説明

ラッカー型塗料用樹脂及び塗料

【課題】ウレタン変性エポキシ樹脂が有する高防錆性及び高硬度性を維持しながら、塗装後の平滑性、光沢性、鮮映性が向上した優れたラッカー型塗料用樹脂を提供する。
【解決手段】ビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)並びに1級アルカノールアミン及び2級アルカノールアミンを、(1級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)/(2級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が95/5〜80/20の割合で含有するアミン類(a2)を{(a1)のエポキシ基数}/{(a2)のアミノ基の活性水素数}が100/95〜100/110となるように反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂(A)、並びに、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られるラッカー型塗料用樹脂である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッカー型塗料用樹脂及び塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等とを反応させて製造するビスフェノールA型エポキシ樹脂は、この樹脂の有するエポキシ基の反応性及び水酸基の反応性から優れた防食性、密着性、耐薬品性等を有し、塗料用樹脂として広く使用されている。
【0003】
ところで、エポキシ樹脂は一般に自己硬化性を有しないため、エポキシ樹脂塗料を常温で硬化させる場合には硬化剤としてポリアミン、ポリアミド等を配合した二液反応型塗料として使用されていた。
【0004】
しかしながら、二液反応型塗料は基材に塗布する直前に硬化剤を配合しなければならず、取り扱いが不便であり、しかもポットライフ(可使時間)の点からも実用上種々の制限を受けるという不利を有する。そのため、エポキシ樹脂としての密着性、防食性等の特性を有したまま、しかも常温乾燥でき、かつ硬化剤を配合する必要のない一液型ラッカー型塗料用樹脂が切望されていた。
【0005】
この課題を解決するために、従来、エポキシ樹脂をアミン類等で開環させ、さらにポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン変性エポキシ樹脂が開発され、提供されていた(特許文献1及び2参照。)。このウレタン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂としての防食性、密着性、耐薬品性等の性能を有し、しかも常温乾燥できかつ硬化剤を配合する必要のない一液型のラッカー型塗料を提供することができるため、非常に有用であった。
【0006】
しかしながら、近年、一液型のラッカー型塗料において、塗料外観が重要視されるようになってきており、高防錆性、高硬度を有しつつ、塗料外観を向上させたエポキシ樹脂の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平6−89289号公報
【特許文献2】特許第3965749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決し、ウレタン変性エポキシ樹脂が有する高防錆性及び高硬度性を維持しながら、塗装後の平滑性、光沢性、鮮映性が向上し優れた塗装外観を与えるラッカー型塗料用樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)並びに1級アルカノールアミン及び2級アルカノールアミンを特定の割合で含有するアミン類(a2)を特定の割合で反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂(A)、並びに、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られるラッカー型塗料用樹脂を用いることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明1は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)並びに1級アルカノールアミン及び2級アルカノールアミンを、(1級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)/(2級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が95/5〜80/20の割合で含有するアミン類(a2)を{(a1)のエポキシ基数}/{(a2)のアミノ基の活性水素数}が100/95〜100/110となるように反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂(A)、並びに、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られるラッカー型塗料用樹脂である。
【0011】
本発明2は、上記本発明1において、上記アミン類(a2)が、C8以上のアルキルアミンを含み、(C8以上のアルキルアミンのアミノ基の活性水素数)/(アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が1/99〜30/70であるラッカー型塗料用樹脂である。
【0012】
本発明3は、上記本発明1又は2において、上記アミン類(a2)のC8以上のアルキルアミンの炭素数が8〜18であるラッカー型塗料用樹脂である。
【0013】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかのラッカー型塗料用樹脂を用いた塗料でもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明のラッカー型塗料用樹脂は、上述の構成よりなるので、高防錆性及び高硬度性を維持しながら、塗装後の平滑性、光沢性、鮮映性が向上し、優れた塗装外観を与えるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のラッカー型塗装用樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)(以下、(a1)成分という。)並びに1級アルカノールアミン及び2級アルカノールアミンを、(1級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)/(2級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が95/5〜80/20の割合で含有するアミン類(a2)(以下、(a2)成分という。)を{(a1)のエポキシ基数}/{(a2)のアミノ基の活性水素数}が100/95〜100/110となるように反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂(A)(以下、(A)成分という。)、並びに、ポリイソシアネート化合物(B)(以下、(B)成分という。)を反応させて得られる。
【0016】
上記(a1)成分としては、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシドとの反応により得られるものが挙げられる。ビスフェノール類としては、フェノールまたは2,6−ジハロフェノールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン等のアルデヒド類もしくはケトン類との反応の他、ジヒドロキシフェニルスルフィドの過酸による酸化、ハイドロキノン同士のエーテル化反応等により得られるものが挙げられる。ビスフェノール類の具体例としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールΑ)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)等が挙げられる。
【0017】
上記(a1)成分のエポキシ当量は、10,000程度以下であることが好ましく、5,000程度以下であることがより好ましい。このエポキシ当量が10,000程度以下であると分子量の増大を防ぎ、ゲル化しにくいというメリットがある。
【0018】
上記(a2)成分は、1級アルカノールアミン及び2級アルカノールアミンを(1級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)/(2級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が95/5〜80/20の割合で含有するものであれば、これら以外の脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環族アミン、及び芳香核置換脂肪族アミン等から選ばれた1種以上のアミン類を含むものであってもよい。(a2)成分を(1級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)/(2級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が95/5〜80/20程度の割合で含有するものとすることにより、この(a2)成分を用いて得られたラッカー型塗料用樹脂組成物は、適度な分岐による枝分かれ3次元ポリマー分子を有し、この分子は糸毬状であることから、有機溶媒への溶解性が高く、分子量が高いにもかかわらず溶液粘度を極めて低くすることができ、その結果、高硬度、高防食性を有しつつ、優れた平滑性、光沢性、鮮映性を有する塗装外観を得ることが可能となる。(1級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)/(2級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が95/5程度を超えると、分岐が少なく直鎖状のポリマーが多くなるため、粘度が高くなり優れた平滑性等を有する塗装外観を得られなくなり、その結果防食性も低下してしまう。80/20程度未満となると、平滑性は維持できるものの塗膜強度が劣ることから硬度、防食性が低下してしまう。好ましくは、92/8〜82/18程度である。
【0019】
上記(a2)成分は、変性エポキシ樹脂とポリイソシアネート化合物の反応速度を考慮すれば、全仕込みアミン類の活性水素数のうち、5%をアルカノールアミン類の活性水素数となるようにアルカノールアミンを含むことが好ましい。
【0020】
上記アルカノールアミンとしては、たとえば、少なくとも1つのヒドロキシアルキル基がアミンの窒素原子に結合した構造を有するものがあげられ、具体的には、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノノルマルプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノノルマルブタノールアミン、モノ2−ヒドロキシブチルアミン等の1級アルカノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ‐2−ヒドロキシブチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ベンジルエタノールアミン等の2級アルカノールアミンがあげられ、脂肪族アミン類としてはエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、パルミチルアミン、オレイルアミン、エルシルアミン等の一級アルキルアミンやジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の二級アルキルアミンがあげられ、芳香族アルキルアミンとしてはトルイジン類、キシリジン類、クミジン(イソプロピルアニリン)類、ヘキシルアニリン類、ノニルアニリン類、ドデシルアニリン類等があげられ、脂環族アルキルアミンとしてはシクロペンチルアミン類、シクロヘキシルアミン類、ノルボニルアミン類があげられ、芳香核置換脂肪族アルキルアミンとしてはベンジルアミン、フェネチルアミン等があげられる。
【0021】
上記1級アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミンを用いることが好ましい。より好ましくは、モノエタノールアミンである。上記2級アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンを用いることが好ましい。より好ましくは、ジエタノールアミンである。これらを用いることにより、より低粘度のラッカー型塗料用樹脂を製造することが可能となる。
【0022】
上記(a1)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して70〜98重量部であることが好ましい。この(a1)成分の配合量が70重量部以上であると硬度・耐薬品性を向上させることができ、98重量部以下とすると高い防食性・密着性を有するものとすることができる。
【0023】
上記(a2)成分は、C8以上のアルキルアミンを含み、(C8以上のアルキルアミンのアミノ基の活性水素数)/(アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が1/99〜30/70程度であることが好ましい。これにより、本発明のラッカー型塗料用樹脂の溶剤への溶解性が向上し、塗装後の平滑性、光沢性、鮮映性がより優れたものとなる。(C8以上のアルキルアミンのアミノ基の活性水素数)/(アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が30/70を超えると、ラッカー型塗料用樹脂の溶剤への溶解性が低下し、塗装後外観が優れたものとなりにくい。
【0024】
上記C8以上のアルキルアミンは、アルキルアミンに含まれる炭素数が8以上であれば、特に限定されず、例えば、ステアリルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、ラウリルアミン、パルチミルアミン、オレイルアミン、ジステアリルアミン、ジオクチルアミン等が挙げられる、炭素数が8〜18のアルキルアミンが好ましく、ステアリルアミン、オクチルアミンを用いることが特に好ましい。
【0025】
上記(A)成分は、{(a1)成分のエポキシ基数}/{(a2)成分のアミノ基の活性水素数}が100/95〜100/110程度となるように反応させて得られる。これにより、(a1)成分と(a2)成分の未反応物を低減させることができる。
【0026】
上記(A)成分は、上記(a1)成分及び(a2)成分を反応させてなるものである。反応温度は通常、50〜250℃程度、好ましくは80〜150℃程度である。反応温度が50℃未満であると反応速度が小さくなりすぎ、250℃を越えるとエポキシ基とエポキシ樹脂中の水酸基との開環反応またはエポキシ基同士の開環反応等が起こり反応生成物のゲル化が生じやすくなる。また、反応時間は3〜10時間程度とするのがよい。
【0027】
上記(B)成分としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のポリイソシアネート類の一種または二種以上を使用することができる。たとえば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′‐ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′‐ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン‐1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ポリフェニルポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等がその代表例としてあげられる。好ましくは、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートである。
【0028】
上記(B)成分は、((B)成分のイソシアネート基数)/((A)成分の水酸基数)が0.5〜50、好ましくは1〜40となるように反応させることにより得られる。((B)成分のイソシアネート基数)/((A)成分の水酸基数)が0.5以上であると得られるラッカー型塗料用樹脂の分子量が高くなり、優れた常温乾燥性を有する一液型のラッカー型塗料用樹脂となる。一方、50以下であると著しい高分子量化を抑制することができる。
【0029】
上記(B)成分と(A)成分の反応条件は特に限定されないが、通常、反応温度は20〜200℃程度、好ましくは50〜150℃程度である。また、反応時間は3〜10時間程度とするのがよい。
上記(A)成分と(B)成分の反応において、溶剤を用いることは任意である。溶剤としては、たとえば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート等のセロソルブアセテート類等の活性水素を有しないものがあげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いる。なお、ウレタン変性エポキシ樹脂の製造後においてはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等の活性水素を有する溶剤も稀釈溶剤として使用しうる。
【0030】
本発明のラッカー型塗料用樹脂の重量平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)は、5000〜150000程度の範囲とするのがよい。平均分子量が5000以上であると、高い防食性、耐水性等を有するラッカー型塗料用樹脂を得ることができ、150000以下であると、高粘度化またはゲル化することなく、ラッカー型塗料用樹脂としての使用に適するものとすることができる。
【0031】
上記ラッカー型塗料用樹脂を用いた塗料の本発明の一つである。
本発明のウレタン変性エポキシ樹脂を溶剤に溶解した塗料として用いる場合、その固形分濃度は特に制限はされず、塗料化した場合の粘度等を考慮して適宜決定すればよいが、通常は、30〜80重量%、粘度はR〜Z3(ガードナー法,25℃)の範囲に調整するのが実用上好適である。
かくして得られた本発明のラッカー型塗料用樹脂は常温乾燥しうる一液型のラッカー型塗料として用いられることはもちろんのこと、焼付け塗料としても用いられる。また、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、ブロックイソシアネート等の硬化剤と組合せて常温乾燥塗料、焼付け塗料とすることもできる、塗料としての用途は、何ら制限はされず各種用途に適用できるが、防食性、密着性等の性能を考慮すれば、下塗り用の塗料とするのが好適である。
【0032】
なお、各種用途への使用に際し、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボン等の顔料を併用することも任意である。
【実施例】
【0033】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「重量部」を意味する。
【0034】
製造例1
攪拌機、冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、モノエタノールアミン21.5g、ジエタノールアミン10.1g、ビスフェノール型エポキシ樹脂(商品名「エポトートYD−014」;東都化成(株)製:エポキシ基濃度950)760g、キシレン485gを仕込み、これらを窒素気流下で100℃において、5時間反応させて、アミン変性エポキシ樹脂(A1)を得た。次いで、同反応容器にヘキサメチレンジイソシアネート(B)4.0g、シクロヘキサノン485gを仕込み、これらを窒素気流下で100℃において5時間反応させることにより、ラッカー型塗料用樹脂である(C1)成分を得た。この樹脂の物性値を表1に示す。
【0035】
製造例2〜14、16〜18
製造例1おいて、アミン成分の種類(括弧内は使用重量)を表1に示すように変えた他は製造例1と同様にして(C2)成分〜(C6)成分、(D1)成分〜(D4)成分を得た。それぞれの物性値を表1に示す。
【0036】
製造例15
製造例1と同様の反応装置に、オクチルアミン10.3g、モノエタノールアミン16.6g、ジエタノールアミン10.1g、ビスフェノール型エポキシ樹脂(商品名「エポトートYD−014」;東都化成(株)製:エポキシ基濃度950)760g、キシレン400gを仕込み、これらを窒素気流下で100℃において、5時間反応させることにより、(D5)成分を得た。この樹脂の物性値を表1に示す。なお、重量平均分子量の測定は以下の方法で行った。
(重量平均分子量測定)
装置: HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム: TSKgel α−2500×1、α−3000×1
分離溶媒: DMF(LiBr 5mmol/kg含有)、
流量: 1ml/min
温度: 40℃
標準: ポリスチレン
【0037】
【表1】

【0038】
表1中、a1、a2及びBにおける数値は仕込み量(g)であり、各記号は以下の意味を示す。
SA:ステアリルアミン
OA:オクチルアミン
DSA:ジステアリルアミン
DEA:ジエタノールアミン
MEA:モノエタノールアミン
N−MEA:N−メチルエタノールアミン
DPA:ジプロパノールアミン
MPA:モノプロパノールアミン
DBA:ジブチルアミン
YD014:「エポトートYD−014」
HDI:ヘキサメチレンジイイソシアネート
Nv(%):固形分濃度
Mw:重量平均分子量
Vis(25℃):ガードナー粘度
【0039】
実施例1〜11、比較例1〜7
以下に示す組成の混合物をそれぞれペイントシェイカーで練合してラッカー型塗料を調整し以下の試験に供した。得られた塗料を、脱脂ダル鋼板(SPCC−SD、0.8×70×150mm)上に、乾燥後の膜厚が30μmとなるように、バーコーターにより塗布し、強制乾燥(80℃×20分)後、常温(20℃、60%R.H.)で5日放置した。
(組成)
製造例1〜18で得られたラッカー型塗料用樹脂178部(固形分80部)
カーボンブラック 10部
沈降性硫酸バリウム 60部
リン酸アルミニウム系防錆顔料 10部
キシレン 20部
シクロヘキサノン 20部
(塗膜の評価試験)
(1)鉛筆硬度
JIS K5400に準拠する。
(2)防食性
JIS K5400に準じて行い、塩水噴霧テスト10日間及び20日間後のセロハンテープ剥離幅(mm)で示した。
(3)光沢
JIS K5600に準じて60°の鏡面光沢度を測定した。
(4)平滑性
目視にて以下の判定を行った。
◎: 非常に滑らかで平滑性の良い塗面
○: 若干細かいチリ肌が認められるが良好な塗面
△: 細かいチリ肌が認められる塗面
×: 著しく細かいチリ肌が認められる塗面
【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(a1)並びに1級アルカノールアミン及び2級アルカノールアミンを、(1級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)/(2級アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が95/5〜80/20の割合で含有するアミン類(a2)を{(a1)のエポキシ基数}/{(a2)のアミノ基の活性水素数}が100/95〜100/110となるように反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂(A)、並びに、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られるラッカー型塗料用樹脂。
【請求項2】
前記アミン類(a2)は、C8以上のアルキルアミンを含み、(C8以上のアルキルアミンのアミノ基の活性水素数)/(アルカノールアミンのアミノ基の活性水素数)が1/99〜30/70である請求項1記載のラッカー型塗料用樹脂。
【請求項3】
前記アミン類(a2)のC8以上のアルキルアミンの炭素数が8〜18である請求項1又は2記載のラッカー型塗料用樹脂。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のラッカー型塗料用樹脂を用いた塗料。

【公開番号】特開2010−235918(P2010−235918A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28372(P2010−28372)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】