説明

ラテックス用減粘剤

(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなる減粘剤であって、ポリマー(A)を構成する単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が50〜99.9%であることを特徴とするラテックス用減粘剤である。(A)は(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩(共)重合体を含んでなり、(メタ)アクリル酸塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び/又はアンモニウム塩であることが好ましく、(A)の重量平均分子量(Mw)は8,000〜50,000であることが好ましく、(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は1.2〜2.0であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はラテックス用減粘剤に関する。さらに詳しくは、紙塗被塗料に適したラテックス用減粘剤に関する。
【背景技術】
従来、ラテックス用減粘剤としては、エチレンジアミン及びジエタノールアミン等が知られている(ラテックス・エマルジョンの最新応用技術、192〜193頁、沖倉元治著、株式会社中日社発行(1991年6月25日))。
一方、ラテックスに添加する水系コーティング剤用保水剤としてメタクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸低級アルコールエステル等からなる(共)重合体が知られている(例えば、特開平11−246798号公報)。
しかし、従来の減粘剤では、ラテックス粒子の安定性を阻害するという問題がある。また、水系コーティング剤用保水剤は、減粘効果が必ずしも充分ではないという問題がある。
本発明は、減粘効果及びラテックス粒子の安定性に優れたラテックス用減粘剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、流動性に優れたラテックス、低粘度化された紙塗被塗料、製造が容易な塗被紙を提供することを目的とする。
本発明のその他の目的は、以下の発明の説明により明らかになる。
【発明の開示】
本発明者はこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の(共)重合体が上記目的を達成することを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明のラテックス用減粘剤は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなる減粘剤であって、ポリマー(A)を構成する単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が50〜99.9%である。
本発明の好ましい実施態様においては、ポリマー(A)が(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩(共)重合体を含んでなり、(メタ)アクリル酸塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び/又はアンモニウム塩であってもよい。
また、本発明の好ましい実施態様においては、ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)が8,000〜50,000であってもよい。
さらに、本発明の好ましい実施態様においては、ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、1.2〜2.0であってもよい。
本発明のラテックスは、前記のラテックス用減粘剤を含んでなる。
本発明の紙塗被塗料は、前記のラテックス用減粘剤とラテックスを配合してなる。
本発明の塗被紙は、前記の紙塗被塗料を塗被してなる。
以上説明した本発明、実施形態、実施形態に含まれる構成要素は可能な限り組み合わせることができる。
本発明のラテックス用減粘剤は、減粘効果及びラテックス粒子の安定性に極めて優れており、従来にない流動性に優れたラテックスを製造し得る。このラテックスの流動性の向上は、紙塗被時の塗被操業性(高速塗被性等)を向上させるのみならず紙塗被塗料の高濃度化に極めて有効なものとなる。すなわち、本発明のラテックス用減粘剤を含むラテックスを紙塗被塗料に用いた場合、紙塗被塗料を高品質化(低粘度化等)できる他に、紙塗被塗料の高濃度化が容易に行なえるというメリットがある。従って、本発明のラテックス用減粘剤は、塗被紙の製造における操業性の向上及び品質の向上を達成でき、さらに高濃度化による乾燥負荷軽減等に起因して原価低減ができるため、特に紙塗被紙の製造に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、(共)重合体は、重合体及び/又は共重合体を意味する。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)としては、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体及びアクリル酸−メタクリル酸共重合体が含まれる。また、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)としては、アクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体及びアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体が含まれる。(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)としては、アクリル酸塩重合体、メタクリル酸塩重合体及びアクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体が含まれる。そして、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)は、それぞれ単一の(共)重合体でもよく、(A1)、(A2)又は(A3)に包含される複数の(共)重合体の混合物でもよい。また、共重合体の場合、重合形式はブロック、ランダム及びこれらの混合のいずれでもよい。
(メタ)アクリル酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び/又はアンモニウム塩等が含まれる。
アルカリ金属塩としては、リチウム、カリウム又はナトリウム等の塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム又はマグネシウム等の塩が挙げられる。これらの塩のうち、減粘効果の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩である。なお、これら塩は単独でもこれらの混合のいずれでもよい。
これらの塩以外に、有機アンモニウム塩等も使用できるが、臭気、コスト及び環境汚染の観点等からあまり好ましくない。
有機アンモニウム塩としては、脂肪族アミン、脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物、アルカノールアミン、脂環式アミン又は芳香族アミン等の塩が含まれる。
脂肪族アミン塩としては、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩及び4級アンモニウム塩のいずれでもよい。1級アミン塩としては、炭素数1〜12のモノアルキルアミン塩等が用いられ、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン又はドデシルアミン等の塩が挙げられる。2級アミン塩としては、炭素数2〜24のジアルキルアミン塩等が用いられ、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン又はジドデシルアミン等の塩が挙げられる。3級アミン塩としては、炭素数3〜9のトリアルキルアミン塩等が用いられ、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン又はトリブチルアミン等の塩が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、炭素数4〜16のテトラアルキルアンモニウム塩等が用いられ、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物の塩としては、脂肪族アミンのエチレンオキシド付加物(付加モル数2〜20)又はプロピレンオキシド付加物(付加モル数2〜20)の塩、及びこれらのアミンを4級化剤(エチレンオキシド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル炭酸及び塩化メチル等)で4級化した4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカノールアミン塩としては、炭素数1〜20のアルカノールアミンの塩等が用いられ、メタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン又はブタノールアミンの塩等が挙げられ、さらに、これらのアルカノールアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
脂環式アミン塩としては、炭素数5〜8のシクロアルキルアミンの塩等が用いられ、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン又はシクロヘキシルメチルアミン等の塩が挙げられ、さらに、これらのシクロアルキルアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
芳香族アミンとしては、炭素数6〜10のアリルアミンの塩等が用いられ、アニリン、ベンジルアミン、ベンジルメチルアミン又はトルイジン等の塩が挙げられ、さらに、これらのアリルアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)において、アクリル酸−メタクリル酸共重合体の場合、アクリル酸単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、減粘効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、減粘効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)において、(メタ)アクリル酸単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、減粘効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは60〜99.9、特に好ましくは70〜99.9である。また、(メタ)アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、減粘効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜40、特に好ましくは0.1〜30である。なお、メタクリル酸単位を含む場合、アクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、減粘効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、減粘効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。また、メタクリル酸塩単位を含む場合、アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、減粘効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、減粘効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)において、アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体の場合、アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、減粘効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、減粘効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸塩以外に、他の単量体を構成単位として含んでもよい。減粘効果の観点からは、他の単量体を含まないことが望ましい。
他の単量体としては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩と共重合できる単量体であれば制限なく使用できる。このような単量体には、不飽和モノカルボン酸エステル、不飽和ジカルボン酸、α−ヒドロキシ不飽和モノカルボン酸、ヒドロキシルアルキル不飽和カルボン酸エステル、ポリアルキレングリコール不飽和単量体、(メタ)アクリロイル基含有アミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、スルホ基含有不飽和単量体、芳香族不飽和単量体、脂肪族不飽和単量体、脂環式不飽和単量体及びシアノ基含有不飽和単量体等が含まれる。
不飽和モノカルボン酸エステルとしては、炭素数4〜50の(メタ)アクリル酸エステル等が用いられ、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル及び(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸としては、炭素数4〜6の不飽和ジカルボン酸等が用いられ、マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等が挙げられる。
α−ヒドロキシ不飽和モノカルボン酸としては、α−ヒドロキシ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル等が用いられ、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシイソヘキシル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール不飽和単量体としては、アルキレン基の炭素数が2〜3、アルキレンの個数が2〜100であるポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル等が用いられ、ポリエチレングリコール(エチレン基10個)(メタ)アクリル酸モノエステル、ポリエチレングリコール(エチレン基20個)(メタ)アクリル酸モノエステル、デカオキシエチレン・ヘキサオキシプロピレン(メタ)アクリル酸モノエステル及びウンデカオキシエチレン・ペンタオキシプロピレン(メタ)アクリル酸モノエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有アミドとしては、炭素数3〜5の(メタ)アクリロイル基含有アミド等が用いられ、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル及びプロパン酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、アルキルの炭素数が1〜10のビニルアルキルエーテル及びポリアルキレングリコール(エチレン及び/又はプロピレン付加モル数1〜100)のモノビニルエーテル等が用いられ、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、ビニルデシルエーテル、テトラエチレングリコールビニルエーテル及びヘキサエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
スルホ基含有不飽和単量体としては、炭素数2〜8の不飽和スルホン酸等が用いられ、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸及び2−アクルルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
芳香族不飽和単量体としては、炭素数8〜12の芳香族単量体等が用いられ、スチレン、ビニルスチレン及びビニルナフタレン等が挙げられる。
脂肪族不飽和単量体としては、炭素数2〜20の脂肪族不飽和単量体等が用いられ、エチレン、プロピレン、ブテン及びブタジエン等が挙げられる。
脂環式不飽和単量体としては、炭素数5〜15の脂環式不飽和単量体等が用いられ、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン等が挙げられる。
シアノ基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリロニトリル及びシアノスチレン等が挙げられる。
他の単量体を使用するとき、その他の単量体単位の含有量(個数%)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、0.1〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.1〜1である。また、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.1〜1である。また、(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、共重合体を構成する単量体単位の数に基づいて、0.1〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.1〜1である。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)の重量平均分子量(Mw)は、8,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは9,000〜40,000、特に好ましくは10,000〜20,000である。すなわち、(A1)、(A2)又は(A3)のMwは、8,000以上が好ましく、さらに好ましくは9,000以上、特に好ましくは10,000以上であり、また、50,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以下、特に好ましくは20,000以下である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となる。なお、Mwは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される(以下同様)。
ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいればよいが、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)からなることが好ましく、さらに好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体からなること、又はこれの共重合体とアクリル酸重合体、メタクリル酸重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸共重合体とからなることである。さらにポリマー(A)は、特に好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体からなること、又はこれらの共重合体とアクリル酸重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸共重合体とからなることであり、最も好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体からなること、又はこの共重合体とアクリル酸重合体とからなることである。
ポリマー(A)に含まれる(メタ)アクリル酸単位の含有量(個数%)は、(A)を構成する単量体単位の数に基づいて、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは60〜99.5、特に好ましくは70〜99、最も好ましくは80〜98である。この範囲であると、ラテックス粒子の安定性がさらに良好となると共に、著しく良好な減粘効果を発揮する。
また、ポリマー(A)に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、(A)を構成する単量体単位の数に基づいて、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜40、特に好ましくは1〜30、最も好ましくは2〜20である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となると共に、著しく良好な減粘効果を発揮する。
ポリマー(A)中に(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A1)及び(A2)の合計重量に基づいて、0.1〜99.9が好ましく、さらに好ましくは10〜90、特に好ましくは20〜80である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となると共に、著しく良好な減粘効果を発揮する。
ポリマー(A)中に(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A1)及び(A2)の合計重量に基づいて、0.1〜99.9が好ましく、さらに好ましくは10〜90、特に好ましくは20〜80である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となると共に、著しく良好な減粘効果を発揮する。
ポリマー(A)中に(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A1)及び(A2)の合計重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは5〜10である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となると共に、著しく良好な減粘効果を発揮する。
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、8,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは9,000〜40,000、特に好ましくは10,000〜20,000である。すなわち、(A)のMwは、8,000以上が好ましく、さらに好ましくは9,000以上、特に好ましくは10,000以上であり、また、50,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以下、特に好ましくは20,000以下である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となる。
ポリマー(A)の数平均分子量(Mn)は、4,000〜41,000が好ましく、さらに好ましくは4,200〜41,000、特に好ましくは4,400〜41,000である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となる。なお、Mnは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される(以下同様)。
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は、1.2〜2.0が好ましく、さらに好ましくは1.2〜1.9、特に好ましくは1.2〜1.8である。
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)を製造する重合法は、特に限定されるものではなく、通常の重合法(溶液重合法、塊状重合法及び逆相懸濁重合法等)を用いることができる。しかし、溶液重合法を用いることが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸塩との共重合により製造してもよく、また、(メタ)アクリル酸(共)重合体を得てから、この(共)重合体を塩基等で中和して製造することもできる。
また、(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)の場合、(メタ)アクリル酸の(共)重合により製造してもよく、また、(メタ)アクリル酸の(共)重合体を得てから、この(共)重合体を塩基等で中和して製造することもできる。
溶液重合法の場合に使用できる溶媒としては、通常のポリカルボン酸重合用溶媒等が使用でき、水及び/又はアルコール等が含まれる。水としては、水道水、脱イオン水及び工業用水等が挙げられる。アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコール等が用いられ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びエチレングリコール等が挙げられる。これらのうち、水、水及びアルコールの混合溶媒が好ましく、さらに好ましくは水及びアルコールの混合溶媒、特に好ましくは脱イオン水及びイソプロピルアルコールの混合溶媒である。
水とアルコールとを混合して使用する場合、混合重量比(水/アルコール)は、0.1〜99.9/0.1〜99.9に任意に混合できるが、0.1〜50/50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは0.1〜40/60〜99.9、特に好ましくは0.1〜30/70〜99.9である。この範囲であれば、ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)を1.2〜2.0に調整しやすく、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となる。
溶剤の使用量(重量%)は通常の方法と同様であり、例えば、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、(A1)の重量に基づいて100〜500程度であり、また(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(A2)の重量に基づいて100〜1000程度である。また(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、(A3)の重量に基づいて100〜1000程度である。
逆相懸濁重合法の場合に使用できる溶媒としては、水(溶液重合法と同じ)以外に、炭素数6〜18の炭化水素等が使用でき、アルカン及びアレーン等が含まれる。
アルカンとしては、ヘキサン、イソヘキサン、オクタン、2−エチルヘキサン、デカン及びイソオクチルデカン等が挙げられる。
アレーンとしては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びt−ブチルベンゼン等が挙げられる。
これらのうち、ヘキサン、オクタン、トルエン及びキシレンが好ましく、さらに好ましくはヘキサン及びトルエン、特に好ましくはヘキサンである。
溶剤の使用量(重量%)は通常の方法と同様であり、例えば、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、(A1)の重量に基づいて、水100〜500、炭化水素等100〜1000程度であり、また(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(A2)の重量に基づいて、水100〜1000、炭化水素等100〜2000程度である。また(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、(A3)の重量に基づいて、水100〜500、炭化水素等100〜2000程度である。
(共)重合反応には、重合開始剤を用いることができる。溶液重合法の場合、重合開始剤としては、アゾ化合物、過硫酸塩、過硼酸塩、過酸化物及びレドックス触媒等が含まれる。
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−アルポニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。
過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
過硼酸塩としては、過硼酸アンモニウム、過硼酸カリウム及び過硼酸ナトリウム等が挙げられる。
過酸化物としては、過酸化水素及び過酸化ベンゾイル等が挙げられる。
レドックス触媒としては、アスコルビン酸−過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ化合物及び過硫酸塩が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムである。
これらの重合開始剤は、1種を選択して用いることができ、また、2種以上を選択してこれらを混合して用いることもできる。
また、塊状重合法及び逆相懸濁重合法を採用する場合には、重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物及びレドックス触媒等が使用できる。
アゾ化合物、過酸化物及びレドックス触媒としては、溶液重合法と同じものが使用できるが、油溶性のものが好ましい。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−アルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。過酸化物としては、過酸化水素及び過酸化ベンゾイル等が挙げられる。レドックス触媒としては、アスコルビン酸−過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ化合物及び過酸化物が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物である。これらの重合開始剤は、1種を選択して用いることができ、また、2種以上を選択してこれらを混合して用いることもできる。
また、その他の重合法においても、公知の重合開始剤が使用できる。
重合開始剤を使用する場合、重合開始剤の使用量は、ポリマー(反応生成物)が目的とする重量平均分子量及び数平均分子量となるように、調節される。溶液重合法の場合、ポリマーの重量平均分子量及び数平均分子量は、重合濃度、重合温度、単量体の仕込み速度などに大きく影響されるため、重合開始剤の使用量は、ポリマー(A)に対して、数%と比較的少量ですむ。一方、塊状重合法及び逆相懸濁重合法の場合、いずれも反応速度が速く、目的とする重量平均分子量及び数平均分子量を得るためには、重合開始剤の使用量は、比較的多く必要となる。
ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいればよい。
このため、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)からなる場合、(A1)及び(A2)をそれぞれ製造してから混合してもよく、また、(A1)を得てからこの一部を中和して製造してもよく、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよい。
また、ポリマー(A)が(A1)及び(A3)からなる場合、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよい(水溶液にすると(A2)が生成するから、この場合は固体で保存する)。また、ポリマー(A)が(A1)、(A2)及び(A3)からなる場合、(A1)、(A2)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、また、(A1)を得てからこの一部を中和して製造してもよく、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよい。
さらに、ポリマー(A)が(A2)及び(A3)からなる場合、(A2)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、(A1)又は(A2)を得てから一部を中和して製造してもよい。
また、ポリマー(A)が(A2)からなる場合、(A2)を直接製造してもよく、(A1)を得てから一部を中和して製造してもよい。
本発明のラテックス用減粘剤には、ポリマー(A)以外に、必要に応じ、水、耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、保水剤、染料及び顔料等を含んでいてもよい。これら添加物としては、紙塗被塗料、紙加工、繊維処理、建築材料、自動車のタイヤコード及びフォームラバー等に添加される公知の添加物が使用できる。
耐水化剤としては、炭酸アンモニウムジルコニウム、ポリアミド尿素ホルムアルデヒド、グリオキザール、ポリアミドポリアミン及び/又はスチレン−アクリル酸エステル樹脂等を含む耐水化剤が挙げられる。防腐防黴剤としては、イソチアゾリン化合物及び/又はチアゾール化合物等を含む防腐防黴剤が挙げられる。消泡剤としては、脂肪酸エステル、シリコーンオイル及び/又はポリエーテル等を含む消泡剤が挙げられる。潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム及び/又はポリエチレンワックス等を含む潤滑・離型剤が挙げられる。分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物及び/又はポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸の中和度95〜100%)等を含む分散剤が挙げられる。保水剤としては、カルボキシメチルセルロース及び/又はメタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル(メタアクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体中、アクリル酸アルキルエステル単量体が40モル%以上、重量平均分子量10万〜200万)等を含む保水剤が挙げられる。染料としては、ジアミノスチルベン系等を含む蛍光染料等が挙げられる。顔料としては、無機顔料(炭酸カルシウム、カオリン等)、有機顔料(アゾ顔料、多環式有機顔料等)等が挙げられる。
水を含む場合、水の含有量は、目的に応じ任意に調整できる。しかし、ポリマー(A)が混合されるラテックスの固形分の低下を防止するという観点から、最小限に抑えることが好ましい。一方、取り扱い性の観点から、多量であることが好ましい。水を使用する場合、水の含有量(重量%)は、例えば、ポリマー(A)の重量に基づいて、0.1〜400が好ましく、さらに好ましくは0.2〜150、特に好ましくは0.3〜100である。
水を含まない場合、本発明のラテックス用減粘剤の形態は、ラテックスへの添加・溶解性の観点等から、微粉末状粒子の形態が好ましい。微粉末状粒子の大きさ(mm)は、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.001〜1である。なお、この大きさは、レーザー回折散乱法(JIS Z8825−1:2001、ISO 13320−1:1999)に基づいて測定した体積平均粒子径である。
本発明のラテックス用減粘剤は、ポリマー(A)を含んでいればよいので、必要により含有する水、耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、保水剤、染料及び顔料等は、ラテックス用減粘剤の製造工程の、任意の工程で配合することができる。なお、水は、重合溶媒として使用したものをそのまま用いることができ、必要に応じて濃度調整(加熱留去、減圧留去及び/又は加水等)してもよい。
本発明のラテックス用減粘剤は、ラテックスの減粘効果が極めて高く、ラテックス粒子の安定性を著しく向上させので、紙塗被塗料、紙加工、繊維処理、建築材料、自動車のタイヤコード及びフォームラバー等に使用されるラテックスに適用できる。特に、紙塗被塗料に使用されるラテックスに適用すると、その利用価値が高い。そして、本発明のラテックス用減粘剤を紙塗被塗料に適用すると、紙へ塗被する際の塗被操業性(高速塗工性等)が向上するのみならず紙塗被塗料の高濃度化にも貢献する。さらに、ラテックスの使用量を低減できるため、コストメリットが向上する。また、紙塗被紙の耐水性を向上させることができる。
ラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、変性スチレンブタジエンラテックス、アクリルラテックス及び酢酸ビニルラテックス等が含まれる。
スチレンブタジエンラテックスは、スチレン及びブタジエンの共重合体等が使用でき、オレイン酸ナトリウム等の乳化剤を用いて乳化重合により得られる。
変性スチレンブタジエンラテックスは、スチレン、ブタジエン及び他のモノマーの共重合体等が使用できる。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル等が挙げられる。
アクリルラテックスは、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体等が使用できる。
酢酸ビニルラテックスは、酢酸ビニル、高級脂肪酸ビニルエステル、マレイン酸ジエステル及び/又はエチレンの共重合体等が使用でき、ポリビニルアルコールやヒドロキシエチルセルロース等の保護コロイドである乳化分散剤を利用し、酢酸ビニルを乳化重合して得られる。
これらの他に、酢酸ビニル−アクリル共重合体ラテックス、塩化ビニル共重合体ラテックス、ABSラテックス、NBRラテックス及びCRラテックス等の合成ラテックス等も使用できる。
本発明のラテックス用減粘剤の使用量(重量%)は、ポリマー(A)の重量として、ラテックスの重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜8、特に好ましくは0.1〜6である。この範囲であると、減粘効果及びラテックス粒子の安定性がさらに良好となる。
本発明のラテックス用減粘剤は、そのままラテックスに攪拌下添加できる。また、ラテックス製造工程中の任意の工程で、撹拌下添加できる。
本発明のラテックス用減粘剤を含むラテックスは、紙塗被塗料に顔料及び/又はフィラーとともにバインダー成分として含有される。紙塗被塗料の場合、ラテックスの使用量(重量%)は、顔料及び/又はフィラーの重量に基づいて、1〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜17、特に好ましくは1〜15である。この範囲であると、紙塗被塗料の減粘効果がさらに良好となる。
顔料としては、無機顔料(クレイ、炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等)及び有機顔料(ポリスチレン系プラスチックピグメント等)等が挙げられ、これらは単独又は複数を混合して使用できる。
顔料は、紙塗被塗料の主成分として利用され、塗被紙の要求性能、塗被方法に基づき、その使用量は様々であり、例えば、紙塗被塗料をブレード塗工する場合、塗料の固形分100重量部に対して80〜90部を占める。軽量コート紙用の塗料をサイズプレス塗工する場合、塗料の固形分100重量部に対して70〜80部を使用する。
紙塗被塗料の場合、バインダーとして、ラテックス以外のバインダーを併用することができる。
ラテックス以外のバインダーとしては、水溶性バインダー等が含まれ、天然バインダー、半合成バインダー及び合成バインダー等が使用できる。天然バインダーとしては、デンプン等のスターチ、こんにゃく等のマンナン、アルギン酸等の海藻類、大豆タンパク等の植物性粘質物、デキストリン等の微生物性粘着物及びカゼイン等のタンパク質等が挙げられる。半合成バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース等の変性セルロース及びカルボキシメチルスターチ等の変性スターチ等が挙げられる。合成バインダーとしては、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸の中和度95〜100%)等が挙げられる。ラテックス以外のバインダーを使用する場合、この使用量(重量%)は、顔料及び/又はフィラーの重量に基づいて、0.01〜20である。
このような紙塗被塗料は、通常水性分散液体の形で使用され、必要に応じてその他の添加剤(例えばポリアクリル酸ナトリウムなどの顔料分散剤、脂肪酸エステルなどの消泡剤、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑・離型剤、グリオキザールやポリアミド尿素ホルムアルデヒドあるいはポリアミドポリアミン系樹脂などの耐水化剤、湿潤剤、防腐剤および蛍光染料など)が添加される。
紙塗被塗料は既知の方法で、原紙に塗被できる。例えば、スプレーコーター、カーテンフローコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ロッドコーター、エアナイフコーターなどにより原紙に塗被できる。塗被後、乾燥し必要に応じてカレンダーリングまたはスーパーカレンダーリングあるいはソフトニップカレンダーリングの仕上げを行う。塗被温度は通常10〜60℃、乾燥温度は通常90〜150℃、カレンダーリング、スーパーカレンダーリングあるいはソフトニップカレンダーリングの温度は通常30〜200℃である。
なお、本発明のラテックス用減粘剤は、ラテックスの粘度を減少させる効果(減粘効果)が顕著であるが、ラテックス以外に、樹脂の乳化・分散及びワックスの乳化・分散等の乳化・分散剤等として使用することができる。
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を表す。
【実施例1】
滴下ライン、撹拌装置および温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム40%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜100℃を保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら、徐々に水酸化ナトリウム50%水溶液2.2部で中和してアクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A21)(アクリル酸単位は98個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤1を得た。
【実施例2】
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液14.4部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A22)(アクリル酸単位:85個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤2を得た。
【実施例3】
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液25.6部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A23)(アクリル酸単位:75個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤3を得た。
【実施例4】
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液36.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A24)(アクリル酸単位:65個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤4を得た。
【実施例5】
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液42.2部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A25)(アクリル酸単位:60個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤5を得た。
【実施例6】
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の250部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液47.8部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A26)(アクリル酸単位:55個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤6を得た。
【実施例7】
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の250部をさらに80%水酸化カリウム水溶液48.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩−アクリル酸カリウム塩共重合体(A27)(アクリル酸単位:52個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤7を得た。
【実施例8】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置および温度計付きの反応容器に、水300部、イソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム30%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜90℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化マグネシウム1.6部で中和した後、さらに50%水酸化ナトリウム水溶液36.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸マグネシウム塩−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A28)(アクリル酸単位:65個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤8を得た。
【実施例9】
滴下ライン、撹拌装置および温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム40%水溶液200部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜85℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化リチウム0.3部で中和した後さらに50%水酸化ナトリウム水溶液21.1部で中和して、アクリル酸−アクリル酸リチウム塩−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A29)(アクリル酸単位:80個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤9を得た。
【実施例10】
滴下ライン、撹拌装置および温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸150部及びメタクリル酸179.2部からなる混合単量体、並びに過硫酸ナトリウム40%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜85℃に保った。滴下終了後2時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、局所排気設備(ドラフト)内で、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に25%アンモニア水2.6部で中和した後さらに50%水酸化ナトリウム水溶液27.3部で中和して、アクリル酸−アクリル酸アンモニウム塩−アクリル酸ナトリウム塩−メタクリル酸−メタクリル酸アンモニウム塩−メタクリル酸ナトリウム塩共重合体(A30)(アクリル酸単位及びメタクリル酸単位:70個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤10を得た。
【実施例11】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置および温度計付きの反応容器に、水300部及びイソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下、メタクリル酸358.3部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル30%イソプロピルアルコール溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから5時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜95℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却した。その後、この反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に、水酸化ナトリウム50%水溶液9.3部で中和して、メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム塩共重合体(A31)(メタクリル酸単位:90個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤11を得た。
【実施例12】
滴下ライン、撹拌装置および温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び過硫酸ナトリウム40%水溶液200部をそれぞれ別々の滴下ラインから4時間かけて一定速度で滴下して密閉下(反応容器内の圧力は0.03−0.14MPaGauge)で反応させた。反応温度は65〜105℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化ナトリウム50%水溶液33.3部を滴下して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A32)(アクリル酸単位:70個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤12を得た。
【実施例13】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置および温度計付きの反応容器に、水300部及びイソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下、メタクリル酸300部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル30%イソプロピルアルコール溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜95℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に50%水酸化ナトリウム水溶液38.9部で中和して、メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム塩共重合体(A33)(メタクリル酸単位:65個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤13を得た。
【実施例14】
滴下ライン、還流冷却器、蒸留装置、撹拌装置および温度計付きの反応容器に、水300部及びイソプロピルアルコール200部を投入し、撹拌下アクリル酸260.9部及び過硫酸ナトリウム30%水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下して大気圧下で反応させた。反応温度は65〜90℃に保った。滴下終了後3時間同温度に保った後、加水しながらイソプロピルアルコールを除去し、30℃に冷却し、反応物を取り出した。その後、取り出した反応物250部を用い、撹拌下、40℃以下に保ちながら徐々に水酸化ナトリウム50%水溶液53.3部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(A34)(アクリル酸単位:52個数%)を40%含む本発明のラテックス用減粘剤14を得た。
<比較例1>
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液55.6部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X1)(アクリル酸単位:48個数%)を40%含む比較用のラテックス用減粘剤15を得た。
<比較例2>
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液70.0部で中和してアクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X2)(アクリル酸単位:35個数%)を40%含む比較用のラテックス用減粘剤16を得た。
<比較例3>
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液81.1部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X3)(アクリル酸単位:25個数%)を40%含む比較用のラテックス用減粘剤17を得た。
<比較例4>
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液92.2部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X4)(アクリル酸単位:15個数%)を40%含む比較用のラテックス用減粘剤18を得た。
<比較例5>
実施例1と同様な方法により、ラテックス用減粘剤1の252.2部をさらに50%水酸化ナトリウム水溶液106.7部で中和して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩共重合体(X5)(アクリル酸単位:2個数%)を40%含む比較用のラテックス用減粘剤19を得た。
<比較例6>
実施例1においてイソプロピルアルコールを除去して得た反応物を用いて、水により希釈調整し、アクリル酸重合体(X6)(アクリル酸単位:100個数%)を40%含む比較用のラテックス用減粘剤20を得た。
<比較例7>
エチレンジアミンを水により希釈調整し、エチレンジアミンを40%含む比較用のラテックス用減粘剤21を得た。
<比較例8>
ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の40%水溶液(サンノプコ社製、商品名SN−PW−40)をそのまま比較例用のラテックス用減粘剤22とした。
<比較例9>
特開平11−246798号公報に記載された実施例3と同様にして、アクリル酸−アクリル酸エチル−アクリル酸ナトリウム(アクリル酸単位:39個数%)を、30%を含む水溶液を調製し、比較用のラテックス用減粘剤23とした。
実施例1〜14及び比較例1〜9のラテックス用減粘剤1〜23の構成を表1に示した。

なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)のGPC測定条件は以下の通りである。
使用装置:東ソー(株)製形式HLC−8120GPC
カラム:東ソー(株)製形式G5000PWXLと形式G3000PWXLを直列に接続
検出器:RI検出器、
データ処理機:東ソー(株)製形式SC−8020
カラム温度:40℃、
溶離液:0.1−MPBのリン酸水素二ナトリウム水溶液とリン酸二水素ナトリウム水溶液の混合液
溶離液流速:0.6ml、
試料濃度:0.4重量%溶離液溶液、
試料溶液注入量:50μl、
標準物質:東ソー(株)製TSK標準ポリエチレングリコール(SE−150:光散乱法で測定された重量平均分子量(M)885,000、SE−70:(M)510,000、SE−30:(M)340,000、SE−15:(M)170,000、SE−8:(M)95,000、SE−5:(M)46,000、SE−2:(M)26,000)、和光純薬工業(株)製試薬(和光規格1級合格品ポリエチレングリコール6000:(M)7,500、和光純薬工業(株)製試薬(特級特級エチレングリコール:分子量62)
実施例1〜14及び比較例1〜9で調整したラテックス用減粘剤1〜23の性能を以下の方法により評価し、結果を表2に示した。
<評価例1>
(1)ラテックスの配合
スチレンブタジエンラテックス{JSR株式会社製:塗工用カルボキシル変性スチレン・ブタジエン共重合体、JSR0696、濃度48%}を40℃以下でエバポレーターにて減圧脱水し、濃度55%にした。濃度55%のスチレンブタジエンラテックス100部に対して、撹拌しながら評価用サンプル1部及び水を混合して水分47%のラテックス組成物を作成した。その後、3000rpmで15分間攪拌させ、恒温水槽(25±1℃)で静置した。
(2)ラテックス物性
▲1▼ラテックス粒子の安定性:ラテックス組成物を密閉化、50℃の恒温器にて24時間静置させた。その後、50メッシュのステンレス製金網にてろ過し、ろ過残量を以下の基準により目視で判定した(ろ過残量が少ないほど好ましい)。
○:ろ過残が確認できない
△:ろ過残が少しある
×:ろ過残が多い
××:ろ過できない(ラテックスが水と樹脂に分離し、樹脂部分がゴム状になる)
▲2▼粘度測定:ラテックス組成物を(株)トキメック製B型粘度計を用い回転数60rpmで60秒後の粘度値を測定した(粘度は低いほうが好ましい)。

【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明にかかるラテックス用減粘剤はラテックスの作成に有用である。当該ラテックス用減粘剤は、例えば、ラテックスと共に紙塗被塗料のバインダーとして用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなる減粘剤であって、ポリマー(A)を構成する単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸単位が50〜99.9%であることを特徴とするラテックス用減粘剤。
【請求項2】
ポリマー(A)が(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩(共)重合体を含んでなり、(メタ)アクリル酸塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び/又はアンモニウム塩である請求項1に記載のラテックス用減粘剤。
【請求項3】
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)が8,000〜50,000である請求項1に記載のラテックス用減粘剤。
【請求項4】
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、1.2〜2.0である請求項1に記載のラテックス用減粘剤。
【請求項5】
請求項1に記載のラテックス用減粘剤を含んでなるラテックス。
【請求項6】
請求項1に記載のラテックス用減粘剤とラテックスを配合した紙塗被塗料。
【請求項7】
請求項6に記載の紙塗被塗料を塗被してなる塗被紙。

【国際公開番号】WO2004/078841
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503076(P2005−503076)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002661
【国際出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】