説明

ラックシステム

【課題】容器の中の少量の試料を便利に分析に応用するためのアダプタを備えているラックシステムを提供する。
【解決手段】容器の中の少量の試料を便利に分析に応用するために、筒状容器を受けるための空洞を形成しているアダプタ要素を備えているラックシステムにおいて、前記アダプタ要素は穴の底部から延びる可撓性の中央ステム部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体操作機器において使用するための、使い捨て装置、分析用管容器を受けるためのラック及びラックシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析プロセスは、特に医療分野において一定の関心を得ている。液体、特に血液などの体液の構成成分の決定は改良されて非常に正確になっている。さらに、プロセスステップの自動化の広範な用途が明らかになっている。また、非常に少量で作用する分析プロセスを開発する傾向がある。このように少量を操作するために、液体中の分析物を決定するための使い捨て用品及び機器は、従来の装置及び機器においては満たすことがさほど重要ではない特定の要件を満たすと考えられる。さらに、将来のプロセスは未熟な人でももっとずっと便利に使用できる必要があろう。
【0003】
従来のラックシステムは、主に容器の直径に合う穴の形の、ある量の流体試料が入っている容器を受けるのに適する部分を有している入れ物を基礎としている。ほとんどの容器は円形直径を有しているので、従来、穴は筒状である。この種のラックは開示されている(例えば、特許文献1参照。)。異なる試料についてのいくつもの分析を1台の機器で実施する傾向がこれまであった。この種の分析のために必要とされる量は、1つの試料について実施される分析の数に応じて様々である。別の文献においては、もっと小さな管でも穴の中にしっかりと納められるように、穴の直径を小さくするために筒状の穴に挿入されるアダプタが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】国際公開公報第83/00393号公報
【特許文献2】国際公開公報第96/27442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に少量を操作するための機器による自動化処理の必要性によりよく対処するために、従来のラックシステムを改良することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主題は、
実質的に筒状の本体を受け入れるための幅より長い少なくとも1つの穴を有する入れ物部と、
前記穴の内径より実質的に小さな外径を有する前記穴に少なくとも部分的に配置される実質的に筒状の管容器と、
前記容器を受けるための空洞部を形成しているアダプタ要素とを備えている、流体操作機器において使用するためのラックシステムにおいて、前記アダプタ要素は前記穴の底部から前記穴の少なくとも半分まで延びている、可撓性の中央ステム部を備えている、ラックシステムである。
【0007】
本発明のさらに別の主題は、
第一及び第二の開口を有する実質的に筒状の保持器と、
前記第一の開口内に配置される液体を受けるための閉鎖可能な管容器とを備えている、使い捨て装置において、前記管容器は前記保持器内部にしっかりと固定される、使い捨て装置である。
【0008】
本発明のさらに別の主題は、ラックシステムにおいて試料を受けるように設計される穴を閉鎖するための挿入材であり、穴を閉鎖するための上部及び穴に試料容器が入っていないことを示すラベルを備えている側面部を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
複数の容器が本質的に筒状の入れ物であり、これらの容器の中のいくつかは、容器の本体に比べて小さな直径の底部を備えている。これは、しばしば管又は管容器と呼ばれる。容器は、分析対象の一定量の液体すなわち試料を受け入れるための室を有する。この室の容積は、試料の体積に応じて決まり、10μlから5mlまで変えうる。管は、導電性材料から作ることができ、ポリプロピレン(Pre−Elec TP 6735)など導電性プラスティックから作られることが好ましい。試料を入れるために設計されている管は、通常、管に接続されている又は独立して設けられている提供されるキャップを備える。キャップは、試薬が環境を汚染するのを防ぐため、試料が他の試料によって汚染されるのを防ぐため、及び液体の蒸発を防ぐために使用されている。
【0010】
ラックは、予め定めた一定数の容器を機器に導入するための周知の入れ物である。通常、ラックは4〜96個の、同じ数又はこれより少ない数の容器を納めるための穴を備えている。従って、ラックの穴の幅は、容器又は管の形態に応じて決まり、ラックによって保持される管の直径より大きく、穴の長さより小さい。穴の程良い直径は20mmから2mmまで変動する。穴は管の外部形状に正確に合う必要はなく、管を穴すなわちラックの予め決められた位置に導く手段を備えている。この手段は、例えば、金属あるいはプラスティックから作られるばねであり、ラックと同じ材料から作られることが好ましい。ラックは、プラスティック好ましくはポリブチレンテレフタレート/20%Glass Beane導電体(RTP 1099x92019ブラック)から作られる非使い捨てツールであることが好ましい。ラックは任意の所望の形状としうる。本発明によれば、ラックは実質的に長い形状の入れ物であり、入れ物の1つの側、好ましくは上側に沿って列状に、入れ物の本体を通り抜けて入れ物の反対側すなわち下側まで延びている穴が配列されている。この反対側で、穴に納められる容器がラックから抜けないように、穴は狭くなるか閉じられている。穴はその側面まで凹部又はスロットを有しうるが、この場合にも容器がラックから抜けないように狭いスロットとする。
【0011】
試料の体積は10μlから2mlまで変えうるが、50μlから500μlまでが好ましい。試料の特定の種類は液体対照試薬である。このような対照試薬は、予め決められた量の分析物を含有し、分析が正確に機能しているか否かをチェックするために使用される。定量のために、分析物の濃度が異なる2つ又はそれ以上の対照試薬が、定量対象の各分析物のために用意される。対照試薬は、試験中に測定される信号と分析物の濃度を相関させる較正曲線を作るために使用される。対照は、試料と同じ分析物を含有することができるが、対照は、人工分析物すなわち分析物と同様に挙動することによって検定において分析物を模倣する化合物を使用することもできる。
【0012】
本発明において、管容器は実質的にラックの穴より直径が小さい。すなわち管には少量の試料又は対照試薬が入れられる。
【0013】
本発明の以前には、未知の量の分析物を含有する試料と同じプロセスにおいてこのような少量を納めて処理することは困難であった。分析機器の液体操作ロボットに対照試薬を適切に与えるために、本発明によるラックシステムは、アダプタを備えているラック及び管容器及び保持器を備えている使い捨て装置を備えている。
【0014】
例示的なラックシステムの一部が縦断面図として図1に示されている。このシステムは、穴(301)を有している入れ物(300)を備えている。入れ物(300)は、好ましくは穴の底部に、予め決められた確定位置でアダプタ及び/又は保持器を受ける手段を備え、この手段はアダプタ及び保持器の対応する取り付け手段を補完しこれにぴったり合う手段を備えている。この手段は、突出部、ばね、凹部又はノブ及びリムなど弾性要素などスナップ手段を備えうる。アダプタに合わせる取り付け手段(302、図には示されていない)は、穴内でアダプタが回転するのを防ぎ及び/又はアダプタを入れ物に固定して、穴からアダプタが抜けないようにする手段であることが好ましい。保持器(303)を固定する手段は、穴内で保持器が回転するのを防ぐ手段を備えうる。この手段は、保持器の凹部又は歯にぴったり合う1つ又はそれ以上の歯又は凹部を備えうる。固定手段(303)は、穴内の予め決められた位置に保持器を可逆的に固定する手段である。この手段は、保持器の補完的な対応する要素、例えば手段(202)など歯状手段にぴったり合うように構成される。さらに、入れ物は、穴の内部あるいは外部に付加的要素を取り付ける手段を備えうる。この手段は、スライド、ノブ、リブ、歯、凹部又はこれに類するものを含みうる。例えば、スライド(304)を使用して、入れ物に試料を受けるように設計される穴を閉鎖するための挿入装置を取り付けることができる。さらに、入れ物は、予め決められた位置に挿入装置を固定するためにスナップ手段を備えうる。この位置は、穴に試料又は対照容器挿入材が入っていないことを示すラベルを備えている挿入材の側面部(501)を読取装置によって読み取ることができるように配置されることが好ましい。実際には、ラックシステムは、さらに、分析機器において入れ物の位置を定める位置決め手段(306、図には示されていない)を備えている。この種の機器は、通常、機器のピペット又はグリッパなど操作手段によって確実にアクセスできるようにするために試料容器を予め決められた位置に配備する必要がある。位置決め手段は、ラックの底部のスライド又はレールなどその補完物であることが好ましい。スライド又はレールが機器に配備される場合、別のスライド又はレール又はノブなどスライド又はレールの補完物がラックに配備される。
【0015】
図1は、1つの開放された空の穴と、2つの空であるが閉鎖された穴と、アダプタ(100)と、保持器(200)と、容器(400)とを備える2つの穴を示している。容器は、容器をねじキャップで閉鎖するためのねじ部(401)、保持器において容器を固定するためのリム(402)、試料を受け入れるための室(403)と、アダプタの対応する表面と適合する底面を有する。
【0016】
保持器(200)は、保持器の筒状内部に容器を固定するスナップ手段(203)と、保持器と穴の底部又はアダプタとのねじれを防止する歯状手段(202)とを有する。
【0017】
アダプタ(100)(アダプタ全体を指すために矢印はステム部を指している)は、ステム部(103)と、アダプタと穴の底部を固定するスナップ手段(104)と、アダプタと容器の間に導電接続を与える容器の対応する表面を受けるための表面(107)とを備えている。
【0018】
本発明によるアダプタ要素は、容器を受けるための空洞部を備えている。従って、アダプタ要素は容器の外部形状の少なくとも一部に似た内部形状を有していることが好ましい。前記空洞部は1mmほどの小ささにすることができるが、管容器の長手軸線に沿って測って2から20mmまでの長さであることが好ましい。もっと特定して言うと、アダプタ要素は、管に接触するのに適する、好ましくは管の底部に接触するのに適する表面を備えている。アダプタ要素は、ポリブチレンテレフタレート/20%Glass Beane導電体(RTP1099x92019ブラック)など導電性プラスティックで作られることが好ましい。アダプタ要素は、さらに、可撓性の中央ステム部を有する。空洞部及びステム部は、最終的に組み立てられたラックにおいてステム部がラックの穴の底部から穴の少なくとも半分まで延びているように、配置される。ステム部の目的は、ラックの孔の中で水平方向に柔軟にしかし中心で自己調整できるように容器を担持する手段となることである。ステムはアダプタ要素の他の部分と同じ材料から作られることが好ましい。ステムは、ラックの穴内における垂直の移動を可能にするがこれが担持する容器と共に中心位置に戻るのに充分な長さ及び厚みを有しうる。アダプタは、さらに、同じラック形状を一般的に言って大きな体積の試料管及び小さな体積の対照に使用できるようにする。アダプタ要素はラックの1つの要素であり、他の管容器又は試料を配備してその後の分析に再利用することができる。このように、アダプタはラックから取り外すことができるが、ラックと一体の要素でありラックが分解される時のみ取り外すことができることが好ましい。アダプタはラックの穴の底部にしっかりと固定されることが好ましい。しっかりと固定されると言うことは、アダプタ又はアダプタを穴内で固定する手段の形状を損なうことなく穴内で非可逆的にアダプタをねじることができないことを意味する。
【0019】
アダプタ要素の例が図2に示されている。図は、2つの側すなわち上側及び下側から見た同じ装置を示している。アダプタ(100)は上部(101)及び下部(102)を有する。これらの部分はステム部(103)によって連結されている。下部は、装置をラックの底部に固定するスナップ手段(104)を備えている。さらに、下部は、実質的にアダプタがその長手軸線を中心として回転する可能性なしに予め決められた位置でラックに固定されるようにする取り付け手段(108)を有する。ラックは、アダプタの取り付け手段(108)と合うように補完的な取り付け手段(506、図には示されていない)を有していることが好ましい。上部は、アダプタを保持器に固定するためのばね(105)を備えている。上部は容器を受け入れるための空洞部(106)を備えている。
【0020】
ラックシステムを製造するために、アダプタ要素はラックの底部の穴を通じてラックの穴に挿入されることが好ましい。ラックの穴はステム部と共にアダプタ要素の上部を穴の中に入れられる長さであるが、取り付け手段(108)を備えているアダプタ要素の下部と補完的な幅を有している。アダプタをラックの下から最終位置まで挿入することによって、固定手段(104)と固定手段(302、図には示されていない)が係合し、穴の中でアダプタをラックに固定する。
【0021】
本発明の保持器は、管容器の形状を模倣している実質的に筒状を有する使い捨て要素である。これは、容器がラックの穴の中に嵌り込むように容器を保持する機能を有する。従って、保持器はラックの穴の内径より実質的に小さいが管容器の外径より大きな直径を有している。実質的にと言うことは、保持器の外面と穴の内面との間にスペースがあることを意味する。このスペースにより、この穴内部で保持器が多少垂直方向に動けるようになる。保持器の下部(202)は、穴の底部に達せず、この穴内部における保持器の半径方向の移動を限定的にするために、保持器を固定する手段(303)と係合する。保持器は、第一及び第二の開口を有している管状であり、第一の開口が容器を受けるのに適して筒状の上端を形成し、第二の開口が下端でありラックの穴の底部に向くと都合が良い。保持器は、ラベル、好ましくはバーコードラベルを備えることが好ましい。このラベルは、例えば容器に入れられる対照又は分析物の種類を示すためなど、管容器及びその内容を識別するために使用することができる。ラベルは、ラック又は入れ物の外から例えばラックのスロット、凹部又は穴を通じて認識又は読み取りできるように付けられる。これは、試料容器が小さくて必要な量のデータを示すのに充分と言えるほどの表面がない場合に保持器を使用するのに有利である。ラベルは、インクで印刷して又は予めラベルが印刷された糊付きペーパーを貼り付けることによって付けることができる。保持器は穴の外からラック内の穴の長さのほとんどを通じて延びていることが好ましい。穴の上方に延びている長さは、保持器の全長の30%以下であることが好ましい。保持器は容器の長さを超えて延びることができ、アダプタ要素の長さの80%を超えることがさらに好ましい。容器はその下部にツイストフィット式に保持器を固定する手段、すなわち穴の内径によって許容される穴内での保持器の垂直の移動を妨げることなく穴の底部においてラックと接触させることによって保持器が穴に対してねじれるのを防ぐ手段を備えることがさらに好ましい。ツイストフィットは、例えば穴の底部に向く保持器の下端の円周の周りのギアリムとラックの穴の底部の対応するギアリムによって得ることができる。
【0022】
保持器は、保持器をアダプタ要素に可逆的に固定する手段を備えることがさらに好ましい。この種の可逆的固定手段は、例えばアダプタに面する保持器の表面か保持器に面するアダプタ要素の表面に配備されるプラスティック又は金属から作られるばねである。この手段は、スナップ手段でもよい。さらに、保持器は穴内部での保持器の回転を防止する手段を備えることもできる。保持器内に容器を固定する手段と組み合わせるとまた任意に穴内にアダプタを固定する手段と組み合わせると回転防止の手段は、容器のねじキャップを確実に開けられるようにするのに有利である。保持器は、例えばポリスチレンブタンジエンなど安価な材料で作られることが好ましい。保持器は安価な使い捨て材料によって作られることが好ましい。
【0023】
保持器の例が図3に示されている。図は、上から及び下から見た同じ保持器(200)を示している。保持器は、上部(201)及び下部(202)を有する。上部は容器のリムと係合するための1つ又はそれ以上の突起(固定手段、203)を有する。さらに、保持器は、保持器内での容器のねじれを防止するためのスプライン部(固定手段、204)を有する。
【0024】
本発明のもう1つの態様においては、空の穴すなわち試料又は対照試薬を含まない穴は、ラックシステムにおいて試料容器又は対照容器を受け入れるように設計されるラックの穴の上部を閉鎖するための挿入材を用いて閉鎖される。挿入材は、穴を閉鎖するための上部及び穴に試料容器が入っていないことを示すラベルを備えている側面部を備えている。この挿入材は、例えば、24の穴を有しているラックにおいて試料に16対照に4つ合計20の穴しか使用されない場合などラックに入れられる最大数の試料を分析するつもりがない場合に使用することができる。残りの4つの穴は、空の位置に4つの挿入材を挿入することによってすなわち穴に挿入材を挿入することによって閉鎖することができる。
【0025】
挿入材は、任意のプラスティック材料によって製造することができ、使い捨てでも非使い捨てでも良い。挿入材は2つの機能を有する。第一の機能は、試料又は対照が期せずして入り込まないように穴を閉鎖する機能であり、第二の機能は特定の位置が分析を必要としないことを使用者に又は自動化分析に使用される機器に知らせる機能である。例えば、該当の位置はピペットプロセスの対象とはならない。穴が空であり閉鎖されていることをラベルが機器に知らせなければ、ピペット装置は蓋にぶつかった時に損傷する可能性がある。
【0026】
挿入材の形状は、特定の機能に合わせることができる。ラックにおいて挿入材をしっかりと固定するために、挿入材は穴の形状すなわち通常納められる容器の形状を模倣することができる。別の実施態様においては、挿入材は任意のラックの壁において挿入材の位置を定めるガイド手段を有しうる。挿入材の蓋部は、使用者が試料容器を穴に挿入できないように本質的に上部から穴を覆う挿入部の平らな上部とすることができる。ラベル部は、人間が見ることができる、又はラックを見る時に機器が見ることができる任意の位置に付けることができる。自動化ラベリングの場合、ラベルはバーコードであることが好ましい。バーコードラベルはラックを機器に挿入する時に容易にバーコード読み取り器によって読み取ることができる。この種のバーコード読み取り器は、試料を納めるラックのラベリング位置を読み取るために周知である。ガイドのほかに、挿入装置は、予め決められた位置に挿入装置を固定するための固定装置を備えることが好ましい。これによってラベルの読み取りがさらに信頼できるようになる。本発明の挿入材の利点は、挿入材をラックの任意の所望の位置にすなわち任意の穴に挿入できることである。
【0027】
図4においては、好適な挿入装置(500)が示されている。ラベル部(501)は、蓋部(502)からほぼ垂直に延びている。ラベル部はラベルを備えるための外側エリア(503)を有する。さらに、ラックのそれぞれのガイドと補完的な形状のガイド手段(504)を備えている。図に示される実施態様においてはガイドはラベル部に配備され、これが好ましいが、ガイドは、ラベル部から独立して、ラックと接触する又はラックの中まで達する他の任意の位置に配備することもできる。好適な実施態様において、挿入材の蓋部(502)の中間部は丸い形であり、その寸法は、少なくとも完全に穴(301)を閉鎖するように選択される。さらに、挿入材の蓋部(502)は、ラックから挿入装置(500)をよりうまく取り外せるようにするために、ラックの縁部から多少広がるタブを備えうる。図4には、ラック内で挿入装置を固定する固定手段(505)も示されている。図には、ラックの穴の凹部と補完的な位置に位置するノブの形で固定手段が示されている。
【0028】
図5は、上から見たラックの例を示している。図に示される詳細図は、保持器用の固定手段(303)と、挿入装置の位置を定めるためのガイド(304)と、挿入装置のノブと補完的な固定用凹部(305)とを備えている。図に示されるケースにおいては、凹部はラックの壁の穴である。好適な実施態様において、ラックの安定性を高めるためにラックの底板に金属レールが埋め込まれる。
【0029】
全ての装置又はその部品は射出成形によって都合よく準備することができる。そのために部品の準備のためや、完成装置を生産するためのその後の部品の組み立てが必要であろう。この方法は当業界において周知である。組み立て後に分離する予定のない組み立て部品は、スナップ手段で簡単に接続することができる。アダプタは、スナップ手段が嵌り込んでラック内でアダプタが固定されるまで、底部からラックの穴に挿入されることが好ましい。
【0030】
第一の実施態様において、本発明は、保持器及び容器を納める装置に関するものである。保持器及び容器は、少なくとも部品の一方を破壊することなく分離できないように連結されることが好ましい。連結は、どのように行ってもよいが、2つの部品のスナップ手段によって行うのが好ましい。確実な連結は保持器が関係ない容器に固定されるために再利用できないようにするので、連結は重要である。これによって容器に入れられる対照試薬によって得られた試験結果が混同するのを防ぐ。分析に使用する用意ができたら、装置はさらに容器に入った対照試薬を含み、試薬が使用前に容器から漏出しないように容器はキャップで閉じられる。装置は、中に入っている試薬の種類を示すラベルを備えている。
【0031】
第二の実施態様において、本発明は入れ物部及びアダプタ要素を備えているラックに関するものである。ラックシステムのこの部分は非使い捨てであり、機器においてその後の分析に使用することができる。アダプタ要素は穴内部でラックにしっかりと固定される。
【0032】
第三の実施態様において、分析プロセスに使用される際、本発明によるラックシステムは1つ又はそれ以上の使い捨て装置をラック内に入れることによって使用者によって準備される。
【0033】
分析プロセスにおいて、ラックシステムは、ラックシステムは分析機器に配置され、分析が開始される。分析中、予め決められた量の試薬が容器から取り出され分析にかけられる。正確な量の液体の吸引は容量性液位計によって制御することができる。この原理は、当業界において既知であるが、本発明は対照試薬の液体操作へのこの原理の応用を大幅に改良する。このために、容器及びアダプタは導電性材料で作られ、ピペット先端とアダプタの底部との間の容量が測定される。ピペット先端の下向き移動中の容量の低下は、先端が容器の中の液体対照試薬の表面に達したことを示す。
【0034】
実施態様例において、分析機器は、COBAS AmpliPrep(Roche Diagnostics社)である。ラックシステムは対照試薬用に設計されるスロットに挿入される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明によるラックシステムの例の一部の縦断面を示す。
【図2】本発明によるアダプタの例を示す。
【図3】本発明による保持器の例を示す。
【図4】本発明による挿入装置の例を示す。
【図5】上から見た本発明によるラックの例を示す。
【符号の説明】
【0036】
100 アダプタ
101 アダプタの上部
102 アダプタの下部
103 アダプタのステム部
104 スナップ手段
105 ばね
106 空洞部
107 アダプタの接触面
108 ラックへのアダプタの取り付け手段
200 保持器
201 保持器の上部
202 保持器の下部
203 保持器の突起又はスナップ手段
204 保持器のスプライン部
300 入れ物
301 穴
302 アダプタ要素を固定する手段
303 保持器を固定する手段
304 挿入装置の位置を定めるためのガイド
305 挿入装置を固定するための凹部
306 機器においてラックの位置を定める手段
400 容器
401 ねじ部
402 リム
403 試料を受けるための室
404 容器の底部
500 挿入装置
501 挿入材のラベル部
502 挿入材の蓋部
503 外側エリア
504 ガイド手段
505 挿入装置の固定手段
506 アダプタ取り付け手段(108)を受ける固定手段(図には示されていない)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に筒状の本体を受けるための幅より長さが大きな少なくとも1つの穴を有する入れ物部と、
前記分析用管容器を受けるための空洞部を形成しているアダプタ要素とを備えている、少なくとも1つの分析用管容器を受けるためのラックにおいて、
前記アダプタ要素が、前記穴の底部から前記穴の少なくとも半分まで延びている、可撓性の中央ステム部を備えていることを特徴とする、少なくとも1つの分析用管容器を受けるためのラック。
【請求項2】
前記ラックは、前記ラックの同一性を示す、機械で読み取り可能なタグをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載のラック。
【請求項3】
前記穴の幅は、前記分析用管容器の外径よりも実質的に大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のラック。
【請求項4】
前記ラックは、前記穴内に少なくとも部分的に位置決めされかつ前記アダプタ要素に接続されている、実質的に筒状の使い捨て保持器をさらに備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラック。
【請求項5】
前記アダプタ要素が前記保持器の内壁に圧力をかけることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のラック。
【請求項6】
前記アダプタ要素は、前記アダプタ内に含まれている管と接触するのに適した表面を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラック。
【請求項7】
前記アダプタは導電性であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のラック。
【請求項8】
前記アダプタは、前記入れ物部内の前記穴の底部にしっかりと固定されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のラック。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のラックと、
前記穴に少なくとも部分的に配置される実質的に筒状であり、かつ前記穴の内径より実質的に小さな外径を有する、管容器とを備えている、流体操作機器において使用するためのラックシステム。
【請求項10】
前記アダプタ要素は、前記穴の底部から、少なくとも前記穴の長さの半分まで延びていることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記アダプタ要素は、管と接触するのに適した表面を有していることを特徴とする、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アダプタ要素は導電性であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムは、前記穴内に少なくとも部分的に位置決めされかつ前記管容器及び前記アダプタ要素に接続されている、実質的に筒状の使い捨て保持要素をさらに備えていることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記保持器の外径は、前記穴の内径よりも実質的に小さいことを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記保持要素は、前記アダプタの長さを超えて延びていることを特徴とする、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記保持器は、バーコードラベルを備えていることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記保持要素は、圧力嵌めで前記アダプタ要素に接続されていることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記保持要素は、前記穴のスペース外側まで延びていることを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記容器は、前記穴のスペース外側まで延びていることを特徴とする、請求項9〜18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記保持器は、前記穴の底部まで延びていることを特徴とする、請求項13〜19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記アダプタ要素は、前記穴の底部にしっかりと固定されていることを特徴とする、請求項9〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記保持要素は、前記穴の底部に直接的には固定されていることを特徴とする、請求項9〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記容器が液体対照試薬を含んでいることを特徴とする、請求項9〜22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
第一及び第二の開口を有しかつ前記第二の開口に歯状手段(204)を備えている、実質的に筒状の保持器と、
前記第一の開口内に配置される液体を受けるための閉鎖可能な管容器であり、前記容器がねじ部(402)を有し、前記管容器が前記保持器の内部にしっかりと固定される、管容器とを備え、
前記保持器及び前記容器がねじれを防ぐために、前記保持器のスプライン部(204)及び前記容器のリム(402)によって固定されている、使い捨て装置。
【請求項25】
前記管容器と前記保持器は異なる材料で作られていることを特徴とする、請求項24に記載の使い捨て装置。
【請求項26】
前記保持器の材料は、前記管容器の材料よりも導電性が小さいことを特徴とする、請求項24又は25に記載の使い捨て装置。
【請求項27】
前記管容器は、前記第二開口部に向けて、少なくとも前記管状本体の半分まで延びていることを特徴とする、請求項24〜26のいずれか1項に記載の使い捨て装置。
【請求項28】
前記管が液体対照試薬を含んでいることを特徴とする、請求項24〜27のいずれか1項に記載の使い捨て装置。
【請求項29】
前記管が、取り外し可能なキャップによって閉鎖されていることを特徴とする、請求項24〜27のいずれか1項に記載の使い捨て装置。
【請求項30】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のラックと、
請求項24〜29のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置とを備えている、管ラックシステム。
【請求項31】
前記装置は、前記穴内で柔軟にねじれなく固定されていることを特徴とする請求項30に記載の管ラックシステム。
【請求項32】
請求項9〜23、30又は31に記載のラックシステムを自動化分析器に配置するステップと、
前記ラックシステムに納められている試料を自動化分析するステップとを備えている、試料の中の分析物の存在を決定する方法。
【請求項33】
前記穴を閉鎖するための上部及びラベルを備えている側面部を備え、前記ラベルが前記穴に試料又は対照容器が入っていないことを示す、ラックシステムにおいて試料を受けるように設計されている穴を閉鎖するための挿入装置。
【請求項34】
請求項33に記載の挿入材を備えていることを特徴とするラックシステム。
【請求項35】
前記ラックシステムが管ラックシステムであり、前記管ラックシステムは、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のラックと、
請求項24〜29のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置とを備えている、請求項33に記載のラックシステム。
【請求項36】
請求項33に記載の挿入材を備えているラック。
【請求項37】
前記ラックは、請求項1〜8のいずれか1項に記載のラックである請求項36に記載のラック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に筒状の本体を受けるための幅より長さが大きな少なくとも1つの穴を有する入れ物部と、
前記分析用管容器を受けるための空洞部を形成しているアダプタ要素とを備えている、少なくとも1つの分析用管容器を受けるためのラックにおいて、
前記アダプタ要素が、前記穴の底部から前記穴の少なくとも半分まで延びている、可撓性の中央ステム部を備えていることを特徴とする、少なくとも1つの分析用管容器を受けるためのラック。
【請求項2】
請求項1に記載のラックと、
前記穴に少なくとも部分的に配置される実質的に筒状であり、かつ前記穴の内径より実質的に小さな外径を有する、管容器とを備えている、流体操作機器において使用するためのラックシステム。
【請求項3】
第一及び第二の開口を有しかつ前記第二の開口に歯状手段(204)を備えている、実質的に筒状の保持器と、
前記第一の開口内に配置される液体を受けるための閉鎖可能な管容器であり、前記容器がねじ部(402)を有し、前記管容器が前記保持器の内部にしっかりと固定される、管容器とを備え、
前記保持器及び前記容器がねじれを防ぐために、前記保持器のスプライン部(204)及び前記容器のリム(402)によって固定されている、使い捨て装置。
【請求項4】
請求項1に記載のラックと、
請求項3に記載の少なくとも1つの装置とを備えている、管ラックシステム。
【請求項5】
請求項2又は4に記載のラックシステムを自動化分析器に配置するステップと、
前記ラックシステムに納められている試料を自動化分析するステップとを備えている、試料の中の分析物の存在を決定する方法。
【請求項6】
前記穴を閉鎖するための上部及びラベルを備えている側面部を備え、前記ラベルが前記穴に試料又は対照容器が入っていないことを示す、ラックシステムにおいて試料を受けるように設計されている穴を閉鎖するための挿入装置。
【請求項7】
請求項6に記載の挿入装置を備えていることを特徴とするラックシステム。
【請求項8】
前記ラックシステムが管ラックシステムであり、前記管ラックシステムは、
請求項1に記載のラックと、
請求項3に記載の少なくとも1つの装置とを備えている、請求項7に記載のラックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−53129(P2006−53129A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−196016(P2005−196016)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】