説明

ラテラルフローアッセイデバイス及び当該デバイスを含む吸収性物品

【課題】尿、血液、粘液、唾液などの体液を検査するためのラテラルフローアッセイデバイスが提供される。
【解決手段】ラテラルフローアッセイデバイスには、ビリルビンまたはウルビリノーゲンの存在または量を示す信号を与える検出ゾーンを画定するようなクロマトグラフィー媒体(例えば多孔質メンブレン)が含まれ、また、十分な量の体液が受容されかつ検査されたか否かを示す信号を与えるコントロールゾーンも含まれ得る。一実施形態では、本発明のデバイスは吸収性物品に組み込まれ、使用者または介護者に健康状態に関する情報を迅速に与える。例えば、ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの存在に関する情報を提供するためにデバイスがオムツに組み込まれることがある。この情報は、使用者等が更なる検査及び/または治療を要求できるように早期警告システムを提供し得る。あるいは、検査から半定量的または定量的な結果が得られることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿などの体液を検査するデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿の成分を検出するための検査は既に多数ある。そのような検査は、健康状態全般に関する情報を提供すると共に特定の健康問題の兆候を示唆することができる。タイミング良く実施されれば、そのような検査によって健康問題の初期兆候を検出することもでき、それは効果的な治療に大変好都合であろう。一例として、目立った兆候が現れる前に黄疸を尿検査で検出することができる。黄疸は、典型的には、体内のビリルビンレベルの増加が原因で起こる。ビリルビンレベルの増加並びにウルビリノーゲンなどのビリルビン産物の減少は、例えば、マラリア、鎌状赤血球貧血、B型肝炎、C型肝炎、肝毒性、アルコール依存症、肝硬変、ジルベール症候群、胆石と、膵臓癌、腺管癌及び一般的な転移性の癌を含む癌などの、いくつかの病状の指標となり得る。
【0003】
そのような検査は、患者に自主的にサンプルを採取及び提供してもらうことによって実施され得る。しかしながら、患者により採取されるような尿サンプルは、特定の被験者、例えば、子供、高齢者、負傷患者、歩行不能患者などからは容易に採取できないであろう。また、医療関係者または他の特に訓練された人々が必ずしもいないような特定の時間または状況で、これらの被験者から尿サンプルを採取しかつ検査するのが好ましいであろう。しばしば、尿の捕集及び衛生的な方法による廃棄のために、そのような患者たちにオムツまたはその他の吸収性物品が供与されることがある。もちろん、これらの物品は、尿及びその他の体内の老廃物が捕集されたかどうかを定期的にチェックされなければならない。
【0004】
オムツ及び/または吸収性物品を用いて尿サンプルを採取及び検出するための特定の製品が既に開発されている。一例として、米国特許第6,713,660号明細書(特許文献1)には、排泄物内の特定の生物学的分析物を検出するように適合されたバイオセンサを含む使い捨ての物品が記載されている。米国特許第6,203,496号明細書(特許文献2)には、特定の成分が存在する場合に色が変化するような1若しくは複数の化学試薬が吸収性領域に塗布された使い捨てのオムツが示されている。米国特許第5,468,236号明細書(特許文献3)には、使い捨ての吸収性製品であって、吸収性製品の一層または複数層に塗布される化学反応性手段を含むものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,713,660号明細書
【特許文献2】米国特許第6,203,496号明細書
【特許文献3】米国特許第5,468,236号明細書
【特許文献4】米国特許第5,075,077号明細書
【特許文献5】米国特許第5,670,381号明細書
【特許文献6】米国特許第5,252,459号明細書
【特許文献7】米国公開第2003/0124739号公報
【特許文献8】米国特許第5,192,606号明細書
【特許文献9】米国特許第5,702,377号明細書
【特許文献10】米国特許第5,931,823号明細書
【特許文献11】米国特許第6,060,638号明細書
【特許文献12】米国特許第6,150,002号明細書
【特許文献13】米国公開第2004/0102750号公報
【特許文献14】米国公開第2005/0054255号公報
【特許文献15】米国公開第2005/0059941号公報
【特許文献16】米国特許第5,486,166号明細書
【特許文献17】米国特許第5,490,846号明細書
【特許文献18】米国特許第6,663,611号明細書
【特許文献19】PCT国際特許出願第WO95/16425号公報
【特許文献20】米国特許第5,399,219号明細書
【特許文献21】米国特許第5,540,796号明細書
【特許文献22】米国特許第5,595,618号明細書
【特許文献23】米国特許第4,704,116号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように検査や製品が既に開発されたにも関わらず、依然として改良の必要性がある。尿などの体液中に黄疸や肝臓疾患の症状を示す1若しくは複数の特定の成分があるかどうか調べることができるデバイスがあれば有益であろう。それに加えて、黄疸の症状を示す分析物の早期発見のための効果的な尿検査を可能にする吸収性物品も、特に有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に従って、検査サンプル内のビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの存在または量を検出するための診断検査キットが開示されている。開示される検査キットは、例えば、ビリルビンまたはウルビリノーゲンと反応し得る指示薬、例えば、ジアゾニウムイオンまたはエールリッヒ試薬(p−アミノベンズアルデヒド及びその誘導体)を含む。デバイスにはラテラルフローアッセイデバイスも含まれ、ラテラルフローアッセイデバイスは、クロマトグラフィー媒体と、クロマトグラフィー媒体を通過した後に検査サンプルを受容する吸収性材料とを含む。クロマトグラフィー媒体は検出ゾーンを画定し、検出ゾーン内では、指示薬が固定されて標的分析物すなわちビリルビンまたはビリルビンの還元物質と反応すると色の変化を示し得る。
【0008】
別の実施形態に従って、黄疸と関連するレベルのビリルビンまたはウルビリノーゲンを含む疑いがある体液を受容するための吸収性物品が開示されている。この物品は、実質的に液体不透過性の層と、液体透過性の層と、実質的に液体不透過性の層と液体透過性の層との間に位置する吸収性コアと、ラテラルフローアッセイデバイスとを含み、ラテラルフローアッセイデバイスは、物品に組み込まれかつ物品の着用者から体液が供給されたときに体液と流体連通するように配置されている。ラテラルフローアッセイデバイスは、検出ゾーンを画定するクロマトグラフィー媒体を含み、検出ゾーンは、体液中のビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの存在または量を示す信号を呈するように構成されている。
【0009】
別の実施形態に従って、体液内のビリルビンまたはビリルビンの還元物質の存在を検出する方法が開示される。この方法は、ラテラルフローアッセイデバイスを提供するステップを含み、ラテラルフローアッセイデバイスは、検出ゾーンを画定するクロマトグラフィー媒体を含み、検出ゾーンは、体液内のビリルビンまたはウルビリノーゲンの存在または量を示す視覚的な検出信号を与えるように構成されている。ラテラルフローアッセイデバイスは体液と接触させられ、検出ゾーンに視覚的な検出信号が見られるかどうかが観察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)は、以下の添付図面を参照して本明細書の残りの部分により詳しく説明されている。
【図1】好適実施形態の分解図である。
【図2】別の好適実施形態の一部欠截斜視図である。
【図3】別の好適実施形態の一部欠截斜視図である。
【図4】別の好適実施形態の斜視図である。
【図5】別の好適実施形態の斜視図である。
【図6】特定の好適実施形態で使用され得るラテラルフローアッセイデバイスの1例を提供する斜視図である。 本明細書及び図面において繰り返し用いられている参照符号は、本発明の同一または類似の機構または要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、開示されている本発明の対象の様々な実施形態について詳細に言及し、その1若しくは複数の例を以下に示す。それぞれの例は、対象の制限ではなく説明として与えられている。実のところ、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく様々な変更形態及び変形形態が本発明においてなされ得ることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている機構は、別の実施形態で用いられてさらなる実施形態を生み出し得る。このように、本発明は、添付の請求項及び及びそれらと同等ものに含まれるような変更形態及び変形形態をカバーすることが意図されている。
【0012】
一般的に言えば、本開示は、尿、血液、粘液、唾液などの体液を検査する診断検査キットに関する。診断検査キットは、検出ゾーンを画定するクロマトグラフィー媒体(例えば多孔質メンブレン)を有するラテラルフローアッセイデバイスを含み、検出ゾーンは、ビリルビンまたはビリルビンの還元物質であるウルビリノーゲンの有無を示す信号を与える。ラテラルフローアッセイデバイスはまた、信号や界面活性剤などの発達を促進するためのpH環境を与える緩衝液などの成分を提供する試薬ゾーン及び/または十分な量の体液が検査のために提供されているかどうかを示す信号を与えるコントロールゾーンなどの付加的なゾーンを含み得る。
【0013】
一実施形態において、オムツなどの吸収性物品にラテラルフローアッセイデバイスが組み込まれ、使用者または介護者に健康状態に関する情報を迅速に与える。例えば、黄疸に関連する疾病によく見られる化合物に関する情報を提供するためにラテラルフローアッセイデバイスがオムツに組み込まれることがある。この情報は、使用者または介護者がさらなる検査及び/または治療を要求できるように早期警告システムを提供し得る。あるいは、検査から半定量的または定量的な結果が得られることがある。
【0014】
ここで、様々な実施形態について、より詳細に説明する。
【0015】
I.ラテラルフローアッセイデバイス
【0016】
一般的に言えば、ラテラルフローアッセイデバイスを用いて、例えばビリルビン及びウルビリノーゲンなどの黄疸に共通な1若しくは複数の分析物に対してヘテロジニアスアッセイが行われる。ヘテロジニアスアッセイは、或る化学種が、検出される前に別の化学種から分離されるようなアッセイである。分離は、物理的な分離によって、例えば、化学種の一方を別の反応槽へ移すことによって、ろ過、遠心分離、クロマトグラフィー、固相捕捉(solid phase capture)及び磁気分離などによって、行われ得る。分離は、化学種の一方または両方の移動が行われないが化学種は原位置で互いから分離されるという点で物理的でないこともある。
【0017】
いずれにしても、ラテラルフローアッセイデバイスを用いることにより、検査中の体液及び試薬のより均一なフローを含む様々な利点が与えられる。このことは、検査の精度を高め、外部の制御機構の必要性を最小限にする。図6を例えば参照しながら、ラテラルフローアッセイデバイス120の一実施形態について、より詳細に説明する。図に示すように、デバイス120には、任意選択で堅い支持部121により支持されるクロマトグラフィー媒体123が含まれる。クロマトグラフィー媒体123は、検査サンプルが通過することができる種々の材料のうち任意のもので作られ得る。例えば、クロマトグラフィー媒体123は、合成材料または自然起源の材料、例えば、多糖(例えば、紙などのセルロース材料及び酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体);ポリエーテルスルホン;ポリエチレン;ナイロン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリエステル;ポリプロピレン;シリカ;無機材料、例えば、不活性アルミナ、珪藻土、MgSO、または他の無機微粉材料であって、塩化ビニル、塩化ビニル−プロピレンコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーなどのポリマーによる多孔質ポリマーマトリクス内に均一に分散したものなど;自然起源の生地(例えば綿)及び合成生地(例えばナイロンまたはレーヨン);シリカゲル、アガロース、デキストラン、ゼラチンなどの多孔質ゲル;ポリアクリルアミドなどのポリマーメンブレン;その他から形成される多孔質メンブレンであり得る。1つの特定の実施形態では、クロマトグラフィー媒体123は、ニトロセルロース及び/またはポリエーテルスルホン材料から形成される。当然のことながら、「ニトロセルロース」なる語はセルロースの硝酸エステルを指し、ニトロセルロース単独または硝酸と他の酸(1ないし7個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸など)の混合エステルであり得る。
【0018】
クロマトグラフィー媒体123のサイズ及び形状は、当業者であれば容易に分かるように、一般的に多様であり得る。例えば、多孔質メンブレンストリップは、約10から約100ミリメートルの長さ、一部の実施形態では約20から約80ミリメートルの長さ、一部の実施形態では約40から約60ミリメートルの長さを有し得る。メンブレンストリップの幅も、約0.5ないし約20ミリメートル、一部の実施形態では約1ないし約15ミリメートル、一部の実施形態では約2ないし約10ミリメートルであり得る。同様に、メンブレンストリップの厚さは一般的にトランスミッションベースの検出を許容できるほど小さい。例えば、メンブレンストリップは、約500マイクロメートル未満の厚さ、一部の実施形態では約250マイクロメートル未満の厚さ、一部の実施形態では約150マイクロメートル未満の厚さを有し得る。
【0019】
上記したように、支持部121は、クロマトグラフィー媒体123を支持している。例えば、支持部121は、図2に示されるようにクロマトグラフィー媒体123に隣接して直接配置され得るか、あるいは、クロマトグラフィー媒体123と支持部121の間に1若しくは複数の介在層が置かれ得る。いずれにせよ、支持部121は、一般的に、クロマトグラフィー媒体123を支持することができる任意の材料から形成され得る。支持部121は、透明または光拡散(例えば半透明)材料などの光が透過する材料から形成され得る。また、支持部121は、媒体123を流れる流体が支持部121から漏れないように液不透過性であることが望ましいであろう。支持部のための適切な材料の例には、限定されるものではないが、ガラス;ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(例えばマイラー(登録商標)フィルム)、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、エポキシド、メタクリル酸、ポリメラミンなどのポリマー材料;その他が含まれる。クロマトグラフィー媒体123に十分な構造的バッキング(裏材)を与えるために、支持部121は一般的に一定の最小厚さを有するように選択される。同様に、支持部121の厚さは、通常その光学特性に悪影響を及ぼす程には大きくない。それゆえ、例えば、支持部121は、約100ないし約5,000マイクロメートルの厚さ、一部の実施形態では約150ないし約2,000マイクロメートルの厚さ、一部の実施形態では約250ないし約1,000マイクロメートルの厚さを有し得る。例えば、約125マイクロメートルの厚さを有する1つの適切なメンブレンストリップは、「SHF180UB25」という商品名でマサチューセッツ州ベッドフォードのミリポア社(Millipore Corp.)から入手できる。
【0020】
クロマトグラフィー媒体123は支持部121上へキャスティング(流延)されることができ、得られた積層物は所望のサイズ及び形状に打抜かれ得る。あるいは、クロマトグラフィー媒体123は単に例えば接着剤により支持部121に積層され得る。一部の実施形態では、ニトロセルロースまたはナイロン多孔質メンブレンがマイラー(登録商標)フィルムに付着される。多孔質メンブレンをマイラー(登録商標)フィルムに結合するために、粘着剤などの接着剤が用いられる。このタイプの積層構造は、マサチューセッツ州ベッドフォードのミリポア社から市販されていると考えられる。さらにまた別の適切な積層デバイス構造の例は米国特許第5,075,077号明細書(特許文献4)に記載されており、特許文献4は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0021】
デバイス120はまた、媒体123に隣接して配置される吸収材154を含み得る。吸収材154は、毛細管現象を促進しかつ流体が媒体123を通って流れる助けとなる。その上、吸収材154は、クロマトグラフィー媒体123全体を通って移動した流体を受容するので、検出領域から任意の未反応成分を引き寄せ、「偽陽性」の可能性を減少させるのに役立つ。本発明で用いられ得るいくつかの適切な吸収材には、限定されるものではないが、ニトロセルロース、セルロース系材料、多孔質ポリエチレンパッド、ガラス繊維ろ紙などが含まれる。吸収材154は、デバイスに組み入れられる前に湿っていても乾いていてもよい。プレウェッティングは一部の流体に対して毛細管流動を促進し得るが、通常は必要とされない。また、当分野で公知であるように、吸収材は、ウィッキング工程に役立つように界面活性剤で処理され得る。
【0022】
分析物の検出を開始するにあたり、体液(例えば尿など)がクロマトグラフィー媒体123の一部分に塗布されすることができ、体液はそこを通って図6中に矢印「L」で示されている方向に移動し得る。あるいは、体液は先ず、クロマトグラフィー媒体123と流体連通しているサンプル塗布ゾーン142と接触し得る。サンプル塗布ゾーン142は、図6に示すような別体のパッドまたは材料により画定され得るか、または単にクロマトグラフィー媒体123により画定され得る。図示されている実施形態において、体液は、サンプル塗布ゾーン142から、サンプルパッドの一方の端部と連通して配置され得る試薬パッド(図示せず)へと移動し得る。試薬パッドは、1若しくは複数の拡散的に固定された試薬を含み得、体液が通過できる材料(例えばガラス繊維)から形成され得る。吸収性材料154及び/または試薬パッドを形成するために用いられ得る適切な材料には、限定されるものではないが、ニトロセルロース、セルロース、多孔質ポリエチレンパッド、ガラス繊維ろ紙が含まれる。必要に応じて、試料パッドは、そこに拡散的にまたは非拡散的にのいずれかで付着される1若しくは複数のアッセイ前処理試薬も含有し得る。
【0023】
ラテラルフローアッセイデバイスは、ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの存在を示すために、1若しくは複数のゾーンを採用している。具体的には、そのようなゾーンは、一般的に、ビリルビンまたはウルビリノーゲンと相互作用する化学的または生物学的な試薬及び/または信号(例えば視覚的な信号)を生成するその他の試薬を含む。再び図6を参照すると、例えば、ラテラルフローアッセイデバイス120には検出ゾーン136が含まれており、検出ゾーン136内には指示薬が配置されている。
【0024】
ラテラルフローアッセイデバイスで用いられる特定の試薬には、例えば黄疸の早期診断として、ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの存在を直接検出することができる試薬が含まれる。ビリルビンは、普通は血液中に約0.2mg/dlないし約1.5mg/dlの範囲で存在するが、普通は尿に存在しない。その一方で、ウルビリノーゲンは、普通は血液には見られないが、普通は尿中に少量検出され得る。従って、ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンは、疾病の早期検出のためのバイオマーカとして使用されることができる。
【0025】
ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの存在を検出するために、様々な指示試薬を用いることができる。そのような指示薬の1つは、ビリルビンまたはウルビリノーゲンの化学的作用により検出可能な色素を形成する検出試薬である。例えば、指示試薬は、ビリルビンまたはウルビリノーゲンと反応してアゾ色素を形成するジアゾニウム塩であり得る。ビリルビン及びウルビリノーゲンは、次の一般式
【化1】

で表されるジアゾニウムイオンによる求電子攻撃を受けることができる。
【0026】
ジアゾニウムイオンは、ジアゾニウム部分の対イオンが環系に共有結合されているから両性イオンであり得る。ジアゾニウムイオンの環系は、置換または非置換のものであり得る。ジアゾニウムイオンは、塩化ジアゾニウム、硫酸ジアゾニウム、アルキル硫酸ジアゾニウム、フルオロホウ酸ジアゾニウム、ジアゾベンゼンスルホン酸塩、ジアゾニウム酸1,5−ナフタレンジスルホン酸などの様々な適切なジアゾニウム塩から供給され得る。
【0027】
上記したように、ビリルビンまたはウルビリノーゲンは、指示試薬(例えばジアゾニウムイオン)による求電子攻撃を受けることができる。この反応は、しばしば「カップリング」と呼ばれ、出発物質である指示試薬の色とは異なる色を呈する反応産物を結果的に形成する。例えば、ジアゾニウムイオンは、芳香族化合物と反応して一般式がR−N=N−R’である芳香族アゾ化合物を形成し得る。ここで「R」及び「R’」はアリール基である。理論に制限されるつもりはないが、この反応は、スペクトルの赤端部に向かう(「深色移動」)かまたはスペクトルの青端部に向かう(「浅色移動」)吸収最大値の移動を誘発すると考えられている。吸収極大の移動のタイプは、結果的に得られるアゾ分子の性質と、それが電子受容体(酸化剤)として作用する(浅色移動が起こる)か電子供与体(還元剤)として作用する(深色移動が起こる)かとによって決まる。吸収移動は、視覚的にあるいは器具を介して検出可能な色差を与え、検査サンプル中の分析物すなわちビリルビンまたはウルビリノーゲンの存在を示す。例えば、感染した検査サンプルとの接触前は、ジアゾニウムイオンは無色またはある種の色を持ち得る。しかし、検査サンプルとの接触及びビリルビンとの反応後は、ジアゾニウムイオンの最初の色とは異なる色を呈するような芳香族アゾ化合物が形成されることになる。
【0028】
ジアゾニウム塩は、特定の分析物に優先的に結合するように選択され得る。例えば、ビリルビンの検出に使用するのに適したジアゾニウム化合物を一覧にすると、限定されるものではないが、p−アミノベンゼンスルホン酸、2,6−ジクロロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロホウ酸塩、2−トリフルオロメチルベンゼンジアゾニウムを挙げることができる。
【0029】
ウルビリノーゲンに優先的に結合するジアゾニウムイオンには、次の一般構造式
【化2】

を有するものが含まれ得る。
【0030】
ここで、Xは安定化アニオンを表す。
【0031】
別の実施形態において、ウルビリノーゲンの選択的検出に用いられ得るジアゾニウムイオンは、以下の一般構造式
【化3】

を有する。
【0032】
ここで、R1ないしR7は、それぞれ独立的に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、Xは安定化アニオンである。
【0033】
ウルビリノーゲンと特異的にカップリングするのに使用され得るジアゾニウム化合物を一覧にすると、限定されるものではないが、4−フルオロ−3−ニトロベンゼンジアゾニウム塩、4−メトキシベンゼン−ジアゾニウム−テトラフルオロホウ酸塩、3,3−ジメトキシビフェニル−4,4−ジアゾニウム塩などを挙げることができる。
【0034】
当然のことながら、ジアゾニウム塩以外の指示薬を用いて、ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの存在下で検出可能な信号を与えることができる。例えば、検査サンプル中のウルビリノーゲンの検出にエールリッヒ試薬及びその誘導体を用いることができる。エールリッヒ試薬は、ウルビリノーゲンと優先的に反応し得る低分子のp−アミノベンズアルデヒド分子である。ジアゾニウム化合物と同様に、エールリッヒ試薬はウルビリノーゲンと反応して検出可能な色の変化を生じさせる。ここで開示されている製品で用いるエールリッヒ試薬は、限定されるものではないが、ジメチルアミノベンズアルデヒド及びジエチルアミノベンズアルデヒドなどのジアルキルアミンベンズアルデヒドを含み得る。
【0035】
ここで再び図6を参照すると、指示試薬は、サンプル塗布ゾーン142から下流に配置され得る。例えば、上記した指示試薬は、ラテラルフローアッセイデバイス120の検出ゾーン136内に固定され得る。例えば、ジアゾニウムイオンを媒体123に直接塗布するか、あるいは塗布前に先ず溶液の形にすることができる。限定されるものではないが、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチルアルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)及びその他の極性有機溶媒などの様々な溶媒を利用して溶液を作ることができる。例えば、溶液中のジアゾニウム塩の量は、溶媒1ミリリットル当たり約0.001ミリグラムないし約100ミリグラム、一部の実施形態では溶媒1ミリリットル当たり約0.1ミリグラムないし約10ミリグラムであり得る。1つの特定の実施形態において、検出ゾーン136は、クロマトグラフィー媒体123により画定され、公知技術を用いてその上に指示薬を非拡散的に固定することによって形成され、その後、乾燥させられる。指示試薬の濃度は、所望のレベルの検出感度を与えるように選択的に制御され得る。
【0036】
一般的に、指示試薬は、クロマトグラフィー媒体123のマトリクスを通して実質的に拡散しない(すなわち非拡散的に固定される)ように塗布される。こうすることで、指示薬が分析物と反応すると生じる色の変化を使用者が迅速に検出できるようになる。この点で、特定の高分子試薬(例えば、ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、粒子など)が本発明のデバイスにおいて特に有用であり得る。一般的に言えば、そのような高分子試薬には少なくとも2つの官能基すなわち反応性部分及び高分子部分が含まれ、これらは共有結合的または非共有結合的に結びついている。高分子部分は、例えばポリマー部位(直鎖状または分枝状のホモポリマーまたはコポリマーなど)を含む。ポリマー部位は、天然ポリマー部位、合成ポリマー部位またはこれらの組合せであり得る。天然ポリマー部位の例には、例えば、ペプチド、タンパク質、DNA/RNA及び多糖類(例えばグルコースベースのポリマー)などが含まれる。合成ポリマー部位の例には、例えば、ポリアクリル酸及びポリビニルアルコールが含まれる。適切な多糖類検出試薬の1つの特定例は、ジクロロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロホウ酸塩(ジアゾニウム部位)に結合された活性デキストラン(ポリマー部位)である。
【0037】
前述したように、高分子部位は粒子(「ビーズ」または「マイクロビーズ」と呼ばれることがある)でもあり得る。核、マイコプラズマ、プラスミド、プラスチド、哺乳類細胞(例えば赤血球ゴースト)、単細胞微生物(例えば細菌)、多糖類(例えばアガロース)などの自然起源の粒子が用いられ得る。さらに、合成粒子も利用され得る。例えば、一実施形態では、ラテックス微粒子が利用され得る。任意の合成粒子が用いられ得るが、粒子は通常、ポリスチレン、ブタジエンスチレン、スチレンアクリル−ビニルターポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピリジン、ポリジビニルベンゼン、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル、塩化ビニルアクリレートなど、あるいはそれらのアルデヒド誘導体、カルボキシル誘導体、アミノ誘導体、ヒドロキシル誘導体またはヒドラジド誘導体から形成される。利用されるとき、粒子の形状は一般的に多様であり得る。1つの特定の実施形態では、例えば、粒子は球形をしている。しかし、当然のことながら、プレート形、ロッド形、円盤形、バー形、チューブ形、不整形などの他の形状も本発明では考慮されている。その上、粒子のサイズも多様であり得る。例えば、粒子の平均サイズ(例えば平均径)は、約0.1ナノメートルないし約100ミクロン、一部の実施形態では約0.1ナノメートルないし約100ミクロン、一部の実施形態では約1ないし約10ナノメートルであり得る。
【0038】
粒子は、一般的には種々の公知技術のうち任意のものを用いて指示薬に結合され得る。例えば、粒子と指示試薬との共有結合は、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、ブロムアセチル基、ヨードアセチル基、チオール基、エポキシ基またはその他の反応性官能基、そのほかのフリーラジカル及びラジカルカチオンを用いて達成されることができ、そうすることによってカップリング反応が達成され得る。粒子の表面は比較的に高い表面濃度の極性基を含み得るので、表面官能基も官能性コモノマーとして利用され得る。場合によっては、粒子は、さらなる修飾の必要なく指示試薬に直接共有結合されることができ得る。共有結合の他に、物理吸着などの他の付着技術も本発明において利用され得ることも当然である。
【0039】
1つの特定の実施形態において、エールリッヒ試薬の一部(p−アミノベンズアルデヒド)を保有している粒子が検出ゾーン136でクロマトグラフィー媒体123に非拡散的に結合され得る。検査サンプルの塗布後、試料中のウルビリノーゲンがエールリッヒ試薬と相互作用して、検出ゾーンで検出可能な信号を生成し得る。
【0040】
ラテラルフローアッセイデバイスの1つの利点は、所望の反応を促進するために、1若しくは複数の付加的なゾーンを容易に組み込むことができることである。一例として、試薬ゾーン(図示せず)が使用され得る。図で示した実施形態において、試薬ゾーンは、検査サンプルがサンプル塗布ゾーン142からサンプル塗布ゾーン142と流体連通している試薬ゾーンまで移動するように配置され得る。試薬ゾーンは、媒体123上に形成され得る。あるいは、試薬ゾーンは、ベッ体の材料またはパッドから形成され得る。そのような試薬パッドは、検査サンプルが通過できる任意の材料、例えばガラス繊維などから形成され得る。カップリング反応を促進し得る試薬には、例えば、界面活性剤、安定剤などであって、試薬ゾーンに拡散的または非拡散的に固定され得るものを含めることができる。
【0041】
一実施形態において、ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンの検出を促進するために用いられ得る試薬は緩衝液を含み得る。例えば、一般的に酸性媒質中でウルビリノーゲンはエールリッヒ試薬ベースの指示薬と反応する。従って、所望のカップリング反応を促進するために、適切な緩衝液を混入して検査サンプルのpHを比較的酸性のレベルに調整することができる。酸性緩衝液には、例えば、メタリン酸、クエン酸、シュウ酸、ホウ酸などを含めることができる。典型的には、所望のpHレベルを達成するために、ラテラルフローアッセイデバイス120上に緩衝液を拡散的に固定し得る。例えば、デバイス120に塗布する前に緩衝液を指示試薬と混合し、指示試薬と共に検出ゾーン136に塗布することができる。あるいは、検査される体液に曝された直後でかつ指示試薬に曝される前に緩衝液が検査サンプルと混合するように、緩衝液と指示試薬を別々にラテラルフローアッセイデバイス120に塗布してもよい。
【0042】
一実施形態において、検出ゾーン136またはその上流に緩衝液を拡散的に固定することができ、緩衝液を利用してデバイスの特性をさらに調整し得る。例えば、アッセイデバイス120が検査サンプルに曝されると、カップリング反応のための所望のpHレベルを与えるように、緩衝液成分が放出されかつ検査サンプルと混合され得る。標準のサンプルpH条件下では分析物との反応性を示さない指示試薬を用いるとき、緩衝剤が放出されかつ検出ゾーン136を通過した後には、アッセイデバイス120に曝すサンプル量を追加してもさらに検出信号を生成することはないであろう。従って、アッセイデバイス120は、例えばアッセイデバイス120が或る体液に何度も曝される場合に「偽陽性」の可能性を減少させるのに役立つように、内部検査サンプル量を制御できる機能を備えることができる。
【0043】
検出精度を高めるためにラテラルフローアッセイデバイス120に採用され得る別のゾーンがコントロールゾーン138である。コントロールゾーン138は、検査が適切に実施されていることを示す信号を使用者に与える。より具体的に言うと、試薬が、十分な量の検査される体液と接触する際に、クロマトグラフィー媒体123を通って流れるように塗布される。これらの試薬は、目視により、あるいは器具を介して、コントロールゾーン138内で観察され得る。コントロール試薬は、一般的に、発光化合物(例えば、蛍光化合物、リン光性化合物);放射性化合物;可視化合物(例えば、有色色素や、金などの金属物質);リポソームまたは信号発生物質を含むその他の小胞;酵素及び/または基質などの検出可能な物質を含む。その他の適切な検出可能な物質は、米国特許第5,670,381号明細書(特許文献5)及び米国特許第5,252,459号明細書(特許文献6)に記載されている。特許文献5及び6は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0044】
コントロールゾーン138は、上記で説明したような方法で非拡散的に固定されかつコントロール試薬との化学的及び/または物理的結合を形成するような材料を含み得る。例えば、コントロール試薬にラテックス粒子が含まれるとき、コントロールゾーン138には粒子に結合する高分子電解質が含まれる。様々な高分子電解質の結合システムが、例えば米国公開第2003/0124739号公報(特許文献7)に記載されており、特許文献7は全文を引用することを以て本明細書の一部となす。しかしながら、代替的実施形態において、コントロールゾーン138は、単に、コントロール試薬がクロマトグラフィー媒体123を通って移動してきた後に流れ込む吸収性材料154の或る領域により画定され得る。
【0045】
検出ゾーン136及びコントロールゾーン138の位置は多様であり得る。例えば、図で示した実施形態において、コントロールゾーン138はクロマトグラフィー媒体123により画定されかつ検出ゾーン136の下流に位置する。しかしこれは必須ではなく、別の実施形態ではコントロールゾーンは検出ゾーンの上流に位置し得る。
【0046】
選択される特定のコントロール技術及び検出ゾーンとコントロールゾーンとの相対位置に関わらず、デバイス120に十分な量の検査サンプルを塗布すると、検査対象の分析物の有無を問わず信号をコントロールゾーン138内に形成させる。そのようなコントロールゾーンにより与えられる利点の1つが、慎重な測定または計算を要さずに十分な量の検査サンプルが加えられたことを使用者または他の人が知らされることである。これにより、反応時間、検査サンプル量などを外部から制御する必要なくラテラルフローアッセイデバイス120を使用することができる。高齢者、子供、または十分に意思疎通できない患者にしてみれば、コントロールゾーン138は、サンプルが排出、捕集され、首尾よく検査されたことの指標となる。
【0047】
検出ゾーン136、コントロールゾーン138、試薬ゾーン、またはラテラルフローアッセイデバイス120に採用される任意の他のゾーンは、一般的に、使用者が検査サンプル中のビリルビンまたはその還元物質の濃度をより良好に判定し得るように、任意の数の異なる検出領域を提供し得る。各領域には同じかまたは異なる材料が含まれ得る。例えば、これらのゾーンは、2つ以上の異なる領域(例えば、線、点など)を含み得る。これらの領域は、デバイス120を通過する検査サンプルの流れに実質的に垂直な方向に線の形で配置され得る。同様に、いくつかの実施形態において、これらの領域は、デバイス120を通過する検査サンプルの流れに実質的に平行な方向に線の形で配置され得る。
【0048】
ラテラルフローアッセイデバイス120は、任意選択で消光ゾーン(図示せず)を含み得る。消光ゾーンは、検出システムの精度の阻害となりかねない化合物を検査サンプルから除去するように構成されている。例えば、検査サンプル中の混入物質(例えばフェノール成分)または検査サンプル中において期待され得る通常レベルの分析物(例えば、血液中の通常レベルのビリルビン、または尿中の通常レベルのウルビリノーゲン)は、検出ゾーン136に到達する前または検出ゾーン136内で指示薬と反応して芳香族アゾ化合物を形成することがあり、それによって偽陽性/偽陰性を生じさせる。このように、消光ゾーンは、陰性サンプルではゼロまたはほぼゼロのバックグラウンド信号を生成するために通常レベルの分析物(例えば健康な人の尿中に含まれる少量のウルビリノーゲン)と反応することができるジアゾニウムイオンまたはエールリッヒ試薬などの消光剤を所定量含み得る。消光ゾーン内の消光試薬は、検出ゾーンでの反応のためにサンプル中の阻害成分と反応し得る。消光剤は、検出ゾーン136内で使用される指示薬と同じでも異なっていてもよい。典型的には、消光剤は、媒体123中を流れて検査の妨げとなることがないように、上記で説明した方法で消光ゾーン内に非拡散的に固定される。消光ゾーンの位置は多様であり得るが、通常は検出を妨げないように検出ゾーン136の上流に位置する。例えば、図に示した実施形態においては、消光ゾーンはサンプル塗布ゾーン142のすぐ下流に配置され得る。
【0049】
一実施形態において、ラテラルフローデバイス120は、複数の検出ゾーンを含み得る。例えば、ラテラルフローデバイスは、黄疸の早期検出のために検査サンプルを包括的に検査するべく、ビリルビン検出用の第1の検出ゾーンと、ウルビリノーゲン検出用の第2の検出ゾーンとを含み得る。
【0050】
別の実施形態において、ラテラルフローデバイス120は、複数の検出ゾーン及び複数の試薬ゾーンを含み得る。例えば、ラテラルフローデバイスは、黄疸の早期検出のために検査サンプルを包括的に検査するべく、ビルビリン検出用の第1の検出ゾーン(例えば、非拡散的に固定されたジアゾニウムベースの指示薬が固定されている)と、ウルビリノーゲン検出用の第2の検出ゾーン(例えば、非拡散的に固定されたエールリッヒ試薬ベースの指示薬が固定されている)とを含み得る。第1の試薬ゾーンは、第1の検出ゾーンの上流に位置して第1の検出ゾーン内の反応に対する特定の検出環境(例えばpH)を与え得る。第2の試薬ゾーンは、第1の検出ゾーンと第2の検出ゾーンとの間に位置して第2の検出ゾーンの反応に対する第2の検出環境(例えば酸性pHなどの異なるpH)を与え得る。
【0051】
ここで、図6のデバイス120を用いて検査サンプル中のウルビリノーゲンの存在を検出する模範的な方法について、より詳細に説明する。最初に、ウルビリノーゲンを含む尿がサンプル塗布ゾーン142に排出され、「L」方向に試薬ゾーンまで移動する。試薬ゾーンでは、ウルビリノーゲンは、酸性緩衝液、界面活性剤、その他の同種の物質と混合することができる。検出ゾーン136で、そしてpH調整した媒体中で、ウルビリノーゲンは非拡散的に固定されているエールリッヒ試薬ベースの指示薬と反応し、検出ゾーン136において有色化合物を形成する。反応後、検出ゾーン136は変色する。制御された流体の流れの性質により、過剰な尿中の未反応ウルビリノーゲンは、全て反応媒体の末端まで移動するので、検出領域の有色化合物の観察に悪影響を及ぼすことができない。
【0052】
II.吸収性物品
【0053】
本開示の一実施形態に従って、1若しくは複数のラテラルフローアッセイデバイスが吸収性物品に組み入れられ得る。「吸収性物品」は一般的に水または他の流体を吸収できる任意の物品を指す。いくつかの吸収性物品の例には、限定されるものではないが、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性パンツ、失禁物品、婦人用衛生用品(例えば生理用ナプキン)、水着、赤ちゃん用おしり拭きなどのパーソナルケア吸収性物品;衣服、開窓部を有する(fenestration)材料、アンダーパッド、ベッドパッド、包帯、吸収性ドレープ、医療用ワイプなどの医療用吸収性物品;食事用の手口拭き;衣料品;その他が含まれる。そのような吸収性物品を形成するのに適した材料及び工程は、当業者によく知られている。典型的には、吸収性物品には、実質的に液不透過性の層(例えばアウターカバー)、液透過性の層(例えば体側ライナー、サージ層など)、吸収性コアが含まれる。
【0054】
ここで、形成され得る吸収性物品の様々な実施形態について、より詳細に説明する。例示の目的のためだけに、吸収性物品が図1にオムツ101として示されている。図で示されている実施形態では、オムツ101は、展開状態において砂時計形のくびれのある形状を有するものとして示されている。しかし、概ね矩形の形状、T字形またはI字形などの他の形状も勿論使用され得る。図のように、オムツ101は、アウターカバー117、体側ライナー105、吸収性コア103、サージ層107を含む種々の構成要素によって形成される構造を含む。しかし、当然のことながら、他の層も本発明の例示的実施形態に用いられ得る。同様に、図1で言及されている層のうちの1若しくは複数の層は、本発明の特定の例示的実施形態において除外され得る。
【0055】
体側ライナー105は、吸収性コア103内に保持された液体から着用者の皮膚を分離するのを助けるために一般的に使用される。例えば、ライナー105は、典型的には柔軟かつ柔らかな風合いで着用者の皮膚を刺激しないような、体に面している表面を呈している。典型的には、ライナー105はまた、着用者に対して表面を比較的乾いたままにするように、吸収性コア103よりも親水性が低い。上記したように、ライナー105は、液体がライナーの厚さを貫通して容易に浸透することができるように、液透過性であり得る。不織布を含む例示的なライナー構造は、米国特許第5,192,606号明細書(特許文献8)、米国特許第5,702,377号明細書(特許文献9)、米国特許第5,931,823号明細書(特許文献10)、米国特許第6,060,638号明細書(特許文献11)、米国特許第6,150,002号明細書(特許文献12)、米国公開第2004/0102750号公報(特許文献13)、米国公開第2005/0054255号公報(特許文献14)及び米国公開第2005/0059941号公報(特許文献15)に記載されており、特許文献8乃至15は全て、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0056】
オムツ101はまた、吸収性コア103内に速やかに導入され得る液体の急増(サージ)または噴出を減速しかつ拡散するのに役立つサージ層107を含み得る。サージ層107は、液体を吸収性コア103の貯蔵または貯留部分に放出する前に液体を速やかに受け入れかつ一時的に保持するのが望ましい。図で示されている実施形態では、例えば、サージ層107は、体側ライナー105の内向きの表面116と吸収性コア103の間に間挿される。あるいは、サージ層107は体側ライナー105の外向きの表面118上に配置され得る。サージ層107は、典型的には、液透過性の高い材料から作られる。適切なサージ層の例は、米国特許第5,486,166号明細書(特許文献16)及び米国特許第5,490,846号明細書(特許文献17)に記載されており、特許文献16及び17は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0057】
アウターカバー117は、典型的には、実質的に液不透過性の材料から形成される。例えば、アウターカバー117は、プラスチック薄膜または他の可撓性のある液不透過性材料から形成され得る。一実施形態では、アウターカバー117は、約0.01ミリメートルから約0.05ミリメートルの厚さを有するポリエチレン膜から形成される。膜は、液体を透過させることができないが気体及び水蒸気を透過させることができる(すなわち「通気性がある」)膜であり得る。これは、蒸気を吸収性コア103から逃がすが、それでもなお液体滲出物がアウターカバー117を通り抜けないようにする。布のような感触に近づけたいならば、アウターカバー117は、不織布に積層されたポリオレフィン膜から形成され得る。例えば、伸ばして細くしたポリプロピレン膜がポリプロピレンスパンボンド不織布に熱的に積層され得る。
【0058】
上記した構成要素の他にも、オムツ101は、当分野で既知であるように、様々な他の構成要素を含み得る。例えば、オムツ101は、吸収性コア103の繊維構造の完全性を維持するのに役立つような実質的に親水性の薄織ラップシート(図示せず)も含み得る。薄織ラップシートは、典型的には吸収コア103の周りにその少なくとも2つの大きな接面全体を覆って置かれ、縮緬状ワッディングや湿潤強度の高い薄織物などの吸収性のセルロース系材料から構成される。薄織ラップシートは、吸収コア103の吸水性のある繊維の塊の上に液体を速やかに分散させるのに役立つウィッキング層を提供するように構成され得る。吸水性のある繊維の塊の片側上のラップシート材料は、吸収性コア103を効率的に閉じ込めるように繊維の塊の反対側に配置されたラップシートに結合され得る。さらに、オムツ101は、吸収コア103とアウターカバー117との間に位置する通気層(図示せず)も含み得る。利用されるとすれば、通気層は、アウターカバー117を吸収性コア103から隔離し、それによってアウターカバー117内の湿気を減らすのに役立ち得る。そのような通気層の例として、米国特許第6,663,611号明細書(特許文献18)に記載されているような、通気性フィルムへ積層された不織布を含み得る。特許文献18は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0059】
いくつかの実施形態において、オムツ101は、オムツ101の側端132から前後のウエスト領域のうち一方に延在する1対のサイドパネル(または耳)(図示せず)も含み得る。サイドパネルは、選択されたオムツの要素とともに一体に形成され得る。例えば、サイドパネルは、アウターカバー117と一体に、あるいは上面を提供するために用いられる材料から形成され得る。代替構成では、サイドパネルは、アウターカバー117、上面、アウターカバー117と上面の間に結合されかつ組み立てられる要素によって、あるいは様々な他の構成で、提供され得る。必要に応じて、伸縮性不織複合材料を用いてサイドパネルに弾性を持たせるかあるいは別な方法で弾性にすることができる。伸縮性のあるサイドパネル及び選択的に構成された固定用タブを含む吸収性物品の例は、PCT国際特許出願第WO95/16425号公報(特許文献19)、米国特許第5,399,219号明細書(特許文献20)、米国特許第5,540,796号明細書(特許文献21)及び米国特許第5,595,618号明細書(特許文献22)に記載されており、特許文献19乃至22は各々、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0060】
図1に典型的に示されているように、オムツ101は、障壁を提供しかつ体液(滲出液)のラテラルフローを封じ込めるように構成されている1対の閉じ込めフラップ112も含み得る。閉じ込めフラップ112は、体側ライナー105の長手方向に対向する両側端132に沿って吸収性コア103の側端に隣接して配置され得る。閉じ込めフラップ112は、吸収性コア103の全長に沿って長手方向に延在し得るか、あるいは、吸収性コア103の長さに部分的にのみ沿って延在し得る。閉じ込めフラップ112が吸収性コア103より長さが短いとき、閉じ込めフラップ112は、股領域110において大人用失禁用品101の側端132沿いの任意の場所に選択的に配置され得る。一実施形態では、体液(滲出液)をより良好に封じ込めるために、閉じ込めフラップ112は吸収性コア103の全長に沿って延在する。そのような封じ込めフラップ112は、一般的に当業者によく知られている。例えば、封じ込めフラップ112の適切な構造及び構成は米国特許第4,704,116号明細書(特許文献23)に記載されており、特許文献23は、本明細書において、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0061】
フィット性を良くしかつ体液(滲出液)の漏れを減らすのに役立たせるために、以下に詳述するように、適切な弾性部材によってオムツ101に伸縮性を持たせることができる。例えば、図1に典型的に示されているように、オムツ101に、オムツ101のの側縁部を動作的に引っ張るように構築されたレッグ伸縮素材部106を含めることによって、漏れを少なくし、快適さ及び見た目を良くするべく、着用者の脚の周りにぴったりとフィットすることができる伸縮性のある脚帯を設けることができる。オムツ101の端縁部に伸縮性を持たせるためにウエスト伸縮素材部108を用いて伸縮性のあるウエストバンドを設けることもできる。ウエスト伸縮素材部108は、着用者の腰の周りに、弾力性があり気持ちよくぴったりしたフィット性を与えるように構成されている。
【0062】
オムツ101は、1若しくは複数の固定手段130を含むこともある。例えば、着用者の周りにウエスト開口部及び1対のレッグ開口部を作るためにウエスト領域の両側端に設けられた2つの可撓固定手段130が図1に示されている。固定手段130の形状は、一般的に多様であり得るが、例えば概ね矩形の形状、方形形状、円形形状、三角形形状、楕円形状、直線形状などを含み得る。固定手段は、例えば、フックアンドループ素材、ボタン、ピン、スナップ、粘着テープファスナー、粘着剤、ファブリックアンドループ(fabric-and-loop)ファスナーなどを含み得る。1つの特定の実施形態では、各固定手段130は、可撓バッキングの内面に付けられた別のフック材料を含む。
【0063】
オムツ101の様々な領域及び/または構成要素は、接着剤、超音波接合、過熱ボンドなどの任意の既知の付着機構を用いて一緒に取り付けられ得る。適切な接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤、粘着剤などを含み得る。利用されるとすれば、接着剤は、均一層、パターン層、溶射パターン、または離れた線、渦またはドットのいずれかとして塗布され得る。図で示されている実施形態では、例えば、アウターカバー117及び体側ライナー105は、接着剤を用いて、互いに、そして吸収性コア103に、取り付けられている。あるいは、吸収性コア103は、ボタン、フックアンドループ型ファスナー、粘着テープファスナーなどの従来の固定手段を用いてアウターカバー117に結合され得る。同様に、レッグ伸縮素材部106、ウエスト伸縮素材部108、固定手段130などの他の大人用失禁用品の構成要素もまた、任意の付着機構を用いてオムツ101に取り付けられ得る。
【0064】
一般的に言えば、本発明のデバイスが、体液を受容することができ、使用者または介護者に分析物の有無の信号を与えることができる限り、ラテラルフローアッセイデバイスは、様々な異なる向き及び構成で吸収性物品に組み入れられ得る。例えば、分析物の存在を簡単に、正確に、かつ即時に示され得るように検出ゾーン及び/またはコントロールゾーンは通常使用者または介護者が目で見ることができる。そのような両ゾーンの可視性は、様々な方法で実現され得る。例えば、いくつかの実施形態において、吸収性物品は、着用者から吸収性物品を取り去ることなくかつ/または吸収性物品を分解することなく検出ゾーン及び/またはコントロールゾーンが容易に見える透明または半透明の部分(例えば窓、膜など)を含み得る。他の実施形態において、検出ゾーン及び/またはコントロールゾーンは、観察のために吸収性物品の孔またはアパーチャ部を貫通して延在し得る。さらに他の実施形態では、検出ゾーン及び/またはコントロールゾーンは観察のために単に吸収性物品の表面上に配置され得る。
【0065】
ここで図1及び図6を参照すると、オムツ101は、少なくとも部分的にアウターカバー117と吸収性コア103の間に配置され得るラテラルフローアッセイデバイス120を含む。ラテラルフローアッセイデバイス120は、検出ゾーン136及びコントロールゾーン138がアウターカバー117の窓140から目に見えるように配置され得る。サンプルゾーン142は、アッセイデバイス120の一端に配置されているが、着用者が排泄した尿が排泄された尿の少なくとも一部を内部に捕集するためのサンプルゾーン142へ移動できるようにオムツ101内に戦略的に配置されている。アッセイデバイス120の他端には、サンプルの一部を保持しかつデバイス120におけるウィッキングまたは毛細管流動を促進するために吸収材154も設けられている(詳細な説明は後述)。
【0066】
図1は、吸収性物品101を含む層内に直接載置されているアッセイデバイス120を示している。あるいは、アッセイデバイス120は、サンプルゾーン142を除いて薄膜(図示せず)内に部分的にまたは完全に包み込まれ得るが、サンプルゾーン142は、検査される体液(例えば尿)に曝されたままである。そのような実施形態は、サンプルゾーン142以外のアッセイデバイス120の他の構成要素に、着用者から直接、または吸収性物品101の層から体液を受容させないようにするために望ましいであろう。例えば、吸収性材料154が、体液をサンプルゾーン142からのみ引き寄せ、吸収性物品101からは引き寄せないように遮蔽されるならば、アッセイデバイス120は、より効率的に作用し得る。そのような薄膜は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどのポリマーを含む様々な材料から作られ得る。
【0067】
上記したように、アッセイデバイス120は、排出された体液を受容するように配置されている。図のように、アッセイデバイス120は流体を捕集するためのサンプルゾーン142を含む。あるいは、アッセイデバイス120のためのサンプルゾーンは、吸収性物品101の一部を形成する1若しくは複数の構成要素から作られ得る。一例として、サンプルゾーンは、サージ層107、吸収性コア103、または、吸収性物品101の構成に用いられる可能性があり、流体を受容しかつアッセイデバイス120に設けることができるような他の構成要素の一部として作られることができる。
【0068】
アッセイデバイス120は、オムツ101と共に、様々な異なる配置及び向きで構成され得る。図1は、吸収コア103とアウターカバー117との間の位置にあるアッセイデバイス120を示している。このように、ゾーン136及び138は、オムツ101が着用者上の適所にあるときに窓140から見える。窓140は、捕集された流体の望ましくない漏れを防止するためにアウターカバー117の一部として形成される透明材料で作られる。そのような場合には、デバイス120による検査の結果は、着用者からオムツ101を取り外すことなく容易に観察され得る。あるいは、デバイス120は例えば吸収性コア103と体側ライナー105の間に置かれ、窓140は体側ライナー105によって画定されることができる。そのような場合には、アッセイデバイス120による検査の結果は、例えば、着用者が着用しているオムツ101が交換されるかまたは取り替えられるときにチェックされ得る。さらに、デバイス120は、他の場所に、異なる向きで、配置されることもある。
【0069】
実際、本開示を用いて理解されるであろうように、さらに後述されるような、アッセイデバイス120を吸収性物品に組み入れるための例示的実施形態が数多く存在する。例えば、図2は、アッセイデバイス120がオムツ215に組み入れられているような本発明の別の例示的実施形態を示している。ここで、窓240から前述のような検出ゾーン136及びコントロールゾーン138を観察することができる。図1と比較すると、アッセイデバイス120は、オムツ101の逆側に置かれている。
【0070】
図3は、アッセイデバイス120がオムツ315に組み入れられている別の例示的実施形態を示している。この場合もやはり、窓340から前述のような検出ゾーン136及びコントロールゾーン138を観察することができる。図1及び図2と似たような形で、吸収性材料154が、アウターカバー117に隣接して配置されている。しかし、図1及び図2とは対照的に、サンプルゾーン142は着用者の皮膚に隣接して配置されている。さらに具体的に言うと、オムツ315は、吸収性コア303及び体側ライナー305を貫通してサンプルゾーン142が着用者の皮膚に隣接することになる位置まで延在するアッセイデバイス120を備えて作られている。
【0071】
図4は、2つのアッセイデバイス120が組み入れられているオムツ415を示している。図のように、窓440によって、2つの異なるアッセイデバイス120の検出ゾーン136及びコントロールゾーン138がオムツ415の外側から観察されることができる。そのような構成は、例えば、各アッセイデバイス120が異なる分析物の存在を検出するように作られる場合に望ましいであろう(例えば、ビリルビンを検出するための第1のアッセイデバイス及びウルビリノーゲンを検出するための第2のアッセイデバイス)。その上、図4のアッセイデバイスは、図1ないし図3の実施形態に対して鈍角に向けられている。このように、図4は、本明細書に開示されている教示に基づいてデバイス120の複数の構成及び向きが使用され得ることも示している。
【0072】
図5は、オムツ515に組み入れられているアッセイデバイス120を示している。窓から目に見えるよりはむしろ、実際には検出ゾーン136及びコントロールゾーン138はオムツ515の外側にある。サンプルゾーン142は、アッセイデバイス120の一部としてオムツ515の内側に存在し、カバー517のアパーチャ部542を貫通して延在している。アッセイデバイス120を保護しかつオムツ515からの流体の漏れを防止するために、カバー517に透明膜541が付けられている。
【0073】
上記した各実施形態に関して、アッセイデバイス120は、様々な技術または機構を用いて吸収性物品内の適所に固定され得る。例えば、アッセイデバイス120は、接着剤、超音波、熱ボンドなどの任意の既知の付着機構を用いて取り付けられ得る。適切な接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤、粘着剤などを含み得る。利用されるとすれば、接着剤は、均一層、パターン層、溶射パターン、または離れた線、渦またはドットのいずれかとして塗布され得る。あるいは、アッセイデバイス120は、ボタン、フックアンドループ型ファスナー、粘着テープファスナーなどの従来の固定手段を用いて結合され得る。さらなる例として、アッセイデバイス120の位置を固定するために、吸収性物品の1若しくは複数の層にポケットまたはアパーチャ部が組み込まれ得る。要するに、検査される体液との接触を確実するのに役立つような位置にアッセイデバイス120を固定するための様々な構成が用いられ得る。
【0074】
再度繰り返すが、本開示はオムツに限定されるものではなく、他の吸収性物品と共に用いられ得るので、図1ないし図6の実施形態はほんの一例として与えられている。それに加えて、アッセイデバイスの数多くの構成及び変形形態が用いられ得る。そのようなアッセイデバイスは、様々な向き及び構成で、そのような吸収性物品に組み入れられ得る。
【0075】
尿などの流体は、それが組み入れられる特定の方法にかかわらず、クロマトグラフィー媒体123の一部分、液透過性カバー、またはアッセイデバイス120を囲繞している他の材料に直接排出され得るか、あるいはアッセイデバイス120が組み入れられている吸収性物品の構成要素上へ排出され得る。ひとたび流体がクロマトグラフィー媒体123に到達すると、流体は図6において矢印「L」によって示されている方向に移動し得る。あるいは、検査サンプルは先ず、クロマトグラフィー媒体123と流体連通しているサンプル塗布ゾーン142に塗布または供給され得る。サンプル塗布ゾーン142は、媒体123上に形成され得る。あるいは、図1に示されているように、サンプル塗布ゾーン142は、パッドなどの別体の材料によって形成され得る。
【0076】
十分な反応時間の後、検査サンプルに存在する分析物のレベルを定量的または半定量的に判定するために検出ゾーン136における色の強さが測定され得る。とは言え、健康状態の早期検査及びモニタリングを提供するために、定量的検査も行われ得るが、典型的には定性的検査が採用される。それゆえ、ビリルビン及び/またはウルビリノーゲンが視覚的に検出されるとき、使用者または介護者は、さらなる定量的検査が始められ得るという指標を与えられる。例えば、アッセイデバイスが組み入れられたオムツは、黄疸を検査する監視プログラムの一部として乳児または歩けない患者に定期的に用いられ得る。陽性検査結果が示されると、追加的な治療情報を提供するために、検出された疾患の範囲及びステージを判定するために、さらなる定量的検査が始められることができる。
【0077】
本開示については、次の例を参照してより良く理解されよう。
【0078】
例1
【0079】
サンプルゾーン、試薬ゾーン、検出ゾーン、ウィッキングゾーンを含むデバイスを形成した。
【0080】
最初に、ミリポア社製のHF12002ニトロセルロースメンブレンカード上に、0.5Nの塩酸(HCl)に溶かしたジエチルアミノベンズアルデヒド(DEBA)であるエールリッヒ試薬を縞状に塗布し、検出ゾーンを形成した。その後、カードを37℃で1時間乾燥させた。
【0081】
ミリポア社から入手したガラス繊維パッドを、メタノールに溶かした界面活性剤(アルカノール(登録商標)S−186)及びシュウ酸(60mg/mL)に浸し、37℃で1時間乾燥させて、緩衝液及び界面活性剤の両方を含む試薬ゾーンを形成した。
【0082】
その後、ガラス繊維パッドを、作成したメンブレンカードの一方の側にメンブレンカードと約3mm重複するようにして積層した。
【0083】
メンブレンカードのガラス繊維パッドと同じ側にミリポア社から入手したセルロースパッドも積層した。セルロースパッドをメンブレンカードと約3mm重複するようにしてメンブレンカード上に積層し、サンプルゾーンを形成した。
【0084】
メンブレンカードのもう一方の側に別のセルロースパッドをメンブレンと約3mm重複するようにして積層し、ウィッキングゾーンを形成した。
【0085】
形成したカードを5mm幅のストリップに切断した。
【0086】
得られたストリップを用いてジメチルインドール(DMI)の検出を行った。ウルビリノーゲンはあまり安定していないので、ウルビリノーゲンの擬剤としてDMIが用いられた。文献には、DMIはエールリッヒ試薬と反応してウルビリノーゲンと非常によく似た振る舞いをすることが示されている。
【0087】
上記のように準備した7つのデバイス(デバイス1〜7と表す)の各々のサンプルゾーンにそれぞれ0、1.5、3、6、12、24、48μg/mLのDMIを含むアルカノール(登録商標)189−S界面活性剤含有水溶液を200μLを加えた。5分後、デバイス5、6、7の検出ゾーンにおいて濃いピンク色の線が観察された。デバイス2、3、4では中程度のピンク色の線が観察された。デバイス1にはピンク色の線は形成されなかった。
【0088】
例2
【0089】
試薬ゾーンに界面活性剤が含まれないこと以外は例1に記載したものと同様の検出デバイスを作った。得られた結果は例1のものと類似していたが、ピンク色の発色はずっと緩慢であった。
【0090】
例3
【0091】
試薬ゾーンに緩衝液が含まれないこと以外は例1に記載したものと同様の検出デバイスを作った。7つのデバイスのいずれも検出ゾーンで色の変化を呈さなかった。
【0092】
例4
【0093】
検出ゾーンにエールリッヒ試薬に加えてシュウ酸(60mg/mL)が含まれること以外は例3に記載したものと同様の検出デバイスを作った。デバイス1〜6では例1で述べたような色の変化が観察されたが、例1と比べて色はかなり薄く、発色にも時間が掛かった。
【0094】
当然のことながら、当業者は、上述の記載を理解すれば、これらの実施形態の改変、変形及び同等の形態を容易に思い付くことができよう。従って、本開示の範囲は、添付の請求項及びそれらと同等ものの範囲と考えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査サンプル中のビリルビン及びウルビリノーゲンのうち少なくとも一方の存在または量を検出するための診断検査キットであって、
ラテラルフローアッセイデバイスを含み、該ラテラルフローアッセイデバイスが、
ビリルビンまたはウルビリノーゲンと反応して検出信号を生成することができる指示試薬が固定される検出ゾーンを画定するクロマトグラフィー媒体と、
前記クロマトグラフィー媒体を通過した後に前記検査サンプルを受容する吸収性材料を含むことを特徴とする診断検査キット。
【請求項2】
前記指示試薬が、ジアゾニウム塩またはその誘導体であるか、あるいはエールリッヒ試薬またはその誘導体であることを特徴とする請求項1の診断検査キット。
【請求項3】
前記指示試薬が、高分子部分及び反応性部分を含むことを特徴とする請求項1または請求項2の診断検査キット。
【請求項4】
前記高分子部分が、ポリマーまたは粒子から形成されていることを特徴とする請求項3の診断検査キット。
【請求項5】
前記クロマトグラフィー媒体が、多孔質メンブレンであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかの診断検査キット。
【請求項6】
試薬ゾーン、サンプル塗布ゾーン、消光ゾーン、コントロールゾーンのうちの1つ若しくはそれ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかの診断検査キット。
【請求項7】
前記検査サンプルが尿であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかの診断検査キット。
【請求項8】
前記指示試薬が優先的にビリルビンと反応して前記検出信号を生成することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかの診断検査キット。
【請求項9】
前記ラテラルフローアッセイデバイスが第2の検出ゾーンをさらに含み、前記第2の検出ゾーン内には第2の指示試薬が固定され、
前記第2の指示試薬が、優先的にウルビリノーゲンと反応して第2の検出信号を生成することを特徴とする請求項8の診断検査キット。
【請求項10】
前記ラテラルフローアッセイデバイスが、前記第1の検出ゾーンの下流かつ前記第2の検出ゾーンの上流にある第2の試薬ゾーンをさらに含むことを特徴とする請求項9の診断検査キット。
【請求項11】
ビリルビンまたはウルビリノーゲンを含む疑いがある体液を受容するための吸収性物品であって、
実質的に液不透過性の層と、
液透過性の層と、
前記実質的に液不透過性の層と前記液透過性の層との間に位置する吸収性コアと、
前記物品に組み込まれかつ前記物品の着用者から体液が供給されたときに該体液と流体連通するように配置されているラテラルフローアッセイデバイスとを含み、
前記ラテラルフローアッセイデバイスが、第1の検出ゾーンを画定するクロマトグラフィー媒体を含み、前記第1の検出ゾーンが、第1の指示試薬を含み、前記第1の検出ゾーンが、前記体液中のビリルビン及びウルビリノーゲンのうち少なくとも一方の存在または量を示す信号を呈するように構成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
前記ラテラルフローアッセイデバイスが、十分な量の前記体液が前記ラテラルフローアッセイデバイスによって受容されたかどうかを示すためのコントロールゾーンを含むことを特徴とする請求項11の吸収性物品。
【請求項13】
前記吸収性物品が、前記検出ゾーン、前記コントロールゾーン、またはその両方が観察可能であるような窓を画定することを特徴とする請求項11または請求項12の吸収性物品。
【請求項14】
前記ラテラルフローアッセイデバイスが、前記吸収性コアの少なくとも一部分から構成されるサンプル塗布ゾーンをさらに含むことを特徴とする請求項11ないし請求項13のいずれかの吸収性物品。
【請求項15】
前記ラテラルフローアッセイデバイスが、前記実質的に液不透過性の層と前記吸収性コアとの間に位置することを特徴とする請求項11ないし請求項14のいずれかの吸収性物品。
【請求項16】
前記ラテラルフローアッセイデバイスが、前記液透過性の層と前記吸収性コアとの間に位置することを特徴とする請求項24ないし請求項27のいずれかの吸収性物品。
【請求項17】
前記第1の指示試薬が、ジアゾニウムイオンまたはその誘導体であるか、あるいはエールリッヒ試薬またはその誘導体であることを特徴とする請求項11ないし請求項16のいずれかの吸収性物品。
【請求項18】
前記第1の指示試薬が、高分子部分及び反応性部分を含むことを特徴とする請求項11ないし請求項17のいずれかの吸収性物品。
【請求項19】
前記ラテラルフローアッセイデバイスが、拡散的に固定された酸性緩衝液をさらに含むことを特徴とする請求項11ないし請求項18のいずれかの吸収性物品。
【請求項20】
前記ラテラルフローデバイスが、第2の検出ゾーンをさらに含み、前記第2の検出ゾーンが第2の指示試薬を含み、
前記検出ゾーンが、前記体液中のビリルビンの存在または量を示す信号を呈するように構成され、
前記第2の検出ゾーンが、前記体液中のウルビリノーゲンの存在または量を示す信号を呈するように構成されていることを特徴とする請求項11ないし請求項19のいずれかの吸収性物品。
【請求項21】
前記吸収性物品がオムツであることを特徴とする請求項11ないし請求項20のいずれかの吸収性物品。
【請求項22】
体液中のビリルビン及びウルビリノーゲンのうち少なくとも一方の存在または量を検出する方法であって、
ラテラルフローアッセイデバイスを提供するステップを含み、前記ラテラルフローアッセイデバイスが、第1の検出ゾーンを画定するクロマトグラフィー媒体を含み、前記第1の検出ゾーンが、該第1の検出ゾーン内に固定された第1の指示試薬を含み、前記第1の検出ゾーンが、前記体液中のビリルビンまたはウルビリノーゲンの存在または量を示す視覚的な検出信号を与えるように構成されており、
前記ラテラルフローアッセイデバイスを前記体液と接触させるステップと、
前記検出ゾーンに前記視覚的な検出信号が見られるかどうかを観察するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記視覚的な検出信号が観察された後に、前記ビリルビンまたはウルビリノーゲンを定量的または半定量的に検査するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22の方法。
【請求項24】
前記体液が尿であることを特徴とする請求項22または請求項23の方法。
【請求項25】
前記ラテラルフローアッセイデバイスがコントロールゾーンを含み、前記コントロールゾーンが、十分な量の前記体液が受容されたか否かを示す視覚的な制御信号を与えるように構成されていることを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれかの方法。
【請求項26】
前記体液を酸性緩衝液と混合するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22ないし請求項25のいずれかの方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−513858(P2010−513858A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540900(P2009−540900)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053963
【国際公開番号】WO2008/075217
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】