説明

ラドン温泉浴マット

【課題】微量な放射性元素を含有する天然のジルコニウム鉱石に注目し、その微粉末を温泉浴マット、寝具用マット等に含有させることによって、ラドン温泉或いはラジウム温泉と同様な医療効果を付与する。
【解決方法】ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を微量含む、ジルコニウム鉱石の微粉末をゴム組成物中に混練して温泉浴マット等に成形し、ラドン温泉或いはラジウム温泉と同様な医療効果及び、陰イオンの発生や水の微弱なアルカリ化による健康増進効果を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
天然のウラン系列またはトリウム系列元素が微量含まれる、ジルコニウム鉱石に属するスタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂等の複合酸化物の粉末を含む、温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレットである。本発明の温泉浴マット等はこれらのジルコニウム鉱石に含まれる微量のラジウム及びラドンによって、ラジウム温泉或いはラドン温泉の医療的効果及び、微量の陰イオンの発生による浴槽の微弱アルカリ化による健康増進効果を有する。
【背景技術】
【0002】
天然のジルコニウム鉱石の中には、微量なウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含むものが知られている。これらの天然の鉱物から発生する放射能は微弱で、地球上どこの空気中にも微量に存在する、いわゆるバックグラウンド(0.074 μSv/h) と呼ばれる放射線と大凡同レベルである。また、放射線防護法による安全基準(1mSv/年) 以下である。従って、太古から地球上に存在して人類と共存してき鉱物であり、ダイエット・健康障害者・成人病・高齢者等の健康促進に有効とされており、健康上の障害にはならないとされている。
【0003】
これらの天然のジルコニウム鉱石或いは、更にそれらの複合酸化物を焼成して得られた、セラミックスも知られている。また、これらのセラミックスはマイナスイオンの発生または、気相中の微量なホルムアルデヒドを分解する特徴を有することも知られている。例えば、
【特許文献1】特開2003-321267
【特許文献2】特願2004-332481 である。これらの文献には、天然のジルコニウム系鉱石を粉砕して得られた複合酸化物及び、更にそれらの複合酸化物を焼成後粉砕して得られたセラミックスの製法、それらのセラミックス等から発生する、マイナスイオンを利用する方法等が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような機能を有する天然鉱物の粉砕物または複合粉砕物或いは、更にそれらの複合粉砕物を焼成して得られたセラミックス微粉末の機能に注目し、これらのセラミックスから生成する微量のラジウム及びラドンの放射線及び陰イオンの利用方法について検討した。その結果、これらの天然鉱物の複合粉砕物或いは、またはそれらの複合粉砕物を更に焼成して得られたセラミックスを、粉砕した極微粒子を分散質として、浴室用または寝具用のゴムマット或いはネックレスまたはブレスレットに混入分散させることにより、家庭でも容易にラジウム温泉、ラドン温泉の効果が得られるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの天然鉱物の複合粉砕物或いは、またはそれらの複合酸化物を更に焼成して得られたセラミックスを、粉砕してえられ極微粒子をゴムマット製造工程において、充填剤として混練し、浴槽に浸漬した場合の作用効果について検討した。得られたゴムマットを浴槽中に浸漬して使用した場合、マット中の微量のラジウム及びラドンから発生した放射線が検出され、ラジウム温泉或いはラドン温泉と同様な効果が認められた。これらの効果は国内の有名なラジウム温泉或いはラドン温泉として知られている、鳥取県の三朝温泉、山梨県の増富温泉または秋田県の玉川温泉等の医療効果としてよく知られている。
【0006】
更にそれらの微弱な放射線の作用による微量な陰イオンの生成による浴槽のを弱アルカリ化作用も認められ、陰イオン及び浴槽の弱アルカリ化による健康増進効果もある。これらの作用によってダイエット・健康障害者・成人病・高齢者の健康促進に有効である。また、寝具用マットとして使用した場合にも、或いはネックレスまたはブレスレットに混入して使用した場合にも、これらのマット等から発生する微量の放射線、陰イオン等による同様な効果が認められた。これらの知見に基づいて本発明に到達した。
【0007】
すなわち、天然ゴムまたは合成ゴムに亜鉛華、粉末ステアリン酸、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド及び硫黄を加えて処理したゴム組成物を調製する。ここで、ゴム組成物の原料としては広範囲の天然ゴムまたは合成ゴムが使用可能であるが、本発明の温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレットの原料のゴムとしては、これらの製品の特性及び耐久性等から特にエチレンプロピレンディエンターポリマー(EPDM)が好ましい。
【0008】
更に、充填剤として、ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、天然のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物を粉砕・混合・焼成後、更に粉砕して得られたセラミックス微粉末を、ゴム組成物に加えてロール練りし、加熱・加圧して成形されたマットが得られる。
【0009】
このようにして得られたマットを、入浴時に浴槽内に浸漬して使用すれば、マット内に生成した微量のラジウム及びラドン等の放射線によって、ラジウム温泉、ラドン温泉の医療的効果が得られる他、微量な陰イオンの生成によって浴槽内が微弱なアルカリ性となるための健康増進効果も得られる。更に本発明の温泉浴マットには熱容量が大きいジルコニウム鉱石の微粉末が、かなり多量な含まれているため浴槽の加熱によりこれらの微粉末から遠赤外線を発生して、保温効果を高め湯冷めを防止する作用がある。
【0010】
また、前述と同様な方法で寝具用マットまたはシート(薄いマット)或いはサポーターを成形することができる。ここで寝具用マットには電熱寝具用マットも含まれている。これらのマットまたはシートを寝具としてまたはその一部として使用すれば、マットまたはシートの内部で生成した微量のラジウム及びラドン等の放射線によって、ラジウム温泉、ラドン温泉の医療的効果が得られる。更にこれらのマットまたはシートには微弱なラドン等の放射線による消臭、殺菌効果も有するので、高齢者の介護用品等には好適である。その他、微量な陰イオンの発生による健康増進効果もある。また、本発明のマットまたはシートにはかなり多量な熱容量が大きいジルコニウム鉱石の微粉末が含まれているため、マット等の加熱によりこれらの微粉末から遠赤外線を発生して、保温効果を高める作用がある。また、サポーターに適用した場合も寝具用マットまたはシートと同様な効果が認められる。
【0011】
更に、天然ゴムまたは合成ゴムにに亜鉛華、粉末ステアリン酸、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド及び硫黄を加えて処理したゴム組成物を得る。ここで、ゴム組成物の原料としてはエチレンプロピレンディエンターポリマー(EPDM)が好ましい。
【0012】
更に、充填剤として、ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、天然のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物を粉砕・混合・焼成後、更に粉砕して得られたセラミックス粉末を、ゴム組成物に加えてロール練りし、加熱・加圧して成形すれば、ゴム組成物及び充填剤の比率によって、可塑性を有する成形物が得られる。
【0013】
このようにして得られた成形物を得る工程によって、ネックレスまたはブレスレットの部品が得られる。これらのネックレスまたはブレスレットも、その内部に含まれる微量のラジウム及びラドン等の放射線の作用によって、ラジウム温泉、ラドン温泉の医療的効果や、微量な陰イオンの発生による健康増進効果がある。
【0014】
エチレンプロピレンディエンターポリマー(EPDM)に対して、ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、ヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物からなる、充填剤の使用比率は、温泉浴マット及び寝具用マットは、屈伸性及び柔軟性を保持するため、20%以上、25%以下が好ましい。また、ネックレスまたはブレスレット用には、柔軟性と共に成形性を付与するために、充填剤の使用比率は20%以上、30%以下であることが好ましい。
【0015】
ここで、主原料のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)は、微量のウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、天然に産出するジルコニウム鉱石である。これを図1に示す工程によって選鉱・分別・精製処理して、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトが得られる。また、その他の原料であるバストネサイトは図2に示す工程によって、セリウム鉱石及びランタン鉱石に分離される。本発明においては、これらの選鉱・分別された成分の他、主原料のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)も含めた成分の、1種または2種以上の混合・粉砕物または更に、それらの複合酸化物を焼成して得られたセラミックスを、粉砕した極微粒子が塗料の分散質として使用される。
【0016】
前記ウラン系列核種元素は、238Uを親核種として自然に226 Ra、222 Rn、214Pb 、214Bi 等を経て、206Pb に至る放射性崩壊を行う一連の核種元素である。同様にトリウム系列元素は、232Th を親核種として、自然に228Ac 、212Pb 、208Tl 、212Bi 等を経て、208Pb に至る放射性崩壊を行う一連の核種元素である。ウラン系列及びトリウム系列に含まれる各元素は、後述の表中に示される化合物を形成して、鉱物原料中に含有されている。以下本発明について詳しく説明する。
【0017】
図1における主原料であるヘビーミネラルコンセントレイト(重砂) (1) は、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル、インド、ロシア、ウクライナ、ベトナム、アメリカ合衆国、マレーシア等の産地において、主に酸性火成岩が風化して堆積した漂砂鉱床から、ジルコンサンドとして産出される。また、東南アジアでは錫やカオリンを採取した後の重砂(アマン)として得られる。
【0018】
図1に示すようにヘビーミネラルコンセントレイト(1) から、磁力選鉱及び静電選鉱によってスタンダードジルコン(2) が得られる。このとき磁性を有する鉱物はイルメナイト中間品(7) として分離される。更に静電選鉱によりピュアジルコン(3) とモナザイト原砂(5) が得られる。モナザイト原砂(5) からは選鉱によりイットリュウム原砂(ゼノタイム)(6)が得られる。前記ピュアジルコン(3) から、酸洗い及び磁力選鉱によってプライムジリコン(4) が得られ、更にジルコニウムの組成比率を高めたものがバテライト(8) 及びジルコニア(9) である。
【0019】
また、図2に示すバストネサイト(10)は、主にアメリカ合衆国、中国等のカーボナイト鉱床から、鉄、チタン、錫、ウラン、トリウム等を採掘した際の副産物として得られる。バストネサイト(10)をさらに選鉱することにより、セリウムに富むセリウム鉱石(11)とランタンに富むランタン鉱石(12)が得られる。
【0020】
上記の鉱物(1) 〜(12)の成分及び含有量(重量%)を表1及び表2に示す。尚、これらの数値は理学電気工業(株)製、蛍光X 線分析装置(RIX3000)により分析したものである。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
本発明においてゴム組成物の充填剤として使用する場合には、前述のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂) 等の成分の、1種または2種以上の粉砕・混合物を加える場合には、それらの成分を 400℃の雰囲気中で乾燥させた後、ボールミル、振動ミル等の粉砕手段により、平均半径を10μm 以下、好ましくは 5μm 以下、更に好ましくは 2.5μm 以下に湿式粉砕(第1粉砕工程)して使用される。
【0024】
湿式粉砕工程において2〜5%程度の粘土類を添加すれば、沈澱防止のためにより好ましい。また、粘土類の代わりに塩化カルシウム、塩化マグネシウム等を、沈澱防止剤として加えてもよい。粉砕後スプレードライヤーにより乾燥し、更にサイクロン、エアセパレーター等によって分級し、粒径を均一化した粉砕・混合物が充填剤として使用される。尚、粉砕された充填剤の平均粒径はレーザ回折/ 散乱方式による粒度測定装置により測定した。
【0025】
前述のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂) 等の成分の、1種または2種以上の混合・粉砕物を更に焼成して得られたセラミックスを、粉砕して得られた極微粒子をゴム組成物の充填剤として使用する場合には、次のようにして調製される。ヘビーミネラルコンセントレイト(重砂) 等の成分の1種または2種以上の成分は、 400℃の雰囲気中で乾燥させた後、ボールミル、振動ミル等により、平均半径を10μm 以下、好ましくは 5μm 以下、更に好ましくは 2.5μm 以下に湿式粉砕(第1粉砕)される。尚、粉砕工程においては後続の焼成工程における温度上昇を抑制するため、粘土類或いは塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の沈澱防止剤の他、要すれば長石、ガラス、フリット類が添加される。ここで、長石類、ガラス、フリット類の中、長石類の代わりにガラス、フリット類を添加してもよい。
【0026】
更に前記の乾燥後トンネルキルン、ロータリーキルン等により、1100〜1500℃で焼成される。より好ましくは1100〜1350℃である。焼成によって揮発成分、結晶水、有機物等が除去されると共に、ジルコン中に含まれる微量成分の放射性同位元素が、主成分のジルコン(ZrSiO4)と焼結される。このためウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素は、その他のジルコニウム鉱石の成分と焼結されたセラミックス中に含まれた状態となっている。更に、湿式粉砕後スプレードライヤーにより乾燥され、分級機(クラシファイヤー) により分級されて充填剤が調製される。従って、焼成によってそれ以降の加工工程においても、充填剤が練り込まれて成形された温泉浴マット等の使用時にも、微量の放射性同位元素が主成分のジルコン(ZrSiO4)から分離、脱落したり、または外気中へ飛散するおそれはない。
【0027】
本発明のゴム組成物に加えられる充填剤のように、微量の放射性同位元素が予め主成分のジルコン(ZrSiO4)に焼結されていると、その後の温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレットの成形時にも微量の放射性同位元素が脱落してその効果が低下するおそれがない。また、焼成後の粉砕・分級工程によって粒子の平均粒径を10μm 以下、好ましくは 5μm 以下、更に好ましくは 2.5μm の微粒子とすることにより、ジルコン(ZrSiO4)粒子の表面積が増加して、温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレットの医療的効用及び、陰イオンによる健康増進効果も高められる。
【0028】
本発明において、ゴム組成物に加えられる充填剤に含まれる、ウラン系列核種又はトリウム系列核種の放射性同位元素は、原子力基本法、核原料物質および原子炉の規制に関する法律等の法的規制を受けない放射線強度 370Bq/g以下に、また、温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレットは、通常の大気中に存在するいわゆるバックグラウンドと言われる放射能レベルである、74Bq/g同程度のレベルに保持することが可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレットは、天然のジルコニウム鉱石より得られた微量の放射性同位元素を含む、複合酸化物の微粒子を充填剤として使用されている。これらの複合酸化物の微粒子から発生した微量のラジウム及びラドンの放射線によって、ラジウム温泉或いはラドン温泉の効果及び、陰イオンの発生による浴槽の微弱アルカリ化による医療的効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0031】
エチレンプロピレンディエンターポリマー(EPDM)に、亜鉛華 5.0%、粉末ステアリン酸1.0 %、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド、を2.0 %、硫黄1.5 %を加え、加硫処理をしてゴム組成物を調整した。尚、加硫促進剤に含まれる各成分の比率はそれぞれ次ぎの通りである。N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド19.7%、2-メルカプトベンゾチアゾール26.2%、テトラメチルチウラムジスルフィド19.7%、ジエチルジチオカルバミン酸テルル14.7%及び、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド19.7%である。
【0032】
充填剤の原料として、ピュアジルコン95%, 粘土、炭酸カルシウム, 炭酸マグネシウム5%の混合物を使用し、前述の「課題を解決するための手段」(0024)〜(0026)に記載した工程によって、平均半径 1.5μm のセラミックス微粉末を得た。この微粉末を充填剤としてゴム組成物に対して20%使用し、温度170 ℃でロール練りし、プレス圧200 気圧で、温泉浴マットを成形した。尚、平均粒径はレーザ回折/ 散乱方式による粒度測定装置により測定した。
【0033】
得られた温泉浴マット試料 (10cm×10cm×0.5cm)のバックグラウンドを含む放射線当量率及び、自然放射線をGMカウンター(アロカ社製TCS-161)によって測定した。その結果を表3に示す。測定方法は温泉浴マット試料の表面中心にGMカウンター測定器を密着させ、放射線当量率を10秒間隔で20回測定してその平均値を示した。また同様にしてその室内の通常バックグラウンド(BG)と呼ばれる自然放射線を測定した。表3に示した測定値により、試料から発生する放射線当量率は、試料の測定値からバックグラウンド(BG)を控除した値となるから0.046 μSv/hであり、バックグラウンド(BG)は0.074 μSv/hであるから、温泉浴マットの放射線当量率は自然放射線とおおよそ同レベルであり、放射線防護法による安全基準(1mSv/年) も充分に充足するものである。
【0034】
【表3】

【0035】
また、温泉浴マット試料 (5cm×5cm×0.5cm)に0.5cm 間隔で縦横の切れ目を入れて、500ml のガラス瓶の底に敷き、500ml の水道水を入れて密封した。1〜4週間放置した場合のIM泉効計によって測定したラドン量及びpHの測定値を表4 に示す。比較のため500ml の水道水を入れて密封した同じ形状のガラス瓶を、同様に放置した場合のラドン量及びpHを測定し併せて示した。これらの測定値により、温泉浴マットより発生するラドン量によって、国内のラドン温泉やラジウム温泉と同様な医療効果があり、また、pHの測定値より陰イオンの発生と微弱な水をアルカリ化する効果も認められる。
【0036】
【表4】

【実施例2】
【0037】
エチレンプロピレンディエンターポリマー(EPDM)に、亜鉛華 5.0%、粉末ステアリン酸1.0 %、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド、を2.0 %、硫黄1.5 %を加えて加硫処理をしてゴム組成物を調整した。尚、加硫促進剤中の各成分の比率をそれぞれ次ぎの通りである。N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド19.7%、2-メルカプトベンゾチアゾール26.2%、テトラメチルチウラムジスルフィド19.7%、ジエチルジチオカルバミン酸テルル14.7%及び、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド19.7%である。
【0038】
充填剤の原料として、ピュアジルコン50%, プライムジルコン20%及び、モナザイト原砂20%の混合物に、粘土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム10%の混合物を加えた粉砕物を使用した。得られた粉砕物を更に前述の「課題を解決するための手段」(0024)〜(0026)に記載した工程によって焼成・湿式粉砕・乾燥・分級し、平均半径 1.2μm のセラミックス微粉末を得た。この微粉末を充填剤としてゴム組成物に対して25%使用し、温度170 ℃でロール練りし、プレス圧200 気圧で、薄い寝具用マットを成形した。
【0039】
得られた寝具用マット試料 (10cm×10cm×0.5cm)のバックグラウンドを含む放射線当量率及び、バックグラウンドのGMカウンターによる測定値を表5に示す。また、温泉浴マット試料 (5cm×5cm×0.5cm)を0.5cm 間隔で縦横に切れ目を入れた試料を、500ml のガラス瓶に封入して、2週間放置した場合のラドン量及びpHの測定値をいずれもブランクテストと対比して表6に示す。
【0040】
【表5】

【0041】
【表6】

【0042】
これらの結果によって、本発明の寝具用マットの放射線当量率は地球上どこの空気中にも自然に存在する、いわゆるバックグラウンド(0.074 μSv/h) と呼ばれる微量な放射線とおおよそ同レベルである。また、放射線防護法による安全基準(1mSv/年) も充分に充足するのである。また、ラドン量は国内のラドン温泉と同程度であり、ラドン温泉或いはラジウム温泉と同様な医療効果を有することが分る。また、湿った空気中でのpHの測定値より陰イオンの発生と水を微弱にアルカリ化する効果も認められる。
【実施例3】
【0043】
エチレンプロピレンディエンターポリマー(EPDM)に、亜鉛華 5.0%、粉末ステアリン酸1.0 %、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド、を2.0 %、硫黄1.5 %を加えて加硫処理をしてゴム組成物を調整した。尚、加硫促進剤中の各成分の比率はそれぞれ次ぎの通りである。N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド19.7%、2-メルカプトベンゾチアゾール26.2%、テトラメチルチウラムジスルフィド19.7%、ジエチルジチオカルバミン酸テルル14.7%及び、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド19.7%である。
【0044】
充填剤の原料として、ピュアジルコン65%、モナザイト原砂10%及び、イットリウム原砂15%の混合物に、粘土、炭酸マグネシウム10%の混合物を加えた粉砕物を使用した。得られた粉砕物を更に前述の「課題を解決するための手段」(0024)〜(0026)に記載した工程によって焼成・湿式粉砕・乾燥・分級し、平均半径 1.2μm のセラミックス微粉末を得た。この微粉末をゴム組成物に対して25%使用し、温度170 ℃でロール練りし、プレス圧200 気圧で、ネックレスまたはブレスレットの部品としての球形ビーズ及び管玉を成形した。尚、微粉末の平均粒径はレーザ回折/ 散乱方式による粒度測定装置により測定した。
【0045】
得られた直径 7mmの球形ビーズの試料10gを1重に敷き詰めた、シャーレ表面のバックグラウンドを含む放射線当量率及び、バックグラウンドのGMカウンターによる測定値を表7に示す。また、管玉の試料 15gを500ml のガラス瓶に封入して、2週間放置した場合のラドン量及びpHの測定値をいずれもブランクテストと対比して表8に示す。
【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
これらの結果によって、本発明のネックレスまたはブレスレットの部品としての球形ビーズ及び管玉の放射線当量率は地球上どこの空気中にも自然に存在する、いわゆるバックグラウンド(0.074 μSv/h) と呼ばれる微量な放射線とおおよそ同レベルである。また、ラドン量は国内のラドン温泉と同程度であり、ラドン温泉或いはラジウム温泉と同様な医療効果を有することが分る。また、湿った空気中でのpHの測定値より陰イオンの発生と微弱な水をアルカリ化する効果も認められる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
天然のジルコニウム鉱石の中には、微量なウラン系列核種またはトリウム系列核種を含むものがあることが知られている。これらの天然の鉱物から発生する放射能は微弱で、大気中に含まれる、いわゆるバックグラウンドとおおよそ同レベルの強度である。これらの鉱石より得られた、複合酸化物の微粉末を温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレットに充填剤として加えて成形することができる。これらの温泉浴マット等はラドン温泉或いはラジウム温泉と同様な医療効果があり、また、微量の陰イオンの発生及び微弱な水のアルカリ化による健康増進効果も認められる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明における充填剤の精製・分離工程のフローを示す。
【図2】本発明における充填剤の一部の精製・分離工程のフローを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムまたは合成ゴムに亜鉛華、粉末ステアリン酸、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド及び硫黄を加えて処理したゴム組成物に、充填剤として、ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、ヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物を粉砕・混合・焼成後更に粉砕して得られたセラミックス微粉末を加えてロ9ル練りし、加熱・加圧して成形され、浴槽内にラジウム及びラドンによる微量な放射線、陰イオンの発生及び微弱アルカリ化機能を有する温泉浴マット。
【請求項2】
天然ゴムまたは合成ゴムに亜鉛華、粉末ステアリン酸、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド及び硫黄を加えて処理したゴム組成物に、充填剤として、ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、ヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物を粉砕・混合・焼成後更に粉砕して得られたセラミックス微粉末を加えてロール練りし、加熱・加圧して成形され、ラジウム及びラドンによる微量な放射線及び陰イオンを発生する寝具用マットまたはサポーター。
【請求項3】
天然ゴムまたは合成ゴムに亜鉛華、粉末ステアリン酸、加硫促進剤として、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド及び硫黄を加えて処理したゴム組成物に、充填剤として、ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、ヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物を粉砕・混合・焼成後更に粉砕して得られたセラミックス微粉末を加えてロール練りし、加熱・加圧して成形され、ラジウム及びラドンによる微量な放射線及び陰イオンを発生するネックレスまたはブレスレット。
【請求項4】
天然ゴムまたは合成ゴムが、エチレンプロピレンディエンターポリマー(EPDM)である、請求項1ないし3のいずれかに記載された、温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレット。
【請求項5】
ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、ヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物からなる充填剤に含まれる、ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素が、その他の成分と焼結されたセラミックス中に含まれた状態である、請求項1ないし4のいずれかに記載された、温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレット。
【請求項6】
ウラン系列核種元素またはトリウム系列核種元素を含む、ヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間体、バテライト、ジルコニア、バストネサイトの1種または2種以上の混合物からなる、充填剤の使用量が15%以上、30%以下である、請求項1ないし4のいずれかに記載された、温泉浴マット、寝具用マット、ネックレスまたはブレスレット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−209441(P2007−209441A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30851(P2006−30851)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(501299370)株式会社イージー循環研究所 (3)
【出願人】(504424524)
【Fターム(参考)】