説明

ラテックスバインダーおよび水性塗料の開放時間および乾燥時間の改良のための方法とシステム

改善された開放時間プロファイル、乾燥時間、耐汚染性、ウェットエッジ時間、低温フィルム形成、ブロック抵抗性、接着力、感水性及び低VOC含量を有する低Tgラテックスポリマー及び低VOC水性塗料組成物が開示されている。ラテックスポリマー及び水性塗料組成物は、アルコキシル化トリスチリルフェノールまたはアルコキシル化トリブチルフェノールのようなアルコキシル化化合物と共重合したまたは混合された少なくとも1種のモノマー由来の少なくとも1種のラテックスポリマーを含む。少なくとも1種のラテックスポリマー、水及び1種の開放時間用添加剤または乾燥時間用添加剤または2種以上の開放時間用添加剤または乾燥時間用添加剤の混合物を含む水性塗料または接着性組成物も提供する。混合物は非イオン性及び陰イオン性開放時間用添加剤を含むことができる。通常、開放時間及び/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の約1.3重量%を超える量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年1月16日に出願され、本明細書に引用により含まれる、米国特許出願第12/321、256号の一部継続出願であり、2008年1月18日に出願された米国特許仮出願第61/022、206号、2008年1月21日に出願された米国特許仮出願第61/022、443号、および2008年11月21日に出願された米国特許仮出願第61/199、936号すべて、その全体を本明細書に引用により含め、それらに基づく優先権を主張するものとする。本願はまた、2009年12月11日に出願された米国特許仮出願第61/284、055号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ペイント剤および紙塗布用組成物等の水性塗料組成物の開放時間特性を改良するために、アルコキシ化化合物、例えば、アルコキシル化トリスチリルフェノールおよびアルコキシル化トリブチルフェノールの特定のファミリーの利用に関する。特に、本発明は、水性ラテックス分散液、水性ラテックスバインダーおよび水性塗料の開放時間および乾燥時間特性を改良するために、一定の反応性アルコキシル化化合物ベースのモノマー類、表面活性アルコキシル化化合物界面活性剤、および表面活性アルコキシル化化合物添加剤の利用に関する。
【背景技術】
【0003】
ペイントおよび塗料産業において、揮発性有機化合物(VOC)の人間の健康および環境への影響に関する関心から、従来の溶剤型ペイント剤および塗料は水性システムに置き換えられつつある。さらに、最近施行された環境関連の法律により、塗料中の揮発性有機化合物(VOC)の含量を削減することが求められている。例えば、カリフォルニアのSCAQMD(South Coast Air Quality Management District)および東海岸諸州のOTC(Ozone Transport Commission)では、塗料およびペイント製品、特に建築用および産業用のペイント剤および塗料のVOC排出量削減を求めている(基体塗布後、VOCは徐々に周囲に揮発する)。
【0004】
これらの規制により、ポリマーおよびペイント製造においては低VOC製品の開発を余儀なくされている。しかし、低VOCまたはゼロVOCペイント剤および塗料のための水性型技術には、特に溶剤ベースの塗料または高VOCペイント製品と比較して重要な性能を達成することにおいて、多くの課題および欠点が存在する。
【0005】
例えば、削減または限定された開放時間またはウェットエッジタイムは、低VOCまたはゼロVOCペイント剤および塗料の主要課題の一つである。ペイント剤の開放時間は、基体に塗布した後、ウェットペイントが作業可能状態のままであり、表面上にいかなる欠損をもたらすことなく、再ブラッシングまたはローリング等の修正を行える時間として定義される。ウェットエッジタイムとは、ペイント剤を塗布する者がウェットペイントの領域に新たに塗料を塗布し、新たに塗布されたペイント剤が、乾いたコーティングフィルムに可視的ラップを生じさせることなく浸透していく時間を指していう。
【0006】
水性型または水ベースのラテックスペイント剤は、水ベースペイント剤中の水分蒸発が急速に行われるため、溶剤ベースペイント剤と比較して主要な課題とされてきた。一般に、トルエンまたはキシレン等の有機溶剤を含有する溶剤型塗料およびペイント剤の開放時間は、約30〜45分である。
【0007】
従来の水性型塗料およびペイント剤に関する従来型方法の1つは、開放時間またはウェットエッジタイムを増大するために、エチレングリコールまたはグリコールエーテル類(またはその他の高VOC溶剤類)を加えることである。このような有機溶剤は、ラテックス粒子の中にまたはその周囲に残留し、水性ペイントシステムから水分が全部蒸発する時でさえ、ラテックス粒子が自由に移動するのを支援すると信じられている。水性塗料製剤のグリコール類使用には、水性製品にとって様々な利点がある。例えば、開放時間/ウェットエッジタイムの増大、凍結融解安定性の提供、ポリマー融合の支援、および、フロー並びにレベリングの改良等である。
【0008】
しかしながら、低VOCまたはゼロVOC製剤においては、これらグリコール類の使用は、実質上削減または削除される。ラテックスバインダーから低VOCまたはほぼゼロVOCの水性塗料およびペイント剤が製造される時、すなわち、グリコール類およびその他のVOC類の使用が実質上削減または削除される場合、開放時間は大幅に削減され、3〜5分間の範囲となる。開放時間が不十分であれば、より大きな基体への塗布の質が落ち、コーティングフィルムの表面に欠損が生じる。
【0009】
よって、VOCを全く含有しないか、または、開放時間用添加剤、融合助剤、凍結融解剤等の添加剤を含むことでVOC成分が大幅に削減された、塗料およびペイント製剤が存在することが望ましい。よって、ラテックスバインダー製造者は、ペイント剤および塗料産業の要件を満たすために、低VOCバインダの開発を余儀なくされているが、同時に、当業界で定められた塗装性能基準を満たすか、またはそれ以上のことが求められている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、ラテックスバインダー類、樹脂類、膠類、接着剤類、インク類、シーラント類、セメント組成物、ペイント剤を含むがこれに限定されない塗料類等の開放時間特性、および、特に、凍結融解安定性、乾燥時間、低温フィルム形成、耐汚染性、フィルムグロス、分散性、耐隠蔽性および耐摩擦性、耐泡沫性、耐ブロック性、感接着性および感水性等のその他の特性を改良するために、嵩高い疎水性基を有するアルコキシル化化合物、例えば、アルコキシル化トリスチリルフェノール類またはアルコキシル化トリブチルフェノール類の特定のファミリーの利用に関する。
【0011】
理論に制限されないが、本発明の一部は、柔らかいラテックス粒子の表面上に保護層を形成するために、より大きな疎水性基の立体効果を利用してラテックス粒子を安定させるとの理論付けられる。ラテックス粒子上に吸収またはグラフトされた、またはラテックス粒子上で共重合された大きな疎水性基は、これらのラテックス粒子が他の柔らかいラテックス粒子の表面に近づくのを防ぎ、柔らかいラテックス粒子間の分離距離を増大する。アルキレン、例えば、アルコキシル化化合物鎖の界面活性剤からの酸化エチレンユニットもまた、水性媒体と相互作用する層を形成する。
【0012】
本発明に従うと、グリコール等の高VOC溶剤をほとんどまたは全く添加しなくても開放時間特性を有するよう、アルコキシル化化合物を含む水性塗料組成物(例えば、ラテックスペイント剤、ラテックス分散剤)を製造することができる。
【0013】
アルコキシル化化合物は、ラテックスバインダー類、ペイント類および塗料類の開放時間特性並びに乾燥時間特性を改良するために、多くの方法で用いられ得る。本発明では、ラテックスポリマーを形成するための乳化重合中の反応剤として、重合可能な反応性アルコキシル化モノマー類を使用してもよい。本発明では、本明細書に記載の、ラテックスポリマーを形成するための乳化重合中の界面活性剤(例えば、乳化剤)として、1つまたはそれ以上の表面活性アルコキシル化化合物を使用してもよい。本発明では、ペイント剤を含むがこれに限定されない塗料等のラテックスポリマー含有製剤への添加剤として、並びに、圧力感度の高い接着剤類を含むがこれに限定されない接着剤類、膠類、樹脂類、シーラント類、UVインク類を含むがこれに限定されないインク類、従来型インク類、ハイブリッドインク類、および水ベースのインク類等を含むがこれに限定されない接着剤の添加剤として、表面活性アルコキシル化化合物を使用してもよい。
【0014】
1つの態様において、本発明は、少なくとも1つの第1モノマー、および、構造式IAを有し、重合可能かつ反応性がありアルコキシル化された、少なくとも1つの第2モノマーから生成されるラテックスポリマーである。
【化1】

【0015】
式中、R1、R2およびR3は、C−C18アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリルまたはアラルキル、−H、tert−ブチル、ブチル、イソブチルから独立して選択される。
【化2】

【化3】

【化4】

又は
【化5】

【0016】
式中、Xは、炭素原子2〜8を有する直鎖または分岐アルキレン基から選択される二価の炭化水素基であり、nは、整数1〜100であり、Rはエチレン性不飽和基を含む。1つの実施形態では、Rはアクリル酸塩、C−Cアルキルアクリル酸塩、アリル、ビニル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステルまたはフマル酸塩であり得る。Rはまた、アクリロ、メタアクリロ、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアリルアミノ、アリルエーテル、ビニルエーテル、α-アルケニル、マレイミド、スチレニル、および/またはα-アルキルスチレニル基から選択することもできる。
【0017】
別の実施形態では、Rの化学構造式はRCH=C(R)COO−であり、式中RがHであれば、RはH、C−Cアルキル、または−CHCOOXとなり、Rが-C(O)OXであれば、RはHまたは-CHC(O)OXとなり、または、RがCHであれば、RはHであり、XはHまたはC−Cアルキルとなる。別の実施形態では、Rの化学構造は−HC=CYZまたは−OCH=CYZであり、式中、YはH、CHまたはClであり、Zは、CN、Cl、−COOR、−C、−COORまたは−HC=CHである、Rは、C-CアルキルまたはC-Cヒドロキシアルキルであり、Rは、H、Cl、Br、またはC−Cアルキルである。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの第1モノマー、および、構造式IBを有する少なくとも1つの第2モノマーから生成されるラテックスポリマーである。
【化6】

【0019】
式中、nは整数約1〜約100であり、Rは、HおよびC−Cアルキルから選択される。1つの実施形態では、nは約3〜約80の整数であり、典型的には、約4〜約60であり、さらに典型的には、約8〜約60である。1つの実施形態では、少なくとも1つの第1モノマーには、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、およびメタアクリル酸エステルから成る群から選択される、少なくとも1つのアクリルモノマーを含む。別の実施形態では、ラテックスポリマーは、スチレン、α-メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ウレイドメタクリレート、酢酸ビニル、分岐状の第3級モノカルボン酸のビニルエステル類、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、エチレン、またはC4-C8共役ジエンから選択される、1つまたはそれ以上のモノマー類から生成され得る。
【0020】
別の実施形態では、本発明の組成物は、開放時間、ウェットエッジチタイムおよび乾燥時間特性が改良されて凍結融解が安定的であり、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、約−20℃〜約50℃の間である。1つの実施形態では、Tgは約−15℃〜約30℃の間である。1つの実施形態では、Tgは約−15℃〜約20℃の間である。1つの実施形態では、Tgは約−10℃〜約10℃の間である。1つの実施形態では、Tgは約−10℃〜約0℃の間である。
【0021】
別の実施形態では、本発明のポリマーの平均粒子サイズ(時に、平均粒子直径、D50と称される)は約200nm未満であり、別の実施形態では、平均粒子サイズは約190nm未満であり、さらに別の実施形態では、平均粒子サイズは約175nm未満である。別の実施形態では、本発明のポリマーのD50は150nm未満である。さらに別の実施形態では、本発明のポリマーのD50は100nm未満である。
【0022】
別の態様において、本発明は、(a)本明細書に記載のラテックスポリマー、および(b)水を含む、ラテックス塗料組成物である。ラテックス塗料組成物は、殺生物剤類、界面活性剤類、顔料類、分散剤類等を含むがこれに限定されない、他の添加剤/成分、および当業者に周知のその他を含有し得る。ラテックス塗料組成物は、さらに、構造式ICを有する、エトキシル化トリスチルフェノールを含有する、1つまたはそれ以上の開放時間用添加剤を含むことができる。
【化7】

式中、nは整数1〜100であり、Rはヒドロキシアルキル基、−OH、−OCH3、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)、硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、陰イオン基、C−C12アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリルまたはアラルキル、あるいは第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。1つの実施形態では、nは整数約4〜80であり、別の実施形態では、約1〜40である。別の実施形態では、Rは、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO )、リン酸塩(PO )、硫酸塩(SO )、スルホン酸塩(SO )、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、C−C12アルキル基、C−C12ヒドロキシアルキル基、C−C12シクロアルキル基、C−C12アリル基、C−C12アラルキル基および第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。
【0023】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は、組成物の開放時間を4分間より長くする、典型的には6分間より長くするのに有効な量の開放時間用添加剤を含有する。1つの実施形態では、改良された開放時間特性とは、塗料または接着剤の開放時間が4分より長くなったという意味である。1つの実施形態では、改良された開放時間特性とは、塗料または接着剤の開放時間が6分より長くなったという意味である。1つの実施形態では、改良された開放時間特性とは、塗料または接着剤の開放時間が8分より長くなったという意味である。1つの実施形態では、改良された開放時間特性とは、塗料または接着剤の開放時間が10分より長くなったという意味である。1つの実施形態では、改良された開放時間特性とは、塗料または接着剤の開放時間が12分より長くなったという意味である。
【0024】
1つの実施形態では、添加剤の有効含有量はポリマーの約1重量%より大きく、典型的には、その含有量はポリマーの約1.6重量%よりも大きい。別の実施形態では、ラテックス塗料組成物には、含有量がポリマーの約2重量%よりも大きい開放時間用添加剤が含まれ、典型的には、その含有量はポリマーの約4重量%よりも大きい。別の実施形態では、ラテックス塗料組成物には、含有量がポリマーの約7.5重量%よりも大きい開放時間用添加剤が含まれ、典型的には、その含有量はポリマーの8重量%よりも大きい。さらに別の実施形態では、ラテックス塗料組成物には、含有量がポリマーの約10重量%よりも大きい開放時間用添加剤が含まれる。さらに別の実施形態では、ラテックス塗料組成物には、含有量がポリマーの約20重量%よりも大きい開放時間用添加剤が含まれる。別の実施形態では、ラテックス塗料組成物には、含有量がポリマーの約1.6重量%〜7.5重量%の間である開放時間用添加剤が含まれる。
【0025】
1つの実施形態では、上記のラテックス塗料組成物は、ラテックスポリマーのガラス転移温度(Tg)が約−20℃〜約50℃の間であり、典型的には、約−10℃〜約10℃であり、さらに典型的には、約−10℃〜約0℃である、改良された開放時間特性を有する。別の実施形態では、上記のラテックス塗料のラテックスポリマーの平均粒子サイズは、約200nm未満であり、別の実施形態では、D50は約190nm未満であり、別の実施形態では、D50は約175nm未満であり、さらに別の実施形態では、D50は150nmであり、さらなる実施形態では、D50は100nm未満である。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、(1)少なくとも1つの第1モノマーを(2)構造式IAを有する、重合可能な反応性トリスチルフェノールである、第2モノマーの少なくとも1つと共重合させることを含む、ラテックスポリマーの製造方法である。
【化8】

【0027】
式中、R1、R2およびR3は、C−C18アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリルまたはアラルキル、−H、tert−ブチル、ブチル、イソブチルから独立して選択される。
【化9】

【化10】

【化11】

又は
【化12】

【0028】
式中、Xは、炭素原子2〜8を有する直鎖または分岐アルキル基から選択される二価の炭化水素基であり、nは1〜100の範囲であり、Rは、アクリル酸塩、C−C10アルキルアクリル酸塩、アリル、ビニル、マレイン酸塩、イタコン酸塩、またはフマル酸塩を含むがこれに限定されない、エチレン性不飽和基である。Rはまた、アクリロ、メタアクリロ、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジアリルアミノ、アリルエーテル、ビニルエーテル、α-アルケニル、マレイミド、スチレニル、および/またはα-アルキルスチレニル基から選択することもできる。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、(1)少なくとも1つのラテックスモノマーを、(2)構造式がIBである、重合可能な反応性トリスチルフェノールの少なくとも1つと共重合させることを含む、塗料または接着剤組成物で使用される時、改良された開放時間特性および/または乾燥時間特性を有する、ラテックスポリマーの製造方法である。
【化13】

【0030】
式中、nは整数1〜100であり、Rは、HおよびC−C10アルキル、典型的には、C−Cアルキルから選択される。
【0031】
1つの実施形態では、前記方法の1つまたは両方において、ポリマーの水性分散剤の開放時間は4分よりも大きく、典型的には、6分よりも大きく、さらに典型的には、8分よりも大きく、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、約−20℃〜約50℃の間であり、さらに典型的には約−15℃〜約40℃であり、最も典型的には、約−10℃〜約0℃の間である。別の実施形態では、先に言及した、1つまたはそれ以上の方法で使用されるポリマーの平均粒子サイズは、約200nm未満であり、さらに典型的には、平均粒子サイズは約190nm未満であり、最も典型的には、平均粒子サイズは約175nm未満である。
【0032】
さらに別の態様では、本発明は、(1)少なくとも1つの第1モノマーを、(2)構造式IBを有する、少なくとも1つの第2モノマーと共重合させることを含む、塗装または接着剤組成物で使用される時、改良された開放時間特性を与える、ラテックスポリマーの製造方法である。
【化14】

【0033】
式中、nは1〜100の範囲であり、Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から選択され、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、約−20℃〜約50℃の間であり、平均粒子サイズは、約200nm未満であるか、または、Tgは約−10℃〜約10℃の間であり、平均粒子サイズは約200nm未満であるか、または、Tgは約−5℃〜約0℃の間であり、平均粒子サイズは約200nm未満であるか、または、Tgは約−20℃〜約12℃の間であり、平均粒子サイズは約190nm未満であるか、または、Tgは約−10℃〜約10℃の間であり、平均粒子サイズは約190nm未満であるか、または、Tgは約−10℃〜約0℃の間であり、平均粒子サイズは約190nm未満であるか、または、Tgは約−20℃〜約12℃の間であり、平均粒子サイズは約175nm未満であるか、または、Tgは約−10℃〜約10℃の間であり、平均粒子サイズは約175nm未満であるか、または、Tgは約−10℃〜約0℃の間であり、平均粒子サイズは約175nm未満である。
【0034】
さらなる別の態様では、本発明は、(a)少なくとも1つのラテックスポリマー、(b)水、および(c)ポリマーの1重量%より大きい含有量の開放時間用添加剤を含む、低VOCラテックス塗料組成物であり、その中で、開放時間用添加剤には、構造式IIAを有する、エトキシル化トリスチルフェノール類の1つまたはそれらの混合が含まれる。
【化15】

式中、nは整数1〜100であり、Rは、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)、硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、C−C12アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリルまたはアラルキル、または第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。1つの実施形態では、nは、約4〜80の整数であり、別の実施形態では、約1〜40である。
【0035】
さらに別の態様では、本発明は、(a)少なくとも1つのラテックスポリマー、(b)水、および(c)ポリマーの約1重量%よりも大きい量の乾燥時間用添加剤を含む、低VOCラテックス塗料組成物であり、その中で、乾燥時間用添加剤には、構造式IIAを有する、エトキシル化トリスチルフェノール類の1つまたはそれらの混合が含まれる。
【化16】

式中、nは整数1〜100であり、Rは、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)、硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、C−C12アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリルまたはアラルキル、または第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。1つの実施形態では、nは、約4〜80の整数であり、別の実施形態では、約1〜40である。
【0036】
1つの実施形態では、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約0.5重量%より大きい量のラテックス塗料組成物に存在する。別の実施形態では、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約1重量%より大きい量のラテックス塗料組成物に存在する。別の実施形態では、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約2重量%より大きい量のラテックス塗料組成物に存在する。別の実施形態では、添加剤は、ポリマーの約4重量%より大きい量に存在する。さらに別の実施形態では、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約7.5重量%より大きい量に存在する。さらなる実施形態では、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約20重量%より大きい量に存在する。さらなる別の実施形態において、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約1.6重量%〜7.5重量%の間の量に存在する。
【0037】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物中の少なくとも1つのラテックスモノマーのガラス転移温度(Tg)は、約−20℃〜約12℃の間であり、典型的には、約−10℃〜約10℃の間であり、さらに典型的には、約−10℃〜約0℃の間である。
【0038】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物中の少なくとも1つのラテックスポリマーの平均粒子サイズは、約200nm未満であり、典型的には、約190nm未満であり、さらに典型的には、約175nm未満である。
【0039】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は、開放時間が約2分より大きい、開放時間が約4分より大きい、開放時間が約6分より大きい、または開放時間が約12分より大きいことにより特徴付けられる。
【0040】
さらにもっと別の態様では、本発明は、(a)少なくとも1つのラテックスポリマー、(b)水、および(c)ポリマーの約1.6重量%より大きい量の開放時間用添加剤を含む、ラテックス塗料組成物であり、その中で、開放時間用添加剤には、構造式IIBを有する、エトキシル化トリブチフェノール類の1つまたはそれらの混合が含まれる。
【化17】

式中、nは整数1〜100であり、Rは、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)、硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、または第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。1つの実施形態では、nは、約4〜80の整数であり、別の実施形態では、約1〜40である。
【0041】
さらにもっと別の態様では、本発明は、(a)少なくとも1つのラテックスポリマー、(b)水、および(c)ポリマーの約1.6重量%よりも大きい量の乾燥時間用添加剤を含む、ラテックス塗料組成物であり、その中で、乾燥時間用添加剤には、構造式IIBを有する、エトキシル化トリブチフェノール類の1つまたはそれらの混合が含まれる。
【化18】


式中、nは整数1〜100であり、Rは、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)、硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、C−C12アルキル基、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリルまたはアラルキル、または第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。1つの実施形態では、nは、約4〜80の整数であり、別の実施形態では、約1〜40である。
【0042】
1つの実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約1重量%より大きい量のラテックス塗料組成物に存在する。1つの実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約2重量%より大きい量のラテックス塗料組成物に存在する。別の実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約4重量%より大きい量に存在する。さらに別の実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約7.5重量%より大きい量に存在する。さらなる実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約20重量%より大きい量に存在する。さらなる別の実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーの約1.6重量%〜7.5重量%の間の量に存在する。
【0043】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物中の少なくとも1つのラテックスモノマーのガラス転移温度(Tg)は、約−20℃〜約12℃の間であり、典型的には、約−10℃〜約10℃の間であり、さらに典型的には、約−10℃〜約0℃の間である。
【0044】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物中の少なくとも1つのラテックスモノマーの平均粒子サイズは、約200nm未満であり、典型的には、約190nm未満であり、さらに典型的には、約175nm未満である。
【0045】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は、開放時間が約2分より大きい、開放時間が約4分より大きい、開放時間が約6分より大きい、または開放時間が約12分より大きいことにより特徴付けられる。
【0046】
さらにもっと別の態様では、本発明は、(i)圧力感度の高い接着剤類を含むがこれに限定されない接着剤類、(ii)シーラント類、(iii)UVインク類、従来型インク類、ハイブリッドインク類、および水ベースのインク類を含むがこれに限定されないインク類から選択される塗料組成物であり、組成物には、ポリマーまたは組成物の約0.5重量%より大きい量の開放時間または乾燥時間用添加剤が含まれ、開放時間用添加剤には、構造式IIAまたはIIBを有する、エトキシル化トリブチフェノール類の1つまたはそれらの混合が含まれる。
【化19】

または
【化20】

【0047】
式中、nは整数1〜100であり、Rは、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)、硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、または、第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。1つの実施形態では、nは、約4〜80の整数であり、別の実施形態では、約1〜40である。1つの実施形態では、nは、約4〜80の整数であり、別の実施形態では、約1〜40である。別の実施形態では、Rは、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO )、リン酸塩(PO )、硫酸塩(SO )、スルホン酸塩(SO )、カルボン酸塩(COO)、非イオン基、C−C12アルキル基、C−C12ヒドロキシアルキル基、C−C12シクロアルキル基、C−C12アリル基、C−C12アラルキル基、および第四アンモニウムイオンであり、Mは、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこれに限定されない陽イオンである。
【0048】
1つの実施形態では、開放時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の1重量%より大きい量に存在する。1つの実施形態では、開放時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の1.6重量%またはそれより大きい量に存在する。
【0049】
1つの実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の約2重量%より大きい量の組成物に存在する。
【0050】
1つの実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の約2.5重量%より大きい量のラテックス塗料組成物に存在する。別の実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の約4重量%より大きい量に存在する。さらに別の実施形態では、開放時間用添加剤および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の約7.5重量%より大きい量に存在する。さらなる実施形態では、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の約20重量%より大きい量に存在する。さらなる別の実施形態では、開放時間および/または乾燥時間用添加剤は、ポリマーまたは組成物の約1.6重量%〜7.5重量%の間の量に存在する。
【0051】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物中の少なくとも1つのラテックスモノマーのガラス転移温度(Tg)は、約−20℃〜約12℃の間であり、典型的には、約−10℃〜約10℃の間であり、さらに典型的には、約−10℃〜約0℃の間である。
【0052】
別の実施形態では、ラテックス塗料組成物中の少なくとも1つのラテックスモノマーのTgは、約−20℃〜約50℃の間であり、典型的には、約−10℃〜約40℃の間であり、さらに典型的には、約−10℃〜約30℃の間であり、典型的には約−10℃〜約20℃の間であり、さらに典型的には、約−10℃〜約10℃の間である。
【0053】
1つの実施形態では、ラテックス塗料組成物中の少なくとも1つのラテックスモノマーの平均粒子サイズは、約200nm未満であり、1つの実施形態では約190nm未満であり、1つの実施形態では約175nm未満であり、1つの実施形態では150nm未満であり、1つの実施形態では135nm未満であり、別の実施形態では約120nm未満である。1つの実施形態では、ラテックス皮膜組成物中の少なくとも1つのラテックスモノマーの平均粒子サイズは、約100nm未満であるのを含む。
【0054】
1つの実施形態では、組成物は、開放時間が約2分より大きい、開放時間が約4分より大きい、開放時間が約6分より大きい、または開放時間が約12分より大きいことにより特徴付けられる。
【0055】
本発明の、これらのおよびその他の特徴及び利点は、本発明の好ましい実施形態および代替的実施形態を記述した、以下の詳細な説明を考慮すれば、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】マルチスペックル拡散波分光(MS−DWS)を使用した、ラテックスの開放時間の測定を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、ラテックスバインダー類、ペイント類、接着剤等の開放時間を改良するために、酸化エチレン鎖で提供される、アルコキシル化トリスチリルフェノール類およびアルコキシル化トリブチルフェノール類等のアルコキシ化化合物の特定のファミリーを利用することに関する。アルコキシ化化合物の当該ファミリーは、その他の特性、例えば、とりわけ、ウェットエッジ、抗汚染性、開放時間、フィルムグロス、分散性、耐隠蔽性および耐摩擦性、低温フィルム形成、耐泡沫性、耐ブロック性、感接着性および感水性等も改良し得る。
【0058】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等、直鎖、分岐または環であってもよい。
【0059】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、例えば、シクロペニル、シクロオクチル、およびアダマンタニル等の環状アルキル環を1つまたはそれ以上含む、飽和炭化水素基を意味する。
【0060】
本明細書で使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基を意味し、より典型的には、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシデシル等、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基を意味する。
【0061】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、メチレン、ポリメチレン、および、例えば、ジメチレン、テトラメチレン、および2−メチルトリメチレン等、アルキルで置換したポリメチレン基を含むがこれに限定されない、二価の飽和炭化水素基を意味する。
【0062】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル等、1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖状、分岐鎖状、または環状の不飽和炭化水素基である。
【0063】
本明細書で使用される「アリル」という用語は、1つまたはそれ以上の六員環炭素環を含む一価の不飽和炭化水素基であり、3つの共役二重結合により不飽和であることが示され得、環の1つまたはそれ以上の炭素を、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、または、例えば、フェノキシ、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、クロロフェニル、トリクロロメチルフェニル、アミノフェニル等のアミノで置換してもよい。
【0064】
本明細書で使用される「アラルキル」という用語は、例えば、フェニルメチル、フェニルエチル、トリフェニルメチル等の、1つまたはそれ以上のアリル基で置換されたアルキル基を意味する。
【0065】
本明細書で使用されている、有機基に関する「(C−C)」という用語は、nおよびmはそれぞれ整数を示し、1つの基について、n個の炭素原子ないしm個の炭素原子を含んでもよいことを示している。
【0066】
本明細書で使用されている「エチレン不飽和」という用語は、末端の(すなわち、例えばα、β)炭素―炭素二重結合を意味している。
【0067】
1つの実施形態では、本発明は、低VOC成分を有し、従来の水性塗料組成物と比較して開放時間特性が改良された、ラテックスポリマー類およびラテックス分散剤、並びに使用法を含む。当該ラテックスポリマー類は、アルコキシ化化合物の特定のファミリーと共重合または混合された少なくとも1つのラテックスポリマーを含むことができる。ラテックスの典型的なTg温度は20℃未満であり、さらに典型的には、15℃未満であり、さらにもっと典型的には、5℃未満である。もっと典型的には、ラテックスのTgは、約−20℃〜約12℃であり、もっと典型的には、約−10℃〜約10℃であり、もっと典型的には、−10℃〜約0℃の範囲である。1つの実施形態では、本発明のラテックスポリマーの重量平均分子量は、約1、000〜5、000、000であり、典型的には、5、000〜2、000、000である。別の実施形態では、本発明のラテックスポリマーの重量平均分子量は、約10、000〜250、000である。
【0068】
理論的制約を受けなければ、ラテックス粒子上に吸収またはグラフトされた、またはラテックス粒子の中に共重合された大きい疎水基は、これらのラテックス粒子が他のラテックス粒子の表面に近づくのを防ぎ、ラテックス粒子間の分離距離を拡大すると信じられている。水の蒸発プロセスにおいて、立体反発が、毛管力により駆動するラテックス粒子パッキングを防げると信じられている。これにより、逆に、水性塗料の開放時間が改善する。理論的制約を受けなければ、疎水性部分を、水性型塗料およびペイント剤のラテックス粒子の内側または表面上に組み入れる方法により、ラテックス粒子間の分子が保たれ、疎水性部分と水の間の相互作用により、長期間保水すると信じられている。理論的制約を受けなければ、本発明の開放時間用添加剤を水性塗料に添加する方法により、水性システムからの水分蒸発を防ぐことができる空気/水界面で疎水性モノレイヤーを生成することが可能である。
【0069】
本発明は、例えば水性塗料組成物等の水性組成物、並びに、圧力感度の高い接着剤類を含むがこれに限定されない接着剤類、膠類、樹脂類、シーラント類、UVインク類を含むがこれに限定されないインク類、従来のインク類、ハイブリッドインク類、および、従来の組成物と比較して開放時間並びにウェットエッジ特性と乾燥時間特性の優れた水ベースのインク類を含むがこれに限定されない接着剤を提供する。1つの実施形態では、本発明の水性組成物は、例えばアルコキシル化トリスチリルフェノール等のアルコキシル化された化合物の特定のファミリーと共重合または混合された、少なくとも1つのラテックスポリマーを含む、水性ポリマー分散剤である。一般に、ラテックスポリマーは、半光沢塗装用組成物の約15重量%〜約40重量%の水性組成物またはペイント剤、および、艶消し塗装用の組成物の約5重量%〜最大約75重量%まで、典型的には、約5重量%〜約50重量%までに存在する。本発明のペイント剤またはその他の水性塗料は、典型的には、少なくとも1つの顔料をさらに含む。接着剤等、本発明のその他の水性塗料類には、通常は、顔料は必要ない。
【0070】
例えば、アルコキシル化トリスチリルフェノール類および/またはトリブチルフェノール類等のアルコキシ化化合物の特定のファミリーメンバーは、ラテックスバインダー類、ペイント類、圧力感度の高い接着剤類を含むがこれに限定されない接着剤類、膠類、樹脂類、シーラント類、UVインク類を含むがこれに限定されないインク類、従来のインク類、ハイブリッドインク類、および、ウオーターベースインク類の開放時間およびウェットエッジを改良するための数多くの方法に用いられ得る。本発明では、(i)ラテックスコモノマーを形成する、重合可能な反応性アルコキシ化モノマー類、(ii)ラテックスポリマー形成時に存在する、界面活性剤(乳化剤)としての表面活性アルコキシ化化合物、および/または(iii)ラテックスポリマーまたはコポリマーの水性分散液への添加剤としての表面活性アルコキシ化化合物のうちの1つまたはそれらの任意の組み合わせを使用してよい。
【0071】
(重合可能な反応性トリスチリルフェノールエトキシレート類)
【0072】
1つの実施形態では、以下の式IAの、重合可能な反応性アルコキシル化(第2)モノマーを(第1モノマーと)共重合して、ラテックスポリマー骨格にすることができる。
【化21】

【0073】
式中、Bは、例えばシクロヘキシル環、または、ベンゼン環等の六員環を有する単環芳香族炭化水素等、五員または六員のシクロアルキル環である。
【0074】
R1、R2およびR3は、以下から独立して選択される;
【0075】
−C18アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル、−H、ブチル、tert−ブチル、イソブチル、
【化22】

【化23】

【化24】

または
【化25】

【0076】
ただし、R、RおよびRは−Hではない。
【0077】
式中、Xは、C、C、またはC、あるいはXは2〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキレンラジカルから選択される二価の炭化水素ラジカルであり;nは、1〜100の整数であり、例えば約4〜80または8〜60であり;式中、Rはエチレン性不飽和基である。一実施形態において、nは4〜80の整数である。一実施形態において、nは4〜60の整数である。一実施形態において、nは10〜60の整数である。一実施形態において、nは10〜50の整数である。
【0078】
一般に、Rは、アクリル酸塩またはC−Cアルキルアクリル酸塩であり、例えばメタクリル酸塩、アリル、ビニル、マレイン酸塩、イタコン酸塩またはフマル酸塩であり、一般に、Rは、アクリル酸塩またはメタクリル酸塩である。
【0079】
好適な重合可能な官能基Rとしては、例えば、アクリロ基、メタクリロ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ジアリルアミノ基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、α−アルケニル基、マレイミド基、スチレニル基およびα−アルキルスチレニル基が含まれる。
【0080】
例えば、好適な重合可能な官能基Rは、化学式:RCH = C(R)COO−で表され、式中RがHであれば、RはH、C〜Cアルキル、または‐CHCOOXであり; Rが-C(O)OXである場合、RはHまたは‐CHC(O)OXであり; RがCHである場合、RはでありXはHまたはC−Cアルキルである。
【0081】
例えば、他の好適な重合可能な官能基Rは化学式:‐HC = CYZまたは‐OCH = CYZで表され、式中、YはH、CH、またはClであり;ZはCN、Cl
− COOR‐C- COOR、または‐HC =
CHであり;Rは、C−CアルキルまたはC−Cヒドロキシアルキルであり; RはH、Cl、Br、またはC−Cアルキルである。
【0082】
通常、モノマーは、式IBで表される:
【化26】

【0083】
式中、R、R、R、R、Xおよびnは、化学式IAで定義したとおりである。所望により、化学式IBで示される芳香環は飽和していてもよい。例えば、そのような飽和モノマーは、HがR位にあり、R位のHを上記R基で置換したモノマーの飽和した形態であってもよい。
【0084】
一実施形態では、少なくとも一つのモノマーは化学式IB−1で表される第二のモノマーと共重合することが可能である。
【0085】
【化27】

【0086】
式中、Rは
【化28】

であり;
【0087】
、R、Rはそれぞれ独立に、H、分岐(C−Cアルキル)、分岐(C−C)アルケンまたはR−R−であり;
【0088】
は、アリールまたは(C−C)シクロアルキルであり、
【0089】
は、(C−C)アルキレンであり、
【0090】
は、二価の結合基、O、(C−C)アルキレン、
【化29】

または存在しない
【0091】
は、Hまたはメチルであり、
【0092】
は、OまたはNR10であり
【0093】
10はHまたは(C−C)アルキルであり; nは2〜4の整数であり、mは1〜100の整数である。
【0094】
一実施形態では、R、RおよびRはそれぞれ独立して選択される:
【0095】
−C18アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル、‐H、ブチル、tert−ブチル、イソブチル、
【化30】

【化31】

【化32】

または
【化33】

【0096】
一実施形態において、Rは、アクリル酸塩、C−Cアルキルアクリル酸塩、アリル、ビニル、マレイン酸塩、イタコン酸塩またはフマル酸塩であってもよい。一実施形態において、Rはアクリロ基、メタクリロ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ジアリルアミノ基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、α-アルケニル基、マレイミド基、スチレニル基、および/またはα-アルキルスチレニル基の少なくとも一つである。
【0097】
他の一つの実施形態では、第二のモノマーは、エトキシル化トリブチルフェノールである。他の一の態様において、モノマーは、エトキシル化トリスチリルフェノールである。重合可能な反応性エトキシル化トリスチリルフェノールは、下記の化学式ICで表され、重合可能な反応性エトキシル化トリブチルフェノールは、下記の化学式IC−1で表される:
【0098】
【化34】

【0099】
【化35】

【0100】
式中、nは1から100までの整数であり、例えば、4〜80または8〜25の整数であり;
【0101】
は、例えば、H基、C−Cヒドロキシアルキル基、C−Cアルキル基、例えばCHまたはC、である。
【0102】
このように、反応性の重合可能なエトキシル化トリスチリルフェノールモノマーは、トリスチリルフェノール部分、アルキレンオキシド部分および重合のための反応性の置換または無置換のアクリル末端基を有する。同様に、反応性の重合可能なエトキシル化トリブチルフェノールモノマーは、エトキシル化トリブチルフェノール部分、アルキレンオキシド部分と重合のための反応性の置換または無置換のアクリル末端基を有する。所望により、
化学式ICまたはIC−1で表されるエチレンオキサイド基は、それぞれ上述の‐(OX)−基で置換してアルコキシル化トリスチリルフェノールまたはトリブチルフェノールを形成してもよく、‐C(O)−CHRCH末端基はアリル、ビニル、マレイン酸塩、イタコン酸塩またはフマル酸塩で置換してもよい。
【0103】
トリスチリルフェノールエトキシレートは、他の用途のためのものであるが、米国特許第6146570号、公開のPCT特許出願番号WO
98/012921号およびPCT特許出願番号WO 98/045212号に開示されており、それらは参照により本明細書に組みこまれている。
【0104】
所望により、式ICのスチリル基の芳香環を飽和を飽和してもよい。
【0105】
IA、IB、ICおよび/またはIC−1の反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーを、ラテックスポリマーの主鎖に共重合する場合、ラテックスポリマーは、反応性トリスチリルフェノールまたはトリブチルフェノールのモノマーが、共重合体を形成するのに用いたこれらモノマーの100重量部あたり1〜20重量部である混合物、より典型的には、共重合体を形成するのに用いたこれらモノマーの100重量部あたり2〜15、2〜8、または2〜6重量部である。一実施態様において、式ICとIC−1で表される反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーの両方を用い、ラテックスポリマーの主鎖に共重合する。

他のモノマー
【0106】
重合可能なトリスチリルフェノールモノマーおよび/または重合可能なトリブチルフェノールモノマーに加えて、水性コーティング組成物、例えば、塗料、に使用される少なくとも1つのラテックスポリマーを一般的に誘導する他のモノマーがある。この説明の目的のために、ラテックスポリマーを誘導し得る他のモノマーをラテックスモノマーと称する。通常、これらの他のラテックスモノマーには、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのアクリルモノマーが含まれる。さらに、ラテックスポリマーを製造するための他のモノマーは、必要に応じて、スチレン、a−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ウレイドメタクリレート、酢酸ビニル、分枝鎖第3級モノカルボン酸(たとえば、ビニルエステルは、シェルケミカル社からVEOVAの名称で購入可能であり、またはエクソンモービルケミカル社よりEXXARネオビニルエステルとして販売されており)イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、およびエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーから選択し得る。また、C−C共役ジエン、例えば1,3
− ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンも挙げられる。通常、モノマーには、n-ブチルアクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレンおよび2
− エチルヘキシルアクリレートからなる群から選ばれる1種又は2種以上のモノマーが含まれる。通常、ラテックスポリマーは、純粋のポリアクリレート(主モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、および/またはメタクリル酸エステルを含む);スチレンアクリル(主モノマーとしてスチレンとアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、および/またはメタクリル酸エステルを含む);ビニルアクリル(主モノマーとして酢酸ビニルとアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、および/またはメタクリル酸エステル);およびアクリル化エチレン酢酸ビニル共重合体(主モノマーとしてエチレン、酢酸ビニルとアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、および/またはメタクリル酸エステルを含む)からなる群より選ばれる。モノマーには他の主モノマー、例えばアクリルアミドおよびアクリロニトリル、ならびに少なくとも1種の官能性モノマー、例えばイタコン酸およびウレイドメタクリレートが含まれることが当業者により容易に理解される。特に好ましい実施形態では、ラテックスポリマーは、例えばアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルを含むモノマーから誘導されるブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などの純粋なポリアクリレートである。
【0107】
一実施態様において、反応条件下で、式IA、IB、ICおよび/またはIC−1で表される反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーを用い、「他のモノマー」の項目で挙げたモノマーの1種と共重合してラテックスポリマーの主鎖とする。他の一つの実施形態では、反応条件下で、式IA、IB、ICおよび/またはIC−1で表される反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーを用い、「他のモノマー」の項目で挙げたモノマーの2種以上と共重合してラテックスポリマーの主鎖とする。他の一つの実施形態では、反応条件下で、式IA、IB、ICおよび/またはIC−1で表される少なくとも1種の反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーを用い、「他のモノマー」の項目で挙げたモノマーの1種以上と共重合してラテックスポリマーの主鎖とする。
【0108】
ラテックスポリマー分散液は、通常、約30〜約75%の固形分を含み、平均ラテックス粒径は約70〜約650nmである。他の一つの実施形態において、本発明のポリマーは、平均粒系が約400nm未満であり、典型的には平均粒系は約200nm未満であり、さらに典型的には平均粒系は約190nmであり、最も典型的には平均粒系は約175nm未満である。他の一つの実施形態において、ポリマーの平均粒径は、約75nmから約400nmである。
【0109】
ラテックスポリマーは、典型的には水性コーティング組成物中に約5〜約60重量%であり、より典型的には約8〜約40重量%である(すなわち、重量%は塗料組成物の総重量に対する乾燥ラテックスポリマーである)。
【0110】
上記のように、本発明のポリマーを含む得られた水性塗料組成物は、オープンタイム添加剤を追加することなく、または少量の溶媒を加えることなく、開放時間特性が向上している。したがって、本発明による水性塗料組成物は従来の塗料組成物よりもVOCレベルが低いのでより環境に望ましい。
【0111】
他の一つの実施形態では、得られたラテックスポリマーは、後述するように、本発明の乳化界面活性剤および/または本発明の開放時間用添加剤と共に、水性コーティング組成物に組み込むことができる。開放時間用添加剤の添加は、水性塗料組成物のVOCレベルにほとんど、あるいはまったく影響がないので、従来の水性塗料組成物よりもVOCレベルが低い水性塗料組成物を製造することができる。このような態様では、ラテックスコーティング組成物は本願明細書に記載の開放時間用添加剤をポリマーに対し約1.3重量%を超えて含む。他の一つの実施形態では、ラテックスコーティング組成物は、本願明細書に記載の開放時間用添加剤をポリマーに対し約1.6重量%を超えて含む。他の一つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は、本願明細書に記載の開放時間用添加剤をポリマーに対し約2重量%を超えて含む。他の一つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は、本願明細書に記載の開放時間用添加剤をポリマーに対し約4重量%を超えて含む。他の一つの実施形態では、ララテックス塗料組成物は、本願明細書に記載の開放時間用添加剤をポリマーに対し約7.5重量%を超えて含む。他の一つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は、本願明細書に記載の開放時間用添加剤をポリマーに対し約8重量%を超えて含む。他の一つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は開放時間用添加剤をポリマーに対し約1.6〜7.5重量%含む。他の一つの実施形態では、ラテックス塗料組成物は開放時間用添加剤をポリマーに対し約1.6〜45重量%、典型的にはポリマーに対し約1.6〜35重量%含む。
【0112】
さらなる実施形態において、本発明のポリマーは、改善された開放時間特性によって特徴づけられ、Tgは約‐20〜約12℃であり、平均粒径は約200nm未満であり、またはTgは約‐10〜約10℃であり、平均粒径は約200nm未満であり、またはTgは約‐10〜約0℃であり、平均粒径は約200nm未満であり、またはTgは約‐20〜約12℃であり、平均粒径は約190nm未満であり、またはTgは約‐10〜約10℃であり、平均粒径は約190nm未満であり、またはTgは約‐10〜約0℃であり、平均粒径は約190nm未満であり、またはTgは約‐20〜約12℃であり、平均粒径は約175nm未満であり、またはTgは約‐10〜約10℃°Cであり、平均粒径は約175nm未満であり、またはTgは約‐10〜約0℃であり、平均粒径は約175nm未満である。
【0113】
式IA、IB、またはICで表される反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーを含むラテックスポリマーは、水性塗料組成物に、重合可能のまたは重合不可能の、イオン性または非イオン性の界面活性剤と組み合わせて用い得る。特に、ポリマーラテックス結合剤は、少なくとも一つの開始剤および式IA、IB、ICまたはIC−1で表される少なくとも1つの反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーの存在下、ラテックス結合剤の形成に用いられるモノマーを反応器に供給し、モノマーを重合することでラテックス結合剤を製造する乳化重合を用いて調製することができる。反応器に供給してポリマーラテックス結合剤を調製するモノマーには、通常、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのアクリルモノマーが含まれる。さらに、モノマーには、スチレン、酢酸ビニル、またはエチレンが含まれる。モノマーにはまた、スチレン、[α] - メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ウレイドメタクリレート、酢酸ビニル、分岐した第三級モノカルボン酸のビニルエステル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、およびエチレンからなる群から選ばれる1種または2種以上のモノマーが含まれる。また、C−C共役ジエン、例えば、1,3
− ブタジエン、イソプレンまたはクロロプレンなども含まれる。通常、モノマーには、n−ブチルアクリレート、メタクリル酸メチル、スチレンおよび2 − エチルヘキシルアクリレートからなる群から選ばれる1種又は2種以上のモノマーが含まれる。開始剤は、例えばアンモニウムまたは過硫酸カリウムなどの乳化重合で使用される開始剤、あるいは一般的に酸化剤と還元剤を含むレドックス系で使用される開始剤といった当該分野で知られているいかなる開始剤でもよい。一般的に使用されるレドックス開始系は、例えば、A. S. Saracにより、高分子科学の進歩、24(1999)、pp.1149〜1204に記載される。
【0114】
ポリマーラテックス結合剤は、初めに開始剤および水を含む開始溶液を調製することによって製造し得る。ラテックスポリマーの形成に用いられるモノマーの少なくとも一部、1種以上の界面活性剤(乳化剤)、水および更なる添加剤、例えば水酸化ナトリウムを含むモノマープレエマルジョンを調製する。モノマープレエマルジョン中の1種以上の界面活性剤には、いかなる本発明の反応性の重合可能なアルコキシル化モノマーも含まれる。開始溶液およびモノマープレエマルジョンは、その後所定の時間(例えば1.5〜5時間)を超えて連続して反応器に加え、モノマーを重合させることでラテックスポリマーを製造する。通常は、モノマープレエマルジョンを加える前に開始溶液の少なくとも一部を反応器に加える。開始溶液およびモノマープレエマルジョンを加える前に、シードラテックス、例えばポリスチレンシードラテックスを反応器に加えてもよい。さらに、水、1種以上の界面活性剤およびモノマープレエマルジョンに提供されていないいかなるモノマーを、開始剤およびモノマープレエマルジョンを加える前に反応器に加えてもよい。反応器は、すべてのモノマーが供給され、ポリマーラテックス結合剤が製造されるまでは少なくとも、高温で運転される。一度ポリマーラテックス結合剤が調製されると、一般的に化学的に除かれることで残留モノマー含有量が減少する。一般的に、過酸化物(例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド)などの酸化剤および還元剤(例えば、ナトリウム−重亜硫酸アセトン)、あるいは他の酸化還元対、例えばA. S. Saracにより、高分子科学の進歩、24(1999)、pp.1149〜1204に記載されるもの、をラテックス結合剤に高温で所定の時間(例えば0.5時間)連続的に加えることで化学的に除かれる。その後ラテックス結合剤のpHが調整され、化学的除去工程後に殺生剤または他の添加剤が加えられる。
【0115】
水性コーティング組成物は安定した液体であり、種々の材料、例えば、紙、木材、コンクリート、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、石膏および屋根基板(例えば、アスファルトコーティング、屋根用フェルト、発砲ポリウレタン断熱材);またはすでに塗布、刺激、下塗り、磨滅または風化した基板に適用可能である。本発明の水性塗料組成物は、当該分野で知られる種々の手法、例えば、ブラシ、ローラー、モップ、エアアシストスプレーまたはエアレススプレー、静電スプレー等で材料に適用可能である。
【0116】
表面活性(乳化剤)化合物を含有するラテックスポリマー組成物
【0117】
他の一つの実施形態では、構造式IIAで表される表面活性化合物を、ラテックスポリマーを作製するために用いられる乳化重合反応中に乳化剤として使用し得る。
【0118】
【化36】

【0119】
式中、Bはシクロアルキル環は、例えば、5員または6員のシクロアルキル環、例えばシクロヘキシル環、あるいは6員環、例えばベンゼン環、を有する単環芳香族炭化水素であり;
【0120】
、RおよびRは独立してから選択され:
【0121】
−C18アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル、‐H、tert−ブチル、ブチル、
【化37】

【化38】

【化39】

または
【化40】

【0122】
ただし、R、RおよびRは−Hではない。
【0123】
式中、Xは、C、CおよびCからなる群の少なくとも1種であるか、または式中、Xは2〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキレンラジカルから選択される二価の炭化水素ラジカルであり;nは1〜100であり、例えば、3〜80、4〜60、4〜60または8〜50であり;
【0124】
式中、Rは、‐OH、‐OCH、‐OC
‐ OC、 ‐ OC、−OC11、‐OC13、‐Cl、‐Br、‐CN、ホスホン酸塩(‐PO)、リン酸塩(PO)、硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)、カルボン酸塩(COO)、非イオン性基、C−C12アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル、あるいは第四級アンモニウムイオンであり、式中、MはH、Na、NH、KまたはLiを含むカチオンであるがこれらに限定されない。
【0125】
1つの態様では、Rは、第四級アンモニウムイオンから選択される:
【化41】

【0126】
1つの実施形態において、nは4〜80の整数である。一実施形態において、nは4〜60の整数である。一実施形態では、nは4〜50の整数である。一実施形態において、nは8〜50の整数である。
【0127】
一般的にアルコキシル化表面活性化合物は、式IIBで表される:
【0128】
【化42】

【0129】
ここで、R、R、R、R、X及びnは、組成式IIAの構造について限定された通りである。所望ならば、構造式IIBに示された芳香環を飽和させる。
【0130】
より典型的には、表面活性アルコキシル化トリスチリルフェノール、例えばエトキシル化トリスチリルフェノールまたは表面活性アルコキシル化トリブチルフェノール、例えばエトキシル化トリブチルフェノールを、ラテックスポリマーを作るため用いられる乳濁液重合反応中の乳化剤として使用できる。表面活性エトキシル化トリスチリルフェノールは構造式IICを有し、表面活性エトキシル化トリブチルフェノールは構造式IIC−1をそれぞれ以下のように有する:
【0131】
【化43】

【0132】
【化44】

【0133】
ここで、nは1〜100の整数であり、例として4〜60または8〜25であり、Rは−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO
硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)カルボン酸塩(COO)、非イオン性基、C〜C12アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基または4級アンモニウムイオンであり、Mは陽イオンであり、H、Na、NH、K、Liまたは−NRを含むがこの限りではない。
【0134】
一実施形態では、Rは4級アンモニウムイオンから選択される:
【化45】

【0135】
一実施形態では、nは4〜80の整数である。一実施形態では、nは4〜60の整数である。一実施形態では、nは10〜50の整数である。一実施形態では、nは10〜25の整数である。
【0136】
表面活性エトキシル化トリスチリルフェノールまたはエトキシル化トリブチルフェノールを、ラテックスポリマーを形成するための乳濁液重合における乳化剤として用いる場合、ラテックスポリマーは、表面活性乳化剤が用いられた混合物から作られる。一実施形態では、乳化剤はラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの1.3重量%より多い量、ラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの1.6重量%より多い量、典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約2重量%より多い量、より典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約4重量%より多い量及び最も典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約7.5重量により%多い量で加えられる。別の実施形態では、ラテックス塗料組成物はラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約8重量%より多い量またはポリマーまたはモノマーの約10重量%より多い量の乳化剤を含む。別の実施形態では、加えられる乳化剤はラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約1.6〜7.5重量%%である。別の実施形態では、加えられる乳化剤はラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約1.6〜45重量%、典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約1.6〜35重量%である。
【0137】
所望ならば、組成式IICまたはIIC−1のエチレンオキシド鎖のエチレンオキシド繰り返し単位は、アルコキシル化トリスチリルフェノールまたはアルコキシル化トリブチルフェノールを形成するため上述の−(OX)−基に置換される。
【0138】
少なくとも1種のラテックスポリマー(本明細書で第1モノマーまたは第3モノマーと呼ばれる場合もある)を形成する通常のモノマーは“他のモノマー”というタイトルの項で上述されている。
【0139】
上述のように、ポリマーラテックス結合剤は、まず開始剤及び水から成る開始剤溶液を調製することにより生産される。ラテックスポリマーを形成するために用いられるモノマーの少なくとも1部分、1種以上の界面活性剤(乳化剤)、水及びNaOHのような付加的添加剤から成る前−乳濁液も調製される。モノマー前−乳濁液中の1種以上の界面活性剤は本発明の表面活性アルコキシル化化合物を含む。そのため、アルコキシル化化合物は、ポリマーラテックス結合剤を形成する他のモノマーと共重合する反応物としてよりも、混合物を形成するための乳化剤として用いられる。その後、開始剤溶液及びモノマー前−乳濁液が予め決定された時間(例えば1.5〜5時間)に渡って反応器に連続的に加えられることにより、モノマーが重合しラテックスポリマーを生産する。通常、モノマー前−乳濁液を加える前に開始剤溶液の少なくとも1部分が反応器に加えられる。開始剤溶液及びモノマー前−乳濁液の添加前に、ポリスチレン種ラテックスのような種ラテックスを反応器に加えることができる。更に、開始剤を加えてモノマー前−乳濁液を加える前に、水、1種以上の界面活性剤及びモノマー前−乳濁液中に含まれないモノマーを反応器に加えることができる。ポリマーラテックス結合剤を生産するため少なくとも全てのモノマーを供給するまで、反応器は高温で稼働される。一旦ポリマーラテックス結合剤が調製されると、通常、化学的に除去され、残留モノマー含量を減少させる。通常、過酸化物(例えばt−ブチルヒドロペルオキシド)のようなオキシダント及び還元剤(例えばアセトン重亜硫酸ナトリウム)またはProgress in Polymer Science 24(1999)、1149−1204にA.S.Saracが述べているような別のレドックス対を、高温で予め決定された時間(例えば0.5時間)に渡ってラテックス結合剤に連続的に加えることにより化学的に除去される。その後ラテックス結合剤のpHを調節し、化学的除去手順後に殺生物剤または他の添加剤を加える。
【0140】
表面活性アルコキシル化化合物界面活性剤(乳化剤)を乳濁液重合反応混合物に組み込むことにより、水性被膜組成物の開放時間を約4分より長い、典型的には約6分より長い、より典型的には約8分より長い期間まで延長するまたは長くし、塗料組成物のVOC含量が低くなる。
【0141】
添加剤
【0142】
別の実施形態では、構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の上述の表面活性アルコキシル化化合物(オープンタイム添加剤またはウェットエッジ添加剤と呼ばれる場合もある)を、建築または工業用塗料を含むがこの限りではない皮膜;感圧接着剤を含むがこの限りではない接着剤;にかわ;樹脂;シーラント;UVインク、通常のインク、混成インク及び水に基づくインクを含むがこの限りではないインクに開放時間用添加剤として用いることができる。1つの特別な実施形態では、構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の上述の表面活性アルコキシル化化合物を、すでに形成されたラテックスポリマーの水性分散体にオープンタイム添加剤として用いることができる。オープンタイム添加剤は組成物生産中のどの時点でも加えられることが理解され、乳化手順中、調剤中等を含むがこの限りではない。開放時間用添加剤を、建築用または工業用塗料を含むがこの限りではない皮膜;感圧接着剤を含むがこの限りではない接着剤;にかわ;樹脂;シーラント;UVインク、通常のインク、混成インク及び水に基づくインクを含むがこの限りではないインクに後で加えることもできることが理解され、その濃縮物についても同様である。
【0143】
更に別の実施形態では、構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の上述の表面活性アルコキシル化化合物(乾燥時間添加剤と呼ばれる場合がある)を、建築用または工業用塗料を含むがこの限りではない皮膜;感圧接着剤を含むがこの限りではない接着剤;にかわ;樹脂;シーラント;UVインク、通常のインク、混成インク及び水に基づくインクを含むがこの限りではないインクに乾燥時間添加剤として使用できる。1つの特別な実施形態では、構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の上述の表面活性アルコキシル化化合物をすでに形成されたラテックスポリマーの水性分散体に乾燥時間添加剤として用いることができる。乾燥時間添加剤は組成物生産中のどの時点でも加えられることが理解され、乳化手順中、調剤中等を含むがこの限りではない。乾燥時間添加剤を、建築用または工業用塗料を含むがこの限りではない皮膜;感圧接着剤を含むがこの限りではない接着剤;にかわ;樹脂;シーラント;UVインク、通常のインク、混成インク及び水に基づくインクを含むがこの限りではないインクに後で加えることもできることが理解され、その濃縮物についても同様である。
【0144】
一実施形態では、これは表面活性アルコキシル化化合物から成る水性組成物となる。表面活性アルコキシル化化合物をすでに形成された水性ラテックス分散体に添加剤として用いると、得られる組成物はラテックスポリマーを形成するために使用されるモノマー重量に基づいて100重量部につき約1〜10重量部、典型的には2〜8または2〜6重量部量のアルコキシル化化合物を含む。
【0145】
ラテックスポリマーを形成する通常のモノマーは、“他のモノマー”というタイトルの項で上述されており、上述の通り本発明の反応性モノマーと共重合できる。
【0146】
一実施形態では、開放時間及び/または乾燥時間用添加剤は各々が構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の2種以上の表面活性アルコキシル化化合物の混合物から成る。別の実施形態では、開放時間及び/または乾燥時間用添加剤は以下の混合物から成る。
【0147】
(i)下記構造式を有する少なくとも1種の非イオン性界面活性剤
【0148】
【化46】

【0149】
または
【0150】
【化47】

【0151】
ここで、nは1〜100の整数、RはC〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、オキシアルキル基、−Cl、−Br、−CN、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11及び−OC13から成る群から選択される;
【0152】
及び
【0153】
(ii)下記構造式を有する少なくとも1種の陰イオン界面活性剤
【0154】
【化48】

【0155】
または
【0156】
【化49】

【0157】
ここで、nは1〜100の整数、Rはアルキルホスホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、4級アンモニウムイオン及びこれらの塩から成る群から選択される。
【0158】
本発明は更に、ラテックス結合剤組成物を調製する方法を含み、上述に述べた構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の1種以上の表面活性アルコキシル化化合物界面活性剤(または複数の界面活性剤)(乳化剤または複数の乳化剤)をラテックスポリマーの水性分散体に加えてラテックス結合剤を生産することから成る。その後水性皮膜組成物を生産するため、適切な順で少なくとも1種の顔料及び他の添加剤を得られたラテックス結合剤と混合できる。構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の表面活性アルコキシル化化合物をラテックスポリマーに加えて低VOC含量を有する混合物を形成する。
【0159】
別の実施形態では、本発明は、塗料または水性被膜組成物を形成する間に構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の上述の表面活性化合物の1種または混合物を加えて、(1)開放時間を増やす、(2)乾燥時間を減らすまたは(3)開放時間を増やしかつ乾燥時間を減らす方法である。調剤は、塗料または被膜のような採集生成物にするため添加剤が塩基性水性ラテックスポリマー分散体に加えられる段階である。
【0160】
別の実施形態では、本発明は、低VOC皮膜組成物の開放時間を増やす方法であり、有効量の開放時間用添加剤を組成物に加えることから成り、開放時間用添加剤は以下の混合物である。
【0161】
(i)下記構造式を有する少なくとも1種の界面活性剤
【0162】
【化50】

【0163】
または
【0164】
【化51】

【0165】
ここで、nは1〜100の整数、RはC〜C12アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、オキシアルキル基、−Cl、−Br、−CN、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11及び−OC13から成る群から選択される;及び
【0166】
(ii)下記構造式を有する少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤
【0167】
【化52】

【0168】
または
【0169】
【化53】

【0170】
ここで、nは1〜100の整数、Rはアルキルホスホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、4級アンモニウムイオン及びこれらの塩から成る群から選択される。
【0171】
更なる実施形態では、本発明は、低VOC皮膜組成物の乾燥時間を短くする方法であり、有効量の構造式IIA、IIB、IICまたはIIC−1の乾燥時間添加剤を組成物に加えることから成る。更に別の実施形態では、本発明は、低VOC皮膜組成物の乾燥時間を短くする方法であり、有効量の乾燥時間添加剤を組成物に加えることから成り、乾燥時間添加剤はこれらの混合物である:
【0172】
(i)この構造式を有する少なくとも1種の非イオン性界面活性剤:
【化54】

【0173】
または
【0174】
【化55】

【0175】
ここで、nは1〜100の整数、RはC〜C12アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、オキシアルキル基、−Cl、−Br、−CN、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11及び−OC13から成る群から選択される;
【0176】
(ii)この構造式を有する少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤:
【0177】
【化56】

【0178】
または
【0179】
【化57】

【0180】
ここで、nは1〜100の整数、Rはアルキルホスホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、4級アンモニウムイオン及びこれらの塩から成る群から選択される。
【0181】
表面活性アルコキシル化化合物を添加剤としてすでに形成された塗料または水性塗料組成物、例えば水性ラテックス塗料分散体に用いる場合、得られる組成物は、典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約1.3重量%を超える量、より典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約1.6重量%を超える量、もっとより典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマー重量に基づいて約2%を超える量、更により典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約4重量%を超える量、最も典型的にはラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約7.5重量%を超える量のアルコキシル化化合物添加剤を有する。別の実施形態では、ラテックス塗料組成物はラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約1.6〜約7.5重量%の量の表面活性アルコキシル化化合物を含む。別の実施形態では、ラテックス塗料組成物はラテックスポリマーを形成するために使用されるポリマーまたはモノマーの約1.6〜約45重量%の量、典型的には約1.6%〜35%の量の表面活性アルコキシル化化合物を含む。顔料は通常の添加剤であり、例として、原料の水性ラテックスポリマー分散体から塗料を形成する間に加えられる。
【0182】
本発明の水性皮膜組成物は改善された開放時間特性を有し、開放時間用添加剤は上述の通りのポリマー重量に基づく量で水性塗料組成物中に存在し、ポリマーは約−20℃〜約12℃のTg及び約200nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−10℃〜約10℃のTg及び約200nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−10℃〜約0℃のTg及び約200nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−20℃〜約12℃のTg及び約190nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−10℃〜約10℃のTg及び約190nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−10℃〜約0℃のTg及び約190nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−20℃〜約12℃のTg及び約175nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−10℃〜約10℃のTg及び約175nm未満の平均粒子サイズを有する、または約−10℃〜約0℃のTg及び約175nm未満の平均粒子サイズを有する。上述のように、平均粒子サイズは通常約75nm〜約400nmである。本発明の水性塗料組成物は、一実施形態で約4分より長いオープンタイムを有し、別の実施形態で約6分より長い開放時間を有し、別の実施形態で約8分より長い開放時間を有し、もっと別の実施形態で約10分より長い開放時間を有し、更なる実施形態で約12分より長い開放時間を有し、及び/またはもっと更なる実施形態で約14分より長い開放時間を有する。
【0183】
本発明は更に、塗料または水性塗料組成物を調製する方法を含み、少なくとも1種の顔料及び他の添加剤から成る塗料または水性塗料組成物を調剤中に、上述の構造式IIA、IIB、IIC及び/またはIIC−1の少なくとも1種の表面活性アルコキシル化化合物を加え、最終塗料または水性塗料組成物を生産することから成る。塗料または水性塗料組成物を調剤中に表面活性アルコキシル化化合物界面活性剤(乳化剤)を加えることで、VOC含量の低い塗料組成物を形成し、改善された開放時間特性は水性塗料組成物に伝えられる。
【0184】
他の添加剤
【0185】
本発明の水性塗料組成物は少なくとも1種のモノマーに由来する少なくとも1種のラテックスポリマー、例としてアクリルモノマー及び/または他の上述のラテックスモノマーを含む。本発明の水性塗料組成物は、水性塗料組成物全重量の2重量%未満及び典型的には1.0重量%未満の不凍剤を含む。より典型的には、水性塗料組成物は不凍剤を実質的に含まない。
【0186】
水性塗料組成物は通常、少なくとも1種の顔料を含む。本明細書で使用される“含量”という用語は、顔料、増量剤及び充填剤のような非フィルム形成固体を含む。少なくとも1種の顔料は通常、TiO(アナターゼ型及びルチル型の両方)、粘土(ケイ酸アルミニウム)、CaCO(粉及び沈殿型の両方)、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、タルク(ケイ酸マグネシウム)、バライト(硫酸バリウム)、酸化亜鉛、亜硫酸亜鉛、酸化ナトリウム、酸化カリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される。適した混合物は、MINEX(Unimin Specialty Mineralsから市販されるケイ素、アルミニウム、ナトリウム及びカリウムの酸化物)、CELITES(Celite Companyから市販される酸化アルミニウム及び酸化ケイ素)、ATOMITES(English China Clay Internationalから市販される)及びATTAGELS(Engelhardから市販される)の商標で販売されるような金属酸化物の混合物を含む。更に典型的には、少なくとも1種の顔料はTiO、CaCOまたは粘土を含む。一般に顔料の平均粒子サイズは約0.01〜約50ミクロンの範囲に渡る。例として、水性塗料組成物に使用されるTiO粒子は通常約0.15〜約0.40ミクロンの平均粒子サイズを有する。顔料は粉としてまたはスラリー形態で水性塗料組成物に加えられる。顔料は通常、重量で約5〜約50%、より典型的には重量で約10〜約40%の量で水性塗料組成物中に存在する。
【0187】
塗料組成物は任意選択で1種以上のフィルム形成補助剤または合着剤のような添加剤を含む。適したフィルム形成補助剤または合着剤は、高沸点極性溶媒のような可塑剤及び乾燥抑制剤を含む。例として分散剤、付加的界面活性剤(例えば湿潤剤)、レオロジー調整剤、泡消し剤、増粘剤、殺生物剤、防かび剤、染色された顔料及び染料のような着色料、ワックス、香料、共溶媒等のような他の従来の被膜添加剤も本発明に従って使用できる。例として、非イオン性及び/またはイオン性(例えば陰イオン性または陽イオン性)界面活性剤を、ポリマーラテックスを生産するために使用できる。これらの添加剤は通常、塗料組成物の全重量に基づいて重量で約0〜約15%、より典型的には約1〜約10%の量で水性塗料組成物中に存在する。
【0188】
上述のように、ある実施形態の水性塗料組成物は水性塗料組成物の全重量に基づいて2.0%未満のVOC剤を含む。具体例としての試剤はエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール(1,2,3−トリヒドロキシプロパン)、エタノール、メタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及びFTS−365(Inovachem Specialty Chemicalsの凍結−解凍安定剤)を含む。より典型的には、水性塗料組成物は1.0%未満の不凍剤を含むまたは実質的に含まない(例えば0.1%未満)。従って、本発明の水性塗料組成物のVOC値は通常、約100g/L未満、より典型的には約50g/L未満またはこれと等しい。
【0189】
本発明の水性塗料組成物は、ASTM法D2243−82またはASTMD2243−95を使用して凝固することなく凍結−解凍循環に用いられる。
【0190】
本発明の水性塗料組成物の釣り合いをとるものは水である。多量の水がポリマーラテックス分散体中及び水性塗料組成物の他の成分中に存在するが、水は一般に別々に水性塗料組成物にも加えられる。通常、水性塗料組成物は重量で約10%〜約85%、より典型的には約35%〜約80%の水を含む。別の言い方をすれば、水性塗料組成物の全固体含量は通常、約15%〜約90%、より典型的には約20%〜約65%である。
【0191】
塗料組成物は通常、乾燥皮膜が体積で少なくとも10%の乾燥ポリマー及び体積で5〜90%の顔料形態の非ポリマー固体から成るように調剤される。乾燥被膜はまた可塑剤、分散剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、泡消し剤、増粘剤、殺生物剤、防かび剤、着色料、ワックス等のような添加剤も含み、これらは塗料組成物の乾燥時に蒸発しない。
【0192】
本発明の好ましい一実施形態では、水性塗料組成物は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから成る群から選択された少なくとも1種のアクリルモノマーに由来する少なくとも1種のラテックスポリマー及び少なくとも1種の重合可能なアルコキシル化界面活性剤から成るラテックス塗料組成物である。上述のように、少なくとも1種のラテックスポリマーは純粋なアクリル、スチレンアクリル、ビニルアクリルまたはアクリル化エチレン酢酸ビニルコポリマーである。
【0193】
本発明は更に、上述の少なくとも1種のトリスチリルフェノールと共重合及び/または混合された少なくとも1種のモノマー由来の少なくとも1種のラテックスポリマーと少なくとも1種の顔料を混合することにより水性塗料組成物を調製する方法を含む。通常、ラテックスポリマーはラテックスポリマー分散体の形態である。上で論じた添加剤を、適した順でラテックスポリマー、顔料に、またはこれらの組み合わせに加え、水性塗料組成物中に添加剤を与える。塗料調剤の場合、水性塗料組成物のpHは通常7〜10である。
【0194】
図1について、グラフはマルチスペックル拡散波分光法(MS−DWS)を用いたラテックス試料の開放時間測定を示す。MS−DWSグラフは乾燥時間特性も例証する。MS−DWSはHorusTM(登録商標)方法を適用し、これは試料内部の散乱体運動の光学測定であり、作用時間特性をより正確に測定できる。特に、レーザー光は皮膜試料を照射する。試料が散乱物質(例えばラテックス粒子)を含む場合、光子はバルクと異なる屈折率を有する物体により散乱される。散乱光は、“スペックル”画像と呼ばれる画像を捕捉するカメラにより検出される。試料が時間に依存する振る舞いをする場合、この振る舞いにより、スペックル画像上で後方散乱光の一時的変動及び光強度の変化が生じる。言い換えると、スペックル点の一時的変動である。そのため、直接の関係は試料内部の散乱体(つまりラテックスのような光散乱粒子)の運動とスペックル画像上の強度の変動間にある。
試料内部の早い動きにより、後方散乱光の早い変化及びスペックル点の早い強度変動が生じる。逆に遅い動き(散乱体の遅い運動)は後方散乱高の遅い変化及びスペックル点の遅い強度変動を引き起こす。用いられるMS−DWSはFormulaction、Wynnewood、PAに属する。
【0195】
図1に示すように、グラフは3段階の試料プロファイルを示す:段階1、つまり蒸発段階では、溶媒が蒸発し散乱体の動きが早くなり、媒体濃度が増すにつれ散乱体の早い動きがゆっくり減少する;段階2、つまり充填段階では、散乱体が接触するようになり加速及び減速し、互いに衝突して充填される;段階3、粒子変形または乾燥相では相互拡散/合着/自己粘着が起こる。
【0196】
段階1の終点であるT1は通常、開放時間(塗料がまだ作用可能な時間)に相当し、より高いT1時間はより長い開放時間に相関する。(本発明の)添加剤を含まないラテックス試料のT1時間は7.85秒であり、2%添加剤及び4%添加剤を含むラテックス試料のT1時間はそれぞれ11.0秒及び21.5秒である。そのため、添加材料が増加することは開放時間が増すことに相関し、塗料及び皮膜調剤において望ましいことである。
【0197】
段階3の始点(または段階2の終点)では、流動因子が急に減少しており、試料内部の散乱体の平均運動速度が激しく低下し、試料が乾燥相中にあることを示す。図1に示すように、段階3の始点は約20分で及び約20分後に生じ、流動因子線の鋭いカーブにより示される。通常、段階3の始点(T2)は乾燥時間と相関し、T2時間が短いとT2時間が長い場合より試料の乾燥が早くなる。図1に見られるように、4%添加剤を含むラテックス試料のT2時間は約20分であり、2%添加剤を含むラテックス試料のT2時間は約23分であり、添加剤を含まないラテックス試料のT2時間は約24分である。そのため、添加材料が増加することは乾燥時間が短くなることに相関し、塗料及び皮膜調剤において望ましいことである。本発明の添加剤(または複数の添加剤)を使用することにより、オープンタイムが長くなり、乾燥時間が長くなることは期待できない。
【0198】
本発明は更に以下の実施形態により述べられるがこの限りではない。上述のように、本発明は、(I)ラテックスポリマー形成中に存在する界面活性剤(乳化剤)としての表面活性アルコキシル化化合物、(II)ラテックスコポリマーを形成するための重合可能な反応性アルコキシル化モノマー及び/または(III)ラテックスポリマーまたはコポリマーの水性分散体への添加剤として表面活性アルコキシル化化合物を用いる。
【0199】
実施例
【0200】
以下の実施例は、開放時間用添加剤の混合物を含めてラテックスポリマーまたはコポリマーの水性分散体への1種以上の開放時間用添加剤として使用される表面活性アルコキシル化化合物として本発明について述べる。
【0201】
実施例1〜2
【0202】
表1及び表2は、低VOC塗料の開放時間へのTSPエトキシラート非イオン性界面活性剤の影響及び低VOC塗料の開放時間へのTSPエトキシラート陰イオン性界面活性剤の影響をそれぞれ例証する。開放時間は一般に塗料を用いた後の間隔として理解され、その間は付加的に塗装された領域と混ぜることができる。開放時間は、刷毛使い及び操作の他の形跡が乾燥フィルム中に見えるようになる前の、新しく適用された塗料相が作用可能なままである時間量に当てはまる。開放時間を測定する方法は一般に以下のようである:10マイルのフィルムを1片の黒いブラシ試験紙上に引き出す。鉛筆の消しゴム末端を用い2インチ間隔で塗料フィルムに網状線をつける。1方向に15回、第1網状線に刷毛をかける;その後これを各連続する網状線ごとに2分間隔で繰り返す。24時間後、網状線の痕跡が認識できる最も早い回数について乾燥フィルムを検査する。これを一定湿度、温度下で行う。塗料調剤に関して開放時間は4分より長い、典型的には6分より長いことが望ましい。試薬量(非イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤の両方)は塗料256g当たり界面活性剤約2.5g〜約4.25gで変化した。
【0203】
【表1】

【0204】
【表2】

【0205】
表1及び2について、開放時間は、非イオン性TSP添加剤または陰イオン性TSP添加剤のどちらかを用いた場合に著しく増していることが観察される。
【0206】
実施例3
【0207】
実施例3では、開放時間の測定は実施例1〜2で用いられたものと同様である。陰イオン性TSPエトキシラート界面活性剤及び非イオン性TSPエトキシラート界面活性剤の混合物を市販のゼロ及び低VOC塗料に後で加えた。開放時間はASTM標準方法(WK13360)を用いて測定した。
【0208】
表3及び表4は(i)1種以上のTSPエトキシラート非イオン性界面活性剤と(ii)1種以上のTSPエトキシラート陰イオン性界面活性剤の混合物のゼロVOC塗料及び低VOC塗料の開放時間への影響をそれぞれ例証する。
【0209】
【表3】

【0210】
表3に示すように、混合物#1、#2、#3、#4及び#5は陰イオン性TSP界面活性剤及び非イオン性TSP界面活性剤と、約9〜約90個の範囲のエチレンオキシド(eo)群または単位を有する非イオン性界面活性剤との混合物を示す。
【0211】
【表4】

【0212】
表3と同様に表4は、陰イオン性TSP界面活性剤及び非イオン性TSP界面活性剤と約9〜約90の範囲のエチレンオキシド(eo)群または単位を有する非イオン性界面活性剤との混合物である#1、#2、#3、#4及び#5を示す。
【0213】
上述について、好ましい実施形態は本発明が実行可能であることを詳細に述べている。本発明はこれらの特別な好ましい実施形態に関して述べているが、もちろん本発明はこれらの好ましい実施形態に限定されない。しかしそれと反対に、本発明は以下の詳細な記述を考慮し明白になるように、多くの代案、修正及び同等な事柄を含む。本発明の上記を一読すれば、当業者がそこから変更及び多様化できることが理解される。これらの変更及び多様化は以下に添える請求項の趣旨及び範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のラテックスポリマー
(b)水、及び
(c)塗料組成物の開放時間を、約4分より長く増やすために有効な量で存在する少なくとも1種の開放時間用添加剤
を含む塗料組成物、
少なくとも1種のオープンタイム添加剤は構造式IIAを有し、
【化1】

ここで、R、R及びRは独立して、C〜C18アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、−H、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、
【化2】

【化3】

【化4】

及び
【化5】

から成る群から選択され;
Xは2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレンラジカル基を含む二価炭化水素ラジカルであり;nは1〜100の整数であり;Rは−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)カルボン酸塩(COO)、非イオン性基、C〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基及び4級アンモニウムイオンからなる群から選択され、Mは陽イオンである。
【請求項2】
前記塗料組成物が低またはゼロVOC塗料、接着剤、感圧接着剤、樹脂、シーラント、インク及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記開放時間用添加剤が前記組成物の約1重量%を超える量で存在する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記ポリマーのガラス転移点(Tg)温度が約−10℃〜約0℃である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記塗料組成物が約10分より長い開放時間により特徴づけられる、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記開放時間用添加剤が下記構造式を有する、請求項1に記載の塗料組成物:
【化6】

または
【化7】

ここで、nは1〜100の整数であり、Rは−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)カルボン酸塩(COO)、非イオン性基、C〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基及び4級アンモニウムイオンからなる群から選択され、Mは陽イオンである。
【請求項7】
(a)少なくとも1種のラテックスポリマー
(b)水、及び
(c)塗料組成物の開放時間を約4分より長く増やすために有効な量で存在する開放時間用添加剤
を含む塗料組成物;
ここで開放時間用添加剤は、以下の混合物であり、
(i)下記構造式を有する少なくとも1種の非イオン性界面活性剤
【化8】

または
【化9】

ここでnは1〜100の整数であり、RはC〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基、オキシアルキル基、−Cl、−Br、−CN、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11及び−OC13から成る群から選択される;及び
(ii)下記構造式を有する少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤
【化10】

または
【化11】

ここで、nは1〜100の整数であり、Rはアルキルホスホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、4級アンモニウムイオン及びこれらの塩から成る群から選択される。
【請求項8】
前記開放時間用添加剤が前記組成物の約1重量%を超える量で存在する、請求項7に記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記塗料組成物が約10分より長い開放時間により特徴づけられる、請求項7に記載の塗料組成物。
【請求項10】
低VOC塗料組成物に有効量の開放時間用添加剤を加えることを含む低VOC塗料組成物の開放時間を増加させる方法、ここで開放時間用添加剤は少なくとも1種の組成物を下記構造式に加えることを含み、
【化12】

ここで、R、R及びRは独立して、C〜C18アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、−H、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、
【化13】

【化14】

【化15】

及び
【化16】

ここで、Xは2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレンラジカル基から成る二価炭化水素ラジカルであり;nは1〜100の整数であり;RはC〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、アルキルホスホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、4級アンモニウムイオン及びこれらの塩から成る群から選択される。
【請求項11】
前記開放時間用添加剤が下記界面活性剤の混合物である、請求項10に記載の塗料組成物:
(i)下記構造式を有する少なくとも1種の非イオン性界面活性剤:
【化17】

または
【化18】

ここで、nは1〜100の整数、RはC〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基、オキシアルキル基、−Cl、−Br、−CN、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11及び−OC13から成る群から選択される;及び
(ii)下記構造式を有する少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤;
【化19】

または
【化20】

ここで、nは1〜100の整数であり、Rはアルキルホスホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、4級アンモニウムイオン及びこれらの塩から成る群から選択される。
【請求項12】
(a)少なくとも1種のラテックスポリマー;
(b)水、及び
(c)塗料組成物の乾燥時間を低減させるために有効な量で存在する少なくとも1種の乾燥時間添加剤
を含む低VOCまたはゼロVOCラテックス塗料組成物、前記乾燥時間添加剤は構造式IIAを有する:
【化21】

ここで、R、R及びRは独立して、C〜C18アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、−H、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、
【化22】

【化23】

【化24】

及び
【化25】

から成る群から選択され、ここで、Xは2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレンラジカル基から成る二価炭化水素ラジカルであり;nは1〜100の整数であり;Rは−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)カルボン酸塩(COO)、非イオン性基、C〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基及び4級アンモニウムイオンからなる群から選択され、Mは陽イオンである。
【請求項13】
前記乾燥時間用添加剤が下記構造式を有する、請求項12に記載の塗料組成物:
【化26】

または
【化27】

ここで、nは1〜100の整数であり、Rは−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)カルボン酸塩(COO)、非イオン性基、C〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基及び4級アンモニウムイオンからなる群から選択され、Mは陽イオンである。
【請求項14】
低VOCまたはゼロVOC塗料組成物に有効量の乾燥時間用添加剤を加えることを含む低VOCまたはゼロVOC塗料組成物の乾燥時間を減少させる方法、ここで乾燥時間用添加剤は下記構造式に従った少なくとも1種の化合物を含む:
【化28】

ここで、R、R及びRは独立して、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、
【化29】

【化30】

【化31】

及び
【化32】

ここで、Xは2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレンラジカル基から成る二価炭化水素ラジカルであり;nは1〜100の整数であり;RはC〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基、−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、アルキルホスホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、4級アンモニウムイオン及びこれらの塩から成る群から選択される。
【請求項15】
前記乾燥時間用添加剤が下記構造式を有する、請求項14に記載の方法:
【化33】

または
【化34】

ここで、nは1〜100の整数であり、Rは−OH、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−Cl、−Br、−CN、ホスホン酸塩(−PO)、リン酸塩(PO)硫酸塩(SO)、スルホン酸塩(SO)カルボン酸塩(COO)、非イオン性基、C〜C12アルキル基、C〜C12ヒドロキシアルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C〜C12アラルキル基及び4級アンモニウムイオンからなる群から選択され、Mは陽イオンである。

【図1】
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【公表番号】特表2013−513691(P2013−513691A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543079(P2012−543079)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/001085
【国際公開番号】WO2011/071510
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508079739)
【Fターム(参考)】