例えばガラス繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維等の有機繊維が挙げられる。その強化材の形態としては、長さ1〜30mmのチョップドストランド、チョップドストランドマット、ロービングクロス、グラスクロス、フィラメントマット、コンティニュアスマット及び不織布等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。強化材の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して通常10〜70質量部である。前記着色剤としては、チタンホワイト、カーボンブラック等の無機顔料や有機染料が挙げられる。その配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは1〜10質量部である。
【0043】
そして、熱硬化性樹脂に硬化剤として前記ジ−t−アルキルパーオキシケタールを混合し、さらに前述の低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤及び重合禁止剤、必要に応じて着色剤等を混合することによりコンパウンドが得られる。そのコンパウンドを手作業又はSMC製造装置等により強化材に含浸させた後、フィルムに挟みシート状に成形することによりSMCを製造することができる。このSMCは通常、室温から40℃程度の温度範囲で数時間から2日間程度かけて熟成することによって所望の粘度まで増粘される。また、熱硬化性樹脂に硬化剤として前記ジ−t−アルキルパーオキシケタールを混合し、さらにニーダー等の混練機を用いて、前述の低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、禁止剤、着色剤及び強化材を混合し、バルク状に成形することによりBMCを製造することができる。
【0044】
次に、上記SMC、BMC等の成形材料の硬化方法は、成形材料を100〜180℃の硬化温度で加熱硬化させることによって行うことができる。硬化温度が100℃未満の場合には、成形材料の硬化速度が遅く、硬化時間が長くなり、生産性が低下する。一方、180℃を超える場合には、成形材料の型内流動性が悪化し、良好な成形物が得られ難くなる。具体的な成形方法としては、100〜180℃に予熱した金型や電鋳型を用いる圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、射出圧縮成形法等、公知の成形法が採用される。硬化時間は硬化温度や目的とする成形物の厚さ等によって異なるが、通常は1〜15分である。
<本実施形態の作用、効果のまとめ>
・ 本実施形態のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤では、前記の一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールを含有する。この硬化剤をラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤として使用した場合、従来のt−ブチルパーオキシアセテートに比べて熱分解温度が低く、またt−ブチルパーオキシアセテートやt−ブチルパーオキシベンゾエートとは異なる化学構造により、低い温度で分解が始まってラジカルを生成し、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化を促進させることができる。さらに、生成するラジカルはラジカル重合反応の効率が高く、未反応の不飽和単量体の残存を抑えることができると共に、成形物の表面状態を良好に維持することができる。
【0045】
従って、本実施形態によれば、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度を向上させることができると共に、不飽和単量体の残留を抑制することができ、かつ成形物の表面外観特性を良好にすることができる。
【0046】
・ 前記一般式(1)におけるRが炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であるジ−t−アルキルパーオキシケタールをラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤として使用した場合には、特に硬化速度を向上させ、未反応の不飽和単量体の残留を一層抑制することができる。
【0047】
・ 前記一般式(1)におけるRがn−プロピル基であるジ−t−アルキルパーオキシケタールをラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤として使用した場合、特に硬化速度を最も向上させ、未反応の不飽和単量体の残留を最も抑制することができる。
【0048】
・ ラジカル重合型熱硬化性樹脂、及び前記ジ−t−アルキルパーオキシケタールを含むラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤を含有する成形材料は、常温での保存安定性が高く、硬化特性値の変化も少ない。また加熱することにより、スチレン等のVOCが少なく建築材料にも好適に使用できる成形物が短時間の成形で得られる。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。各実施例及び比較例で使用した硬化剤の略記号を以下に示す。
THB〔2,2−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ブタン、純度:70.9質量%、活性酸素量:7.81質量%〕
MTBP〔2−メチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ペンタン、純度:59.1質量%、活性酸素量:7.21質量%〕
MTHP〔2−メチル−4,4−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ペンタン、純度:67.5質量%、活性酸素量:6.78質量%〕
MTBB〔2−メチル−3,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、純度:44.2質量%、活性酸素量:5.69質量%〕
MTHB〔2−メチル−3,3−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)ブタン、純度:62.4質量%、活性酸素量:6.56質量%〕
TBCH〔1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、純度:80.1質量%、活性酸素量:9.84質量%〕
THCH〔1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、純度:91.1質量%、活性酸素量:9.21質量%〕
TBPB〔t−ブチルパーオキシベンゾエート、純度:99.3質量%、活性酸素量:8.18質量%〕
TBPA〔t−ブチルパーオキシアセテート、純度:50.1質量%、活性酸素量:6.7質量%〕
また、成形材料の硬化特性、硬化物中の残存スチレン量及び硬化物の表面外観特性の測定は次の方法により行った。
(1)硬化特性
キュラストメーター〔日合商事(株)製JSRキュラストメーターV型、振幅角度±1/4°〕を用い、成形材料の上型145℃及び下型130℃による硬化試験を行い、硬化過程におけるトルク(N・m)の変化を測定した。そして、測定開始からトルクが発現するまでの時間(以下、Tと略記する)、最大トルク(以下、MHと略記する)の10%が得られるまでの時間(以下、T10と略記する)、及びMHの90%が得られるまでの時間(以下、T90と略記する)を測定した。なお、Tは型内流動可能時間の指標、T90−T10は硬化の立ち上がり時間の指標及びT90は脱型可能時間の指標となる。
(2)残存スチレン量
成形材料を下型145℃及び上型130℃に予熱した縦150mm、横100mm及び高さ3mmの金型内に配置後、5分間、10MPaの圧力でプレス成形することにより硬化物を製造した。そして、硬化物をプラスチック切断機により切断した試験片の残存スチレン量を測定するため、得られた試験片を粉砕機により粉砕し、約3gの試料を50ml(ミリリットル)の共栓付ガラス製三角フラスコに採取した。次いで、塩化メチレン20mlを抽出溶媒として25℃で24時間放置し、粉砕試料中に残存するスチレンを抽出した。その後、n−デカンを内部標準としてガスクロマトグラフィーにより硬化物中の残存スチレン量(質量%)を測定した。
(3)表面外観特性
残存スチレン量の測定において、プレス成形した裁断前の硬化物表面の状態を目視にて観察し、良好であれば○、劣っていれば×として表面外観特性を評価した。
(実施例1〜5)
500mlのポリエチレン容器に不飽和ポリエステル樹脂〔ジャパンコンポジット(株)製、商品名:ポリホープ6370、スチレン含有量43.1質量%)100質量部、充填剤として炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名:NS#100)150質量部を入れた。次いで、硬化剤として本発明のジ−t−アルキルパーオキシケタールをそれぞれ有機過酸化物純分で1質量部となる量を添加した。次いで、攪拌機で混合することによりコンパウンドを得た。そのコンパウンドをキュラストメーターを用いて上型145℃及び下型130℃で硬化させ、型締めから2.5分後に取り出した硬化物の残存スチレン量を測定した。さらに、表面外観特性の評価を行った。それらの結果を表1に示した。
(比較例1〜4)
硬化剤として本発明以外の過酸化物を用いた以外は実施例1〜5と同様にして成形材料を調製し、硬化特性、得られた硬化物の残存スチレン量及び表面外観特性を測定した。それらの結果を表1に示した。
【0050】
【表1】

表1に示した結果から、実施例1〜5のジ−t−アルキルパーオキシケタールを硬化剤として使用した場合、比較例1、3及び4の過酸化物を硬化剤として使用した場合よりも硬化物の残存スチレン量が少なくなることが明らかになった。さらに、硬化時間が短くなることが明らかになった。また、特許文献2に記載の環状ケタールである比較例2の過酸化物を硬化剤として使用した場合、実施例と同レベルまで硬化速度が速く、残存スチレン量も少ない結果であるが、表面外観特性が悪化した。この表面外観特性に関し、実施例1〜5の硬化剤の場合には明らかに改善されている。
【0051】
また、実施例の中でも、Rがメチル基の場合(実施例2及び実施例4)とn−プロピル基の場合(実施例1、実施例3及び実施例5)とを比較すると、Rがn−プロピル基である場合、明らかに残存スチレン量が少なく、優れていることが明白になった。その上、Rがn−プロピル基の場合、硬化が速く、脱型可能時間を短縮できるために生産性が向上する点で優れていることが判明した。
【0052】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記一般式(1)で示される熱硬化性樹脂用硬化剤として、純度、活性酸素量等の異なるものを複数種類組合せて使用することもできる。
【0053】
・ 一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールの具体的化合物を選択する場合には、10時間半減期温度を指標とし、その10時間半減期温度の低い化合物を選択して用いることができる。
【0054】
・ ジ−t−アルキルパーオキシケタールの希釈剤を選択する場合には、熱硬化性樹脂に親和性を有する観点から希釈剤を選択して使用することができる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
【0055】
・ 前記一般式(1)におけるRは、炭素数1〜5の直鎖のアルキル基であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤。このように構成した場合、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
【0056】
・ さらに、熱硬化性樹脂の物性向上剤を含有することを特徴とする請求項4に記載の成形材料。このように構成した場合、請求項4に係る発明の効果に加えて、物性向上剤の種類に応じて熱硬化性樹脂の物性を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で示されるジ−t−アルキルパーオキシケタールを含有することを特徴とするラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤。
【化1】

(但し、式中、Rは炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。RとRは同じ構造であってもよい。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のRは、炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤。
【請求項3】
前記一般式(1)中のRは、n−プロピル基であることを特徴とする請求項2に記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤。
【請求項4】
ラジカル重合型熱硬化性樹脂、及び請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤を含有することを特徴とする成形材料。

【公開番号】特開2010−150352(P2010−150352A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328811(P2008−328811)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】