説明

ラッピングファイル更新システム及びラッピングファイル更新方法

【課題】
対象ファイルの開発者、ユーザともに、部分的なメンテナンスが効率的に実施できるラッピングファイル更新システム及びラッピングファイル更新方法を提供することを目的とする。
【解決方法】
配信対象となる対象ファイルと、展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを配信するサーバと、ラッピングファイルを受信して、対象ファイルを使用するクライアント端末と、前記いずれかのモジュールの配信を要求されると、配信が要求されたモジュール及びラッピングプログラムを、通信回線を介して配信するライセンス管理サーバとを有して構成され、ライセンス管理サーバは、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末に配信し、クライアント端末は、更新されたモジュールを受信してクライアント端末内のモジュールの更新を行うことを特徴とするラッピングファイル更新システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッピングファイル更新システム及びラッピングファイル更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、暗号化情報等を用いて、ライセンス管理を実行するシステムに関する技術がある。このようなシステムでは、クライアント端末からの暗号化固有情報を受信したライセンス管理サーバは、暗号化固有情報を登録するとともに、ライセンスを有する正規のユーザがクライアント端末を操作しているか否かを判定する。
ここで、正規のユーザであると認定された場合には、ライセンス管理サーバは、クライアント端末にキー情報を送信する。クライアント端末は、キー情報に基づいて、レジストリに各種環境情報を設定し、ライセンスの付与された、即ち使用許諾のなされた実行アプリケーションプログラムが実行可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ライセンス管理システムに関する技術が開示されている。特許文献1に記載される技術の場合、配信対象となる実行アプリケーションの開発者が提供する実行アプリケーションに変更がなくても、基盤アプリケーション提供者が提供する、認証用モジュール、展開用モジュール、監視用モジュール等のラッピングファイルを構成する他の要素が変更・更新された場合、再度ラッピング作業が発生するため、実行アプリケーション開発者にとって手間となっていた。
【0004】
また、配信先のユーザ(アプリケーションサービスの利用者)は、アプリケーション機能と直接関わらない部分の変更・更新があった場合でもアップデートが必要となり、バージョンの違いがわかりにくい上に手間も多くなっていた。さらに、Microsoft Excel(登録商標)のマクロアプリケーションに代表される、データをセルに保存するような実行アプリケーションでは、入力データがラッピングファイルへ反映されず、適用範囲を狭めていた。
【0005】
一方、特許文献2には、実行可能ファイル自身を自動的に更新するための更新プログラムを含む自己解凍プログラムに関する技術が記載されている。この文献によれば、自己解凍プログラムを更新するための更新プログラムが、自己解凍プログラム自身に含まれているため、利便性が向上するとある。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の技術でも、更新プログラム自身に変更があった場合には、再度ラッピングファイルの作成が必要であり、ユーザにとってもアップデートが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−117191号公報
【特許文献2】特開2008−204344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、配信対象となる対象ファイルとそれ以外の要素のバージョン管理を分けることにより、対象ファイルの開発者、ユーザともに、部分的なメンテナンスが効率的に実施できるラッピングファイル更新システム及びラッピングファイル更新方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、データ部をラッピングファイルと分離してサーバへ格納することで、ラッピングファイルのサブセット化を防ぎ、かつデータの世代管理と、他者との共有を実現し利便性を向上させたラッピングファイル更新システム及びラッピングファイル更新方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、配信対象となる対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信するサーバと、ラッピングファイルを通信回線を介して受信して、ラッピングファイルに含まれる展開用モジュール及び認証用モジュールを実行して、対象ファイルを使用するクライアント端末と、前記いずれかのモジュールの配信を要求されると、配信が要求されたモジュール及びラッピングプログラムを、通信回線を介して配信するライセンス管理サーバとを有して構成されるラッピングファイル更新システムが提供される。
該ラッピングファイル更新システムは、クライアント端末は、展開用モジュールを実行してラッピングを解除し、クライアント端末は、認証用モジュールを実行して認証情報をライセンス管理サーバへ送信し、ライセンス管理サーバは、認証情報が正規のものであると認定されれば、前記いずれかのモジュールの更新を確認し、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末に配信し、クライアント端末は、更新されたモジュールを受信してクライアント端末内のモジュールの更新を行うことを特徴とする。
【0010】
上記構成からなるラッピングファイル更新システムでは、配信対象となる対象ファイルとそれ以外の部分のバージョン管理を分けることにより、対象ファイルの開発者、ユーザともに、部分的なメンテナンスが効率的に実施できる。
【0011】
また、本発明によれば、配信対象となる対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールと、データ部とを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信するサーバと、ラッピングファイルを通信回線を介して受信して、ラッピングファイルに含まれる展開用モジュール及び認証用モジュールを実行して、対象ファイルを使用するユーザのクライアント端末と、前記いずれかのモジュールの配信を要求されると、配信が要求されたモジュール及びラッピングプログラムを、通信回線を介して配信するライセンス管理サーバとを有して構成されるラッピングファイル更新システムが提供される。
該ラッピングファイル更新システムは、クライアント端末は、展開用モジュールを実行してラッピングを解除し、クライアント端末は、認証用モジュールを実行して認証情報をライセンス管理サーバへ送信し、ライセンス管理サーバは、認証情報が正規のものであると認定されれば、前記いずれかのモジュールの更新を確認し、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末に配信し、クライアント端末は、更新されたモジュールを受信してクライアント端末内のモジュールの更新を行い、ライセンス管理サーバは、データ部のデータのバージョン情報を生成してクライアント端末に配信し、クライアント端末は、ユーザによって選択されたバージョンを有さなければ、ライセンス管理サーバに選択されたバージョンのデータの配信を要求し、ライセンス管理サーバは、要求されたバージョンのデータを配信することを特徴とする。
【0012】
上記構成からなるラッピングファイル更新システムでは、配信対象となる対象ファイルとそれ以外の部分のバージョン管理を分けることにより、対象ファイルの開発者、ユーザともに、部分的なメンテナンスが効率的に実施できる。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、前記ラッピングファイル更新システムにおいて、前記ライセンス管理サーバは、前記データを格納する記憶部を有する。これにより、ラッピングファイルのサブセット化を防ぎ、かつデータの世代管理と、他者との共有を実現し利便性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、配信対象となる対象ファイルを含むラッピングファイルの配信を要求する過程と、対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して受信する過程と、ラッピングファイルに含まれる展開用モジュールを実行してラッピングを解除する過程と、ラッピングファイルに含まれる認証用モジュールを実行して認証情報をサーバへ送信する過程と、認証情報が正規のものであると認定された後、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをサーバから受信する過程と、更新されたモジュールを受信してモジュールの更新を行う過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、配信対象となる対象ファイルを含むラッピングファイルの配信を要求する過程と、対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールと、データ部とを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して受信する過程と、ラッピングファイルに含まれる展開用モジュールを実行してラッピングを解除する過程と、ラッピングファイルに含まれる認証用モジュールを実行して認証情報をサーバへ送信する過程と、認証情報が正規のものであると認定された後、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをサーバから受信する過程と、更新されたモジュールを受信してモジュールの更新を行う過程と、サーバで生成されたデータ部のデータのバージョン情報を受信する過程と、サーバから受信したデータのバージョン情報よりバージョンを選択する過程と、クライアント端末が選択されたバージョンを有さなければ、サーバに選択されたバージョンのデータの配信を要求する過程と、要求されたバージョンのデータを受信する過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、クライアント端末からの要求に対して、対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信する過程と、クライアント端末からの認証情報を受信する過程と、認証情報が正規のものであるか判定する過程と、認証情報が正規のものであり、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末へ配信する過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、クライアント端末からの要求に対して、対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールと、データ部とを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信する過程と、クライアント端末からの認証情報を受信する過程と、認証情報が正規のものであるか判定する過程と、認証情報が正規のものであり、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末へ配信する過程と、データ部のデータのバージョン情報を生成する過程と、データのバージョン情報に基づいて選択されたバージョンのデータを配信する過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法が提供される。
【0018】
上記構成からなるラッピングファイル更新方法では、配信対象となる対象ファイルとそれ以外の部分のバージョン管理を分けることにより、対象ファイルの開発者、ユーザともに、部分的なメンテナンスが効率的に実施できる。
【0019】
また、本発明の一態様によれば、前記ラッピングファイル更新システム又はラッピングファイル更新方法において、前記ラッピングファイルは、対象ファイルの使用を監視する監視用モジュールをさらに含む。これにより、対象ファイルの不正使用等を抑制することができる。
【0020】
ここで、本明細書において使用する用語について、以下のように定義する。
対象ファイルとは、クライアント端末からライセンス管理サーバへ配信の要求が為された配信対象のファイルをいう。本発明では、対象ファイルとして、実行アプリケーションを含むファイル、拡張子「.EXE」が付された実行形式ファイル、Microsoft Office(登録商標)等のアプリケーションプログラムで使用されるデータファイル、動画ファイル等として与えられるデジタルコンテンツ等を意味する。
【0021】
ラッピングファイルとは、少なくとも、前記対象ファイルと、ラッピングを解除する機能を少なくとも有する展開用(解凍用)モジュールと、認証情報をライセンス管理サーバへ送信する機能を少なくとも有する認証用モジュールと、対象ファイルの使用を監視する機能を少なくとも有する監視用モジュールとを結合して作成され、サーバからクライアント端末へ、見かけ上では単一のファイルとして配信されるファイルをいう。
なお、ラッピングファイルは対象ファイルに関係するデータ部を含んでいてもよい。
【0022】
展開とは、対象ファイルがデータ変換されることなくそのままラッピングされている場合には、ラッピングを解除してラッピングファイルを分解し、対象ファイル、認証用モジュール、監視用モジュール等をそれぞれ個別のファイルとして取り扱える状態にすることをいう。
【0023】
また、対象ファイルに対して、暗号化処理、圧縮処理、または暗号化処理と圧縮処理との組み合わせ等の所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されている場合には、展開とは、ラッピングを解除するとともに、対象ファイルに適用されたデータ変換が暗号化処理である場合には対象ファイルに復号化処理を行い、対象ファイルに適用されたデータ変換が圧縮処理である場合には対象ファイルに解凍処理を行うというように、対象ファイルに所定のアルゴリズムに基づく逆データ変換処理を適用して、対象ファイルを使用可能な状態に復元することをいう。
【0024】
対象ファイルの使用とは、対象ファイルが実行形式ファイルである場合には当該対象ファイルを実行することをいい、対象ファイルが実行形式ファイル以外のファイルである場合には既存のアプリケーションプログラム等の実行形式ファイルに当該対象ファイルを適用して実行することをいい、対象ファイルが実行形式ファイルである第1の対象ファイルと実行形式ファイル以外の1または複数のファイルである第2の対象ファイルとから構成される場合には第1の対象ファイルに第2の対象ファイルを適用して実行することをいう。
また、通信回線とは、データの送受信が可能なインターネット等のネットワークである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、対象ファイルの開発者、ユーザともに、部分的なメンテナンスが効率的に実施できるラッピングファイル更新システム及びラッピングファイル更新方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るラッピングファイル更新システムの構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るラッピングファイル更新システムのアプリケーション実行時のフロー図である。
【図3】本発明の実施形態2に係るラッピングファイル更新システムのアプリケーション実行時のフロー図である。
【図4】本発明の実施形態に係るラッピングファイル更新システムのアプリケーション終了時のフロー図である。
【符号の説明】
【0027】
100 ラッピングファイル更新システム
101 実行アプリケーションファイル
102 展開用モジュール
103a 認証用モジュールV1
103b 認証用モジュールV2
104 ラッピングファイル
105 サーバ
106 クライアント端末
107 ラッピングプログラム
108 ライセンス管理サーバ
109 監視用モジュール
110 データ部
111 記憶部(ユーザ領域)
112 ラッピング構成ファイル
113 バージョン管理ファイル
114 認証・許可ファイル
115 ラッピングツール
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係るラッピングファイル更新システム、ラッピングファイル更新方法を、実施形態に基づいて説明するが、これらの実施形態は本発明の理解を助けるために記載するものであって、本発明を以下に記載されたものに限定する趣旨で無いことは自明である。
【0029】
[実施形態1]
図1は、本発明に係るラッピングファイル更新システムの構成を示す図である。
なお、以下の説明においては、対象ファイルを実行アプリケーションファイルとして説明する。また、一例として、認証用モジュールがV1(103a)からV2(103b)へ更新された場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0030】
本実施形態に係るラッピングファイル更新システム100は、図1に示すように、配信対象となる対象ファイル(実行アプリケーション)101と、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュール102と、認証用モジュール103aとを少なくとも含むラッピングファイル104を、通信回線(図示せず)を介して配信するサーバ105と、ラッピングファイル104を通信回線を介して受信して、ラッピングファイル104に含まれる展開用モジュール102及び認証用モジュール103aを実行して、対象ファイル101を使用するクライアント端末106と、前記いずれかのモジュールの配信を要求されると、配信が要求されたモジュール及びラッピングプログラム107を、通信回線を介して配信するライセンス管理サーバ108とを有して構成される。
【0031】
該ラッピングファイル更新システム100では、クライアント端末106は、展開用モジュール102を実行してラッピングを解除し、クライアント端末106は、認証用モジュール103aを実行して認証情報をライセンス管理サーバ108へ送信し、ライセンス管理サーバ108は、認証情報が正規のものであると認定されれば、前記いずれかのモジュールの更新を確認し、モジュールの更新があれば、更新されたモジュール(図1では、認証用モジュールV2(103b))をクライアント端末106に配信し、クライアント端末106は、更新されたモジュールを受信してクライアント端末106内のモジュールの更新を行うことを特徴とする。
【0032】
なお、前記ラッピングファイル更新システム100において、前記ラッピングファイル104は、対象ファイル101の使用を監視する監視用モジュール109をさらに含んでいてもよい。また、前記ラッピングファイル更新システム100において、前記ライセンス管理サーバ108は、ラッピングファイル104に含まれるデータ部110のデータを格納する記憶部111を有していてもよい。
【0033】
ライセンス管理サーバ108は、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、通信回線との間における通信等を制御するネットワークインタフェース部、ライセンス管理サーバ108に接続されるキーボード、マウス等の入力手段やディスプレイ等の表示手段との間におけるデータの伝送等を制御する入出力インタフェース部、CPU等として与えられライセンス管理サーバ108内の構成要素を制御する制御部、通信回線を介してファイル等のデータを送受信するデータ送受信部等を備える。
【0034】
ライセンス管理サーバ108は、例えば、図1のラッピング構成ファイル112、バージョン管理ファイル113,認証・許可ファイル114等を一括、又は別個に記憶する記憶部等を有していてもよい。
ラッピング構成ファイル112としては、例えば、提供されるアプリケーション種別に、少なくとも、対象ファイル、モジュール、実行環境パス、レジストリキー名等のデータが格納される。
【0035】
バージョン管理ファイル113としては、更新日、更新者等の情報を含むデータのバージョン情報、差分ファイル等が格納される。ここで、差分ファイルとは、ファイル間の相違点を記録したファイルのことである。例えば、ソフトウェアのバージョンアップ用、新旧プログラムのソースコードの違いを表現するためなどに使われる。
認証・許可ファイル114としては、ID、パスワード、クライアント端末に対して機能の制限を設けるための機能別のID等が格納される。
【0036】
クライアント端末106は、例えば、CPU等の演算を行う演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の情報を格納するための記憶手段、キーボード、マウス等の入力手段、ディスプレイ等の表示手段、ネットワークモジュール等の外部装置とデータの送受信を行うための通信手段等を備えるコンピュータである。
【0037】
なお、図1では、ライセンス管理サーバ108及びラッピングファイル104を配信するサーバ105は別々に設けられているが、これらは同一のものであってもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係るラッピングファイル更新システムにおけるアプリケーション実行時及び終了時のフローについて説明する。
図2ないし4は、クライアント端末及びサーバにおける処理の流れを説明するフローチャートである。左側にクライアント端末(コンピュータ)右側にライセンス管理サーバ(サーバ)の過程を記載している。
【0039】
図2は、アプリケーション(アプリ)実行時のフローの一例である。
クライアント端末において配信対象となる対象ファイルを含むラッピングファイルの配信を要求すると、対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介してサーバから受信する。
【0040】
ユーザがアプリケーションを実行するには、ラッピングファイルに含まれる展開用モジュールを実行してラッピングを解除し、ラッピングファイルに含まれる認証用モジュールを実行して認証情報をサーバへ送信する。
ラッピングファイルが配信されたクライアント端末のユーザが対象ファイルを使用するには、ライセンス管理サーバからのライセンスの付与を受ける必要があり、ライセンスが付与されるためには、クライアント端末によりID及びパスワード(PW)を入力してサーバへ送信する(ステップS202)。
【0041】
サーバでは、認証情報(ID及びパスワード)の送信があった場合には、送信された認証情報と登録されている認証情報とを比較して、対象ファイルについて、ユーザがライセンスを付与される資格を有するか否かを判定する(ステップS204)。ライセンスとは、アプリケーションプログラム、データファイル、デジタルコンテンツ等として与えられる対象ファイルの使用条件付きの使用権を意味するものとする。
【0042】
認証情報が正規のものであり、ユーザが認証された後、アプリケーションのバージョンを確認する(ステップS206)。アプリケーションのバージョンを確認し(ステップS208)、アプリケーションのバージョンが最新版でなければアプリケーションのバージョンを最新のものにする(ステップS210)。
【0043】
ユーザが認証された場合、即ち、ユーザがライセンスの付与を受ける資格を有すると確認された場合、ライセンスが付与されたことを示すメッセージをクライアント端末へ通知するようにしてもよい。一方、ユーザが認証されなければ、ライセンスが付与されないことを示すメッセージをクライアント端末へ通知するようにしてもよい。
例えば、ユーザが認証されなければ、ライセンスが付与されないことを示すメッセージの通知を完了した後に、対象ファイルの配信を要求してきたクライアント端末についての当該対象ファイルに係る処理を終了する。
【0044】
アプリケーションのバージョンが最新版であれば、次に、ツールのバージョンの確認を行う(ステップS212)。
【0045】
次に、ツールのバージョンを確認し(ステップS214)、ツールの更新があれば、更新されたツールをサーバから受信する。ここで、ツールとは、展開用モジュール、認証用モジュール、監視用モジュール、又はその他の機能を有するモジュール等を意味する。
【0046】
ここで、更新されたツールと共に、再びラッピングを行うためのラッピングプログラムを受信することが好ましい。該ラッピングプログラムは、一時的に記憶され、ツールの更新後、削除されるようにしてもよい。
【0047】
クライアント端末では、更新されたツールを受信して、ツールのバージョンを最新のものにする(ステップS216)。ここで、ツールのバージョンを最新のものにする場合、従来のツールへ上書きするようにしてもよい。
【0048】
ツールのバージョンが最新版であれば、アプリケーションを起動する(ステップS218)。
【0049】
なお、ユーザが始めてラッピングファイルを入手する方法は、インターネット等の通信回線を介した方法でもよいし、データが格納された記憶媒体を購入して入手してもよい。
【0050】
図3は、アプリケーション終了時のフローの一例である。
アプリケーションの終了時には、データの更新があるか否かを判定する(ステップS302)。データの更新がある場合には、更新先を選択する(ステップS304)。データの更新がなければ終了する。なお、更新先は、アプリケーションの設定情報によって暗黙設定され、アプリケーション終了時に、設定された更新先が自動的に選択されるようにしてもよい。
【0051】
データの更新先は、図1の例では、ライセンス管理サーバの記憶部111におけるユーザ領域である。ここで、データの格納領域をクライアント端末とは異なる装置に設けた場合、ユーザのみがアクセス可能な領域、他者も利用可能な領域等に分けて設定されていてもよい。また、データの更新先は、クライアント端末内のファイル記憶部であってもよい。
【0052】
更新先が決定された後、データが転送され(ステップS306)、サーバ内の選択されたデータ格納領域にデータが格納される(ステップS308)。
【0053】
データの格納の後、ライセンスの返還を行う(ステップS310)。サーバでは、ライセンスの返還処理を行う(ステップS312)。なお、ライセンスの返還は、必要とされる場合のみ行う。
【0054】
[実施形態2]
【0055】
図4は、実施形態2に係るラッピングファイル更新システム等におけるアプリケーション実行時のフローの一例である。
実施形態2に係るラッピングファイル更新システムでは、クライアント端末内のモジュールの更新等を行った後に、ライセンス管理サーバは、データ部のデータのバージョン情報を生成してクライアント端末に配信し、クライアント端末は、ユーザによって選択されたバージョンを有さなければ、ライセンス管理サーバに選択されたバージョンのデータの配信を要求し、ライセンス管理サーバは、要求されたバージョンのデータを配信することを特徴とする。
即ち、実施形態2においては、データのバージョン管理を行うことが実施形態1のラッピングファイル更新システム等とは相違する。なお、図4において、図2と同一符号のものは同一の処理を示すので、その説明を省略する。
【0056】
ライセンス管理サーバにおいて、ツールのバージョンが最新版であることが確認された後、データのバージョンのリスト情報の生成を行う(ステップS402)。
【0057】
データのバージョン情報はクライアント端末に配信され、ユーザは、データバージョンの選択を行う(ステップS404)。データバージョンの選択は、特に限定されないが、例えば、リスト形式でデータが並んだユーザ・インターフェイスにより行う。ここで、ユーザが、最後に更新したデータを簡単に選べるようなユーザ・インターフェイスとすることが好ましい。
また、バージョンに関係のない別のファイルを選ぶこともできる。
【0058】
次に、クライアント端末内のデータのバージョンが選択されたバージョンであるか判定を行う(ステップS406)。選択されたデータバージョンであればアプリケーションを起動する(ステップS408)。
クライアント端末が、ユーザによって選択されたバージョンを有さなければ、ライセンス管理サーバに選択されたバージョンのデータの配信を要求し、ライセンス管理サーバでは、選択したバージョンのデータを抽出し(ステップS410)、クライアント端末へ配信する。
【0059】
以上説明したように、本発明に係るラッピングファイル更新システム及びラッピングファイル更新方法では、配信対象となる対象ファイルとそれ以外の部分のバージョン管理を分けることにより、対象ファイルの開発者、ユーザともに、部分的なメンテナンスが効率的に実施できるため、アプリケーション配信サービス等の業務において効率化を図ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信対象となる対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信するサーバと、
ラッピングファイルを通信回線を介して受信して、ラッピングファイルに含まれる展開用モジュール及び認証用モジュールを実行して、対象ファイルを使用するクライアント端末と、
前記いずれかのモジュールの配信を要求されると、配信が要求されたモジュール及びラッピングプログラムを、通信回線を介して配信するライセンス管理サーバとを有して構成され、
クライアント端末は、展開用モジュールを実行してラッピングを解除し、
クライアント端末は、認証用モジュールを実行して認証情報をライセンス管理サーバへ送信し、
ライセンス管理サーバは、認証情報が正規のものであると認定されれば、前記いずれかのモジュールの更新を確認し、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末に配信し、
クライアント端末は、更新されたモジュールを受信してクライアント端末内のモジュールの更新を行うことを特徴とするラッピングファイル更新システム。
【請求項2】
配信対象となる対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールと、データ部とを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信するサーバと、
ラッピングファイルを通信回線を介して受信して、ラッピングファイルに含まれる展開用モジュール及び認証用モジュールを実行して、対象ファイルを使用するユーザのクライアント端末と、
前記いずれかのモジュールの配信を要求されると、配信が要求されたモジュール及びラッピングプログラムを、通信回線を介して配信するライセンス管理サーバとを有して構成され、
クライアント端末は、展開用モジュールを実行してラッピングを解除し、
クライアント端末は、認証用モジュールを実行して認証情報をライセンス管理サーバへ送信し、
ライセンス管理サーバは、認証情報が正規のものであると認定されれば、前記いずれかのモジュールの更新を確認し、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末に配信し、
クライアント端末は、更新されたモジュールを受信してクライアント端末内のモジュールの更新を行い、
ライセンス管理サーバは、データ部のデータのバージョン情報を生成してクライアント端末に配信し、
クライアント端末は、ユーザによって選択されたバージョンを有さなければ、ライセンス管理サーバに選択されたバージョンのデータの配信を要求し、
ライセンス管理サーバは、要求されたバージョンのデータを配信することを特徴とするラッピングファイル更新システム。
【請求項3】
前記ライセンス管理サーバは、前記データを格納する記憶部を有することを特徴とする請求項2に記載のラッピングファイル更新システム。
【請求項4】
前記ラッピングファイルは、対象ファイルの使用を監視する監視用モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のラッピングファイル更新システム。
【請求項5】
配信対象となる対象ファイルを含むラッピングファイルの配信を要求する過程と、
対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して受信する過程と、
ラッピングファイルに含まれる展開用モジュールを実行してラッピングを解除する過程と、
ラッピングファイルに含まれる認証用モジュールを実行して認証情報をサーバへ送信する過程と、
認証情報が正規のものであると認定された後、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをサーバから受信する過程と、
更新されたモジュールを受信してモジュールの更新を行う過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法。
【請求項6】
配信対象となる対象ファイルを含むラッピングファイルの配信を要求する過程と、
対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールと、データ部とを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して受信する過程と、
ラッピングファイルに含まれる展開用モジュールを実行してラッピングを解除する過程と、
ラッピングファイルに含まれる認証用モジュールを実行して認証情報をサーバへ送信する過程と、
認証情報が正規のものであると認定された後、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをサーバから受信する過程と、
更新されたモジュールを受信してモジュールの更新を行う過程と、
サーバで生成されたデータ部のデータのバージョン情報を受信する過程と、
サーバから受信したデータのバージョン情報よりバージョンを選択する過程と、
クライアント端末が選択されたバージョンを有さなければ、サーバに選択されたバージョンのデータの配信を要求する過程と、
要求されたバージョンのデータを受信する過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法。
【請求項7】
前記ラッピングファイルは、対象ファイルの使用を監視する監視用モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項5又は6に記載のラッピングファイル更新方法。
【請求項8】
クライアント端末からの要求に対して、対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールとを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信する過程と、
クライアント端末からの認証情報を受信する過程と、
認証情報が正規のものであるか判定する過程と、
認証情報が正規のものであり、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末へ配信する過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法。
【請求項9】
クライアント端末からの要求に対して、対象ファイルと、少なくともラッピングを解除する機能を有する展開用モジュールと、認証用モジュールと、データ部とを少なくとも含むラッピングファイルを、通信回線を介して配信する過程と、
クライアント端末からの認証情報を受信する過程と、
認証情報が正規のものであるか判定する過程と、
認証情報が正規のものであり、モジュールの更新があれば、更新されたモジュールをクライアント端末へ配信する過程と、
データ部のデータのバージョン情報を生成する過程と、
データのバージョン情報に基づいて選択されたバージョンのデータを配信する過程とを有することを特徴とするラッピングファイル更新方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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