説明

ラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート、光硬化性樹脂組成物、ハードコートフィルム及び成形品

【課題】
(1)塗工直後の時点でタックがなく、(2)成形に用いる時点で金型の曲面に追従し、クラックなどの外観不良を起こさないだけの柔軟性があり、かつ成形温度で取り扱い可能な程度の機械強度があり、(3)最終製品になった時点でハードコートとして十分なだけの高い表面硬度を示すハードコート剤に使用可能なラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーとウレタン(メタ)アクリレート、これらを用いた光硬化性樹脂組成物、および当該光硬化性樹脂組成物を用いたハードコートフィルム、成形品を提供する。
【解決手段】
少なくとも(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物と、(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が連結された分子構造を有するラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーであって、(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下であるラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート、光硬化性樹脂組成物、ハードコートフィルム及び成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主としてプラスチック製品の表面に硬度を付与し、耐擦傷性能を向上する場合には、塗料を用いた硬化膜層(以下、ハードコート層と称する場合がある)を形成する方法が用いられてきた。特に自動車等の車両の内装や外装、家電製品やOA機器、携帯電話のボディやキーパット部分などでは、多くの製品にハードコート層が形成されている。
【0003】
一般に成形品へのハードコート層の付与は、成形後に塗装を施すことにより行われてきた。すなわち、射出成形などで成形を行った後、成形品にスプレー塗装などの方法でハードコート層を付与する手法であるが、工程が2つに分かれることから生産性が低く、また複雑な形状の成形品に均一にハードコート層を形成することが難しいなどの課題を有していた。
【0004】
一方最近では、平面や曲面へのハードコート層の形成には、ハードコート層を有するフィルム(以下、ハードコートフィルムと称する場合がある。)を金型に挿入した状態で射出成形し、樹脂と一体化させるインサート成形や、ハードコートフィルムからハードコート層のみを成形品へ転写するインモールド成形が提案されている。これらの成形法で用いられるハードコートフィルムへのハードコート層の形成方法としては、プラスチックフィルムにハードコート剤を塗布し、乾燥後、必要に応じて紫外線等の活性放射線を照射し硬化するシステムが用いられている。
【0005】
ハードコート材料は通常、硬化前には液状または粘着性(以下、タック性と称する場合場ある。)を有する固体状態であるので、粘着性をなくすため、フィルムへの塗工後、巻き取りまたは積み重ね前に硬化工程を行う必要がある。しかしながら、硬化工程を行うと塗膜の架橋密度が高まるため、硬脆くなってしまいインサート成形やインモールド成形に用いる工程において曲面に追従できずクラック等の外観不良が生じる問題があった。
【0006】
一部のウレタンアクリレート樹脂などの常温で粘着性のない硬化型樹脂を用いれば、巻き取りまたは積み重ね時にブロッキング等の不都合は起こらない。さらに成形時には架橋をしていないためクラックなどの外観不良も起こさない。しかしながら、この方法を用いた場合では硬化後の表面硬度を十分に高めることはできず、耐擦傷性に劣る場合があった。理由は以下のとおりである。一般にウレタンアクリレート樹脂は水酸基以外に官能基を持たないポリオールとイソシアネート基以外に官能基を持たないポリイソシアネートの反応で得たウレタンプレポリマーの両末端にアクリレート基含有の化合物を反応させて得られるのでラジカル重合性基が導入できるのは末端に限られ、1分子あたりのラジカル重合性官能基数には限界がある。一方、未硬化でタックフリーにする場合は必然的に分子量を高める必要があるためラジカル重合性官能基密度が低下する。このため未硬化で十分にタックフリーでかつ、硬化後に十分高硬度のウレタンアクリレートは得ることは困難であるし、硬化後も未硬化の熱可塑性重合体の存在のため硬度を十分高くすることは著しく困難であった。
【0007】
また、ポリスチレンやポリメタクリル酸メチルなど架橋点を持たず、常温でタックフリーとなる熱可塑性重合体と、常温でタックがあり硬化工程により高硬度な塗膜を与える硬化材を適宜配合することにより、未架橋で常温においてタックフリーとすることも可能である。しかしながら、成形時の熱処理により塗膜が著しく軟化し外観不良を起こす場合があった。
【0008】
一方、ウレタン(メタ)アクリレートの製法においてジオール成分の一部として1個の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物を使用することが特許文献8、特許文献9に開示されている。しかしながら、該文献においては未硬化時のタック性に関しては何ら開示されていない。また、実施例で開示されているウレタンプレポリマーの二重結合当量は1700g/mol〜6100g/molと非常に疎であり、硬化後の硬度を満足できるレベルまで高めるには不十分であり、本願が解決しようとする課題にそのまま用いるのは不可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−103987号公報
【特許文献2】特開2001−162732号公報
【特許文献3】特開2002− 67238号公報
【特許文献4】特開2002− 69333号公報
【特許文献5】特開2004−346228号公報
【特許文献6】特開2001−113649号公報
【特許文献7】特開2003−170540号公報
【特許文献8】特開2008−189808号公報
【特許文献9】特開2010− 1414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、上記従来技術の問題に鑑み、インサート成形やインモールド成形用のハードコートフィルムに用いる硬化性組成物として、以下の物性に着目した。すなわち(1)塗工直後の時点でのタック性。タック性を有すると、フィルムの巻き取りや積み重ねを行ったときにブロッキング等の不都合が起こる場合がある。(2)成形時に柔軟性および機械強度を有すること。成形に用いる時点で金型の曲面に追従し、クラックなどの外観不良を起こさないだけの柔軟性、成形温度で取り扱い可能な程度の機械強度を有すれば、従来技術における問題を解消できる可能性がある。(3)成形後の表面硬度。最終製品になった時点でハードコートとして十分なだけの高い表面硬度を有する必要がある。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、前記問題点(1)〜(3)の全てを解決できるハードコート剤に好適に用いることが出来るウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレートおよびこれを用いた光硬化性樹脂組成物、及びこれを用いたハードコートフィルムや成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は上記課題および目的を設定し、種々の検討を行った結果、上述の目標、課題を見事達成、解決し、本発明に係るラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート、光硬化性樹脂組成物、ハードコートフィルム及び成形品を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、少なくとも(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物と、(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が連結された分子構造を有するラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーであって、(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下であるラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーである。
【0014】
また、本発明は、少なくとも上記(A)(B)に加えて、(C)1分子中に2個の水酸基を有しラジカル重合性基を有さない化合物が連結された分子構造を有するラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーであって、(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下であるラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーである。
上記のラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーであって、分子内にイソシアネート基を含むウレタンプレポリマーにさらに(D)1個のイソシアネート基と反応する基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートと、上記のラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーであって分子内に水酸基を含むウレタンプレポリマーにさらに(E)1個の水酸基と反応する基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートも本発明である。
【0015】
また本発明に係るラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートは、光重合開始剤と有機溶剤を必須として含有する光硬化性樹脂組成物として好適に用いることが出来る。
【0016】
また本発明は、プラスチックフィルム上に上述の光硬化性樹脂組成物をハードコート剤として塗布して成ることを特徴とするハードコートフィルムであり、さらに該ハードコートフィルムを用い、インサート成形もしくはインモールド成形して成る成形体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、塗工、乾燥直後の未架橋の状態で実質的にタックがなく、かつ適度な柔軟性と機械強度を合わせもち、成形後には活性放射線照射によりハードコート層として十分なだけの高硬度を発現するハードコート剤に好適に用いることが出来るラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレートおよびこれを用いた光硬化性樹脂組成物、ハードコートフィルムや成形品を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明に関わるラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーは、構成単位として少なくとも(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物の残基と、(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物の残基を含み、(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下であることを特徴とする。また諸物性の調整等のために(A)の一部に変えて(C)1分子中に2個の水酸基を有しラジカル重合性基を有さない化合物の残基を導入することもできる。
【0020】
また上記のウレタンプレポリマーはそのまま光硬化性樹脂組成物の成分として用いることも好適であるし、末端にイソシアネートを持つ場合は(D)イソシアネートと反応する基を分子内に1個含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、上記ウレタンプレポリマーが末端に水酸基を持つ場合は(E)水酸基と反応する基を分子内に1個含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物とそれぞれ反応させて両末端に(メタ)アクリロイル基を付加して光硬化性樹脂組成物の成分として用いることも好適である。
【0021】
また、末端に水酸基を持つ上記ウレタンプレポリマーと(D)イソシアネートと反応する基を分子内に1個含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を混合し、系中で末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーやイソシアネート基(水酸基と反応する)を分子内に含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を系内で発生させ、単離せずにそのまま反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成することも本発明の合成法として好適である。
【0022】
同様に、末端にイソシアネート基を持つ上記ウレタンプレポリマーと(E)水酸基と反応する基を分子内に1個含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物および/または(C)1分子中に2個の水酸基を有しラジカル重合性基を有さない化合物を混合し、系中で末端に水酸基を持つウレタンプレポリマーや水酸基(イソシアネート基と反応する)を分子内に含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を系内で発生させ、単離せずにそのまま反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成することも本発明の合成法として好適である。
【0023】
一般的なウレタン(メタ)アクリレートは末端にしかラジカル重合性基を持たせられないため、未硬化でタックをなくすため分子量を高めると、重合性基密度が低下して硬化膜の性能が低下してしまうのは前述のとおりであるが、本発明のウレタンプレポリマーは繰り返し単位中にラジカル重合性基を有するため、重合性基密度を低下させることなく分子量を上げることが出来る。
【0024】
本願明細書中では主鎖に1個または2個以上のウレタン結合を有するポリマーまたはオリゴマーをウレタンプレポリマーと称する。ウレタンプレポリマーは主にジオールとジイソシアネート化合物の重付加反応によって得られることが多いが、その他の製法で製造しても構わない。末端がイソシアネート基であるもの、水酸基であるもの、これら末端基と反応し得る官能基を持ちその他の官能基を持たない化合物で末端を封鎖したもののいずれをも本願明細書中ではウレタンプレポリマーと称する。なお、ラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーとは側鎖にラジカル重合性基を有するウレタンプレポリマーを意味する。
【0025】
ウレタン(メタ)アクリレートとはウレタンプレポリマーの末端官能基に、末端基と反応し得る官能基1個と、1個または複数の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させ、ウレタンプレポリマーの末端の一部又は全部を(メタ)アクリロイル基含有ユニットに変換したものを指す。
【0026】
合成に用いられる各成分としては公知のものを適宜使用することが出来るが、例を挙げて以下に詳細に説明する。
<(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物>
この成分は(B)と反応してウレタンプレポリマーの主鎖を線状に延長するとともに側鎖上にラジカル重合性基を持たせる働きをする。これらは例えばトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(別名:グリセリンモノ(メタ)アクリレート)、1,2,6−ヘキサントリオールモノ(メタ)アクリレート、1,2,3−ヘプタントリオールモノ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールモノ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートモノ(メタ)アクリレートなどの3官能アルコールのモノ(メタ)アクリレート体などが挙げられる。特に好ましいのは、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。これらは単独で用いても構わないし2種以上を併用しても構わない。
【0027】
また、これらは純品を用いるのが好ましいが、水酸基やラジカル重合性基の数の異なるものが混入していても使用可能である。前記不純物の混入量は10重量%程度以下が好ましい。1分子中に3個以上の水酸基を持つ不純物が多い場合はゲル化の恐れがあるので注意が必要だが、適宜1分子中に1個の水酸基を持つ化合物を併用することで支障なく本発明の合成に用いることが出来る。
<(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物>
この成分は水酸基と反応してウレタンプレポリマーの主鎖を延長するとともに柔軟かつ堅牢なウレタン結合を主鎖に導入する役割をする。
(B)としては、2〜3価(好ましくは2価)の、脂肪族ポリイソシアネート[C2〜12、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート]、脂環含有ポリイソシアート[C4〜15、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート]、芳香脂肪族ポリイソシアネート[C8〜12、例えばキシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)];芳香族ポリイソシアネート[2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジエチルベンゼンジイソシアネート、4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート]、これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カーボジイミド基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基、ビュレット基等を含有する変性物)などが挙げられる。これらは単独で用いても構わないし、適宜2種以上を用いても構わない。
上記(B)のうち、反応性の観点から好ましいのは芳香族ジイソシアネート、さらに好ましいのはMDI、TDIである。また、耐候性の観点から好ましいのは、脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環含有ポリイソシアネート、さらに好ましいのはHDI、IPDIおよびHMDIである。
<(C)1分子中に2個の水酸基を有しラジカル重合性基を有さない化合物>
この成分は(B)と反応し主鎖を延長するが、(A)と異なり側鎖にラジカル重合性基を導入しない。本発明において(C)成分は必ずしも導入する必要はないが、(A)成分を一部置き換えることにより、溶剤への溶解性、分子量、ラジカル重合性基密度、ガラス転移温度、粘度、他樹脂との相溶性等、ラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーの特性値や、成膜性、硬化膜硬度、未硬化膜の柔軟性など、光硬化樹脂組成物やハードコート剤、成形品の性能を容易に調整することができる。なお、(C)成分は安価なものが多いため各種物性に影響のない範囲で使用することにより原料原価低減の効果があることも多い。
【0028】
(C)成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等のアルキレン基がトリメチレン基である脂肪族2価アルコール;1,4−ブタンジオール等のアルキレン基がテトラメチレン基である脂肪族2価アルコール;1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール等のアルキレン基がペンタメチレン基である脂肪族2価アルコール;1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール等のアルキレン基がヘキサメチレン基である脂肪族2価アルコール;1,7−ヘプタンジオール等のアルキレン基がヘプタメチレン基である脂肪族2価アルコール;1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールのアルキレン基がオクタメチレン基である脂肪族2価アルコール;1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,20−エイコサンジオールが挙げられる。また、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジエタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,7−ノルボルナンジオール等のアルキレン基が有する置換基が環を形成している脂肪族2価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレン基の内部の炭素原子が酸素原子で置換されている脂肪族2価アルコール;2,5−テトラヒドロフランジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等のアルキレン基の内部の炭素原子が酸素原子で置換されていると共にアルキレン基が有する置換基が環を形成している脂肪族2価アルコール等が挙げられる。脂肪族2価アルコールに、p−キシリレンジオール、p−テトラクロロキシリレンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス[(4−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等の芳香族ジオール化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、エチレンオキサイド変性ビスフェノール、プロピレンオキサイド変性ビスフェノール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合で得られるポリグリコールや2価アルコールと2塩基酸との脱水縮合反応で得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
<(D)1個のイソシアネート基と反応する基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物>
(A)及び(C)成分由来の水酸基量の合計が(B)成分由来のイソシアネート基量を下回る条件でウレタンプレポリマーの合成を行った場合、生成するウレタンプレポリマーの末端はイソシアネート基になる。このイソシアネート基に(D)を反応させると末端に更に(メタ)アクリロイル基を導入することが出来、硬化後の塗膜強度を向上させることが出来る。
【0029】
(A)及び(C)成分由来の水酸基量の合計が(B)成分由来のイソシアネート基量を上回る条件でウレタンプレポリマーの合成を行った場合、生成するウレタンプレポリマーの末端は水酸基になる。末端に水酸基を持つウレタンプレポリマーと(D)と、(B)を混合し、系中で末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーやイソシアネート基(水酸基と反応する)を分子内に含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を系内で発生させ、単離せずにそのまま反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成することも本発明の合成法として好適である。
【0030】
(D)に含まれるイソシアネート基と反応する基については特に限定はされないが、水酸基やカルボキシル基が挙げられる。なかでも好ましいのは水酸基である。
(D)成分としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2,4−ヘプタントリオールジ(メタ)アクリレート、1,2,6−ヘキサントリオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を併用しても構わない。これらのうち好ましいのはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
<(E)1個の水酸基と反応する基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物>
(A)及び(C)成分由来の水酸基量の合計が(B)成分由来のイソシアネート基量を上回る条件でウレタンプレポリマーの合成を行った場合、生成するウレタンプレポリマーの末端は水酸基になる。この水酸基に(E)を反応させると末端に更に(メタ)アクリロイル基を導入することが出来、硬化後の塗膜強度を向上させることが出来る。
(A)及び(C)成分由来の水酸基量の合計が(B)成分由来のイソシアネート基量を下回る条件でウレタンプレポリマーの合成を行った場合、生成するウレタンプレポリマーの末端はイソシアネート基になる。末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーと(E)と、(A)および/または(C)を混合し、系中で末端に水酸基を持つウレタンプレポリマーや水酸基(イソシアネート基と反応する)を分子内に含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を系内で発生させ、単離せずにそのまま反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成することも本発明の合成法として好適である。
【0031】
(E)に含まれる水酸基と反応する基については特に限定はされないが、イソシアネート基やカルボキシル基、酸無水物構造などが挙げられる。中でも好ましいのはイソシアネート基である。
(E)成分としては、(メタ)アクリロイロキシエチルイソシアネート、1,1−ビス{(メタ)アクリロイロキシメチル}エチルイソシアネートなどが挙げられる。
<本発明のウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート合成法>
本発明のラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーやウレタン(メタ)アクリレートの合成法や合成条件については特段の制限はなく、公知の各種合成法を好適に用いることが出来る。
(A)と(B)、または(A)及び(C)と(B)を反応させてウレタンプレポリマーを製造する工程においては、各成分はその全量を一括で仕込んでもよく、いずれかあるいは全てを分割や連続で仕込んでも構わないが、反応容器の大きさ、構造等にもよるが少なくとも1つの成分を連続滴下する方が好ましい。滴下する際の反応系中の温度は、40〜100℃、好ましくは50〜90℃である。反応温度が40℃より低いと反応終了までに長時間を要し、生産効率が著しく低くなるため好ましくない。一方反応温度が100℃より高いと反応が過度に促進され、副生成物が増加するため好ましくない。
滴下速度は、上記の反応系中の温度を維持できる速度であれば特に制限されない。滴下時間は、上記の反応系中の温度を維持できる時間であれば良いが、通常は0.5〜30時間、好ましくは0.5〜20時間である。0.5時間より短いと場合によっては温度が著しく上昇し温度制御が困難になる。一方30時間より長いとウレタンプレポリマーに過剰な熱履歴を与えて重合性基の反応を引き起こす可能性があり、生産効率も低下するため好ましくない。また反応条件によっては滴下完了時点では反応が終了しないため、必要に応じて反応操作を継続することにより反応を完結させることもできる。
【0032】
生成するウレタンプレポリマーは純品では室温でタックフリーの固体になるため、反応は適当な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒中で行う場合、用いる溶媒は特に限定されないが、水酸基やイソシアネート基と反応し得る官能基を実質的に含まない溶媒であれば好適に用いることができる。好ましい溶媒としてはトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒:その他の公知の有機溶剤が挙げられる。使用する有機溶媒の種類は得られる樹脂の溶解性、反応温度を考慮して決められるが、乾燥時の残存溶媒の残りにくさの点からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン等の沸点が120℃以下の有機溶媒が好ましい。これらは、一種類のみが用いられてもよいし、二種類以上が用いられてもよい。
【0033】
水酸基とイソシアネート基の反応は無触媒で行っても構わないし、十分な反応速度が得られない場合は適宜触媒を添加しても構わない。触媒としては、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、オクタン酸錫などの有機錫化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛などのその他有機金属化合物、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラ(3−ジメチルアミノプロピル)−メタンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾールなどのアミン化合物およびそれらの塩、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン化合物が挙げられる。これらの中でも、少量にて反応速度を加速し、脂肪族イソシアネートに対する効果の大きい、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫が好適に用いられる。触媒の添加量は、原材料の仕込み量に対して0.1重量%以下で添加することが好ましい。0.1重量%より多いと触媒効果が過大となり、多量の反応熱が発生し温度制御不可能となる場合がある。
(A)と(B)または(A)及び(C)と(B)の反応で得られたウレタンプレポリマーに(D)または(E)を反応させてウレタン(メタ)アクリレートを製造する工程においては、(D)または(E)を撹拌下で滴下によって反応系中に仕込むのが好ましい。短時間に全量を仕込んだ場合、原料化合物の構造、分子量、反応容器の構造、攪拌羽根の形状、攪拌速度などにもよるが、一般に温度が著しく上昇し、温度制御が困難になる。さらには反応が過度に促進され、反応生成物の粘度が大幅に増加し、場合によってはゲル化する可能性があるので好ましくない。
【0034】
また、末端に水酸基を持つ上記ウレタンプレポリマーと(D)イソシアネートと反応する基を分子内に1個含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を混合し、系中で末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーやイソシアネート基(水酸基と反応する)を分子内に含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を系内で発生させ、単離せずにそのまま反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成することも本発明の合成法として好適である。
【0035】
同様に、末端にイソシアネート基を持つ上記ウレタンプレポリマーと(E)水酸基と反応する基を分子内に1個含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物および/または(C)1分子中に2個の水酸基を有しラジカル重合性基を有さない化合物を混合し、系中で末端に水酸基を持つウレタンプレポリマーや水酸基(イソシアネート基と反応する)を分子内に含有しかつ、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を系内で発生させ、単離せずにそのまま反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成することも本発明の合成法として好適である。
これらの製法をとる場合、各成分は一括で系中に添加しても構わないし、連続または不連続に滴下または分割添加してもよい。
ウレタンプレポリマー末端基と(D)または(E)中の官能基比率は特に限定されないが、イソシアネート末端含有ウレタンプレポリマーに(D)を反応させる場合、{(D)中の官能基}/{末端イソシアネート基}の比率が1.0〜3.0であることが好ましく、1.05〜2であることがより好ましい、1.1〜1.5であると更に好ましい。比率が1.0未満では安定性がやや低下する可能性があり、3.0を超えるとタックフリー性が低下する可能性がある。また、水酸基末端含有ウレタンプレポリマーに(E)を反応させる場合は{末端水酸基}/{(E)中の官能基}の比率が1.0〜3.0であることが好ましく、1.05〜2であることが好ましい、1.1〜1.5であると更に好ましい。比率が1.0を下回ると安定性がやや低下する可能性があり、3.0を超えると硬化塗膜の硬度が十分に高くならない可能性がある。
反応には必要に応じて触媒を添加することができる。触媒としては、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、オクタン酸錫などの有機錫化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛などのその他有機金属化合物、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラ(3−ジメチルアミノプロピル)−メタンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾールなどのアミン化合物およびそれらの塩、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン化合物が挙げられる。これらの中でも、少量にて反応速度を加速し、脂肪族イソシアネートに対する効果の大きい、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫が好適に用いられる。触媒の添加量は、原材料の仕込み量に対して0.1重量%以下で添加することが好ましい。0.1重量%より多いと触媒効果が過大となり、多量の反応熱が発生し温度制御不可能となる場合がある。
(D)または(E)を滴下する際の反応系中の温度は、反応容器の大きさ、構造等にもよるが、40〜100℃、好ましくは50〜90℃である。100℃を超えると(メタ)アクリロイル基の重合反応が誘発され、過度の増粘を引き起こす可能性がある。一方40℃より低いと反応時間が長くなり、生産効率が著しく低下するため好ましくない。
滴下速度は、上記の反応系中の温度を維持できる速度であれば特に制限されない。
滴下時間は、上記の反応系中の温度を維持できる時間であれば良いが、通常は0.5〜30時間、好ましくは0.5〜20時間である。0.5時間より短いと場合によっては温度が著しく上昇し温度制御が困難になる。一方30時間より長いとウレタン(メタ)アクリレートに過剰な熱履歴を与えて重合性基の反応を引き起こす可能性があり、生産効率も低下するため好ましくない。また反応条件によっては滴下完了時点では反応が終了しないため、必要に応じて反応操作を継続することにより反応を完結させることができる。
【0036】
本発明における反応時には、反応系に各種添加剤を加えることも可能である。添加剤としては反応に悪影響を与えない限り、特に制限はないが例えばラジカル重合禁止剤、1官能の水酸基含有化合物、1官能イソシアネート基含有化合物などが挙げられる。
【0037】
ラジカル重合禁止剤は(A)(D)(E)成分由来のラジカル重合性基の重合反応による系のゲル化を抑制するため添加することが好ましい。またラジカル重合禁止剤の効果を高めるため反応系水相中に、酸素分圧が4〜21%の酸素/窒素混合ガスのバブリングを併用することも効果的である。
ラジカル重合禁止剤の具体例としては例えば、下記のような化合物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
2−t−ブチルハイドロキノン、2−t−アミルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、トリス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、トリス(3−t−アミル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−エチル−4−ヒドロキシ−5−t−アミルフェニル)ブタン、4.4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−アミルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピノニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N′−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフェートジエチルエステル、ジ(2−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、2,2′−オキサミドビス[エチル−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ等が好ましく用いることができる。
【0038】
1官能の水酸基含有化合物、1官能のイソシアネート基含有化合物はウレタン化反応を停止する停止剤として作用するが、重合度を適宜調整したい場合に少量添加すると所望の分子量の生成物が得られて好都合である。また、少量成分や不純物として3個以上の水酸基をもつ成分を使用する場合はゲル化抑制のために効果的である。
1官能の水酸基含有化合物としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、イソオクタノール等の炭素数1〜24のアルコール等が挙げられる。
1官能のイソシアネート基含有化合物としては、フェニルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネートなどの炭素数2〜24のモノイソシアネート等が挙げられる。
【0039】
また、(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物と(C)1分子中に2個の水酸基を有しラジカル重合性基を有さない化合物の比率については特に制限はないが、{(A)中の水酸基量}/{(A)中の水酸基量+(C)中の水酸基量}がモル比で0.2〜1であることが好ましい。より好ましくは0.3〜1、更に好ましくは0.5〜1である。この比率が0.2を下回ると生成するウレタンプレポリマー側鎖に含まれるラジカル重合性基密度が小さくなるため、硬化性が低下し、硬化膜の強度が十分に高くならない恐れがある。
【0040】
(A)及び(C)中の水酸基量の合計と(B)中のイソシアネート基量の比率については特に制限はないが、{(A)中の水酸基量+(C)中の水酸基量}/{(B)中のイソシアネート量}が、モル比で0.5〜2であることが好ましい。より好ましくは0.7〜1.5、更に好ましくは0.8〜1.2である。比率が0.5未満または2超になると平均重合度が著しく低下するため、生成するウレタンプレポリマーを乾燥したときタック感が残るおそれがある。
<ラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー>
本願発明のラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーとは上記のとおり(A)と(B)または(A)、(C)と(B)の反応で得られるもので(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下であるものである。(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1200g/mol以下であれば好ましく、1000g/mol以下であれば更に好ましい。1500g/molを超えると二重結合密度が疎になりすぎるため、硬化後の架橋密度が十分に高くならず、ハードコート性能が低下して不都合である。
【0041】
なお、本願における側鎖ラジカル重合性基当量とは側鎖ラジカル重合性基1molを含むウレタンプレポリマーの重量を表す。例えば1500g/molとはウレタンプレポリマー1500gが側鎖ラジカル重合性基1molを含むことを意味し、数値が小さいほど側鎖ラジカル重合性基密度が高いことを表す。側鎖ラジカル重合性基当量は、例えば、H−NMR測定による二重結合プロトンとプロトン全体のピーク比や、ヨウ素価滴定など、公知の分析法によって求めることが可能である。また、製造方法が判明しており、ウレタンプレポリマー合成反応が実質的に完結している場合、仕込み重量比率と(A)成分の分子量から以下の式で算出することも出来る。
(側鎖ラジカル重合性基当量)=(A)分子量×{(A)仕込み重量+(B)仕込み重量+(C)仕込み重量}/(A)仕込み重量
上記条件を満たせば特に制限はないが、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算で計算した重量平均分子量(Mw)が1000〜1000000の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは1500〜500000、更に好ましくは2000〜300000、最も好ましくは2500〜200000である。Mwが1000を下回ると未硬化状態でのタックフリー性が失われる可能性があり、1000000を上回ると溶液粘度が著しく上昇し取り扱いが困難になる恐れがある。
【0042】
合成終了時点での末端基(完全に線状のものにおいては片末端または両末端、分岐を含むものについては一部又は全部の末端)は水酸基、またはイソシアネート基のいずれか過剰に用いた方になっている。そのまま用いても構わないし、安定性や機能性を付与するためにこれら末端基の一部又は全部を、末端基と反応し得る官能基を1個持ちその他の官能基を持たない化合物で封鎖しても構わない。とくにイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーについては末端基封鎖を行うと安定性が向上し、好都合である。
<ウレタン(メタ)アクリレート>
本願発明のウレタン(メタ)アクリレートとは上記(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下のラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーの末端基(完全に線状のものにおいては片末端または両末端、分岐を含むものについては一部又は全部の末端)の一部又は全部に末端基と反応し得る官能基1個と(メタ)アクリロイル基1個又はそれ以上を持つ化合物を反応させて得るものである。
【0043】
上記条件を満たせば特に制限はないが、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算で計算した重量平均分子量(Mw)が1000〜1000000の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは1500〜500000、更に好ましくは2000〜300000、最も好ましくは2500〜200000である。Mwが1000を下回ると未硬化状態でのタックフリー性が失われる可能性があり、1000000を上回ると溶液粘度が著しく上昇し取り扱いが困難になる恐れがある。
<タックフリー性>
上記ウレタンプレポリマーまたはウレタン(メタ)アクリレートを合成後そのまま、もしくは必要に応じて溶剤希釈したのち、バーコーター等でPETなどのプラスチックフィルムに塗布する。オーブンやホットプレート等で乾燥して得た塗膜面を設定温度に調整し、塗膜面同士が接触するように、指その他の器具で強く(3kgf/cm以上の力で1秒以上)圧着し速やかに剥離した際、塗膜の移行や著しい荒れが目視で見られなければ該温度でタックフリー性良好、塗膜に全く変化が見られなければ該温度でタックフリー性優秀と判断できる。
【0044】
ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレートともに、圧着時の塗膜温度が常温以上でタックフリー性良好または優秀であれば構わないが、40℃以上の試験条件でタックフリー性良好または優秀であることが好ましい。60℃以上でタックフリー性良好または優秀であれば更に好ましく、80℃以上でタックフリー性良好または優秀であれば非常に好ましい。100℃以上でもタックフリー性良好または優秀であるのが最も好ましい。40℃以上でタックフリー性良好または優秀であれば夏場でも積み重ねたり合い紙なしで巻き取ったりして保管することが可能になり好都合である。60、80、または100℃以上でタックフリー性良好または優秀であれば、塗布乾燥後特段の冷却工程をおかずに巻き取ることができ実用上非常に好都合である。
【0045】
なお、試験に使用する溶剤は特に限定はないが試料を十分に溶解し乾燥条件で十分蒸発するものを選択することが好ましい。また、塗膜の乾燥厚みについても特に制限はないが、通常1〜10μmで試験を行う。
<光硬化性樹脂組成物>
本発明の光硬化性樹脂組成物は上記ウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤と有機溶剤を必須として含有すればとくに制限はない。
【0046】
上記ウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートの配合比については特に制限はないが、組成物全体の5〜90重量%であることが好ましい。より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜70重量%である。配合比が5重量%を下回れば乾燥性などの生産性が低下する恐れがあり、90重量%を超えるとレベリング性などが低下する可能性がある。
光重合開始剤は、使用する光源の波長に対して活性を有するものが適宜配合され、適切な活性種を発生するものを用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、アントラキノン、メチルアントラキノン、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、ベンジルジアセチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド、α−クロルメチルナフタレン、アントラセン、ヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等がある。
これらの光重合開始剤は、例えば「イルガキュア651」「イルガキュア184」「イルガキュア184D」「ダロキュア1173」「イルガキュア500」「イルガキュア1000」「イルガキュア2959」「イルガキュア907」「イルガキュア369」「イルガキュア379」「イルガキュア1700」「イルガキュア149」「イルガキュア1800」「イルガキュア1850」「イルガキュア819」「イルガキュア784」「イルガキュア261」(以上、チバ・ジャパン株式会社)などの商品名により市販されているものを好適に使用することが出来る。
上記光重合開始剤は、光硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して0.5〜20重量%の割合で配合するのが好ましい。より好ましくは1〜15重量%であり、更に好ましくは2〜10重量%である。光重合開始剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
本発明の光硬化性樹脂組成物は無溶剤では固形または非常な高粘度になり、薄膜状に塗布することが非常に困難であるため、有機溶剤を含有する必要がある。
溶剤については特に限定はないが、配合する本願ウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートと反応し得る官能基を含まないものであれば好適に用いることが出来る。好ましい溶媒としてはトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒:その他の公知の有機溶剤が挙げられる。使用する有機溶媒の種類は得られる樹脂の溶解性、重合温度を考慮して決められるが、乾燥時の残存溶媒の残りにくさの点からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン等の沸点が120℃以下の有機溶媒が好ましい。これらは、1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。溶剤使用量は特に限定はないが、組成物粘度が採用する塗工方式に適した粘度になるように調整することが好ましい。好ましい使用量としては組成物全体の5〜90重量%であり、より好ましくは10〜85重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。
必須成分ではないが、本願光硬化性樹脂組成物はラジカル重合性基を有する低分子または高分子化合物(本発明のラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーおよびウレタン(メタ)アクリレートは除く)を含むことが出来る。これらは配合する光重合開始剤への光照射で発生する活性種により高分子量化できる化合物であれば特に限定はないが、配合する本願ウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートと暗反応する官能基を持たないものが好ましい。高分子量化するための官能基として(メタ)アクリロイル基、芳香族ビニル構造、ビニルエーテル基などのエチレン性不飽和結合を有するものが好ましい。1分子中の高分子量化するための官能基数については特に制限はなく1個でも2個以上でも構わない。これらのうちで単官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
【0048】
単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、アダマンチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
多官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
その他に以下に例示する単官能または多官能の化合物も反応性希釈剤として用いることができる。(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ジビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、ジビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和モノマー;酢酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン化合物等;ビニルピロリドン、ビニルカプロラクトン等のビニル化合物;フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロプロピルメトキシシラン等の含珪素不飽和モノマー及び重合性紫外線吸収性モノマーが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチルなどの異種の重合性官能基を同一分子中に含有する化合物も使用できる。
【0051】
また、本願のウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレート以外の重合性官能基含有高分子化合物も使用可能であり、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレートなど種々のものが使用可能である。
これらは、1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。反応性希釈剤の添加量については特に限定はないが組成物全体の0〜30重量%が好ましい。より好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、前記の成分以外に公知の各種添加剤を含有することができる。例えば有機または無機の充填剤、有機または無機の微粒子、シリコーン離型剤等の離型剤、シランカップリング剤などのカップリング剤、殺菌剤、防腐剤、可塑剤、レベリング調整剤、着色顔料、防錆顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミンなどの光安定化剤、帯電防止剤などを含有してもよい。
【0052】
上記、各種添加剤の添加量については特に限定はないが、合計で組成物全体の0〜30重量%が好ましい。より好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。
<ハードコートフィルム>
本発明のハードコートフィルムは本発明の光硬化性樹脂組成物をプラスチックフィルムに塗布する工程を含む製法で得ることが出来る。
【0053】
プラスチックフィルムとしては特に限定はないが例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を用いることが出来る。
なお、ハードコート剤との密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施してもよい。
フィルムには光硬化性樹脂組成物塗布前にあらかじめ片面又は両面に粘着剤層や意匠性付与のための印刷やコーティングが付与されていても構わない。
塗布には公知の方法、例えば、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などを用いることができる。塗工機を用いず、アプリケーターやバーコーターを用いて手動で塗布しても構わない。ハードコート剤の粘度が塗布に適した粘度より高ければ溶剤を用いて粘度調整をしても構わない。使用可能な溶剤は前記のとおりである。
光硬化性樹脂組成物は溶剤を含むので、塗布後に乾燥を行う必要がある。乾燥温度は乾燥ラインの長さ、ライン速度、塗布量、残存溶剤量、基材の種類等を考慮して決めればよい。基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであれば、一般的な乾燥温度は50〜150℃である。1ラインに複数の乾燥機がある場合は、それぞれの乾燥機を異なる温度、風速に設定してもよい。塗工外観の良好な塗膜を得るためには、入り口側の乾燥条件をマイルドにするのが好ましい。
塗布厚みに特に制限はないが乾燥後膜厚が1〜50μmになるように塗工するのが好ましい。より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmである。
【0054】
塗布、乾燥後、基材が長尺のフィルムの場合は通常巻き取りを行う。
【0055】
上記の工程を経て得られたハードコートフィルムはインサート成形およびインモールド成形用のハードコートフィルムとして好適に用いることが出来る。
<成形品>
前記のハードコートフィルムは、公知の方法のインサート成形およびインモールド成形に用いることが出来る。すなわち、成形温度に熱した金型にフィルムをはさんだ後、樹脂を流し込んでフィルムと樹脂を一体化させる(インサート成形)工程や、成形温度に熱した金型にフィルムをはさんだ後、樹脂を流し込んでフィルムと樹脂を圧着し、次いで基材フィルムのみを剥離することによりハードコート層を含む層が樹脂成形品表面に転写させる(インモールド成形)工程に好適に用いることができる。
【0056】
いずれの方式でも成形後、成形品に光重合開始剤の吸収波長を含む波長の紫外線を照射することにより、光重合開始剤を分解し、ラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートを重合、硬化させることができる。その他の重合性化合物が添加されている場合は同時に硬化される。紫外線照射は成形品を金型から取り出したあとに行ってもよいし、透明の金型を用いているのであれば成形品が金型の中にある状態で行ってもよい。金型から取り出したあとに照射する場合は、照射は空気中で行っても構わないし、硬化阻害を防止するため、窒素ガス等の不活性ガス下で照射を行ってもよい。紫外線照射の光源に制限はないが、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い、100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域で、100〜5000mJ/cmのエネルギーを有する紫外線を照射するのが好ましい。
【0057】
成形品の基材としては特に制約はなく、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いてもよい。また熱硬化性樹脂を繊維状の補強剤で強化したバルクモールディングコンパウンドやシートモールディングコンパウンドなどを用いることもできる。これらの基材の表面に本願ハードコートフィルムを被覆することにより、よりすぐれた外観や耐擦傷性などの機能を付与することができる。
【0058】
上記の工程で製造された成形品は、用途は特に限定されないが、たとえば自動車等の車両の内装や外装、家電製品やOA機器、携帯電話のボディやキーパット部分などに用いることができ、最表面の耐傷付き性を向上させることが出来る。また、あらかじめ印刷や意匠性を持った層の積層などを施したハードコートフィルムを使用した場合は、同時に製品への意匠性の付与もすることができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであってとくにこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
ウレタンプレポリマー溶液1の合成
攪拌機、冷却管、滴下漏斗、温度計を備えた300mL4つ口フラスコにグリセリンモノメタクリレート・16.6重量部、メチルエチルケトン(MEK)・39.6重量部、メトキノン・0.1重量部、ジブチル錫ジラウレート・0.001重量部を仕込み、60℃に昇温した。トリレンジイソシアネート(TDI)・16.9重量部を滴下漏斗から90分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、末端が水酸基であるウレタンプレポリマー溶液1を得た。
【0060】
ウレタンプレポリマー溶液1の分析結果は以下のとおり。
【0061】
重量平均分子量(Mw)=11400、数平均分子量(Mn)=3000、分散度(Mw/Mn)=3.86、不揮発分=46%、側鎖ラジカル重合性基当量(計算)=323g/mol。
<実施例2>
ウレタンプレポリマー溶液2の合成
攪拌機、冷却管、滴下漏斗、温度計を備えた300mL4つ口フラスコにグリセリンモノメタクリレート・15.8重量部、メチルエチルケトン(MEK)・40.7重量部、メトキノン・0.1重量部、ジブチル錫ジラウレート・0.001重量部を仕込み、60℃に昇温した。トリレンジイソシアネート(TDI)・17.6重量部を滴下漏斗から90分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマー溶液2を得た。
【0062】
ウレタンプレポリマー溶液2の分析結果は以下のとおり。
【0063】
重量平均分子量(Mw)=9400、数平均分子量(Mn)=2700、分散度(Mw/Mn)=3.48、不揮発分=47%側鎖ラジカル重合性基当量(計算)=338g/mol。
<実施例3>
ウレタンプレポリマー溶液3の合成
攪拌機、冷却管、滴下漏斗、温度計を備えた300mL4つ口フラスコにグリセリンモノメタクリレート・8.9重量部、数平均分子量400で両末端水酸基のポリエチレングリコール(PEG400)・12.0重量部、メチルエチルケトン(MEK)・40.7重量部、メトキノン・0.1重量部、ジブチル錫ジラウレート・0.001重量部を仕込み、60℃に昇温した。トリレンジイソシアネート(TDI)・17.6重量部を滴下漏斗から90分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマー溶液3を得た。
【0064】
ウレタンプレポリマー溶液3の分析結果は以下のとおり。
【0065】
重量平均分子量(Mw)=7100、数平均分子量(Mn)=3300、分散度(Mw/Mn)=2.18、不揮発分=45%、側鎖ラジカル重合性基当量(計算)=692g/mol。
<比較例1>
比較用ウレタンプレポリマー溶液1の合成
攪拌機、冷却管、滴下漏斗、温度計を備えた300mL4つ口フラスコにジエチレングリコール・9.5重量部、メチルエチルケトン(MEK)・40.7重量部、メトキノン・0.1重量部、ジブチル錫ジラウレート・0.001重量部を仕込み、60℃に昇温した。トリレンジイソシアネート(TDI)・17.6重量部を滴下漏斗から90分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、末端がイソシアネート基である比較用ウレタンプレポリマー溶液1を得た。
【0066】
比較用ウレタンプレポリマー溶液1の分析結果は以下のとおり。
【0067】
重量平均分子量(Mw)=9900、数平均分子量(Mn)=2500、分散度(Mw/Mn)=3.95、不揮発分=42%、側鎖ラジカル重合性基=なし。
<実施例4>
ウレタンアクリレート溶液4の合成
実施例1に従ってウレタンプレポリマー溶液1を合成後、引き続きアクリロイロキシエチルイソシアネート2.8重量部を滴下漏斗から60分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、ウレタンアクリレート溶液4を得た。
【0068】
ウレタンアクリレート溶液4の分析結果は以下のとおり。
【0069】
重量平均分子量(Mw)=11800、数平均分子量(Mn)=3100、分散度(Mw/Mn)=3.81、不揮発分=46%。
<実施例5>
ウレタンアクリレート溶液5の合成
実施例1に従ってウレタンプレポリマー溶液1を合成後、引き続きジペンタエリスリトールペンタアクリレート15.3重量部とMEK15.4重量部、ジブチル錫ジラウレート・0.001重量部の混合物を一括投入して十分混合した後、トリレンジイソシアネート(TDI)1.4重量部を滴下漏斗から60分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、ウレタンアクリレート溶液5を得た。
【0070】
ウレタンアクリレート溶液5の分析結果は以下のとおり。
【0071】
重量平均分子量(Mw)=32500、数平均分子量(Mn)=2400、分散度(Mw/Mn)=13.69、不揮発分=47%。
<実施例6>
ウレタンアクリレート溶液6の合成
実施例3に従ってウレタンプレポリマー溶液3を合成後、引き続きジペンタエリスリトールペンタアクリレート15.7重量部とMIBK19.2重量部の混合物を滴下漏斗から60分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、ウレタンアクリレート溶液6を得た。
【0072】
ウレタンアクリレート溶液6の分析結果は以下のとおり。
重量平均分子量(Mw)=7400、数平均分子量(Mn)=3500、分散度(Mw/Mn)=2.09、不揮発分=45%。
<比較例2>
比較用ウレタンアクリレート溶液2の合成
比較例1に従って比較用ウレタンプレポリマー溶液1を合成後、引き続きジペンタエリスリトールペンタアクリレート15.7重量部とMIBK19.2重量部の混合物を滴下漏斗から60分かけて滴下した。滴下終了後60℃で3時間熟成し、比較用ウレタンアクリレート溶液2を得た。
【0073】
比較用ウレタンアクリレート溶液2の分析結果は以下のとおり。
【0074】
重量平均分子量(Mw)=5300、数平均分子量(Mn)=2500、分散度(Mw/Mn)=2.12、不揮発分=43%。
<実施例7〜12、比較例3、4>
光硬化性樹脂組成物、ハードコートフィルム
実施例1〜6、比較例1、2で得たウレタンプレポリマー溶液またはウレタンアクリレート溶液を表1のとおり配合し、光硬化性樹脂組成物7〜14を作製した。各組成物をバーコーター(No.30)で125μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、100℃熱風オーブンで3分間乾燥して透明で均一な塗膜をもつハードコートフィルムを得た。乾燥膜厚はいずれも5μmであった。このサンプルでタックの測定を行った。また別途、離型処理したプラスチックフィルムに乾燥膜厚50μmで各組成物を塗布し、未硬化状態で膜のみを剥離して90℃で延伸する条件で塗膜のび試験を行った。塗膜のび試験の条件で官能評価で十分膜強度を保っているか判断し、機械強度試験とした。
【0075】
さらに、上記サンプルをアイ紫外線硬化用装置「US2−0401」を用い紫外硬化用高圧水銀ランプ4kW「H04−L41」(いずれもアイグラフィックス株式会社)で紫外線照射を行った。紫外線強度は110mW/cm、積算光量は3000mJ/cmであった。このサンプルで鉛筆硬度、耐擦傷(耐スチールウール)性試験を行った。
比較例3は架橋点を持たず、比較例4も末端にしか持たないためいずれも鉛筆硬度試験、耐擦傷試験結果はよくなかった。実施例7〜12はすべての項目で評価が良好であり、本発明の効果が現れている。
















































【0076】
【表1】

【0077】
表中の数字は重量部。「ダロキュア1173」(チバ・ジャパン株式会社)は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン。
【0078】
試験条件と判定基準は以下のとおりである。
タック:100℃熱風オーブンで乾燥後、未硬化状態で、温度が低下する前にすばやく塗膜面同士を強く(3kgf/cm以上の力で1秒以上)圧着し、速やかに剥離した際の塗膜の様子を目視で判断した。◎=異状なし(優秀)、○=わずかに跡がつく(良好)、△=若干の剥離がある、×=大部分が剥離する
塗膜のび:離型フィルムに乾燥膜厚50μmで塗布し、未硬化状態で膜のみを剥離して90℃で延伸する。◎=100%以上延伸しても白化、破断ともになし、○=50%以上延伸しても白化、破断ともになし、×=50%以内の延伸で白化または破断する。
機械強度:塗膜のび試験条件条件での膜の状態を目視判定し、○×で表記した。
鉛筆硬度:JIS K−5600に準じて測定、判定。荷重750g。
耐擦傷(スチールウール)性:荷重1000g、番手#0000のスチールウールで10往復擦り、傷の有無を目視で判定。◎=傷なし、○=細い傷が1〜9本、△=細い傷が多数、×=太い傷が多数。

<実施例13>
実施例10で得たハードコートフィルムを、130℃にした3次元形状の金型内にセットし、次いでポリMMA樹脂を射出成形した。成形品を金型から取り出し、室温まで放冷した後、アイ紫外線硬化用装置「US2−0401」を用い紫外硬化用高圧水銀ランプ4kW「H04−L41」(いずれもアイグラフィックス株式会社)で紫外線照射を行って成形品を得た。紫外線強度は150mW/cm、積算光量は3000mJ/cmであった。成形品を目視で観察したところクラックなどの外観異常は見られなかった。鉛筆硬度、耐擦傷(スチールウール)性を測定したところ表1の実施例10と同等の良好な結果が得られた。
<比較例5>
比較例4で得た組成物14を用いた以外は実施例13と同様にして成形品を得た。成形品を目視で観察したところ塗膜が不均一な部分が見られた。鉛筆硬度、耐擦傷(スチールウール)性を測定したところ表1の比較例4と同等の実施例より劣る結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物と、(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が連結された分子構造を有するラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーであって、(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下であるラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー。
【請求項2】
少なくとも(A)1分子中に2個の水酸基と1個のラジカル重合性基を有する化合物と、(B)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、(C)1分子中に2個の水酸基を有しラジカル重合性基を有さない化合物が連結された分子構造を有するラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマーであって、(A)成分由来の側鎖ラジカル重合性基当量が1500g/mol以下であるラジカル重合性基含有ウレタンプレポリマー。
【請求項3】
請求項1または2記載のウレタンプレポリマーであって分子内にイソシアネート基を含むウレタンプレポリマーにさらに(D)1個のイソシアネート基と反応する基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項4】
請求項1または2記載のウレタンプレポリマーであって分子内に水酸基を含むウレタンプレポリマーにさらに(E)1個の水酸基と反応する基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項5】
請求項1〜4記載のウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤と有機溶剤を必須として含有する光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
プラスチックフィルム上に請求項5記載の光硬化性樹脂組成物を塗布して成ることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項7】
請求項6記載のハードコートフィルムを用い、インサート成形またはインモールド成形して成る成形品。

【公開番号】特開2012−72327(P2012−72327A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219852(P2010−219852)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】