ラック
【課題】ラックに使用されている棚用フレームの強度面の問題点を解消する。
【解決手段】前後一対のビーム材2a,2b間に、当該ビーム材2a,2bの長さ方向適当間隔おきにサブビーム材3a,3bを、ビーム材2a,2b側の切欠き部15a,15bとサブビーム材3a,3b両端の突出部12a,12bとの上下方向の嵌合により架設して成る棚用フレーム1を備えたラックにおいて、前記前後一対のビーム材2a,2b間には、前記サブビーム材3a,3bとは別に、両端が前記ビーム材2a,2bにネジ止めされた補強用連結部材7が架設された構成。
【解決手段】前後一対のビーム材2a,2b間に、当該ビーム材2a,2bの長さ方向適当間隔おきにサブビーム材3a,3bを、ビーム材2a,2b側の切欠き部15a,15bとサブビーム材3a,3b両端の突出部12a,12bとの上下方向の嵌合により架設して成る棚用フレーム1を備えたラックにおいて、前記前後一対のビーム材2a,2b間には、前記サブビーム材3a,3bとは別に、両端が前記ビーム材2a,2bにネジ止めされた補強用連結部材7が架設された構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後一対のビーム材間に、当該ビーム材の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材を架設して成る棚用フレームを備えたラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラックの棚用フレームとして、特許文献1に記載されるように、前後一対のビーム材間に、当該ビーム材の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材を、ビーム材側の切欠き部とサブビーム材両端の突出部との上下方向の嵌合により架設して成るものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−290140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示されるような従来のラックの棚用フレームでは、前後一対のビーム材間に架設されるサブビーム材の本数が如何に多くとも、各サブビーム材の両端が単にビーム材に引っ掛けられているだけであるから、当該ビーム材とサブビーム材とで組み立てられた棚用フレーム自体には全体の矩形平面形状を保持し得るような強度は殆ど期待出来ない。従って、前後一対のビーム材の両端を支持する左右一対の側枠構造体自体の強度や据付け強度、或いは当該側枠構造体と各ビーム材との結合構造によっては、外力が作用したときに前後一対のビーム材が互いに反対方向に相対運動する捻じれ現象が発生する恐れがあり、安全性や安定性の面で問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできるラックを提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係るラックは、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、前後一対のビーム材(2a,2b)間に、当該ビーム材(2a,2b)の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材(3a,3b)を、ビーム材(2a,2b)側の切欠き部(15a,15b)とサブビーム材(3a,3b)両端の突出部(12a,12b)との上下方向の嵌合により架設して成る棚用フレームを備えたラックにおいて、前記前後一対のビーム材(2a,2b)間には、前記サブビーム材(3a,3b)とは別に、両端が前記ビーム材(2a,2b)にネジ止めされた補強用連結部材(7)が架設された構成になっている。
【0006】
前記補強用連結部材(7)はパイプ材を利用して構成することが出来る。この場合、請求項2に記載のように、当該補強用連結部材(7)の両端には、前記パイプ材の両端部を押し潰して形成した垂直な扁平状厚板部(18a,18b)を直角横向きに折曲して成る取付け板部(19a,19b)を設け、この取付け板部(19a,19b)に設けられた取付け孔(20)と前記ビーム材(2a,2b)の垂直板部に設けられた取付け孔(21)とを貫通するボルト(22)とナット(23)により、前記補強用連結部材(7)の両端を前記ビーム材(2a,2b)に取り付けることが出来る。前記補強用連結部材(7)の両端の取付け板部(19a,19b)は同一向きに折曲させることも出来るが、請求項3に記載のように、両端の取付け板部(19a,19b)を互いに逆向きに折曲させるのが望ましい。更に、請求項4に記載のように、前記補強用連結部材(7)の両端の取付け板部(19a,19b)を構成する前記扁平状厚板部(18a,18b)は、前記パイプ材の直径方向両側面とそれぞれ面一になるよう、前記パイプ材の直径方向両側に偏心させて形成し、前記取付け板部(19a,19b)は、各扁平状厚板部(18a,18b)を前記パイプ材の中心線から遠ざかる方向に直角に折曲させて構成することが出来る。
【0007】
尚、一般的なラックとしては、その棚用フレーム(1)には、前記ビーム材(2a,2b)の長さ方向に少なくとも2つの荷載置エリア(1A,1B)が設けられ、各荷載置エリア(1A,1B)は、少なくとも2本の前記サブビーム材(3a,3b)で構成されることになるが、この場合、請求項5に記載のように、前記補強用連結部材(7)は、隣り合う2つの荷載置エリア(1A,1B)間に少なくとも1本、配置することが出来る。
【0008】
又、請求項6に記載のように、前記棚用フレーム(1)には、前記サブビーム材(3a,3b)の下側で斜めに水平ブレース材(24a,24b)を架設することが出来る。この場合、請求項7に記載のように、前記水平ブレース材(24a,24b)は、その両端を前後一対のビーム材(2a,2b)にネジ止めしても良いし、請求項8に記載のように、前記水平ブレース材(24a,24b)の少なくとも一端は、前記補強用連結部材(7)にネジ止めすることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、1つの棚用フレームに対して複数本の組み込みが必要なサブビーム材は、前後一対のビーム材に対してネジ止めすることなく、単にビーム材側の切欠き部とサブビーム材両端の突出部とを上下方向に嵌合させるだけの極めて簡単な操作だけで、前後一対のビーム材間に架設して棚用フレームを構成することが出来るものでありながら、前記サブビーム材とは別に、前後一対のビーム材間に、両端が前記ビーム材にネジ止めされて架設された補強用連結部材が存在することにより、当該補強用連結部材が存在しない場合と比較して棚用フレーム全体の強度が増し、従来のように、外力が作用したときに前後一対のビーム材が互いに反対方向に相対運動する捻じれ現象が発生する恐れが解消し、安全性や安定性が向上することになる。
【0010】
尚、補強用連結部材は、棒状体や板状体を利用した如何なる構造のものでも良いが、請求項2に記載の構成によれば、直角横向きの取付け板部を両端に備えた補強用連結部材を、別部材を組み合わせることなくパイプ材のみで容易且つ安価に構成することが出来るので、軽量でしかも十分な曲げ強度を持ち、ビーム材の垂直板部にボルトナットにより簡単に取り付けることが出来る安価な補強用連結部材を得ることが出来る。この場合、請求項3に記載の構成によれば、両端の取付け板部が同一向きに折曲形成されているものと比較して、前後一対のビーム材に対するボルトナットによるネジ止め位置を当該ビーム材の長さ方向に離して、所期の捻じれ防止効果を高めることが出来るのであるが、更に、請求項4に記載の構成によれば、補強用連結部材両端の前後一対のビーム材に対するボルトナットによるネジ止め位置を当該ビーム材の長さ方向に更に離して、所期の捻じれ防止効果を一層高めることが出来るだけでなく、取付け板部の長さを必要最小限に抑えながら、補各取付け板部の取付け孔の位置を補強用連結部材に対して横側方に十分に離すことが出来、ボルトナットによるネジ止め作業を容易に行うことが出来る。
【0011】
又、補強用連結部材が棚用フレーム上の荷載置エリアの真下にある場合と比較して、請求項5に記載の構成によれば、補強用連結部材の保守管理のために全ての荷載置エリア上の荷を取り除いておく必要がなく、補強用連結部材の保守管理が容易に行える。このように構成する場合、補強用連結部材の使用本数が当然少なくなり、所期の捻じれ防止効果が十分に得られなくなる恐れが考えられるが、特にラックの使用環境が、棚用フレームに先に説明したような捻じれ現象が発生し易い状況にあるときには、請求項6に記載の構成を採用して、棚用フレームに対する捻じれ防止効果を補うことが出来る。更に、請求項7に記載の構成によれば、荷載置エリアの下側に配設される水平ブレース材の一端、即ち、荷載置エリア間の補強用連結部材に近い側の端部を、当該補強用連結部材に隣り合うように配設されるサブビーム材の存在に関係なく、容易に取り付けることが出来ると同時に、当該補強用連結部材自体を水平ブレース材の連結により補強することが出来、棚用フレーム全体としての強度を一層高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、棚用フレームの使用状態を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、棚用フレームの一部省略縦断側面図である。
【図3】図3は、棚用フレームの要部を示す一部省略横断平面図である。
【図4】図4は、図3の縦断正面図である。
【図5】図5Aは、補強用連結部材の一部省略平面図、図5Bは、図5Aの側面図、図5Cは、補強用連結部材の変形例を示す一部省略平面図である。
【図6】図6は、棚用フレームの第二実施例を示す概略平面図である。
【図7】図7は、図6の要部の一部省略横断平面図である。
【図8】図8は、図7の縦断正面図である。
【図9】図9は、棚用フレームの第三実施例を示す概略平面図である。
【図10】図10は、図9の要部の拡大横断平面図である。
【図11】図11は、図10の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、1は、間口方向に沿って2つの荷載置エリア1A,1Bを備えた棚用フレームであって、間口方向と平行な前後一対のビーム材2a,2bと、このビーム材2a,2b間で各荷載置エリア1A,1B毎に2本ずつ、奥行き方向と平行に架設されたサブビーム材3a,3bとで構成されている。この棚用フレーム1は、前後一対の支柱部材4a,4bと両支柱部材4a,4b間に配設された連結部材5によって構成された左右一対のラチス構造の棚支持フレーム6a,6b間に、その前後一対のビーム材2a,2bの両端が各支柱部材4a,4bに係止される状態で水平に支持される。7は補強用連結部材であって、2つの荷載置エリア1A,1B間の中央位置において、前後一対のビーム材2a,2b間に、各ビーム材2a,2bに対して直角向きに架設されている。尚、図では、左右一対の棚支持フレーム6a,6b間に上下複数段に架設される棚用フレーム1の1つを例示している。
【0014】
以下、具体的に説明すると、図2〜図4に示すように、ビーム材2a,2bは、縦断面が前後対称形状のものであって、上下一対の外側水平板部8a,8bと、この上下一対の外側水平板部8a,8b間に配置され且つ凹溝部が外向きに開放された溝形板部9と、前記上下一対の外側水平板部8a,8bの外側辺と前記溝形板部9の上下両水平板部の外側辺とをつなぐ上下一対の傾斜板部10a,10bとから成る上下対称形の型材で構成されている。尚、上下一対の外側水平板部8a,8bの内側辺には、直角内向きに垂直張出板部が折曲連設されている。
【0015】
サブビーム材3a,3bは、左右両垂直側板部11a,11bの下側辺から直角内向きに水平張出板部が連設されているリップ付き門形断面形状の型材から成るもので、長さ方向の両端には、左右両垂直側板部11a,11bの下半部とその下側辺からの水平張出板部をこのサブビーム材3の長さ方向に延出させて構成した左右一対の突出部12a,12bを備えている。これら左右一対の突出部12a,12bには、その先端近傍位置で水平張出板部の内側辺に矩形状の凹入部13a,13bが形成されている。
【0016】
一方、ビーム材2a,2bには、サブビーム材支持部14が当該ビーム材長さ方向等間隔おきに設けられている。このサブビーム材支持部14は、溝形板部9の上側出隅部に形成された左右一対の切欠き部15a,15bによって構成されている。この切欠き部15a,15bの垂直孔部の互いに隣り合う内側辺から内側に突出する突出板部16が形成されている。
【0017】
サブビーム材3a,3bは、その両端の左右一対の突出部12a,12bを前後一対のビーム材2a,2b上に載置できる程度の全長を有するものである。従って、前後一対のビーム材2a,2b間にサブビーム材3a,3bを架設する場合、サブビーム材3a,3bをビーム材2a,2bに対して斜めの姿勢でビーム材2a,2b間に下した後、サブビーム材3a,3bを、ビーム材2a,2bに対して直角向きの姿勢まで水平に回転させ、その両端の突出部12a,12bをビーム材2a,2b内で溝形板部9の上側に挿入させる。この後、サブビーム材3a,3bを下して、当該サブビーム材3a,3bの両端の突出部12a,12bの先端部をビーム材2a,2b側の選択された1つのサブビーム材支持部14における左右一対の切欠き部15a,15bに嵌合させることになる。このとき切欠き部15a,15bが備える前記突出板部16が突出部12a,12bの前記凹入部13a,13b内に嵌合して、サブビーム材3a,3bの長さ方向の遊び代を制限することになる。
【0018】
以上のようにして前後一対のビーム材2a,2b間に水平に架設された左右一対のサブビーム材3a,3bによって、棚用フレーム1上の各荷載置エリア1A,1Bが形成されるのであるが、各サブビーム材3a,3bは、その両端が前後一対のビーム材2a,2bに設けられたサブビーム材支持部14の切欠き部15a,15bにサブビーム材3a,3b側の突出部12a,12bが嵌合して受け止められているだけであって、前後一対のビーム材2a,2bをその長さ方向の相対移動を阻止するように剛結合しているものではない。従って、前後一対のビーム材2a,2bをその長さ方向に相対移動させるような外力が作用したとき、棚用フレーム1が捻じれ現象を起こす恐れがある。この問題点を解消するために、前記補強用連結部材7が組み込まれている。
【0019】
前記補強用連結部材7は、図2〜図5に示すように、丸パイプ材から成る本体17の両端に、一定長さの領域を押し潰して形成した垂直な扁平状厚板部18a,18bを直角横向きに折曲して成る取付け板部19a,19bを形成したものである。この両端の取付け板部19a,19bは、その外側面間距離が、前後一対のビーム材2a,2bの溝形板部9の垂直板部間の間隔とほぼ等しくなるように構成されている。この実施例では、両端の扁平状厚板部18a,18bは、本体17の直径方向両側面とそれぞれ面一になるよう、当該本体17の直径方向両側に偏心させて形成され、前記取付け板部19a,19bは、各扁平状厚板部18a,18bを本体17の中心線から遠ざかる方向に互いに逆向きに直角に折曲され、これら取付け板部19a,19bには、取付け孔20が穿設されている。一方、ビーム材2a,2bの溝形板部9における垂直板部には、サブビーム材支持部14ごとに、左右一対の切欠き部15a,15b間の中央位置で且つ切欠き部15a,15bより下側の位置に、取付け孔21が設けられている。そして補強用連結部材7が備える両端の2つの取付け孔20間の本体17に対して直角方向の水平距離(図5Bに示す水平距離L)と、ビーム材2a,2b側の各取付け孔21の間隔(図4に示す間隔D=サブビーム材支持部14間の間隔)とが、等しくなるように構成されている。
【0020】
従って、棚用フレーム7上の2つの荷載置エリア1A,1B間において、前後一対のビーム材2a,2b間に補強用連結部材7を直角水平向きに配置し、当該補強用連結部材7の両端の取付け板部19a,19bを、各ビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部に隣接させると共に、各取付け板部19a,19bの取付け孔20とビーム材2a,2b側の取付け孔21とを合致させた状態で、両取付け孔20,21間にわたってビーム材2a,2bの外側から内向きに挿通させたボルト22とナット23とにより、各取付け板部19a,19bとビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部とを互いに締結一体化させることが出来る。
【0021】
尚、図5Cに示すように、補強用連結部材7の本体17の両端一定領域を押し潰して形成する扁平状厚板部18a,18bは、本体17の軸心位置に形成し、これを互いに逆向きに直角に折曲して取付け板部19a,19bを形成しても良い。この場合、取付け板部19a,19bの遊端から取付け孔20までの距離を一定にするならば、取付け孔20間の本体17に対して直角方向の水平距離(図5Bに示す水平距離L)を確保するために、取付け板部19a,19bの長さを長くしなければならない。
【0022】
棚用フレーム1上に形成される荷載置エリアの数が多くなる場合や、重量物を載置する棚用フレームなどの場合、1本の補強用連結部材7をビーム材2a,2b間に架設するだけでは十分な補強効果が得られないときは、補強用連結部材7の本数を増やすことも出来る。又、補強用連結部材7の本数を増やさないで、或いは補強用連結部材7の本数を増やすと同時に、図6に示すように、前後一対のビーム材2a,2b間でサブビーム材3a,3bの下側に、互いに交差する2本の水平ブレース材24a,24bを配置し、これら各水平ブレース材24a,24bの両端を前後一対のビーム材2a,2bにネジ止めすることが出来る。
【0023】
前記水平ブレース材24a,24bは、図7及び図8に示すように、帯状板から成る本体25を水平面上でビーム材2a,2b間に架設する角度に傾斜させた状態で、その両端部を両ビーム材2a,2bの長さ方向と平行な折れ線に沿って垂直に折曲起立させて、取付け板部26a,26bを形成したものであって、両取付け板部26a,26bには取付け孔27が穿設されている。この両取付け板部26a,26bは、取付け孔27間のビーム材2a,2b長さ方向と平行な方向の距離がビーム材2a,2b側の取付け孔21間の間隔(サブビーム材支持部14間の間隔)の整数倍となるように構成されている。
【0024】
上記構成の2本の水平ブレース材24a,24bは、それぞれの本体25の長さ方向の中央部が上下に重なるように交差させた状態で、それぞれの両端の取付け板部26a,26bをビーム材2a,2bの溝形板部9の垂直板部に隣接させると共に、各取付け板部26a,26bの取付け孔27とビーム材2a,2b側の取付け孔21とを合致させ、両取付け孔21,27間にわたってビーム材2a,2bの外側から内向きに挿通させたボルト28とナット29とにより、各取付け板部26a,26bとビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部とを互いに締結一体化させることにより、前後一対のビーム材2a,2b間に架設される。
【0025】
尚、図9に示すように、前記2本の交差する水平ブレース材24a,24bの端部の内、補強用連結部材7のある側の端部は、ビーム材2a,2bではなく、補強用連結部材7にネジ止めすることも可能である。この場合、水平ブレース材24a,24bを構成する本体25の両端の内、ビーム材2a,2bにネジ止めする側には、上向きに折曲連設された前記取付け板部26aを形成し、反対側の端部には、図10及び図11に示すように、補強用連結部材7の下側に入り込む水平取付け板部30を、本体25の延長により形成し、この水平取付け板部30に上下方向の取付け孔31を設けておくことになる。使用に際しては、両荷載置エリア1A,1Bに配設される各2本の交差する水平ブレース材24a,24bの両端の内、補強用連結部材7とは反対側の端部は、上向きの取付け板部26aを利用して前記のようにビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部にボルト22とナット23により締結し、補強用連結部材7側の端部は、当該補強用連結部材7とこの下側に当接させた水平取付け板部30の取付け孔31を垂直に貫通するボルト32とナット33により、補強用連結部材7の下側に締結すれば良い。
【0026】
荷載置エリア1A,1B間に1本の補強用連結部材7が架設されている場合、当該補強用連結部材7の両側に架設される水平ブレース材24a,24bの水平取付け板部30を、補強用連結部材7の長さ方向に位置をずらして各別にボルト32とナット33により取り付けることも可能であるが、図示のように同一側に位置する2つの水平取付け板部30を互いに上下に重ねた状態で1本のボルト32とナット33により補強用連結部材7の一箇所に取り付けることが望ましい。
【0027】
上記実施例では、各荷載置エリア1A,1Bに、互いに交差する2本の水平ブレース材24a,24bを架設したが、各荷載置エリア1A,1Bに1本の水平ブレース材24a又は24bを架設しても良い。この場合、隣り合う荷載置エリア1A,1Bの水平ブレース材の傾斜方向が交互に異なるように配置するのが好ましい。又、水平ブレース材24a,24bの端部は、両端ともビーム材2a,2bにネジ止めしても良いし、水平ブレース材24a,24bの両端又は一端に隣接して補強用連結部材7が架設されているときは、その補強用連結部材7に隣接する水平ブレース材24a,24bの両端又は一端を補強用連結部材7にネジ止めしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のラックは、前後一対のビーム材間にサブビーム材を架設して組み立てられる棚用フレームを備えたラックとして活用出来るものである。
【符号の説明】
【0029】
1 棚用フレーム
2a,2b ビーム材
3a,3b サブビーム材
7 補強用連結部材
9 ビーム材の溝形板部
12a,12b サブビーム材の突出部
15a,15b 切欠き部
17 補強用連結部材の本体
18a,18b 扁平状厚板部
19a,19b,26a,26b 取付け板部
20,21,27,29 取付け孔
22,28,32 ボルト
23,29,33 ナット
24a,24b 水平ブレース材
25 水平ブレース材の本体
30 水平取付け板部
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後一対のビーム材間に、当該ビーム材の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材を架設して成る棚用フレームを備えたラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラックの棚用フレームとして、特許文献1に記載されるように、前後一対のビーム材間に、当該ビーム材の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材を、ビーム材側の切欠き部とサブビーム材両端の突出部との上下方向の嵌合により架設して成るものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−290140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示されるような従来のラックの棚用フレームでは、前後一対のビーム材間に架設されるサブビーム材の本数が如何に多くとも、各サブビーム材の両端が単にビーム材に引っ掛けられているだけであるから、当該ビーム材とサブビーム材とで組み立てられた棚用フレーム自体には全体の矩形平面形状を保持し得るような強度は殆ど期待出来ない。従って、前後一対のビーム材の両端を支持する左右一対の側枠構造体自体の強度や据付け強度、或いは当該側枠構造体と各ビーム材との結合構造によっては、外力が作用したときに前後一対のビーム材が互いに反対方向に相対運動する捻じれ現象が発生する恐れがあり、安全性や安定性の面で問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできるラックを提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係るラックは、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、前後一対のビーム材(2a,2b)間に、当該ビーム材(2a,2b)の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材(3a,3b)を、ビーム材(2a,2b)側の切欠き部(15a,15b)とサブビーム材(3a,3b)両端の突出部(12a,12b)との上下方向の嵌合により架設して成る棚用フレームを備えたラックにおいて、前記前後一対のビーム材(2a,2b)間には、前記サブビーム材(3a,3b)とは別に、両端が前記ビーム材(2a,2b)にネジ止めされた補強用連結部材(7)が架設された構成になっている。
【0006】
前記補強用連結部材(7)はパイプ材を利用して構成することが出来る。この場合、請求項2に記載のように、当該補強用連結部材(7)の両端には、前記パイプ材の両端部を押し潰して形成した垂直な扁平状厚板部(18a,18b)を直角横向きに折曲して成る取付け板部(19a,19b)を設け、この取付け板部(19a,19b)に設けられた取付け孔(20)と前記ビーム材(2a,2b)の垂直板部に設けられた取付け孔(21)とを貫通するボルト(22)とナット(23)により、前記補強用連結部材(7)の両端を前記ビーム材(2a,2b)に取り付けることが出来る。前記補強用連結部材(7)の両端の取付け板部(19a,19b)は同一向きに折曲させることも出来るが、請求項3に記載のように、両端の取付け板部(19a,19b)を互いに逆向きに折曲させるのが望ましい。更に、請求項4に記載のように、前記補強用連結部材(7)の両端の取付け板部(19a,19b)を構成する前記扁平状厚板部(18a,18b)は、前記パイプ材の直径方向両側面とそれぞれ面一になるよう、前記パイプ材の直径方向両側に偏心させて形成し、前記取付け板部(19a,19b)は、各扁平状厚板部(18a,18b)を前記パイプ材の中心線から遠ざかる方向に直角に折曲させて構成することが出来る。
【0007】
尚、一般的なラックとしては、その棚用フレーム(1)には、前記ビーム材(2a,2b)の長さ方向に少なくとも2つの荷載置エリア(1A,1B)が設けられ、各荷載置エリア(1A,1B)は、少なくとも2本の前記サブビーム材(3a,3b)で構成されることになるが、この場合、請求項5に記載のように、前記補強用連結部材(7)は、隣り合う2つの荷載置エリア(1A,1B)間に少なくとも1本、配置することが出来る。
【0008】
又、請求項6に記載のように、前記棚用フレーム(1)には、前記サブビーム材(3a,3b)の下側で斜めに水平ブレース材(24a,24b)を架設することが出来る。この場合、請求項7に記載のように、前記水平ブレース材(24a,24b)は、その両端を前後一対のビーム材(2a,2b)にネジ止めしても良いし、請求項8に記載のように、前記水平ブレース材(24a,24b)の少なくとも一端は、前記補強用連結部材(7)にネジ止めすることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、1つの棚用フレームに対して複数本の組み込みが必要なサブビーム材は、前後一対のビーム材に対してネジ止めすることなく、単にビーム材側の切欠き部とサブビーム材両端の突出部とを上下方向に嵌合させるだけの極めて簡単な操作だけで、前後一対のビーム材間に架設して棚用フレームを構成することが出来るものでありながら、前記サブビーム材とは別に、前後一対のビーム材間に、両端が前記ビーム材にネジ止めされて架設された補強用連結部材が存在することにより、当該補強用連結部材が存在しない場合と比較して棚用フレーム全体の強度が増し、従来のように、外力が作用したときに前後一対のビーム材が互いに反対方向に相対運動する捻じれ現象が発生する恐れが解消し、安全性や安定性が向上することになる。
【0010】
尚、補強用連結部材は、棒状体や板状体を利用した如何なる構造のものでも良いが、請求項2に記載の構成によれば、直角横向きの取付け板部を両端に備えた補強用連結部材を、別部材を組み合わせることなくパイプ材のみで容易且つ安価に構成することが出来るので、軽量でしかも十分な曲げ強度を持ち、ビーム材の垂直板部にボルトナットにより簡単に取り付けることが出来る安価な補強用連結部材を得ることが出来る。この場合、請求項3に記載の構成によれば、両端の取付け板部が同一向きに折曲形成されているものと比較して、前後一対のビーム材に対するボルトナットによるネジ止め位置を当該ビーム材の長さ方向に離して、所期の捻じれ防止効果を高めることが出来るのであるが、更に、請求項4に記載の構成によれば、補強用連結部材両端の前後一対のビーム材に対するボルトナットによるネジ止め位置を当該ビーム材の長さ方向に更に離して、所期の捻じれ防止効果を一層高めることが出来るだけでなく、取付け板部の長さを必要最小限に抑えながら、補各取付け板部の取付け孔の位置を補強用連結部材に対して横側方に十分に離すことが出来、ボルトナットによるネジ止め作業を容易に行うことが出来る。
【0011】
又、補強用連結部材が棚用フレーム上の荷載置エリアの真下にある場合と比較して、請求項5に記載の構成によれば、補強用連結部材の保守管理のために全ての荷載置エリア上の荷を取り除いておく必要がなく、補強用連結部材の保守管理が容易に行える。このように構成する場合、補強用連結部材の使用本数が当然少なくなり、所期の捻じれ防止効果が十分に得られなくなる恐れが考えられるが、特にラックの使用環境が、棚用フレームに先に説明したような捻じれ現象が発生し易い状況にあるときには、請求項6に記載の構成を採用して、棚用フレームに対する捻じれ防止効果を補うことが出来る。更に、請求項7に記載の構成によれば、荷載置エリアの下側に配設される水平ブレース材の一端、即ち、荷載置エリア間の補強用連結部材に近い側の端部を、当該補強用連結部材に隣り合うように配設されるサブビーム材の存在に関係なく、容易に取り付けることが出来ると同時に、当該補強用連結部材自体を水平ブレース材の連結により補強することが出来、棚用フレーム全体としての強度を一層高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、棚用フレームの使用状態を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、棚用フレームの一部省略縦断側面図である。
【図3】図3は、棚用フレームの要部を示す一部省略横断平面図である。
【図4】図4は、図3の縦断正面図である。
【図5】図5Aは、補強用連結部材の一部省略平面図、図5Bは、図5Aの側面図、図5Cは、補強用連結部材の変形例を示す一部省略平面図である。
【図6】図6は、棚用フレームの第二実施例を示す概略平面図である。
【図7】図7は、図6の要部の一部省略横断平面図である。
【図8】図8は、図7の縦断正面図である。
【図9】図9は、棚用フレームの第三実施例を示す概略平面図である。
【図10】図10は、図9の要部の拡大横断平面図である。
【図11】図11は、図10の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、1は、間口方向に沿って2つの荷載置エリア1A,1Bを備えた棚用フレームであって、間口方向と平行な前後一対のビーム材2a,2bと、このビーム材2a,2b間で各荷載置エリア1A,1B毎に2本ずつ、奥行き方向と平行に架設されたサブビーム材3a,3bとで構成されている。この棚用フレーム1は、前後一対の支柱部材4a,4bと両支柱部材4a,4b間に配設された連結部材5によって構成された左右一対のラチス構造の棚支持フレーム6a,6b間に、その前後一対のビーム材2a,2bの両端が各支柱部材4a,4bに係止される状態で水平に支持される。7は補強用連結部材であって、2つの荷載置エリア1A,1B間の中央位置において、前後一対のビーム材2a,2b間に、各ビーム材2a,2bに対して直角向きに架設されている。尚、図では、左右一対の棚支持フレーム6a,6b間に上下複数段に架設される棚用フレーム1の1つを例示している。
【0014】
以下、具体的に説明すると、図2〜図4に示すように、ビーム材2a,2bは、縦断面が前後対称形状のものであって、上下一対の外側水平板部8a,8bと、この上下一対の外側水平板部8a,8b間に配置され且つ凹溝部が外向きに開放された溝形板部9と、前記上下一対の外側水平板部8a,8bの外側辺と前記溝形板部9の上下両水平板部の外側辺とをつなぐ上下一対の傾斜板部10a,10bとから成る上下対称形の型材で構成されている。尚、上下一対の外側水平板部8a,8bの内側辺には、直角内向きに垂直張出板部が折曲連設されている。
【0015】
サブビーム材3a,3bは、左右両垂直側板部11a,11bの下側辺から直角内向きに水平張出板部が連設されているリップ付き門形断面形状の型材から成るもので、長さ方向の両端には、左右両垂直側板部11a,11bの下半部とその下側辺からの水平張出板部をこのサブビーム材3の長さ方向に延出させて構成した左右一対の突出部12a,12bを備えている。これら左右一対の突出部12a,12bには、その先端近傍位置で水平張出板部の内側辺に矩形状の凹入部13a,13bが形成されている。
【0016】
一方、ビーム材2a,2bには、サブビーム材支持部14が当該ビーム材長さ方向等間隔おきに設けられている。このサブビーム材支持部14は、溝形板部9の上側出隅部に形成された左右一対の切欠き部15a,15bによって構成されている。この切欠き部15a,15bの垂直孔部の互いに隣り合う内側辺から内側に突出する突出板部16が形成されている。
【0017】
サブビーム材3a,3bは、その両端の左右一対の突出部12a,12bを前後一対のビーム材2a,2b上に載置できる程度の全長を有するものである。従って、前後一対のビーム材2a,2b間にサブビーム材3a,3bを架設する場合、サブビーム材3a,3bをビーム材2a,2bに対して斜めの姿勢でビーム材2a,2b間に下した後、サブビーム材3a,3bを、ビーム材2a,2bに対して直角向きの姿勢まで水平に回転させ、その両端の突出部12a,12bをビーム材2a,2b内で溝形板部9の上側に挿入させる。この後、サブビーム材3a,3bを下して、当該サブビーム材3a,3bの両端の突出部12a,12bの先端部をビーム材2a,2b側の選択された1つのサブビーム材支持部14における左右一対の切欠き部15a,15bに嵌合させることになる。このとき切欠き部15a,15bが備える前記突出板部16が突出部12a,12bの前記凹入部13a,13b内に嵌合して、サブビーム材3a,3bの長さ方向の遊び代を制限することになる。
【0018】
以上のようにして前後一対のビーム材2a,2b間に水平に架設された左右一対のサブビーム材3a,3bによって、棚用フレーム1上の各荷載置エリア1A,1Bが形成されるのであるが、各サブビーム材3a,3bは、その両端が前後一対のビーム材2a,2bに設けられたサブビーム材支持部14の切欠き部15a,15bにサブビーム材3a,3b側の突出部12a,12bが嵌合して受け止められているだけであって、前後一対のビーム材2a,2bをその長さ方向の相対移動を阻止するように剛結合しているものではない。従って、前後一対のビーム材2a,2bをその長さ方向に相対移動させるような外力が作用したとき、棚用フレーム1が捻じれ現象を起こす恐れがある。この問題点を解消するために、前記補強用連結部材7が組み込まれている。
【0019】
前記補強用連結部材7は、図2〜図5に示すように、丸パイプ材から成る本体17の両端に、一定長さの領域を押し潰して形成した垂直な扁平状厚板部18a,18bを直角横向きに折曲して成る取付け板部19a,19bを形成したものである。この両端の取付け板部19a,19bは、その外側面間距離が、前後一対のビーム材2a,2bの溝形板部9の垂直板部間の間隔とほぼ等しくなるように構成されている。この実施例では、両端の扁平状厚板部18a,18bは、本体17の直径方向両側面とそれぞれ面一になるよう、当該本体17の直径方向両側に偏心させて形成され、前記取付け板部19a,19bは、各扁平状厚板部18a,18bを本体17の中心線から遠ざかる方向に互いに逆向きに直角に折曲され、これら取付け板部19a,19bには、取付け孔20が穿設されている。一方、ビーム材2a,2bの溝形板部9における垂直板部には、サブビーム材支持部14ごとに、左右一対の切欠き部15a,15b間の中央位置で且つ切欠き部15a,15bより下側の位置に、取付け孔21が設けられている。そして補強用連結部材7が備える両端の2つの取付け孔20間の本体17に対して直角方向の水平距離(図5Bに示す水平距離L)と、ビーム材2a,2b側の各取付け孔21の間隔(図4に示す間隔D=サブビーム材支持部14間の間隔)とが、等しくなるように構成されている。
【0020】
従って、棚用フレーム7上の2つの荷載置エリア1A,1B間において、前後一対のビーム材2a,2b間に補強用連結部材7を直角水平向きに配置し、当該補強用連結部材7の両端の取付け板部19a,19bを、各ビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部に隣接させると共に、各取付け板部19a,19bの取付け孔20とビーム材2a,2b側の取付け孔21とを合致させた状態で、両取付け孔20,21間にわたってビーム材2a,2bの外側から内向きに挿通させたボルト22とナット23とにより、各取付け板部19a,19bとビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部とを互いに締結一体化させることが出来る。
【0021】
尚、図5Cに示すように、補強用連結部材7の本体17の両端一定領域を押し潰して形成する扁平状厚板部18a,18bは、本体17の軸心位置に形成し、これを互いに逆向きに直角に折曲して取付け板部19a,19bを形成しても良い。この場合、取付け板部19a,19bの遊端から取付け孔20までの距離を一定にするならば、取付け孔20間の本体17に対して直角方向の水平距離(図5Bに示す水平距離L)を確保するために、取付け板部19a,19bの長さを長くしなければならない。
【0022】
棚用フレーム1上に形成される荷載置エリアの数が多くなる場合や、重量物を載置する棚用フレームなどの場合、1本の補強用連結部材7をビーム材2a,2b間に架設するだけでは十分な補強効果が得られないときは、補強用連結部材7の本数を増やすことも出来る。又、補強用連結部材7の本数を増やさないで、或いは補強用連結部材7の本数を増やすと同時に、図6に示すように、前後一対のビーム材2a,2b間でサブビーム材3a,3bの下側に、互いに交差する2本の水平ブレース材24a,24bを配置し、これら各水平ブレース材24a,24bの両端を前後一対のビーム材2a,2bにネジ止めすることが出来る。
【0023】
前記水平ブレース材24a,24bは、図7及び図8に示すように、帯状板から成る本体25を水平面上でビーム材2a,2b間に架設する角度に傾斜させた状態で、その両端部を両ビーム材2a,2bの長さ方向と平行な折れ線に沿って垂直に折曲起立させて、取付け板部26a,26bを形成したものであって、両取付け板部26a,26bには取付け孔27が穿設されている。この両取付け板部26a,26bは、取付け孔27間のビーム材2a,2b長さ方向と平行な方向の距離がビーム材2a,2b側の取付け孔21間の間隔(サブビーム材支持部14間の間隔)の整数倍となるように構成されている。
【0024】
上記構成の2本の水平ブレース材24a,24bは、それぞれの本体25の長さ方向の中央部が上下に重なるように交差させた状態で、それぞれの両端の取付け板部26a,26bをビーム材2a,2bの溝形板部9の垂直板部に隣接させると共に、各取付け板部26a,26bの取付け孔27とビーム材2a,2b側の取付け孔21とを合致させ、両取付け孔21,27間にわたってビーム材2a,2bの外側から内向きに挿通させたボルト28とナット29とにより、各取付け板部26a,26bとビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部とを互いに締結一体化させることにより、前後一対のビーム材2a,2b間に架設される。
【0025】
尚、図9に示すように、前記2本の交差する水平ブレース材24a,24bの端部の内、補強用連結部材7のある側の端部は、ビーム材2a,2bではなく、補強用連結部材7にネジ止めすることも可能である。この場合、水平ブレース材24a,24bを構成する本体25の両端の内、ビーム材2a,2bにネジ止めする側には、上向きに折曲連設された前記取付け板部26aを形成し、反対側の端部には、図10及び図11に示すように、補強用連結部材7の下側に入り込む水平取付け板部30を、本体25の延長により形成し、この水平取付け板部30に上下方向の取付け孔31を設けておくことになる。使用に際しては、両荷載置エリア1A,1Bに配設される各2本の交差する水平ブレース材24a,24bの両端の内、補強用連結部材7とは反対側の端部は、上向きの取付け板部26aを利用して前記のようにビーム材2a,2bにおける溝形板部9の垂直板部にボルト22とナット23により締結し、補強用連結部材7側の端部は、当該補強用連結部材7とこの下側に当接させた水平取付け板部30の取付け孔31を垂直に貫通するボルト32とナット33により、補強用連結部材7の下側に締結すれば良い。
【0026】
荷載置エリア1A,1B間に1本の補強用連結部材7が架設されている場合、当該補強用連結部材7の両側に架設される水平ブレース材24a,24bの水平取付け板部30を、補強用連結部材7の長さ方向に位置をずらして各別にボルト32とナット33により取り付けることも可能であるが、図示のように同一側に位置する2つの水平取付け板部30を互いに上下に重ねた状態で1本のボルト32とナット33により補強用連結部材7の一箇所に取り付けることが望ましい。
【0027】
上記実施例では、各荷載置エリア1A,1Bに、互いに交差する2本の水平ブレース材24a,24bを架設したが、各荷載置エリア1A,1Bに1本の水平ブレース材24a又は24bを架設しても良い。この場合、隣り合う荷載置エリア1A,1Bの水平ブレース材の傾斜方向が交互に異なるように配置するのが好ましい。又、水平ブレース材24a,24bの端部は、両端ともビーム材2a,2bにネジ止めしても良いし、水平ブレース材24a,24bの両端又は一端に隣接して補強用連結部材7が架設されているときは、その補強用連結部材7に隣接する水平ブレース材24a,24bの両端又は一端を補強用連結部材7にネジ止めしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のラックは、前後一対のビーム材間にサブビーム材を架設して組み立てられる棚用フレームを備えたラックとして活用出来るものである。
【符号の説明】
【0029】
1 棚用フレーム
2a,2b ビーム材
3a,3b サブビーム材
7 補強用連結部材
9 ビーム材の溝形板部
12a,12b サブビーム材の突出部
15a,15b 切欠き部
17 補強用連結部材の本体
18a,18b 扁平状厚板部
19a,19b,26a,26b 取付け板部
20,21,27,29 取付け孔
22,28,32 ボルト
23,29,33 ナット
24a,24b 水平ブレース材
25 水平ブレース材の本体
30 水平取付け板部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後一対のビーム材間に、当該ビーム材の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材を、ビーム材側の切欠き部とサブビーム材両端の突出部との上下方向の嵌合により架設して成る棚用フレームを備えたラックにおいて、前記前後一対のビーム材間には、前記サブビーム材とは別に、両端が前記ビーム材にネジ止めされた補強用連結部材が架設されている、ラック。
【請求項2】
前記補強用連結部材はパイプ材から成り、当該補強用連結部材の両端には、前記パイプ材の両端部を押し潰して形成した垂直な扁平状厚板部を直角横向きに折曲して成る取付け板部が設けられ、この取付け板部に設けられた取付け孔と前記ビーム材の垂直板部に設けられた取付け孔とを貫通するボルトとナットにより、前記補強用連結部材の両端が前記ビーム材に取り付けられている、請求項1に記載のラック。
【請求項3】
前記補強用連結部材の両端の取付け板部は互いに逆向きに折曲されている、請求項2に記載のラック。
【請求項4】
前記補強用連結部材の両端の取付け板部を構成する前記扁平状厚板部は、前記パイプ材の直径方向両側面とそれぞれ面一になるよう、前記パイプ材の直径方向両側に偏心させて形成され、前記取付け板部は、各扁平状厚板部を前記パイプ材の中心線から遠ざかる方向に直角に折曲されている、請求項3に記載のラック。
【請求項5】
前記棚用フレームには、前記ビーム材の長さ方向に少なくとも2つの荷載置エリアが設けられ、各荷載置エリアは、少なくとも2本の前記サブビーム材で構成され、前記補強用連結部材は、少なくとも隣り合う2つの荷載置エリア間に配置されている、請求項1〜4の何れか1項に記載のラック。
【請求項6】
前記棚用フレームには、前記サブビーム材の下側で斜めに水平ブレース材が架設されている、請求項1〜5の何れか1項に記載のラック。
【請求項7】
前記水平ブレース材は、その両端が前後一対のビーム材にネジ止めされている、請求項6に記載のラック。
【請求項8】
前記水平ブレース材は、その少なくとも一端が前記補強用連結部材にネジ止めされている、請求項6に記載のラック。
【請求項1】
前後一対のビーム材間に、当該ビーム材の長さ方向適当間隔おきにサブビーム材を、ビーム材側の切欠き部とサブビーム材両端の突出部との上下方向の嵌合により架設して成る棚用フレームを備えたラックにおいて、前記前後一対のビーム材間には、前記サブビーム材とは別に、両端が前記ビーム材にネジ止めされた補強用連結部材が架設されている、ラック。
【請求項2】
前記補強用連結部材はパイプ材から成り、当該補強用連結部材の両端には、前記パイプ材の両端部を押し潰して形成した垂直な扁平状厚板部を直角横向きに折曲して成る取付け板部が設けられ、この取付け板部に設けられた取付け孔と前記ビーム材の垂直板部に設けられた取付け孔とを貫通するボルトとナットにより、前記補強用連結部材の両端が前記ビーム材に取り付けられている、請求項1に記載のラック。
【請求項3】
前記補強用連結部材の両端の取付け板部は互いに逆向きに折曲されている、請求項2に記載のラック。
【請求項4】
前記補強用連結部材の両端の取付け板部を構成する前記扁平状厚板部は、前記パイプ材の直径方向両側面とそれぞれ面一になるよう、前記パイプ材の直径方向両側に偏心させて形成され、前記取付け板部は、各扁平状厚板部を前記パイプ材の中心線から遠ざかる方向に直角に折曲されている、請求項3に記載のラック。
【請求項5】
前記棚用フレームには、前記ビーム材の長さ方向に少なくとも2つの荷載置エリアが設けられ、各荷載置エリアは、少なくとも2本の前記サブビーム材で構成され、前記補強用連結部材は、少なくとも隣り合う2つの荷載置エリア間に配置されている、請求項1〜4の何れか1項に記載のラック。
【請求項6】
前記棚用フレームには、前記サブビーム材の下側で斜めに水平ブレース材が架設されている、請求項1〜5の何れか1項に記載のラック。
【請求項7】
前記水平ブレース材は、その両端が前後一対のビーム材にネジ止めされている、請求項6に記載のラック。
【請求項8】
前記水平ブレース材は、その少なくとも一端が前記補強用連結部材にネジ止めされている、請求項6に記載のラック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−107764(P2013−107764A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255941(P2011−255941)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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