説明

ラテックス塗料用の殺生物剤、グラインドおよび分散相を含有するラテックス塗料の製造方法

水不溶性殺生物剤をラテックス塗料製品中に組入れる方法である。該方法は、殺生物剤を分散相に添加することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、水不溶性殺生物剤を水性ラテックス塗料中に組入れる方法、および該不溶性殺生物剤を含有する新規組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ラテックス塗料は、2ステッププロセスによって一般的に製造される水性系である。第1に、分散相(一般的にグラインド相(grind phase)という)を、乾燥塗料顔料を他のグラインド相成分(殆どの他の固体粉末配合物質等)と一定の高剪断撹拌下で混合して高粘度および高固形分量の混合物を得ることによって、調製する。プロセスのこの部分は、乾燥顔料を効果的に湿潤および脱凝集させ、そしてこれらを水性分散体中で安定化させるように設計する。
【0003】
塗料製造プロセスの第2のステップは、一般にレットダウン(letdown)または薄化(thindown)段階(phase)という。粘稠なグラインドは残りの配合成分で希釈され、これは一般的にグラインド混合物よりも粘性が低いからである。典型的には、ラテックスレジン、任意の予分散顔料、および任意の他の塗料材料(混合およびおそらく中程度の剪断を必要とするのみのもの)をレットダウン段階の間に組入れる。レットダウン段階は、グラインド混合物を収容する容器内へのレットダウン成分の逐次添加によって、または、ラテックスレジンと他のレットダウン成分との予混合物を収容する容器内へのグラインド混合物の添加に続いての最終レットダウン成分の逐次添加によって、のいずれかで行うことができる。いずれの場合においても、一定撹拌が必要であるが、高剪断の適用は必要ではない。
【0004】
殺生物剤は、典型的には、ラテックス塗料中に含まれ、塗料に対して微生物耐性を与える。殺生物剤は、塗料製造プロセスの種々の局面で組入れることができるが、これらは一般的に最終ステップで添加して、これらの高温または潜在的な不活性化反応剤への曝露を低減する。
【0005】
幾つかの水不溶性殺生物剤,例えばBIT(1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン)は、水性媒体中での生物の成長の制御において高度に効果的であることが公知である。しかし、水不溶性殺生物剤をラテックス塗料中で組入れることは、水不溶性材料が凝集し、これにより許容できない特性の塗料がもたらされる可能性に起因して挑戦的である。結果として、水不溶性殺生物剤を組入れることは、これらが溶媒中(例えばグリコール中)の低固形分量の溶液または分散体として、または水中の分散体として、送達されることを必要としてきた。
【0006】
しかし、水不溶性殺生物剤を塗料中に送達するための溶媒の使用は、幾つかの理由で望ましくない。溶媒は、揮発性有機化合物(VOC)の存在を、塗料製造中および最終塗料製品中の両者で増大させる。溶媒はまた、材料に塗料のコストを加え、在庫および貯蔵の必要性を増大させ、そして輸送コストを増大させる。結論として、当該分野での顕著な利点は、コストおよび環境の影響の両者の視点から、溶媒の使用を制限しつつ水不溶性殺生物剤をラテックス塗料中に組入れるための新規技術の提供である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の簡単な要約
一側面において、本発明は、ラテックス塗料組成物を製造する方法を提供する。該方法は:分散相を、1種以上の顔料、他のグラインド相成分及び水不溶性殺生物剤を一緒に混合することによって調製すること;並びに該分散相をラテックスレジン及び他のレットダウン成分と混合すること;を含む。
【0008】
別の側面において、本発明は、ラテックス塗料の製造方法において使用するための分散相を提供する。該分散相は:1種以上の顔料;他のグラインド相成分;および水不溶性殺生物剤;を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、水不溶性殺生物剤をラテックス塗料組成物中に組入れる方法を提供する。該方法は、殺生物剤をVOC不含有の形態で組入れることを可能にする。該方法はまた、塗料供給元および顧客の両者にとってのコストを低減し、在庫の必要性を低減し(例えば、現在用いられる技術で可能な20%活性配合物ではなく、BITの60〜85%活性配合物を本発明において使用できる)、そして輸送コストおよび危険を低減する。
【0010】
本発明の方法は:グラインド相を、1種以上の顔料、他のグラインド相成分及び水不溶性殺生物剤を一緒に混合することによって調製すること;並びに該グラインド相を1種以上のラテックスレジン及び他のレットダウン成分と混合すること;を含む。
【0011】
グラインド相は、乾燥顔料と他のグラインド相成分とを高粘度および高固形分量の混合物中に混合することを必要とする。一般的に、無機顔料は、サブミクロンから数ミクロンサイズの水不溶性無機鉱物の粒子を含む。無機顔料は、不透明性を有する塗装フィルムを与え、光沢レベルを制御し、そしてフィルム耐久性を改善する。無機顔料はまた、塗料の粘度を制御するために用いる。二酸化チタンは、ルチルまたはアナターゼ鉱物形のいずれにおいても、最も一般的に用いられる不透明化顔料である。
【0012】
他の無機顔料(体質顔料という)は、上記の他の利点を与え、そして幾つかは不透明化顔料の不透明化効率を向上させる。一般的な体質顔料としては、カオリンクレー、焼成カオリンクレー、天然または合成の炭酸カルシウム、タルク、天然または合成の二酸化珪素、マイカ、および長石が挙げられる。
【0013】
無機顔料に加え、幾つかの塗料は有機着色顔料および他の特殊顔料も含むことができる。幾つかの顔料は、予分散された水性スラリーとして塗料中に組入れることができる。その他には、顔料を乾燥粉末としてグラインド相に添加する。
【0014】
共溶媒,例えばグリコール(プロピレングリコールまたはエチレングリコールが挙げられる)をグラインド相に添加して、凍結融解安定性を有する塗料を調製でき、そして適用後の液相の蒸発を遅くすることによってフィルム形成を補助できる。融合剤,例えばアルコールエーテルまたはエステルアルコールの溶媒は、ラテックス粒子を可塑化し、これにより粒子が融合して塗装フィルムを形成することを可能にし、または向上させるために添加できる。2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートは一般的に用いられる融合剤である。
【0015】
増粘剤を一般的に用いて、貯蔵および適用を経る製造プロセスによる塗料配合物のレオロジー特性を制御する。種々の種類を使用でき、会合性のもの、非会合性のもの、およびチキソトロピー剤が挙げられる。非会合性(すなわち、ラテックス粒子に結合しない)として説明される増粘剤は、通常、可溶性のセルロースポリマー,例えばヒドロキシエチルセルロースである。会合性の増粘剤としては、疎水変性セルロースポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルションポリマー、および疎水変性エトキシ化ポリウレタンレジンが挙げられる。クレーまたは有機変性クレー増粘剤(しばしばチキソトロピー剤ともいう)もまた、所定のレオロジー特性を制御するために使用できる。
【0016】
界面活性剤は、グラインド相である間に添加され、製造プロセス中の乾燥顔料粒子の湿潤化を補助する。界面活性剤はまた、ラテックスの分散体を塗料配合物中でのフロキュレーションに対して安定化し、そして塗料に着色分散体(これはしばしば最終使用者によって添加される)との親和性を与える。非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤を一般的に使用する。多くの一般的に使用される非イオン性界面活性剤はアルキルアリールポリエーテルである。アニオン性界面活性剤の例としては、ホスフェートエステルの塩、およびアルキルアリールポリエーテルスルフェート塩が挙げられる。
【0017】
顔料分散剤もまた、グラインド相添加剤として一般的に使用する。顔料分散剤は可溶性物質であり、顔料粒子の表面へのその物理化学的吸着が、顔料粒子の分散体を再凝集に対して安定化する。一般的に使用される分散剤の例は、ポリアクリル酸または変性ポリアクリル酸の塩、およびポリホスフェート塩,例えばナトリウムヘキサメタホスフェートである。
【0018】
中和剤は、配合物の酸性成分を中和させ、よって塗料配合物のpHをアルカリレベルまで上昇させる塩基である。ラテックス粒子および多くの種類の顔料粒子に与えられる、得られる表面電荷は、フロキュレーションに対する安定化を補助する。最も一般的な無機塩基は、アンモニア、炭酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムである。使用する有機塩基の殆どはアルカノールアミン化合物であり、これは追加の機能を与え、顔料に対して共分散剤として作用することが挙げられる。中和剤はしばしばグラインド相に添加し、そして続いてレットダウンに追加用量を添加できる。
【0019】
消泡剤を製造プロセスの間の種々の時点で添加して、泡形成を防止できる。殆どの消泡剤はシリコーン系または鉱物油系のいずれかであり、そして幾つかは疎水シリカを含有する。
【0020】
本発明に従い、水不溶性殺生物剤もまたグラインド相に添加する。「水不溶性」は、水中での溶解性が0.5質量%以下、より好ましくは0.25質量%以下、およびさらにより好ましくは0.1質量%以下(25℃で)であることを意味する。好ましくは、殺生物剤は、十分な化学的および熱的な親和性を有して、グラインド相混合ステップの厳しい条件に耐え得るのがよい。好適な殺生物剤の例としては、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン(BIT)、オルト−フェニルフェノール(OPP)、アルキルイソチアゾリノン,例えばオクチルイソチアゾリノン(OIT)、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメート(IPBC)、カルベンダジム(2−ベンズイミダゾールカルバミン酸、メチルエステル)、クロロタロニル(1,3−ジシアノテトラクロロベンゼン)、ジウロン(1,1−ジメチル−3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア)、アゾール系抗微生物剤,例えばテブコナゾール(α−[2−(4−クロロフェニル)−エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール)、プロピコナゾール(1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、およびアザコナゾール(1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、チアベンダゾール(2−(1,3−チアゾール−4−イル)−1H−ベンズイミダゾール);2−(4’−チアゾリル)ベンズイミダゾール)、ジンクピリチオン、ジヨードメチル−パラ−トリルスルホン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール、ジンクジメチルジチオカルバメート、トリクロサン(2’,4’,4−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル)、シブトリン(2−(tert−ブチルアミノ)−4−(シクロプロピルアミノ)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン)、ターブトリン(2−エチルアミノ−4−メチルチオ−6−tert−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン)、N−アルキル置換BIT,例えばN−ブチルBIT、ジハロ置換アルキルイソチアゾリノン,例えばジクロロオクチルイソチアゾリノン(DCOIT)、ならびにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。特に好適な殺生物剤はBITである。
【0021】
殺生物剤は、固体として、または高固形分配合物(例えば水中または他の液体中の分散体)として、のいずれかでグラインド相に添加する。他の添加剤(例えば流動剤または界面活性剤)を含有させて殺生物剤の添加を容易にすることができる。殺生物剤は直接添加でき、またはこれを例えば水溶性バッグ内に包装して取扱い容易性を増大させることができる。
【0022】
殺生物剤を高固形分配合物として送達する場合、配合物は、好ましくは、少なくとも約50質量%、より好ましくは少なくとも約60質量%、さらにより好ましくは少なくとも約70質量%、およびさらに好ましくは少なくとも約80質量%の殺生物剤を含有する。特に好ましくはBIT(約70〜85%活性ペーストとして)である。十分な殺生物剤を添加して、最終塗料製品における濃度約0.005質量%〜2質量%、好ましくは約0.01質量%〜0.2質量%の殺生物剤(配合物の総質量基準)を与える。
【0023】
グラインド相は、高剪断インペラ(例えばCowles型回転ブレード)での一定撹拌を必要とする。プロセスのこの部分を設計して、乾燥顔料を効果的に湿潤させる系を形成し、次いで、高剪断力の適用を経て一次顔料粒子を脱凝集させ、そして、適切な界面活性剤、顔料分散剤および中和剤を用いて、これらの粒子の分散体を再凝集に対して安定化させる。
【0024】
顔料および全ての他の固体材料は、混合物中に制御された速度でふるい入れて、全固体粒子の完全な湿潤を確保するのがよい。添加順序は、具体的な配合組成およびプロセス要求に応じて変わるが、典型的な順序は以下の通りである。
【0025】
水を好適な混合容器に添加する。用いる体積は乾燥顔料の量に比例し、高固形分量、更には流体化された分散体をもたらす。
【0026】
増粘剤を次いで容器に添加し、そして十分な時間で、グラインド混合物の増粘を可能にするが、後続の中和剤の添加が粘度上昇のために有利である場合がある。撹拌速度を、粘度が増大するに従って増大させて、均一混合物を維持する。
【0027】
界面活性剤および顔料分散剤を次いで添加し、続いて消泡剤、共溶媒、融合剤、および中和剤を添加する。
【0028】
乾燥顔料を次いでグラインド相に添加し、顔料添加の間に粘度および固形分レベルが増大するに従って撹拌速度を増大させて、プロセス全体を通じて均一な混合が維持されるようにする。
【0029】
殺生物剤は、グラインド相である間の任意の時点で添加できるが、好ましくは乾燥顔料とともに添加する。
【0030】
リンス水は、原料の保持タンクおよびプロセスライン等からの定量的な移送のために、および顔料固体を混合容器および撹拌器の回転軸の表面から取り除くために、プロセスにおける種々の時点で添加できる。しかし、総リンス水体積を制限して、効果的なグラインドプロセスのための十分に高い固形分量を維持するのがよい。
【0031】
最終グラインド混合物を、高速で、一次顔料粒子の完全な脱凝集および安定分散体の形成を達成する時間撹拌する。系中に入れる機械エネルギーは、従って、温度を室温よりも大幅に高く増大させる場合がある。従って、任意の配合物質の熱安定性が懸案事項である場合には温度を監視することができる。グラインドプロセスの完了は、顔料粒子の十分な脱凝集を確認するグラインドゲージの細かさで評価できる。
【0032】
塗料製造プロセスのレットダウンステップは、ラテックスレジン、任意の予分散顔料、および残りの配合物質の組入れを含み、これは混合撹拌およびおそらく中程度剪断(高剪断とは対照的に)のみを必要とする。ラテックスレジンは、有機ポリマー粒子の水性分散体である。一般的な種類のポリマーとしては、アクリル、ビニルアクリル、スチレン化アクリル、およびバーサチック酸(versatic acid)のポリビニルエステルが挙げられる。塗料の適用および乾燥の際、ポリマー粒子は融合して、基材の上にフィルムの連続コーティングを形成し、よって塗料において結合剤として働く。
【0033】
レットダウン段階は、グラインド混合物を収容する容器内へのレットダウン成分の逐次添加によって、レットダウン成分を収容する容器内へのグラインド混合物の添加によって、またはこのような順序の組合せによって、のいずれかで行うことができる。
【0034】
例のために、典型的な(必須ではないが)手順は、まずラテックスレジンをグラインド混合物に、続いて他のレットダウン化合物を、一般的には以下:顔料スラリー、融合剤(特に、グラインド混合物中に含まれない場合)、および会合性増粘剤、の順序で添加する。中程度の剪断を、増粘剤を活性化して粘度を上昇させる時間、適用する。次いで、中和剤、続いて水を添加できる。再度、プロセスを通じて所望の系粘度を維持するため、そしてまたプロセスリンスとして、他の時点で水を必要に応じて添加する。消泡剤を必要に応じてレットダウンプロセス中に添加できる。配合物の最終的な粘度およびpHは、増粘剤、中和剤、および水を、必要に応じて更に添加することを用いて制御する。
【0035】
典型的なグラインド相およびレットダウン成分の前記の列挙は、例示のためのみに与えられ、全てのこのような成分が全てのラテックス塗料形成において必要であるわけではなく、本明細書に記載されていない追加成分を更に含むことができることに留意すべきである。当業者は、特定用途のためにいずれの成分を含ませるかを容易に決定できる。
【0036】
以下の例は、本発明の例示として与えられるがその範囲の限定を意図しない。
【0037】

低VOC半光沢ラテックス塗料配合物の幾つかのラボスケールバッチを調製して、グラインド混合物に固体粉末として添加される場合の1,2−ベンズイソチアゾール−3(H)−オン(BIT)の殺バクテリア効果を、ジプロピレングリコールおよび水の中の20%溶液としてレットダウンの間に添加される場合のその性能に対して、評価する。塗料の各バッチは、500ppm(0.05質量%)のBIT活性物(総配合物に対するw/w%)を含有する。再現バッチをこれらの形のBITの各々(これらのそれぞれの様式で組入れる)で行う。対照バッチ(BITを添加していない)も調製する。
【0038】
表1Aおよび1Bは、2つの配合物を、添加される順序で列挙する成分とともに示す。グラインド物(表1A)およびレットダウン物(表1B)は、ステンレススチールビーカー内で、高速ミキサー(2インチ径Cowles型ブレードを有する)で調製する。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
1つの原グラインド混合物を配合物I用に1200mLビーカー内で調製し、これからアリコートを2つの600mLビーカーにレットダウン用に移す。BIT溶液をこれらの2つの別個のレットダウン容器に添加することは、別個に計量される用量を必要とするため、計量の不正確性に対するチェックを条件とする。別個のグラインド物を2重に配合物II用に調製する。この場合、BITペーストを顔料(二酸化チタン)と予混合し、そして一緒に添加して、添加中の損失を最小化する。
【0042】
5つの塗料サンプル、配合物I♯1、配合物I♯2、配合物II♯1、配合物II♯2、対照、を、長期保存効果について、4サイクル負荷試験(保存効果を調べるために塗料産業において一般的に用いる)を用いて試験する。
【0043】
24時間トリプチックソイブロス培地を、最終濃度5×106CFU/mlでの配合物接種用に等量で組合せる。用いる生物は:Pseudomonas aeruginosa(ATCC#15442),Pseudomonas aeruginosa(ATCC#10145),Enterobacter aerogenes(ATCC#13048),Escherichia coli(ATCC#11229),Klebsiella pneumoniae(ATCC#8308),Staphylococcus aureus(ATCC#6538),Salmonella choleraesuis(ATCC#10708)である。
【0044】
試験は、上記で列挙したバクテリア生物のプール(5×106CFU/ml)で保存サンプルを投与することによって開始(0日)し、続いて、28日検討の2,7,および14日で等量接種する。汚染の範囲を評価するために、各サンプルのアリコートを、0,1,2,3,6,8,13,15,20,27日で採取し、そしておおよそのバクテリア濃度を評価するために用いる。サンプルを等級0〜8で採点し、そして3重実験の平均値を示す(表2)。等級0〜2.9は、合格のための閾値として設定されており、バクテリアが殆どまたは全くサンプル中に存在しないことを示す。
【0045】
一時的な2.9超の評定は多くの適用で普通であり、バクテリア接種に直接続く殺生物作用の発現が遅いことを反映する場合があることに留意のこと。しかし、一時的な高い評定は必ずしも保存効果の不足を示すものではない。
【0046】
【表3】

【0047】
表3は、微生物学的負荷試験の結果を示す。配合物II♯2について一時的な汚染が1および2日で見られるが、これは、微生物学的評価において一般的に見られる。データは、BITの添加の手法に関わらず、全ての4つの配合物が良好に保存されておりバクテリアの成長を後押ししないことを明確に示す。対照サンプルは、検討全体を通じてバクテリアの成長を後押しし、BITが抗バクテリア的保存を与えることを示す。
【0048】
【表4】

【0049】
本発明は、その好ましい態様に従って以上に説明してきたが本開示の精神および範囲の中で変更できる。本件は、従って、本明細書に開示する一般的な原理を用いた本発明の任意の変形、使用または適合を網羅することを意図する。更に、本件は、本発明が属する分野で公知または慣例の実施の範囲内となる本開示からのこのような逸脱を網羅し、これが特許請求の範囲の限定の範囲内となることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料組成物の製造方法であって:
グラインド相を、1種以上の顔料、他のグラインド相成分及び水不溶性殺生物剤を一緒に混合することによって調製すること;並びに
該グラインド相を1種以上のラテックスレジン及び他のレットダウン成分と混合すること;
を含む、方法。
【請求項2】
グラインド相成分が:共溶媒、融合剤、増粘剤、界面活性剤、顔料分散剤、中和剤および消泡剤の1つ以上から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レットダウン成分が:ラテックスレジン、顔料スラリー、融合剤、増粘剤、並びに中和剤および消泡剤の1つ以上から選択される、請求項1〜2に記載の方法。
【請求項4】
殺生物剤が、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン(BIT)、オルト−フェニルフェノール、アルキルイソチアゾリノン,例えばオクチルイソチアゾリノン、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメート、カルベンダジム、クロロタロニル、ジウロン、アゾール系抗微生物剤,例えばテブコナゾール、プロピコナゾール、およびアザコナゾール、チアベンダゾール、ジンクピリチオン、ジヨードメチル−パラ−トリルスルホン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール、ジンクジメチルジチオカルバメート、トリクロサン、シブトリン、ターブトリン、N−アルキル置換BIT,例えばN−ブチルBIT、ジハロ置換アルキルイソチアゾリノン,例えばジクロロオクチルイソチアゾリノン(DCOIT)、ならびにこれらの2種以上の混合物である、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項5】
殺生物剤が、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オンである、請求項1〜4に記載の方法。
【請求項6】
ラテックス塗料の製造方法において使用するためのグラインド相であって:
1種以上の顔料;
グラインド相成分;および
水不溶性殺生物剤;
を含む、グラインド相。
【請求項7】
グラインド相成分が:水、共溶媒、融合剤、増粘剤、界面活性剤、顔料分散剤、中和剤および消泡剤;の1つ以上から選択される、請求項6に記載のグラインド相。
【請求項8】
殺生物剤が、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン(BIT)、オルト−フェニルフェノール、アルキルイソチアゾリノン,例えばオクチルイソチアゾリノン、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメート、カルベンダジム、クロロタロニル、ジウロン、アゾール系抗微生物剤,例えばテブコナゾール、プロピコナゾール、およびアザコナゾール、チアベンダゾール、ジンクピリチオン、ジヨードメチル−パラ−トリルスルホン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール、ジンクジメチルジチオカルバメート、トリクロサン、シブトリン、ターブトリン、N−アルキル置換BIT,例えばN−ブチルBIT、ジハロ置換アルキルイソチアゾリノン,例えばジクロロオクチルイソチアゾリノン(DCOIT)、またはこれらの2種以上の混合物である、請求項6〜7に記載のグラインド相。
【請求項9】
殺生物剤が、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オンである、請求項6〜8に記載の分散相。

【公表番号】特表2011−505459(P2011−505459A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536045(P2010−536045)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/082931
【国際公開番号】WO2009/073309
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【出願人】(591252611)アンガス ケミカル カンパニー (32)
【Fターム(参考)】