説明

ラチェット式スパナ

【課題】締結部材が設置された場所が狭い場合にも、締結部材の締結および弛緩を容易にかつ効率的に行うことができるラチェット式スパナを提供する。
【解決手段】ナット挿入部3の第1内面αには、第2内面β側の端部に平面状の第1当接部Aが形成されるとともに、その反対側に第1凹部21が形成され、第2内面βには、第1内面α側および第3内面γ側に平面状の第1内面側第2当接部A´および第3内面側第2当接部Bが形成されるとともに、第1内面側第2当接部A´と第3内面側第2当接部Bとの間に第2凹部22が形成され、第3内面γは、平面状に形成され、第4内面δには、第3内面γと反対側に平面状の第4当接部Dが形成されるとともに、第3内面γ側に第3凹部23が形成されて、ナット挿入部3の開口端3aの幅寸法wは、ナット10の対向する側面間の寸法よりも大きく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラチェット式スパナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の線路に設けられている転てつ機の検査の際に、転てつ機の付属装置のスイッチアジャスタの密着調整を行っている。
このとき、スイッチアジャスタネジ(ボルトナット)およびフロントロッドネジ(ボルトナット)をスパナで廻す必要があるが、スイッチアジャスタと枕木との間隔が狭いため、ボルトナットをスパナで廻せる範囲が限られている。
このため、限られた範囲においてボルトナットにスパナを装着して廻し、この後にボルトナットからスパナを外して、再度限られた範囲内においてボルトナットにスパナを装着して廻す作業を繰り返したり、最初に限られた範囲内においてスパナでボルトナットを緩めた後、作業者が手でボルトナットを廻したりしていた。
【0003】
そこで、ボルトやナットなどの締結部材に装着されて、一の方向に回転させると、締結部材に回転力が作用し、締結部材から外さずに一の方向の逆方向に回転させると、締結部材に回転力が作用しないラチェット式のスパナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−83828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1のラチェット式のスパナは、作業時にスパナから締結部材が抜けることを防止するために、締結部材が挿入される開口凹部の側方の開口幅が締結部材の幅寸法よりも狭くなるように形成されている。このため、締結部材に高さ方向(軸方向)からスパナを装着する構成で、締結部材の側方(軸方向に直交する方向)からスパナを装着することができなかった。
これにより、締結部材が設置された場所が狭く、側方からしか締結部材にスパナを装着することができない場合、このスパナを使用することができなかった。
【0006】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、締結部材が設置された場所が狭い場合にも、締結部材の締結および弛緩を容易にかつ効率的に行うことができるラチェット式スパナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかるラチェット式スパナは、柄部と、該柄部の一方の端部に連結されて6角形状の締結部材に装着される凹状の締結部材挿入部が形成された頭部とを備えるラチェット式スパナにおいて、前記締結部材挿入部は、内面が前記締結部材の連続する4つの側面と対向し、各前記側面と対向する第1内面、第2内面、第3内面および第4内面が連続するように構成され、前記第1内面には、前記第2内面側の端部に前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第1当接部が形成されるとともに、その反対側に第1凹部が形成され、前記第2内面には、前記第1内面側および前記第3内面側に前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第1内面側第2当接部および第3内面側第2当接部が形成されるとともに、前記第1内面側第2当接部と前記第3内面側第2当接部との間に第2凹部が形成され、前記第3内面には、前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第3当接部が全面に形成され、前記第4内面には、前記第3内面と反対側に前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第4当接部が形成されるとともに、前記第3内面側に第4凹部が形成されて、前記締結部材挿入部の開口端の幅寸法は、前記締結部材の対向する側面間の寸法よりも大きく形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、第1内面から第2内面に向かう一の方向に頭部を回転させることで、締結部材挿入部の第1当接部、第1内面側第2当接部、第3当接部の第2内面側および第4当接部から締結部材へ回転力が作用し、締結部材を回転させて締結または弛緩させることができる。
また、一の方向と逆方向に頭部を回転させると、この頭部は、第2内面と第3内面との境界に位置していた締結部材の角部を第3当接部がすべるように回転するとともに、第1凹部、第2凹部および第3凹部に締結部材の角部が入りこみ、締結部材の側面と締結部材挿入部の内面とが面接触しないため、頭部から締結部材へ回転力が伝達せずに、スパナのみが回転するラチェット機構を構成することができる。
そして、一の方向と逆方向に頭部を回転させるときには、第3当接部が締結部材の角部をすべるように回転させるため、頭部の締結部材挿入部から締結部材が外れることがなくスムーズにラチェット式スパナを回転させることができる。
【0009】
そして、締結部材挿入部の開口端の幅寸法は、締結部材の対向する側面間の寸法よりも大きく形成されていることにより、締結部材を側方および高さ方向から締結部材挿入部に挿入させることができるため、締結部材が設置された場所が狭い場合にも、締結部材の締結および弛緩を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ラチェット機構を構成することができるとともに、締結部材を側方および高さ方向から締結部材挿入部に挿入させることができるため、締結部材が設置された場所が狭い場合にも、締結部材の締結および弛緩を容易にかつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態によるラチェット式スパナの一例を示す図である。
【図2】(a)乃至(d)は本発明の実施形態によるラチェット式スパナのラチェット機構を説明する図である。
【図3】(a)乃至(d)は図2に続く本発明の実施形態によるラチェット式スパナのラチェット機構を説明する図である。
【図4】(a)乃至(c)は図3に続く本発明の実施形態によるラチェット式スパナのラチェット機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態によるラチェット式スパナについて、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態によるラチェット式スパナ1は、柄部2と、柄部2の一方の端部に連結されて6角形状のナット(締結部材)10が挿入される凹状のナット挿入部(締結部材挿入部)3が形成された頭部4とを備えている。
ここで、ナット10の6つの角部を図中において時計回りに第1〜第6角部a〜fとし、隣り合う角部間の側面をそれぞれ第1〜第6側面11〜16として、以下説明する。
また、本実施形態では、ナット10は、M33としていて、ラチェット式スパナ1は、M33用に形成されている。
【0013】
ナット挿入部3は、頭部4における柄部2の略反対側に開口端3aが位置する凹状に形成されている。この開口端3aの開口幅wは、ナット10の対向する側面間の寸法よりもやや大きく形成され、側方からナット挿入部3にナット10を挿入させることができる。
本実施形態では、ナット10の対向する側面間の寸法が50mmであり、開口端3aの開口幅wは、51mmとなっている。
【0014】
また、ナット挿入部3は、ナット10が挿入されたときに、その内面がナット10の連続する4つの側面と対向するように形成されている。
ここで、このナット10の連続する4つの側面を第1〜第4側面11〜14とし、ナット挿入部3の内面のうちナット10の第1側面11と対向する部分を第1内面α、ナット10の第2側面12と対向する部分を第2内面β、ナット10の第3側面13と対向する部分を第3内面γ、ナット10の第4側面14と対向する部分を第4内面δとし、第1内面αおよび第4内面δがナット挿入部3の開口端3a側に位置し、第2内面βおよび第3内面γがナット挿入部3の奥側に位置するものとして、以下説明する。
【0015】
第1内面αには、第2内面β側に、ナット挿入部3にナット10が挿入されたときに、ナット10の第1側面11と当接可能な平面状の第1当接部Aが形成されている。本実施形態では、第1当接部Aの端部側から第2内面側に向かう方向の長さl1が4mm程度に設定されている。
また、第1内面αには、ナット挿入部3の開口端3a側に第1凹部21が形成されている。本実施形態では、第1凹部21は、半径が8.00mmの円弧面状の凹部となっている。
【0016】
そして、第1内面αのナット挿入部3の開口端3a側の端部と、第1凹部21と第1当接部Aとの境界部分は、ナット挿入部3の内側に向かって凸状の円弧面が形成されている。ここで、第1内面αのナット挿入部3の開口端3a側の端部の円弧面を第1円弧面R1とし、第1凹部21と第1当接部Aとの境界部分の円弧面を第2円弧面R2して以下説明する。
本実施形態では、第1円弧面R1が半径5mmの円弧面で、第2円弧面R2が半径3mmの円弧面となっている。
【0017】
第2内面βには、ナット挿入部3にナット10が挿入されたときに、ナット10の第2側面12と当接可能な平面状の第1内面側第2当接部A´が第1内面α側に形成され、ナット挿入部3にナット10が挿入されたときに、ナット10の第2側面12と当接可能な平面状の第3内面側第2当接部Bが第3内面γ側に形成されているとともに、第1内面側第2当接部A´と第3内面側第2当接部Bとの間に、第2凹部22が形成されている。
本実施形態では、第2凹部22は、半径が25.63mmの円弧面状の凹部となっている。
【0018】
第3内面γは、ナット挿入部3にナット10が挿入されたときに、全面がナット10の第3側面13と当接するように平面状に形成されている。ここで、説明のため、第3内面γのうち、第2内面β側を第2内面側第3当接部B´、第4内面δ側を第4内面側第3当接部Cとする。
【0019】
第4内面δには、ナット挿入部3の開口端3a側に、ナット挿入部3にナット10が挿入されたときに、ナット10の第4側面14と当接する平面状の第4当接部Dが形成されている。
そして、第4内面δには、第3内面γ側に第3凹部23が形成されている。
本実施形態では、第3凹部23は、半径が29.9mmの円弧面状の凹部となっている。
【0020】
次に、上述したラチェット式スパナ1を使用してナット10を締結するときの動作について説明する。
なお、本実施形態では、ナット10が取り付けられている場所が狭く、ラチェット式スパナ1はナット10に装着された状態で一回転できず、所定の角度しか回転できないものとする。
【0021】
まず、ラチェット式スパナ1を、ナット挿入部3にナット10が挿入するようにナット10に装着する。このとき、ラチェット式スパナ1を、ナット10がナット挿入部3の開口端3aを通るように側方から装着してもよいし、ナット10の高さ方向(軸方向)から装着してもよい。
そして、ラチェット式スパナ1の柄部2を把持して時計回りに回転させる。これにより、第1当接部A、第3内面側第2当接部B、第4内面側第3当接部C、第4当接部Dからナット10に回転力が作用し、ナット10が締結方向に回転する。
このとき、第1当接部Aと第4当接部Dとがナット10の中心軸を中心として対称となる位置に配されているため、主に、第1当接部Aおよび第4当接部Dからナット10に回転力が作用することになる。
【0022】
そして、所定角度ナット10を時計回りに回転させた後に、ラチェット式スパナ1を60°反時計回りに回転させる。
図2(a)に示す状態を、ラチェット式スパナ1を反時計回りに回転させる前の状態とすると、この状態では、第1内面αの第1円弧面R1はナット10と離間している。
そして、図2(b)に示すように、ラチェット式スパナ1を反時計回りに約6°回転させると、ナット10の第1角部aが第1円弧面R1と当接する。このとき、第1当接部A、第3内面側第2当接部B、第4内面側第3当接部C、第4当接部Dからナット10に回転力が作用せず、ナット10が回転しないため、ラチェット式スパナ1は、第2内面側第3当接部B´が第3角部cをすべるように移動しながら回転する。このため、図中の矢印A1の方向にラチェット式スパナ1が所定量スライドすることになる。
本実施形態では、ラチェット式スパナ1は、図中の右方向に1.37mmスライドし、図中の下方向へ0.79mmスライドしている。
【0023】
そして、このスライドによって、第1円弧面R1が第6側面16上を移動し、第1内面側第2当接部A´が第2角部bをすべるように移動することになる。このとき、第1角部aは、第1凹部21内に位置し、第4角部dは第3凹部23内に位置している。そして、ナット10の側面11〜16がナット挿入部3の内面と離間しているため、ナット10にラチェット式スパナ1の回転力が作用せずナット10が回転することがない。
【0024】
そして、図2(c)および(d)に示すように、ラチェット式スパナ1をさらに反時計回りに回転させる。図2(d)に示すように、反時計回りに約18°まで回転すると、第2角部bが第2凹部22の内面と当接し、第4角部dが第3凹部23の内面と当接する。
このとき、平面状の第3内面γは第3角部cを摺動するため、ラチェット式スパナ1は、図中の矢印A2の方向に所定量スライドすることになる。
本実施形態では、図中の下方向に2.56mmスライドし、図中の右方向に3.04mmスライドしている。
【0025】
ここで、φ33ナットは、対向する側面間の寸法は、50mm、対角線上にある角部間の寸法は57.75mmであるため、ナット10が回転すると半径28.86mmの軌跡を描くことになるが、本実施形態では、ラチェット式スパナ1がスライドしながら回転するため、第2凹部22は、半径が25.63mmの円弧面状の凹部、第3凹部23は、半径が29.9mmの円弧面状の凹部となっている。
また、第1凹部21についても、ラチェット式スパナ1がスライドしながら回転し、第1角部aと第1凹部21とが離間するため、半径が8.00mmの円弧面状の凹部となっている。
【0026】
そして、図3(a)および(b)に示すように、ラチェット式スパナ1をさらに反時計回りに回転させる。図3(b)に示すように、反時計回りに約30°まで回転すると、第3内面γの略中央部と第3角部cとが当接している状態となるため、ラチェット式スパナ1の斜め右下方向(図中の矢印A3の方向)の変位量が最大となる。
【0027】
そして、図3(c)に示すように、ラチェット式スパナ1を反時計回りに約36°まで回転させると、第3角部cと第3内面γとが離間する。
さらに、図3(d)および図4(a)に示すように、ラチェット式スパナ1をさらに反時計回りに回転させる。図4(a)に示すように、反時計回りに約48°まで回転すると、第2角部bと第2凹部22とが離間する。
【0028】
そして、図4(b)に示すように、ラチェット式スパナ1を反時計回りに約54°まで回転させると、第1角部aと第1凹部21とが当接する。このとき、第1角部aは、第1凹部21と第2円弧面R2近傍で当接する。そして、第1角部aと第2円弧面R2とがスライドすることで、ラチェット式スパナ1の回転がスムーズに行われる。
また、ラチェット式スパナ1は反時計回りの回転が約48°を超えると、今までと逆方向(図中の矢印A4の方向)にスライドすることになる。
そして、このスライドによってラチェット式スパナ1がナット10に近づく。
【0029】
また、このとき、ナット10の第6角部fが第1内面αのナット挿入部3の開口端3a側端部と当接する。このため、ナット10の第1角部aおよび第6角部fでラチェット式スパナ1がナット10を支えていることになる。
本実施形態では、第6角部fが第1内面αとスムーズに当接できるように、ナット挿入部3の開口端3aの開口幅w(図1参照)を0.5mmの遊びを持たせて51mmとしている。
【0030】
そして、図4(c)に示すようにラチェット式スパナ1を反時計回りに約60°まで回転させると、ナット挿入部3の隣り合う内面の境界の角部にナット10の角部が位置するように、ナット挿入部3にナット10が挿入される。
そして、この状態でラチェット式スパナ1を再度時計回りに回転させることでナット10が締結される方向に回転する。
【0031】
次に、上述したラチェット式スパナ1の作用効果について説明する。
本実施形態によるラチェット式スパナ1によれば、ナット挿入部3の内面に第1当接部A、第3内面側第2当接部B、第4内面側第3当接部C、第4当接部Dが形成されていることにより、時計回りにラチェット式スパナ1を回転させることで、これらの当接部A〜Dからナット10へ回転力が作用し、ナット10を締結させる方向に回転させることができる。
【0032】
また、反時計回りにラチェット式スパナ1を回転させると、第3角部cを第3内面γがすべるように回転するとともに、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23にナット10の第1角部a、第2角部b、第4角部dが入りこみ、ナット10の側面とナット挿入部3の内面とが面接触しないため、ラチェット式スパナ1からナット10へ回転力が伝達せずに、ラチェット式スパナ1のみが回転するラチェット機構を構成することができる。
そして、反時計回りにラチェット式スパナ1を回転させるときには、第3当接部がナット10の第3角部cをすべるように回転させるため、ナット挿入部3からナット10が外れることがなくスムーズにラチェット式スパナ1を回転させることができる。
そして、ナット10を側方および高さ方向からナット挿入部3に挿入させることができるため、ナット10が設置された場所が狭い場合にも、ナット10の締結および弛緩を容易にかつ効率的に行うことができる。
【0033】
以上、本発明によるラチェット式スパナ1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、ラチェット式スパナ1でナット10の締め付けを行っているが、ナット10に対してラチェット式スパナ1を装着する向きを実施形態と逆にして、ナット10を緩める際に回転力が作用させてもよい。
また、上述した実施形態では、締結部材をナット10としているが、ナット10に代わってボルトとしてもよい。
また、上述した実施形態では、φ33のナット10を使用し、このナット10に対応するラチェット式スパナ1としているが、φ33以外のナット10に対応するラチェット式スパナ1としてもよい。この場合、ナット10の寸法に合わせて各部の寸法を設定すればよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ラチェット式スパナ(スパナ)
2 柄部
3 ナット挿入部(締結部材挿入部)
3a 開口端
4 頭部
10 ナット(締結部材)
11 第1側面
12 第2側面
13 第3側面
14 第4側面
15 第5側面
16 第6側面
21 第1凹部
22 第2凹部
23 第3凹部
a 第1角部
b 第2角部
c 第3角部
d 第4角部
e 第5角部
f 第6角部
A 第1当接部
B 第3内面側第2当接部
C 第4内面側第3当接部
D 第4当接部
A´ 第1内面側第2当接部
B´ 第2内面側第3当接部
α 第1内面
β 第2内面
γ 第3内面
δ 第4内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部と、該柄部の一方の端部に連結されて6角形状の締結部材に装着される凹状の締結部材挿入部が形成された頭部とを備えるラチェット式スパナにおいて、
前記締結部材挿入部は、内面が前記締結部材の連続する4つの側面と対向し、各前記側面と対向する第1内面、第2内面、第3内面および第4内面が連続するように構成され、
前記第1内面には、前記第2内面側の端部に前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第1当接部が形成されるとともに、その反対側に第1凹部が形成され、
前記第2内面には、前記第1内面側および前記第3内面側に前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第1内面側第2当接部および第3内面側第2当接部が形成されるとともに、前記第1内面側第2当接部と前記第3内面側第2当接部との間に第2凹部が形成され、
前記第3内面には、前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第3当接部が全面に形成され、
前記第4内面には、前記第3内面と反対側に前記締結部材の側面と当接可能な平面状の第4当接部が形成されるとともに、前記第3内面側に第4凹部が形成されて、
前記締結部材挿入部の開口端の幅寸法は、前記締結部材の対向する側面間の寸法よりも大きく形成されていることを特徴とするラチェット式スパナ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−818(P2013−818A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132249(P2011−132249)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(399039719)東日本電気エンジニアリング株式会社 (30)
【出願人】(599067569)林総事株式会社 (7)