説明

ラップ巻回体の修復方法およびラップフィルムセット

【課題】ラップ巻回体の外周面に張り付いたフィルムを傷つけず修復することができる修復方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ラップフィルムが巻かれた巻回体2を手に持つ工程P3と、フィルムに対し部材を巻回体の外周面に沿って接触させる工程P4と、巻回体を中心軸回りに部材に対して相対的に回転させ、外周面を部材で擦って、フィルムの端を外周面より剥離させ、軸方向の所定の長さを有する剥離部を形成する工程P6、P7とを備え、擦りは、フィルムに摩擦傷を生じさせず、フィルムの端を外周面から剥離させ剥離部を形成するように行い、軸方向の所定の長さは、フィルムを引き出す場合に連続して剥離できる長さであり、部材が袋状体または筒状体の形状を有し、部材の内部の手の手のひらに対応する袋状体または筒状体の外表面の対応する箇所にフィルムと接触する接触部を有する、フィルムの修復方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用等のラップフィルムが巻きつけられる巻芯を備えるラップ巻回体の修復方法、および当該ラップ巻回体とラップ巻回体の修復部材とを備えるラップフィルムセットに関し、特にラップ巻回体に全面的に張り付いたラップフィルムを修復し端を容易に見つけることができるラップ巻回体の修復方法、およびラップフィルムセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10に示すように、円筒状の巻芯110と、当該巻芯110に円筒状に巻回され円筒部115を形成しているラップフィルム112とを有するラップ巻回体102を収納し、ラップフィルム112の使用時に所望量を引き出し、掩蓋片126に取り付けられた切断刃124でラップフィルム112を切断する細長い直方体形状の紙製のラップカートン114が知られている(例えば、特許文献1、図1)。
【0003】
ラップカートン114の前面壁132には、ラップフィルム112に対して粘着性を有しラップフィルム112がラップカートン114の中に巻き戻らないようにするストッパーラベル128を設け、あるいは同様の効果を奏するように前面壁132の一部にニスを塗っていることが多い。
【0004】
ストッパーラベル128やニスにラップフィルム112を係止させるために、切断時にはラップカートン114の蓋122を完全に閉めて、ストッパーラベル128やニスにラップフィルム112が十分に密着した状態で切断刃124を使用してラップフィルム112を切断する切断作業を行うよう、消費者に説明をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−184692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ラップカートン114は一般家庭の調理の場で使われるものであり、使用する人は千差万別である。なかには、蓋122が半開きの状態でラップフィルム112の切断作業が行われ、ラップフィルム112がストッパーラベル128やニスに接せずにラップカートン114の中に巻き戻ってしまうことがある。
【0007】
巻き戻ってラップ巻回体102の円筒部115の外周面105に張り付いたラップフィルム112は、その多くは透明であり大変薄くもあるので、視認によりその端113を見出し、剥離部119を形成しラップフィルム112を引き出すことは困難となる。使用者の中には爪で表面をひっかいて端113を探そうとする人がいる。だが薄いラップフィルム112は爪に引っかかりにくく、爪でひっかいたことにより、ラップフィルム112の表面を傷つけ、傷ついた箇所からラップフィルム112が切れ始まり、いわゆる斜め切れを誘発することがある。斜め切れが起こると、ラップフィルム112の端113を見出すことはますます困難となる。
【0008】
斜め切れが起こった時、端113を一旦整えようと、鋭利なカッターでラップフィルム112の表面に切れ目を入れようとする使用者もいる。だが薄いラップフィルム112を積層した積層体にカッターを入れると、最悪の自体を引き起こす可能性がある。積層体の奥まで切れ目が入ってしまうことがあり、この場合、もはや修復は不納となり、ラップフィルム112が巻かれたラップ巻回体102一本分丸々使用不能となる自体を引き起こす。なお、ラップ巻回体102の外周面105とは、ラップフィルム112が円筒状に巻かれた円筒部115の外周面105をいう。
【0009】
そこで、本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、巻き戻ってラップ巻回体の外周面に張り付いたラップフィルムを傷つけることなくラップフィルムを修復することができ、ラップフィルムの端を視認することができるラップフィルムの修復方法およびラップフィルムセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係るラップ巻回体の修復方法は、例えば、図1〜4、図5に示すように、ラップフィルム12が円筒状に巻かれた円筒部15を有するラップ巻回体2を手に持つ第1の工程P03と;ラップフィルム12に対し修復部材41Aを円筒部15の外周面5に沿って接触させる第2の工程P04と;ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに修復部材41Aに対して相対的に回転させ、円筒部15の外周面5を修復部材41Aで擦って、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5より剥離させ、円筒部15の軸方向の所定の長さを有する剥離部19を形成する第3の工程P06、P07とを備え;前記擦りは、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5から剥離させ剥離部19を形成するように行い;円筒部15の軸方向の所定の長さは、ラップフィルム12を引き出す場合にラップフィルム12を連続して円筒部15から剥離させることのできる長さであり;修復部材41Aが袋状体または筒状体の形状を有し、修復部材41Aの内部に手を挿入することができ、修復部材41Aの内部の手における手のひらに対応する前記袋状体または前記筒状体の外表面の対応する箇所にラップフィルム12と接触する接触部42Aを有する。
【0011】
このように構成すると、ラップ巻回体の修復方法は、第1から第3の工程を備えるので、ラップ巻回体を手に持ち、ラップフィルムに対し修復部材を、すなわち袋状体または筒状体の形状を有し、内部に手を挿入することができ、内部の手における手のひらに対応する袋状体または筒状体の外表面の対応する箇所にラップフィルムと接触する接触部を有する修復部材を、ラップ巻回体の円筒部の外周面に沿って接触させ、ラップ巻回体を円筒部の中心軸回りに修復部材に対して相対的に回転させ、円筒部の外周面を修復部材で、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端を円筒部の外周面から剥離させ剥離部を形成するように擦って、ラップフィルムの端を円筒部の外周面より剥離させ、ラップフィルムを引き出す場合にラップフィルムを連続して円筒部から剥離させることのできる、円筒部の軸方向の長さを有する剥離部を形成し、ラップ巻回体を修復することができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係るラップ巻回体の修復方法は、例えば、図4に示すように、本発明の第1の態様に係るラップ巻回体の修復方法において、接触部42Aが樹脂製またはゴム製である。
【0013】
このように構成すると、ラップ巻回体の修復方法は、接触部が樹脂製またはゴム製であるので、容易に、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端を円筒部の外周面から剥離させ剥離部を形成することができるよう構成された修復部材とすることができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係るラップ巻回体の修復方法は、例えば、図8に示すように、本発明の第1の態様に係るラップ巻回体の修復方法において、接触部42Dが発泡体から形成される。
【0015】
このように構成すると、ラップ巻回体の修復方法は、接触部が発泡体から形成されるので、容易に、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端を円筒部の外周面から剥離させ剥離部を形成することができるよう構成された修復部材とすることができる。
【0016】
本発明の第4の態様に係るラップ巻回体の修復方法は、例えば、図8に示すように、本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1の態様に係るラップ巻回体の修復方法において、前記袋状体又は前記筒状体が接触部42Dと同一の材質で形成される。
【0017】
このように構成すると、ラップ巻回体の修復方法は、袋状体又は筒状体が接触部と同一の材質で形成されるので、修復部材を簡易な方法で製作することができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係るラップ巻回体の修復方法は、例えば、図1、図5に示すように、本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1の態様に係るラップ巻回体の修復方法において、ラップフィルム12を円筒部15に巻きつける方向を示す、ラップ巻回体2上に付された巻き方向表示標識40Aを視認し、巻き方向を確認する工程P05を備える。
【0019】
このように構成すると、ラップ巻回体の修復方法は、ラップフィルムを円筒部に巻きつける方向を示す巻き方向を確認する工程を備えるので、ラップフィルムを円筒部の外周面より剥離する方向であって、円筒部の外周面を擦るべき方向が分かり、ラップフィルムを効率よく円筒部の外周面から剥がすることができる。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の第6の態様に係るラップフィルムセットは、例えば図1〜4に示すように、円筒状に巻かれたラップフィルム12を有するラップ巻回体2と;ラップ巻回体2の外周面5に沿って接触させることができるように構成された接触部42Aを有する修復部材41Aとを備え;接触部42Aは、ラップ巻回体2をラップ巻回体2の中心軸回りに接触部42Aに対して相対的に回転させ、ラップ巻回体2の外周面5を修復部材41Aの接触部42Aで擦って、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13をラップ巻回体2の外周面5より剥離させ、ラップ巻回体2の軸方向の所定の長さを有する剥離部19を形成する形状または材質で構成され;ラップ巻回体2の軸方向の所定の長さは、ラップフィルム12を引き出す場合にラップフィルム12を連続してラップ巻回体2の外周面5から剥離させることのできる長さであり;修復部材41Aが袋状体または筒状体の形状を有し、修復部材41Aの内部に手を挿入することができ、修復部材41Aの内部の手における手のひらに対応する前記袋状体または前記筒状体の外表面の対応する箇所にラップフィルム12と接触する接触部42Aを有する。
【0021】
このように構成すると、ラップフィルムセットは、ラップ巻回体と、当該形状または材質で構成された接触部を有する修復部材とを備え、修復部材は、袋状体または筒状体の形状を有し、内部に手を挿入することができ、内部の手における手のひらに対応する袋状体または筒状体の外表面の対応する箇所にラップフィルムと接触する接触部を有するので、修復部材の接触部をラップ巻回体の外周面に沿って接触させ、ラップ巻回体をラップ巻回体の中心軸回りに相対的に回転させ、ラップ巻回体の外周面を当該修復部材の接触部で擦って、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端をラップ巻回体の外周面より剥離させ、ラップフィルムを引き出す場合にラップフィルムを連続してラップ巻回体の外周面から剥離させることができる、ラップ巻回体の軸方向の長さを有する剥離部を形成し、ラップ巻回体を修復することができる。
【0022】
本発明の第7の態様に係るラップフィルムセットは、例えば図4に示すように、本発明の第6の態様に係るラップフィルムセットにおいて、接触部42Aが樹脂製またはゴム製である。
【0023】
このように構成すると、ラップフィルムセットは、接触部が樹脂製またはゴム製であるので、容易に、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端をラップ巻回体の外周面から剥離させ剥離部を形成することができるよう構成された修復部材とすることができる。
【0024】
本発明の第8の態様に係るラップフィルムセットは、例えば図8に示すように、本発明の第6の態様に係るラップフィルムセットにおいて、接触部42Dが発泡体から形成される。
【0025】
このように構成すると、ラップフィルムセットは、接触部が発泡体から形成されるので、容易に、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端をラップ巻回体の外周面から剥離させ剥離部を形成することができるよう構成された修復部材とすることができる。
【0026】
本発明の第9の態様に係るラップフィルムセットは、例えば図8に示すように、本発明の第6の態様乃至第8の態様のいずれか1の態様に係るラップフィルムセットにおいて、前記袋状体または前記筒状体が接触部42Dと同一の材質で形成される。
【0027】
このように構成すると、ラップフィルムセットは、袋状体又は筒状体が接触部と同一の材質で形成されるので、修復部材を簡易な方法で製作することができる。
【0028】
本発明の第10の態様に係るラップフィルムセットは、例えば図2に示すように、本発明の第6の態様乃至第9の態様のいずれか1の態様に係るラップフィルムセットにおいて、ラップフィルム12をラップ巻回体2に巻きつける方向を示す巻き方向表示標識40Aを、ラップ巻回体2の見易い位置に表示する
【0029】
このように構成すると、ラップフィルムセットは、ラップフィルムをラップ巻回体に巻きつける方向を示す巻き方向表示標識がラップ巻回体の見易い位置に記載されるので、ラップ巻回体の外周面を修復部材で巻き方向とは反対の方向に擦り、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端をラック巻回体の外周面より剥離させ、ラップフィルムを引き出す場合にラップフィルムを連続して円筒部から剥離させることができ、円筒部の軸方向の長さの剥離部を形成することができる。修復部材で擦る場合、ラップ巻回体を静止させ修復部材を巻き方向表示標識が示す方向とは反対の方向に回転させるか、あるいは修復部材を静止させラップ巻回体を巻き方向表示標識が示す方向に回転させることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明のラップ巻回体の修復方法によれば、第1から第3の工程を備えるので、ラップ巻回体を手に持ち、ラップフィルムに対し修復部材を、すなわち袋状体または筒状体の形状を有し、内部に手を挿入することができ、内部の手における手のひらに対応する袋状体または筒状体の外表面の対応する箇所にラップフィルムと接触する接触部を有する修復部材を、ラップ巻回体の円筒部の外周面に沿って接触させ、ラップ巻回体を円筒部の中心軸回りに修復部材に対して相対的に回転させ、円筒部の外周面を修復部材で、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端を円筒部の外周面から剥離させ剥離部を形成するように擦って、ラップフィルムの端を円筒部の外周面より剥離させ、ラップフィルムを引き出す場合にラップフィルムを連続して円筒部から剥離させることのできる、円筒部の軸方向の長さを有する剥離部を形成し、ラップ巻回体を修復することができる。
【0031】
以上説明したように、本発明のラップフィルムセットによれば、ラップ巻回体と、当該形状または材質で構成された接触部を有する修復部材とを備え、修復部材は、袋状体または筒状体の形状を有し、内部に手を挿入することができ、内部の手における手のひらに対応する袋状体または筒状体の外表面の対応する箇所にラップフィルムと接触する接触部を有するので、修復部材の接触部をラップ巻回体の外周面に沿って接触させ、ラップ巻回体をラップ巻回体の中心軸回りに相対的に回転させ、ラップ巻回体の外周面を当該修復部材の接触部で擦って、ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、ラップフィルムの端をラップ巻回体の外周面より剥離させ、ラップフィルムを引き出す場合にラップフィルムを連続してラップ巻回体の外周面から剥離させることができる、ラップ巻回体の軸方向の長さを有する剥離部を形成し、ラップ巻回体を修復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るラップ巻回体と、当該ラップ巻回体を収納するラップカートンの斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示すラップ巻回体の巻芯の斜視図である。図2(b)は、図1に示すラップ巻回体の巻芯の斜視図であり、表面層の一部が分離された図である。
【図3】図3(a)は、剥離部が形成されたラップ巻回体の斜視図である。図3(b)は同側面図である。
【図4】図4(a)は、軍手の正面図であり、図4(b)は、軍手の裏面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態に係るラップ巻回体の修復方法である。
【図6】図6(a)は、他の実施の形態の軍手の正面図であり、図6(b)は、同軍手の裏面図である。
【図7】図7(a)は、他の実施の形態の軍手の正面図であり、図7(b)は、同軍手の裏面図である。
【図8】図8(a)は、他の実施の形態の手袋の正面図であり、図8(b)は、同手袋の裏面図である。
【図9】図9(a)は、他の実施の形態の手袋の正面図であり、図9(b)は、同手袋の裏面図である。
【図10】図10は、従来のラップ巻回体と、当該ラップ巻回体を収納する従来のラップカートンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の第1の実施の形態のラップフィルムセットについて、図1〜4を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0034】
図1は、本第1の実施の形態に係るラップフィルムセットに含まれるラップフィルム12を巻芯10に巻回したラップ巻回体2と、当該ラップ巻回体2を収納するラップカートン14の斜視図である。ラップフィルムセットは、ラップ巻回体2と、ラップ巻回体2を収納するラップカートン14と、修復部材としての、滑り止め42A付き軍手41A(一対)(図4)とを備える。
【0035】
図2(a)、(b)は、巻芯10の斜視図である。図3(a)は、剥離部19が形成されたラップ巻回体2の斜視図である。図3(b)は、同側面図である。図4(a)、(b)は、ラップフィルムセットに含まれる滑り止め42A付き軍手41A(一対)の図である。
【0036】
巻芯10に巻かれたラップフィルム12は、ポリ塩化ビニリデンを原材料とする透明フィルムであるが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、もしくはこれらを組み合わせた多層ラップフィルムであってもよい。ラップフィルム12は、厚さがおよそ10μm、幅が100mm〜500mmであり、長さが1〜200mである。巻芯10の直径は20mm〜80mmである。
【0037】
軍手41Aは布製であり手袋状に形成されているので、袋状体である。滑り止め42Aは、樹脂製、あるいはゴム製とすることができる。このようにすると、軍手41Aの滑り止め42Aでラップ巻回体2の外周面5を擦ることができ、容易に、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13を、ラップフィルム12が円筒状に巻かれた円筒部15の外周面5からスムーズに剥離させ、剥離部19を形成することのできる摩擦係数を有する軍手41Aとすることができる。ラップフィルム12が円筒部15の外周部5から剥離すれば、ラップフィルム12の端13を容易に視認することができる。軍手41Aを樹脂製、あるいはゴム製とし、滑り止め42Aを、樹脂製、あるいはゴム製とし、軍手と同一の材質で形成してもよい。
【0038】
滑り止め42Aを、樹脂製、あるいはゴム製とすると、軍手41A(滑り止め42A)のラップフィルム12に対する摩擦係数を適切なものとすることができ、また軍手41Aも樹脂製、あるいはゴム製とし、滑り止め42Aと同一の材質とすると、軍手41Aの製作が容易となる。摩擦係数が、適切な摩擦係数より小さすぎると、剥離せず剥離部19を形成できず、あるいは剥離部19を形成するのに時間がかかりすぎ、大きすぎると、ラップフィルム12を軍手41Aで擦りにくくなり、剥離部19の形成にかえって時間がかかる。
【0039】
適切な摩擦係数とは、ラップ巻回体2に形成されたラップフィルム12の剥離部19が、ラップフィルム12が巻かれて形成された円筒部15の外周部5に全面的に張り付いた場合に、ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに軍手41Aに対して相対的に回転させ、円筒部15の外周面5を軍手41Aで擦ったとき、ラップフィルム12を傷つけることなくラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5より剥離させ、十分な長さの剥離部19を形成することができる摩擦係数をいう。
【0040】
ある物質がラップフィルム12に対して適切な摩擦係数を有するか否かは、円筒部15の外周面5を、ある形状を有する物質、あるいはある材質を有する物質を接触部19に有する修復部材で擦ったときに、ラップフィルム12を傷つけることなくラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5より剥離させ、十分な長さの剥離部19を形成することができるか否かを実験的に確認することにより、決めるとよい。十分な長さの剥離部19を形成することができた場合に、当該形状を有する物質から製作した接触部、あるいは(かつ)当該材質の物質を有する接触部を備えた修復部材を採用するとよい。
【0041】
摩擦係数をtanθの形で表現する。修復部材の接触部のラップフィルムに対する摩擦係数は、tan6°(0.10)以上とするとよい。この場合、修復部材でラップフィルムを擦って剥離部を形成することができる。摩擦係数は、tan12°(0.21)以上としてもよい。この場合、剥離部を容易に形成することができる。摩擦係数は、tan17°(0.31)以上とすることが好ましい。この場合、剥離部をより容易に形成することができる。摩擦係数は、tan35°(0.70)以上とすることが、最も好ましい。この場合、剥離部を最も容易に形成することができる。
【0042】
修復部材の接触部がラップフィルムに対してtan90°に近い摩擦係数(摩擦係数は有限)を有していてもよい。この場合、修復部材でラップフィルムを擦るのに時間がかかり剥離部を形成するのに時間がかかるが、修復できることに違いはない。摩擦係数は、tan80°(5.67)以下であってもよい。この場合、剥離部をあまり時間をかけずに形成することができる。摩擦係数は、tan70°(2.75)以下であることが好ましい。この場合、剥離部をスムーズに形成することができる。摩擦係数は、tan65°(2.14)以下であることがより好ましい。この場合、剥離部をよりスムーズに形成することができる。
【0043】
摩擦係数が、tan40°(0.84)からtan55°(1.43)の間にある場合に、剥離部を最も短時間で形成でき、最もスムーズに形成することができる。
【0044】
なお、ラップ巻回体2の外周面5とは、ラップフィルム12が円筒状に巻かれた円筒部15の外周面5をいう。
【0045】
図1は、ラップフィルム12を円筒部15に巻きつける方向を示す巻き方向表示標識(以下、適宜標識)40Aが付されている点で、標識がラップ巻回体102に付されていない図10と相違する。しかし、図1は、その他の点では図10と共通する。すなわち、図1は、ラップカートン14が収納するラップ巻回体2の標識40A以外は、図10のラップカートン114が収納するラップ巻回体102と共通し、背景技術の欄で説明した内容と同じである。したがって、ここでは図1に関し、同じ説明を繰り返さない。なお、図1の各部品の符号と図10の各部品の符号は、一桁目と二桁目が共通する。また、標識40Aは、ラップフィルム12を巻芯10に巻きつけた状態で、ラップ巻回体2の外部から見うるように、見易い位置に付されている。本実施の形態のさらなる特徴を、以下に説明する。
【0046】
図2(a)は、図1のラップ巻回体2に用いられる巻芯10の斜視図である。なお、図2(b)は、表面層18が、一部巻芯10より部分的に分離された状態で描かれている。巻芯10は、従来一般のものと同様に、ボール紙等の厚紙からなる中空の円筒形状の管状体16と、この管状体16の外周面上(最外周部分)に上質紙等の薄紙を螺旋状に巻き付け接着してなる表面層18を含んで構成されている。なお、巻芯10の材質は紙に限らず、合成樹脂であってもよい。表面層18は、透明または半透明である。
【0047】
この表面層18の裏面50(裏面50とは表層面18が巻芯10に巻きつけられたときに下側(巻芯側)にくる部分をいう。)には、標識40Aが印刷されている。標識40Aは、「巻き方向」の文字と、巻き方向を示す図形である矢印44Aからなる。標識40Aは、一般に、文字、図形若しくは記号またはこれらの結合からなるものとすることができる。標識40Aは、薄紙(表面層18)の裏面50となる側の面に予め印刷されたものである。巻芯10に使用される薄紙(表面層18)は一般的に白色で且つ非常に薄いため、印刷面を管状体16側に向けて管状体16に貼り付けても、標識40Aは巻芯10の外側から見ることができ視認することができる。表面層18が、透明または半透明とは、表面層18の裏面50に標識40Aを印刷し、表面層18を巻芯10に巻きつけた場合に、標識40Aを視認することができる程度の透明度を表面層18が有することをいう。また、さらにラップフィルム12を巻芯10に巻きつけた場合に、最初にラップフィルム12を使用するときから、標識40Aを視認することができる程度に、表面層18を通して見た標識40Aが鮮明であることが好ましい。
【0048】
表面層18の裏面50側に標識40Aを印刷したのは、巻芯10の外周面に接する部分のラップフィルム12も使用に供されるので、印刷用インクがラップフィルム12に転着するのを防止するためである。これによって、印刷インクの種類に注意を払う必要がなくなり、印刷という簡便な方法で標識40Aを巻芯10に付すことができる。
【0049】
このような巻芯10にラップフィルム12を巻き付けると、巻き数が増すにつれて標識40Aは見えにくくなっていく。これは、ラップフィルム12は完全な透明ではないので、巻き数が増加すれば光の透過率も低下するためである。すなわち、ラップフィルム12の巻き付け量が多ければ、標識40Aからの反射光のエネルギー量が減るため、外部からは標識40Aの見やすさが減少する。この反射光のエネルギー量は、標識40Aの濃淡や色等を変えることにより変化させることができる。したがって、標識40Aの濃淡や色等を適宜調整するにより、ラップフィルム12の最初の使用開始時において、多くの人間が標識40Aを見うる状態とすることができる。ラップフィルム12の最初の使用開始時に、標識40Aが、見えれば、この標識40Aは、ラップフィルムを使い切るまで、どの段階でも見ることが可能である。この場合、一般家庭のキッチンでの蛍光灯のワット数等を考慮して最適な条件(標識40Aの印刷仕様、ラップフィルム12の透明度、巻芯10に巻かれるラップフィルム12の厚さ等)を見いだすことが好ましい。なお、色彩については、食品用であることから、明るい色合いが好ましく、例えば赤色系が好ましい。但し、黄色系では見にくいことがある。
【0050】
本第1の実施の形態のラップフィルム12用の巻芯10によれば、標識40Aが外部から見うるように付されているので、剥離したラップフィルム12の端13の全体がラップ巻回体2の外周面5に張り付いた場合に、ラップフィルム12がラップ巻回体2に対してどちらの方向に巻かれているのか容易に識別することができる。特に、ラップ巻回体2をラップカートン14から取り出してしまい、ラップフィルム12がラップ巻回体2に張り付いて端13がわらなくなったときに効果を発揮する。ラップフィルム12の端13を巻き方向とは反対方向に剥がして、短時間でラップフィルム12を引き出して剥離部19を形成し、ラップフィルム12を使用することができる。
【0051】
表面層18の裏面50に標識40A(図2)ではなく、ラップフィルム12をラップ巻回体2から引き出すためにラップ巻回体2を回転させる回転方向を示す表示(不図示)を印刷してもよい。当該表示は、回転方向を示す矢印(不図示)を含むとよい。ラップフィルム12をラップ巻回体2から引き出すためにラップ巻回体2を回転させる回転方向は、ラップフィルム12を円筒部15に巻きつける方向と同じであるので、当該ラップ巻回体2を回転させる回転方向が分かれば、ラップフィルムを円筒部15に巻きつける方向が分かる。よって、当該表示は、標識40Aの一形態である。
【0052】
図4(a)は、軍手41Aの正面図であり、図4(b)は、軍手41Aの裏面図である。以下、図4(a)、図4(b)を参照し、適宜図1を参照して、軍手41Aの説明を行う。
【0053】
軍手41Aは、手袋状(袋状の一形態)の形態を有する袋状体である。軍手41Aは、軍手41Aの内部に人間の手を挿入することができ、接触部としての、滑り止め42Aが、軍手41Aの表面の手のひらに該当する部分のほぼ全体に渡り取り付けられている(5本の指の腹に該当する部分を含む)。軍手41Aの裏面であって手の甲に該当する側には滑り止めは取り付けられていない。滑り止め42Aは、多くの粒状の互いに分離した小体(直径3mmの半球体、軍手41Aの表面から球部がイボ状に盛り上がるように取り付けられている。)からなり、密集して(縦、及び横の間隔が4〜5mm)取り付けられている。滑り止め42Aは、樹脂製またはゴム製であり、かつこのような形状を有するのでラップフィルム12に対し適切な摩擦係数を有している。
【0054】
この摩擦係数は、ラップフィルム12の表面(円筒部15の外周面5)を軍手41A、すなわち滑り止め42Aで擦った場合、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5からスムーズに剥離させ所定の長さを有する剥離部19を形成することのできる摩擦係数である。ここで、所定の長さとは、ラップフィルム12を使用に際して引き出す場合にラップフィルム12を連続してラップ巻回体2の外周面5から剥離させることのできるラップ巻回体2の軸方向の長さであり、例えば、ラップ巻回体2の軸方向長さの20%から100%の長さであり、剥離部19をつかんでラップフィルム12を引き出した場合にラップフィルム12に切れ(斜め切れを含む)を生じない長さをいう。
【0055】
本第1の実施の形態のラップフィルムセットによれば、ラップ巻回体2と軍手41Aとを備え、軍手41Aは袋状体の形状を有し、内部に手を挿入することができ、内部の手における手のひらに対応する、袋状体の外表面の対応する箇所にラップフィルム12と接触する滑り止め42Aを有し、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5からスムーズに剥離させることのできる形状または材質で形成された滑り止め42Aに対して、ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに相対的に回転させ、円筒部15の外周面5を軍手41Aで擦ることができるので、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5よりスムーズに剥離させ、ラップフィルム12を引き出す場合にラップフィルム12を連続して円筒部15から剥離させることができ、円筒部15の軸方向の長さの剥離部19を形成することができる。
【0056】
なお、修復部材としての一対の軍手41Aは、手のひらに該当する一方の側に接触部としての滑り止め42Aを有し、手の甲に該当する、当該一方の側とは反対側には、滑り止め42Aを有さない。また、軍手41Aは、一対でなくともよく、片方のみであってもよい。軍手41Aが片方のみの場合、滑り止め42Aは、手のひらに該当する一方の側と、手の甲に該当する他方の側との、両方に取り付けてもよい。
【0057】
次に、図5を参照し、適宜図1〜4を参照し、本第2の実施の形態のラップ巻回体の修復方法について説明する。
ラップカートン14に収納されているラップフィルム12の剥離部19がストッパーラベル28から外れてラップフィルム12が巻き戻り、ラップ巻回体2の外周面5に全面的に張り付いて、ラップフィルム12の端13の位置が外周面5上のどこかわからくなった場合を考える。
【0058】
この場合はラップ巻回体2をラップカートン14から取り出す(P01)。軍手41Aでラップ巻回体2の外周面5を擦るために、軍手41Aを両手にはめ(P02)、ラップ巻回体2を両手で握り(P03)、軍手41Aの滑り止め42Aをラップ巻回体2の外周面5に沿って接触させる(P04)。次に、ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに回転させ、あるいは、軍手41Aをラップ巻回体2に対して円筒部15の中心軸回りに回転させる。ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに回転させることに加えて、軍手41Aをラップ巻回体2に対して円筒部15の中心軸回りに回転させるようにしてもよい。このようにすると、軍手41Aの滑り止め42Aによって円筒部15の外周面5を擦る(P06)ことになり、ラップフィルム12の端13が円筒部15の外周面5より剥離し、円筒部15の軸方向の所定の長さを有する剥離部19が形成される(P07)。
【0059】
当該擦りは、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせずに、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5から剥離させ剥離部19を形成するように行う。
【0060】
ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに回転させ、あるいは、軍手41Aをラップ巻回体2に対して円筒部15の中心軸回りに回転させている間に、軍手41Aを円筒部の中心軸の方向に移動、往復させ、軍手41Aを円筒部15の端から他の端まで移動、往復させると、剥離部19によじれが生じ(図3参照)、剥離部19が円筒部15の端から他の端まで形成される。
【0061】
ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに回転させ、あるいは、軍手41Aをラップ巻回体2に対して円筒部15の中心軸回りに回転させている間に、ラップ巻回体2の回転、軍手41Aの回転を一方向に行い、さらに一方向とは反対側の他方向に行い、複数回もむように繰り返すとよい。このようにすると剥離部19によじれが確実に生じ、剥離部19が確実に形成され、ラップ巻回体2は修復される。標識40Aがあるときは、もむように双方向に回転させることなく、一方向に回転させればよいという利点がある。
【0062】
ラップフィルム12を円筒部15に巻きつける方向を示す、ラップ巻回体2上に付された標識40Aを視認し、巻き方向を確認し(P05)、ラップフィルム12が円筒部15から剥離する方向に擦りを生じるようにするとよい。ラップ巻回体2を静止させ軍手41Aを(接触部42Aを)標識40Aが示す巻き方向とは反対の方向に回転させるか、あるいは軍手41Aを静止させラップ巻回体2を標識40Aが示す巻き方向に回転させてもよい。
【0063】
ラップフィルム12の剥離部19が形成された後、ラップ巻回体2をラップカートン14の中にしまい(P08)、剥離部19を手でつかんで、ラップフィルム12をラップカートン14の外に引き出す(P09)。ラップフィルム12を引き出した後、ラップカートン14の蓋22を親指で押さえ、切断刃24でラップフィルム12を切断し(P10)、その後、ラップフィルム12を使用する(P11)。
【0064】
本第2の実施の形態のラップ巻回体の修復方法によれば、袋状体の形状を有し、内部に手を挿入することができ、内部の手における手のひらに対応する、袋状体の外表面の対応する箇所にラップフィルム12と接触する滑り止め42Aを有する軍手41Aであって、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5からスムーズに剥離させることのできる形状または材質で形成された、軍手41Aの滑り止め42Aに対して、ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに相対的に回転させ、円筒部15の外周面5を軍手41Aで擦るので、ラップフィルム12に摩擦傷を生じさせず、ラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5よりスムーズに剥離させ、ラップフィルム12を引き出す場合にラップフィルム12を連続して円筒部15から剥離させることができ、円筒部15の軸方向の長さの剥離部19を形成し、ラップ巻回体2を修復することができる。
【0065】
なお、ラップ巻回体2を修復するとは、ラップ巻回体2に形成された剥離部19が円筒部15の外周部5に全面的に張り付いた場合に、ラップ巻回体2を円筒部15の中心軸回りに軍手41Aに対して相対的に回転させ、円筒部15の外周面5を軍手41Aで擦って、ラップフィルム12を傷つけることなくラップフィルム12の端13を円筒部15の外周面5より剥離させ、十分な長さの剥離部19を形成し、端13を視認することができるようにし、さらに剥離部19を引っ張ってラップフィルム12を引き出した場合に、ラップフィルム12に切れ(斜め切れを含む)を生じないように連続的に引き出すことができるようにすることをいう。ラップ巻回体2の円筒部15の外周面5を軍手41Aで擦るとは、同外周面5を軍手41Aの滑り止め42Aで擦ることをいう。なお、ここで長さとは、ラップ巻回体2の軸方向の長さをいう。
【0066】
図6(a)は、他の実施の形態の軍手41Bの正面図であり、図6(b)は、軍手41Bの裏面図である。以下、図6(a)、図6(b)を参照し、適宜図1を参照して、軍手41Bの説明を行う。前述の軍手41A(図4)との相違点のみ説明する。軍手41Bは、以下の説明を除き、軍手41A(図4)と同様である。
【0067】
修復部材としての軍手41Bは、接触部としての滑り止め42Bが、軍手41Bの表面の手のひらに該当する部分の一部に取り付けられている。滑り止め42Bが、軍手41Bの表面の手のひらに該当する部分の一部(人差し指と中指を延長した手の平の部分)(人差し指と中指に該当する部分を含む)に取り付けられている。このように滑り止め42Bが取り付けられていても、滑り止め42Bにてラップ巻回体2に巻かれたラップフィルム12の円筒部15の外周面5を擦り、円筒部15から剥離する剥離部19を形成することができる。なお、軍手41Bは、軍手41Aと同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
図7(a)は、他の実施の形態の軍手41Cの正面図であり、図7(b)は、同軍手41Cの裏面図である。以下、図7(a)、図7(b)を参照し、適宜図1を参照して、軍手41Cの説明を行う。前述の軍手41A(図4)との相違点のみ説明する。軍手41Cは、以下の説明を除き、軍手41A(図4)と同様である。
【0069】
修復部材としての軍手41Cは、手袋状(ミトン手袋状)であり、人差し指から薬指まで分離されておらず一体に形成されている。軍手41Cは、接触部としての滑り止め42Cが、軍手41Cの表面の手のひらに該当する部分の一部に取り付けられている。すなわち、滑り止め42Cが、軍手41Cの表面の手のひらに該当する部分の一部(人差し指と中指を延長した手の平の部分)(人差し指と中指の腹に該当する部分を含む)に取り付けられている。このように滑り止め42Cが取り付けられていても、滑り止め42Cにてラップ巻回体2に巻かれたラップフィルム12の円筒部15の外周面5を擦り、円筒部15から剥離する剥離部19を形成することができる。なお、軍手41Cは、軍手41Aと同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
図8(a)は、他の実施の形態の袋状体41Dの正面図であり、図8(b)は、同袋状体41Dの裏面図である。以下、図8(a)、図8(b)を参照し、適宜図1を参照して、袋状体41Dの説明を行う。
【0071】
修復部材としての袋状体41Dは、正面形状が長方形である(裏面形状も同様)。袋状体41Dは、袋状体の内部に人間の手を挿入することができ、接触部としての、滑り止め42Dが、袋状体41Dの表面45Dの手のひらに該当する部分のほぼ全体に渡り取り付けられている(親指を除く4本の指の腹に該当する部分を含む)。袋状体41Dは、一方の短辺に閉鎖端47Dを有し、他方の短辺に開放端48Dを有し、開放端48Dから手を挿入できるようになっている。袋状体41Dの裏面46Dの手の甲に該当する部分には滑り止めは取り付けられていない。滑り止め42Dは、発泡体から一体に長方形の布状に形成され、当該材質および当該形状を有するのでラップフィルム12に対し適切な摩擦係数を有している。袋状体41D全体も発泡体で形成し、袋状体41Dと滑り止め42D(接触部)が同一の材質で形成されるようにしてもよい。なお、袋状体41Dは、簡易な形状で軍手41Aと同様の作用効果を奏することができる。発泡体は、例えば、樹脂を発泡させたポリウレタンスポンジ(密度は約15〜50kg/m)またはセルローススポンジ(密度は約40kg/m)である。
【0072】
図9(a)は、他の実施の形態の筒状体41Eの正面図であり、図9(b)は、同筒状体41Eの裏面図である。以下、図9(a)、図9(b)を参照し、適宜図1を参照して、筒状体41Eの説明を行う。
【0073】
修復部材としての筒状体41Eは、正面形状が長方形である(裏面形状も同様)。筒状体41Eは、一方の、図中、下側の短辺に下開放端49Eを有し、下開放端49Eから袋状体の内部に人間の手を挿入することができ、接触部としての、滑り止め42Eが、筒状体41Eの表面45Eの手のひらに該当する部分のほぼ全体に渡り取り付けられている(5本の指の腹に該当する部分を含む)。滑り止め42Eは、一方の、図中、上側の短辺に上閉鎖端51Eを有する。筒状体41Eの裏面46Eの手の甲に該当する部分には滑り止めは取り付けられていない。滑り止め42Eは、発泡体から一体に長方形の布状に形成され、当該材質および当該形状を有するのでラップフィルム12に対し適切な摩擦係数を有している。筒状体41E全体も発泡体で形成し、筒状体41Eと滑り止め42E(接触部)が同一の材質で形成されるようにしてもよい。なお、筒状体41Eは、簡易な形状で軍手41Aと同様の作用効果を奏することができる。
【0074】
なお、図8の袋状体41D、図9の筒状体41Eにおいて、手を通したときの親指にあたる箇所に開口部52D、52Eを設けるとよい。開口部42D、52Eに親指を通すことにより、袋状体41D、筒状体41Eを通した親指で手に対する位置を保持することができる。
【符号の説明】
【0075】
2 ラップ巻回体
5 外周面
10 巻芯
12 ラップフィルム
13 端
14 ラップカートン
15 円筒部
16 管状体
18 表面層
19 剥離部
22 蓋
24 切断刃
26 掩蓋片
28 ストッパーラベル
30 開口
32 前面壁
40A 巻き方向表示標識
41A、41B、41C 軍手(修復部材)
41D 袋状体(修復部材)
41E 筒状体(修復部材)
42A、42B、42C、42D、42E 滑り止め(接触部)
44A、44B 矢印
45D、45E 表面
46D、46E 裏面
47D 閉鎖端
48D 開放端
49E 下閉鎖端
50 裏面
51E 上閉鎖端
52D、52E 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムが円筒状に巻かれた円筒部を有するラップ巻回体を手に持つ第1の工程と;
前記ラップフィルムに対し修復部材を前記円筒部の外周面に沿って接触させる第2の工程と;
前記ラップ巻回体を前記円筒部の中心軸回りに前記修復部材に対して相対的に回転させ、前記円筒部の外周面を前記修復部材で擦って、前記ラップフィルムの端を前記円筒部の外周面より剥離させ、前記円筒部の軸方向の所定の長さを有する剥離部を形成する第3の工程とを備え;
前記擦りは、前記ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、前記ラップフィルムの端を前記円筒部の外周面から剥離させ前記剥離部を形成するように行い;
前記円筒部の軸方向の所定の長さは、前記ラップフィルムを引き出す場合に前記ラップフィルムを連続して前記円筒部から剥離させることのできる長さであり;
前記修復部材が袋状体または筒状体の形状を有し、前記修復部材の内部に手を挿入することができ、前記修復部材の内部の手における手のひらに対応する前記袋状体または前記筒状体の外表面の対応する箇所に前記ラップフィルムと接触する接触部を有する;
ラップ巻回体の修復方法。
【請求項2】
前記接触部が樹脂製またはゴム製である;
請求項1に記載のラップ巻回体の修復方法。
【請求項3】
前記接触部が発泡体から形成された;
請求項1に記載のラップ巻回体の修復方法。
【請求項4】
前記袋状体又は前記筒状体が前記接触部と同一の材質で形成された;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のラップ巻回体の修復方法。
【請求項5】
前記ラップフィルムを前記円筒部に巻きつける方向を示す、前記ラップ巻回体上に付された巻き方向表示標識を視認し、巻き方向を確認する工程を備える;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のラップ巻回体の修復方法。
【請求項6】
円筒状に巻かれたラップフィルムを有するラップ巻回体と;
前記ラップ巻回体の外周面に沿って接触させることができるように構成された接触部を有する修復部材とを備え;
前記接触部は、前記ラップ巻回体を前記ラップ巻回体の中心軸回りに前記接触部に対して相対的に回転させ、前記ラップ巻回体の外周面を前記修復部材の接触部で擦って、前記ラップフィルムに摩擦傷を生じさせず、前記ラップフィルムの端を前記ラップ巻回体の外周面より剥離させ、前記ラップ巻回体の軸方向の所定の長さを有する剥離部を形成する形状または材質で構成され;
前記ラップ巻回体の軸方向の所定の長さは、前記ラップフィルムを引き出す場合に前記ラップフィルムを連続して前記ラップ巻回体の外周面から剥離させることのできる長さであり;
前記修復部材が袋状体または筒状体の形状を有し、前記修復部材の内部に手を挿入することができ、前記修復部材の内部の手における手のひらに対応する前記袋状体または前記筒状体の外表面の対応する箇所に前記ラップフィルムと接触する接触部を有する;
ラップフィルムセット。
【請求項7】
前記接触部が樹脂製またはゴム製である;
請求項6に記載のラップ巻回体のラップフィルムセット。
【請求項8】
前記接触部が発泡体から形成された;
請求項6に記載のラップ巻回体のラップフィルムセット。
【請求項9】
前記袋状体または前記筒状体が前記接触部と同一の材質で形成された;
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載のラップ巻回体のラップフィルムセット。
【請求項10】
前記ラップフィルムを前記ラップ巻回体に巻きつける方向を示す巻き方向表示標識を、前記ラップ巻回体の見易い位置に表示する;
請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載のラップフィルムセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−230835(P2011−230835A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105444(P2010−105444)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】